JPH0776406B2 - 鉄鋼製品の組成設計方法 - Google Patents

鉄鋼製品の組成設計方法

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JPH0776406B2
JPH0776406B2 JP2168749A JP16874990A JPH0776406B2 JP H0776406 B2 JPH0776406 B2 JP H0776406B2 JP 2168749 A JP2168749 A JP 2168749A JP 16874990 A JP16874990 A JP 16874990A JP H0776406 B2 JPH0776406 B2 JP H0776406B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、鉄鋼製品の組成設計に関する。
[従来の技術] 鉄鋼製品は従来より最も広く利用されている素材であ
り、その利用形態に応じて様々な必要機能条件が利用者
から製造業者に対して要求仕様の形で提示される。製造
業者はこのような要求仕様を有する鉄鋼製品に対し、各
々の製造仕様を決定するが、安定的かつ低コストな製造
仕様を短期間で決定することは、製品の信頼性向上,販
売促進,短納期化等の点で非常に重要なことである。組
成設計は、鉄鋼製品への添加元素の構成及びその添加量
を決定するものであり、製造仕様の中でも鉄鋼製品の基
本特性である強度特性,衝撃特性等の材質特性に重大な
影響を及ぼし、その他の製造仕様にも影響を与えるの
で、特に重要な設計項目の1つである。
この種の組成設計を支援する装置としては、鉄鋼製品の
規格に関するデータベースとその検索システム、及び過
去の製造実績に関するデータベースとその検索システム
が従来より存在する。しかしながら、これらのシステム
は、あくまでも参考データの獲得を支援するものであ
り、設計そのものを支援するものではない。
また、鉄鋼製品の製造方法そのものが、未だ数学,物理
学等のように充分に解明されたものに至っていないた
め、その組成設計においては、熟練した専門家が上記シ
ステムを使用して獲得した参考データや参考文献などを
参照し、専門家のもつ技術的知識,経験的知識等を駆使
して設計する、というのが実情である。
[発明が解決しようとする課題] 上述のように、従来の組成設計では、専門家の有する知
識への依存度が高く、その知識レベルに応じて設計結果
にばらつきを生じ易い,設計に時間がかかる,熟練専門
家の確保が難しい等々の問題があり、組成設計の自動化
が課題になっている。
更に、組成設計では、その設計条件が多様で、かつ設計
パラメータが多く、各パラメータの取り得る範囲も広い
という広大な設計対象空間を有するものであるため、専
門家は過去の経験で獲得したある種の手順というものに
従って設計するのが通常であり、あらゆるケースにおい
て最適な設計を行なうことは専門家でも事実上困難であ
るという問題があり、これの解決も望まれている。
この組成設計の自動化に関しては、知識工学やそれを応
用したエキスパートシステムの技術を利用することが考
えられるが、単に専門家の知識をシステム化するだけで
は、前述の最適設計問題に関する解決にはならず、広大
な設計対象空間からいかに効率的に最適な組成を抽出す
るかが大きな課題になっている。
従って本発明は、鉄鋼製品の組成設計の自動化、ならび
に、最適な組成の効率的な抽出を課題とする。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決するために、本発明においては、入力さ
れる製品仕様に基づいて、少なくとも、添加元素の構成
に対応する成分系,許容成分値範囲,Ceq特性,及びトー
タルエレメント特性を含む設計条件を決定し、各添加元
素の成分値として検討の対象とする成分値の範囲を、前
記Ceq特性及びトータルエレメント特性に基づいて、前
記許容成分値範囲よりも狭範囲に限定し、各添加元素に
対する成分値候補を前記の限定された成分値範囲内で生
成し、前記設計条件の成分系に対応した成分系束が示す
組合せ条件に従って、段階的に各成分値候補を組合せて
