JPH0780683B2 - リン酸四カルシウムおよびリン酸四カルシウム硬化体 - Google Patents

リン酸四カルシウムおよびリン酸四カルシウム硬化体

Info

Publication number
JPH0780683B2
JPH0780683B2 JP2169434A JP16943490A JPH0780683B2 JP H0780683 B2 JPH0780683 B2 JP H0780683B2 JP 2169434 A JP2169434 A JP 2169434A JP 16943490 A JP16943490 A JP 16943490A JP H0780683 B2 JPH0780683 B2 JP H0780683B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tetracalcium phosphate
acid
product
parts
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2169434A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0459611A (ja
Inventor
彰利 井村
徹 斉藤
Original Assignee
大阪セメント株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 大阪セメント株式会社 filed Critical 大阪セメント株式会社
Priority to JP2169434A priority Critical patent/JPH0780683B2/ja
Publication of JPH0459611A publication Critical patent/JPH0459611A/ja
Publication of JPH0780683B2 publication Critical patent/JPH0780683B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、人工骨用材料、歯科材料などとして有用なリ
ン酸四カルシウム、リン酸四カルシウム硬化体およびそ
れらの製造法に関する。
なお、本明細書において、“熔融状態”とは、原料粉末
が加熱されることにより、固相の一部または全体が液相
として流動するにいたった状態をいい、また、“焼結状
態”とは、原料粉末が加熱されて、流動するにはいたっ
ていないものの、粉末粒子が外見上消失し、焼き締まっ
て新しい結晶相を形成して、ある程度の強度を持つ固体
となった状態をいう。さらに、“ポーラスな状態”と
は、原料粉末が加熱されて各粉末粒子は互いに固相反応
してはいるが、新しい結晶相やガラス相は形成しておら
ず、各粉末粒子がその形態を完全に失うことなく、ほぼ
そのまま存在している状態をいう。
また、本明細書において、“部”および“%”とあるの
は、それぞれ“重量部”および“重量%”を表わす。
従来技術とその問題点 リン酸四カルシウム{Ca4(PO42O}は、骨、歯など
の主要無機成分である水酸アパタイト{Ca10(PO4
6(OH)2}に結晶構造上類似したリン酸化合物の一種で
ある。リン酸四カルシウムは、水酸アパタイトよりも塩
基性が高く、化学的活性も高いので、常温で無機酸水溶
液、飽和および不飽和有機酸水溶液、不飽和有機酸の単
独重合体および共重合体の水溶液、生理食塩水などと容
易に反応して、水酸アパタイトに転化しながら硬化する
性質を有している。そして、これらの硬化体は、生体親
和性があり、人工骨材料、歯科材料などとして有用であ
る。
従来、リン酸四カルシウムの製造原料としては、Ca源と
してCaCO3、CaO、Ca(OH)2などが使用され、またP源
としてP2O5、H3PO4、NH4H2PO4、(NH42HPO4などが使
用され、さらにCaおよびP源としてCaHPO4、CaHPO4・2H
2O、Ca(H2PO42、γ‐Ca2P2O7などが使用されてい
る。リン酸四カルシウムの製造方法は、使用する原料の
相違により、各種の方法が存在するが、CaCo3粉末とCaH
PO4・2H2O粉末とを混合し、焼成する下記の乾式製造法
が最も一般的である。
2CaCO3+2CaHPO4・2H2O→Ca4(PO42O+2CO2+5H2O この方法では、原料粉末混合物を1300〜1600℃程度の温
