JPH0777281B2 - 半導体レーザの製造方法 - Google Patents

半導体レーザの製造方法

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JPH0777281B2
JPH0777281B2 JP1341893A JP1341893A JPH0777281B2 JP H0777281 B2 JPH0777281 B2 JP H0777281B2 JP 1341893 A JP1341893 A JP 1341893A JP 1341893 A JP1341893 A JP 1341893A JP H0777281 B2 JPH0777281 B2 JP H0777281B2
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達也 佐々木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信装置や光制御装
置などにおいて光源として用いられる半導体レーザの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信用半導体レーザには、低いしきい
値電流で発振し、基本横モードを維持したまま高出力動
作をすることが望まれる。そのため、注入電流を活性層
に閉じこめて高い電流−光変換効率を得るために、種々
の素子構造が考案されてきた。また高速変調を可能にす
るため、寄生容量の低減された素子構造が必要であっ
た。代表的な構造は、活性層を含むダブルヘテロ(D
H)構造をメサエッチングし、電流ブロック構造で埋め
込んだ、埋め込みダブルヘテロ(BH)構造である。図
4(a)〜(c)はその従来例を示す断面図である。い
ずれも、n−InP基板18の上にn−InPクラッド
層7(図では、基板18に含まれており、クラッド層7
として描いてない)、活性層6、p−InPクラッド層
5からなるDH構造を幅約1.5μmのストライプ状に
メサエッチングし、電流ブロック構造を埋め込む成長
し、さらに全面にp−InPクラッド層16、p−In
GaAs(P)コンタクト層17を成長している。電流
ブロック構造として図4(a)、(c)ではp−InP
ブロック層4、n−InPブロック層3からなるサイリ
スタ構造を用い、図4(b)では半絶縁(SI)−In
Pブロック層14を用いて容量の低減を図っている。図
4(c)はDC−PBH構造と言われ、電流ブロック構
造の外側に活性層が残っており、ブロック層を流れるリ
ーク電流をさらに低減させた構造となっている。
【0003】こうした構造は当初は液相エピタキシャル
成長(LPE)法で開発されたが、近年は大面積成長が
可能な、有機金属気相成長(MOVPEまたはMOCV
D)法などの気相成長法で作製されるようになってき
た。また薄膜成長が可能な気相成長法の特徴を生かし
た、多重量子井戸(MQW)構造を活性層に用いた素子
も開発され、種々の素子特性の改善が実現されてきた。
【0004】しかし、いずれの製造方法を用いても、D
H構造のメサエッチングにおけるメサ幅のばらつきの問
題があった。特に大面積ウエハをそのまま用いて素子製
造を行う場合、エッチングのばらつきによって活性層幅
が一定にならず、発振波長などの素子特性の不均一性が
課題となっていた。
【0005】この課題を解決するために、選択成長を用
いた素子製造方法が提案された(特願平3−06749
8)。本方法では半導体基板表面に形成された、2本の
成長阻止ストライプマスクに挟まれた領域に選択的にD
H構造を成長することにより、高い活性層幅均一性を得
ることが可能となる。素子構造を図4(d)に示すよう
に、n−InP基板18の上にn−InPクラッド層
7、活性層6、p−InPクラッド層5からなるDH構
造を選択成長し、活性層幅が約1.5μmのリッジ構造
を形成した後、リッジ構造を覆うようにp−InPクラ
ッド層16、p−InGaAs(P)コンタクト層17
を選択成長し、リッジ領域上にp側電極31を形成して
半導体レーザ構造としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図4(d)の構造はメ
サエッチングを用いないで製造できる。そこで、本図の
構造には、大面積ウエハを用いても活性層幅などの素子
寸法が高い均一性で制御できるという特徴があった。し
かし、活性層脇の電流狭搾構造がInPのpnホモ接合
からなっているから、電流注入量を高くした時のリーク
電流が増大するという欠点があった。このため、光出力
の飽和が生じやすく、高出力特性に弱点があった。また
pn接合における寄生容量のために素子の容量を低くで
きず、2.4Gb/s以上の高速動作が困難であるとい
う難点もあった。このため、選択成長の特徴を生かしつ
つ、電流狭搾構造の導入や素子容量の低減を実現する素
子製造方法が必要とされていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に電流狭
搾構造を形成した半導体基板の導波領域において、前記
電流狭搾構造をストライプ状に除去して溝を形成した
後、前記溝に接して形成した2本の成長阻止ストライプ
マスクを用いて、半導体クラッド層を前記溝を平坦に埋
め込むように成長し、さらに引き続いて半導体活性層お
よび半導体クラッド層を連続して成長する工程を含むこ
とを特徴とする半導体レーザの製造方法である。前記電
流狭搾構造は、互いに異なる導電型の少なくとも2つの
半導体層を積層した構造か、又は半絶縁性半導体層から
構成することができる。
【0008】
【作用】図5にMOVPEによる埋め込み形状の断面を
示す。(100)InP基板にSiO2 などの成長阻止
ストライプマスクを[011]方向に形成した後、エッ
チングにより基板に垂直な溝を形成してInPの埋め込
み成長を行うと、初めは[100]方向に比べて成長速
度の遅い(111)B面が側部に形成され、次第に(1
00)面が支配的になることにより、ほぼ平坦な(10
0)面で溝を平坦に埋め込むことが可能である。さらに
成長を続けると、再び(111)B面が側面に形成さ
れ、平坦な(100)面が形成される。こうして、従来
と同様にDH構造をリッジ状に形成することができる。
【0009】この現象を利用して、始めに基板上に電流
ブロック層を成長しておいてから溝を形成し、その溝を
クラッド層で埋め込むことにより、選択成長活性層を有
する半導体レーザ構造に電流狭搾構造を導入することが
可能となる。特に溝の外側には電流ブロック層の上にD
H構造を積層することになり、図4(c)のDC−PB
H構造と同様の電流狭搾性に優れた構造が製作できる。
【0010】一方、半絶縁性基板(SI基板)上にコン
タクト層および半絶縁半導体ブロック層(SIブロック
層)を積層してから半絶縁半導体ブロック層をエッチン
グして溝を形成し、DH構造を溝上に成長すれば、きわ
めて低容量の素子を製作できる。
【0011】なお溝の形成にあたってはInGaAsP
などのエッチングストップ層を用いることにより深さの
制御が可能であり、溝の形状も、塩酸系エッチャントを
用いれば、サイドエッチングなしに制御性よく垂直に形
成できる。
【0012】
【実施例】図1は、本発明の半導体レーザ製造方法の実
施例を表す工程図であり、図の(a),(b)及び
(c)は各工程で形成される構造の断面を示す。結晶成
長は減圧MOVPE法で行った。まず(100)p−I
nP基板1にp−InPバッファ層(図には表示されて
いない)、p−InGaAsPエッチングストップ層2
(λg =1.3μm、p=5×1017cm-3、層厚50
nm)、n−InPブロック層3(n=1×1018cm
-3、層厚1μm)、p−InPブロック層4(p=7×
1017cm-3、層厚1μm)を成長した後、表面にSi
2 膜21(膜厚100nm)を成膜し、幅1.5μm
の開口部を300μm間隔で[011]方向に形成し
た。次に塩酸系エッチャントを用いて、p−InPブロ
ック層4およびn−InPブロック層3を選択的にエッ
チングして溝部22を形成した。この時、溝の側壁は垂
直な面が形成された。また溝の底部はInGaAsPエ
ッチングストップ層2が露出して平坦な(100)面と
なった(図1(a))。
【0013】次に、SiO2 膜21を、溝の両端から幅
5μmの領域のみをストライプ状に残して除去し、p−
InPクラッド層5(p=7×1017cm-3、層厚2μ
m)、5つの層でなるInGaAs井戸層(層厚7n
m)およびInGaAsPバリア層(λg =1.3μ
m、層厚10nm)並びにInGaAsPガイド層(λ
g=1.3μm、層厚100nm)からなるMQW活性
層6、n−InPクラッド層7(n=1×1018
-3、層厚0.3μm)を選択成長した。上記の層厚は
SiO2 膜21に挟まれた導波領域での値である。ま
た、各層は導波領域で格子整合するよう予め設定された
条件で成長された。活性層6は基板1の表面と同一平面
上に形成され、界面は平坦であり、n−InPクラッド
層7で薄く覆われた。またマスクとの境界部において、
(111)Bファセットが形成された(図1(b))。
【0014】最後にSiO2 膜21を除去し、全面にn
−InPクラッド層8(n=1×1018cm-3、層厚
1.2μm)およびn−InGaAsコンタクト層9
(n=4×1018cm-3、層厚0.3μm)を成長し、
基板側にp側電極31、成長層側にn側電極32を形成
してレーザ構造とした(図1(c))。
【0015】得られた素子を共振器長300μmにへき
開し、ジャンクションダウンでマウントして評価した。
発振波長は約1.55μmであった。しきい値電流の平
均値は8.4mA、スロープ効率は0.23W/Aであ
り、50mW以上の光出力が安定して得られた。図4
(d)の従来構造では30〜40mWの範囲の光出力に
とどまっており、本発明の電流狭搾構造による効果が確
認できた。
【0016】次に第2の実施例として、図2に工程を示
す半導体レーザを作製した結果について記す。まず(1
00)SI−InP基板10に、n−InGaAsPエ
ッチングストップ層11(λg =1.3μm、n=1×
1018cm-3、層厚50nm)、n−InPコンタクト
層12(n=2×1018cm-3、層厚1μm)、n−I
nGaAsPコンタクト層13(λg =1.3μm、n
=5×1018cm-3、層厚100nm)、SI−InP
ブロック層14(Feドープ、抵抗率1×109 Ω・c
m、層厚2μm)、アンドープInPスペーサ層15
(n=1×1014cm-3、層厚0.2μm)を成長した
後、表面にSiO2 膜21(膜厚100nm)を成膜
し、幅1.5μmの開口部を300μm間隔で[01
1]方向に形成した。次に塩酸系および硫酸系エッチャ
ントを用いて、n−InGaAsPエッチングストップ
層11の上まで選択的にエッチングして溝部22を形成
した(図2(a))。
【0017】次に、SiO2 膜21を、溝の両端から幅
10μmの領域のみをストライプ状に残して除去し、n
−InPクラッド層7(n=1×1018cm-3、層厚
3.1μm)、5つの層でなるInGaAs井戸層(層
厚7nm)5層およびInGaAsPバリア層(λg
1.3μm、層厚10nm)並びにInGaAsPガイ
ド層(λg =1.3μm、層厚100nm)からなるM
QW活性層6、p−InPクラッド層5(p=7×10
17cm-3、層厚0.3μm)を選択成長して溝の上部に
導波領域となるリッジ構造を形成した(図2(b))。
【0018】続いて、リッジ構造に接した側のSiO2
膜21を幅2.5μmにわたって除去し、p−InPク
ラッド層16(n=7×1017cm-3、層厚1.2μ
m)およびp−InGaAsコンタクト層17(p=1
×1019cm-3、層厚0.2μm)をリッジ構造を覆う
ように選択成長した(図2(c))。そして、導波領域
を中心として幅30μmの領域にSiO2 膜21を形成
して、残りの領域をn−InGaAsPコンタクト層1
3の表面が露出するようにエッチングした。露出したn
−InGaAsPコンタクト層13の表面にn側電極3
2を形成し、導波領域上のp−InGaAsコンタクト
層17の表面に窓を開けて、p側電極31を形成した
(図3)。
【0019】共振器長300μmで評価した素子の直列
抵抗は約6Ω、容量は約2pFと低かった。30素子を
測定して、しきい値電流は平均6mA、最大光出力は平
均40mWであった。変調帯域は平均で12GHzと高
い値が得られた。このように本発明により、高速変調に
適した半導体レーザが良好な均一性で得られることが確
認された。なおここではSI−InP基板を用いたが、
通常のn−InP基板を用いてn側電極を基板側に形成
しても、10GHz程度の変調帯域が得られる。
【0020】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の半導体
レーザの製造方法によれば、均一性に優れた選択成長に
よる活性層に電流狭搾構造を備え付けた素子の作製が可
能である。そこで、本発明の方法を利用すれば高出力特
性や高速応答特性に優れた素子が高い歩留まりで得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体レーザの製造方法の一例を
示した工程図である。
【図2】本発明による半導体レーザの製造方法の別の一
例を示した工程図である。
【図3】図2の方法により製造された半導体レーザの断
面図である。
【図4】従来の方法により製造したDH構造半導体レー
ザ例を示した断面図である。
【図5】半導体基板に形成した溝に半導体の結晶成長を
したときにおける結晶成長の様子を概念的に示す断面図
である。
【符号の説明】
1 p−InP基板 2 p−InGaAsPエッチングストップ層 3 n−InPブロック層 4 p−InPブロック層 5 p−InPクラッド層 6 活性層 7 n−InPクラッド層 8 n−InPクラッド層 9 n−InGaAsコンタクト層 10 SI−InP基板 11 n−InGaAsPエッチングストップ層 12 n−InPコンタクト層 13 n−InGaAsPコンタクト層 14 SI−InPブロック層 15 InPスペーサ層 16 p−InPクラッド層 17 p−InGaAsコンタクト層 21 SiO2 膜 22 溝部 31 p側電極 32 n側電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に電流狭搾構造を形成した半導体基
    板の導波領域において、前記電流狭搾構造をストライプ
    状に除去して溝を形成した後、前記溝に接して形成した
    2本の成長阻止ストライプマスクを用いて、半導体クラ
    ッド層を前記溝を平坦に埋め込むように成長し、さらに
    引き続いて半導体活性層および半導体クラッド層を連続
    して成長する工程を含むことを特徴とする半導体レーザ
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 電流狭搾構造が、導電型の互いに異なる
    少なくとも2つの半導体層を積層してなることを特徴と
    する請求項1に記載の半導体レーザの製造方法。
  3. 【請求項3】 電流狭搾構造が、半絶縁性半導体層を含
    んでなることを特徴とする請求項1に記載の半導体レー
    ザの製造方法。
JP1341893A 1993-01-29 1993-01-29 半導体レーザの製造方法 Expired - Lifetime JPH0777281B2 (ja)

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