JPH0777712B2 - 布地裁断装置 - Google Patents

布地裁断装置

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JPH0777712B2
JPH0777712B2 JP5003976A JP397693A JPH0777712B2 JP H0777712 B2 JPH0777712 B2 JP H0777712B2 JP 5003976 A JP5003976 A JP 5003976A JP 397693 A JP397693 A JP 397693A JP H0777712 B2 JPH0777712 B2 JP H0777712B2
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伸行 花岡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、布地の裁断に用いられ
る布地裁断装置に関する。
【0002】
【発明の背景】衣類製造の際に行われる布地の裁断に
は、図6に示す様な完全自動化された布地裁断装置が用
いられている。図6中、50は布地、51は布地を置い
ている載置台、52a,52bは載置台51上に配設さ
れたレール、53はレール52a,52bに掛渡された
サドル、54はレール52a,52bに乗っているロー
ラー55を駆動させる為のサーボモータであり、サーボ
モータ54を作動させるとサドル53がレール52a,
52b上をY−Y方向に走行するように構成されてい
る。
【0003】56a,56bはサドル53の梁部に平行
配設されたレールであり、このレール56a,56b上
にナイフ保持体57が載置されている。ナイフ保持体5
7は、サドル53の梁部両端に軸支されたプーリ58
a,58bに張架されてなるベルト59に連結されてお
り、サドル53に配設されたサーボモータ60を作動さ
せると、ナイフ保持体57はレール56a,56b上を
X−X方向に走行するよう構成されている。
【0004】Bはナイフ保持体57に取付られた略平行
幅のナイフであり、図7に示す如く、刃先に微小逃角θ
1 が設けられている。そして、このナイフBはナイフ保
持体57の内部機構によりZ−Z方向に高速で往還(往
復)動し、布地50を所定形状に裁断するよう構成され
ている。上記の如く構成された従来の布地裁断装置にお
いては、ナイフBのXY方向への走行速度と、ナイフB
のZ−Z方向の往復動速度及び微小逃角θ1 との関係か
ら、布地の裁断時に際してはナイフBの刃先が常に布地
50に当接しており、擦切りによる布地の裁断が行われ
る。
【0005】ところで、上下に往復動するナイフBの擦
切り作用が停止した状態(ナイフBの上死点及び下死
点)においては、ナイフBが布地に当接したままXY方
向に走行しているので、布地を引裂くような裁断作用、
いわゆる「当切り」が行われる。即ち、このような従来
の布地裁断装置による布地の裁断工程を図8を用いて説
明する。尚、図8はナイフBの裁断工程をO〜Sの5段
階で示したものである。
【0006】O:ナイフBは下死点を迎え、その降下運
動は停止する。しかしながら、ナイフBの刃先は降下運
動が停止している僅かな時間も布地に当接した状態で前
進しており、当切りが行われている。 P:ナイフBは上昇運動中であり、その刃先は布地に当
接した状態で前進しており、擦切りが行われている。
【0007】Q:ナイフBは上死点を迎え、その上昇運
動は停止する。しかしながら、ナイフBの刃先は上昇運
動が停止している僅かな時間も布地に当接した状態で前
進しており、当切りが行われている。 R:ナイフBは降下運動中であり、その刃先は布地に当
接した状態で前進しており、擦切りが行われている。
【0008】S:ナイフBは再度下死点を迎え、その降
下運動は停止する。しかしながら、ナイフBの刃先はO
と同様に降下運動が停止している僅かな時間も布地に当
接した状態で前進しており、当切りが行われている。 上記の如く、布地の裁断具合は、ナイフBが上下に往復
動する間に急変し、しかも、上下死点では当切りのよう
な無理な裁断が行われるので、布地は不要な損傷(例え
ば「糸引き」と呼ばれる裁断面の縦糸が抜け出す現象)
を受ける。
【0009】又、刃先に無理な力が掛かる当切りが反復
して行われる為、刃先の切れ味が急激に低下し、頻繁に