度で焼成した後、約400℃まで急冷(冷却速度10℃/分
程度以上)することが必要であり、リン酸四カルシウム
を多量に含むリン酸カルシウム系化合物の混合物を得て
いる。この方法では、焼成温度を1600℃以上とすると、
生成物がポーラス部分と熔融部分との不均一な混相を形
成したり、部分的に着色したりして、リン酸四カルシウ
ムの品質の低下とバラツキが問題となる。また、焼成温
度が1300〜1600℃程度の温度範囲にあっても、生成した
リン酸四カルシウムは、反応性が高く、非常に不安定で
ある為、冷却速度が低い場合には、1200〜400℃の温度
域で大気中の水蒸気を吸収して、容易に水酸アパタイト
を生成する。従って、この方法では、リン酸四カルシウ
ムの収率を高めるとともに、純度が高く且つ安定した品
質の製品を得るためには、焼成温度、冷却時の焼成炉内
雰囲気中の水分含有量、冷却速度などを厳重に管理する
必要がある。
しかるに、焼成炉内雰囲気中の水分を除去することは、
実際の操作上困難である。また、焼成炉内で生成物を強
制的に冷却することも、技術的に困難であるばかりでな
く、急冷に伴う炉壁耐火物の損傷の原因ともなる。
問題点を解決するための手段 本発明者は、上記の如き技術の現状に鑑みて鋭意研究を
重ねた結果、特定量の硼素化合物又は硼素化合物とアル
ミニウム化合物とを添加した原料配合物を焼結または熔
融するまで加熱する場合には、従来技術の問題点が大巾
に軽減若しくは実質的に解消されることを見出した。ま
た、この様にして得られたリン酸四カルシウムから得ら
れる硬化体も、従来品に優るとも劣らない物性を具備し
ていることを見出した。
すなわち、本発明は、下記のリン酸四カルシウム、リン
酸四カルシウム硬化体およびそれらの製造法を提供する
ものである: Ca/P=2(モル比)となる様にカルシウム源材料粉
末とリン源材料粉末を配合し、さらにリン酸四カルシウ
ムの論理生成量100部に対し硼素化合物(B2O3として)
0.005〜5部またはアルミニウム化合物(Al2O3として)
と硼素化合物(B2O3として)との混合物を0.005〜5部
添加し、1400℃以上の温度で焼結もしくは熔融させるこ
とを特徴とするリン酸四カルシウムの製造方法。
上記項に記載の製造方法により得られたリン酸四
カルシウム。
上記項の製造方法により得られたリン酸四カルシ
ウムの粉末に該粉末重量の12〜50%(酸として)の有機
酸水溶液を混和することを特徴とするリン酸四カルシウ
ム硬化体の製造方法。
有機酸水溶液が、 (a) TCAサイクル系カルボン酸、 (b) 一般式 (式中、nは50〜50000である) (c) 一般式 (式中、lは5〜10、mは1〜5、nは50〜50000であ
る) で表されるアクリル酸−イタコン酸共重合体、 および (d) 一般式 (式中、lは5〜10、mは1〜5、nは50〜50000であ
る) で表されるアクリル酸−フマル酸共重合体の少なくとも
一種を30〜60%含む請求項に記載のリン酸四カルシウ
ム硬化体の製造方法。
有機酸水溶液がその重量の10%までのリン酸をさら
に含有する上記項に記載のリン酸四カルシウム硬化体
の製造方法。
上記項に記載の方法により製造されたリン酸四カ
ルシウム硬化体。
本発明において、リン酸四カルシウムの製造原料は、前
記の従来法において使用されているものと同じであって
良い。しかしながら、生成したリン酸四カルシウムを生
体材料として使用する場合には、安全性などの観点から
食品添加剤として認められているもの、例えば、CaHP
O4、CaHPO4・2H2O、CaCO3、Ca3(PO42などを使用する
ことが好ましい。これらは、通常20μm以下、平均5μ
m程度の粉末として使用する。
また、リン酸四カルシウムの製造原料に配合する硼素化
合物としては、B2O3、H3BO3、Li2B4O7、Na2B2O7、BaB2O
4、MgB2O4などが例示され、これらは単独でまたは2種
以上を混合して使用することができる。これらの中で
は、焼成物の均一性、焼成温度の調整、生成物の色調な
どの観点からは、B2O3がより好ましい。硼素化合物も、
通常20μm以下、平均5μm程度の粉末として使用す
る。
また、硼素化合物とともにリン酸四カルシウムの製造原
料に配合するアルミニウム化合物としては、Al2O3、Al
(OH)3、Al(PO)3、AlPO4、Al(H2PO43、AlCl3、Al
F3、AlI3、Al2(SiO33、Al2SiO5、Al2(SO43、Al2T
