JPH0773010B2 - 平型ケーブルの融着ピッチ制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、間欠的に融着部を有する平型ケーブルの融着
ピッチを高精度に制御しつつ融着せしめ得る平型ケーブ
ルの融着ピッチ制御装置に関するものである。

［従来の技術］ 複数本の導体を並列配置してフラット状に構成してなる
平型ケーブルは、導体間を全長にわたり融着したものや
別部材により連結したもの、あるいは間欠的に融着ない
し連結したものなど、その適用目的ないし対象に応じ様
々な構成態様のものが市場に提供されている。

第２図に示すように導体間がバラ線状態にある非融着部
１と導体間を融着させてある融着部２とよりなる部分融
着平型ケーブルFCは、可撓性に優れる上、配線し易いと
いったメリットがあり、近年その需要が増大しつつあ
る。

このように融着部２を形成するには、融着ピッチＰが一
定のものであれば、ロール外周にピッチＰに応じた突出
部を有する熱ロールによって容易に融着し得るが、融着
ピッチＰが可変のものに対してはかかる熱ロールによる
融着は採用できない。

そこで、可変ピッチＰを有する融着部２の形成には、間
欠融着装置を用いて融着するのが一般的である。

この間欠融着装置は、原理的にはケーブルを挾んで上下
に加熱融着用金型を配置しておき、バラ線を並列させた
状態のケーブルを融着金型の間に走行移動させてその走
行長さを計尺し、所要ピッチ長さ走行したら融着金型に
よってケーブルを挾み付けて融着させ、融着部２が形成
されたら再び金型を離間させ、この動作を必要ピッチに
応じて繰返すものである。

［発明が解決しようとする課題］ 近年、平型ケーブルの製造ラインを高速化し、生産性を
向上させようとする気運が大きい。

しかし、融着部の成形速度は製品の品質上高速化するこ
とが難しい。

そこで、製造ラインの高速化に伴い、ケーブルの移動と
同時にケーブルに沿って融着金型をも間欠的に移動さ
せ、融着成形速度は従来と同じで製造速度をアップする
方法を採用している。この場合の融着ピッチＰを求める
方法としてケーブル移動と金型移動の両方から相対移動
長さを算出し、融着部２のピッチＰを求めるようになっ
た。しかし、このように共に移動している状態で正確な
ピッチＰを算出するには、これまでの計尺装置では不十
分であり、ロータリーエンコーダーの如きパルス発信器
を有する論理演算回路を移動する融着装置に搭載し、前
記パルス信号をカウンターに取込み、融着ピッチＰを算
出制御する方法が採用されている。

しかしながら、上記ロータリーエンコーダー等の精密部
品を間欠的に移動する装置にそのまま搭載しているため
誤動作の原因となり易く、計尺制度の信頼性を損うおそ
れがあるばかりでなく、融着装置そのものも機械的に複
雑となり、故障の原因となり易いという問題があった。

本発明の目的は、上記したような従来技術の問題点を解
消し、計尺に関係する精密部品を移動する融着装置に直
接搭載せず、それによって信頼性を大巾に向上可能なら
しめると共に、機械的構造も簡略化し得る新規な平型ケ
ーブルのピッチ制御融着装置を提供しようとするもので
ある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、添付図面に示した如く、移動する平型ケーブ
ルFCに沿って所定範囲を前進後退可能な融着部形成のた
めの金型16と、非移動部分に設置されていて金型の駆動
用モータ５に連設されることでパルス信号を発信するロ
ータリーエンコーダー３と、平型ケーブルの移動長さを
計尺する計尺プーリー６に連設されることでパルス信号
を発信するロータリーエンコーダー８と、両方のロータ
リーエンコーダーのパルス信号を取り込んで加減算する
論理演算回路12と、その論理演算回路からの演算結果の
信号を取り込んでパルスのカウントを行う３段プリセッ
トカウンター11とを備え、この３段プリセットカウンタ
ーが第１設定値に達したとき、起動スイッチ10をONの状
態にしてモーター制御ユニット９によって金型の駆動用
モーターを駆動して金型を平型ケーブルの移動方向に前
進させ、３段プリセットカウンターが第２設定値に達し
たとき、金型を平型ケーブルに向かって押し付けて平型
ケーブルの融着を行い、３段プリセットカウンターが第
３設定値に達したとき、金型を平型ケーブルから引き離
すとともに平型ケーブルの移動方向とは逆に原位置に後
退しさらに３段プリセットカウンターをリセットするよ
うに構成したものである。

［作用］ ケーブルの移動長さと融着金型の移動長さを共にパルス
信号で取込み、両者の相対移動方向により当該パルス信
号の加算あるいは減算を行なうようにすれば、製造ライ
ンが高速化されたとしても融着ピッチＰをパルスの分解
能に近い高精度で計尺でき、信頼性の高い製品を効率よ
い生産性をもって製造することが可能となる。