組成候補を生成し、前記設計条件を満足しない組成候補
は削除し、所望の評価条件で前記組成候補を評価した結
果に基づいて、該組成候補の中から最終組成候補を選択
する。
[作用] 入力される製品仕様は、例えば型サイズや規格名称であ
り、これらに基づいて、まず、成分系(添加元素の構
成),許容成分値範囲,Ceq特性,トータルエレメント特
性等の設計条件を決定する。これは、例えば過去の検討
実績データや専門家の知識を整理したデータベースを探
索し、製品仕様に最も類似した事例を捜し出してそれの
設計条件に対応する情報を得ることで実現される。次
に、成分値範囲を得られた許容成分値範囲の中で更に限
定する。
例えば、炭素,珪素及びマンガンの成分値を、それぞれ
X,Y及びZとし、これらの成分値に関し、次の条件式が
存在した場合、 0≦X,Y,Z≦4 ・・・(1) X+Y+Z≧10 ・・・(2) 第(1)式より明らかに Y+Z≦8 であるから、第(2)式より、X≧2でなければならな
い。つまりこの場合には、 0≦X≦4の初期範囲から、2≦X≦4に範囲を限定で
きる(Y,Zについても同様)。このような考え方に基づ
いて、Ceq特性やトータルエレメント特性として定めら
れた設計条件式に、前記許容成分値範囲を初期生成範囲
として適用し範囲の限定がそれ以上出来なくなるところ
まで処理を繰り返すことにより、許容成分値範囲から、
今回の設計条件を満たす可能性のない範囲を予め削減し
て、範囲を限定する。この処理によって、次のステップ
における組成候補の生成量を大幅に低減しうる。
次のこの限定された成分値範囲内において、各添加元素
の成分値候補を生成する。例えば、炭素の成分値をXと
し、Xの成分値範囲が10≦X≦20である場合には、数値
精度が2であれば、10,12,14,16,18及び20の6個をXの
成分値候補として生成する。
このようにして生成される成分値候補の各々に対して、
それらの組み合わせを、設計条件の成分系に対応した成
分系束が示す組合せステップに従って段階的に生成し、
それらを組成候補とする。ここでいう成分系束は、成分
系及びそれに対して生成される部分成分系をその含有関
係で整理したものを意味し、例えば設計条件の成分系が
C−Si−Mn−Vであると、成分系束は第2図のようにな
る。第2図の例では、C,Si,Mn,…に対する成分値候補を
用いて、まずC−Si,C−Mn,…の組合せを生成し、次に C−Si−Mn,C−Si−V,…の組合せを生成する、というよ
うに段階的に処理を進める。また、これらの組合せのう
ち、設計条件を満足しないものについては、早い段階で
それを削除して無駄な組合せの生成を防止する。例え
ば、設計条件の1つとして、Mn/C≧aという条件が存在
する場合、C−Mnの組合せを監視し、 Mn/C<aになる組合せが生成された場合には、生成され
ると同時にその組合せを削除し、その組合せが後続ステ
ップの組合せで使用されないようにする。これによって
無駄をなくし、効率的に組成候補を生成しうる。
最後に、例えば合金コスト,製造の容易さ等の尺度を用
いて評価を行なうことによって、生成された組成候補の
中から、高い評価の得られた最終組成候補が選択され
る。
以上の方法を実施することによって、鉄鋼製品の組成設
計の自動化が可能になり、しかも最適な組成を効率的に
抽出しうる。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の、図面を参照した
実施例説明により明らかになろう。
[実施例] 第3図に、本発明を実施する組成設計装置の構成を示
す。第3図を参照すると、この装置は、計算機本体21と
それに接続された入力装置26及び出力装置27で構成され
ている。計算機本体21の記憶装置上には、知識ベース2
2,データベース23及び推論エンジン25がソフトウェアと
して配置されている。推論エンジン25は、知識ベース22
上に登録された多数の知識データに基づいて各種の推論
を実施し、データベース23上のデータを参照しながら、
入力装置26から入力されたデータを処理し、処理の結果
は出力装置27に出力する。知識ベース22は、処理手順,
処理方法,専門家の知識,評価尺度等の情報をルール形
