JPH078265A - マイクロキャリア分離装置および分離方法 - Google Patents

マイクロキャリア分離装置および分離方法

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Publication number
JPH078265A
JPH078265A JP5152453A JP15245393A JPH078265A JP H078265 A JPH078265 A JP H078265A JP 5152453 A JP5152453 A JP 5152453A JP 15245393 A JP15245393 A JP 15245393A JP H078265 A JPH078265 A JP H078265A
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JP
Japan
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culture
tank
supernatant
microcarriers
microcarrier
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Application number
JP5152453A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsunobu Hozumi
龍信 穂積
Tetsuya Kondo
哲也 近藤
Hironori Ishikawa
弘典 石川
Hiroshi Otsuka
浩史 大塚
Hiroshi Noguchi
浩 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 分離装置は、培養液9から上清とマイクロキ
ャリアとを分離する分離槽1、培養槽2内の培養液9を
分離槽1に導入する導入管3、マイクロキャリアを培養
槽2に返却する返却管4、上清を抜き取り上清貯液槽に
送液する抜取管5、この抜取管5先端部に設けられてい
るU字管6等を備えている。そして、分離槽1の水平断
面積S、マイクロキャリアの沈降速度iであるときに、
(V1 <S×i)の条件を満たす灌流速度V1 で上清を
抜き取る。 【効果】 上清にマイクロキャリアが混入することが防
止されるので、細胞を効率良く大量培養することが可能
となる。ワクチン用ウィルス等を増殖させるための増殖
手段、種々の生理活性物質を製造するための製造手段と
して利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば付着非依存性細
胞等の動物細胞を大量培養する際に、培養液から上清と
マイクロキャリアとを高速に、かつ、効率良く分離する
マイクロキャリア分離装置および分離方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば、ワクチン用ウィルス等を
増殖させるための増殖手段、あるいは、インターフェロ
ン等の各種サイトカイン等の有用な生理活性物質を製造
するための製造手段として、工業的規模での動物細胞の
大量培養方法の確立が極めて重要となってきている。ま
た一方、ハイブリドーマによって産生されるモノクロナ
ール抗体は、各種の感染治療薬、リセプターアンタゴニ
スト等の種々の医薬品への応用が急速に進展しており、
その大量培養技術を確立することが工業的に重要な課題
となっている。
【0003】従来、工業的規模での動物細胞(以下、単
に細胞と称する)の大量培養方法としては、細胞密度が
比較的低密度(<3×106 cells/ml)で、大容量での培
養が可能なバッチ方式を用いた方法が行われている。し
かし、細胞密度と生理活性物質等の細胞生産物の産生量
は、或る程度相関しているため、生産効率の向上を目指
す必要性から高密度灌流培養法が検討されており、この
高密度灌流培養法の一つとして細胞の大量培養に適した
マイクロキャリアを用いたマイクロキャリア培養法が提
案されている。
【0004】マイクロキャリアは、有機あるいは無機の
高分子物質により形成されており、150μm〜500 μm
の径を有する微小な粒子である。また、マイクロキャリ
