JPH0778926B2 - 回転体のトルク制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は磁気記録及び／又は再生装置に設けられた一対
の回転体を、各々モードに応じて異なるトルクで回転さ
せる回転体のトルク制御装置に関するものである。

（ロ）従来の技術 まず磁気記録及び／又は再生装置における磁気テープの
走行系を説明する。第７図は磁気記録及び／又は再生装
置を示す要部平面図であり、（１）（２）はテープカセ
ット（図示せず）が載置される供給及び巻取リール台、
（3a）（3b）（4a）（4b）は前記テープカセットから二
点鎖線の磁気テープ（５）を引出す引出し部材、（６）
は前記磁気テープ（５）が巻回されるシリンダ、（７）
（８）（９）は各々、前記磁気テープ（５）が接触する
全幅消去ヘッド、音声消去ヘッド、及び音声／コントロ
ールヘッド、（10）（11）（12）（13）は各々、前記磁
気テープ（５）が纒周されるインピーダンスローラ及び
ガイドローラ、（14）は前記磁気テープ（５）を介して
前記キャプスタン（15）に圧着するピンチローラ、（1
6）支軸（17）を中心に回動し、前記シリンダ（６）に
巻回された磁気テープ（５）にテンションを付与するテ
ンションアームである。

第７図においてテンションアーム（16）が実線に示す様
に磁気テープ（５）にテンションを付与し、かつ実線に
示す様にピンチローラ（14）がキャプスタン（15）に圧
着すると、該状態で記録、再生、及び早送り再生が可能
となる。この時、磁気テープ（５）はシリンダ（６）の
回転方向（反時計方向）と同方向に走行し、更に磁気テ
ープ（５）はキャプスタン（15）及びピンチローラ（1
4）によって一定速度で送り出された後、直ちに巻取リ
ール台（２）の回転によって巻取られる。これより第７
図の走行系における磁気テープ（５）の走行摩擦は小さ
く、巻取リール台（２）に付与されるトルクも小さくて
よいことになる。

また実線に示すテンションアーム（16）が破線に示す様
に支軸を中心に時計方向に僅かに回動して磁気テープ
（５）に対するテンション付与が解除され、かつ磁気テ
ープ（５）の走行を安定させるため破線に示す様にピン
チローラ（14）がキャプスタン（15）から離間すると、
該状態で巻戻し再生が可能となる。この時、磁気テープ
（５）はシリンダ（６）の回転方向と逆方向に走行し、
第７図の走行系を走行して供給リール台（１）の回転の
みによって巻取られる。これより第７図の走行系におけ
る磁気テープ（５）の走行摩擦は大きく、供給リール台
（１）に付与されるトルクは巻取リール台（２）のそれ
よりも大きくなければならないことになる。

そこでこの事実を考慮した技術として、例えば特開昭60
−38748号等が提示されており、モータと供給及び巻取
リール台間の回転力伝達経路中に２種の滑り機構を設
け、一方に対して他方の滑り機構が着脱することにより
供給及び巻取リール台の巻取トルクを変化させていた。
また供給及び巻取リール台自身に巻取トルクを異ならせ
る滑り機構を設けたりしていた。

（ハ）発明が解決しようとする問題点 しかしながら前者の場合、２種の滑り機構を切換える切
換機構が必要であることから、構成が複雑になってコス
トアップ及び作業性が低下し、更に装置が大型化してい
た。また後者の場合、供給及び巻取リール台の構成が複
雑になっていた。

（ニ）問題点を解決するための手段 本発明は前記問題点を解決するためになされたものであ
り、一対の回転体と該一対の回転体から略等距離に配さ
れた首振りアイドラ機構を備え、動作モードに応じてそ
れぞれ異なるトルクで前記一対の回転体を回転させる回
転体駆動装置であって、前記首振りアイドラ機構は、第
１ギアが形成され駆動源の駆動力が伝達されるプーリ及
び該プーリにスプリングを介して同軸に回転可能に連結
され第２ギアを有する回転伝達体と、該回転伝達体に転
接する首振りアイドラとで構成し、前記第１ギアに噛合
する第３ギア及び該第３ギアに滑り機構を介して前記第
２ギアに噛合する第４ギアを同軸に回転自在に配した第
１の二段ギアと、前記第３ギアに噛合する一方向回転ギ
ア手段及び該一方向回転ギア手段に滑り機構を介して前
記第４ギアに噛合する第５ギアを同軸に回転自在に配し
た第２の二段ギアより構成される。

