JP3435936B2 - 軽量複合ブレーキディスクおよびその製造方法 - Google Patents
軽量複合ブレーキディスクおよびその製造方法Info
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Description
れる摩擦によって機械的に制動力を得るディスクブレー
キのディスク、およびその製造方法に関する。
の機械的制動方式としては、ブロックブレーキ、ドラム
ブレーキおよびディスクブレーキなどが使用されてい
る。近年は、とくに車両の高速化や大荷重化に伴い、デ
ィスクブレーキが多用されるようになってきた。このデ
ィスクブレーキとは、ブレーキディスクとブレーキライ
ニングとの摩擦によって制動力を得る装置である。鉄道
車両の場合を例にとれば、ドーナツ形の円盤状の摺動面
と、その摺動面を後背部で支持し、車輪などの回転部分
に取り付ける基部とから構成される。走行時回転してい
る摺動面にブレーキライニングを押し付けることにより
制動力を得る。この摺動面を有する円盤形状の部品をブ
レーキディスクと称する。
の摩擦により摩耗と温度上昇が生じるので耐摩耗性、耐
熱性および耐熱き裂性が要求される。この熱き裂とは、
制動ごとに生ずる熱応力の繰返しで発生する熱疲労き裂
のことである。
鋼もしくはステンレス鋼などの一体ものが使用されてき
た。しかしながら、車両の高速化、地球環境保護のため
の省エネルギ対策としての軽量化、バネ下重量低減によ
る乗り心地改善等の要求からブレーキディスクにもアル
ミニウムやアルミニウム合金を使うという動向が見られ
る。アルミニウムやアルミニウム合金は、同じ温度分布
および応力分布で比較すると鋳鉄や鍛鋼に比して、耐摩
耗性、耐熱性および耐熱き裂性のいずれをとっても著し
く劣る。しかし、熱伝導度が良好なため発生した摩擦熱
が速やかに放散されるので、摺動面の温度上昇を鋼製の
ブレーキディスクよりはるかに低く抑えることが可能で
ある。このため、耐熱性および耐熱き裂性は、材料強度
から推測されるほどには低下しない。しかし、強度が低
いので耐摩耗性は大きく劣り、アルミニウムやアルミニ
ウム合金そのものをブレーキディスクに適用することは
困難である。
軽量であることを活かしたブレーキディスクとして、ア
ルミニウム合金のディスクまたはドラムの摺動面に耐摩
耗性のすぐれた、2〜4%C、10〜30%Crの鉄合
金をプラズマ溶射や鋳ぐるみ法にて被覆したブレーキ部
材の発明が、特開昭60−89558号公報に示されて
いる。しかしながらこの場合、摺動面に被覆したFe−
Cr−C合金層と基部のアルミニウム合金との弾性率や
熱膨張係数の違いから、制動の繰り返しにより基部と被
覆層の境界面で剥離が生ずるという問題がある。
向上させる方法として、特開昭59−173234号公
報には、粒子状や繊維状のAl2 O3 、SiC、Si3
N4等を分散させたブレーキロータ(ディスク)の発明
が提示されている。このような複合材料を使うことによ
り耐摩耗性は向上するが、高価であり、かつ靭性が低い
ことに起因して折損を発生するおそれがある。
ような高速かつ高負荷のブレーキのディスクの軽量化を
目的に、従来の鋼製と同等の耐摩耗性、耐熱性および耐
熱き裂性を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金
製のブレーキディスクおよびその製造方法を提供するこ
とを課題になされたものである。
ムまたはその合金の使用による軽量化と、良好な熱伝導
性に着目し、その耐摩耗性を向上させることによる高速
高負荷のブレーキディスクの実用化の検討を種々おこな
った。その結果、下記〜が判明した。
ブレーキディスクの基部などの構造部材として十分な強
度を持つ。
ウムまたはアルミニウム合金をベース材とし粒子または
繊維状のセラミックスを分散させた複合材料が最良の結
果を示す。
で、基部などの構造部材も含めたディスク全体には使用
できない。
のでは経済性の点でも劣る。
れた上記の複合材料を置き、これを基部のアルミニウム
またはアルミニウム合金と金属的に結合させ一体化した
複合構造とすることによって軽量化ブレーキディスクと