刃先の研磨を行わねばならない。しかも、この刃先の研
磨は裁断中に最も切れ味が鈍くなり易い箇所を基準にし
て行われるものであるから、研磨量も必然的に多くなる
のである。
【0010】
【発明の開示】本発明の目的は、布地の裁断が高速、か
つ、円滑に行え、裁断具合も良好で、メンテナンスも容
易な布地裁断装置を提供することである。上記本発明の
目的は、刃先において布地に当接する側がテーパー状に
構成された刃部と、この刃部を垂直方向に往還させる往
還手段と、前記刃部を水平方向に走行させる走行手段と
を具備してなる布地裁断装置であって、 前記刃部の刃先
テーパー角度θ、前記刃部の還時における垂直方向の速
度u、及び前記刃部の還時における水平方向の速度v
が、 u・tanθ>v を満たすよう前記往還手段と走行手段とが動作し、前記
刃部の往時においてのみ刃先が布地に当接し、かつ、前
記刃部の還時においては刃先が布地から離間するよう
成したことを特徴とする布地裁断装置によって達成され
る。
【0011】即ち、本発明の布地裁断装置は、刃部が上
昇運動(還動作)に移行すると、刃部は水平方向に走行
中であるにも係わらず、刃先が布地から大きく引き離さ
れるようになるので、布地の裁断面に損傷が起きず、し
かも切れ味を長時間にわたって持続できるから研磨回数
の低減が図れる。 又、刃部が降下運動(往動作)に移行
すると、刃先は上方から布地に圧接し、布地を押切るよ
う作用するから、布地を当切りすることがなく、効率良
く裁断作業が行え、高品質な裁断製品が得られる。
【0012】更に、刃先に無理な力が掛からないので、
長時間の使用によっても切れ味の低下が起き難く、従っ
て、研磨作業の回数や研磨量も少なくて済み、経済性に
富む。尚、刃先のテーパー角度は約15〜25°である
ことが好ましく、即ち、この角度の刃先によれば、布地
が最も良好に裁断され、刃部の布地からの離間も十分で
ある。
【0013】
【実施例】図1〜図5は本発明に係る布地裁断装置の一
実施例を示すものであり、図1は本発明に係る布地裁断
装置の斜視図、図2は布地裁断装置のナイフ保持体の断
面図、図3はナイフの側面図、図4はナイフの正面図、
図5はナイフの裁断工程を示す説明図である。
【0014】各図中、Aはナイフであり、A1 、A2
びA3 はそれぞれナイフAの背、腹、刃先である。ナイ
フAの側面形状は、図3に示す如く、布地に当接する刃
先A3 が背A1 に対して角度θ2 (約20°)を成すよ
うに構成され、しかも、刃先A3 の両側面は、図4に示
す如く、左右対称に研磨されている。
【0015】1は布地、2は布地1を置いている載置
台、3a,3bは載置台2上に配設されたレール、4は
レール3a,3bに掛渡されたサドル、5はレール3
a,3bに乗っているローラー6を駆動させる為のサー
ボモータであり、サーボモータ5を作動させると、サド
ル4がレール3a,3b上をY−Y方向に走行するよう
に構成されている。
【0016】7a,7bはサドル4の梁部に平行配設さ
れたレールであり、このレール7a,7b上にナイフ保
持体8が載置されている。ナイフ保持体8は、サドル4
の梁部両端に軸支されるプーリ9a,9bに張架されて
なるベルト10に連結されており、プーリ9bと連動す
るサーボモータ11を作動させると、ナイフ保持体8が
レール7a,7b上をX−X方向に走行するように構成
されている。
【0017】尚、ナイフAの上端部は、ナイフ保持体8
内に収納されており、ナイフ保持体8の内部機構によ
り、ナイフAはZ−Z方向に高速で往復動させられ、X
Y方向への走行と相まって、布地1を所定形状に裁断す
るよう構成されている。次に、ナイフ保持体8の内部機
構について、図2を用いて詳細に説明する。12a,1
2bは、ナイフ保持体8に取付けられたレールガイドで
あり、このレールガイド12a,12bは、レール7
a,7bに対応しており、ナイフ保持体8のX−X方向
への走行をガイドするように構成されている。
【0018】13、14及び15は、それぞれナイフ保
持体8の基体部、上下動部及び旋回部であり、上下動部
14は軸16及び軸受17を介して、基体部13と連結
されており、旋回部15はベアリング18を介して上下
動部14に回動自在に連結されている。19は基体部1
3に固定されたサーボモータ、20はサーボモータ19
の回転軸に取付けられたプーリ、21もプーリであり、
