JPH0775300A - プレス成形方法およびプレス成形装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、筒状をなす被成形物の周壁に複数
の内向きに突起部を形成するについて、設備コストの低
廉化、小スペース化等を図るものである。 【構成】 プレス機の下側ベースに取り付けられる下型
ホルダー２０には、内側成形部２３が形成されたダイ２
２が取り付けられていると共に、このダイ２２に対して
近接および離間する方向に移動可能に６個のポンチ２４
が設けられている。このポンチ２４の内側面には外側成
形部２６が形成されている。プレス機の上側昇降ベース
に取り付けられる上型ホルダー２９には、くさび状をな
す押圧部材３０が円周等配置形態に取り付けられてお
り、この押圧部材３０はそれぞれ各ポンチ２４上方に位
置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、筒状をなす被成形物の
周壁に複数の内向きに突起部を形成するプレス成形方法
およびプレス成形装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４には、モータフレーム１を示してい
る。このモータフレーム１は、円筒状をなし、周壁に内
向きの突起部２を有する。しかして、このような形状の
モータフレーム１を形成する場合には、図５に示す円筒
状の被成形物３を、大別すると次の二つの方法により形
成するようにしている。

【０００３】その一つの方法としては、図６ないし図８
に示すように、凹形状をなす成形部４を有するダイ５を
圧力容器６内に配置すると共に、このダイ５の外周囲に
前記材料３を配置し、そして、この材料３とダイ５との
間に圧力油７を充填して該油７に圧力をかけることによ
り、材料３をダイ５に押圧し（図８参照）、もって、図
４に示した形状のモータフレーム１を形成する。

【０００４】また、他の方法としては、図９および図１
０に示すように、モータフレーム１の突起部２の形成数
に応じた個数の油圧シリンダー８をダイ９の外周囲に配
設すると共にこの油圧シリンダー８のロッド先端にポン
チ１０を取着した構成の成形装置１１を設ける。そし
て、ダイ９の外周囲に前記材料３を配置し、油圧シリン
ダー８をダイ９方向に作動させることにより、突起部２
を形成し、もってモータフレーム１を形成する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
場合には、圧力容器６という高精度の密閉容器を必要と
し設備費が高額となり、また油７自体で成形するから、
成形に時間を要すると共に、製作精度も低いといった問
題がある。

【０００６】また、後者の場合には、突起部２の数の分
だけ油圧シリンダー８が必要で、設備が大きくなってス
ペースを大きくとってしまう。さらには、同じ油圧源を
用いて各油圧シリンダー８を作動させた場合、成形力の
アンバランスにより各突起部を同時に成形できずに突起
部形状の精度も悪化してしまう。また、上記材料３の板
厚が厚くなると、成形力も大きな力を必要とし、油圧シ
リンダー８での成形にも限界があった。

【０００７】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、筒状をなす被成形物の周壁に複数の
内向きに突起部を形成するについて、設備コストを安く
できると共に、小スペース化も図ることができ、また製
作精度も向上するプレス成形方法およびプレス成形装置
を提供するにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明のプレス成形方法
は、筒状をなす被成形物の周壁に複数の内向きの突起部
を形成するについて、被成形物の内方に、前記突起部形
成用の内側成形部を有するダイを配置すると共に、被成
形物の外周囲に、前記突起部形成用の外側成形部を有す
るポンチを前記ダイに対して近接および離間可能に配置
し、このポンチ上方からくさび状をなす押圧部材を降下
させることにより、このポンチを前記ダイ方向に移動さ
せてこの被成形物を前記ポンチと前記ダイとで挟圧して
突起部を形成するようにしたところに特徴を有する。