その製造方法を完成することができたのである。すなわ
ち本発明の要旨は次のとおりである。
と、アルミニウムまたはアルミニウム合金にセラミック
スの粒子または繊維を分散させた複合材料からなり摺動
面を構成する表層部3とを備えるブレーキディスクであ
って、前記表層部は、前記基部と一体化鋳造された後、
熱間プレスすることにより金属的に結合して一体となっ
て前記ブレーキディスクの片面にのみ備えられ、前記表
層部の厚さは、前記基部と前記表層部とを合わせたブレ
ーキディスク最大厚さの3%以上30%以下であること
を特徴とする軽量複合ブレーキディスク。
粒子または繊維を分散させた複合材料を所定形状に成形
して前記表層部を形成する工程と、製品段階において前
記基部と接する側の前記表層部の表面にフラックス被覆
を施す工程と、フラックス被覆を施した前記表層部の表
面にフラックス被覆が施されたアルミニウム合金の蝋材
を積層する工程もしくはアルミニウム合金の蝋材を積層
した後にフラックス被覆を施す工程と、アルミニウム合
金の蝋材を積層した前記表層部を鋳型内で500℃以上
550℃以下に予熱した後に、前記基部の母材となるア
ルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯を鋳型に流し
込んで一体化鋳造する工程と、前記一体化鋳造により得
られた鋳造物を熱間でプレスする工程とを含むことを特
徴とする前記(1)に記載の軽量複合ブレーキディスク
の製造方法。 (3)(図2のX2参照) アルミニウムまたはアルミニウム合金にセラミックスの
粒子または繊維を分散させた複合材料を所定形状に成形
して前記表層部を形成する工程と、製品段階において前
記基部と接する側の前記表層部の表面にフラックス被覆
を施す工程と、フラックス被覆を施した前記表層部を鋳
型内で550℃以上630℃以下に予熱した後に、前記
基部の母材となるアルミニウムまたはアルミニウム合金
の溶湯を鋳型に流し込んで一体化鋳造する工程と、前記
一体化鋳造により得られた鋳造物を熱間でプレスする工
程とを含むことを特徴とする前記(1)に記載の軽量複
合ブレーキディスクの製造方法。
粒子または繊維を分散させた複合材料の溶湯を鋳型内に
流し込んで前記表層部を鋳造する工程と、製品段階にお
いて前記基部と接する側の前記表層部の表面温度が55
0℃以上630℃以下となった時点で、前記鋳型内に、
前記基部を形成するアルミニウムまたはアルミニウム合
金の溶湯を流し込んで一体化鋳造する工程と、前記一体
化鋳造により得られた鋳造物を熱間でプレスする工程と
を含むことを特徴とする前記(1)に記載の軽量複合ブ
レーキディスクの製造方法。
材料のベース材のアルミニウムまたはアルミニウム合金
と、基部を構成するアルミニウムまたはアルミニウム合
金とが、相互に溶融またはそれに近い状態で一体化し、
その間に明瞭な境界が見いだせない状態をいう。
部の上面および縦断面を示す図面である。同図に基づい
て本発明のブレーキディスクの構造を説明する。図中の
基部1はアルミニウムまたはアルミニウム合金である。
2は摺動面である。ブレーキライニング(パッド)がこ
の面に押し付けられる。摺動面を構成する表層部3は、
セラミックスの粒子または繊維をアルミニウムまたはア
ルミニウム合金に分散させた複合材料である。4は取付
のためのボルト孔である。
たブレーキディスク最大厚さの3%〜30%とする。3
%未満では使用時の摩耗により寿命が短すぎ、かつ表層
部の複合材料が製造時または使用時に熱変形を起こす問
題を生じる。30%以下とするのは、複合材料は靭性お
よび抗折力に劣るので、ディスクにかかる負荷を基部の
アルミニウムまたはアルミニウム合金の部分でもたせる
ためである。
なくし、ディスクの基部にリブやフィンを付加すること
を容易にしてブレーキをかけた時の発生熱の放散を速
め、摺動面の温度上昇を抑えることができるからであ
る。
と同一面で接触するように同一摺動面を形成さえしてい
れば、一体物である必要はなく、分割されたものであっ
てもよい。しかし、表層部を形成する複合材料と基部と
は界面でアルミニウムまたはアルミニウム合金同士が金
属的に結合されていなければならない。これは表層部と
