JPH0776398B2 - ニオブおよびホウ素を含有するアルミニウム化チタンの製造方法 - Google Patents

ニオブおよびホウ素を含有するアルミニウム化チタンの製造方法

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JPH0776398B2
JPH0776398B2 JP3265469A JP26546991A JPH0776398B2 JP H0776398 B2 JPH0776398 B2 JP H0776398B2 JP 3265469 A JP3265469 A JP 3265469A JP 26546991 A JP26546991 A JP 26546991A JP H0776398 B2 JPH0776398 B2 JP H0776398B2
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    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【関連出願の説明】本願は、1990年6月2日に提出
された米国特許出願第07/546692および07/
546973号、並びに1990年9月26日に提出さ
れた米国特許出願第589,827号と密接に関連して
いる。
【0002】
【発明の背景】本発明は、結晶粒組織の改善という点で
可鋳性の向上を示すγ−アルミニウム化チタン(TiA
l)合金の製造方法に関するものである。更に詳しく言
えば本発明は、ニオブおよびホウ素の同時添加並びに熱
機械的加工の使用によって微細な結晶粒組織および1組
の改善された性質を達成するようなニオブ含有TiAl
の熱機械的加工方法に関する。
【0003】熱機械的加工用の鋳造品または鋳塊を製造
する際には、一般に、鋳造すべき溶融金属が高度の流動
性を有することが望ましい。流動性が大きいと、溶融金
属は鋳型内においてより自由に流れることができるか
ら、小さい断面寸法を有する鋳型部分を満たしたり、ま
た早期の凝固なしに複雑な鋳型部分に入り込むことが可
能となる。これに関連して述べれば、溶融金属が鋭く曲
がったかど部を有する鋳型部分に流入し得ると共に、鋳
造品が使用した鋳型の形状に極めて良く合致するように
するため、溶融金属は低い粘度を有することが一般に望
ましい。
【0004】鋳造品におけるもう1つの望ましい特徴
は、それらが微細な顕微鏡組織を有すること、すなわち
微細な結晶粒度を有することである。そうすれば、合金
の各種成分の偏析が最少限に抑えられる。このことは、
鋳型内における金属の収縮によって熱間亀裂が生じるの
を避けるために重要である。鋳造された金属の凝固およ
び冷却に伴って鋳造品に多少の収縮が起こることは、極
めてありふれた普通の現象である。しかしながら、合金
成分の顕著な偏析が起こる場合には、鋳造品の様々な部
分に亀裂が生じる恐れがある。かかる偏析の結果として
鋳造品は弱体化し、また金属の凝固および冷却並びにそ
れに伴う収縮の結果として鋳造品は応力に暴露されるこ
とになる。換言すれば、溶融金属は鋳型を完全に満たし
かつ鋳型内の微小な空所の全てに流入するのに十分なだ
けの流動性を有することが望ましいと共に、凝固後の金
属は健全であって、過度の偏析または内部の熱間亀裂の
結果として生じた弱い部分を含まないことが望ましいの
である。鋳塊について述べれば、微細な結晶粒度は熱機
械的加工を行うための高温下で高度の変形可能性をもた
らすのが通例である。大きい結晶粒または柱状結晶粒か
ら成る組織は熱機械的加工に際して結晶粒界の割れを起
こし、そのため内部の亀裂や表面の破裂を生じる傾向が
ある。
【0005】1990年9月26日に提出された同時係
属米国特許出願第589,827号明細書中には、比較
的高い濃度のニオブと共にホウ素を添加した結果として
微細な結晶粒組織および優れた性質を有するような組成
物が記載されている。このたび本発明者は、熱機械的加
工によってそれらの性質とりわけ延性を大幅に向上させ
得ることを見出した。
【0006】アルミニウム化チタン組成物自体に関して
は、チタンに添加されるアルミニウムの割合を増加させ
るのに伴い、得られるアルミニウム化チタン組成物の結
晶形態が変化することが知られている。チタンに低濃度
のアルミニウムを添加すると固溶体が得られるが、それ
の結晶形態はα−チタンの結晶形態と同じである。より
高いアルミニウム濃度(すなわち、約25〜30原子%
のアルミニウム濃度)の下では金属間化合物Ti3 Al
が生成するが、これはα2 型と呼ばれる規則的な六方晶
系結晶形態を有している。更に高いアルミニウム濃度
(すなわち、50〜60原子%のアルミニウム濃度)の
下では、γ型と呼ばれる規則的な正方晶系結晶形態を有
する別の金属間化合物TiAlが生成する。本発明は主
としてかかるγ−アルミニウム化チタンに関連するもの
である。
【0007】γ型の結晶形態および約1の化学量論比を
有するチタン−アルミニウム合金は、高い弾性率、低い
密度、高い熱伝導率、好ましい耐酸化性および良好なク
リープ抵抗性を有する金属間化合物である。TiAl金
属間化合物、その他のチタン合金およびニッケル基超合
金に関する弾性率と温度との関係を図1に示す。この図
から明らかな通り、γ−TiAlはチタン合金のうちで
最も優れた弾性率を有している。すなわち、γ−TiA
lの弾性率は高温下において他のチタン合金よりも高い
ばかりでなく、温度の上昇に伴うγ−TiAlの弾性率
の低下速度は他のチタン合金の場合よりも小さいのであ
る。その上、γ−TiAlは他のチタン合金が役に立た
なくなるような温度より高い温度においても有用な弾性
率を保持している。このように、γ−TiAl金属間化
合物を基材とする合金は、高温下における高い弾性率お
よび良好な環境保護特性を要求する用途にとって魅力的