アはその表面に、細胞の接着が容易に行われるように正
に荷電した化学的残基を有しており、上記の化学的残基
にて高密度に細胞を接着することができる。また、付着
可能な細胞種に特異性が殆どないので、付着依存性細胞
の他、付着非依存性細胞の培養にも応用可能となってい
る。さらに、マイクロキャリア培養法は、マイクロキャ
リアの沈澱によって培養液から比較的容易に培養細胞を
分離することができるため、複雑な装置を使用すること
なく灌流培養装置を構成することができる。従って、多
くの付着非依存性細胞種に対するマイクロキャリアを用
いた高密度灌流培養法の実用化が期待されている。
【0005】従来、マイクロキャリア培養法としては、
例えば、比較的比重の小さなマイクロキャリアを使用
し、マイクロキャリアを分離筒やフィルタ等のマイクロ
キャリア分離装置(以下、単に分離装置と称する)を用
いて分離する方法が行われている。そして、図5に示す
ように、上記方法に用いられる分離装置20は培養槽2
1と一体的に設けられており、例えば同図(a)に示す
ように、上清の抜取管先端部に取り付けられた底無円筒
形状の分離筒を培養液中に浸漬し、分離筒内で分離した
上清を抜き取る方式、あるいは、同図(b)に示すよう
に、底無円筒形状の分離筒外で分離した上清を抜き取る
方式等が採用されている。
【0006】尚、比重の大きなマイクロキャリアを使用
する場合には、マイクロキャリアをカラム等に充填して
使用するラデアルフロー式充填槽型バイオリアクターが
利用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、細胞培
養を大規模かつ高密度で行うには、マイクロキャリアの
分離速度、即ち灌流速度を高速化しなければならない
が、上記従来の分離装置20は、灌流速度を上げると、
以下に示す種々の問題点が発生する。
【0008】即ち、1)灌流速度を上げるためには分離
筒の水平断面積を増加させる必要があるが、これにより
分離筒が大型化するので、培養槽21内に分離装置20
を取り付けることが困難となる。2)分離筒内にマイク
ロキャリアが滞留し、マイクロキャリアの循環が妨げら
れる。3)培養時に発泡通気を行うと、泡が分離筒内に
侵入し、上清とマイクロキャリアとの分離に支障を来
す。
【0009】従って、工業的規模での大量培養に適した
マイクロキャリア分離装置および分離方法が求められて
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完
成させるに至った。
【0011】即ち、請求項1記載の発明のマイクロキャ
リア分離装置は、上記の課題を解決するために、培養液
から上清とマイクロキャリアとを分離する分離槽を備え
ているマイクロキャリア分離装置であって、上記分離槽
と培養槽の両槽内が独立し、両槽内が導入管を介して連
通され、培養槽から培養液を導入する上記導入管と、上
清を抜き取る抜取管と、マイクロキャリアを培養槽に返
却する返却管とを有していることを特徴としている。
【0012】請求項2記載の発明のマイクロキャリア分
離装置は、上記の課題を解決するために、請求項1記載
のマイクロキャリア分離装置において、導入口より高位
置レベルに抜取口が設定された上記抜取管における、上
清の液面に臨む上記抜取口が、上向きに設定されている
ことを特徴としている。
【0013】請求項3記載の発明のマイクロキャリア分
離方法は、上記の課題を解決するために、培養液から上
清とマイクロキャリアとを分離する分離槽の水平断面積
S、マイクロキャリアの沈降速度iであるときに、 V<S×i の条件を満たす抜き取り速度Vで上清を抜き取ることを
特徴としている。
【0014】
【作用】請求項1記載の構成によれば、分離槽と培養槽
の両槽内が独立し、両槽内が導入管を介して連通され、
培養槽から培養液を導入する上記導入管と、上清を抜き
取る抜取管と、マイクロキャリアを培養槽に返却する返
却管とを有しているので、培養槽の大きさに関係なく、
灌流速度を上げるために分離槽の水平断面積を増加させ
ることができる。また、マイクロキャリアは分離槽と培
養槽との間で循環するので、分離槽内に滞留することも
ない。さらに、培養時に発泡通気を行っても上清とマイ
クロキャリアとの分離に支障を来す虞れはない。