式で記述した多数のデータ(ルール群)を保持してい
る。データベース23は、様々な規格の内容や過去の検討
実績のデータを多数保持している。
第3図の装置における処理の概略を第1図及び第4a図に
示す。この装置の動作について概略を説明する。まず、
製品仕様として、その型サイズや規格名称を含む情報が
入力装置26から入力される。その製品に対し、仕様上の
制約と製造工程上の制約が存在する。つまり第4a図に示
すように、仕様上の制約として、引張特性,成分値特
性,成分Ceq特性及びトータルエレメント特性が存在
し、また工程制約として、成分上下限範囲制約と強度Ce
q上下限範囲制約が存在する。これら全ての条件を満足
するように自動的に組成設計を実行するのが、第3図の
装置の役割りである。
処理の結果は、例えば第4a図の<組成設計>の欄にC=
0.18/0.15(上限値/下限値),Si=0.40/0.30,Mn=1.35
/1.25として示されるように、各成分値の範囲(上限と
下限)として求められる。
第1図は、第3図の装置の処理手順の概略を示してい
る。第1図の各処理ステップの内容について、以下に説
明する。
1:ここでは、設計対象となる鉄鋼製品の仕様が入力され
る。この仕様には、型サイズ(例えばH形鋼,フランジ
厚,ウェブ厚、フランジ幅,ウェブ高さ)及び規格名称
(例えばJIS,SM41B)が含まれている。
2:ステップ1で入力された仕様情報に基づいて、設計条
件、つまり第4a図に示す工程制約及び客先・規格仕様を
決定する。これらの設計条件のうち、工程制約について
は、一定であるので、これには予めシステムに登録され
た定数を採用する。また、成分値特性及びトータルエレ
メント特性については、基本的に入力仕様の規格で定ま
るので、規格名称を検索キーとして、データベース23上
の規格データベースを検索し、当該規格に割当てられた
成分値特性及びトータルエレメント特性の情報を取得す
る。但し、客先仕様として部分的に規格と異なる値を指
定された場合には、その客先仕様を優先し、それに置き
換える。更に、成分Ceq特性の特性式および制約値は、
客先仕様として指定される。
設計目標となる成分系については、次のようにして決定
する。即ち、データベース23上に設けられた設計実績デ
ータベース(過去の設計実績を整理したデータを保持し
たもの)を参照し、所定の検索条件に基づいて、当該仕
様に最も類似した製品仕様を探索し、その製品の成分系
のデータと同一の内容に決定にする。
引張特性については、客先仕様あるいは規格で定められ
るTS,YP,ELに関する条件を、強度Ceq式に関する制約式
に変換する。ここで、強度Ceq式は、例えば、 強度Ceq=C+Si/a+Mn/b+・・・・ 但し、C:炭素の成分値, Si:珪素の成分値, Mn:マンガンの成分値, a,b,・・:定数 のように、成分値を用いた強度に関する判定式である。
TS,YP,ELに関する条件の強度Ceq式への変換は、以下の
処理によって行なう。
(1)データベース23上に設けられた製造実績データベ
ース(過去の製造実績を整理したデータを保持したも
の)を参照し、所定の検索条件に基づいて、当該仕様に
類似した1つ以上の製品仕様を探索する。
(2)探索結果の製品に関するTS,YP,EL及び成分値の実
績データから、製造時の強度Ceqの変化に対するTS,YP,
及びEL各々の変化特性を推定する。
(3)推定した強度Ceqの変化に対するTS,YP,及びEL各
々の変化特性を用いて、客先仕様あるいは規格で定めら
れるTS,YP,ELに関する条件を全て満足する強度Ceqの範
囲を求め、これを制約式とする。
3:前述の第(1)式,第(2)式を用いた考え方に基づ
いて、Ceq特性やトータルエレメント特性として定めら
れた設計条件式に、許容成分値範囲(第4a図の成分値特
性)を初期生成範囲として適用し範囲の限定がそれ以上
出来なくなるところまで処理を繰り返すことにより、許
容成分値範囲から、今回の設計条件を満たす可能性のな
い範囲を予め削除して、範囲を限定する。この処理によ
って、後述する処理で生成する組成候補の生成量を大幅
に低減しうる。
実際には、次に示すような制約条件を適用することによ