な軽量材料である。
【0008】γ−TiAlの実際的な使用を制限するそ
れの特性の1つは、γ−TiAlの融液が比較的小さい
流動性を有することである。このような小さい流動性は
γ−TiAlの可鋳性を制限するのであって、それは特
に鋳造品が薄肉の部分を有する場合あるいは鋭角の部分
や鋭く曲がったかど部を持った複雑な形状を有する場合
に顕著である。それ故、融液の流動性が向上しかつ鋳造
品が微細な顕微鏡組織を有するようにγ−TiAl金属
間化合物を改良することは、適当な高温下で鋳造品をよ
り広範に使用しようという目的にとって極めて望ましい
のである。なお、本明細書中においてTiAl鋳造品の
顕微鏡組織が言及される場合、それは鋳放しの状態にあ
る鋳造品の顕微鏡組織を指す。本発明者は、特定の高い
濃度のニオブと共にホウ素を含有するγ−TiAl組成
物においては、鋳造品の微細な顕微鏡組織がそれの鍛造
を容易にすることを見出した。本発明者はまた、かかる
鋳造品に鍛造またはその他の機械的加工を施せば、顕微
鏡組織を変化させてそれを改善し得る場合があることを
も見出した。
【0009】γ−TiAlの実際的な使用を制限するも
う1つの特性は、γ−TiAlが室温において脆いこと
である。また、γ−TiAl金属間化合物を構造部材と
して利用するためには、室温におけるそれの強度を向上
させる必要がある。このように、適当な高温下でγ−T
iAl金属間化合物を使用し得るためには、室温におけ
る延性および(または)強度が向上するようにγ−Ti
Al金属間化合物を改良することが極めて望ましいので
ある。
【0010】高温下で軽量材料として有利に使用し得る
ことを考えると、有用なγ−TiAl組成物において最
も所望されることは、それが室温において望ましい組合
せの強度および延性を有することである。かかる組成物
のある種の用途にとっては1%程度の最小延性が得られ
れば十分であるが、それよりも高い延性が得られればな
お一層望ましい。また、組成物が有用であるための最小
強度は約50ksi または約350MPa である。とは言
え、このような強度レベルを有する材料は限界に近い有
用性を有するものに過ぎないのであって、用途によって
はそれよりも高い強度を有することが好ましい場合が多
い。
【0011】γ−TiAl金属間化合物の化学量論比
は、結晶構造の変化なしに一定の範囲内において変化し
得る。すなわち、それのアルミニウム含量は約50〜約
60原子%の範囲内において変化し得る。とは言え、チ
タンおよびアルミニウム成分の化学量論比が1%以上の
比較的小さい変化を受けた場合でも、γ−TiAl金属
間化合物の性質は極めて顕著な変化を示すことがある。
それの性質はまた、比較的少量の第3および第4成分を
添加することによっても同様な影響を受ける。
【0012】
【先行技術の記載】TiAl3 金属間化合物、γ−Ti
Al金属間化合物およびTi3 Al金属間化合物を含め
たチタン−アルミニウム組成物に関しては、数多くの文
献が存在している。「TiAl型のチタン合金」と称す
る米国特許第4294615号の明細書中においては、
γ−TiAl金属間化合物を含むアルミニウム化チタン
型の合金が詳しく論じられている。この特許明細書の第
1欄50行目以降には、Ti3 Alに対するγ−TiA
lの利点および欠点に関して次のような記載がある。
「γ−TiAl合金系はより多量のアルミニウムを含有
しており、従ってより軽量である可能性を有することは
明らかであろう。1950年代における実験内での研究
結果は、アルミニウム化チタンが約1000℃までの高
温用途にとって有望であることを示した。しかし、かか
る合金に関する以後の技術的経験によれば、それらは所
要の高温強度を有していたが、室温および中程度の高温
(すなわち、20〜550℃の温度)におけるそれらの
延性はほぼ皆無に近いことが判明した。余りに脆い材料
は容易に加工し得ないばかりでなく、それらの使用に際
して稀ではあるが不可避的に発生する微小な損傷の結果
として亀裂およびそれに伴う破損が起こることが避けら
れない。従って、それらは他の基礎合金に取って代わる
ほどの有用な高性能合金ではない。」γ−TiAlおよ
びTi3 Alはいずれも基本的には規則的なアルミニウ
ム化チタン金属間化合物であるとは言え、γ−TiAl
はTi3 Al(およびTiの固溶体合金)と実質的に異
なることが知られている。米国特許第4294615号
明細書の第1欄の下部には次のような記載がある。「当
業者は、これら2つの秩序相の間に実質的な差があるこ
とを認めている。Ti3 Alの合金化および変態挙動は
チタンの場合に類似しているのであって、両者の六方晶
系結晶構造はよく似ている。しかるに、TiAl金属間
化合物は正方晶系の原子配列を有しており、従ってかな
り異なる合金化特性を示すのである。このような差異
は、初期の文献においては認識されていないことが多
い。」チタン−アルミニウム組成物およびそれらの特性
を取扱った技術文献を挙げれば、下記の通りである。
【0013】(1) ジャーナル・オブ・メタルズ(Journal
of Metals) 1952年6月号[米国採鉱・冶金および
石油技術者協会会報、第194巻]の609〜614頁
に収載されたイー・エス・バンプス、エイチ・ディー・
ケスラーおよびエム・ハンセン(E.S. Bumps, H.D. Kess
ler & M. Hansen)の論文「チタン−アルミニウム系」。
【0014】(2) ジャーナル・オブ・メタルズ(Journal
of Metals) 1953年2月号[米国採鉱・冶金および
石油技術者協会会報、第197巻]の267〜272頁
に収載されたエイチ・アール・オグデン、ディー・ジェ
イ・メイカス、ダブリュー・エル・フィンレーおよびア
ール・アイ・ジャフィー(H.R. Ogden, D.J. Maykuth,W.