【0015】これにより、動物細胞を効率良く大量培養
することが可能となり、例えば、ワクチン用ウィルス等
を増殖させるための増殖手段、あるいは、種々の生理活
性物質を製造するための製造手段として利用できる。ま
た、モノクロナール抗体を産生するハイブリドーマの大
量培養技術に応用することができる。
【0016】請求項2記載の構成によれば、導入口より
高位置レベルに抜取口が設定された上記抜取管におけ
る、上清の液面に臨む上記抜取口が、上向きに設定され
ているので、上清を抜き取るときに、上清にマイクロキ
ャリアが混入することが防止される。
【0017】これにより、灌流速度を上げることができ
るので、動物細胞を効率良く大量培養することが可能と
なり、例えば、ワクチン用ウィルス等を増殖させるため
の増殖手段、あるいは、種々の生理活性物質を製造する
ための製造手段として利用できる。また、モノクロナー
ル抗体を産生するハイブリドーマの大量培養技術に応用
することができる。
【0018】請求項3記載の方法によれば、培養液から
上清とマイクロキャリアとを分離する分離槽の水平断面
積S、マイクロキャリアの沈降速度iであるときに、 V<S×i の条件を満たす抜き取り速度Vで上清を抜き取るので、
上清にマイクロキャリアが混入することが防止される。
【0019】これにより、動物細胞を効率良く大量培養
することが可能となり、例えば、ワクチン用ウィルス等
を増殖させるための増殖手段、あるいは、種々の生理活
性物質を製造するための製造手段として利用できる。ま
た、モノクロナール抗体を産生するハイブリドーマの大
量培養技術に応用することができる。
【0020】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図4に
基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0021】本実施例にかかるマイクロキャリア分離装
置(以下、単に分離装置と称する)は、図1および図2
に示すように、培養液9から上清とマイクロキャリア
(何れも図示せず)とを分離する分離槽1、培養槽2内
の培養液9を分離槽1に導入する導入管3、分離槽1に
て培養液9から分離されるマイクロキャリアを培養槽2
に返却する返却管4、分離槽1にて培養液9から分離さ
れる上清を抜き取り、図示しない上清貯液槽に送液する
抜取管5、この抜取管5先端部に設けられているU字管
6等を備えている。
【0022】分離槽1内と培養槽2内は、それぞれ独立
しており、これら両槽1・2内は導入管3を介して互い
に連通されている。上記の培養槽2には、導入管3、返
却管4、撹拌翼7a等を備えた撹拌装置7、図示しない
培地貯液槽に貯液されている培地(図示せず)を培養槽
2に供給する供給管8等が設けられている。
【0023】上記の分離槽1は、例えば硬質ガラスや、
ポリカーボネート等の合成樹脂、ステンレス等の金属、
あるいはこれらの組み合わせ等、動物細胞の培養を阻害
せず、かつ培養の目的に応じた材質で作製されており、
加熱滅菌が行える程度の耐熱性および耐圧性を有してい
る。また、分離槽1は、ジャケット10で外側が覆われ
ており、これにより、分離槽1内の培養液9の温度調節
を行い、動物細胞の育成に適した環境を保持すると共
に、培養液9の対流を防止するようになっている。尚、
培養液9の液温が均一でない場合には、培養液9が対流
してマイクロキャリアが沈降し難くなるので好ましくな
い。
【0024】また、分離槽1底部は傾斜角30°〜60°の
逆円錐形もしくは逆多角錐形に形成されており、これに
より、沈澱した全てのマイクロキャリアを返却管4を介
して培養槽2に返却できるようになっている。
【0025】上記構成の分離装置は、分離槽1にて培養
槽2から導入される培養液9中のマイクロキャリアを沈
澱させることにより、培養液9からマイクロキャリアと
上清とを分離し、マイクロキャリアを培養槽2に返却す
る一方、上清を抜き取り、上清貯液槽に貯液する。これ
により、マイクロキャリアと上清との分離を連続的に行
うことが可能となっている。尚、培養槽2は高密度灌流
培養を行うことができるようになっており、培地は、上
清の抜き取り量に対応して供給されるようになってい
る。
【0026】上記の分離装置の分離槽1は、上清を抜き