基部の接合強度の維持および熱伝導のために必要であ
る。
ウムまたはアルミニウム合金中に、粒子状や繊維状のA
l2 O3 、SiC、Si3 N4 等のセラミックスを分散
させたものである。分散させるセラミックスの体積率
は、5〜40%の範囲とするのがよい。5%未満である
と耐摩耗性が低下し、40%を超えると加工困難となる
からである。このベース材のアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金は、JIS−H−4140にて規定される鍛
造品用、またはJIS−H−5202にて規定される鋳
物用、の中から選定すればよく、特に高温強度の優れる
2618、4032、5083またはAC4C等が好ま
しい。
ニウム合金も上記と同様な材料を適用するのが望ましい
が、アルミニウムまたはアルミニウム合金であり、かつ
金属的な結合がなされるかぎり異なった組成であっても
よい。しかし、熱応力によるはく離を抑制するために熱
膨張係数など材料物性がほぼ同じであることが望ましい
ので、組成の相違は材料物性がはく離などの点から不都
合を生じない範囲であるのがよい。
までの製造方法を示す図面である。同図において、方法
Xが請求項2及び請求項3に対応する。この方法におけ
る鋳造法は、一般的に鋳ぐるみ鋳造法と呼ばれる鋳造法
である。鋳ぐるみ鋳造に先立つ複合材料の製造は、溶湯
に分散粒子または繊維を混合して製造する方法、または
粉末冶金の方法など、一般に行われている方法を適用す
ればよい。この複合材料は鋳造、鍛造、切削などにより
所要形状への成形αを行った後、金型や砂型内の摺動部
分となる位置に設置βを行い、基部を構成する溶湯を注
入する。いわゆる鋳ぐるみ鋳造法による一体化鋳造γに
より一体化鋳造物を鋳造した後熱間プレスδを行って、
基部と表層部との接合を金属的な接合とする。方法Xに
基づいて実際に一体化鋳造物を製造する方法として、以
下の2種類の具体的な方法、X1およびX2がある。
の蝋材を使用して一体化鋳造する方法(図2のX1) 上記鋳型内に、表層部を形成する複合材料が、摺動面と
なる側を鋳型内壁(通常、底部の鋳型内壁)に接するよ
うに、したがって基部と接する側を鋳型内の空間に向け
て(通常、上向きに)設置される。このとき複合材料の
基部と接する側の表面にフラックスの被覆を施す。その
被覆された複合材料の表面上に、同様にフラックス被覆
が施されたアルミニウム合金の蝋材の積層εをおこな
う。これらのフラックスは、上記した複合材料およびア
ルミニウム合金の蝋材の表面を洗浄し、表面の酸化膜を
除去し、かつ表面の濡れ性を向上させるために使用す
る。これらフラックスは後記する予熱温度以下で溶融さ
せるために、低融点の塩化物系フラックスが望ましい。
上記フラックスを被覆する方法は、フラックスを無水ア
ルコールで溶いたものを塗布する方法が、簡便でかつ効
果的である。
フラックスよりも高く、なおかつ上記複合材料よりも低
く、さらに後記する予熱温度より低いことが要求され
る。ここで、「蝋材」とは、アルミニウム合金であっ
て、複合材料のベース材よりも低い融点をもつものをい
う。後記する予熱により溶融し複合材料の表面を均一に
覆う。この溶融した蝋材は、基部となるアルミニウムま
たはアルミニウム合金の溶湯が注がれたとき、そのアル
ミニウムまたはアルミニウム合金とおきかわるか、大幅
に希釈されて実質そのアルミニウムまたはアルミニウム
合金とほとんど同じ組成のアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金となる。鋳造の間、溶融フラックスは浮上し、
蝋材は上記したように基部の合金とおきかわるか、希釈
され、実質、基部と同じ組成の合金が複合材料との界面
を形成し、複合材料の表面は清浄に保たれる。
ば特に限定しないが、上記の範囲の融点を得るにはAl
−Zn−Si系が好ましい。蝋材は、厚さ0.5mm〜
1.5mmの板もしくはシート状または粉状のものが望
ましい。板もしくはシート状の場合、フラックスを被覆
した後、上記の塩化物系フラックスを被覆された複合材
料の上に積層しておく。この蝋材の厚さは、0.5mm