L. Finlay & R.I. Jaffee)の論文「高純度Ti−Al合
金の機械的性質」。
【0015】(3) ジャーナル・オブ・メタルズ(Journal
of Metals) 1956年10月号[米国採鉱・冶金およ
び石油技術者協会会報、第206巻]の1345〜13
53頁に収載されたジョゼフ・ビー・マッカンドルーお
よびエイチ・ディー・ケスラー(Joseph B. McAndrew &
H.D. Kessler) の論文「耐熱合金用基材としてのTi−
36%Al」。
【0016】(4) イズベスチヤ・アカデミー・ナウク・
SSSR(Izv. Akad. Nauk SSSR)、金属編、第5巻(1
983年)の170頁に収載されたエス・エム・バリノ
フ、ティー・ティー・ナルトヴァ、ユ・エル・クラスリ
ンおよびティー・ヴィー・モグトヴァ(S.M. Barinov,
T.T. Nartova, Yu L. Krasulin & T.V. Mogutova)の論
文「チタン−アルミニウムの強度および破壊靭性の温度
依存性」。この文献の表1中にはチタン−36%アルミ
ニウム−0.01%ホウ素の組成物が報告されていて、
この組成物は延性の向上を示すことが述べられている。
原子パーセントで表わせば、この組成物は、Ti50Al
49.97 0.03に相当している。
【0017】(5) 米国金属学会(ペンシルバニア州ウォ
レンデール市)発行のチタニウム80(Titanium 80) 第
2巻(1980年)の1231頁に収載されたエス・エ
ム・エル・サストリーおよびエイチ・エイ・リスピット
(S.M.L. Sastry & H.A. Lispitt)の論文「TiAlおよ
びTi3 Alの塑性変形」。
【0018】(6) メタラージカル・トランザクションズ
A(Metallurgical Transactions A)第14A巻(198
3年10月)の2171〜2174頁に収載されたパト
リック・エル・マーチン、マダン・ジー・メンディラッ
タおよびハリー・エイ・リスピット(Ptrick L. Martin,
Madan G. Mendiratta & Harry A. Lispitt)の論文「T
iAlおよびTiAl+W合金のクリープ変形」。
【0019】(7) チタニウム・アンド・ジルコニウム(T
itanium and Zirconium)第33巻第3号159(198
5年7月)の1〜13頁に収載されたトクゾー・ツジモ
ト(Tokuzo Tsujimoto)の論文「TiAl金属間化合物合
金の研究、開発および将来性」。
【0020】(8) 米国材料研究学会発行のマテリアルズ
・リサーチ・ソサエティ・シンポジウム・プロシーディ
ングズ(Mat. Res. Soc. Symposium Proc.)第39巻(1
985年)の351〜364頁に収載されたエイチ・エ
イ・リスピット(H.A. Lispitt)の論文「アルミニウム化
チタン−概説」。
【0021】(9) マテリアルズ・ウィーク(Materials W
eek)1986年10月号の1〜7頁に収載されたエス・
エイチ・ワング(S.H. Whang)等の論文「Ll0 型TiA
l合金における急速凝固の効果」(急速凝固による構造
用金属の性質の向上に関するASMシンポジウム議事
録)。
【0022】(10)ソ連科学アカデミー機関誌であるメタ
リー(Metally) 第3号(1984年)の164〜168
頁。
【0023】(11)米国金属学会(ペンシルバニア州ウォ
レンデール市)発行のチタニウム80(Titanium 80) 第
2巻(1980年)の1245〜1254頁に収載され
たピー・エル・マーチン、エイチ・エイ・リスピット、
エヌ・ティー・ヌーファーおよびジェイ・シー・ウィリ
アムズ(P.L. Martin, H.A. Lispitt, N.T. Nuhfer &J.