iO5、Na3AlF6などが例示され、これらは単独でまたは2
種以上を混合して使用することができる。これらの内で
は、やはり焼成物の均一性、焼成温度の調整、生成物の
色調などの観点からは、Al2O3がより好ましい。アルミ
ニウム化合物も、通常20μm以下、平均5μm程度の粉
末として使用する。
本発明においては、この様な原料をCa/Pのモル比が2と
なる様に配合し、さらにこの原料配合物から生成される
リン酸四カルシウムの理論量100部に対し、硼素化合物
(B2O3として)を0.005〜5部、あるいは硼素化合物(B
2O3として)とアルミニウム化合物(Al2O3として)との
混合物を0.005〜5部添加して、1400℃以上の温度で焼
成して、焼結もしくは熔融させた後、炉内で自然放冷す
る。冷却速度は、原料の使用量、炉の容量および構造な
どにより、大巾に変わり得るが、いずれの場合にも、従
来法における様な10℃/分以上という急冷に比して、極
めて緩やかな冷却である。焼成に際しては、上記の全成
分を含む原料粉末混合物を崩壊しない程度に形成してお
き、焼結すれば、原料粉末混合物および焼成物を収容す
るための容器も不要となり、取扱いも容易であり、焼成
炉内を容積を有効利用することが出来るので、有利であ
る。リン酸四カルシウムの理論生成量100部に対する硼
素化合物のより好ましい添加量は、B2O3として0.5〜2
部程度であり、硼素化合物とアルミニウム化合物との混
合物のより好ましい添加量は、B2O3として0.5〜2部程
度で且つAl2O3として1〜2部である、またより好まし
い焼成温度は、1500〜1550℃である。
第1図にCa/Pのモル比が2である原料配合物に対するB2
O3の添加量(生成されるべきリン酸四カルシウムの理論
量100部に対する添加量)、焼成温度と焼結および熔融
状態との関係を示す。また、第2図にAl2O3を添加した
場合の同様の関係を示し、更に、第3図にB2O3とAl2O3
との等量混合物を添加した場合の同様の関係を示す。第
1図乃至第3図から、焼結および熔融状態は、添加物の
配合量によって、かなり自由に調整することが可能なる
ことが明らかである。例えば、Al2O3の配合量を2%と
すれば、焼成温度を約1520℃とすることにより、焼結物
が得られる。また、B2O3とAl2O3との等量混合物の場合
には、その配合量を1.5%とすれば、焼成温度を約1510
℃とすることにより、焼結物が得られる。
また、第4図にCa/Pのモル比が2である原料配合物に対
するB2O3の添加量(生成されるべきリン酸四カルシウム
の理論量100部に対する添加量)、焼成温度と生成物中
に占めるリン酸四カルシウムの割合との関係を模式的に
示す。また、第5図にAl2O3を添加した場合の同様の関
係を模式的に示し、更に、第6図にB2O3とAl2O3との等
量混合物を添加した場合の同様の関係を模式的に示す。
添加物の配合量が5%を超える場合には、水酸アパタイ
トが多量に形成されるようになるので、添加物の配合量
は5%以下とすべきことが明らかである。
上記の様にして得られたリン酸四カルシウムは、非常に
固く焼き締まっており、水酸アパタイトへの転化もほと
んど生じていない。また、従来の焼成法により得られる
リン酸四カルシウムは、通常灰白色であるが、使用する
原料の種類、微量不純物の影響などにより、焼成物が部
分的または全体的に濃暗色、灰緑色などに着色されて、
審美性の点から生体材料としての価値を失う場合も少な
くない。しかるに、特定量のB2O3またはB2O3とAl2O3
の混合物を配合する本発明方法により得られるリン酸四
カルシウムは、使用する原料の種類、微量不純物などに
影響されず、全体として均一に淡青色乃至水色に着色し
た美麗なものである。
なお、本発明によるリン酸四カルシウムは、原料配合物
にさらに他の添加物を併用することにより、その性質を
改善することが出来る。例えば、リン酸四カルシウムに
X線造影性、抗菌性などを付与するためには、BaSO4、B
aCO3、BaO、SrSO4、SrCO3などのアルカリ土類金属化合
物、BaSiF6、SnF2、CaF2、NaF、AlF3、BaF2、Na2SiF6
Na3AlF6などの含フッ素化合物:(BiO)2CO3、Bi2O3、M
gO、SiO2、TiO2、ZrO2などの一種または二種以上を添加
することが出来る。これらの任意添加物は、前記必須添
加物の最大60%程度までに代替して使用することが出来
