JPH0774446B2 - Al系蒸着めっき方法 - Google Patents

Al系蒸着めっき方法

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JPH0774446B2
JPH0774446B2 JP2415968A JP41596890A JPH0774446B2 JP H0774446 B2 JPH0774446 B2 JP H0774446B2 JP 2415968 A JP2415968 A JP 2415968A JP 41596890 A JP41596890 A JP 41596890A JP H0774446 B2 JPH0774446 B2 JP H0774446B2
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誠 寺田
純司 川福
淳 加藤
敦史 木原
貢基 池田
広司 入江
東太 綾部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は真空蒸着法によるAl系
蒸着めっき方法に関し、詳細にはAl系めっき層が剥離
する様なことがなく、且つ優れた金属光沢及び色調を有
するAl系めっき金属材を連続的に製造することのでき
る蒸着めっき方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Al系めっき製品は耐食性,耐熱性,熱
反射性,美観性,意匠性等の特性において優れた表面処
理材料であり、且つ生産コストも比較的安価であるた
め、自動車排気系材料,焼却炉等の各種耐熱部材,家電
製品,建材等として利用されている。
【0003】Al系めっき法としては溶融めっき法が汎
用され、この方法は高温度に予熱された被めっき金属基
材を、700℃程度の溶融Al系金属浴中に浸漬し、金
属基材の表面にAl系めっき層を形成するものである。
【0004】しかしながら金属基材として例えばCu系
材等の高温強度の非常に小さい金属材を用い、溶融Al
系金属浴中にこれらを浸漬すると、金属基材の温度が浴
温近くまで上昇し、金属基材が変形、破断等を生じて実
質的にめっき不能となってしまう。
【0005】また例えば金属基材として鋼材を用いてこ
れを高温のAl系金属浴中に浸漬すると、鋼材表面とA
l系めっき層の界面にFe−Al系金属間化合物層が形
成される。この金属間化合物層は硬くて脆弱であるた
め、金属基材の成形加工に伴なう塑性変形に追従でき
ず、Al系めっき層自体が剥離してしまうという問題が
あった。
【0006】このため上記Fe−Al系金属間化合物の
形成を防止する手段として、溶融Al系金属浴中にSi
を10%程度添加することにより、金属間化合物の成長
を抑制して加工性を改善すると共に、高温環境下での使
用に際してもAl系めっき層と鋼板の拡散合金化を抑制
することが行なわれている。
【0007】しかるにSiを添加するとAl系めっき層
自体の耐食性が低下し、Si無添加の溶融Al系めっき
鋼板に比較して耐食性の面で劣化するという不具合があ
った。
【0008】そこでAl系溶融めっき方法における耐食
性の劣化を防止する目的で、後処理としてクロメート処
理、有機皮膜処理又はこれらを併用することなどが行な
われているが、これらの処理によって形成される皮膜層
は非常に薄いものであり、外力等によって簡単に傷つく
ので、抜本的な耐食性改善手段とは言えない。
【0009】従って溶融めっき方法に用いられる金属基
材はステンレス鋼や一部の鋼材に限られ、まためっき材
料も制限されるという不都合があった。
【0010】この様な事情に鑑み溶融めっき法に代わる
手法として、真空蒸着法、溶融塩電解法、非水溶媒を使
用した電気めっき法等について研究が進められている。
【0011】ところが上記溶融塩電解法においては外観
を均一にするための浴制御が困難であること、電流密度
を大きくするのが困難であるため生産性が劣ること、溶
融浴中の不純物、水分、ガス成分の除去又は制御が困難
であること等多くの技術的課題が残されており、現実の
生産法としては完成されていない。
【0012】他方非水溶媒を用いる電気めっき法におい
ては、電流密度が大きくできず、生産性が低いこと、使