C. Williams)の論文「Ti3 AlおよびTiAlの顕微
鏡組織および性質に対する合金化の効果」。
【0024】(12)スクリプタ・メタラージカ・エト・マ
テリアリア(Scripta Metallurgicaet Materialia)第2
4巻(1990年)の851〜856頁に収載されたデ
ィー・イー・ラーセン、エム・エル・アダムズ、エス・
エル・カンペ、エル・クリストドウロウおよびジェイ・
ディー・ブライアント(D.E. Larsen, M.L. Adams, S.L.
Kampe, L. Christodoulou & J.D. Bryant) の論文「不
連続に強化したXDアルミニウム化チタン複合物の破壊
靭性に対する母材相形態の影響」。
【0025】(13)ウクライナ共和国科学アカデミー発行
のメタロフィイケイ(Metallofiyikay)第50号(197
4年)。
【0026】(14)スクリプタ・メタラージカ・エト・マ
テリアリア(Scripta Metallurgicaet Materialia)第2
4巻(1990年)の33〜38頁に収載されたジェイ
・ディー・ブライアント、エル・クリストドンおよびジ
ェイ・アール・マイサノ(J.D. Bryant, L. Christodon
& J.R. Maisano) の論文「近似γ−アルミニウム化チ
タンのコロニーサイズに対するTiB2 添加の効果」。
【0027】また、TiAl組成物を取扱った特許文献
を挙げれば、下記の通りである。
【0028】(1) ジャフィー(Jaffee)の米国特許第32
03794号の明細書中には、各種のTiAl組成物が
開示されている。
【0029】(2) ジャフィー(Jaffee)のカナダ特許第6
21884号の明細書中にもまた、各種のTiAl組成
物が開示されている。
【0030】(3) ハシモト(Hashimoto) の米国特許第4
661316号の明細書中には、各種の添加剤を含有す
るアルミニウム化チタン組成物が記載されている。
【0031】(4) 本発明の場合と同じ譲受人に譲渡され
た米国特許第4842820号の明細書中には、ホウ素
の混入によって三元TiAl組成物を製造すると共に、
延性および強度を向上させる方法が記載されている。
【0032】(5) サストリー(Sastry)の米国特許第46
39281号の明細書中には、ホウ素、炭素、窒素また
はそれらの混合物あるいはそれらとケイ素との混合物か
ら成る繊維状分散質を、Ti−Alを含めたチタン基合
金中に含有させる方法が記載されている。
【0033】(6) ニシエジャマ(Nishiejama)の欧州特許
出願第0275391号の明細書中には、0.3重量%
までのホウ素を含有するTiAl組成物、並びにニッケ
ルおよびケイ素が存在する場合には0.3重量%のホウ
素を含有するTiAl組成物が記載されている。なお、
ホウ素と共にニオブが存在することは記載されていな
い。
【0034】(7) ネイグル(Nagle) の米国特許第477
4052号の明細書中には、発熱反応に基づいて母材中
に(ホウ化物を含めた)セラミックを混入することによ
り、アルミニウム化チタンを含めた母材に第2相物質を
付与する方法が記載されている。
【0035】
【発明の概要】本発明の目的の1つは、微細な結晶粒組
織を有するγ−TiAl金属間化合物鋳造品の性質を改
善することにある。
【0036】本発明のもう1つの目的は、望ましい組合
せの性質を有するようにγ−TiAl鋳造品を改質する
ための方法を提供することにある。
【0037】本発明の更にもう1つの目的は、再現可能
な微細な結晶粒組織および優れた組合せの性質を有する
ようにγ−TiAl鋳造品を改質するための方法を提供
することにある。
【0038】本発明のその他の目的および利点は、以下
の説明を読むことによって自ら明らかとなろう。
【0039】本発明の目的は、実施の一態様に従えば、
43〜48原子%のアルミニウムおよび6〜16原子%
のニオブを含有するγ−TiAlの融液を用意し、接種
剤として0.5〜2.0原子%の濃度でホウ素を添加
し、かかる融液を鋳造し、次いで得られた鋳造品に熱機
械的加工を施すことによって達成される。
【0040】添付の図面を参照しながら以下の説明を読
めば、本発明は一層明確に理解されよう。
【0041】
【詳細な説明】上記に詳しく論じられている通り、γ−
TiAl金属間化合物は軽量であり、高温下で高い強度
を示し、かつ比較的安価であるから、脆くさえなければ
工業界において多くの用途を有するはずであることは公
知である。すなわち、このような基本的性質に関する欠
陥のためにこの材料は多年にわたって十分に利用されず
にきたが、もしその欠陥さえ無かったらこの材料は現在
では多くの工業的用途を有していたはずなのである。一
般に、延性の向上が0.5%の最小値を越えて大きくな
るほど、TiAl組成物はより有用なものとなる。
【0042】更にまた、γ−TiAl鋳造品はやはり上
記に論じられたような幾つかの欠点を有することも認め
られている。このような欠点としては、微細な顕微鏡組
織が得られないこと、薄肉の部分を鋳造するのに十分な
だけの低い粘度が得られないこと、形成された鋳造品が
脆いこと、形成された鋳造品の強度が比較的小さいこ
と、並びに繊細な部分、鋭角の部分、および鋭く曲がっ
たかど部を有する鋳造品を形成するのに十分なだけの小
