JP2602346B2 - 鋼材の材質設計装置 - Google Patents

鋼材の材質設計装置

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JP2602346B2 JP2161792A JP16179290A JP2602346B2 JP 2602346 B2 JP2602346 B2 JP 2602346B2 JP 2161792 A JP2161792 A JP 2161792A JP 16179290 A JP16179290 A JP 16179290A JP 2602346 B2 JP2602346 B2 JP 2602346B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、鋼材の材質設計に関し、特に初期条件の設
定及びその結果に基づいた材質設計に関する。
[従来の技術] 鋼材の製造業者においては、過去にそれと一致する実
績がない仕様をユーザから要求された場合、その新しい
仕様に対して材質設計をしなければならない。またこの
種の材質設計においては、まず最初に、設計の初期条件
を決定する必要がある。初期条件として決定しなければ
ならない要素としては、例えば、成分系,成分上下限
値,製造方法などがある。
この種の材質設計及びその初期条件の設定に関して
は、従来より全てそれに詳しい専門家が、その人の知識
に基づいて、過去の材質設計実績や製造実績を思い起こ
し、類似の事例(実績)を捜したり、どのようにすれば
製造できるかという考え方を整理し、思考錯誤を繰り返
しながら初期条件を設定し具体的に材質設計を行なって
いる。
このような作業を自動的に行なう装置は、従来は存在
しなかったので、材質設計及びその初期条件の設定のた
めには常にその専門家が必要であり、しかもその検討に
長い時間を要するのは避けられなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、鋼材の材質設計において、初期条件の設計
及びその結果に基づく材質設計の自動化を可能にするこ
とを課題とする。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決するために、本発明においては、要求
仕様の情報を入力する入力手段;材質設計で使用される
鋼材の少なくとも成分系,成分上下限値,及び製造方法
の条件を示す情報が、その製品の仕様範囲を限定する規
格情報及びそれの識別情報とともに蓄積された、専門家
データベース手段;過去の材質設計実績に関し、当該製
品の少なくとも成分系,成分上下限値,及び製造方法の
条件を示す情報が、前記専門家データベース手段よりも
具体的なその製品の仕様を示す規格情報及び識別情報と
ともに蓄積された、実績データベース手段;要求仕様に
基づいて、前記専門家データベース手段及び実績データ
ベース手段の内容を検索し、該要求仕様に類似した仕様
に関する、少なくとも成分系,成分上下限値,及び製造
方法の条件を示す情報を取得し、その情報を材質設計の
初期条件に設定する、初期条件設定手段;及び前記初期
条件設定手段の設定した初期条件に基づいて材質設計を
実行する、材質設計手段;を備える。
[作用] 本発明においては、要求仕様に対して最も類似した事
例を事例データベースから検索し、その最も類似した事
例の材質設計のための条件を、新しい要求仕様に対する
初期条件に置き換え、この初期条件を基に製造実績デー
タベースに蓄積された製造実績データ(引張試験値,衝
撃試験値,製造工程実績値等)を用いて材質設計を行う
ことを基本としている。
従って、材質設計の初期条件を設定するために、過去
の材質設計実績を蓄積した事例データベースが必要にな
るが、新たな要求仕様に対応するための実績値は存在し
ない。このため、過去の材質設計実績を蓄積した実績デ
ータベースを設けるだけでは、類似仕様の実績を検索で
きる確率が低くなり、材質設計の精度が著しく低下する
という問題点が生じる。
そこで本発明においては、前記問題点を解消するた