用する有機溶媒による火災等の問題があり、且つ水分コ
ントロール等の取り扱いが困難であること等の大きな問
題もあり、この手法も実用化には至っていない。
【0013】一方真空蒸着法によるAl系めっき法とし
ては、電子ビームを用いた蒸着法の他に、スパッタリン
グ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法があ
る。
【0014】Al系金属は真空中における飽和蒸気圧が
比較的高い金属であり、抵抗加熱,高周波加熱,各種エ
ネルギービーム加熱により容易に蒸発させることがで
き、金属基板,プラスチック,フィルム,紙等へのAl
系めっき法としても採用されている。
【0015】これらのうち蒸発源として電子ビームを用
いた真空蒸着法においては、電子ビームが高密度で高い
エネルギーを有するものであるため、金属の蒸発速度を
大きくすることが可能であり、連続的な蒸着めっきを行
ないつつ高い生産性を発揮する上でもっとも有利であ
る。
【0016】また電子ビームは磁場を利用することによ
り、これを容易に偏向させて蒸発原料表面上を任意に走
査できると共に、複数個の蒸発原料を1台の電子銃で同
時に加熱蒸発させることができるので、Alと合金元素
の同時蒸発によるAl合金めっきが可能であり、さらに
電子ビームの照射時間をコントロールすることにより、
Al及び合金元素の蒸発速度を調整し、めっき組成、め
っき付着量を容易にコントロールすることもできる。
【0017】他方被めっき材として帯状の金属基材を蒸
着処理するに当たっては、大気から完全に遮断された真
空蒸着室を設けると共に、金属帯をこの蒸着室へ連続的
に供給することが必要であり、その為真空蒸着室の入口
側には真空シール部を形成すると共に、蒸着室でめっき
処理された金属帯を連続的に大気中へ引き出すため出口
側にも真空シール部が形成される。
【0018】この様な真空蒸着室を設けた蒸着めっき装
置を利用することにより、連続的に金属帯を供給しなが
ら高速でめっき処理を行なうことができる様になった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで真空蒸着室の
入口側真空シール部より導入されるAl系金属帯はめっ
き層との密着性を高める目的で蒸着めっき前に予め加熱
されており、さらに該蒸着室内で蒸発Al等と接触する
ことにより、潜熱及び顕熱によって金属帯は300℃を
超える高温となってしまう。
【0020】一方蒸着室内は真空雰囲気下に維持されて
いるので、加熱された金属帯はせいぜい輻射による冷却
だけしか行なわれず、このままでは金属帯は高温状態の
ままで出口側の真空シール部を通過して大気中にさらさ
れることになる。
【0021】しかしAl系金属は酸化され易い性質を有
しているため、高温状態で大気中の酸素や水分と接する
とその表面は急激に酸化されて酸化物皮膜や水酸化物皮
膜が形成される。その結果Al又はAl合金めっき層が
本来有している特有の金属光沢や色調を失なってしま
い、表面に色むら等が生じるという外観上の大きな問題
があった。またこの酸化物皮膜等が形成されることによ
り、化成処理や塗装処理等の後処理性が悪くなるという
欠点もあった。
【0022】そこで本発明の第1の目的は、蒸着処理後
の金属基材に酸化物皮膜層等が形成されるのを防止でき
るAl系蒸着めっき方法を提供することにある。
【0023】また金属基材の種類によっては、良好なめ
っき密着性が得られにくいため、めっき後の成形加工時
にめっき層が剥離し易いという不具合を引き起こすこと
がある。そのため蒸着めっき処理前に予め金属基材の温
度を高くしておき、めっき層と金属基材との界面の結合
を強めて良好なめっき密着性を確保することが行なわれ
ている。
【0024】しかしながら金属基材の温度を高くし過ぎ
ると、金属基材の種類によっては、前述したCuの例の
様に局部変形や破断等を生じたり、或は鋼板の例の様に
Fe−Al金属間化合物が生じてかえってAl系めっき
層の剥離を生じ易くなるという不都合を引き起こすこと
になる。
【0025】そこで本発明の第2の目的としては、金属
基材に変形等を生じることなく、しかもAl系めっき層
と金属基材の間で金属間化合物を生じることがなく、め