さい流動性を有する融液が得られないことが挙げられ
る。これらの欠点はまた、得られたγ−TiAl鋳造品
に熱機械的加工を施してそれらの性質を改善することを
も妨げる。
【0043】このたび本発明者は、ホウ素およびニオブ
の同時添加の結果として微細な結晶粒組織を有するγ−
TiAl鋳造品において、以下に記載されるような熱機
械的加工によって延性の実質的な向上を達成し得ること
を見出した。
【0044】γ−TiAlにおける性質の改善を一層良
く理解し得るようにするため、本発明の範囲に含まれな
い幾つかの実施例を記載し、その後に本発明の新規な加
工方法に関する実施例を記載することにする。
【0045】
比較例1〜3】 TiAlの化学量論比に近似した様々な化学量論比でチ
タンおよびアルミニウムを含有する3種の二元組成物の
融液を調製した。顕微鏡組織を観察するため、これら3
種の組成物の各々を個別に鋳造した。こうして得られた
試料から棒材を切出した後、個々の棒材に対して105
0℃の温度および45ksi の圧力下で3時間にわたり高
温等圧圧縮(HIP)を施した。次いで、個々の棒材を
1200〜1375℃の範囲内の様々な熱処理温度に暴
露した。熱処理済みの棒材から通常の試験片を作成し、
そして降伏強さ、破壊強さおよび塑性伸びを測定した。
凝固組織に関する観察結果、熱処理温度、および試験に
よって得られた値を下記表1中に示す。
【0046】
【表1】 表1から明らかなごとく、これら3種の組成物は3種の
相異なるアルミニウム濃度(すなわち、46原子%、4
8原子%および50原子%)を有している。これら3種
の組成物に関する凝固組織も表1中に示されているが、
この表から明らかなごとく、融液の凝固の結果として3
種の相異なる組織が生成された。このような鋳造品にお
ける結晶形態の違いに基づけば、γ−TiAl組成物の
化学量論比が僅かに違うだけで結晶形態および性質の顕
著な差が生じることが部分的に確認される。これら3種
の鋳造品の中ではTi−46Alが最良の結晶形態を有
することが判明したが、小さい等軸結晶であれば一層好
ましい。
【0047】融液の調製および凝固に関して述べれば、
各々の鋳塊をアルゴン雰囲気中においてアーク融解し
た。融液と容器との間に望ましくない反応が起こるのを
避けるため、融液用の容器として水冷式の炉床を使用し
た。チタンは酸素に対して強い親和性を有するから、高
温の金属が酸素に暴露されないように注意した。
【0048】こうして得られた個々の鋳造品から棒材を
切出した。これらの棒材にHIPを施した後、表1中に
示された温度下で個別に熱処理を施した。
【0049】かかる熱処理は、表1中に示された温度下
で2時間にわたって行った。
【0050】表1中に示された試験データから明らかな
通り、50原子%のアルミニウムを含有する組成物に比
べ、46および48原子%のアルミニウムを含有する組
成物は概して優れた強度および概して優れた塑性伸びを
有していた。なお、最良の総合延性を有する組成物は4
8原子%のアルミニウムを含有するものであった。
【0051】しかしながら、48原子%のアルミニウム
を含有する組成物の鋳放し状態における結晶形態は望ま
しい鋳造組織を成すとは言えなかった。なぜなら、薄肉
の部分を鋳造し得ると共に、鋭角の部分や鋭く曲がった
かど部のごとき繊細な部分を鋳造し得るという意味で最
良の可鋳性を達成するためには、微細な等軸結晶粒から
成る鋳造組織を得ることが一般に望ましいからである。
【0052】
比較例4〜6】 本発明者は、少量のクロムの添加によってγ−TiAl
組成物を実質的に延性化し得ることを見出した。この発
見は米国特許第4842819号の内容を成している。
【0053】様々な濃度のアルミニウムと共に低濃度の
クロムを含有する一連の合金組成物の融液を調製した。
これらの実施例において使用した合金組成物は下記表2
中に示すようなものであった。なお、調製方法は上記
較例1〜3の場合とほぼ同様であった。
【0054】
【表2】 こうして得られた鋳造品の結晶形態を観察したが、表2
から明らかなごとく、クロムの添加は表1中に示された
組成物の凝固組織を改善しなかった。詳しく述べれば、
46原子%のアルミニウムおよび2原子%のクロムを含
有する組成物は大きい等軸結晶粒組織を有していた。比
較のために述べれば、46原子%のアルミニウムを含有
する比較例1の組成物はやはり大きい等軸結晶粒組織を
有していた。比較例5および6についてもまた、表1中
比較例2および3に示された組成物に2原子%のクロ
ムを添加したことによる凝固組織の改善は認められなか
った。
【0055】個々の鋳造品から切出された棒材にHIP
を施した後、表2中に示された温度下で個別に熱処理を
施した。熱処理済みの棒材から試験片を作成し、そして
降伏強さ、破壊強さおよび塑性伸びを測定した。一般的
に述べれば、46原子%のアルミニウムを含有する材料
は48および50原子%のアルミニウムを含有する材料
よりもやや低い延性を有することが判明した。しかし、
引張強さに関しては、これら3種の材料の性質は実質的
に同等であった。
【0056】
比較例7〜9】 下記表3中に示されるような合金組成を有する3種のγ
−TiAl組成物の融液を調製した。調製方法は上記
較例1〜3の場合とほぼ同様であった。各々のホウ素含
有組成物において所定のホウ素濃度を得るためには、融