って、範囲を限定している。
まず設計条件として、次の第(3)式に示すI個の下限
制約式及び次の第(4)式に示すJ個の上限制約式を使
用して範囲限定を行なうものとする。
ΣPikXk≧Fimin; i=1,2,・・・・I (k=1〜K) ・・・(3) ΣQjkXk≦Gjmax; j=1,2,・・・・J (k=1〜K) ・・・(4) 但し、Pik,Qjk:負でない制約式係数 Fimin,Gjmax:制約値 であり、 Xk:k=1,2,・・・K は例えば X1:炭素Cの成分値,X2:珪素Siの成分値,・・ のように、各元素の成分値を示すもので、 Xkmin≦Xk≦Xkmax :k=1,2,3,・・・K ・・・(5) なる範囲制約を持つものとする。
第(3)式,第(4)式は、第4a図の引張特性式,成分
Ceq特性式、あるいはトータルエレメント特性式に、第
(5)式は同図の成分地特性に対応するものである。
ここで第(3)式を変形する。まず、左辺Σ項の変数k
を変数rに置き換え、 ΣPirXr≧Fimin;(Σの範囲:r=1〜K) 左辺Σ項からk番目の項(k:1,2,・・・Kの任意の値)
を抜き出すと、 ΣPirXr+PikXk≧Fimin;(Σの範囲:r=1〜K,r≠k) 左辺Σ項を右辺に移項して、 PikXk≧Fimin−ΣPirXr;(Σの範囲:r=1〜K,r≠k) ここで、 ΣPirXr(Σの範囲:r=1〜K,r≠k) は、 ΣPirXr−PikXk(Σの範囲:r=1〜K) とも記述できるから PikXk≧Fimin−(ΣPirXr−PikXk) (Σの範囲:r=1〜K) 従って、 Xk≧〔Fimin−(ΣPirXr−PikXk)〕/Pik (Σの範囲:r=1〜K、Pik≠0) ・・・(6) が得られるが、第(5)式の範囲制約により、第(6)
式の右辺は、 XkL≡{Fi min−(ΣPir Xr max−Pik Xk max)}Pik (Σの範囲:r=1〜K) ・・・(7) なる最小値XkLを持つ。従って、第(6)式及び第
(7)式より Xk≧XkL ・・・(8) なる新たな範囲制約が生成される。ここで、 XkL>Xk minであれば、第(5)式及び第(8)式よ
り、Xkに関する範囲制約を XkL≦Xk≦Xkmax :k=1,2,・・・K ・・・(9) に狭めることができる。
次に前記第(3)式の変形の場合と同様にして第(4)
式を変形すると、 Xk≦{Gj max−(ΣQjr Xr−Qjk Xk)}/Qjk (Σの範囲はr=1〜K,Qjk≠0) ・・・(10) が得られるが、第(5)式の範囲制約により、第(10)
式の右辺は、 XkH≡{Gj max−(ΣQjr Xr min−Qjk Xk min)}/Qjk (Σの範囲はr=1〜K,) ・・・(11) なる最大値XkHを持つ。従って、第(10)式及び第(1
1)式より Xk≦XkH ・・・(12) なる新たな範囲制約が生成される。ここで、XkH<Xk ma
xであれば、第(5)式及び第(12)式より、Xkに関す
る範囲制約を Xk min≦Xk≦XkH :k=1,2,・・・K ・・・(13) に狭めることが出来る。
即ち、第(5)式の範囲制約に対し、第(3)式の下限
制約式を用いることによりその下限側を、第(4)式の
上限制約式を用いることによりその上限側を狭めること
が可能となる。
このような性質を利用して、許容成分値範囲(第4a図の
成分値特性)を初期生成範囲とし、これに第(3)式の
下限制約式を用いた狭範囲化を実施して新たな範囲を生
成し、この新たな生成範囲に第(4)式の上限制約式を
用いた狭範囲化を実施してさらに新たな範囲を生成し、
生成範囲の限定がそれ以上出来なくなるところまで繰り
返し行なうことにより、許容成分値範囲から設計条件を
満たす可能性のない範囲を削除した成分値候補生成範囲
を得ることができる。
上記の説明に基づく処理をフローチャートに示したもの
が第5図である。第5図を参照すると、まずステップ31
で範囲限定に使用する設計条件式を設定し、ステップ32
で許容成分値範囲を成分値候補生成範囲の初期値に設定
している。但し、設計条件の成分系に含まれない元素に
ついては、その成分値候補は零値のみであるため、その
生成範囲の初期値は零〜零に設定している。次いで、生