め、実績データベースに加えて、専門家の過去の材質設
計に対する知識・経験に基づき、各種の要求仕様に対す
る材質設計のための初期条件(成分系,成分上下限値,
製造方法等)を設定するための事例データを蓄積した専
門家データベースを設けて、事例データベースを、実績
データベースおよび専門家データベースを含むものとし
た。
専門家データベースの中には、過去の材質設計実績,
製造実績のあるものの他に、未だ製造経験のない範囲に
ついても、専門家の予測に基づく初期条件(成分系,成
分上下限値,製造方法等)を事例データとして蓄積して
いる。
これらの事例データは、各種の要求仕様に対応できる
ように、公的規格(以降、規格と言う),製品の厚み範
囲などを識別情報として専門家データベースに蓄積され
ている。
このように、事例データベースは専門家データベース
と、材質設計結果を蓄積した実績データベースの2種類
設けており、実際の類似事例検索では、先ずデータベー
スとして広い範囲を包含している専門家データベースを
検索(実施例のステップ102)し、その検索結果を材質
設計の初期条件として設定する。例えば、過去の近い仕
様の実績が存在しない要求仕様に対しても、専門家デー
タベース手段上の情報に基づいて、類似仕様の情報(成
分系,成分上下限値,製造方法等)を取得して材質設計
の初期条件として設定することができる。尚、専門家デ
ータベースからの検索が不成功の場合は、現在の製造技
術では要求仕様を満足する材質設計は不可能と判断し、
要求仕様に対する保証可否判定は保証不可とする。
次に、材質設計における効率性・精度向上を図る目的
で、もう一つの事例データベースである材質設計実績を
蓄積した実績データベースを検索(実施例のステップ
(105)し、最類似の実績値があれば、その検索結果を
材質設計の初期条件として設定する。
材質設計実績を蓄積した実績データベースは、専門家
データベースと異なり、より具体的な内容になっている
ことから、要求仕様に近い仕様の材質設計実績が過去に
存在する場合は、その実績データベースを検索すること
で、より近い正確な情報を材質設計の初期条件に設定す
ることができる。
尚、実績データベースからの検索が不成功の場合に
は、先の専門家データベースの検索結果を材質設計の初
期条件として、以降の材質設計を行うことになる。
このように設定された材質設計の初期条件に対して、
具体的な材質設計(成分系の決定,成分上下限値の設
定,製造方法の決定など)を行うが、この場合、材質試
験を行ったデータ(引張試験値,衝撃試験値等)が必要
になるため、本発明の好ましい実施例では、製造実績デ
ータベースをも設けている。この製造実績データベース
は、実際に製造した時の各種の材質試験結果が含まれ、
材質設計に必要なデータが蓄積されている。この製造実
績データベースを用いて、材質設計の初期条件を満足す
る具体的な成分設計を行い、要求仕様に対する保証可否
判定を行う。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の図面を参照した
実施例説明により明らかになろう。
[実施例] この実施例では、形鋼を例に説明する。第1図に、本
発明を実施する材質設計装置の構成を示す。第1図を参
照すると、形鋼の要求仕様を入力したり処理結果を出力
するための入出力装置1が計算機本体2に接続されてい
る。計算機本体2の記憶装置上には、ユーザインターフ
ェース3,知識ベース4,推論エンジン5,事例データベース
6及び製造実績データベース7がソフトウェアとして配
置されている。
ユーザが入力する要求仕様等の情報は、入出力装置1
によって入力され、ユーザインターフェース3を介して
推論エンジン5に渡される。推論エンジン5は、入力さ
れた要求仕様の情報を知識ベース4に予め登録された推
論ルールに基づいて処理する。処理中に事例データベー
ス6及び製造実績データベース7の内容を参照する。
この実施例では、事例データベース6の内容は、第2
図に示すように、専門家データベースDB1と実績データ