解すべき装入材料中に元素状ホウ素を混入した。なお、
比較を容易にするため、比較例2の組成物の合金組成お
よび試験データが表3中にも示されている。
【0057】
【表3】 各々の融液を鋳造し、そして得られた鋳造品の結晶形態
を観察した。また、個々の鋳造品から切出された棒材に
HIPを施した後、表3中に示された温度下で個別に熱
処理を施した。次いで降伏強さ、破壊強さおよび塑性伸
びを試験したが、かかる試験の結果はやはり表3中に示
されている。
【0058】表3から明らかなごとく、1/10または2/10
原子%という比較的低いホウ素濃度が使用された。やは
り表3から明らかなごとく、このようなレベルのホウ素
は鋳造品の結晶形態を変化させるのに有効でなかった。
【0059】表3中にはまた、比較例7、8および9の
組成物との比較を容易にするため、比較例2の組成物の
合金組成も示されている。なぜなら、比較例7、8およ
び9のホウ素含有組成物はいずれも48原子%のアルミ
ニウムを含有しているからである。
【0060】なお、低濃度のホウ素の添加は引張特性値
および延性値の実質的な低下を生じなかった点に注意す
ることが重要である。
【0061】
比較例10〜13】 下記表4中に示されるような合金組成を有する4種のγ
−TiAl組成物の融液を調製した。調製方法は上記
較例1〜3の場合とほぼ同様であった。比較例12およ
び13においては、比較例7〜9の場合と同じく、融解
材料に所定濃度の元素状ホウ素を添加した。
【0062】
【表4】 この場合にも、各比較例の融液を鋳造した後、凝固組織
を観察した。観察された結晶形態は表4中に記録されて
いる。なお、Ti−46Al−2Cr組成物に関するデ
ータとの比較を容易にするため、表4中には比較例4の
データも示されている。更にまた、凝固した試料から棒
材を切出してHIPを施した後、1250〜1400℃
の範囲内の温度下で個別に熱処理を施した。次いで降伏
強さ、破壊強さおよび塑性伸びを試験したが、かかる試
験の結果はそれぞれの比較例に含まれる各々の試験片に
対応して表4中に示されている。
【0063】いずれもが約46原子%のアルミニウムお
よび2原子%のクロムを含有するという点で、比較例
0〜13の組成物は比較例4の組成物に近似しているこ
とが認められよう。更にまた、これらの比較例の組成物
中には第4の添加剤も含まれていた。比較例10につい
ては、かかる第4の添加剤は炭素であった。この場合に
は、表4から明らかなごとく、比較例4の大きい等軸結
晶粒組織ではなく柱状結晶粒組織が認められたのであっ
て、炭素は凝固組織の顕著な改善をもたらさなかった。
更にまた、比較例10の組成物については顕著な強度の
向上が認められたが、塑性伸びはこの組成物をほとんど
使用不可能にするほど低いレベルにまで低下した。
【0064】次に比較例11に関する結果を考察すれ
ば、第4の添加剤として0.5原子%の窒素を使用した
場合、微細な等軸結晶粒組織が認められたという点で凝
固組織の実質的な改善が得られたことが明らかである。
しかしながら、塑性伸びの低下が示す通り、引張特性の
悪化をもたらすために窒素の使用は許容し得なかった。
【0065】次に比較例12および13を考察すれば、
いずれの場合にも第4の添加剤としてホウ素を使用する
ことによって微細な等軸結晶粒組織が得られ、従って可
鋳性の向上が認められた。更にまた、上記のごとき比較
4の組成物について得られた強度値と比較してみる
と、ホウ素の添加は顕著な強度の向上をもたらした。ま
た、特に重要な点としては、第4の添加剤としてホウ素
を含有する組成物の塑性伸びは該組成物をほとんど使用
不可能にするほど低いレベルにまで低下しなかった。従
って、第3の添加剤としてクロムを含有するアルミニウ
ム化チタンにホウ素を添加することにより、凝固組織を
実質的に改善し得るばかりでなく、塑性伸びを許容し得
ないほどに低下させることなく降伏強さおよび破壊強さ
を含む引張特性を顕著に向上させ得ることが見出され
た。また、アルミニウム化チタン中のアルミニウム濃度
がより低い場合には、より高い濃度のホウ素を添加する
ことによって有益な結果が得られることも見出された。
このように、クロムおよびホウ素を含有するγ−アルミ
ニウム化チタン組成物は、特に凝固組織および強度特性
に関して該組成物の可鋳性を極めて顕著に向上させるこ
とが判明した。なお、凝固組織の改善は比較例12およ
び13のいずれの組成物についても認められた。しかし
ながら、比較例13の組成物に関する塑性伸びは比較例
12の組成物の場合ほど大きくなかった。
【0066】
比較例14〜23】 下記表5中に示されるような合金組成を有する10種の
組成物を調製した。調製方法は上記比較例1〜3の場合
とほぼ同様であった。これら10種の組成物の調製に際
しては、元素状ホウ素またはその他のホウ素源は使用さ
れなかった。
【0067】
【表5】 表5から明らかなごとく、調製された組成物は様々な比
率でチタンおよびアルミニウムを含有すると共に、約6
〜約16原子%の範囲内の添加量でニオブを含有してい
た。「凝固組織」の欄から明らかな通り、44原子%の
アルミニウムを含有する組成物は微細な等軸結晶粒組織
を有していたのに対し、50原子%のアルミニウムを含
有する組成物は柱状結晶粒組織を有していた。更にま
た、比較例18と比較例23とを比較すれば、高濃度の