このプーリ21には、基体部13にベアリング22a,
22bを介して配設されたスクリュウシャフト23の上
端部が取付けられている。又、プーリ20とプーリ21
には位置ズレ防止を兼ねた駆動力伝達用の歯付ベルト2
4が張架され、サーボモータ19の駆動力がスクリュウ
シャフト23を回転させるように構成されている。
【0019】25は上下動部14に固定されたナット部
であり、スクリュウシャフト23とナット部25とがボ
ールスクリュウ機構を形成しているので、サーボモータ
19を作動させると、スクリュウシャフト23が回転
し、上下動部14を基体部13に対して相対的に上下動
させるように構成されている。尚、この上下動部14の
上下動はナイフAを研磨する際の精密な上下位置決めに
際して必要となる。
【0020】26は上下動部14を吊架する如く、上端
が基体部13に、下端が上下動部14に取付けられたス
プリングであり、このスプリング26の張力は、ボール
スクリュウ機構が上下動部14に加える力に拮抗し、上
下動部14の安定が保たれる。27は上下動部14に固
定された駆動モータ、28は駆動モータ27の回転軸に
取付けられたプーリ、29もプーリであり、スプリング
30及び支持ロッド31を介して旋回部15に配設され
たプーリ台32に軸支されている。
【0021】33もプーリであり、このプーリ33は旋
回部15に回転自在に支持されたシャフト34に取付け
られている。35はプーリ28、29及び33を介し
て、駆動モータ27の駆動力を伝達する為のベルトであ
り、このベルト35にはスプリング30の弾撥力によ
り、プーリ29を介して適度なテンションが付与されて
いる。
【0022】シャフト34のプーリ33が取付られた側
と逆側には、クランク機構36が構成されており、更に
クランク機構36の偏心軸には、板状のクランクロッド
37の一端が回動自在に取付けられている。更に、クラ
ンクロッド37の他端には、ボールスプライン軸受38
を介して旋回部15に上下動自在に配設されたボールス
プライン軸39の上端が揺動自在に取付けられている。
【0023】即ち、駆動モータ27の回転力がベルト3
5により、クランク機構36に伝達され、このクランク
機構36によって回転運動が往復運動に変換され、更に
ボールスプライン軸39を上下に往復動させるように構
成されている。ここで、ナイフAの上下動ストローク
(シャフト34とクランク機構36の偏心軸間距離の二
倍の長さ)は、刃先A3 の背A1 方向への投影寸法Lよ
りも短かいように設定される。
【0024】40はボールスプライン軸39とナイフA
を着脱自在に連結するピン、41は裁断される布地を押
さえつける皿状のプレッャプレートであり、このプレッ
ャプレート41にはナイフAを挿通させる為の孔が中央
に設けられており、更に、旋回部15に上下動自在に配
設されたシャフト42に取付けられている。43はシャ
フト42の大径部42aと旋回部15との間に介在させ
られたスプリングであり、このスプリング43の弾撥力
により、プレッャプレート41は布地1に適度な押圧力
を加えるようになり、布地の固定が確実に行われるよう
に構成されている。
【0025】44は上下動部14に固定されたサーボモ
ータであり、このサーボモータ44の回転軸にはプーリ
45が取付けられている。46はナイフAを仮想中心軸
とするプーリであり、このプーリ46は旋回部15と一
体化されてなる。プーリ45とプーリ46の間には歯付
ベルト47が張架されており、サーボモータ44を作動
させると、このサーボモータ44の駆動力は歯付ベルト
47を介してプーリ46に伝達され、旋回部15を上下
動部14に対して相対的に旋回させるよう構成されてい
る。
【0026】48は、詳細に図示してはいないが、刃先
3 の研磨機構であり、砥石を回転させる駆動手段と、
砥石を刃部Aに接離できるように支持する支持手段とを
具備している。上記の如く構成させた布地裁断装置は、
予め指示装置(図示せず)に所定の裁断パターンを入力
すると、自動的に載置台2に固定された布地1の上を、
ナイフ保持体8がXY方向に走行し、同時に、ナイフA
が上下に往復動するので、布地1は所定の形状に裁断さ
れていく。
【0027】しかも、旋回部15が適宜旋回させられ、
ナイフAの刃先Aが常に裁断方向を向くようになるか
ら、良好な裁断が行われる。特に、装置は、テーパー角
