JP3585002B2 - 自動丸鋸切断機及び被加工物の切断方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は自動丸鋸切断機及び被加工物の切断方法に関し、更に詳しくは木材、新素材、鉄鋼、非鉄金属等の切断に好適する自動丸鋸切断機及び被加工物の切断方法に関する。
一般に、大きな棒材、パイプ材、板材等の素材については、これを所定寸法に切断(小割り)して後、製品となすための二次加工を行う。小割りの際には、切断しろが問題であり、もし切断しろが大きいと素材の多くを切り粉にしてロスしてしまう。また切断面の精度も問題であり、例えば切断面が曲がっていたり、又は切断面に不規則なカットマーク(凹凸)が含まれていると、製品の二次加工前に切断面の仕上加工を行わなくてはならない。そこで、切断しろが小さく、かつ高精度の切断面が得られる自動丸鋸切断機の提供が望まれる。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来技術を説明する図である。
図11の(A)は従来の丸鋸切断機の一部平面図を示しており、図において31 はモータ等の回転駆動軸、4は該駆動軸31 の先端に固定した丸鋸刃、100は不図示の切断用台座の上に固定された例えばアルミ合金の被加工物(素材)である。
【0003】
従来は、高速で回転する丸鋸刃4を一定の速度でA点からA´点まで移動させることにより素材100を切断していた。
ところで、一般に、このような丸鋸刃4はその外径が大きい程厚い素材100を切断できる。また丸鋸刃4の刃幅(肉厚)は薄い程、その切断しろは小さく、かつ高速に切断できる。しかし、丸鋸刃4の外径が大きく、又は肉厚が薄いと、刃先に受けた応力が丸鋸刃4のボディーを不規則にたわませる結果、その切断面は不均一なものになってしまう。即ち、切断面には不規則なカットマークが形成される。一方、丸鋸刃4の刃幅(肉厚)を厚くすると、切断面は均一になるが、代わりに切断しろが大きくなる。しかも、丸鋸刃4の刃先には大きな抵抗を受けるので切断速度は著しく低下する。
【0004】
そこで、従来は切断面の仕上がりに重きを置き、厚い丸鋸刃4を使用してゆっくりと切断をするか、又は切断しろや作業能率に重きを置き、可能な限り薄い丸鋸刃4を使用して迅速な切断を行っていた。
図11の(B)は素材100の切断面を図11の(A)のB−B´方向に見た側面図である。
【0005】
例えば肉厚の薄い丸鋸刃4を使用すると、切り始めの時点では丸鋸刃4のボディーを押さえる適当な力が無いので、丸鋸刃4の刃先は素材100との接触により円周方向の左右に比較的大きく蛇行し、この為に切込部分Qの切断幅は外方に広がってしまう。一方、ある程度まで切断が進むと、丸鋸刃4のボディーは素材100の両切断面によって挟まれる結果、刃先の振れは軽減される。しかし、素材100の構造、組成等は必ずしも均一ではないので、刃先と素材100との不規則な相互作用により刃先は微妙に蛇行し、これにより不規則なカットマークCMが形成される。更にまた、組成の不均一は素材100の内部で様々な内部応力を形成しており、この部分が切断されると、内部応力が開放されて、その部分Pは切断後に凸部になったり凹部になったりする。
【0006】
図11の(C)及び(D)は図11の(A)をC−C´方向に見た側面図である。
図11の(C)において、切断前のこの素材100は、例えば図示の如くその中央部が上側にたわんでおり、クランパ(押さえ部材)421 ,422 により素材100を台座22の上に強く押し付けていても、このようなたわみは切断中は保持されている。
【0007】