っき層と金属基材が良好な密着性を確保しつつ、蒸着め
っき処理前の金属基材温度を低くすることのできるAl
系蒸着めっき方法を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明方法は、連続的にAl系蒸着めっきを施す方法にお
いて、帯状の金属帯を還元性高温雰囲気下で加熱還元
し、非酸化性ガス雰囲気下で冷却して温度制御を行い、
入側真空シール装置を経由して真空蒸着室へ導入し、該
真空蒸着室で真空蒸着Al系めっき処理を行い、出側真
空シール装置を経由して真空下から非酸化性ガス雰囲気
下に導入し、該非酸化性ガス雰囲気下で冷却して大気中
に取り出すことを要旨とするものである。
【0027】
【作用】本発明においては、真空蒸着室より大気中へ引
出す前に、金属帯を非酸化性雰囲気下で冷却することに
より、ガス分子を介する熱伝導冷却によって効率的に金
属帯を冷却し、Al系めっき層表面に酸化物皮膜等が形
成されない様にする。従ってめっき層表面にむら等を生
じず、美麗な光沢及び色調を有する外観のAl系めっき
製品を連続的に取り出すことができ、工業的生産手段と
して効率的な表面処理加工が可能となる。
【0028】まためっき層表面に酸化物皮膜等が厚く生
長することがないので、化成処理や塗装処理等において
むら等を生じることのない後処理ができる様になる。な
お金属基材として鋼材を用い、Al系めっき処理を行な
う場合は、鋼材の冷却温度は300℃以下とすることが
推奨される。
【0029】一方本発明においては、真空蒸着室に導入
される前の金属帯を非酸化性ガス雰囲気下で冷却して
定温度に保持することとし、金属基材表面が活性化され
た状態を保ちつつAl系蒸着めっきを行なう。これによ
り金属基材とAl系めっき層の間には良好な密着性を得
ることができると共に、また金属基材が蒸着めっき層の
付与による潜熱と顕熱により過熱状態となることは、上
記温度制御室によってめっき前の金属基材温度が制御さ
れる。その結果、金属基材の変形や破断等が防止され、
且つ鋼材を使用する様な場合であってもFe−Al金属
間化合物が生じてAl系めっき層の剥離が起こり易くな
るといったこともなくなる。そのためめっき付着量の調
節範囲を広く確保できる様になった。
【0030】
【実施例】図1は本発明方法に使用されるAl系蒸着め
っき装置の代表的な実施例を示す説明図である。ペイオ
フリール2の下流側には、アルカリ電解脱脂−水洗−乾
燥装置3が設けられ、該装置3の下流側にはガス還元炉
20及び温度制御室21が設けられ、該温度制御室21
の下流側に蒸着室8が設けられる。即ち蒸着室8の入口
側の真空シール部4と前記温度制御室21は隣設される
と共に、上記温度制御室21とガス還元炉20も隣設さ
れる。
【0031】前記蒸着室8内には蒸発槽10が設けられ
て、該蒸発槽10内に蒸発原料9が装填されると共に、
この側部には電子銃5が付設される。
【0032】蒸着室8は2つ連続して設けられ、デフレ
クターロール11を介して金属帯1の表裏面が反転さ
れ、金属帯1の両面を蒸着めっきする様に構成される。
なお下流側の蒸着室8の出口側には真空シール部12が
配設される。
【0033】そして該出口側の真空シール部12に隣接
してガス冷却室13が設けられ、該ガス冷却室13には
図示しない非酸化性ガス導入管及び排出管が接続され
る。
【0034】該ガス冷却室13内に導入されるガスは窒
素ガス、窒素−水素混合ガス又はアルゴンガスを使用
し、工業生産的には前二者が安価で好ましい。
【0035】また上記ガス冷却室13の下流側にはスキ
ンパス圧延ミル14及び後処理槽15が設けられ、該後
処理槽15における化成処理としては塗布型クロメート
処理を行なう様に構成することが好ましく、また塗装処
理としてはフッ素系又はアクリル樹脂系のクリア塗装処
理を行なう構成とすることが好ましい。
【0036】上記蒸着めっき装置による鋼帯へのAl系
蒸着めっき処理方法は、次に詳述する通りである。
【0037】まず金属帯1を上記装置3においてアルカ
リ電解脱脂、水洗し、更に乾燥する。そして上記温度制
御室21及び還元炉20には図示しないガス供給管及び
ガス排出管が各々接続されており、すなわちアルカリ電
解脱脂−水洗−乾燥された金属帯1はガス還元炉20内