取る抜取管5の断面積が分離装置1の水平断面積と比較
して著しく小さいために、抜取管5による上清の抜き取
り速度、即ち灌流速度を上げると、上清の流れが急とな
る箇所が分離槽1内部に局所的に発生する。そして、上
記の流れにマイクロキャリアが巻き込まれるとマイクロ
キャリアと上清との分離が困難となる。よって、マイク
ロキャリアが上清の流れに巻き込まれないようにするた
め、図3(a)に示す上記の抜取管5先端部に設けられ
ているU字管6は、その開口部(抜取口)6aが、導入
管3の導入口より高位置レベルに設定されており、上清
の液面に臨むように上向き(例えば、ほぼ真上)に曲げ
られて設けられている。このように開口部6aを上向き
にすることにより、抜取管5にて上清のみを抜き取るこ
とが可能となり、マイクロキャリアが上清と共に抜き取
られることが防止される。
【0027】尚、U字管6の開口部6aの形状は、U字
管6本体の直径と同一の直径を有する円形状に限定され
るものではなく、例えば、同図(b)に示すように、開
口部6aをロート状に形成する等、上清のみを抜き取り
易いように、種々の形状とすることができる。あるい
は、同図(c)に示すように、分離槽1における上清の
液面近傍、かつ、開口部6aよりも下方に、直径5mm〜
10mm程度の孔15a…を複数有する仕切り板15を設け
ることにより、マイクロキャリアが上清と共に抜き取ら
れることを防止する構成としてもよい。
【0028】また、図4(a)に示すように、上記の導
入管3は、分離槽1におけるほぼ中央位置に接続されて
いる。これにより導入管3を介して新しく導入される培
養液9は、上清と混ざり合わないようになっており、マ
イクロキャリアが上清と共に抜き取られることを防止す
るようになっている。尚、分離槽1における導入管3の
接続位置は上記の位置に限定されるものではなく、マイ
クロキャリアがU字管6の開口部6a付近に浮遊しない
ように、例えば、同図(b)に示すように、導入管3を
分離槽1の下方位置に接続してもよく、また、同図
(c)に示すように、導入管3を分離槽1における返却
管4の近傍に接続してもよい。
【0029】動物細胞(図示せず)としては、例えば、
各種血球細胞等、ミエローマ等、ハイブリドーマ等、通
常浮遊状態での細胞増殖が可能な非依存性細胞種等が挙
げられ、具体的には、Ag−653、P3U1、SP2
/0等のミエローマ細胞、Namalba 細胞等やこれらに種
々遺伝子を導入して作製した組換え細胞株等、MH−4
H7(P−9996)、IN−2A8(P−996
0)、HI−223(P−11181)等のハイブリド
ーマ等が挙げられる。勿論、付着依存性細胞を用いるこ
ともできる。
【0030】培地は、培養される付着非依存性細胞(以
下、単に細胞と称する)に応じて適宜成分が選択される
が、例えば、子牛あるいは牛胎児等の血清成分を含ま
ず、細胞増殖に必要とされるごく少量の、高度に精製さ
れた蛋白質成分のみを含有する無血清培地を使用するの
が望ましい。無血清培地としては、例えば、RPMI−
1640培地、ダルベコ変法イーグル培地およびハムF
−12培地を2:1:1の割合で混合してなるRDF培
地を基礎合成培地とし、この基礎合成培地に微量成分と
して、エタノールアミン、亜セレン酸、増殖因子として
のインシュリンおよびトランスフェリンを添加してなる
無血清培地(RDF−ITES培地)が用いられる。こ
の無血清培地は、培地中の蛋白質濃度が4mg/L以下に調
整されているので、培地から生産物を分離する際に蛋白
質成分による影響が低減され、生産物を精製し易いよう
になっている。
【0031】また、無血清培地として市販品を使用して
もよく、具体的には、例えば、セルグロッサーH(目黒
研究所)、ASF培地(味の素)、ノンセラム培地(国
際試薬)、SFM培地(日水製薬)、エス・クロン(三
光純薬)等が挙げられる。
【0032】培養条件としては、細胞の育成に適した環
境を保持するために、例えば、培養槽2内の温度、即ち
培養温度を34℃〜38℃、好ましくは35℃〜37℃とし、C
2ガスの吹き込みあるいは重曹の添加によりpHを 6.
7〜7.2 の範囲に制御することが好ましい。また、培養
中は、マイクロキャリアが培養槽2内全体に分散するよ
うに撹拌を続けることが好ましい。具体的には、20r.p.