図11の(D)において、しかし、切断後の素材100については、丸鋸刃4が通り抜けた結果、切断しろの分だけ空間が生じる。そして、引き続きこれらをクランパ421 ,422 で押さえていると、両素材100はたわみの分だけ相互にのめり込み、その結果両切断面は図示の如く不平行に相対することになる。かかる場合には、図からも明らかなように両切断面はもはや台座22(即ち、素材100の底辺)に対しては鉛直にはなってないから、製品の二次加工前に再度鉛直面を形成しなくてはならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の自動丸鋸切断機は、単一の丸鋸刃により単一の方向に切断を行う構造であるので、刃幅(肉厚)の厚い丸鋸刃を使用してゆっくりと切断をしない限り、高い精度の切断は行えなかった。また、素材自体がたわんでいるような場合には、台座に対して鉛直となるような切断面が得られなかった。
【0009】
本発明の目的は、切断しろが小さい上、高い精度の切断が迅速に行える自動丸鋸切断機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は例えば図1,図5の構成により解決される。即ち、本発明の自動丸鋸切断機は、第1,第2の丸鋸刃41,42を有する切断機構部2を、被加工物100に対し相対的に往復動させて、被加工物を切断する自動丸鋸切断機であって、前記切断機構部2に、第1,第2の軸部材91,92を駆動する回転駆動部3と、前記第1,第2の軸部材91,92にそれぞれ軸着される前記第1,第2の丸鋸刃41,42と、切断作業の行きの工程では、前記第1の丸鋸刃41を切断の作用空間に押し出し、かつ前記被加工物100に対する行きの切断を行って後、引き戻し、切断作業の帰りの工程では、前記第2の丸鋸刃42を、前記行きの切断と同一の切断面に押し出し、かつ前記被加工物100に対する帰りの切断を行って後、引き戻す運動機構部5とを備えると共に、前記行きの切断で生じた切断面の不規則なカットマークや凹凸部,被加工物の支持面に鉛直な方向の傾斜面等を前記帰りの切断で切除して、該切断面を一様な平面に切削すべく、前記第2の丸鋸刃42の刃幅を、前記第1の丸鋸刃41よりも厚く設定したものである。
【0011】
【作用】
図1は本発明の原理的構成図であり、図1の(A)は本機の側面概念図、図1の(B)はその正面概念図を示している。
図において、切断機構部2は支持フレーム1上で被加工物100に対し相対的に往復動可能に設けられている。即ち、被加工物100(即ち、切断の台座22)を固定として本機を構成した場合は、切断機構部2が支持フレーム(この場合はレール)1上を矢印c,d方向に往復動する。また切断機構部2を固定として本機を構成した場合は、被加工物100(即ち、台座22)が矢印c,d方向に往復動する。
【0012】
更に切断機構部2において、回転駆動部(例えばモータ)3が回転すると、該回転力は不図示の力伝達手段を介して第1,第2の軸部材91 ,92 に伝わり、これらに軸着した第1,第2の丸鋸刃41 ,42 を夫々矢印a,b方向に高速で回転させる。そして、運動機構部5は、切断の工程に応じて前記何れか一つの丸鋸刃4を同一平面内の切断の作用空間に押し出すべく、少なくとも前記第1,第2の軸部材91 ,92 を前記切断の作用空間に向けて押し出しかつ引き下げる運動を行う。
【0013】
即ち、まず第1の軸部材91を矢印e方向に押し出し、これにより第1の丸鋸刃41を台座22の上側の切断の作用空間に押し出す。次いで切断機構部2を矢印c方向に移動すると、やがて第1の丸鋸刃41と素材100とが接触し、行きの切断を行う。そして、素材100の切断が完了した位置で切断機構部2の移動を停止する。
【0014】
次に第1の軸部材91を矢印f方向に引き下げ、これにより第1の丸鋸刃41を台座22の下側に引き下げる。そして、今度は第2の軸部材92 を矢印g方向に押し出し、これにより第2の丸鋸刃42 を台座22の上側の上記と同一平面内の切断の作用空間に押し出す。しかる後、切断機構部2を矢印d方向に移動すると、やがて第2の丸鋸刃42 と素材100とが接触し、帰りの切断を行う。そして、切断機構部2がホームポゾションに戻った所で切断機構部2の移動を停止する。なお、以上は切断機構部2が移動する場合を述べたが、素材100が移動する場合も同様である。
【0015】