ニオブの添加が等軸結晶粒組織の生成をもたらすことが
わかる。
【0068】上記比較例1〜3に関連して記載された手
順に従い、鋳造材料の棒材を作成してHIPを施した
後、表5中の「熱処理温度(℃)」欄に示された温度下
で個別に熱処理を施した。次いで、鋳造材料の棒材から
試験片を作成して試験を行った。強度特性および塑性伸
びに関する試験の結果が表5中に示されている。
【0069】一般的に述べれば、試験したいずれの組成
物も基礎組成物を越える望ましい組合せの強度および延
性を示さなかったことが認められよう。たとえば、48
原子%のアルミニウムを含有する比較例14の組成物に
関して得られた試験結果は、やはり48原子%のアルミ
ニウムを含有する上記比較例2の組成物の性質(すなわ
ち、強度および延性の組合せ)を越えるものではなかっ
た。なお、表5中に示された試料の熱処理時間は約2時
間であったが、これは表1およびその他の様々な表中に
示された試料の熱処理時間と同じであった。
【0070】それ故、一般的に述べれば、表5中に示さ
れた組成物は基礎組成物またはその他のチタン−アルミ
ニウム−ニオブ組成物に比べて顕著な利益をもたらすも
のではなかった。
【0071】たとえば、比較例16の組成物は極めて高
い破壊強さを有していたが、それの塑性伸びはこの組成
物をほとんど使用不可能にするほど低いレベルにあっ
た。同様に、比較例17の組成物も高い強度と小さい延
性とを有していた。これら2種の組成物は比較的低いア
ルミニウム濃度を有していることに注意されたい。比較
21および15の組成物は満足すべき延性レベルを有
していたが、それらの強度レベルは比較的低かった。こ
れらの組成物は50原子%のアルミニウムを含有してい
ることに注意されたい。
【0072】アルミニウム濃度の低い組成物は望ましい
等軸結晶粒組織および高い強度を有する傾向があるが、
延性は許容し得ないほどに小さいのである。
【0073】比較例16、17および18の組成物に関
する試験結果は、アルミニウム濃度が増加するのに伴っ
て延性も増大するが、それと同時に強度が低下すること
を示している。
【0074】ここで指摘しておきたいが、1989年1
2月4日に提出された同時係属米国特許出願第07/4
45306号明細書中に一層詳しく述べられている通
り、ニオブの存在は合金組成物の耐酸化性にとって有益
であることも判明している。
【0075】
【実施例】 下記表6中に示されるような合金組成を有する1種の組
成物を調製した。調製方法は上記比較例1〜3の場合と
ほぼ同様であった。ホウ素を含有する組成物に関する以
前の比較例の場合と同じく、この組成物中において所定
のホウ素濃度を得るためには、融解すべき装入材料中に
元素状ホウ素を混入した。
【0076】
【表6】 表6から明らかなごとく、チタンおよびアルミニウムと
共に比較的高い濃度のニオブを含有するという点で、実
施例の組成物は比較例14〜23の組成物に近似して
いる。それらに加えて、実施例の組成物は1.5原子
%のホウ素を含有していた。
【0077】「凝固組織」の欄から明らかな通り、この
組成物は微細な等軸結晶粒組織を有していたが、この点
で柱状結晶粒組織を有する表5中の一部の組成物とは異
なっていた。
【0078】上記比較例1〜3に関連して記載された手
順に従い、鋳造材料の棒材を作成してHIPを施した
後、表6中に示された温度下で個別に熱処理を施した。
次いで、試験片を作成して試験を行ったが、強度特性お
よび塑性伸びに関する試験の結果が表6中に示されてい
る。表6中に示されたデータから明らかなごとく、実施
の組成物に関しては、特に強度および塑性伸びの組
合せという点で劇的な改善が認められた。
【0079】すなわち、8原子%のニオブを含有する実
施例の組成物は表5中の組成物と厳密に対応してはい
ないけれども、表5中の組成物(とりわけ、6原子%お
よび10原子%のニオブを含有する組成物)のうちで実
施例の組成物に匹敵するような強度および塑性伸びの
組合せを有するものは見られなかったのである。
【0080】また、ホウ素を添加した他の組成物(とり
わけ、比較例12および13の組成物)と比較した場
合、実施例の組成物において優れた性質が認められた
ことは全く意外であったことを指摘しておきたい。言う
までもないが、クロムを含有する組成物の性質が実施例
の組成物の性質よりも極めて劣っていたことを考える
と、それらの性質が他の合金元素の存在に対して非常に
敏感であることは明らかである。
【0081】
【実施例1A】 実施例に関連して記載された組成物の鋳放しの鋳塊か
ら、円板状の試料を切出した。
【0082】かかる試料は、約2インチの直径および約
1/2 インチの厚さを有するホッケーパック状のものであ
った。約1/2 インチの肉厚および試料の厚さに等しい垂
直方向寸法を有する鋼製の保持リングの内部に上記のホ
ッケーパック状試料を嵌込んだ。なお、保持リング内に
嵌込むのに先立ち、1250〜1400℃で2時間にわ
たる熱処理を施すことによって試料を均質化した。次い
で、試料と保持リングとの集合体を約975℃にまで加
熱し、そして元の厚さの約1/2 に等しい厚さになるまで
鍛造した。
【0083】鍛造された試料を冷却した後、試料から数
本のピンを機械加工し、そして各種の熱処理を施した。
すなわち、これらのピンに対し、下記表7中に示された
温度下で個別に焼なましを施した。焼なましの後、10