る。これらの任意添加物も、通常20μm以下、平均5μ
m程度の粉末として使用する。
本発明によるリン酸四カルシウム硬化体は、上記の方法
により製造されたリン酸四カルシウム粉末100部(粒度
は、通常20μm以下、平均5μm程度)に該粉末重量の
12〜50%(酸として)の有機酸水溶液を混和することに
より得られる。
この様な有機酸としては、下記のようなものが使用でき
る。
(a) クエン酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、マレ
イン酸、乳酸、フマル酸、アスコルビン酸、コハク酸、
グルコン酸、グルタル酸、ピルビル酸などのTCAサイク
ル系カルボン酸類。
(b) 一般式 (式中、nは50〜50000である)で表されるアクリル酸
の単独重合体。
(c) 一般式 (式中、lは5〜10、mは1〜5、nは50〜50000であ
る) で表されるアクリル酸−イタコン酸共重合体。
(d) 一般式 (式中、lは5〜10、mは1〜5、nは50〜50000であ
る) で表されるアクリル酸−フマル酸共重合体。
これらの酸は、単独で又は2種以上の混合形態で使用す
ることが可能であり、通常濃度30〜60%程度の純粋を溶
媒とする水溶液の形態で使用される。
また、有機酸水溶液には、その重量の10%までのリン酸
を更に含有することができる。リン酸は、特に身体親和
性のある酸ではないが、リン酸四カルシウムと反応する
ことにより、アパタイトを生成し、硬化する。そして、
この硬化体は、リン酸を含まない硬化体よりも強度が強
い。
この様にして得られるリン酸四カルシウム硬化体は、リ
ン酸四カルシウム粉末のかさ比重が大きいので、従来品
に対して、それ自体のかさ比重が著しく大きくなり、破
砕強度も高くなっている。従って、この様な硬化体は、
人工骨用材料、歯科材料などの生体用材料として有用で
ある。
発明の効果 本発明によれば、下記の如き顕著な効果が得られる。
(1) 原料粉末配合物の焼結乃至熔融という操作によ
り、従来法とは異なって、急冷操作、焼成炉内の除湿乾
燥などを行う必要はなくなった。
従って、特殊な構造の焼成炉を必要とせず、通常の焼成
炉により製造を行うことが出来るので、製造コストが低
減される。
(2) リン酸四カルシウムの収率が高く、また得られ
るリン酸四カルシウムは、高純度である。
(3) Ca源化合物とP源化合物とを焼成する場合に
は、使用する化合物の純度にもよるが、1600℃程度以上
でなければ、熔融しない。これに対し、B2O3或いはB2O3
とAl2O3とを併用する本発明方法では、焼結乃至熔融温
度が大巾に低下するので、エネルギー的に有利である。
(4) B2O3或いはB2O3とAl2O3とを併用することによ
り、焼結温度範囲が拡がるので、製品のロットによるバ
ラツキ、生成物内部の成分組成の不均一などが大巾に減
少して、均一で品質の安定した製品が得られる。
(5) Ca源化合物とP源化合物とのみを焼成すれば、
美観に劣る製品となる場合でも、B2O3或いはB2O3とAl2O
3とを併用することにより、淡青色乃至水色の均一に着
色された美麗な製品が得られる。
(6) 本発明によるリン酸四カルシウム硬化体は、か
さ比重が大きく、破砕強度も高い。
実施例 以下に実施例および比較例を示し、本発明の特徴とする
ところをより一層明確にする。
実施例1 平均粒度5μm程度の粉末状のCaCO3とCaHPO4・2H2Oと
を1:1のモル比で混合し、さらにB2O3を混合物重量の0.5
%の割合で添加して、大気中1550℃で2時間炉内焼成し
て、焼結させた後、炉内で自然放冷し、400℃に下降し
た時点で炉外に取出した。
生成物のX線回折結果を第7図(A)として示す。
第7図の結果から、生成物が実質的にリン酸四カルシウ
ムのみからなっていることが明らかである。
実施例2 平均粒径5μm程度の粉末状のCaCO3とCaHPO4・2H2Oと
を1:1のモル比で混合し、さらにB2O3及びAl2O3をそれぞ
れ混合物重量の0.5%の割合で添加して、大気中1500℃
で2時間炉内焼成して、焼結させた後、炉内で自然放冷
し、400℃に下降した時点で炉外に取出した。
生成物のX線回折結果を第7図(B)として示す。
第7図の結果から、生成物が実質的にリン酸四カルシウ
ムのみからなっていることが明らかである。
実施例3 平均粒度5μm程度の粉末状のCaCO3とCaHPO4・2H2Oと
を1:1のモル比で混合し、さらにAl2O3を混合物重量の0.