（ホ）作用 本発明の回転体のトルク制御装置によれば、駆動源の正
方向回転時、第１及び第２の二段ギアが空転して一方の
回転体を第１のトルクで回転駆動し、駆動源の逆回転
時、一方向回転ギア手段の回転による第２のトルクが第
１のトルクに付加されて他方の回転体を回転駆動する。
これより一対の各回転体は、モードに応じてトルクの異
なるアイドラ手段によって回転させられる。

（ヘ）実施例 本発明の詳細を図示の実施例により具体的に説明する。

第１図〜第６図は本発明に関し、第１図は分解斜視図、
第２図は記録／再生、又は早送り再生状態を示し、シャ
ーシが透視された要部平面図、第３図は巻戻し再生状態
を示しシャーシが透視された要部平面図、第４図は記録
／再生、又は早送り再生状態の側面図、第５図は巻戻し
再生状態の側面図、第６図は一方向連動手段を構成する
部品の平面図である。

第１図〜第６図について図番及び構成を説明すると、
（１）（２）はシャーシ（20）に回転可能に結合された
一対の回転対としての供給及び巻取りリール台、（21）
はキャプスタンモータ、（15）（23）は前記キャプスタ
ンモータ（21）と同軸に結合されたキャプスタン及びプ
ーリ、（24）（25）は一体に設けられたプーリ及びギ
ア、（26）は突片（27）を有するギア、（28）は前記ギ
ア（26）とそれを同期して回転させるために前記突片
（27）が挿入される挿入孔（29）を有する回転伝達体、
（30）は前記シャーシ（20）に設けられた回動規制ピン
（31）が挿入される規制孔（32）を有するアイドラアー
ム、（33）は前記アイドラアーム（30）の一端に軸支さ
れ、前記回転伝達体（28）と圧接して支軸（34）を中心
に回転するアイドラ、（35）は前記プーリ（23）（24）
間に掛けられたベルトであって、前記ギア（26）、回転
伝達体（28）、アイドラアーム（30）、及びアイドラ
（33）よりアイドラ手段が構成され、前記アイドラ手
段、プーリ（24）及びギア（25）はスプリング（36）を
介して支軸（37）に軸支される。また（38）（39）は一
体に設けられた伝達手段としてのギア、及び前記ギア
（25）と噛合するギア、（40）は筒部（図示せず）を有
し、前記ギア（38）と同径であると共に前記ギア（26）
と噛合する伝達手段としてのギア、（41）（42）は前記
ギア（38）（40）間に介在するスプリング、及び六角孔
（43）を有する金属板（44）に接着するフェルト、（4
5）は前記ギア（38）（39）を介して前記六角孔（43）
に挿入される六角突部（46）、及び前記ギア（38）（3
9）、スプリング（41）、金属板（44）、及びフェルト
（42）を介して前記ギア（40）の筒部と結合された筒部
（47）を有する結合体であって、前記筒部（図示せず）
（47）にて結合された前記構成要素は支軸（48）に軸支
されており、図番（38）〜図番（47）により第１の二段
ギアを構成している。（49）は同心状の筒部（50）（5
1）及び鍔部（52）を有する結合体、（53）は突部（5
4）、前記筒部（51）が挿入可能な最小径の挿入孔（5
5）、第６図に示す様に該挿入孔（55）周囲に設けられ
て一方から他方へ向かう幅がａ＞ｂとなされると共にａ
＞直径ｘ＞ｂなるピン（56）が挿入される補助孔（57）
を有し、前記鍔部（52）に載置される一方向連動体、
（58）はフェルト（59）が接着されると共に前記一方向
連動体（53）を介して前記筒部（50）と結合される結合
孔（60）を有する結合体、（61）前記一方向連動体（5
3）とそれを同期して回転させるために前記結合体（4
9）を介して前記突部（54）該が挿入される同期溝（6
2）を有し、前記ギア（38）と噛合するギアであって、
前記結合体（49）、一方向連動体（53）、ピン（６）、
及びギア（61）より一方向連動手段が構成され、（63）
は切欠（64）を有し、前記ギア（61）と同径であると共
に前記ギア（40）と噛合するギア、（65）は前記ギア
（63）に載置されるスプリング、（66）は前記切欠（6
4）に挿入される突片（67）を有し、前記スプリング（6
5）保護用のフィルム（68）を介して前記スプリング（6
5）を押圧する金属板、（69）は前記金属板（66）、フ
ィルム（68）、スプリング（65）、及びギア（63）を介
して前記筒部（50）と結合される筒部（70）を有する結
合体であって、前記筒部（50）（70）にて結合された前
記構成要素は支軸（71）に軸支され、図番（49）〜図番
（70）により第２の二段ギアを構成している。尚、前記
構成よりギア（38）（40）間、及びギア（61）（63）間
には滑りが設けられており、また第７図と同一素子には
同一図番を付してある。