ベースDB2とで構成されている。専門家データベースDB1
には、材質設計に関する専門家の経験則をもとに整理さ
れた情報が登録されており、実績データベースDB2に
は、過去の材質設計実績のデータを整理したものが事例
グループ毎に登録されている。専門家データベースDB1
の内容の具体例を第3a図に示し、実績データベースDB2
の内容の具体例を第3b図に示す。
第3a図を参照すると専門家データベースDB1には、大
きく分けて代表部,前提条件部,及び結論部が設けられ
ている。代表部のスペックNo.は、前提条件部の主要な
内容をまとめて示す識別符号であり、例えば代表部に示
されたIV−SM41B−L−1は、規格略号がSM41B、衝撃特
性がIV、方向がL、連番が1を示している。代表部に
は、優先順位も含まれている。即ち、同一の前提条件部
に対し、複数の材質設計方法が存在することもあり、そ
の場合には、優先順位に応じていずれかを順番に選択す
ることになる。
実績データベースDB2は、第3b図に示す可否検討共通
項目,サイズ長さ前提テーブル,材質検討仕様テーブ
ル,材質結果仕様テーブルを含み、全体で11のテーブル
で構成されている。各々のテーブルは、第3b図に示すよ
うに、検討番号,型サイズ,長さ−mの3種の情報によ
ってリンクされている。第3b図に示す4つのテーブル
が、後述する類似事例検索で使用される。また、専門家
データベースDB1のスペックNo.が実績データベースDB2
の材質結果仕様テーブルにもスペックNo.として含まれ
ている。第1図の装置の動作の概略を第4図に示す。第
4図中の各ステップの内容について、以下に説明する。
100: このステップでは、要求仕様の情報を入力する。ここ
では、要求仕様の例として、要求規格所属がJIS、要求
規格記号がSM41B、形鋼製品名がH形鋼、形鋼製品寸法
1が300×300×10×15(ウェブ高さ×フランジ幅×ウェ
ブ厚×フランジ厚)、形鋼製品寸法2が250×250×9×
14(ウェブ高さ×フランジ幅×ウェブ厚×フランジ
厚)、材質仕様衝撃特性あり、衝撃温度が−40℃、衝撃
方向がL、吸収エネルギー最小が2.8kgf・m以上、ノッ
チ形状がV、として入力された場合について以下に説明
する。
101: 100で入力される要求仕様の情報は、実際には、第5a
図に示すようにサイズと長さの要求仕様(a1,a2)と材
質の要求仕様(b1,b2)に分かれている。ここでは、後
の処理を容易にするため、仕様が同じものについては、
サイズと長さの要求仕様と材質の要求仕様とを1つにま
とめ、情報を集約化している。つまり、第5a図に示す要
求仕様a1とb1、ならびにa2とb2がそれぞれ紐付けされ、
第5b図に示すように、2組の要求仕様情報に変換され
る。
102: 事例データベース6の中の専門家データベースDB1に
対して、要求仕様(ステップ100で入力した要求仕様の
例、以降この例と表現する)を検索条件として、類似事
例を検索する。
この例では、2組のサイズグループの要求仕様があ
り、各々について検索することになる。このことを具体
的に説明するが、第5b図の(a1+b1)のサイズグループ
に対する内容で説明する。
品名がH形鋼、規格所属がJIS、規格略号がSM41B、板
厚(フランジ厚)が15mmで、さらに、材質仕様特性の衝
撃特性があり、衝撃方向がL、ノッチ方向がV、衝撃温
度が−40℃を検索条件とし、第3a図の前提条件部で前記
の検索条件と合致するデータを検索する。
第3a図の代表部のスペックNo.に示されるIV−SM41B−
L−1とIV−SM41B−L−3の前提条件部を比較する
と、衝撃温度以外は検索条件と前提条件部は共に合致す
るが、衝撃温度条件−40℃に合致する事例は、 第3a図の代表部のスペックNo.に示されるIV−SM41B−
L−3の方であり、結論部に示される内容(成分系,脱
酸方法,成分〔C〕等)を検索結果として得ることがで
きる。
一方、第3a図の前提条件部で前記の検索条件と合致す
るデータが存在しない場合は、現在の製造技術では要求