m.〜 120r.p.m.の回転速度で撹拌すればよい。
【0033】マイクロキャリアは、有機あるいは無機の
高分子物質により形成されており、150μm〜500 μm
の径を有する微小な粒子である。また、マイクロキャリ
アは、例えば、直径が2μm以上の、セルロースの膜で
仕切られた無数の空胞を有する多孔質となっていること
が好ましい。さらに、上記の空胞は、隣接する空胞同士
を仕切る膜に微小な孔を有することにより、互いに連通
した連続構造を形成しているものが好ましい。これによ
り細胞接着が可能な有効表面積が飛躍的に増大するの
で、より高密度に細胞を接着することができる。
【0034】また、マイクロキャリアはその表面に、細
胞の接着が容易に行われるように例えばジエチルアミノ
エチル基等の正に荷電した化学的残基を有している。そ
して、上記の化学的残基にて細胞を接着するようになっ
ている。尚、細胞をマイクロキャリアに接着させる方法
は特に限定されるものではない。また、細胞とマイクロ
キャリアとの割合は、マイクロキャリアに均一に細胞が
接着されるように適宜調整すればよい。
【0035】次に、上記構成の分離装置を用いたマイク
ロキャリア分離方法、即ち、上清とマイクロキャリアと
の分離方法について説明する。上記の分離装置の分離槽
1は、先述のように上清とマイクロキャリアとを分離す
るために、灌流速度を以下に示す速度に調節する必要が
ある。
【0036】即ち、上記の灌流速度が、 V1 <S×i ……(1) S=πr 但し V:灌流速度(cm3/min.) S :分離槽1の水平断面積(cm2 ) r :分離槽1の半径(cm) i :マイクロキャリアの沈降速度(cm/min. ) の条件を満たすような速度とすればよい。尚、上記の水
平断面積Sは任意の面積とすることができる。
【0037】また、分離槽1底部に沈澱したマイクロキ
ャリアを返却管4を介して培養槽2に返却する際の返却
速度が少なくとも、 V3 >V2 ×a ……(2) 但し V2 :分離槽1に導入される培養液9の導入速度
(cm3/min.) V3 :マイクロキャリアの返却速度(cm3/min.) a :培養液1ml中に占めるマイクロキャリア(膨潤
時)の体積比 の条件を満たすような速度とすればよい。尚、上記の灌
流速度V1 ,導入速度V2 ,返却速度V3 は、 V3 =V2 −V1 ……(3) の関係となっている。
【0038】以上のように、上記構成の分離装置は、分
離槽1内と培養槽2内がそれぞれ独立しており、これら
両槽1・2内は導入管3を介して互いに連通され、培養
槽2から培養液9を導入する上記の導入管3と、上清を
抜き取る抜取管5と、マイクロキャリアを培養槽2に返
却する返却管4とを有しているので、培養槽2の大きさ
に関係なく、上清の抜き取り速度、即ち灌流速度V1
上げるために分離槽1の水平断面積Sを増加させること
ができる。また、分離槽1内に導入されたマイクロキャ
リアは、返却管4によって培養槽2へ戻され、分離槽1
と培養槽2との間で循環するため、マイクロキャリアが
分離槽1内に滞留することもない。さらに、培養時に発
泡通気を行っても上清とマイクロキャリアとの分離に支
障を来す虞れはない。
【0039】また、抜取管5先端部のU字管6は、その
開口部6aが、導入管3の導入口より高位置レベルに設
定されており、上清の液面に臨むように上向き(例え
ば、ほぼ真上)に曲げられて設けられているので、上清
を抜き取るときに、上清にマイクロキャリアが混入する
ことが防止される。
【0040】よって、上記構成の分離装置を用いること
により、細胞を効率良く大量培養することが可能とな
り、例えば、ワクチン用ウィルス等を増殖させるための
増殖手段、あるいは、種々の生理活性物質を製造するた
めの製造手段として利用できる。また、モノクロナール
抗体を産生するハイブリドーマの大量培養技術に応用す
ることができる。
【0041】また、以上のように、上記構成の分離装置
を用いたマイクロキャリア分離方法(以下、単に分離方
法と称する)は、培養液9から上清とマイクロキャリア
とを分離する分離槽1の水平断面積S、マイクロキャリ
アの沈降速度iであるときに、上述の式(1)、即ち
(V1 <S×i)の条件を満たす灌流速度V1 で上清を
抜き取るので、上清にマイクロキャリアが混入すること
が防止される。
【0042】よって、上記の分離方法を用いることによ
り、細胞を効率良く大量培養することが可能となり、例
えば、ワクチン用ウィルス等を増殖させるための増殖手