に導入され、水素−窒素ガス雰囲気下で500〜550
℃以上の温度で還元処理され、金属帯1の表面に存在す
る水酸化物や酸化物を水素ガスにより還元してこの表面
を活性化処理する。
【0038】さらに金属帯1を非酸化性雰囲気を保持し
たまま温度制御室21へ大気に触れることなく導入し、
該温度制御室21の非酸化性ガスによる熱伝導により、
金属帯1を蒸着めっきに適する所定の温度に冷却し、真
空シール部4を通過して蒸着室8、8へ導入する。なお
該真空シール部4の一部にはガスが混入することになる
が、本発明ではこの部分も非酸化性雰囲気に保つことと
する。
【0039】上記非酸化性ガスとしては、酸素,水分の
ほとんど混合していない窒素ガス,窒素−水素混合ガ
ス,アルゴンガス等が使用される。
【0040】この装置を使用した剥離試験の結果は後述
する表1に示す通りであり、後述する図3に示す装置を
使用した場合と同等のめっき鋼帯を得ることができ、し
かもこの装置であれば工業的生産にも適するものであ
り、金属帯の連続的蒸着めっきが可能である。
【0041】すなわちめっき前の鋼帯温度が150℃程
度であっても良好なめっき密着性を得ることができ、最
大めっき付着量の増大、ひいてはめっき付着量範囲の拡
大を可能とする。
【0042】なお蒸着室8の入口部における鋼帯の温度
が300℃を超える様になると、蒸着めっき処理による
加熱が付加されて鋼帯とAlめっき層との界面で拡散合
金化が起こり始め、Fe−Al金属間化合物が形成され
ることになるので、上記温度以下に設定することが好ま
しい。
【0043】次いで金属帯1は、連続して設けられた蒸
着室8,8内に導かれ、電子銃5より発生する電子ビー
ム6を蒸着原料9a,9bへ照射して生じせしめたAl
蒸気等を接触させ、金属帯1の表裏両面にAl系蒸着め
っきを施こす。
【0044】さらに金属帯1はガス冷却室13へ導入
し、非酸化性ガスによる熱伝導によってこれを効率的に
冷却する。なお冷却に用いられたガスは図示しない他の
ガス冷却器や熱交換器を使って冷却し、循環再使用する
様な構成としても良い。
【0045】金属帯1として鋼帯を用いる場合、上記ガ
ス冷却室13の出口部における鋼帯温度は300℃以下
となる様に冷却することが好ましく、これによってAl
系めっき層が大気にさらされても酸化皮膜等が形成され
ず、Al系めっき層本来の美麗な光沢及び色調が確保さ
れることとなる。
【0046】さらにスキンパス圧延ミル14によりめっ
き金属帯の圧下率と光沢度の上昇率を調整し、外観の美
麗性を向上させる。
【0047】図4は鋼板の圧下率と光沢度の上昇率の関
係を示すグラフであり、0.5 %以上の圧下率でスキンパ
ス圧延処理を行なえば、美観度が向上することが分かっ
た。
【0048】上記図4から明らかな様にスキンパスの圧
下率は0.5 〜1.2 %とすることが生産性の面で好ましい
が、この範囲に限定されるものではない。
【0049】また使用目的によってはスキンパス圧延に
よる光沢の向上を好まない場合もあり、このスキンパス
圧延を省略したものであっても良く、他方圧延ロールの
表面粗さはダル仕上げ、レーザーダル仕上げ、ブライト
仕上げ、マッド仕上げ等の中から任意に選定できる。
【0050】金属帯の種類によっては蒸着めっきによる
熱履歴に起因して降伏点伸びがあらわれることもある
が、上記スキンパス圧延処理を行なうことにより降伏点
伸びを消失せしめ加工性を改善することもできる。
【0051】また上記の熱履歴によって金属帯の強度を
低下することもあるが、適度のスキンパス圧延処理であ
れば伸びの大幅な低下を防止して強度を改善することも
できる。
【0052】この様にして製造されためっき金属材は美
麗な表面外観を得ることができるが、このままでは長時
間の保管や高温又は高湿の環境下において、大気中の酸
素又は水分と反応して酸化物層や水酸化物層を局部的に
形成し、美観の低下をもたらすという問題がある。
【0053】酸化物層や水酸化物による皮膜層が一旦形
成されてしまうと、その後如何に防止処理を施しても、
その効果は十分に得られず、皮膜形成部分は色調が変化
したままとなってしまう。
【0054】そこで後処理槽15において、めっき金属
帯に対して連続的な化成処理及び/又は塗装処理を行な
い、酸化物層、水酸化物層皮膜が形成されるのを防止す
る。
【0055】前述の様な化成処理としてはクロメート処
理等を行ない、塗装処理としては樹脂材料の塗装を行な
うことが好ましく、耐候性、耐食性、耐汚染性,耐指紋
性等に優れ、美麗な表面性状のめっき製品を得る。
【0056】(比較例)図2は、図1の蒸着めっき装置
におけるガス還元炉20及び温度制御室21に替えて、
蒸着室8と入口側真空シール部4の間に電子ビーム6に
よる加熱室7を介設したものであり、金属帯1を電子ビ
ーム6によって加熱し、これに蒸着めっきを施す。
【0057】図2に示す蒸着めっき装置を用いて、めっ
き前の鋼帯温度を種々に変えてめっき処理された蒸着A
lめっき鋼板について、めっき剥離試験を行なった。
【0058】この試験においては、被試験材を180度
密着曲げし、セロハンテープに付着するめっき層の有無
及び程度を評価し、○;付着なし,△;わずかな付着有
り,×;付着ありと記載した。
【0059】
【表1】 この表から明らかな様に良好なめっき密着性を得るため
には図2の装置を用いる方法では鋼帯を300℃以上に
加熱する必要があることがわかった。
【0060】しかるに蒸着めっきにおいてAl蒸気を鋼
帯に析出させる場合は、Al蒸気の持つ顕熱および凝縮
熱によって鋼帯が加熱されてしまう。
【0061】この加熱はめっきの付着量が多いほど大き
くなり、鋼帯温度が上昇し過ぎると、鋼板とAlめっき
層との界面で拡散合金化が起こり始め、Fe−Al金属
間化合物が形成されてしまい、溶融めっき法と同様、剥
離等を引き起こし易くなり、後工程における加工性に難
点のあるめっき鋼帯となってしまう。
【0062】従って図2に示す装置においては蒸着後に
Fe−Alの金属間化合物が形成されない上記温度以下
で蒸着めっきを行なわなければならなず、しかもめっき
の密着性を考慮すると蒸着室入口部における鋼帯温度は
300℃以上必要であり、その結果めっき付着量は狭い
範囲内に制限されてしまうという問題がある。
【0063】図3は上記の問題を解消するための工夫が
施こされた他の比較例による蒸着めっき装置を示す説明
図である。
【0064】加熱室7において電子ビーム6による加熱
装置の他に、その下流側にマグネトロン型イオンボンバ
ートメント装置18,18…を設け、電子線照射によっ
て加熱された金属帯1の表面をArイオンボンバートメ
ント処理し、めっき密着性を向上する方式を採用してい
る。
【0065】すなわちArイオンボンバートメント処理
によって金属帯1の表面を活性化し、この表面に存在す
る水酸化物層,酸化物層等を除去してめっき層との密着
性を高めるものである。
【0066】この装置18を付加した蒸着めっき装置を
使用して鋼帯温度を種々変化させて、前述と同様の剥離
試験を行なったところ、表1に示す結果を得た。この表
から明らかな様にArイオンボンバートメント処理を併
用することによって、良好なめっき密着性が得られる鋼
帯の下限温度は150℃程度となり、蒸着めっき付着量
範囲を広げることができるという利点がある。
【0067】しかしながら金属帯表面における活性化を
十分に行なうためには、Arイオンの照射時間を長くす
るか、或は照射量を大きくする必要があり、これには次
の様な問題点がある。
【0068】すなわち1基のArイオンボンバートメン
ト処理装置18の能力には限界があるため、照射時間を
長くせざるを得ず、このため金属帯1の走行速度は遅く
設定しなければならず、生産性の低下はさけられない。
【0069】またマグネトロン型イオンボンバートメン
ト装置18自体は高価なものであり、多数の装置を設置
するには設備コストが高くなってしまう。さらにこの装
置は定期的なメンテナンスが必要であり、真空環境下に
ある本装置18を大気下で整備するのに多大な手間と時
間を要する。
【0070】特に金属帯の連続蒸着めっきの様に長時間
連続的に稼動させるためには、本装置18のメンテナン
ス作業は頻繁に行なわなければならない。
【0071】(実施例A)図1に示す蒸着めっき装置を
用いて、各種蒸着Al系めっき鋼板を製造し、めっき鋼
板の耐変色防止性能を調べるため、以下の恒温恒湿条件
下で変色試験を行なった。