仕様を満足する材質設計は不可能と判断し、要求仕様に
対する保証可否判定は保証不可とし、処理を終了させ
る。
尚、前記と同様に第5b図の(a2+b2)のサイズグルー
プも検索する。
103: 要求仕様が複数種の場合には、設計内容が同じになる
と予想されるものについて、予めそれらをグループ化
し、検討対象のデータ量を減らす。具体的には、ステッ
プ102の検索結果の識別符号が同一のものが複数あれ
ば、それらは同一のグループとみなし、その中の1つの
みにつて材質設計処理を実行する。この例では、複数サ
イズの要求仕様に対して、いずれもIV−SM41B−L−3
が識別符号として割当てられるので、これらの2つは1
つのグループに割り当てられる。このグループの中でい
ずれの製品寸法を検討対象にするかについては、通常は
板厚(フランジ厚)の厚い方を選択する。
鉄鋼製品においては、同一成分,同一製造方法(圧延
温度,圧下条件等)であれば、板厚の厚いものほど引張
強度が低くなるという特性がある。これは、板厚の厚い
ほど圧下率が低くなり、鉄の組織(結晶粒度)が粗くな
るということに起因している。
実際の製造例では、フランジ厚の厚い方の引張強度が
44Kgf/mm2,フランジ厚の薄い方の引張強度が45Kgf/mm2
という結果が得られている。
従ってこの例では、300×300×10×15を寸法として選
択し、それについて検討する。
なお、板厚の薄い方を検討対象として選択する場合も
ある。即ち、要求仕様の中に降伏比特性が付く場合に
は、板厚の薄い方が難しいので、薄い方を選択する(降
伏比=降伏点/引張強度)。実際の製造例では、フラン
ジ厚の厚い方の降伏比が0.75(33/44)、フランジ厚の
薄い方の降伏比が0.80(36/45)という結果が得られて
いる。この例では、板厚の厚い方が降伏点、引張強度と
もに小さい値であり、板厚の薄い方が大きい値であり、
これと同様の製造方法の場合、板厚の薄い方が強度が大
きくなることを意味する。
104: 上記処理によって検討すべき要求仕様が明らかになっ
たので、仕様の板厚に基づいて規格の内容を把握し、検
討前提条件を生成する。規格に含まれる項目のうち、要
求仕様に存在しないものについては、規格の内容を採用
し、要求仕様と規格とを組合せて、検討前提条件とす
る。この例では、材質要求仕様は衝撃特性のみであり、
それ以外の項目、例えば成分値や引張強度などは存在し
ないので、前者については要求仕様を採用し、後者につ
いては規格の内容を採用する。
105: このステップでは、ステップ104で生成した検討前提
条件に基づき、事例データベース6上の材質設計結果を
蓄積した実績データベースDB2の類似事例を検索する。
類似事例については、先のステップ102において、専
門家データベースDB1の検索により第3a図の代表部のス
ペックNo.に示されるIV−SM41B−L−3の結論部の内容
を検索結果として得ているが、より要求仕様に近い材質
設計結果を用いることにより、ステップ107の材質設計
における効率性・精度向上につながることから、材質設
計結果を蓄積した実績データベースDB2の検索を行う。
この例では、検索条件として品名がH形鋼、規格所属
がJIS、規格略号がSM41B、衝撃特性があるため、衝撃温
度、吸収エネルギーの条件を範囲指定(温度−40℃以
下,吸収エネルギー2.8Kgf−m以上)し、さらにステッ
プ102で検索したスペックNo.IV−SM41B−L−3を条件
とし、それらの条件と合致する材質設計結果の事例を検
索する。
検索結果は、型サイズ情報(ウェブ高さ、フランジ
幅、ウェブ厚、フランジ厚等)、材質設計情報(成分
系,各成分上下限値)、製造方法などがあり、その内容
をステップ107の材質設計の初期条件として設定する。
前述の検索条件と合致する材質設計結果が存在しない
場合は、ステップ102の専門家データベースDB1の検索結
果を材質設計の初期条件として設定する。
一方、過去の材質設計実績データが材質設計の初期条
件として使用可能か否かの判定が重要である。