【０００９】本発明のプレス成形装置は、筒状をなす被
成形物の周壁に複数の内向きに突起部を形成するものに
おいて、プレス機の下側ベースに取り付けられる下型ホ
ルダーと、この下型ホルダーに固定され外周面に前記突
起部形成用の内側成形部を有するダイと、前記下型ホル
ダーにおける前記ダイの外周囲に前記ダイに対して近接
および離間可能に設けられ前記内側成形部に対向する位
置に前記突起部形成用の外側成形部を有するポンチと、
前記プレス機の上側昇降ベースに取り付けられる上型ホ
ルダーと、この上型ホルダーに前記ポンチの上方に位置
して取り付けられ前記上側昇降ベースの降下に伴い前記
ポンチを前記ダイ方向に移動させて筒状の被成形物を前
記ダイとで挟圧するくさび状をなす押圧部材とを具備し
てなるところに特徴を有する。

【００１０】

【作用】押圧部材が降下されると、これがくさび状をな
すことから、ポンチがダイ方向へ移動される。これによ
り被成形物がこのポンチとダイとで挟圧され、ダイの内
側成形部とポンチの外側成形部とで被成形物に突起部が
形成される。

【００１１】この場合、ポンチ上方から押圧部材を降下
させれば良いので、プレス機の使用が可能であり、この
場合プレス機の上側昇降ベースに押圧部材を取り付け、
同プレス機の下側ベースにダイおよびポンチを取り付け
るようにすれば良い。この結果、設備コストを安くで
き、また、くさび作用によってプレス機のプレス力を増
幅できることにより、小形ながら強力な成形を図ること
ができて小スペース化も図ることができる。また、この
場合、くさび状の押圧部材にてポンチを作動させるとこ
ろのいわゆるカム方式の成形であるから、突起部成形力
のアンバランスの影響もほとんど受けず製作精度も向上
する。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例につき図１ないし図
５を参照しながら説明する。下型ホルダー２０には、ポ
ンチホルダー２１が設けられており、このポンチホルダ
ー２１の中央部には、図２に示すように円形の凹部２１
ａが形成され、この凹部２１ａの内側面から放射方向に
６つのガイド溝２１ｂが形成されている。ポンチホルダ
ー２１の中央部である凹部２１ａには、これと同心状に
ほぼ円柱状をなすダイ２２が取り付けられており、この
ダイ２２の外周面の６か所には前記ガイド溝２１ｂと対
向するように内側成形部２３が形成されている。この場
合、ダイ２２はダイ本体２２ａとこれの上部に着脱可能
に取り付けられた円板状の上板部２２ｂとから構成され
ており、上記内側成形部２３はダイ２２の上下端部を除
いて上下に長く形成されている。

【００１３】また、下型ホルダー２０において上記ダイ
２２の外周囲である各ガイド溝２１ｂには、このダイ２
２に対して近接および離間する方向に移動可能にポンチ
２４が設けられている。このポンチ２４の外側面には角
度αの斜面２５が形成され、また内側面には外側成形部
２６が形成されている。この外側成形部２６は前記ダイ
２２の内側成形部２３に対向している。なお、各ポンチ
２４は引っ張りばね２７により、ダイ２２から離間する
方向に常時移動付勢されている。これらポンチホルダー
２１、ダイ２２およびポンチ２４等を備えた下型ホルダ
ー２０は、図示しないプレス機の下側ベースに取り付け
られるようになっている。

【００１４】一方、上型ホルダー２９には、押圧部材３
０が複数個この場合６個円周等配置形態に取り付けられ
ており、この押圧部材３０はそれぞれ各ポンチ２４上方
に位置する。そしてこの押圧部材３０には、その内側面
に角度αの斜面３１が形成されていて、くさび状をなし
ている。前記上型ホルダー２９は、図示しないプレス機
の上側昇降ベースに取り付けられるようになっている。

【００１５】さて、上記構成の作用について述べる。
今、図５に示した円筒状の被成形物３をダイ２２と各ポ
ンチ２４との間に配置し（相対的に被成形物３の内方に
ダイ２２が存し、被成形物３の外周囲にポンチ２４が位
置する）、プレス機の上側昇降ベースを降下させて押圧
部材３０を降下させる。これにより押圧部材３０の斜面
３１がポンチ２４の斜面２５に接触し、さらに押圧部材
３０が降下することにより、ポンチ２４がばね２７のば
ね力に抗してダイ２２方向へ移動する。この結果、ダイ
２２の内側成形部２３とポンチ２４の外側成形部２６と
で被成形物３が挟圧されて、突起部が形成される（図３
参照）。