以下、本発明の動作を説明する。初めに第２図及び第４
図に示す記録／再生を実行するために装置側の記録／再
生釦（図示せず）をオンすると、システムコントロール
からの制御信号によって第７図に示す様に磁気テープ
（５）は走行系に装架されてテンションアーム（16）に
てテンションが付与される。その後、キャプスタンモー
タ（21）は時計方向に低速回転し、プーリ（23）及びベ
ルト（35）を介してプーリ（24）及びギア（25）も支軸
（37）を中心に時計方向に低速回転する。ここでギア
（25）（26）はスプリング（36）を介して同軸となされ
ているが、ギア（25）の回転力は直接ギア（26）に伝達
されない。

またギア（25）の回転によってギア（38）（39）（40）
が支軸（48）を中心に反時計方向に、ギア（61）（63）
支軸（71）を中心に時計方向に低速回転する。この時、
一方向連動体（53）もギア（61）に同期して支軸（71）
を中心に時計方向に低速回転するが、ピン（56）が補助
孔（57）を第６図に示すａ方向に移動する様に、換言す
ればピン（56）に外力が加わらない様に、一方向連動体
（53）がピン（56）に対して作用することから、ギア
（63）はギア（61）に回転とは無関係にギア（40）の回
転によって空転する。

これよりギア（26）はギア（40）の回転力、即ち第１の
トルクのみが付与されて支軸（37）を中心に時計方向に
低速回転し、回転伝達体（28）もギア（26）にに同期し
て支軸（37）を中心に時計方向に低速回転する。更に回
転伝達体（28）に圧接するアイドラ（33）の支軸（34）
を中心とした反時計方向への低速回転によって、アイド
ラアーム（30）は支軸（37）を中心に時計方向に回動す
る。

そしてアイドラ（33）が巻取リール台（２）側面に圧接
すると、巻取リール台（２）は第１のトルクによって時
計方向に低速回転し、第７図に示すテープ走行系に装架
されると共に走行摩擦の小さい磁気テープ（５）が巻取
リール（図示せず）に巻取られる。ここで磁気テープ
（５）はキャプスタン（15）及びピンチローラ（14）に
て一定速度で送り出されることから、巻取リールに巻回
された磁気テープ（５）の量に応じて巻取リール台
（２）の回転速度を可変し、磁気テープ（５）のテンシ
ョンを一定に保持しなければならない。そこで本実施例
においてはギア（38）（40）間、及びギア（61）（63）
間に設けられた滑り機構によって巻取リール台（２）の
回転速度が可変され、これより安定かつ確実に記録／再
生が実行される。

また前述の再生モードから装置側の早送り釦（図示せ
ず）をオンすると、システムコントロールからの制御信
号によって前述の状態のままでキャプスタンモータ（2
1）が時計方向に高速回転し、早送り再生が実行され
る。

次に前述の状態から第３図及び第５図に示す巻戻し再生
を実行するために装置側の巻戻し釦（図示せず）をオン
すると、システムコントロールからの制御信号によっ
て、第７図の走行系に装架された磁気テープ（５）に対
してテンションアーム（16）によるテンション付与が解
除され、かつピンチローラ（14）がキャプスタン（15）
から離間する。その後、キャプスタンモータ（21）は反
時計方向に高速回転し、プーリ（23）及びベルト（35）
を介してプーリ（24）及びギア（25）も支軸（37）を中
心に反時計方向に高速回転する。