段、あるいは、種々の生理活性物質を製造するための製
造手段として利用できる。また、モノクロナール抗体を
産生するハイブリドーマの大量培養技術に応用すること
ができる。
【0043】次に、本発明の分離装置および分離方法を
用いて細胞培養を行った具体的な結果について以下に説
明する。
【0044】上記の培養槽2を用いて細胞の連続培養を
行い、分離槽1にて培養液9から上清とマイクロキャリ
アとの分離を行った。細胞の連続培養、および上記の分
離を、以下に示す条件で行った。
【0045】上記の条件は、1)培地として、RDF−
ITES培地を用いた。2)マイクロキャリアとして、
旭化成マイクロキャリア(旭化成)を用い、PBS(-)
で膨潤(旭化成マイクロキャリア技術資料参照)させた
後、蒸気減菌し、RDF−ITES中に3回懸濁する前
処理を施した。また、マイクロキャリアの使用量を5g/
L とした。3)細胞として、ヒト末梢リンパ細胞とマウ
スミエローマ株P3−X63−Ag−653を親株にし
て作成したMH−4H7株(Infection and Immunity,
57,1691-1696,1989)を用いた。4)分離槽1を硬質ガ
ラスで作製し、内径を80mm(r=40mm)とした。
【0046】〔実施例1〕膨潤したマイクロキャリアの
培養液9中での沈降速度iは約2cm/min. であり、先述
の式(1)から、灌流速度V1 を 100cm3/min.以下にま
で上げることが可能である。そこで、灌流速度V1 を76
cm3/min.、培養液9の導入速度V2 を 120cm3/min.、マ
イクロキャリアの返却速度V3 を44cm3/min.としたとこ
ろ、培養液9から上清とマイクロキャリアとを良好に分
離することができた。また、灌流速度V1 を83cm3/mi
n.、導入速度V2 を 130cm3/min.、返却速度V3 を47cm
3/min.とした場合も、同様に上清とマイクロキャリアと
を良好に分離することができた。
【0047】〔実施例2〕培養槽2として、温度セン
サ、pH電極、溶存酸素電極、および、多孔性テフロン
スパジャー(直径15mm、ポアサイズ10μm・球状、柴田
ハリオガラス製)を取り付けた20L縦長丸底ベッセル
(直径 190mm、液深約 800mm)を用いた。また、培地と
して、RDF培地にエタノールアミン、亜セレン酸、イ
ンシュリン(2mg/L)、トランスフェリン(2mg/L)を
添加した無血清培地を使用した。
【0048】そして、培養槽2内に培地を満たし、細胞
を細胞密度が4.53×105 cells/mlとなるように接種し、
所定の培養条件下で前培養して細胞密度が1.05×106 ce
lls/mlとなるまで増殖させた。次に、撹拌装置7による
培養液9の撹拌を停止し、培養液9を静止させた後、マ
イクロキャリアを培養槽2底部に供給した。その後、20
r.p.m.〜40r.p.m.の撹拌速度で撹拌を再開して、細胞と
マイクロキャリアの懸濁・分散を行い細胞接着させた。
【0049】続いて、培養液9の液温を37℃、pHを
7.0とし、無菌空気あるいは純酸素を通気しながら撹拌
速度を45r.p.m.として本培養を開始した。尚、培養液9
のpHは、CO2 ガスまたは7%重曹溶液を添加するこ
とにより制御し、溶存酸素量は、多孔性テフロンスパジ
ャーから純酸素を発泡させ、培養コントローラー(オリ
エンタル酵母社製)を用いて制御した。また、上記の条
件にて本培養を行うと共に、分離装置による上清とマイ
クロキャリアとの分離を行った。即ち、培養1日目から
連続的に培地の灌流を行い、灌流速度V1 を細胞の増殖
速度に対応させて増加させた。
【0050】培養1日目の分離装置による灌流速度V1
を83.5L/日とし、徐々に速度を挙げて20日目に 160L/日
としたところ、分離装置による上清とマイクロキャリア
との分離を良好に行うことができた。また、細胞の増殖
も順調に行われた。
【0051】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のマイクロキャリ
ア分離装置は、以上のように、分離槽と培養槽の両槽内
が独立し、両槽内が導入管を介して連通され、培養槽か
ら培養液を導入する上記導入管と、上清を抜き取る抜取
管と、マイクロキャリアを培養槽に返却する返却管とを
有している構成である。
【0052】これにより、培養槽の大きさに関係なく、
灌流速度を上げるために分離槽の水平断面積を増加させ
ることができる。また、マイクロキャリアは分離槽と培