【0072】<主な製造条件> 被めっき金属帯:極低炭素Tiキルド鋼板 めっき前鋼板温度:200〜250℃ 鋼板前処理:アルカリ電解脱脂,乾燥後に窒素−水素混
合ガス雰囲気下で還元処理 めっき種類:純Alめっき及びAl合金めっき めっき付着量:表2の通り 蒸着室真空度:1×10-2Pa 真空シール部及びガス冷却室の雰囲気:極低酸素量及び
水分量の窒素ガス(微量の水素ガスを含む) スキンパス圧延:圧下率0.7 〜0.8 伸び% <変色試験条件> 温度:50℃ 湿度:90%RH 試験時間:360時間 めっき外観評価:目視観察により評価し、○;腐食によ
る変色なし,△;局部的に変色あり,×;全面にわたっ
て変色あり。
【0073】表2は上記変色試験の結果を比較例と共に
示したものである。
【0074】
【表2】 以上の結果より明らかな様に、めっきの種類に拘らず図
1に示す装置を使用して所定の後処理を行なった例(N
o. 1〜13)については、試験の前後において表面に
変化はなく、酸化・腐食による変色を生じることはなか
った。
【0075】一方後処理を行なわなかった比較例(No.
14〜17)については、局部的又は全面にわたって水
酸化物皮膜層が形成されて変色を生じ、美観の低下が認
められた。
【0076】本発明の適用範囲は上記の実施例に限定さ
れるものではなく、被めっき金属基材は鋼材,ステンレ
ス鋼材,Cu系材,Al系材等の素材で形成された板
材,線材等であっても良い。
【0077】
【発明の効果】本発明により、良好なAl系めっき層と
の密着性を確保しつつ、蒸着めっき処理前の金属基材の
下限温度を150℃程度とすることができる様になり、
広い範囲のめっき付着量調節が可能となり、しかもめっ
き処理後の製品における加工性を阻害することもなくな
った。
【0078】また蒸着めっき層を施こした金属基材を効
率的に冷却して、酸化物皮膜等を生じない温度として大
気中に取出すことができる様になったので、めっき層の
表面を美麗な状態で後処理工程へ導入できる様になっ
た。
【0079】さらにこの方法は工業的生産に適してお
り、連続的なめっき処理を可能とすると共に、設備やメ
ンテナンスコスト面においても実操業に適したものとな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に使用する蒸着めっき装置の実施例
を示す説明図である。
【図2】蒸着めっき装置の比較例を示す説明図である。
【図3】蒸着めっき装置の比較例を示す説明図である。
【図4】鋼板の圧下率と光沢度の上昇率の関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 金属帯 4 入口側真空シール部 12 出口側真空シール部 13 ガス冷却室 18 マグネトロン型イオンボンバートメント装置 20 ガス還元炉 21 温度制御室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 貢基 兵庫県神戸市灘区篠原伯母野山町2−3− 1 (72)発明者 入江 広司 兵庫県加古川市平岡町二俣1012 (72)発明者 綾部 東太 兵庫県加古川市平岡町二俣1001 (72)発明者 綾部 東太 兵庫県加古川市平岡町二俣1001 (56)参考文献 特公 昭42−3926(JP,B1)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯を真空蒸着室に導入して連続的に
    蒸着Al系めっきを施す方法において、上記金属帯を還元性高温雰囲気下で加熱還元し、 非酸化性ガス雰囲気下で冷却して温度制御を行い、 入側真空シール装置を経由して真空蒸着室へ導入し、 該真空蒸着室で 真空蒸着Al系めっき処理を行い、 出側真空シール装置を経由して真空下から非酸化性ガス
    雰囲気下に導入し、 該非酸化性ガス雰囲気下で冷却して大気中に取り出す
    とを特徴とするAl系蒸着めっき方法。
JP2415968A 1990-12-28 1990-12-28 Al系蒸着めっき方法 Expired - Lifetime JPH0774446B2 (ja)

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