より薄いと接合面上を十分に被覆できず、1.5mmよ
り厚いと鋳込み後に強度の低い蝋材の層が厚く残り、ブ
レーキディスク全体の強度が低下する恐れがある。これ
は、上記したAl−Zn−Si合金の場合、界面1cm
2 当たり0.2〜0.7gに相当する。
クスの被覆を施さなくても、フラックスの上記した作用
が得られるかぎり、単に複合材料の上に、塩化物系フラ
ックス、アルミニウム合金の蝋材、塩化物系フラックス
の積層をこの順にしただけでも差し支えない。蝋材が粉
状である場合はこのような方法がとられる。
上に積層するフラックス被覆された蝋材とを鋳型と共に
500〜550℃まで予熱ζをすると、上記したように
フラックスおよびアルミニウム合金の蝋材は溶融し、溶
融したアルミニウム合金の蝋材は複合材料の表面を均一
に覆う。予熱ζの後、アルミニウムまたはアルミニウム
合金を注ぎ、上記した溶融した蝋材の働きのもと、一体
化鋳造γが行われる。
蝋材が溶融せず一体的な接合が得られない。また、予熱
温度が550℃より高いと、複合材料のベース材に液相
が生じ蝋材と混合し、蝋材の比率の高い部分は、界面の
強度を低下させる。
まで40℃/分以下とすることが望ましい。鋳造後の冷
却速度が40℃/分を超えると複合材料と基部となるア
ルミニウムまたはアルミニウム合金との間で温度差が生
じ、凝固および冷却時の収縮量の差のため良好な接合が
得られない。
造する方法(図2のX2) 上記鋳型内への設置βを行う複合材料の表面の一定部分
に塩化物系フラックスの被覆ηを行う。この被覆ηは複
合材料の鋳型内設置βの前に行ってもよく、それが普通
である。このフラックスも、複合材料の表面を洗浄し、
表面の酸化膜を除去、そして表面の濡れ性を向上させる
ために使用する。後記する予熱温度で溶融させるため
に、低融点の塩化物系フラックスが望ましい。フラック
スの被覆の方法は、上記したように無水アルコールで溶
いたものを塗布する方法が、簡便でかつ効果的である。
予め所定形状に成形し、フラックス被覆した複合材料を
鋳型と共に550〜630℃まで予熱θをした後、アル
ミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯を注ぎ一体化鋳
造γを行い、鋳造後、温度が300℃となるまで40℃
/分以下で冷却する。
溶融しないため、基部と表層部とは金属的な接合が得ら
れない。予熱温度が630℃より高いと上記複合材料が
完全に溶融してしまう。予熱は高周波加熱のように、表
面のみを急速加熱することが望ましい。表面のみ溶融し
て基部との金属的な接合が得られやすいからである。
以上200℃/分以下とすることが望ましい。
複合材料と基部となるアルミニウムまたはアルミニウム
合金との間で温度差が生じ、凝固および冷却時の収縮量
の差のため良好な接合が得られないことは上記したとお
りである。
求項4の方法) まず、一段階目の鋳造κにより、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金の溶湯中にセラミックス粒子またはセラ
ミックス繊維を分散させた複合材料の溶湯を鋳型内に流
し込んで表層部を形成する。次いで、この複合材料の鋳
造物の上面(基部との界面となる側)の温度が550〜
630℃となった時点で、同じ鋳型内にアルミニウムま
たはアルミニウム合金の溶湯を流し込んで基部を形成す
る二段階目の鋳造λを行い一体化鋳造物を製造する。こ
のとき、複合材料の鋳造物の温度が550℃より低いと
複合材料の表面が凝固して酸化膜のついた複合材料の表
面上に基部となるアルミニウムまたはアルミニウム合金
が凝固するため強固な接合が得られない。この複合材料
の鋳造物の温度が630℃より高いと複合材料がまだ溶
融状態にあるので、複合化したブレーキディスクを得る
という目的を達成できない。
複合材料と基部との接合をより完全に行わせるために、
熱間にてプレスδを行う。この場合加熱温度は350℃
以上550℃未満とするのが望ましい。かつ、複合材料
と基部のアルミニウムまたはアルミニウム合金との境界
面にて摺動面に垂直ないしはそれに近い方向の圧力が、
2〜10kgf/mm2 となるように圧下をかけるのが