養槽との間で循環するので、分離槽内に滞留することも
ない。さらに、培養時に発泡通気を行っても上清とマイ
クロキャリアとの分離に支障を来す虞れはない。それゆ
え、動物細胞を効率良く大量培養することが可能とな
り、例えば、ワクチン用ウィルス等を増殖させるための
増殖手段、あるいは、種々の生理活性物質を製造するた
めの製造手段として利用できる。また、モノクロナール
抗体を産生するハイブリドーマの大量培養技術に応用す
ることができるという効果を奏する。
【0053】本発明の請求項2記載のマイクロキャリア
分離装置は、以上のように、導入口より高位置レベルに
抜取口が設定された上記抜取管における、上清の液面に
臨む上記抜取口が、上向きに設定されている構成であ
る。
【0054】これにより、上清を抜き取るときに、上清
にマイクロキャリアが混入することが防止される。それ
ゆえ、灌流速度を上げることができるので、動物細胞を
効率良く大量培養することが可能となり、例えば、ワク
チン用ウィルス等を増殖させるための増殖手段、あるい
は、種々の生理活性物質を製造するための製造手段とし
て利用できる。また、モノクロナール抗体を産生するハ
イブリドーマの大量培養技術に応用することができると
いう効果を奏する。
【0055】本発明の請求項3記載のマイクロキャリア
分離方法は、以上のように、培養液から上清とマイクロ
キャリアとを分離する分離槽の水平断面積S、マイクロ
キャリアの沈降速度iであるときに、 V<S×i の条件を満たす抜き取り速度Vで上清を抜き取る方法で
ある。
【0056】これにより、上清にマイクロキャリアが混
入することが防止される。それゆえ、動物細胞を効率良
く大量培養することが可能となり、例えば、ワクチン用
ウィルス等を増殖させるための増殖手段、あるいは、種
々の生理活性物質を製造するための製造手段として利用
できる。また、モノクロナール抗体を産生するハイブリ
ドーマの大量培養技術に応用することができるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるマイクロキャリア分
離装置の概略の構成を示す構成図である。
【図2】上記のマイクロキャリア分離装置における分離
槽の概略の断面図である。
【図3】上記の分離槽における抜取管の種々の形状を示
す概略の断面図である。
【図4】上記の分離槽における導入管の種々の接続位置
を示す概略の断面図である。
【図5】従来のマイクロキャリア分離装置の概略の構成
を示す構成図である。
【符号の説明】
1 分離槽 2 培養槽 3 導入管 4 返却管 5 抜取管 6 U字管 6a 開口部(抜取口) 9 培養液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 浩史 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友製 薬株式会社内 (72)発明者 野口 浩 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友製 薬株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】培養液から上清とマイクロキャリアとを分
    離する分離槽を備えているマイクロキャリア分離装置で
    あって、 上記分離槽と培養槽の両槽内が独立し、両槽内が導入管
    を介して連通され、 培養槽から培養液を導入する上記導入管と、上清を抜き
    取る抜取管と、マイクロキャリアを培養槽に返却する返
    却管とを有していることを特徴とするマイクロキャリア
    分離装置。
  2. 【請求項2】導入口より高位置レベルに抜取口が設定さ
    れた上記抜取管における、上清の液面に臨む上記抜取口
    が、上向きに設定されていることを特徴とする請求項1
    記載のマイクロキャリア分離装置。
  3. 【請求項3】培養液から上清とマイクロキャリアとを分
    離する分離槽の水平断面積S、マイクロキャリアの沈降
    速度iであるときに、 V<S×i の条件を満たす抜き取り速度Vで上清を抜き取ることを
    特徴とするマイクロキャリア分離方法。
JP5152453A 1993-06-23 1993-06-23 マイクロキャリア分離装置および分離方法 Pending JPH078265A (ja)

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