JPH0779103A - 誘電体フィルター - Google Patents

誘電体フィルター

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JPH0779103A
JPH0779103A JP24873593A JP24873593A JPH0779103A JP H0779103 A JPH0779103 A JP H0779103A JP 24873593 A JP24873593 A JP 24873593A JP 24873593 A JP24873593 A JP 24873593A JP H0779103 A JPH0779103 A JP H0779103A
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JP
Japan
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dielectric
short
conductor
strip
conductors
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JP24873593A
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English (en)
Inventor
Masato Ishizaki
石▲崎▼正人
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の高い誘電率(εr)を有する誘電体基
板を有効に活用可能な構成とするとともに、フィルター
特性の設計に際して、その自由度が広くかつ量産性に優
れた構成からなるコムライン型誘電体フィルターの提
供。 【構成】 高い誘電率(εr)を有する誘電体基板1
a,1bをストリップ導体2a,2bの融点以下の軟化
点を有するガラス7を用いて積層固着するとともに、ス
トリップ導体2a,2bの一方端を外部導体3a,3b
と短絡する短絡導体4が形成される積層体1の一方端面
の所定箇所に短絡導体非形成部8を設けることにより、
ストリップ導体2a,2b間における誘導性結合を弱め
ることができ、予め誘導性結合にくらべ容量性結合が優
勢になるように設定すると通過帯域幅を広帯域とすると
ともに減衰極の位置を低域遠方移動することができ、ま
た、短絡導体非形成部8を設けるとともに容量性結合を
所定量だけ減少させると通過帯域幅を変化させることな
く減衰極の位置を低域遠方に移動することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、携帯電話、コードレ
ス電話等のマイクロ波や準マイクロ波通信装置のフィル
ターとして用いられる誘電体フィルターの改良に係り、
特に、複数の1/4波長共振器を並列配置してコムライ
ン型に構成する誘電体フィルターにおいて、複数の誘電
体基板を低融点ガラスにて積層した構成とするととも
に、短絡導体の形成を工夫することによって、量産性に
優れ、フィルター特性の設計自由度を高めた誘電体フィ
ルターに関する。
【0002】
【従来の技術】一対の誘電体基板間に所定形状からなる
複数のストリップ導体を並列配置してなるストリップラ
イン型の誘電体フィルターは小型で低背化(薄形化)が
可能なため表面実装に適し、広範囲の用途に使用されて
おり、その代表的な構成の一つとして複数の1/4波長
共振器を並列配置してなるコムライン型誘電体フィルタ
ーが知られている。
【0003】従来から知られる1/4波長共振器を並列
配置してなるコムライン型誘電体フィルターの基本的な
構成を、図4および図5によって説明する。図4は誘電
体フィルターの斜視説明図であり、図5は図4のa−a
断面説明図である。図中1は、一対の誘電体基板1a,
1bを、並列配置するAgまたはCuからなる一対のス
トリップ導体2a,2bを介して積層固着してなる積層
体である。各々ストリップ導体2a,2bの一方端は積
層体1の端面から露出するように配置されているが、他