この場合に、前記第1,第2の軸部材91,92 に夫々第1の丸鋸刃41とこれよりも刃幅の厚い第2の丸鋸刃42 を軸着し、切断の行きの工程で前記第1の丸鋸刃41を切断の作用空間に押し出し、かつ帰りの工程で前記第2の丸鋸刃42 を切断の作用空間に押し出すように構成する。こうすれば、上記のような切断の行きと帰りの工程をフルに利用することにより、行きの切断と帰りの仕上加工とを極めて効率良く行える。
【0016】
即ち、行きの切断は第1の丸鋸刃41 の刃幅が薄いので高速に行える。一方、帰りの切断では、第2の丸鋸刃42 の刃幅は幾分厚いが、行きの切断により既に所定幅以上の切断しろが形成されているので、帰りの切断はこの切断しろの部分を殆ど無負荷の状態で切断することになり、よって帰りの切断も高速に行える。しかも、この場合の第2の丸鋸刃42 は、行きの切断で形成された不規則なカットマーク等を一様な平面に切削するに十分な刃幅を有していれば良く、これはさほど厚い刃幅を必要としない。従って、全体として切断しろは小さい。
【0017】
更に、素材100自体が図11の(C)の如くたわんでいても、図11の(D)の状態で帰りの切断(仕上加工)を行うので、最終的な切断面は台座22に対して鉛直となる。更にまた、この場合の第1,第2の丸鋸刃41,42 は交互に使用されるので、刃の疲労が少なく、耐久性が格段に延びる。
【0019】
【実施例】
以下、添付図面に従って本発明による実施例を詳細に説明する。なお、全図を通して同一符号は同一又は相当部分を示すものとする。
図2は実施例の自動丸鋸切断機の左側面構造図であり、図において、6は図1の切断機構部2を搭載する支持台、61 ,62 は支持台6の斜面、71 ,72 は斜面61 ,62 上で夫々往復動可能に設けられた支持部材、31 ,32 は支持部材71 ,72 上に夫々固定された回転駆動部(例えばモータ)、91 ,92 は同じく支持部材71 ,72 により夫々回転自在に支持されると共にモータ31 ,32 により回転駆動される軸部材、11はモータ3の回転力を伝達するプ−リ、12は同じくベルト、41 ,42 は軸部材91 ,92 に夫々軸着された丸鋸刃、81 ,82 は後述のフレキシブルな高圧エヤーパイプ312 ,313 に夫々接続すると共に支持部材71 ,72 を夫々に往復動させる駆動部材(例えばエヤーシリンダ)である。
【0020】
更に、1は本機の筐体フレーム、211 ,212 は支持台6を案内するレール、24は支持台6を矢印c,d方向に往復動させる駆動モータ、25はモータ24の回転を後述の螺旋螺子26の回転に変換する変速機構部、31はエヤー制御部、311 は高圧エヤーパイプ、312 ,313 はフレキシブルな高圧エヤーパイプ(但し、その一部を図示)、32は後述のカバー41及びクランパ421 ,422 を昇降制御するエヤーシリンダ、331 ,332 はカバー41等の昇降動作を安定化させるガイド棒部材、34は後述の吸気ダクトの気流を導く蛇腹、41は切り粉の飛散を防止するカバー、421 ,422 は素材100のクランパ(押さえ部材)、50は作業者が操作を行うコンソール、61は電源部、62はコンソール50の指示入力に従って本機の主制御を行う制御部である。
【0021】
かかる構成により、モータ31 ,32 が回転すると、該回転力はプーリ11、ベルト12、軸部材91 ,92 を介して夫々丸鋸刃41 ,42 に伝わり、これらを矢印a,b方向に高速で回転させる。この状態でエヤーシリンダ81 を図示の如く伸ばすと、支持部材71 が斜面61 上を上昇し、これにより第1の丸鋸刃41 は切断の作用空間(台座22の上側)に押し出される。またエヤーシリンダ81 を縮め、代わりにエヤーシリンダ82 を伸ばすと、今度は支持部材72 が斜面62 上を上昇し、これにより第2の丸鋸刃42 が前記と同一平面内の切断の作用空間に押し出される。
【0022】
図3は実施例の自動丸鋸切断機の正面構造図で、図において、26はレール211 ,212 と平行に設けられ、かつ変速機構部25により正/逆方向に回転駆動される螺旋螺子、27は螺旋螺子26と噛み合うことにより支持台6を往復動させるナット、28は台座22の下側に飛散する切り粉を電源部61や制御部62等への侵入から遮蔽する遮蔽板、35は台座22の上側に飛散する切り粉を吸い取る吸気ダクト、431 ,432 は素材100のたわみ等によりクランパ421 ,422 に加わる反力のアンバランスを夫々吸収するスプリング部材、そして、151 ,152 は丸鋸刃41 ,42 やその他の回転工具を交換可能に軸着する装着金具である。