5%の割合で添加して、大気中1500℃で2時間炉内焼成
して、焼結させた後、炉内で自然放冷し、400℃に下降
した時点で炉外に取出した。
生成物のX線回折結果を第7図(C)として示す。
第7図の結果から、生成物が実質的にリン酸四カルシウ
ムのみからなっていることが明らかである。
比較例1 B2O3及びAl2O3を添加しない以外は実施例1と同様の操
作を行なった。生成物は、ポーラス状のものであった。
生成物のX線回折結果を第7図に(D)として示す。
第7図の結果から、生成物がリン酸四カルシウムの他に
大量の水酸アパタイトを含んでいることが明らかであ
る。
実施例4 B2O3の添加量を0.005〜10%の範囲とし且つ焼結温度を1
400〜1600℃の範囲として、参考例1と同様の操作を行
なった。
生成物のX線回折結果を第8図A〜Gに示す。
第8図A〜GとB2O3添加量および焼成温度との関係は、
以下の通りである。
I.第8図A B2O3 :10% 焼成温度:1350℃ II.第8図B B2O3 :5% 焼成温度:1400℃ III.第8図C B2O3 :3% 焼成温度:1500℃ IV.第8図D B2O3 :1% 焼成温度:1500℃ V.第8図E B2O3 :0.5% 焼成温度:1500℃ VI.第8図F B2O3 :0.1% 焼成温度:1570℃ VII.第8図G B2O3 :0.005% 焼成温度:1600℃ 第8図A〜Gに示す結果から、B2O3添加量が5%以下で
あれば、焼結及び溶融温度の降下も著るしく、リン酸四
カルシウムも良好に生成される。しかしながら、B2O3
5%を上回る量添加しても、焼結または溶融温度の著る
しい降下は認められなくなり、逆にリン酸四カルシウム
の生成を阻害するようになるので、B2O3の添加量は、5
%を上限とする。
実施例5 B2O3に代えてAl2O3を使用する以外は実施例4と同様の
操作を行なった。
生成物のX線回折結果を第9図A〜Gに示す。
第9図A〜Gに示す結果から、Al2O3添加量が5%以下
であれば、焼結及び溶融温度の降下も著るしく、リン酸
四カルシウムも良好に生成される。しかしながら、Al2O
3を5%を上回る量添加しても、焼結または溶融温度の
著るしい降下は認められなくなり、逆にリン酸四カルシ
ウムの生成を阻害するようになるので、Al2O3の添加量
は、5%を上限とする。
実施例6 B2O3とAl2O3との等量混合物を使用する以外は実施例4
と同様の操作を行なった。
生成物のX線回折結果を第10図A〜Gに示す。
第10図A〜Gに示す結果から、B2O3とAl2O3との等量混
合物の添加量が5%以下であれば、溶融温度の降下も著
るしく、リン酸四カルシウムも良好に生成される。しか
しながら、等量混合物を5%を上回る量添加しても、溶
融温度の著るしい降下は認められなくなり、逆にリン酸
四カルシウムの生成を阻害するようになるので、B2O3
Al2O3との等量混合物の添加量は、5%を上限とする。
実施例7 実施例1〜3で得られたリン酸四カルシウムの粉末(平
均粒径5μm)100部に対し、下記に示す酸水溶液を70
部加えて、硬化体を得た。
一方、比較として、B2O3およびAl2O3の何れをもを含ま
ない従来のリン酸四カルシウムの粉末を使用する以外
は、上記と同様にして硬化体を得た。
各硬化体の24時間経過後の破砕抗力(kgf/cm2)は、第
1表に示す通りであった。
第1表において、各記号は、以下のことを表わす。
イ…実施例1で得られた粉末 ロ…実施例2で得られた粉末 ハ…実施例3で得られた粉末 ニ…クエン酸40部+純水60部の水溶液 ホ…リンゴ酸52部+純水60部の水溶液 ヘ…クエン酸30部+ポリカルボン酸5部+酒石酸10部+
純水55部の水溶液 ト…リンゴ酸40部+クエン酸5部+リン酸9.1部+純水4
5.9部の水溶液 本発明により得られたリン酸四カルシウム硬化体の破砕
強度は、従来のリン酸四カルシウムを同様にして硬化さ
せたものに比して、70〜160kgf/cm2程度も向上してい
る。
【図面の簡単な説明】 第1図は、Ca/Pのモル比が2である原料配合物に対する
B2O3の添加量、焼成温度と焼結および熔融状態との関係
を示すグラフである。 第2図は、Ca/Pのモル比が2である原料配合物に対する
Al2O3の添加量、焼成温度と焼結および熔融状態との関
係を示すグラフである。 第3図は、Ca/Pのモル比が2である原料配合物に対する
B2O3とAl2O3との等量混合物の添加量、焼成温度と焼結