00℃で2時間にわたりピンの時効を行った。焼なまし
および時効の後、各々のピンから通常の引張試験片を作
成し、そして通常の引張試験を行った。かかる引張試験
の結果が下記表7中に示されている。
【0084】
【表7】 表7中に示されたデータを表6中に示されたデータと比
較すれば明らかなごとく、この組成物に熱機械的加工を
施した結果として顕著な性質の改善が得られた。詳しく
述べれば、1300℃の熱処理温度においては、降伏強
さが約6%の向上を示し、また破壊強さが約6%の向上
を示した。とは言え、熱機械的加工の結果として得られ
た真に重要な性質の改善は、延性が60%以上も向上し
たことである。その他の熱処理温度においても、性質は
全般的に改善された。
【0085】このように、表7中に示されたデータから
明らかなごとく、1300℃で熱処理された試料につい
て言えば、降伏強さおよび破壊強さが僅かな増大を示し
たことに加えて延性が60%以上も向上したのである。
アルミニウム化チタンの初期特性を有する合金組成物に
おいて50%の延性向上が得られることは極めて重要な
ことであって、それは実際問題としてかかる合金組成物
の有用性を大幅に拡張するために役立つことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種の合金に関する弾性率と温度との関係を示
すグラフである。
【図2】Ti−45.25Al−8Nb−1.5Bの合
金組成を有する鋳造品(実施例)の結晶構造の顕微鏡
写真である。
【図3】熱機械的加工前における図2の組成物と熱機械
的加工後における図2の組成物との間における性質の違
いを示す棒グラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 Ti34-50.5 Al43-48 Nb6-160.5-2.0 によって表わされる組成を持った組成物を鋳造し、次い
    で得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から成る
    ことを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミニウ
    ム−ニオブ−ホウ素組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 式 Ti34.5-50 Al43-48 Nb6-161.0-1.5 によって表わされる組成を持った組成物を鋳造し、次い
    で得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から成る
    ことを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミニウ
    ム−ニオブ−ホウ素組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 式 Ti38-50.5 Al43-48 Nb6-120.5-2.0 によって表わされる組成を持った組成物を鋳造し、次い
    で得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から成る
    ことを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミニウ
    ム−ニオブ−ホウ素組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 式 Ti40-48.5 Al44.5-46.5 Nb6-121.0-1.5 によって表わされる組成を持った組成物を鋳造し、次い
    で得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から成る
    ことを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミニウ
    ム−ニオブ−ホウ素組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 式 Ti41.5-47 Al44.5-46.5 Nb8-100.5-2.0 によって表わされる組成を持った組成物を鋳造し、次い
    で得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から成る
    ことを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミニウ
    ム−ニオブ−ホウ素組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 式 Ti42-46.5 Al44.5-46.5 Nb8-101.0-1.5 によって表わされる組成を持った組成物を鋳造し、次い
    で得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から成る
    ことを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミニウ
    ム−ニオブ−ホウ素組成物の製造方法。
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