検索条件には、ステップ102で検索したスペックNo.IV
−SM41B−L−3を含んでいるが、専門家データベースD
B1については先に述べたように、専門家の過去の材質設
計に対する知識・経験に基づき、各種の要求仕様に対す
る材質設計のための初期条件を設定するための事例デー
タを蓄積したものであるが、製造実績を積み重ねること
によりその内容の変更が必要になることがある。
その場合、専門家データベースDB1の内容を変更する
ことになる(当装置の図示しないデータベース維持管理
機能で修正)が、変更の対象となった専門家データベー
スDB1の例えば、スペックNo.aaaを用いて材質設計した
結果が実績データベースDB2に登録されていると、その
内容は過去の古い形の材質設計結果であり、現在の材質
設計方法は変っているので、スペックNo.aaaを基に材質
設計した実績データは使用できないことになる。
このような場合を考慮して、当装置には材質設計実績
データ(例えば、スペックNo.aaa)を使用しないよう
に、スペック−修正有無のフラグを立てることでその判
断を下すようにしている。
その処理は、専門家データベースDB1を修正した時に
自動的に材質設計結果を蓄積した実績データベースDB2
(同一のスペックNo.で設計した過去の材質設計実績)
を検索し、スペック−修正有無のフラグを立てる。
実績データが使用できない場合は、前述の実績データ
なしの場合と同様に、ステップ102の専門家データベー
スDB1を検索した結果を材質設計の初期条件として設定
する。
尚、専門家データベースDB1には、同一の識別符号
(スペックNo.)の事例が複数存在する場合があるが、
その場合には、専門家データベースDB1上に登録された
優先順位に基づいて、1つの事例を選択する。
ステップ105の処理フローを、第6a図,第6b図,第6c
図,及び第6d図に示すので参照されたい。
106: ステップ105において、材質設計結果を蓄積した実績
データベースDB2で得られた型サイズ情報、材質設計情
報をステップ107で行う材質設計の初期条件として設定
する。
材質設計結果を蓄積した実績データベースDB2にない
場合は、専門家データベースDB1で得られた情報を材質
設計の初期条件として設定する。
材質設計は、この初期条件を満足するような製造方法
を検討するものであり、成分系,成分上下限値,炭素当
量値,製造方法(温度制御圧延,熱処理など)等の初期
条件を予め設定することにより、以降の材質設計を効率
よく行うことができる。
例えば、強度特性保証の成分設計などで、〔C〕,
〔Mn〕値などを“0"から設計していては、非効率となる
ことから、予め類似事例により成分系,成分上下限値な
どを設定する。
107: 材質設計フローを第7図(ステップ107)に示す。こ
の実施例における材質設計では、まず衝撃特性の保証可
否判定を行なう。通常、要求仕様内容に衝撃特性がある
場合には、その保証可否から始める。
衝撃特性の保証可否判定は、材質設計の初期条件の内
容を検索条件として製造実績データベースから試験温
度,吸収エネルギー,脆性破面率などを検索し、検索結
果を遷移図に表し、要求仕様内容と実績値を比較して行
なう。この場合、脆性破面率50%の衝撃温度に対して要
求仕様の衝撃温度が高く、且つその温度(要求仕様の衝
撃温度)の実績吸収エネルギー値が、要求仕様の吸収エ
ネルギー値より大きい場合、保証可否判定は、保証可能
とする。また、脆性破面率50%の衝撃温度に対して要求
仕様の衝撃温度が低く、且つその温度(要求仕様の衝撃
温度)の実績吸収エネルギー値が、要求仕様の吸収エネ
ルギー値より小さい場合、保証可否判定は、保証不可と
する。更に、脆性破面率50%の衝撃温度に対して要求仕
様の衝撃温度が低いが、その温度(要求仕様の衝撃温
度)の実績吸収エネルギー値が、要求仕様の吸収エネル
ギー値より揺に大きい場合、保証可否判定は、保証可能
とする。
続いて、強度特性保証の成分設計を行う。強度特性の
保証可否判定は、ステップ106で設定した初期条件を検
索条件として、製造実績データベースから、引張強度,