および熔融状態との関係を示すグラフである。 第4図は、Ca/Pのモル比が2である原料配合物に対する
B2O3の添加量、焼成温度と生成物中のリン酸四カルシウ
ムの生成割合との関係を示すグラフである。 第5図は、Ca/Pのモル比が2である原料配合物に対する
Al2O3の添加量、焼成温度と生成物中のリン酸四カルシ
ウムの生成割合との関係を示すグラフである。 第6図は、Ca/Pのモル比が2である原料配合物に対する
B2O3とAl2O3との等量混合物の添加量、焼成温度と生成
物中のリン酸四カルシウムの生成割合との関係を示すグ
ラフである。 第7図は、実施例1〜3および比較例1で得られた生成
物のX線回折測定結果を示すチャートである。 第8図は、実施例4で得られた各生成物のX線回折測定
結果を示すチャートである。 第9図は、実施例5で得られた各生成物のX線回折測定
結果を示すチャートである。 第10図は、実施例5で得られた各生成物のX線回折測定
結果を示すチャートである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ca/P=2(モル比)となる様にカルシウム
    源材料粉末とリン源材料粉末を配合し、さらにリン酸四
    カルシウムの理論生成量100部に対し硼素化合物(B2O3
    として)0.005〜5部またはアルミニウム化合物(Al2O3
    として)と硼素化合物(B2O3として)との混合物を0.00
    5〜5部添加し、1400℃以上の温度で焼結もしくは熔融
    させることを特徴とするリン酸四カルシウムの製造方
    法。
  2. 【請求項2】請求項に記載の製造方法により得られた
    リン酸四カルシウム。
  3. 【請求項3】請求項の製造方法により得られたリン酸
    四カルシウムの粉末に該粉末重量の12〜50%(酸とし
    て)の有機酸水溶液を混和することを特徴とするリン酸
    四カルシウム硬化体の製造方法。
  4. 【請求項4】有機酸水溶液が、 (a) TCAサイクル系カルボン酸、 (b) 一般式 (式中、nは50〜50000である) で表されるアクリル酸の単独重合体、 (c) 一般式 (式中、lは5〜10、mは1〜5、nは50〜50000であ
    る) で表されるアクリル酸−イタコン酸共重合体、 および (d) 一般式 (式中、lは5〜10、mは1〜5、nは50〜50000であ
    る) で表されるアクリル酸−フマル酸共重合体の少なくとも
    一種を30〜60%含む請求項に記載のリン酸四カルシウ
    ム硬化体の製造方法。
  5. 【請求項5】有機酸水溶液がその重量の10%までのリン
    酸をさらに含有する請求項に記載のリン酸四カルシウ
    ム硬化体の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項に記載の方法により製造されたリ
    ン酸四カルシウム硬化体。
JP2169434A 1990-06-27 1990-06-27 リン酸四カルシウムおよびリン酸四カルシウム硬化体 Expired - Fee Related JPH0780683B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2169434A JPH0780683B2 (ja) 1990-06-27 1990-06-27 リン酸四カルシウムおよびリン酸四カルシウム硬化体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2169434A JPH0780683B2 (ja) 1990-06-27 1990-06-27 リン酸四カルシウムおよびリン酸四カルシウム硬化体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0459611A JPH0459611A (ja) 1992-02-26
JPH0780683B2 true JPH0780683B2 (ja) 1995-08-30

Family

ID=15886529