またギア（25）の回転によってギア（38）（39）（40）
が支軸（48）を中心に時計方向に、ギア（61）（63）が
支軸（71）を中心に反時計方向に高速回転する。この
時、一方向連動体（53）もギア（61）に同期して支軸
（71）を中心に反時計方向に高速回転するが、ピン（5
6）が補助孔（57）を第６図に示すｂ方向に移動する様
に、換言すればピン（56）が筒部（51）側面及び補助孔
（57）内壁間に食い込む様に、一方向連動体（53）はピ
ン（56）に対して作用する。よって結合体（49）（58）
が一方向連動体（53）に同期して支軸（71）を中心に回
転力、即ち第２のトルクが付与されて回転する。

これよりギア（26）はギア（40）による第１のトルク及
びギア（63）による第２のトルクが付与されて支軸（3
7）を中心に反時計方向に高速回転し、回転伝達体（2
8）もギア（26）に同期して支軸（37）を中心に反時計
方向に高速回転する。更に回転伝達体（28）に圧接する
アイドラ（33）の支軸（34）を中心とした時計方向への
高速回転によって、アイドラアーム（30）は支軸（37）
を中心に反時計方向に回動する。

そしてアイドラ（33）が供給リール台（１）側面に圧接
すると、供給リール台（１）は巻取リール台（２）に付
与されるトルクよりも大なる第１及び第２のトルクによ
て反時計方向に高速回転し、第７図に示すテープ走行系
に装架されると共に走行摩擦の大きい磁気テープ（５）
が供給リール（図示せず）に巻取られる。更に前述と同
様にギア（38）（40）間、及びギア（61）（63）間の滑
り機構によって供給リール台（１）の回転速度が可変さ
れることから、安定かつ確実な巻戻し再生が実行され
る。

（ト）発明の効果 本発明の回転体のトルク制御装置によれば、一方向連動
手段の連動及び非連動によって一対の各回転体に付与す
るトルクを容易かつ瞬時に可変できることから、部品数
が削減されてコストダウン及び生産性の向上が可能とな
り、更に装置本体の小型軽量化も可能となる等の利点が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の分解斜視図、第２図及び第３図は本発
明の要部平面図、第４図及び第５図は本発明の側面図、
第６図は本発明の一方向連動手段を構成する部品の平面
図、第７図は磁気記録及び／又は再生装置を示す要部平
面図である。 （１）……供給リール台、（２）……巻取リール台、
（26）（38）（39）（40）（61）……ギア、（28）……
回転伝達体、（30）……アイドラアーム、（33）……ア
イドラ、（49）……結合体、（53）……一方向連動体、
（56）……ピン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一対の回転体と該一対の回転体から略等距
   離に配された首振りアイドラ機構を備え、動作モードに
   応じてそれぞれ異なるトルクで前記一対の回転体を回転
   させる回転体駆動装置であって、 前記首振りアイドラ機構は、第１ギアが形成され駆動源
   の駆動力が伝達されるプーリ及び該プーリにスプリング
   を介して同軸に回転可能に連結され第２ギアを有する回
   転伝達体と、該回転伝達体に転接する首振りアイドラと
   で構成し、 前記第１ギアに噛合する第３ギア及び該第３ギアに滑り
   機構を介して前記第２ギアに噛合する第４ギアを同軸に
   回転自在に配した第１の二段ギアと、 前記第３ギアに噛合する一方向回転ギア手段及び該一方
   向回転ギア手段に滑り機構を介して前記第４ギアに噛合
   する第５ギアを同軸に回転自在に配した第２の二段ギア
   とからなり、 前記駆動源の一方向回転時、前記第１の二段ギアは前記
   滑り機構を介して回転駆動されるも、前記第２の二段ギ
   アが空転して前記一方の回転体を第１のトルクで回転駆
   動し、 前記駆動源の他方向回転時、前記一方向回転ギア手段の
   回転による第２のトルクが前記第１のトルクに付加され
   て前記他方の回転体を回転駆動することを特徴とする回
   転体のトルク制御装置。