方端は積層体1の端面から露出することなく積層体内に
位置する。該積層体1の両主面11a,11bには外部
導体3a,3bが形成され、また、ストリップ導体2
a,2bが露出する積層体1の一方端面12aには該ス
トリップ導体2a,2bの一方端と外部導体3a,3b
とが短絡するよう短絡導体4が形成されている。さら
に、前記短絡導体4が形成されている端面12aと反対
側の端面12b(ストリップ導体2a,2bが露出して
いない側の端面)にも外部導体3cが形成されていると
ともに、積層体1の両側面13a,13bにもストリッ
プ導体2a,2bの一部に形成されるタップ部5a,5
bに接続する入出力端子部6a,6b(図示せず)と電
気的な絶縁を確保して外部導体3d,3eが形成されて
いる。すなわち、積層体1の外周面のうち短絡導体4が
形成されている端面12a以外の面には、いずれも外部
導体3a,3b,3c, 3d,3eが形成されている
こととなる。特に、積層体1の両主面11a,11b以
外の面12b,13a,13bに形成される外部導体3
c,3d, 3eは、誘電体フィルターの機能を実現す
るためには必ずしも必要ではない。しかし、従来の誘電
体フィルターにおいては、通常、フィルター特性を安定
して維持するためにフィルター外周部に金属薄板等のシ
ールドケースを配置していたが、上記の如く外部導体3
a,3bと短絡導体4以外に外部導体3c,3d, 3
eを形成することによって、積層体1の外周面全体を被
覆することとなり、実質的にこれらの短絡導体4と外部
導体3a,3b,3c,3d,3eとがシールドケース
と同様な機能を果たすこととなり、安定したフィルター
特性を維持することが可能となる。したがって、これら
の短絡導体4と外部導体3a,3b,3c,3d,3e
とによって誘電体フィルターからの電磁界の漏洩を防止
するとともに、近傍に配置される他部材の影響によるフ
ィルター特性の変動を招くことがなく、また、製造上の
観点からも通常、図示の如き構成が採用されている。
【0004】この構成において、各々のストリップ導体
2a,2bは、その一方端を短絡導体4を介して電気的
に接続し所謂短絡端となし、また、他方端を電気的に接
続することなく所謂開放端となし、1/4波長共振器
(ストリップライン共振器)として機能するが、これら
の1/4波長共振器間において短絡端側で誘導性結合
(磁界結合)を開放端側で容量性結合(電界結合)を実
現する。通常、各々のストリップ導体2a,2bの間隔
や形状を選定することによって誘導性結合と容量性結合
のバランスを調整し所望のフィルター特性を得る。さら
に、ストリップ導体(1/4波長共振器)の数量を2本
を超えて配置したり、誘電体基板を該ストリップ導体を
介して数枚〜数百枚程度積層固着した構成も知られてい
る。図示においては、ストリップ導体2a,2bの一方
端のみが積層体1の端面から露出する構成にて説明した
が、ストリップ導体2a,2bの両端が積層体1の端面
から露出する構成の場合も、その積層体1の一方端面に
短絡導体4を形成し、他方端に導体を形成しなければ同
様なフィルター機能を実現することが可能となる。
【0005】図4および図5にて示す誘電体フィルター
の製造方法として、特に、誘電体基板からなる積層体の
積層固着手段は、一対のグリーンシート状の誘電体セラ
ミックスをストリップ導体を介して積層圧着した後、ス
トリップ導体とともに焼成一体化する手段が多用されて
いる。また、1/4波長共振器間における誘導性結合や
容量性結合のバランス調整については、予めグリーンシ
ート状の誘電体セラミックス間に配置される各々ストリ
ップ導体の間隔や形状を選定することによって実施して
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き手段を採用
して構成される誘電体フィルターにおいては、グリーン
シート状の誘電体セラミックスとストリップ導体をとも
に焼成一体化することから、誘電体基板としてTiO2
系、Al23系、ZrO2系、TaO5系、NbO5系等
の本質的に高い誘電率(εr)を有する誘電体セラミッ
クスを採用する場合は、これらの焼成温度が1000℃
〜1600℃程度と比較的高いため、融点の低いAg、
Cuをストリップ導体として使用することが不可能とな
る。すなわち、本来ストリップ導体として低損失である
Ag、Cuの使用ができないため、低損失の共振器、即
ちQが高いストリップライン共振器を実現することは困
難であり、近年要求される高いフィルター特性を有する
誘電体フィルターの提供は不可能であった。
【0007】一方、融点の低いAg、Cuをストリップ
導体として使用するために、例えば誘電体基板として、
アルミナにSi、Ge等を混合して焼成温度を低下さ
せ、内部導体と同時に焼成する誘電体セラミックス等を
採用する構成も提案されているが、これらの誘電体セラ
ミックスは、本質的に上記のTiO2系誘電体セラミッ
クス等と比べ誘電率(εr)が低く、誘電損も大きいた
め目的とする高いフィルター特性を有する誘電体フィル
ターを得ることが困難であった。さらにまた、誘電体基
板およびストリップ導体自体の形状、寸法の変化は直接
共振特性に影響を与え、上記の積層固着手段では、これ
らの変形を招く事から、1/4波長共振器(ストリップ
導体)間における誘導性結合や容量性結合のバランス
を、積層固着前に予め設定した通りに安定して実現する
ことは困難であった。
【0008】特に、図5に示すコムライン型誘電フィル
ターにおいては、通常、ストリップ導体2a,2bの短
絡端側での誘導性結合が優勢となり、例えば、そのまま
バンドパスフィルターとして使用すると通過帯域より低
域側の周波数帯域の減衰量が不十分となる。低域側の周
波数帯域の減衰量を良好とするためにはストリップ導体
2a,2bの開放端側での容量性結合を優勢とすること
が必要となり、ストリップ導体2a,2bの間隔や形状
を変化させたり、外部に所定容量からなるコンデンサー
を接続する等、種々の手段を採用することとなるが、こ
のようにして容量性結合を増加していくと、誘導性結合
と容量性結合との二つの結合が打ち消しあって減衰が極
大となる部分(以下、減衰極という)が現れる。例え
ば、容量性結合を増加することによって誘導性結合より
容量性結合が優勢になると、図6に示すように通過帯域
より低域側に減衰極が現れる。誘電フィルターの用途に
応じて、適切な通過帯域と減衰極の位置が決定される
が、上記のように、本質的に誘導性結合が優勢な構成か
らなる誘電フィルターに容量性結合を増加させて減衰極
の位置を低域遠方(図6においては、左側方向)に設定
しようとしても、要求される小型化を維持した状態では
容量性結合の増加範囲にも限度があり、また、容量性結
合だけを増加させると通過帯域も広帯域となってしま
う。すなわち、通過帯域と減衰極の位置をそれぞれ任意
に設定することができず、誘電体フィルターの設計の自
由度が狭められることとなる。
【0009】以上のように、従来の積層固着手段を採用
して提供される誘電体フィルターは、必ずしも高い誘電
率(εr)を有する誘電体基板を効果的にかつ量産性よ
く配置するものではなく、本来ストリップ導体が有する
長所を十分に活かすことが困難であり、また、ストリッ
プ導体(1/4波長共振器)間における誘導性結合や容
量性結合のバランスを制御して通過帯域と減衰極の位置
を要求通りに実現することが必ずしも容易ではなく、誘
電体フィルターの設計の自由度が小さいという問題点を
有していた。
【0010】この発明は、上述の各問題点を解決し、複
数の高い誘電率(εr)を有する誘電体基板を有効に活
用可能な構成とするとともに、フィルター特性の設計に
際して、その自由度が広くかつ量産性に優れた構成から
なる誘電体フィルターの提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、高い誘電率
(εr)を有する誘電体基板の積層固着手段を種々検討
した結果、ストリップ導体の融点以下の軟化点を有する
ガラスを用いて積層固着するとともに、ストリップ導体
の一方端を外部導体と短絡する短絡導体が形成される積
層体の一方端面の所定箇所に短絡導体非形成部を設ける
ことによって、上記の目的が達成できることを知見し、
完成したものである。すなわち、この発明は、少なくと
も一対の誘電体基板を並列配置するAgまたはCuから
なる複数のストリップ導体を介して積層固着してなる積
層体と、該積層体の両主面に形成される外部導体と、前
記ストリップ導体の一方端を外部導体と短絡するようス
トリップ導体が露出する積層体の一方端面に形成される
短絡導体とを有し、複数の1/4波長共振器を並列配置
してコムライン型に構成する誘電体フィルターにおい
て、前記誘電体セラミックスとストリップ導体とをスト
リップ導体の融点以下の軟化点を有するガラスにて一体
化するとともに、前記短絡導体を形成する積層体一方端
面のストリップ導体間に短絡導体非形成部を設けたこと
を特徴とする誘電体フィルターである。
【0012】この発明において、誘電体基板としては、
TiO2系、Al23系、ZrO2系、TaO5系、Nb
5系等誘電率(εr)が10以上、望ましくは30以
上、さらに望ましくは50以上の公知の高い誘電率(ε
r)を有するセラミックス誘電体基板の採用が望まし
い。
【0013】また、この発明において、誘電体基板を固
着するガラスとしては、AgまたはCuからなるストリ
ップ導体の本来有する電気的な特性を低下させることな
く、また、該ストリップ導体の要求される形状、寸法を
維持して安定した共振特性を得るために、AgまたはC
uからなるストリップ導体の融点以下の軟化点を有する
必要があり、例えば、日本電気硝子(株)製の電子部品
用ガラスとして知られるNa2O・Al23・ B23
・SiO2系ガラスが望ましい。また、上記各種系から
なる誘電体基板の熱膨張係数は、通常、常温付近におい
て60〜110×10-7/℃程度の範囲にあることか
ら、ガラスの組成範囲を調整し使用する基板に応じてそ
の熱膨張係数を調整することが望ましい。
【0014】さらに、このNa2O・Al23・B23
・SiO2系ガラスは、通常、粉末(顆粒)状として入
手されることから、使用に際しては所定のバインダーに
てペースト状にし、予め誘電体基板上の所定の箇所に塗
布した後、加熱処理を施してガラス膜として形成する。
後述する、所定の箇所にストリップ導体が形成された誘
電体基板上に上記ガラス膜を形成した誘電体基板を載置
し、ストリップ導体がAgの場合には加圧しながら大気
雰囲気中にて所定の温度(700℃〜900℃程度)に
て加熱し、ストリップ導体がCuの場合には加圧しなが
ら還元雰囲気中にてセラミックスがCuにて還元されな
い所定の温度(600℃〜650℃程度)にて加熱し、
これらの誘電体基板を一体化する。また、誘電体フィル
ターにおいては、通常、Agペースト等を焼き付けた
り、Cu メッキを施したりして短絡導体や外部導体を
積層体外周全面に形成するが、前記ガラスは、ストリッ
プ導体と誘電体基板との一体化だけでなく、外部導体と
ストリップ導体との電気的な絶縁を確保する役割を有す
ることから、これらのことを考慮してガラスの塗布方
法、塗布の箇所等を選定することが好ましい。
【0015】AgまたはCuからなるストリップ導体
は、上記誘電体基板の積層固着前に予め、一方の誘電体
基板上の所定位置にスパッタ法、スクリーン印刷法等の
公知の手段にて形成することができる。該ストリップ導
体および上記ガラス膜の形成方法はこの例に限定される
ことなく、ストリップ導体の形状寸法等に応じて適宜選
定される。
【0016】特に、ストリップ導体として厚さ5μm以
上のAg箔またはCu箔を配置することによって、Qの
向上、共振特性の精度向上を達成することができる。す
なわち、ストリップ導体を厚さ5μm以上のAg箔また
はCu箔とすることによって、上記スパッタ法等によっ
て得られるストリップ導体に比べ、ストリップ導体自体
の電気抵抗の低減、誘電体基板の積層固着時におけるス
トリップ導体の変形防止等の改良が図られる。このAg
箔またはCu箔からなるストリップ導体の厚さが5μm
未満では上記の効果を得ることができず、また必要以上
に厚くしても上記の効果が増すわけでもなく、加工性や
取扱性等の観点から5〜100μmの範囲で選定するの
が望ましく、特に、量産性等を考慮すると10〜50μ
mの範囲で選定するのが望ましい。また、このAg箔ま
たはCu箔からなるストリップ導体は、ガラスによる接
合前に予め熱間圧接、冷間圧接等によって誘電体基板の
所定箇所に固着しておくことが望ましい。
【0017】ストリップ導体を所定位置に配置し上記ガ
ラスにて誘電体基板を積層固着してなる積層体の所定外
周面に形成する短絡導体や外部導体は、Agペースト等
を焼き付けたり、AgやCuを真空蒸着法、スパッタリ
ング等の物理的手法によって形成したり、AgやCuを
無電解メッキまたは電解メッキ等の化学的手法によって
形成したり、公知の形成方法が採用可能であるが、特
に、この発明の特徴の一つである短絡導体を形成する積
層体一方端面のストリップ導体間に設ける短絡導体非形
成部については、予め短絡導体形成前にマスキング処理
を施しておいたり、短絡導体形成後に機械的、あるいは
化学的に除去すること等、量産性を考慮してその製造方
法を決定することが望ましい。
【0018】また、短絡導体非形成部の形状も後述する
実施例に限定されることなく、要求されるフィルター特
性に応じて選定すればよく、本発明者の種々実験によれ
ば、該短絡導体形成端面のストリップ導体間であれば、
わずかな短絡導体非形成部でもストリップ導体間におけ
る誘導性結合を弱めることができる。したがって、例え
ば、予め誘導性結合にくらべ容量性結合が優勢になるよ
うに設定された誘電体フィルター(減衰極が図6に示す
ような位置にある構成)において、短絡導体非形成部を
設けると相対的に容量性結合を増加させることとなり、
通過帯域幅を広帯域とするとともに減衰極の位置を低域
遠方(図6において左側方向)に移動することができ、
また、短絡導体非形成部を設けるとともに容量性結合を
所定量だけ減少させると通過帯域幅を変化させることな
く減衰極の位置を低域遠方に移動することができる。す
なわち、短絡導体非形成部を設けること、あるいはさら
に容量性結合を調整すること等によって通過帯域幅とと
もに減衰極の位置を制御することが可能となる。
【0019】
【作用】以下、図1,図2,図3に示すこの発明の誘電
体フィルターの一実施例によってこの発明の作用を説明
する。なお、図1はこの発明の誘電体フィルターの一実
施例の概要を示す斜視説明図であり、図2は図1の誘電
体フィルターにおける内部構成の概要を示す斜視説明図
であり、図3は図1の誘電体フィルターにおけるa−a
断面説明図である。図中1は、高い誘電率(εr)を有
するTiO2系セラミックス誘電体からなる一対の誘電
体基板1a,1bを、並列配置するAgからなる一対の
ストリップ導体2a,2bを介して積層固着してなる積
層体である。各々ストリップ導体2a,2bの一方端は
積層体1の端面から露出するように配置されているが、
他方端は積層体1の端面から露出することなく積層体内
に位置する。
【0020】さらに詳細に説明すると、図1の下側の誘
電体基板1bの上面には所定形状寸法のAgからなるス
トリップ導体2a,2bが所定の間隔を設けてスパッタ
法にて形成されている。また、他方の誘電体基板1aの
対向面(図中誘電体基板1aの下面)には、ストリップ
導体2a,2bを形成した誘電体基板1b上面の非スト
リップ導体形成面に対向するように、Na2O・Al2
3・B23・SiO2系ガラス7(図3参照)が予め塗布
され加熱処理されてガラス膜として形成されている。こ
れら一対の誘電体基板1a,1bを対向配置した後、加
圧した状態でかつ所定温度で加熱することによって一体
的に積層固着して積層体1を構成する。
【0021】該積層体1の両主面11a,11bにはA
gからなる外部導体3a,3bが形成され、また、スト
リップ導体2a,2bが露出する積層体1の一方端面1
2aには該ストリップ導体2a,2bの一方端と外部導
体3a,3bとが短絡するようAgからなる短絡導体4
が形成されている。さらに、前記短絡導体4が形成され
ている端面12aと反対側の端面12b(ストリップ導
体2a,2bが露出していない側の端面)にもAgから
なる外部導体3cが形成されているとともに、積層体1
の両側面13a,13bにもストリップ導体2a,2b
の一部に形成されるタップ部5a,5bに接続する入出
力端子部6a,6b(図示せず)と電気的な絶縁を確保
してAgからなる外部導体3d,3eが形成されてい
る。すなわち、積層体1の外周面のうち短絡導体4が形
成されている端面12a以外の面には、いずれも外部導
体3a,3b,3c,3d,3eが形成されていること
となる。これらの短絡導体4および外部導体3a,3
b,3c,3d,3eは各々個別に形成することなく、
上記積層体1を構成した後、Agペーストを塗布し公知
の焼き付け方法によって同時に形成することができる。
【0022】なお、図中8は、短絡導体4を形成する積
層体一方端面12aのストリップ導体2a,2b間に設
けた矩形状の短絡導体非形成部であり、予め前記短絡導
体4形成前にマスキング処理を施しておき、短絡導体4
形成後に該マスキングを化学的に除去することによって
形成したものである。
【0023】以上の構成において、各々のストリップ導
体2a,2bは、その一方端を短絡導体4を介して電気
的に接続し所謂短絡端となし、また、他方端を電気的に
接続することなく所謂開放端となし、1/4波長共振器
(ストリップライン共振器)として機能するが、これら
の1/4波長共振器間において短絡端側で誘導性結合
(磁界結合)を開放端側で容量性結合(電界結合)を実
現する。特に、この発明の構成においては、媒質として
誘電体とガラスとが存在することから誘導性結合が優勢
となる特性を有する。
【0024】しかし、短絡導体形成端面12aのストリ
ップ導体2a,2b間に設けられた短絡導体非形成部8
によってストリップ導体2a,2b間における誘導性結
合を弱め、減衰極の位置を制御する(より低域遠方の位
置にずらす)ことが可能となる。また、前述のように短
絡導体非形成部8を設けるとともに容量性結合を調整す
ることによって通過帯域幅の調整をも可能とし、フィル
ター特性を設計する際に、その自由度が広がることとな
る。
【0025】また、かかる構成からなるこの発明の誘電
体フィルターは、ストリップ導体2a,2bの融点より
軟化温度の低いガラス7、例えば、Na2O・Al23
・B23・SiO2系ガラスにて一体化されることか
ら、ストリップ導体2a,2bの特性劣化、誘電体基板
中への拡散等を防止できる。従って、高い誘電率
(εr)を有する誘電体基板1a,1bの本来有する特
性を阻害することなく効果的に配置することができ、高
いQを有するストリップライン共振器を実現することが
可能となり、目的とする高性能の誘電体フィルターを提
供することができる。また、このように一対のセラミッ
クス誘電体間にガラスを配置することは、誘電体フィル
ター全体としての実効誘電率を若干(10%以下)低下
させることになるが、上記のガラス中にセラミックス誘
電体からなる微粉末を混合分散させることにより、誘電
体フィルターの実効誘電率の低下を数%以下にすること
が可能となる。
【0026】Na2O・Al23・B23・SiO2系ガ
ラス7は、一対の誘電体基板1a,1bの対向面におい
て、ストリップ導体2a,2b形成面以外の全面に配置
することから、高い機械的強度が得られる。また、一対
の誘電体基板1a,1bの接合面から外部導体3a,3
b,3c,3d,3eを形成するAgペースト等の侵入
が防止されることから、該外部導体3a,3b,3c,
3d,3eとストリップ導体2a,2bとの電気的な絶
縁が確保ができるとともに、焼き付けによるAgペース
ト等の外部導体3a,3b,3c,3d,3eや短絡導
体4の一体形成が可能となる。また、一対の誘電体基板
1a,1bの積層固着がストリップ導体2a,2bの融
点以下の温度で実施されることから、ストリップ導体2
a,2bの形状寸法の変化が防止でき、誘電体基板1
a,1bの積層固着前に予め設計した特性を安定して得
ることができる。さらにまた、誘電体基板1a,1bの
積層固着が比較的低温度で実施され、従来の手段に比べ
て煩雑でないことから量産性に優れている。
【0027】上記の構成において、ストリップ導体2
a,2bは予め誘電体基板1b上面に固着されているの
で互いの機械的な接続は良好であるが、他方の誘電体基
板1aとの接触部は必ずしも良好な接続が得られるわけ
ではない。しかし、この構成では該接触部に空隙部を形
成することなくガラス7が侵入し他方の誘電体基板との
機械的接続が良好となり、ストリップ導体2a,2bと
しての電気的な損失をも低減する効果を有する。
【0028】その他、この構成においては、ストリップ
導体2a,2bの形状寸法に起因する導体損の低減効果
をも有する。すなわち、ストリップ導体2a,2bの両
側端部に近接あるいは当接して配置されるNa2O・A
23・B23・SiO2系ガラス7の誘電率が誘電体
基板1a、1bの誘電率より低い(5〜7程度)ことか
らストリップ導体2a,2b内を流れる電流の両側端部
への集中が緩和され前記導体損の低減が可能になる。
【0029】図1の構成においてストリップ導体2a,
2bをAg箔またはCu箔とすることによって、さらに
共振特性の精度向上が実現できる。また、各々のストリ
ップ導体2a,2bの間隔や形状も図1の構成に限定さ
れるものでなく、要求される誘導性結合と容量性結合の
バランスを考慮して適宜選定することが望ましく、特
に、最適形状を選定した場合においては、上記の短絡導
体非形成部8の効果との相乗効果によって、目的とする
フィルター特性を有する小型の誘電体フィルターを得る
ことが可能となる。
【0030】さらに、ストリップ導体(1/4波長共振
器)の数量を2本を超えて配置したり、誘電体基板を該
ストリップ導体を介して2枚を超えて積層固着する構成
においても、この発明の構成を採用することが可能であ
る。図示においては、ストリップ導体2a,2bの一方
端のみが積層体1の端面から露出する構成にて説明した
が、ストリップ導体2a,2bの両端が積層体1の端面
から露出する構成の場合も、その積層体1の一方端面に
短絡導体4を形成し、他方端に導体を形成しなければ図
示の構成と同様なフィルター機能を実現することが可能
となる。
【0031】
【実施例】
実施例1 セラミックス誘電体基板として幅6mm×長さ6mm×
厚さ1.5mmで誘電率(εr)92、常温における熱
膨張係数85×10-7/℃の一対のTiO2系セラミッ
クス誘電体基板を用いて図1に示すこの発明の誘電体フ
ィルターを作成した。ストリップ導体は、一方の誘電体
基板の上面にAgを所定形状寸法(ただし、厚さ10μ
m)のAgをスパッタ法にて形成した。誘電体基板の積
層固着用ガラスとしては、軟化点が697℃(ストリッ
プ導体Agの融点967℃以下)で、常温における熱膨
張係数が76×10-7/℃である粉末状Na2O・Al2
3・B23・ SiO2系ガラスを使用し、一対の誘電
体基板を40kg/cm2にて加圧したまま大気雰囲気
中で850℃に加熱して一体化した。なお、短絡導体お
よび外部導体としては、Agペーストを焼付け方法にて
所定位置に厚さ25μmにて形成した。さらに、短絡導
体を形成する積層体一方端面のストリップ導体間に幅1
mm×高さ2mmの矩形状の短絡導体非形成部を設け図
1に示すこの発明の誘電体フィルターを完成した。比較
例として、上記短絡導体非形成部以外は、全て上記と同
じ構成の誘電体フィルターを作成し、各々のフィルター
特性(周波数と減衰量との関係を示す)を測定し、その
結果を比較した。
【0032】この発明の誘電体フィルターと比較例の誘
電体フィルターは、ともに中心周波数が1.9GHZ
3dB帯域幅が約100MHZである通過帯域を有する
が、この発明の誘電体フィルターの減衰極の位置が比較
例の誘電体フィルターに比べ低域側に200MHZ程度
移動していることを確認した。すなわち、短絡導体非形
成部を設けることによって通過帯域をあまり変化させる
ことなく減衰極の位置を低域側遠方に移動することがで
きた。すなわち、減衰極の位置を設計通りに制御するこ
とによって、誘電体フィルターの設計の自由度が広がる
ことが分かる。
【0033】ストリップ導体を厚さ15μmのAg箔か
ら構成した以外は全て実施例1と同様な構成からなるこ
の発明の誘電体フィルターを作成して同様な測定を実施
したところ、上記の実施例と同等以上のフィルター特性
をバラツキなく一層安定して得ることができた。
【0034】
【発明の効果】以上に示すように、この発明による誘電
体フィルターは、高い誘電率(εr)を有するセラミッ
クス誘電体基板をストリップ導体の融点より軟化温度の
低いガラス、例えば、Na2O・Al23・B23・S
iO2系ガラスにて一体化して構成されることから、該
誘電体基板が本来有する長所を効果的に発現でき、高い
Qを有するストリップライン共振器を実現することが可
能となるとともに、ストリップ導体の形状、寸法の変化
が防止でき、予め設計したフィルター特性を安定して得
ることができる。
【0035】また、Na2O・Al23・B23・Si
2系ガラスが、各々誘電体基板の対向面におけるスト
リップ導体形成面以外の全面に配置することから、高い
機械的強度が得られる。さらにまた、誘電体基板の積層
固着が比較的低温度で実施され、従来の手段に比べて煩
雑でないことから量産性にすぐれている。
【0036】特に、この発明による誘電体フィルターに
おいては、ストリップ導体(1/4波長共振器)間にお
ける誘導性結合や容量性結合のバランスを短絡導体を形
成する積層体一方端面のストリップ導体間に設ける短絡
導体非形成部によって容易に制御することが可能とな
り、通過帯域や減衰極の位置の設定が容易となることか
ら誘電体フィルターの設計の自由度を大きく広げること
ができる。また、予め設計したフィルター特性の微調整
も誘電体フィルターを完成した後に、該短絡導体非形成
部を機械的な加工によって容易に拡大したり、再度Ag
ペーストを焼き付けて縮小したりすることによって実施
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の誘電体フィルターの一実施例を示す
斜視説明図である。
【図2】図1の誘電体フィルターの内部構造の概要を示
す斜視説明図である。
【図3】図1の誘電体フィルターのa−a断面説明図で
ある。
【図4】従来の誘電体フィルターを示す斜視説明図であ
る。
【図5】図4の誘電体フィルターのa−a断面説明図で
ある。
【図6】誘電体フィルターにおけるフィルター特性(周
波数と減衰量との関係)の概要を示すグラフである。
【符号の説明】
1 積層体 1a,1b セラミックス誘電体基板 2a,2b ストリップ導体 3a,3b,3c,3d,3e 外部導体 4 短絡導体 5a,5b タップ部 6a,6b 入出力端子部 7 Na2O・Al23・B23・SiO2系ガラス 8 短絡導体非形成部 11a,11b 積層体の主面 12a,12b 積層体の端面 13a,13b 積層体の側面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一対の誘電体基板を並列配置
    するAgまたはCuからなる複数のストリップ導体を介
    して積層固着してなる積層体と、該積層体の両主面に形
    成される外部導体と、前記ストリップ導体の一方端を外
    部導体と短絡するようストリップ導体が露出する積層体
    の一方端面に形成される短絡導体とを有し、複数の1/
    4波長共振器を並列配置してコムライン型に構成する誘
    電体フィルターにおいて、前記誘電体セラミックスとス
    トリップ導体とをストリップ導体の融点以下の軟化点を
    有するガラスにて一体化するとともに、前記短絡導体を
    形成する積層体一方端面のストリップ導体間に短絡導体
    非形成部を設けたことを特徴とする誘電体フィルター。
  2. 【請求項2】 ガラスがNa2O・Al23・B23
    SiO2系ガラスであることを特徴とする請求項1記載
    の誘電体フィルター。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100340405B1 (ko) * 1999-08-25 2002-06-12 이형도 듀플렉서 유전체 필터

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