JPH0783255A

JPH0783255A - ディスクブレーキ用ロータ

Info

Publication number: JPH0783255A
Application number: JP25091293A
Authority: JP
Inventors: Akira Watabe; 晶渡部; Mitsuru Saito; 充斉藤
Original assignee: Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Current assignee: MA Aluminum Corp
Priority date: 1993-09-14
Filing date: 1993-09-14
Publication date: 1995-03-28

Abstract

(57)【要約】【目的】ロータの全体をアルミニウム合金複合材で成
形するものに比べて、はるかに経済的であるとともに全
体の機械的強度が向上し、かつロータ本体の材質につい
ては、摺動部に要求される特性とは無関係に選択するこ
とができるため、車種あるいは性能用途等に応じて上記
ロータ本体の材質を自由に選択することができるディス
クブレーキ用ロータを得る。【構成】車輪に取付けられるアルミニウム合金からな
るロータ本体１の摩擦板との摺動部位に、セラミックス
粒子を含有するアルミニウム合金複合材３、３を一体に
固着してなるディスクブレーキ用ロータ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車や鉄道車輌用の
ディスクブレーキのロータとして用いて好適なアルミニ
ウム合金製のディスクブレーキ用ロータに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、各種の自動車や鉄道車輌
等のブレーキとして、車輪に取付けられたロータの片面
もしくは両面に、パッド（摩擦板）を当接させることに
より上記車輪の回転を停止させるディスクブレーキが用
いられている。このようなディスクブレーキに用いられ
る上記ロータとしては、所望の耐摩耗性および機械的強
度を満足するものとして、一般に各種のパーライト基地
片状黒鉛鋳鉄が用いられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、近年、鉄道
車輌の高速化や、これら各種車輌一般における車体重量
の軽量化の要請が高まっており、これに応じて上記ロー
タとしても、軽量でかつ所望の耐摩耗性、耐熱損傷性お
よび機械的強度に優れた材質のものが開発されつつあ
る。そこで、本発明者等は、先に特開平３−４７９４５
号公報にみられるような、アルミニウム合金中に微細な
セラミックス粒子を含有させたアルミニウム複合体から
なるディスクブレーキ用ロータ材料を提案した。このロ
ータ材料によれば、極めて高い耐摩耗性が得られ、かつ
熱伝導性に優れて充分な耐熱損傷性が得られることか
ら、特に高速の鉄道車輌のディスクブレーキとして用い
た場合に、ロータが早期に摩耗したり、あるいは焼き付
きを生じたり、さらには相手材であるパッドが損耗した
りすることがないという利点がある。

【０００４】しかしながら、上記アルミニウム複合体で
一体に成形したディスクブレーキ用ロータにあっては、
全体が高価なセラミックス粒子を含有させたアルミニウ
ム複合体で成形されているために、いきおいディスクブ
レーキ全体としての製造費の高騰化を招いてしまうとい
う問題があった。また、上記アルミニウム複合体は、優
れた耐摩耗性を有する反面、その切削性に劣るため、車
輪との取付け部分等を加工するに際して多大の手間を要
するという欠点があった。さらに、摩擦面に必要とされ
る耐摩耗性や耐熱損傷性といった特性に基づいて、ロー
タ全体の合金組成が決定されてしまうために、ロータ全
体としての材質の選択の余地が極めて狭くなってしまう
という問題点もあった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係るディスクブ
レーキ用ロータは、車輪に取付けられるアルミニウム合
金からなるロータ本体の摩擦板との摺動部位に、セラミ
ックス粒子を含有するアルミニウム合金複合材を一体に
固着してなるものである。

【０００６】ここで、上記アルミニウム合金複合材は、
上記セラミックス粒子としてＳｉＣまたはＡｌ₂Ｏ₃もし
くはこれらの混合からなる粒子を含有するＡｌ−Ｍｇ合
金であり、さらに、上記セラミックス粒子は、粒径が５
〜１００μｍであり、かつ上記アルミニウム合金中に１
〜２５重量％含有されていることが好ましい。

【０００７】

【作用】本発明に係るディスクブレーキ用ロータによれ
ば、その全体がアルミニウム合金およびアルミニウム合
金複合材によって形成されているので、当該部分の軽量
化を図ることができ、ひいては近時要請の高い車体重量
の一層に軽量化に寄与することができる。また、摩擦板
との摺動面にのみ、高価なアルミニウム合金複合材を形
成しているので、経済的であるとともに、ロータ本体に
はセラミックス粒子が含まれていないために機械的強度
が向上する。加えて、ロータ本体の材質について選択の
余地が広がるため、より切削性に優れたものや、より機
械的強度に優れたもの等、車種あるいは車輌の性能用途
等に応じて上記ロータ本体の材質を適宜選択することが
可能となる。