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2169434A Expired - Fee Related JPH0780683B2 (ja) 1990-06-27 1990-06-27 リン酸四カルシウムおよびリン酸四カルシウム硬化体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0780683B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5522893A (en) 1993-03-12 1996-06-04 American Dental Association Health Foundation Calcium phosphate hydroxyapatite precursor and methods for making and using the same
US7294187B2 (en) 2001-01-24 2007-11-13 Ada Foundation Rapid-hardening calcium phosphate cement compositions
US7709029B2 (en) 2001-01-24 2010-05-04 Ada Foundation Calcium-containing restoration materials
JP4685277B2 (ja) * 2001-06-20 2011-05-18 独立行政法人物質・材料研究機構 生体組織基体の被覆方法
KR20130073599A (ko) 2011-12-23 2013-07-03 주식회사 케이엠더블유 공간 조명방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0459611A (ja) 1992-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5652016A (en) Tetracalcium phosphate-based materials and processes for their preparation
US4900697A (en) Glass powders for dental glass ionomer cements
US5162267A (en) Radio-opaque calcium phosphate glass
JPH0469094B2 (ja)
JPS6287406A (ja) β−リン酸三カルシウムの製造方法
JPH0780683B2 (ja) リン酸四カルシウムおよびリン酸四カルシウム硬化体
Brauer et al. Crystallisation of fluoride-containing bioactive glasses
JP2020132516A (ja) ユウロピウム分を含む蛍光ガラスセラミックおよびガラス
JPH085706B2 (ja) リン酸四カルシウム硬化体およびその製造方法
US3378499A (en) Synthesis of halophosphate phosphors using calcium chlorspodiosite
JPH03174322A (ja) リン酸カルシウムコーティングチタン材料
JPH0517168B2 (ja)
JPH0555150B2 (ja)
JP2875058B2 (ja) ランタン・セリウム・テルビウムりん酸塩蛍光体の製造方法
JPS6410464B2 (ja)
JP3558680B2 (ja) リン酸四カルシウムの製造方法及びこの方法によって得られたリン酸四カルシウム、並びにこのリン酸四カルシウムを含有するセメント用組成物
JPH01298055A (ja) リン酸カルシウム焼結体の製造方法
JP2527323B2 (ja) セラミツクス焼結成形体及びその製造方法
RU2089527C1 (ru) Способ получения волластонита
US3379649A (en) Preparation of halophosphate phosphor
JPH01290554A (ja) 鋳込み成形によるカルシア焼結体及びその製造方法
JPH0191865A (ja) 無機生体材料及びその製造方法
JPS6171044A (ja) リン酸カルシウム系結晶化ガラス歯科用成形体の製造法
JPS61197463A (ja) 生体用リン酸カルシウム系焼結体
JPS6025384B2 (ja) 高密度マグネシア焼結体の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees