JPH077709U - 浮上濾層による濾過装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 濾過槽内の浮上濾層を、攪拌装置を使用する
など電力を消費することなく、洗浄水と空気で強力に攪
乱し、短時間で効率よく洗浄が行えるようにする。 【構成】 濾過槽１内に浮上濾層２を有し、原水を上向
流、又は下向流で上記浮上濾層に通水する浮上濾層によ
る濾過装置において、該浮上濾層の層中に垂直に対し傾
いた傾斜板８を配置する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、水よりも比重が小さい濾材、例えばポリスチレン、ポリプロピレ ンの発泡体や、パルプチップ等の粒径１〜１０ｍｍの濾材で浮上濾層を形成した 濾過装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

浮遊物質の濾過、生物膜処理装置として、濾過槽内に浮上濾層を有し、原水を 上向流、又は下向流で上記浮上濾層に通水する浮上濾層による濾過装置は従来か ら公知である。 従来の濾過装置では、運転によって浮上濾層が捕捉した浮遊物質を濾層から分 離して排出する洗浄のため、濾層中の下部に攪拌装置を設置し、洗浄水を下向流 で通水しながら攪拌装置を回転し、浮上濾層の全体を機械的に混合する方法や、 洗浄水を下向流で通水することゝ、濾過槽の底部から空気を噴出することを繰返 して行い、浮上濾層を展開、混合する方法が採用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

攪拌装置で浮上濾層の全体を機械的に攪乱する方法は洗浄効率が良いが、装置 が複雑であること、濾過装置が大型の場合には採用が困難であること、攪拌装置 を回転駆動するために電力を消費することなどの問題点がある。 又、洗浄水と、空気とで交互に浮上濾層を攪乱する方法は、攪拌装置による方 法に比べて濾層の攪乱程度が弱いため洗浄時間を長く要し、洗浄水の使用量が多 くなる。洗浄水には、一般に濾過処理水を使用するが、濾過処理の１〜１０％を 洗浄水として使用しなければならない。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記に鑑み開発したもので、濾過槽内に浮上濾層を有し、原水を上 向流、又は下向流で上記浮上濾層に通水する浮上濾層による濾過装置において、 該浮上濾層の層中に垂直に対し傾いた傾斜板を配置したことを特徴とする。

【０００５】

【実施例】

図示の各実施例において、１は濾過槽、２は浮上濾材で形成した浮上濾層、３ は濾過槽内の上部水中で浮上濾層２の上面を定める通水支持板、４は濾過槽の底 部に配置した集散水管を示し、集散水管には弁を介して原水の供給管５と、洗浄 廃水の排水管６とが接続してある。 濾過を行うには排水管６の弁を閉じ、供給管５から集散水管４に原水を供給す る。これにより原水は集散水管４から出て濾過槽内を上向流し、浮上濾層２中を 通過する際に、含んでいる浮遊物質を浮上濾層に捕捉され、濾過処理水となって 溢流管７から槽外に溢出する。

【０００６】 図１の実施例では、浮上濾層中の下部に、垂直に対して傾いた傾斜板８が平行 に列設してある。又、濾過槽内の底部には散気管９を設け、エアコンプレッサな どからの送気管１０が接続してある。１１は濾過槽内に上から洗浄水を供給する 洗浄水散布管を示す。

【０００７】 傾斜板８の垂直に対する傾斜角度αは浮上濾材の安息角を目安に定めるが、大 体３〜１０°の範囲内である。

【０００８】 浮上濾層２が捕捉した浮遊物質で目詰りし、損失水頭が上昇したら洗浄水と、 空気を交互に供給して洗浄を行う。 洗浄水散布管１１から洗浄水を濾過槽１に供給し、洗浄水を浮上濾層に下向流 で通水して濾層を下向きに展開させると、傾斜板８の傾斜により濾層は横方向の 力を加えられながら移動してほぐれ、同時に濾材は傾斜板と接触してこすられる と共に、濾材の粒同志が摩擦してこすれ、捕捉して濾材に付着する浮遊物質を効 率的に剥離する。剥離した浮遊物質を含む洗浄廃水は集散水管４から排水管６に 排水する。

【０００９】 又、送気管１０から空気を供給すると、濾層中の傾斜板８が設けられている部 分を気泡が浮上する際、図２に示す様に傾斜板の下側に沿って空気の流れが生じ 、これに伴い同様な水流が発生し、気泡が真直ぐに浮上するよりは遥かに濾層の 混合、濾材の洗浄が促進される。尚、傾斜板８の垂直に対する角度は３〜１０° の範囲であるとしたが、この角度を１０°よりも大きくすると気泡の会同が生じ 、通気効率が低下して洗浄効率も下がるので、望ましくない。

【００１０】 上記した洗浄水と、空気による洗浄を交互に数回、繰返すことで洗浄を終わり 、その後、処理水を下向流で浮上濾層２に通水してリンスを行う。

【００１１】 層高３ｍの浮上濾層を有する二つの濾過槽の一方の、浮上濾層中の下部に高さ ３０ｃｍ、垂直に対する傾斜角度が５°の傾斜板を列設し、両濾過槽を洗浄水の 流速５０ｍ／時、空気の流速１０ｍ／時で、３回宛繰返して洗浄を行った。 傾斜板を有さない濾過槽の場合は洗浄水による洗浄を２分宛、３回、空気によ る洗浄を２分宛、３回行い、リンスを５分行った。これに対し、傾斜板を有する 濾過槽では、洗浄水による洗浄を１分宛、３回、空気による洗浄を２分宛、３回 、リンスを４分行って同じ洗浄効果が得られた。これにより１回の洗浄に要する 洗浄水の使用量は約６４％に減少した。

【００１２】 傾斜板８は、図１に示すように濾層中の下部に１段設けることに限らず、図３ に示すように濾層中の上部と下部に同方向に傾けて２段設けてもよいし、２段設 ける場合は図４に示すように上段と下段で傾斜方向を逆にしてもよい。又、１段 設ける場合、一部の傾斜板と、残部の傾斜板は傾斜方向を逆にしてもよい。 更に、濾層中を上下方向に３段又はそれ以上の段数で傾斜板を設けてもよい。 又、傾斜板にはスリットを形成したり、小孔を開設したりなどして、気泡の流れ を阻げないものとすることも有効である。

【００１３】 前述した図１の実施例では原水を濾層中に上向流で通水する場合に付いて説明 したが、原水を下向流で通水し、槽底から処理水を取出すようにしてもよい。又 、この濾過装置は、原水中の浮遊物質の除去以外に、有機性汚水の処理や、窒素 除去等の生物処理装置にも有効に使用できる。

【００１４】

【考案の効果】

本考案によれば攪拌装置を使用するなど電力を消費することなく、洗浄水と空 気で強力に浮上濾層を攪乱し、短い時間で効率よく洗浄が行える。従って、洗浄 水の使用量も少なくて済む。 更に、濾層中に傾斜板を列設するだけでよいため、大型の濾過装置にも容易に 実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による濾過装置の第１実施例の断面図で
ある。

【図２】洗浄時に傾斜板によって生じる水流の説明図で
ある。

【図３】本考案の濾過装置の第２実施例の断面図であ
る。

【図４】本考案の濾過装置の第３実施例の断面図であ
る。

【図５】本考案の濾過装置の他の一実施例の断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 濾過槽 ２ 浮上濾層 ３ 通水支持板 ４ 集散水管 ５ 原水の供給管 ６ 洗浄廃水の排水管 ７ 濾過処理水の溢流管 ８ 傾斜板 ９ 散気管 １１ 洗浄水散布管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 諏佐 美由紀 東京都新宿区西新宿３丁目４番７号 栗田 工業株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 濾過槽内に浮上濾層を有し、原水を上向
   流、又は下向流で上記浮上濾層に通水する浮上濾層によ
   る濾過装置において、該浮上濾層の層中に垂直に対し傾
   いた傾斜板を配置したことを特徴とする浮上濾層による
   濾過装置。