【０００８】特に、上記アルミニウム合金複合材が、Ｓ
ｉＣまたはＡｌ₂Ｏ₃もしくはこれらの混合からなるセラ
ミックス粒子を含有するＡｌ−Ｍｇ合金であって、しか
も上記セラミックス粒子が、粒径が５〜１００μｍであ
り、かつ上記アルミニウム合金中に１〜２５重量％含有
されているものであれば、上記作用に加えて、さらに熱
伝導性に優れ、かつ高速回転時における高頻度（常用停
止ブレーキ時）および高負荷（非常停止ブレーキ時）に
おける耐熱損傷性に優れることから、高速の車輌用のデ
ィスクブレーキ用のロータとして用いた場合に好適であ
る。

【０００９】ここで、上記限定条件の理由について説明
すると、セラミックス粒子のＳｉＣまたはＡｌ₂Ｏ₃は、
硬質であって耐摩耗性を向上させるために好適であり、
かつ経済性にも優れる。なお、上記セラミックス粒子の
粒径が５μｍ未満であったり、あるいは含有量が１重量
％に満たないと、充分な耐摩耗性を得ることができず、
他方上記粒径が１００μｍを越えたり、あるいは含有量
が２５重量％を越えると、ともに靭性が低下してしまう
ため、いずれも場合も高速車輌用として用いるには好ま
しくない。

【００１０】

【実施例】図１および図２は、本発明のディスクブレー
キ用ロータを自動車用のディスクブレーキに適用した一
実施例を示すものである。これらの図において、図中符
号１は、ＡＣ４Ｃ等のアルミニウム合金からなるロータ
本体である。このロータ本体１は、外観略円盤状のもの
で、その中心部にはこのロータ本体１を自動車の車輪
（図示せず）に固定するための貫通孔２が穿設されてい
る。

【００１１】そして、このロータ本体１の円盤状をなす
外周部の両端面の、ディスクブレーキのパッド（摩擦
板）が摺接する部位には、ＡＣ４Ｃ等のアルミニウム合
金中にＳｉＣまたはＡｌ₂Ｏ₃もしくはこれらの混合から
なるセラミックス粒子を含有してなるアルミニウム合金
複合材３、３が一体に固着されている。

【００１２】ここで、上記アルミニウム合金複合材３、
３を上記ロータ本体１の外周部両端面に固着させる方法
としては、高圧による鋳造法あるいは溶射法がある。上
記高圧による鋳造法は、例えば、予め円環板状に成形さ
れた上記アルミニウム合金複合材３の接合面に生成した
酸化膜を除去し、得られたアルミニウム合金複合材３を
数百℃に加熱した後に鋳型内に配置し、ついでこの鋳型
内にロータ本体１となるアルミニウム合金の溶湯を注入
してこれを３００ｋｇ／ｃｍ²以上の圧力で加圧すると
ともに凝固させることにより上記アルミニウム合金複合
材３をロータ本体１に一体的に固着させるものである。
なお、これとは逆に、上記高圧による鋳造法では、先ず
ロータ本体を成形し、これを鋳型内に配置した後に、ア
ルミニウム合金複合材の溶湯を注入して加圧凝固させる
ことも可能である。また、上記溶射法としては、ガス式
溶射法や電気式溶射法があるが、過度の酸化を防止する
観点からは、不活性あるいは減圧雰囲気下での溶射が可
能であるプラズマ溶射法等が好適である。

【００１３】このようなディスクブレーキ用ロータによ
れば、ロータ本体１がアルミニウム合金からなり、かつ
その摺動部がアルミニウム合金複合材３によって形成さ
れているので、従来の鋳鉄製のものと比べてロータ全体
の軽量化を図ることができ、よってこのロータを取付け
た自動車の車体重量を、より一層軽量化させることがで
きる。

【００１４】また、パッドとの摺動面にのみ、高価なア
ルミニウム合金複合材３、３を形成しているので、ロー
タの全体を上記アルミニウム合金複合材で成形するもの
に比べて、はるかに経済的であるとともに、ロータ全体
の機械的強度が向上する。しかも、ロータ本体１の材質
については、摺動部となるアルミニウム合金複合材３、
３に要求される耐摩耗性等の特性とは無関係に選択する
ことができるため、より切削性に優れたものや、より機
械的強度に優れたもの等、車種あるいは性能用途等に応
じて上記ロータ本体１の材質を、適宜自由に選択するこ
とが可能となる。