【００１６】そして、プレス機の上側昇降ベースを上昇
させると、押圧部材３０が上昇することにより、ポンチ
２４がばね２７のばね力によりダイ２２から離間する方
向へ移動する（元位置に戻る）。この後、ダイ２２の上
板２２ｂを取り外して、成形後の被成形物すなわち図４
に示すモータフレーム１を取り出す。これには突起部２
が形成されている。

【００１７】このように本実施例によれば、くさび状の
押圧部材３０を降下させることにより、ポンチ２４をダ
イ２２方向へ移動させ、これにより被成形物３に突起部
２を形成するようにしている。つまり、本実施例によれ
ば、ポンチ２４上方から押圧部材３０を降下させれば良
いので、プレス機の使用が可能であり、この場合、上側
昇降ベースに押圧部材３０を取り付け、同プレス機の下
側ベースにダイ２２およびポンチ２４を取り付けるよう
にすれば良い。この結果、設備コストを安くでき、ま
た、くさび作用によってプレス機のプレス力を増幅でき
ることにより、小形ながら強力な成形を図ることができ
て小スペース化も図ることができる。また、この場合、
くさび状の押圧部材３０にてポンチ２４を作動させる、
いわゆるカム方式の成形であるから、突起部成形力のア
ンバランスの影響もほとんど受けず製作精度も向上す
る。

【００１８】

【発明の効果】本発明は以上の説明から明らかなよう
に、筒状をなす被成形物の周壁に複数の内向きに突起部
を形成するについて、設備コストを安くできると共に、
小スペース化も図ることができ、また製作精度も向上す
るという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す縦断正面図

【図２】下型ホルダー部分の横断平面図

【図３】作用説明のための縦断正面図

【図４】モータフレームの斜視図

【図５】被成形物の斜視図

【図６】従来例を示す縦断正面図

【図７】図６の矢印Ａ−Ａ線に沿う横断平面図

【図８】作用説明のための縦断正面図

【図９】他の従来例を示す縦断正面図

【図１０】平面図

【符号の説明】

２０は下型ホルダー、２１はポンチホルダー、２２はダ
イ、２３は内側成形部、２４はポンチ、２６は外側成形
部、２７はばね、２９は上方ホルダー、３０は押圧部材
を示す。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状をなす被成形物の周壁に複数の内向
   きの突起部を形成するについて、被成形物の内方に、前
   記突起部形成用の内側成形部を有するダイを配置すると
   共に、被成形物の外周囲に、前記突起部形成用の外側成
   形部を有するポンチを前記ダイに対して近接および離間
   可能に配置し、このポンチ上方からくさび状をなす押圧
   部材を降下させることにより、このポンチを前記ダイ方
   向に移動させてこの被成形物を前記ポンチと前記ダイと
   で挟圧して突起部を形成するようにしたことを特徴とす
   るプレス成形方法。
2. 【請求項２】 筒状をなす被成形物の周壁に複数の内向
   きに突起部を形成するものにおいて、プレス機の下側ベ
   ースに取り付けられる下型ホルダーと、この下型ホルダ
   ーに固定され外周面に前記突起部形成用の内側成形部を
   有するダイと、前記下型ホルダーにおける前記ダイの外
   周囲に前記ダイに対して近接および離間可能に設けられ
   前記内側成形部に対向する位置に前記突起部形成用の外
   側成形部を有するポンチと、前記プレス機の上側昇降ベ
   ースに取り付けられる上型ホルダーと、この上型ホルダ
   ーに前記ポンチの上方に位置して取り付けられ前記上側
   昇降ベースの降下に伴い前記ポンチを前記ダイ方向に移
   動させて筒状の被成形物を前記ダイとで挟圧するくさび
   状をなす押圧部材とを具備してなるプレス成形装置。