よい。温度350℃未満かまたは圧力2kgf/mm2
未満かのいずれかの場合、接合強度に対しプレスの効果
ほとんど無い。圧力が10kgf/mm2 を超えるかま
たは温度が550℃以上となると変形が大きくなり、所
要形状が得られなくなることがある。
レーキディスクについて、必要に応じて、 機械加工、冷間または温間プレス等による形状(寸
法)の修正、 冷却フィンあるいはリブ等の取り付け、 ロール掛けやショットピーニング等による圧縮残留応
力の付与、 などの後処理を行う。冷却フィンあるいはリブ等は、鋳
造時の鋳型の形状をそれに応じて変形して基部につけて
もよい。
粒子分散型アルミニウム合金を用いた。これは粉末冶金
の手法により、ベース材の6061アルミニウム合金の
粉末に、粒径1〜50μmのSiC粒子を体積率にて2
0%均一混合して複合材とし、熱間押出ししたものであ
る。この材料を熱間鍛造して形状を整えた後、切削によ
り、厚さ10mm、内径460mm、外径720mmの
円盤状の表層部を作製した。
に摺動面となる面を金型内面に接するように設置し(上
面が基部との接合面となる側)、この上を塩化物系フラ
ックスにより被覆し、さらにその上にアルミニウム合金
の蝋材を積層した。本方法は図2の製造方法Yに相当す
る。フラックスは、無水アルコールで溶いたものを複合
材料および蝋材の表面にともに塗布した。塗布したフラ
ックスの被覆厚さは、両者とも0.5mm程度である。
アルミニウム合金の蝋材(56%Al−4%Si−40
%Zn)は厚さ0.8mmのシート状で、表層部と基部
の接合面と同形状に成形したものである。
ックスと蝋材を鋳型と共に高周波加熱により550℃ま
で加熱して、700℃に加熱したAC4Cのアルミニウ
ム合金の溶湯を、鋳型内に流し込んで一体化鋳造した。
鋳造後は、温度550℃で3分間程度保持し、その後炉
冷した。炉の電源を切って6分後で520℃、10分後
で450℃、20分後に300℃となった所で、鋳造品
を鋳型より取り出し水冷した。得られた鋳造品は450
℃に加熱後、油圧プレスを用いて、複合材料と基部との
境界層にて平均圧力が5kgf/mm2 となるよう接合
面に垂直に加圧した。
と同様な形状の、最大厚さ49mm、内径297mm、
外径720mmの軽量複合ブレーキディスクを製造し
た。表層部の厚さは全体厚さに対してほぼ20%であ
る。また、比較のため、摺動面部分と同じ組成の、体積
率20%のSiCの粒子分散型アルミニウム合金単体
で、同一寸法のディスクを熱間鍛造および切削により製
造した。さらに同一使用条件を想定した、JIS−G−
4051のS45C鋼相当の一体物で背面にフィンを配
した鋼製ブレーキディスクも準備した。軽量複合ブレー
キディスクの重量は約30kgであり、比較用に製造し
た鋼製ディスクの約50%であった。
機を用い、同一構成のブレーキディスクを2枚一組と
し、摺動面を外側にして車輪の両面に取り付けてブレー
キ試験を行った。試験は、初速350km/hにてブレ
ーキをかけ、慣性モーメント1300kg・mm2 の条
件にて、繰り返し500回使用後の摺動面の状態を調査
した。ブレーキライニング材は、比較材であるS45C
鋼のディスクに対しては銅系焼結合金を、また本願発明
のディスクに対してはレジン系焼結合金を使用した。
mm位置の温度は、S45Cでは600℃を超え、複合
材料単体の場合は400℃程度であった。摺動面に複合
材料を用いた複合構造のディスクでは380℃となって
おり、これは基部のアルミニウム合金の熱伝導度の良さ
によるものと考えられた。また、いずれのブレーキディ
スクも摺動面にて熱き裂や荒れの発生は認められなかっ
た。
で0.15mm、複合材料単体ディスクおよび本発明の
複合構造ディスクではいずれも0.2mmであった。摺
動面がS45C鋼の場合に比して、複合材料では摩耗量
がやや大きいが、この程度であれば十分使用には耐えら
れる。また、摺動面が同じ複合材料であっても、本発明
の複合構造の場合の方が複合材料単体の場合よりも表面
温度上昇が低い。このことは、使用時間が長くなれば本
発明の効果が一層顕著になることを意味する。
場合もブレーキ回数50回当たり3.5mm程度であ