【0023】
かかる構成により、台座22に素材(例えばアルミ合金板材)100をセットし、コンソール50より切断を指示すると、モータ31 ,32 が回転し、これにより丸鋸刃41 ,42 は夫々矢印a,b方向に高速で回転する。また同時にエヤーシリンダ32が伸びてカバー41が素材100の上に降下し、最終的にクランパ421 ,422 が素材100を台座22の面に押しつけて固定する。更に、蛇腹34を介して吸気ダクト35よりエヤー制御部31の側に空気を吸い込み、台座22の上側に飛散する切り粉を吸い込むように準備する。しかる後、モータ24が回転し、支持台6は矢印c方向への移動を開始する。
【0024】
図4は実施例の切断動作を説明する図である。
図4の(A)において、エヤーシリンダ81 はホームポジションHPでは図示の如く伸びており、これにより丸鋸刃41 は台座22の上側に押し出されている。モータ24の回転に伴い、支持台6は一定かつ比較的に速い速度で矢印c方向に移動する。やがて丸鋸刃41 の円周端が素材100に食い込むと、行きの切断が開始される。丸鋸刃41 の刃幅は例えば3mmと薄いのでこの切断は迅速に行われる。
【0025】
図4の(B)において、制御部62は例えば予めコンソール50から設定入力された素材100の切断長Lに従って支持台6の移動量を制御する。即ち、この例では支持台6をホームポジションHPから所定長α+切断長Lだけ移動すれば素材100は完全に切断されている。そこで、この位置でモータ24を停止し、支持台6の移動を停止する。
【0026】
図4の(C)において、しかる後、エヤーシリンダ81 を縮め、代わりにエヤーシリンダ82 を伸ばす。これにより今度は丸鋸刃42 が台座22の上側に押し出される。次に、モータ24を逆方向に回転させ、又は変速機構部25の動作を逆転させると、支持台6は矢印d方向に移動を開始する。
モータ24の回転に伴い、支持台6は一定かつ比較的に速い速度(行きよりも速くても良い)で矢印d方向に移動する。やがて丸鋸刃42 の円周端が素材100に食い込むと帰りの切断(この例では二次加工)が開始される。この例の丸鋸刃42 の刃幅は例えば4mmと幾分厚いが、素材100は行きの切断により既に切り開かれているので、帰りの切断は殆ど無負荷の状態で行われる。
【0027】
図4の(D)において、丸鋸刃42 が素材100を通過すると、帰りの切断は終了する。支持台6は引き続き矢印d方向に進み、やがてホームポジションHPに戻ると、モータ24は停止する。ホームポジションHPではエヤーシリンダ82 を縮め、代わりにエヤーシリンダ81 を伸ばす。これにより今度は丸鋸刃41 が台座22の上側に押し出され、次の切断に備える。
【0028】
図5は実施例の切断及び仕上加工の作用を説明する図である。
図5の(A)は切断の平面図を示しており、まず丸鋸刃41 が矢印c方向に進むと、やがて素材100の一端に食い込む。丸鋸刃41 の刃幅は3mmと薄いので、食い込み時の刃の蛇行は比較的に大きい。このために切り口の部分Qの切断しろは広がる。更に丸鋸刃41 が進むと、刃の微妙な蛇行により不規則なカットマークCMが形成される。そして、更に丸鋸刃41 が進むと、やがて行きの切断を終了するが、この切断により素材100の内部応力が開放された結果、一方には凸部P1 が、また他方には凹部P2 が形成されている。
【0029】
図5の(B)は上記切断の側面図を示しており、この例の素材100は切断部分にたわみを有しているので、行きの切断を終了した時点では、素材100の両切断面は図示の如く台座22に対して鉛直にはなっていない。