降伏点,伸び,成分値,炭素当量などを検索し、検索結
果を散布図に表し、要求仕様内容と実績値を比較して行
う。
先ず、散布図に対してバラツキを考慮した線(以下、
評価線と言う)を引く。
例えば、引張強度については横軸が炭素当量(%),
縦軸が引張強度(Kgf/mm2)で、過去の製造実績値をそ
の上に散布図として表し、2本の評価線を引く。一般に
炭素当量が増せば引張強度が増す。従って、評価線は傾
きが正(+)の直線で描かれ、一本は実績引張強度の上
限値を通る線(上評価線)とし、他の一本は実績引張強
度の下限値を通る線(下評価線)で描かれる。この時、
2本の評価線は平行線となる。
次にその散布図に対し、要求強度(要求規格の上下限
値)を表す線を引く。一本は規格上限値を表す上強度
線、他の一本は規格下限値を表す下強度線とする。強度
線と評価線との交点から横軸に対して垂直に降ろした線
の交点が要求強度を保証するための必要炭素当量値を表
し、上評価線と上強度線の交点から降ろした点が上炭素
当量値、下評価線と下強度線の交点から降ろした点が下
炭素当量値を示す。
以下で求めた上炭素当量値と下炭素当量値の範囲が必
要強度を確保するための炭素当量範囲となる。
材質設計の初期条件で得られている炭素当量値が、必
要強度を確保するための炭素当量範囲にある場合、保証
可否判定は保証可能とする。
また、初期条件で得られている炭素当量が、必要強度
を確保するための炭素当量範囲を外れる場合、各成分値
(例えばC,Mnなど)を変更して、必要炭素当量を確保す
る。この結果、保証可否判定は、保証可能となる。どの
ように成分値を変更しても、必要炭素当量が確保できな
い場合には、保証可否判定は、保証不可とする。
溶接特性の要求仕様がある場合には、引き続いて溶接
特性保証の成分設計を行う。今まで行ってきた材質設計
結果をもとに、溶接特性の式(強度特性保証を行った時
の炭素当量式とは異なる式)に材質設計結果の成分値
(例えば、〔C〕,〔Mn〕,〔Si〕など)を代入し、溶
接特性を表す値を求める。その計算結果と要求値との比
較により保証可否判定を下す。
通常、溶接特性仕様は要求値以下の保証を要求される
ことが多く、要求値を満足する材質設計をすると、先の
強度保証のための必要炭素当量が得られなくなる場合が
発生するため、強度保証のための必要炭素当量を保証し
つつ、成分値を変更(成分設計)し、双方を保証する成
分設計を繰り返し、最終的な保証可否判定を下す。
双方を保証する成分設計結果が求まらない場合は、鉄
鋼製品で最も重要な強度特性保証を優先させ、溶接特性
保証は条件つき(例えば、溶接特性保証の要求値を緩
和)で保証可否判定を下す。
最後に材質設計結果をもとに、エキストラの算出を行
う。エキストラとは、ベース価格に対する付加増分コス
トであり、通常製造している製品の成分範囲(以降、鋼
種と言う),製造方法と今回材質設計した結果の成分範
囲,製造方法が異なる場合に、エキストラが必要とな
る。例えば、通常未使用の合金元素を添加した場合、合
金元素の単価と合金元素の添加量を掛ければ製造原価の
アップ分がエキストラとして算出され、付加増分コスト
となる。
尚、製造実績データベースの内容を第8図に示した。
製造実績データベースは、実際に製造した時の試験結果
と各種の試験結果を登録している。第8図を参照する
と、製造時の共通キー(鋼種コード,規格,型サイズな
ど)と、実績の詳細内容〔成分値,機械的性質(引張強
度,降伏点,伸びなど)〕が設けられている。規格,型
サイズなどを検索条件に、製造時の成分値,機械的性質
などを検索する。この検索結果を107の処理内容にある
ように、遷移図,散布図などで表し、成分設計や製造可
否判定を行なう。
108: 107の材質設計の結果を、最新の類似事例として事例
データベース6上の実績データベースDB2に追加登録す
る。また、今回の材質設計では、一方の寸法(300×300
×10×15)の製品だけを検討の対象にしたが、他方の製
品寸法(250×250×9×14)の結果については、今回の