成範囲の旧値記憶33,下限制約式による狭範囲化34,上限
制約式による狭範囲化35,及び収束判定36の処理を、生
成範囲の限定がそれ以上出来なくなるところまで繰り返
し実行し、最後に生成範囲の決定37を行なう。ここで、
下限値制約式による狭範囲化34において、成分値候補生
成範囲下限値の更新式に許容成分値範囲上限値が含まれ
ているのは、設計条件式を満たす成分値範囲が存在しな
い場合に発生する繰り返し処理の発散を防止するためで
ある。上限値制約式による狭範囲化35において、成分値
候補生成範囲上限値の更新式に許容成分値範囲下限値が
含まれているのも同様の理由による。
以上、ステップ3での範囲限定の考え方を、範囲限定に
使用する全ての設計条件式が線形式でかつその係数が負
でない場合について説明したが、負の係数を含む場合で
も範囲限定が可能である。また、非線形式の設計条件式
を含む場合でも、各成分に対して単調関数であれば、範
囲限定が可能である。
4:この処理では、前のステップ3で限定された成分値範
囲内において、各添加元素の成分値候補を生成する。例
えば、炭素の成分値をXとし、Xの成分値範囲が10≦X
≦20である場合には、数値精度が2であれば、10,12,1
4,16,18及び20の6個をXの成分値候補として生成す
る。但し実際には、例えば「今回のサイズ及び規格にお
いては、Xの値としては通常14の近傍に設定する」とい
う形で、専門家の知識が知識ベース上に登録されてお
り、それに基づいて、成分値候補の優先順位が決定さ
れ、優先順位の高い順に成分値候補を生成する。例えば
14の優先順位が最も高い時には、Xとして、14,16,12,1
8,10,20の順に生成される。
この処理の内容を第6図のフローチャートに示すので参
照されたい。
5:処理ステップ4で生成される成分値候補の各々に対し
て、それらの組み合わせを、設計条件の成分系に対応し
た成分系束が示す組合せステップに従って段階的に生成
し、それらを組成候補とする。ここでいう成分系束は、
成分系及びそれに対して生成される部分成分系をその含
有関係で整理したものを意味し、例えば設計条件の成分
系がC−Si−Mn−Vであると、成分系束は第2図のよう
になる。第2図の例では、C,Si,Mn,・・・に対する成分
値候補を用いて、まずC−Si,C−Mn,・・・の組合せを
生成し、次に C−Si−Mn,C−Si−V,・・・の組合せを生成する、とい
うように段階的に処理を進める。この処理の内容を第7
図に示すので、それを参照されたい。
6:この処理では、ステップ5の処理で生成された各組成
候補に対して、評価を実行する。実際の処理の内容は次
の通りである。
(1)組成候補各々について、各評価尺度に対する個別
評価値を求める。
(2)組成候補各々について、上記(1)で求めた個別
評価値の合計を求め、これをその組成候補に対する総合
評価値とする。評価尺度としては、例えば次のものがあ
る。
(a)合金エキストラ: 合金エキストラを所定の計算方法で求め、これの小さい
組成候補を優先する。
(b)強度Ceq上下限範囲: 組成候補の各成分上限値を用いた場合の強度Ceq値と各
成分下限値を用いた場合のそれとの上下限範囲値を求
め、この上下限範囲値が所定値に近いものを優先する。
評価式=K1×(CEQbase−上下限範囲値)の絶対値 K1:評価係数 CEQbase:強度CEQ上下限範囲所定値 (c)強度Ceq平均値: 組成候補の各成分上限値を用いた場合の強度Ceq値と各
成分下限値を用いた場合のそれとの平均値を求め、この
平均値が設計条件の強度Ceq範囲制約の中央寄りに位置
するものを優先する。
評価式=K2×(CEQave−平均値)の絶対値 K2:評価係数 CEQave:設計条件の強度CEQ範囲制約の中央値 7:この処理では、前の処理ステップ6で得られた総合評
価値を用いて、それが最も良い組成候補を設計結果とし
て選択する。
上記処理ステップ6,7の内容を第9図のフローチャート
に示すので参照されたい。
8:この処理は、組成候補をそれが満足すべき条件式の内
容を満たしているか否かを調べ、満足しないものについ
ては、生成された組成候補を候補記憶装置9上から削除