かかる状態で、次に丸鋸刃42 が矢印d方向に進み、素材100の他端に食い込む。丸鋸刃42 の刃幅は4mmと幾分厚いが、素材100は既に3mm以上の切断しろで切り開かれているので、食い込み時の負荷は殆ど無い。従って、刃は蛇行せず、帰りの切込部分の切断しろが広がることは無い。更に丸鋸刃42 が進むと、その刃は行きの切断で形成された不規則なカットマークCM、凸部P1 、凹部P2 等に突き当たる。しかし、これらの丸鋸刃42 に対する負荷は極めて軽微である。また図5の(B)に示す如く切断面が相互に傾斜していてもさほど大きな負荷とはならない。従って、丸鋸刃42 は引き続き刃の微妙な蛇行も殆ど無く進み、これにより不規則なカットマークCM、凸部P1 、凹部P2 及び切断面の傾斜等は全て一様で高精度な平面に削られてしまう。そして、最後には最初の切込部分Qの切断しろの広がりも同一の平面に削られてしまう。なお、この場合に、図5の(B)において、帰りの切断後の切断面が台座22に対して鉛直になることは言うまでも無い。
【0030】
図6は実施例の回転工具を説明する図である。 図6の(A)は一例の丸鋸刃41 ,42 の側面を示しており、被加工物の材質に応じて様々な径のメタルソー、フリクションソー、チップソー等を交換して利用できる。
図6の(B)は一例のチップソーの刃の部分の拡大側面図、図6の(C)はその平面図、図6の(D)はその正面図を夫々示している。丸鋸刃42 として適当な刃幅Kのチップソーを使用すれば、側面にも精密で鋭い刃を有するので、切断面の良好な切削加工(仕上加工)が行える。
【0031】
図6の(E)は他の回転工具の側面図、図6の(F)はそのe−e´断面図を示している。この例の回転工具4´はその外周に断面の頭部が3角形状を有するような刃(チップ)を備えている。これ以外にも、仕上加工の目的に応じて様々な断面形状を有する回転工具4´が考えられる。
図7は他の実施例の仕上加工の作用を説明する図である。
【0032】
図7の(A)は丸鋸刃41 により素材100の切断を行った後、例えば図6の(E)の回転工具4´により切断面下側の面取加工を行う状態を示している。
なお、この場合の駆動部材82 は、上記のようなエヤーシリンダ82 ではなく、不図示のモータと歯車等により構成され、支持台6の斜面62 上にある支持部材72 の移動量を精密に制御可能な構成であることが好ましい。
【0033】
図7の(B)は仕上加工の側面を示しており、支持部材72 の移動量を精密に制御することで回転工具4´の刃頭が台座22の表面より突き出す高さHを任意かつ精密に設定可能である。この状態で支持台6を矢印d方向に移動することにより、素材100に対する帰りの面取加工が行える。
なお、回転工具4´の代わりに、肉厚の丸鋸刃42 をその刃頭の高さHを調整して使用することも可能であり、こうすれば図の点線で示すように素材100の切断面の両底面を角形に切り欠くことも可能である。
【0034】
図8は他の実施例の自動丸鋸切断機を説明する概念図である。
この実施例の切断機は装置の天井側にレール21を備え、その下側に台座22が有る。切断機構部2はレール21にぶら下がっており、該レール21に沿って矢印c,d方向に往復動可能である。
図8の(A)において、モータ31 ,32 が回転すると丸鋸刃41 ,42 は夫々矢印a,b方向に回転する。この状態でエヤーシリンダ81 が図示の如く伸びると、丸鋸刃41 が台座22の面(切断の作用空間)に押し出される。次に支持台6が矢印c方向に移動すると、行きの切断を行う。
【0035】
図8の(B)において、行きの切断を終了すると、エヤーシリンダ81 が縮み、代わりにエヤーシリンダ82 が伸び、今度は丸鋸刃42 が台座22の面(同一平面内の切断の作用空間)に押し出される。次に支持台6が矢印d方向に移動すると、帰りの切断又は加工を行う。
図9は他の実施例の切断機構部を説明する図で、図において、6は図1の切断機構部2を搭載する支持台、101 ,102 は支持台6に突設した支持柱、7は支持柱101 ,102 の間に貫通させた軸を中心として左右に回動可能に設けられた支持部材、3は支持部材7に固定された回転駆動部(例えばモータ)、91 ,92 は同じく支持部材7により回転自在に支持されると共にモータ3により回転駆動される軸部材、11はモータ3の回転力を伝達するプ−リ、12は同じくベルト、41 ,42 は軸部材91 ,92 に夫々軸着された丸鋸刃、8は上記のフレキシブルな高圧エヤーパイプ312 に接続すると共に支持部材7を往復動させる駆動部材(例えばエヤーシリンダ)である。