り、ディスクによる相違はみられなかった。試験後の本
発明の軽量複合ブレーキディスクを摺動面に垂直に切断
し、複合材料と基部のアルミニウム合金との境界部を詳
細に調査したが、界面におけるき裂や剥離は全く観察さ
れなかった。
キディスクは、従来の鋼製のものと同等の性能を有し、
摺動面のみに複合材料を適用することによって、材料コ
ストを低減できるばかりでなく、複合材料の性能をより
一層効果的に活用できることが明らかである。
な高速かつ高負荷のブレーキに使用されてきた鋼製ブレ
ーキディスクを、アルミニウムまたはアルミニウム合金
を主とする構造に変えることが可能になり、大幅な軽量
化が実現できる。これは、車両の軽量化による省エネル
ギーに寄与するばかりでなく、バネ下重量の低減による
乗り心地の改善にも効果がある。
上面(1/4)および断面(1/2)を示す図面であ
る。(a)は上面図、(b)は断面図を表す。
プレスまでの製造方法を示す図面である。
X…一般的な一体化鋳造法(鋳ぐるみ鋳造法)、X1…
フラックスおよびアルミニウム合金の蝋材を使用して一
体化鋳造する方法、X2…複合材料を部分溶融させて一
体化鋳造する方法、Y…二段階鋳造法
Claims (4)
- 【請求項1】アルミニウムまたはアルミニウム合金から
なる基部と、アルミニウムまたはアルミニウム合金にセ
ラミックスの粒子または繊維を分散させた複合材料から
なり摺動面を構成する表層部とを備えるブレーキディス
クであって、前記表層部は、前記基部と一体化鋳造され
た後、熱間プレスすることにより金属的に結合して一体
となって前記ブレーキディスクの片面にのみ備えられ、
前記表層部の厚さは、前記基部と前記表層部とを合わせ
たブレーキディスク最大厚さの3%以上30%以下であ
ることを特徴とする軽量複合ブレーキディスク。 - 【請求項2】アルミニウムまたはアルミニウム合金にセ
ラミックスの粒子または繊維を分散させた複合材料を所
定形状に成形して前記表層部を形成する工程と、製品段
階において前記基部と接する側の前記表層部の表面にフ
ラックス被覆を施す工程と、フラックス被覆を施した前
記表層部の表面にフラックス被覆が施されたアルミニウ
ム合金の蝋材を積層する工程もしくはアルミニウム合金
の蝋材を積層した後にフラックス被覆を施す工程と、ア
ルミニウム合金の蝋材を積層した前記表層部を鋳型内で
500℃以上550℃以下に予熱した後に、前記基部の
母材となるアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯
を鋳型に流し込んで一体化鋳造する工程と、前記一体化
鋳造により得られた鋳造物を熱間でプレスする工程とを
含むことを特徴とする請求項1に記載の軽量複合ブレー
キディスクの製造方法。 - 【請求項3】アルミニウムまたはアルミニウム合金にセ
ラミックスの粒子または繊維を分散させた複合材料を所
定形状に成形して前記表層部を形成する工程と、製品段
階において前記基部と接する側の前記表層部の表面にフ
ラックス被覆を施す工程と、フラックス被覆を施した前
記表層部を鋳型内で550℃以上630℃以下に予熱し
た後に、前記基部の母材となるアルミニウムまたはアル
ミニウム合金の溶湯を鋳型に流し込んで一体化鋳造する
工程と、前記一体化鋳造により得られた鋳造物を熱間で
プレスする工程とを含むことを特徴とする請求項1に記
載の軽量複合ブレーキディスクの製造方法。 - 【請求項4】アルミニウムまたはアルミニウム合金にセ
ラミックスの粒子または繊維を分散させた複合材料の溶
湯を鋳型内に流し込んで前記表層部を鋳造する工程と、
製品段階において前記基部と接する側の前記表層部の表
面温度が550℃以上630℃以下となった時点で、前
記鋳型内に、前記基部を形成するアルミニウムまたはア
ルミニウム合金の溶湯を流し込んで一体化鋳造する工程
と、前記一体化鋳造により得られた鋳造物を熱間でプレ
スする工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の
軽量複合ブレーキディスクの製造方法。
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