するものである。この処理は、処理ステップ5と並列に
(実質上同時に)実行されるので、削除はそれが生成さ
れた直後に実施される。条件式の概要は次の通りであ
る。
(1)客先・規格仕様条件式 前述のステップ2で決定される設計条件式であり、第4a
図に示す(a)引張特性式(強度Ceq範囲制約式),
(b)成分Ceq特性式,(c)成分値特性式,(d)ト
ータル・エレメント特性式が含まれる。
(2)工程制約式 前述のステップ2で決定される設計条件式であり、第4a
図に示す(a)成分値上下限範囲制約式,(b)強度Ce
q上下限範囲制約式が含まれる。
(3)専門家知識に基づく条件式 これは、組成設計に関する専門家知識に基づく条件式
で、設計対象の製品仕様に応じて適宜使用されるもので
あり、例えば下記の条件式がある。
(a)製品仕様に衝撃値保証指定がある場合: C≦Cmax 但し、C:Cの成分値候補の値 Cmax:製品仕様に応じた所定の上限値(b)製品仕様に
衝撃値保証指定がある場合: Mn/C≧MNCmin 但し、C:Cの成分値候補の値 Mn:Mnの成分値候補の値 MNCmin:製品仕様に応じた所定の下限値 10:この処理は、成分値候補生成処理4及び組成候補生
成処理5と並列的に(実質上同時に)実行されるもので
あり、候補記憶装置9上で候補の生成状況を監視して、
候補数が所定の上限値に達した時に、成分値候補生成処
理4又は組成候補生成処理5を停止させる。これによっ
て、設計条件を満足する候補数が膨大な場合に、候補記
憶装置9において容量不足が生じるなどの問題を回避す
ることができる。
なお、候補生成停止処理10において、成分値候補生成処
理4又は組成候補生成処理5を途中で停止させた場合で
あっても、この実施例では、前述のように知識データに
基づいて、確率の高い候補が優先的に生成されるので、
組成候補評価処理6において高い評価を得られるはずの
候補が生成されずに処理を終了する、といった不都合は
生じない。
[発明の効果] 以上のとおり本発明の方法を実施することにより、鉄鋼
製品の組成設計の自動化が可能になる。しかも、最適な
組成を効率的に抽出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は第3図の処理手順の概略を示すブロック図、第
2図は成分系束の一例を示すブロック図、第3図は本発
明を実施する装置の構成を示すブロック図である。 第4a図は設計上の制約条件と設計結果の例を示すブロッ
ク図、第4b図は成分値候補生成から評価までの処理の流
れの概略を示すブロック図である。 第5図,第6図,第7図,第8図及び第9図は、各々、
第1図の処理の一部分を詳細に示すフローチャートであ
る。 21:計算機本体、22:知識ベース 23:データベース、25……推論エンジン 26:入力装置、27:出力装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−84719(JP,A) 特開 平1−267773(JP,A) 特開 平3−252869(JP,A) 特開 平4−52219(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力される製品仕様に基づいて、少なくと
    も、添加元素の構成に対応する成分系,許容成分値範
    囲,Ceq特性,及びトータルエレメント特性を含む設計条
    件を決定し、各添加元素の成分値として検討の対象とす
    る成分値の範囲を、前記Ceq特性及びトータルエレメン
    ト特性に基づいて、前記許容成分値範囲よりも狭範囲に
    限定し、各添加元素に対する成分値候補を前記の限定さ
    れた成分値範囲内で生成し、前記設計条件の成分系に対
    応した成分系束が示す組合せ条件に従って、段階的に各
    成分値候補を組合せて組成候補を生成し、前記設計条件
    を満足しない組成候補は削除し、所望の評価条件で前記
    組成候補を評価した結果に基づいて、該組成候補の中か
    ら最終組成候補を選択する、鉄鋼製品の組成設計方法。
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