【0036】
かかる構成により、モータ3が回転すると、該回転力はプーリ11、ベルト12、軸部材91 ,92 を介して夫々丸鋸刃41 ,42 に伝わり、これらを矢印a方向に高速で回転させる。この状態でエヤーシリンダ8を図示の如く伸ばすと、支持部材7は右側に傾き、これにより丸鋸刃41 は切断の作用空間(台座22の上側)に押し出され、かつ丸鋸刃42 は台座22の下側に引き込まれる。またエヤーシリンダ8を縮めると、支持部材7は左側に傾き、これにより丸鋸刃41 は台座22の下側に引き込まれ、かつ丸鋸刃42 は台座22の上側(同一平面内の切断の作用空間)に押し出される。
【0037】
図10は他の実施例の切断機構部の切断動作を説明する図である。
図10の(A)において、エヤーシリンダ8はホームポジションHPでは図示の如く伸びており、これにより丸鋸刃41 は台座22の上側に押し出されている。モータ24の回転に伴い、支持台6は一定かつ比較的に速い速度で矢印c方向に移動する。やがて丸鋸刃41 の円周端が素材100に食い込むと、行きの切断が開始される。丸鋸刃41 の刃幅は例えば3mmと薄いのでこの切断は迅速に行われる。
【0038】
図10の(B)において、制御部62は例えば予めコンソール50から設定入力された素材100の切断長Lに従って支持台6の移動量を制御する。即ち、この例では支持台6をホームポジションHPから所定長α+切断長Lだけ移動すれば素材100は完全に切断されている。そこで、この位置でモータ24を停止し、支持台6の移動を停止する。
【0039】
図10の(C)において、しかる後、エヤーシリンダ8を縮め、これにより今度は丸鋸刃42 が台座22の上側に押し出される。次に、モータ24を逆方向に回転させると、支持台6は矢印d方向に移動を開始する。
モータ24の回転に伴い、支持台6は一定かつ比較的に速い速度で矢印d方向に移動する。やがて丸鋸刃42 の円周端が素材100に食い込むと帰りの切断(二次加工)が開始される。この例の丸鋸刃42 の刃幅は例えば4mmと幾分厚いが、素材100は行きの切断により切り開かれているので、帰りの切断は殆ど無負荷の状態で行われる。
【0040】
図10の(D)において、丸鋸刃42 が素材100を通過すると、帰りの切断は終了する。支持台6は引き続き矢印d方向に進み、やがてホームポジションHPに戻ると、モータ24は停止する。ホームポジションHPではエヤーシリンダ8が再び伸び、これにより今度は丸鋸刃41 が台座22の上側に押し出され、次の切断に備える。
【0041】
なお、上記2種類の切断機構部2の具体例を示したがこれに限らない。切断の工程に応じて丸鋸刃41 又は42 を同一平面内の切断の作用空間に押し出す構造のものであれば、他のどのような構造のものでも良い。
また、上記実施例ではモータ3の回転力をプーリ11、ベルト12、軸部材9を介して丸鋸刃4に伝達する構成を示したがこれに限らない。軸部材9はモータ3の回転軸そのものであっても良い。
【0042】
また、上記実施例では台座22が固定し、支持台6がレール21上を往復動する場合の構成例を示した。逆に支持台6が固定し、台座22が往復動する場合の構成については、公知の移動台座機構を採用することで容易に実現できる。
また、上記実施例では、クランパ421 ,422 は単一のエヤーシリンダ32とスプリング431 ,432 とにより駆動されたが、クランパ421 ,422 は複数のエヤーシリンダにより夫々独立に駆動されるように構成しても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、第1の丸鋸刃41よりも第2の丸鋸刃42 の刃幅を大となすことで、行きの切断と、帰りのその切断面の仕上加工とを極めて効率良く行える。しかも、この場合は切断しろが小さい上、高精度の切断が迅速に行える。更に、第1,第2の丸鋸刃41,42 は交互に使用されるので、寿命が長い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の原理的構成図である。