検討結果と同じものとみなして、同一の内容(寸法以外
は)を実績データベースDB2に登録する。このように、
検討の結果は次回の材質設計で使用できるように、事例
データベース6上に蓄積される。
第4図のステップ100〜108の全ての処理は、知識ベー
ス4上に予め登録されたルール群の内容に従って実行さ
れるが、知識ベースは参照用のデータ群の集合であり、
実際の処理は推論エンジン5によって実行される。
なお、上記実施例においては、初期条件の設定とその
結果に基づく材質設計の両方を一つの装置で自動的に処
理する場合を説明したが、初期条件の設定とそれに基づ
く材質設計を別々の装置で処理してもよいし、初期条件
の設定結果を単に表示して、初期条件設定後の材質設計
を人間が行なうように変更してもよい。
[発明の効果] 以上のとおり本発明によれば、形鋼の材質設計におい
て、初期条件の設定及び材質設計を実行することができ
る。従って、専門家が不要であり、材質設計に要する時
間を短縮しうる。また、要求仕様に対してそれに近い類
似仕様の情報をデータベースから抽出し、それを初期条
件に設定するので、過去の設計実績等の内容に対して設
計変更を要する部分が少なく、材質設計の負担を小さく
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明を実施する装置の構成を示すブロック
図である。 第2図は、第1図の事例データベース6の構成を示すブ
ロック図である。 第3a図及び第3b図は、それぞれ、第2図の専門家データ
ベース及び実績データベースの内容の代表例を示すマッ
プである。 第4図は、第1図の装置の処理の内容の概略を示すフロ
ーチャートである。 第5a図及び第5b図は、それぞれ、要求仕様情報の処理前
と処理後の内容の構成を示すマップである。 第6a図,第6b図,第6c図及び第6d図は、第4図のステッ
プ105のフローチャートである。 第7図は第4図のステップ107の内容を示すフローチャ
ートである。 第8図は、材質設計で使用される製造実績データベース
の代表例を示すマップである。 第9図はH形鋼の外観を示す斜視図である。 1:入力装置(入力手段)、2:計算機本体 3:ユーザインターフェース、4:知識ベース 5:推論エンジン(初期条件設定手段,材質設計手段) 6:事例データベース 7:製造実績データベース DB1:専門家データベース(専門家データベース手段) DB2:実績データベース(実績データベース手段)
フロントページの続き (72)発明者 白畑 耕蔵 大阪府堺市築港八幡町1番地 新日本製 鐵株式會社堺製鐵所内 (56)参考文献 日本機械学会関西支部講演会講演論文 集 第250回第2部(1991)相薗、森、 小坂田 P.53−55

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】要求仕様の情報を入力する入力手段; 材質設計で使用される鋼材の少なくとも成分系,成分上
    下限値,及び製造方法の条件を示す情報が、その製品の
    仕様範囲を限定する規格情報及びそれの識別情報ととも
    に蓄積された、専門家データベース手段; 過去の材質設計実績に関し、当該製品の少なくとも成分
    系,成分上下限値,及び製造方法の条件を示す情報が、
    前記専門家データベース手段よりも具体的なその製品の
    仕様を示す規格情報及び識別情報とともに蓄積された、
    実績データベース手段; 要求仕様に基づいて、前記専門家データベース手段及び
    実績データベース手段の内容を検索し、該要求仕様に類
    似した仕様に関する、少なくとも成分系,成分上下限
    値,及び製造方法の条件を示す情報を取得し、その情報
    を材質設計の初期条件に設定する、初期条件設定手段;
    及び 前記初期条件設定手段の設定した初期条件に基づいて材
    質設計を実行する、材質設計手段; を備える鋼材の材質設計装置。
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