【００１５】

【他の実施例】図３は、本発明のディスクブレーキ用ロ
ータを鉄道用車輌のディスクブレーキに適用した一実施
例を示すものである。図３において、図中符号５は、本
実施例に係るロータが固定される鋼製の車輪である。そ
して、この車輪の両側面に、ロータ本体６、６が設けら
れている。このロータ本体６は、Ａｌ−Ｓｉ合金からな
る円環板状のもので、その一端面外周部には、これから
リング状に突出する凸部７が形成されている。そして、
上記ロータ本体６、６は、それぞれの凸部７を車輪５の
側面に当接させた状態で、上記車輪５の両側面に対向配
置され、これらロータ本体６、６の内周部および上記車
輪５に挿通されたボルト８およびナット９等により上記
車輪５に固定されている。

【００１６】上記各ロータ本体６のパッド（図示せず）
と摺動する外周部には、ＳｉＣまたはＡｌ₂Ｏ₃もしくは
これらの混合からなるセラミックス粒子を含有するＡｌ
−Ｍｇ合金製のアルミニウム合金複合材１０、１０が一
体的に固着されている。ここで、上記セラミックス粒子
の粒径は、５〜１００μｍであり、かつ上記セラミック
ス粒子は、Ａｌ−Ｍｇ合金中に１〜２５重量％含まれて
いる。

【００１７】このような構成からなるディスクブレーキ
用ロータによれば、第１の実施例におけるロータと同様
の作用効果を得ることができる他、さらに熱伝導性に優
れ、かつ高速回転時における高頻度および高負荷時にお
ける耐熱損傷性に優れることから、高速の車輌用のディ
スクブレーキ用ロータとして優れた性能を得ることがで
きる。

【００１８】加えて、上記ロータ本体６を構成するアル
ミニウム合金として、流動性に優れるＡｌ−Ｓｉ合金を
用いているので、ロータ本体６を容易に鋳造によって成
形することができ、しかも耐食性が良好であるため、ロ
ータ本体６の使用寿命を一層延すことができる。さら
に、上記Ａｌ−Ｓｉ合金の熱膨張率は、ほぼ鋼と等しい
ため、鋼性の車輪５に取付けた場合にも、パッドとの摩
擦熱による熱膨張により両者の結合部分であるボルト８
およびナット９や、あるいはロータ本体６の凸部７と車
輪５の側面との間に過大な応力が発生するおそれがな
い。

【００１９】なお、上記実施例においては、いずれもロ
ータ本体を構成するアルミニウム合金として、Ａｌ−Ｓ
ｉ合金を用いた例について説明したが、これに限るもの
ではなく、例えば、熱特性に優れるＡｌ−Ｍｇ合金等の
他のアルミニウム合金を用いてもよい。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のディスク
ブレーキ用ロータは、車輪に取付けられるアルミニウム
合金からなるロータ本体の摩擦板との摺動部位に、セラ
ミックス粒子を含有するアルミニウム合金複合材を一体
に固着したので、ロータの全体を上記アルミニウム合金
複合材で成形するものに比べて、はるかに経済的である
とともに全体の強度が向上し、しかもロータ本体の材質
については、摺動部に要求される特性とは無関係に選択
することができるため、車種あるいは性能用途等に応じ
て上記ロータ本体の材質を自由に選択することができ
る。

【００２１】また、アルミニウム合金複合材として、Ｓ
ｉＣまたはＡｌ₂Ｏ₃もしくはこれらの混合からなるセラ
ミックス粒子を含有するＡｌ−Ｍｇ合金を用い、さらに
上記セラミックス粒子の粒径を５〜１００μｍとして上
記アルミニウム合金中に１〜２５重量％含有させれば、
当該アルミニウム合金複合材は熱伝導性に優れ、かつ高
速回転時における高頻度および高負荷時における耐熱損
傷性に優れることから、高速の車輌用のディスクブレー
キとして優れた特性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のディスクブレーキ用ロータの一実施例
を示す縦断面図である。

【図２】図１のディスクブレーキ用ロータを示す側面図
である。

【図３】本発明の他の実施例を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１、６ロータ本体３、１０アルミニウム合金複合材５車輪

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】車輪に取付けられ、少なくともその一端
面に摩擦板が当接することにより上記車輪の回転を停止
させるディスクブレーキ用ロータであって、上記車輪に
取付けられるアルミニウム合金からなるロータ本体の上
記摩擦板との摺動部位に、セラミックス粒子を含有する
アルミニウム合金複合材を一体に固着してなることを特
徴とするディスクブレーキ用ロータ。
【請求項２】上記アルミニウム合金複合材は、ＳｉＣ
またはＡｌ₂Ｏ₃もしくはこれらの混合からなる上記セラ
ミックス粒子を含有するＡｌ−Ｍｇ合金であることを特
徴とする請求項１に記載のディスクブレーキ用ロータ。
【請求項３】上記アルミニウム合金複合材は、粒径５
〜１００μｍの上記セラミックス粒子を１〜２５重量％
含有することを特徴とする請求項１または２に記載のデ
ィスクブレーキ用ロータ。