【図2】図2は実施例の自動丸鋸切断機の左側面構造図である。
【図3】図3は実施例の自動丸鋸切断機の正面構造図である。
【図4】図4は実施例の切断動作を説明する図である。
【図5】図5は実施例の切断及び仕上加工の作用を説明する図である。
【図6】図6は実施例の回転工具を説明する図である。
【図7】図7は他の実施例の仕上加工の作用を説明する図である。
【図8】図8は他の実施例の自動丸鋸切断機を説明する概念図である。
【図9】図9は他の実施例の切断機構部を説明する図である。
【図10】図10は他の実施例の切断機構部の切断動作を説明する図である。
【図11】図11は従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
1 支持フレーム
2 切断機構部
3 回転駆動部
41 ,42 丸鋸刃
5 運動機構部
61 ,62 斜面
71 ,72 支持部材
81 ,82 駆動部材
91 ,92 軸部材
101 ,102 支持柱
11 プーリ
12 ベルト
22 台座
100 被加工物
Claims (3)
- 第1,第2の丸鋸刃を有する切断機構部を、被加工物に対し相対的に往復動させて、被加工物を切断する自動丸鋸切断機であって、
前記切断機構部に、
第1,第2の軸部材を駆動する回転駆動部と、
前記第1,第2の軸部材にそれぞれ軸着される前記第1,第2の丸鋸刃と、
切断作業の行きの工程では、前記第1の丸鋸刃を切断の作用空間に押し出し、かつ前記被加工物に対する行きの切断を行って後、引き戻し、切断作業の帰りの工程では、前記第2の丸鋸刃を、前記行きの切断と同一の切断面に押し出し、かつ前記被加工物に対する帰りの切断を行って後、引き戻す運動機構部とを備えると共に、
前記行きの切断で生じた切断面の不規則なカットマークや凹凸部,被加工物の支持面に鉛直な方向の傾斜面等を前記帰りの切断で切除して、該切断面を一様な平面に切削すべく、前記第2の丸鋸刃の刃幅を、前記第1の丸鋸刃よりも厚く設定したことを特徴とする自動丸鋸切断機。 - 第1,第2の丸鋸刃を有する切断機構部を、被加工物に対し相対的に往復動させて、被加工物を切断する自動丸鋸切断機の切断方法であって、
切断作業の行きの工程では、前記第1の丸鋸刃を切断の作用空間に押し出し、かつ前記被加工物に対する行きの切断を行って後、引き戻し、
切断作業の帰りの工程では、前記第1の丸鋸刃よりも刃幅の厚い前記第2の丸鋸刃を、前記行きの切断と同一の切断面に押し出し、かつ前記被加工物に対する帰りの切断を行って後、引き戻して、前記行きの切断で生じた切断面の不規則なカットマークや凹凸部,被加工物の支持面に鉛直な方向の傾斜面等を切除して、該切断面を一様な平面に切削することを特徴とする自動丸鋸切断機を用いた被加工物の切断方法。 - 前記第2の丸鋸刃を用いた帰りの切断を、前記第1の丸鋸刃を用いた行きの切断よりも高速で行うことを特徴とする請求項2に記載の自動丸鋸切断機を用いた被加工物の切断方法。
Priority Applications (1)
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JP11900595A JP3585002B2 (ja) | 1995-04-21 | 1995-04-21 | 自動丸鋸切断機及び被加工物の切断方法 |
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JPH08290325A JPH08290325A (ja) | 1996-11-05 |
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-
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