θ を有する刃部AのXY方向における合成速度vと、
同じく刃部AのZ方向における往復動速度uとが、次の
式(1)を満たして動作するよう制御されている。 u・tanθ ≧v −−−−−−(1) 従って、刃部Aが上昇運動に移行すると、刃部AはXY
方向に走行中であるにも係わらず、刃先A が布地1か
ら大きく引き離され、その裁断面に糸引き等の損傷が起
きない。 ここで、 布地の裁断工程を図5を用いて説明す
る。尚、図5はナイフAが上下に一往復する間に布地1
を裁断する工程をO’〜S’の5段階で示したものであ
る。
【0028】O' :ナイフAの刃先A3 は布地1を所定
の長さ押切った状態であり、ナイフAの降下運動は停止
するが、刃先A3 は当切りが行われる前に布地1から離
間する。 P' :ナイフAは上昇運動中であり、同時に、水平方向
へ走行しているにも係わらず、刃先A3 は布地1から更
に大きく離間する。
【0029】Q' :ナイフAの上昇運動は停止し、続い
て降下運動に移行する。そして、ナイフAの水平方向の
走行と相まった布地1の押切りが始まる。 R' :ナイフAは降下運動中であり、同時に、水平方向
へ走行しており、刃先A3 により布地1の押切りが行わ
れている。 S' :ナイフAは再度、布地1を所定の長さ押切った状
態であり、ナイフAの降下運動は停止するが、当切りが
行われる前に布地1から離間する。
【0030】上記のO' 〜S' の如く反復して行われる
裁断作用は、布地1に上方からナイフAを強制的に圧接
させてなされる「押切り」であるから、確実に繊維が切
断され、高い寸法精度での裁断が保証される。しかも、
裁断速度の管理も容易であり、押切り作用のみで裁断が
行われるから、布地を当切りすることがなく、連続的に
一様な裁断具合で作業が進行し、糸引き等の裁断面崩壊
が発生しない。
【0031】更には、ナイフAの裁断作用が強制的で、
刃先に無理な力が掛からないので、切れ味の低下が起き
難く、刃先の研磨回数や研磨量を大幅に節減できる。従
って、作業効率の向上やランニングコストの低減が図
れ、又、浮遊粉塵の発生量も激減し、作業環境が良好な
ものとなる。
【0032】
【効果】本発明の布地裁断装置によれば、布地の裁断が
高速、かつ、円滑に行え、しかも、裁断具合も良好であ
り、更にはメンテナンスも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る布地裁断装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る布地裁断装置のナイフ保持体の断
面図である。
【図3】本発明に係る布地裁断装置のナイフの側面図で
ある。
【図4】本発明に係る布地裁断装置のナイフの正面図で
ある。
【図5】本発明に係る布地裁断装置による裁断工程の説
明図である。
【図6】従来の布地裁断装置の斜視図である。
【図7】従来の布地裁断用ナイフの側面図である。
【図8】従来の布地裁断装置による裁断工程の説明図で
ある。
【符号の説明】
A ナイフ A3 刃先 1 布地 2 載置台 4 サドル 8 ナイフ保持体 13 基体部 14 上下動部 15 旋回部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 刃先において布地に当接する側がテーパ
    ー状に構成された刃部と、この刃部を垂直方向に往還さ
    せる往還手段と、前記刃部を水平方向に走行させる走行
    手段とを具備してなる布地裁断装置であって、前記刃部の刃先テーパー角度θ、前記刃部の還時におけ
    る垂直方向の速度u、及び前記刃部の還時における水平
    方向の速度vが、 u・tanθ>v を満たすよう前記往還手段と走行手段とが動作し、前記
    刃部の往時においてのみ刃先が布地に当接し、かつ、前
    記刃部の還時においては刃先が布地から離間するよう
    成したことを特徴とする布地裁断装置。
  2. 【請求項2】 刃先のテーパー角度が約15〜25°で
    あることを特徴とする請求項1の布地裁断装置。
JP5003976A 1993-01-13 1993-01-13 布地裁断装置 Expired - Lifetime JPH0777712B2 (ja)

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