［実施例］ 以下に、本発明について実施例を参照し説明する。

第１図は、本発明に係る融着装置の具体的構成を示す説
明図である。

矢印Ａのように移動する平型ケーブルFCの上下に融着部
２を形成するための融着金型16,16が相対向して配置さ
れており、当該融着金型16,16は、モーター５、タイミ
ングベルト13、タイミングプーリー14,14、ボールスク
リュー15,15により間欠的に矢印Ｂのように前進後退可
能に構成され、かつシリンダー17,17によりケーブルFC
に対し当接離間可能に構成される。

６は、ケーブルFCの移動長さを計尺するための計尺プー
リーである。

つぎに、第１図に示した本発明に係る融着装置の動作に
ついて説明する。

バラ線状態のケーブルFCを矢印Ａ方向に走行移動させて
おいて、押ボタンスイッチ18をONにする。スイッチ18の
スタート信号により３段プリセットカウンター11のリセ
ットが解除され、計尺プーリー６に取付けられたロータ
リーエンコーダー８より発信される計尺パルスのカウン
トを開始する。かくして、そのカウントがカウンター11
の第１設定値に達したとき、融着金型駆動モーター５の
起動スイッチ10がONとなり、モーター制御ユニット９に
よってモーター５が始動され、一定時間後に融着金型1
6,16はケーブルFCの移動に同調して同方向に移動を開始
する。このときの融着金型16,16の移動速度は、ケーブ
ル速度検出器７で検出され同調比率設定器19に入力され
ているケーブル速度よりは幾分遅い速度に同調される。

ついで、カウンター11が第２設定値に達したとき、シリ
ンダー17,17が作動し、融着金型16,16がケーブルFCに向
って押付けられ、前記ケーブル速度と金型移動速度の速
度差に基いてケーブルFCには融着部２が形成される。

つぎに、カウンター11が第３設定値に達することにより
シリンダー17,17が再び作動し、金型16,16はケーブルFC
から離間せしめられ、ケーブルFCの走行方向とは逆の原
位置に戻される。一方、カウンター11は第３設定値に達
すると同時に自動的にリセットされ、再び零からのカウ
ントを開始する状態となる。

融着装置の非移動部にはタコジェネレーター４と共に別
途ロータリーエンコーダー３が設けられており、金型16
の機械的な移動長さに応じたパルス信号が発信され、当
該パルス信号が演算器12に入力される。演算器12には前
記計尺器６側のロータリーエンコーダー８のパルス信号
も入力されており、この演算器12において金型の移動長
さに応じたパルス信号とケーブルの移動長さに応じたパ
ルス信号が加減演算され、その演算結果がカウンター11
に入力されカウントされる。

上記のように、ロータリーエンコーダー３および８のパ
ルス信号を演算器12に入力して演算しカウントすること
によりロータリーエンコーダーのパルス分解能に近い高
精度で融着ピッチＰを計尺し制御することが可能とな
る。

すなわち、金型16がケーブルFCと同方向に移動している
場合にはエンコーダー３のパルスをエンコーダー８のパ
ルスより減算し、金型が戻りになった場合には、戻り量
に相当するエンコーダー３のパルスを加算し、金型が移
動しないときにはエンコーダー８のパルスがそのままカ
ウンターに入力されるようにすれば、パルスの数が即ち
計尺長さとなり、高速移動せしめた場合でもパルス分解
能に近い計尺が可能となるものである。その場合、カウ
ンター11の上記第２設定から第３設定までが融着部２の
融着長さとなることはいうまでもない。

［発明の効果］ 以上の通り、本発明に係る装置によれば、計尺のための
パルスエンコーダーを移動部分に取付けないから、装置
全体が簡略化できるため故障の原因が解消される上、安
定した信頼性の高い計尺が可能となり、製造ラインを高
速化させても高い計尺精度を保持し得るなど、生産性向
上と同時に品質保持に大きく寄与し得る意義は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る装置の具体的構成を示す説明図、
第２図は部分融着平型ケーブルの平面図である。 1:非融着部、2:融着部、3:ロータリーエンコーダー、5:
モーター、6:計尺プーリー、7:速度検出器、8:ロータリ
ーエンコーダー、9:モーター制御ユニット、11:プリセ
ットカウンター、12:演算器、13:タイミングベルト、1
4:タイミングプーリー、15:ボールスクリュー、16:融着
金型、17:シリンダー、19:比較設定器、FC:平型ケーブ
ル。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関口 明 茨城県日立市日高町５丁目１番１号 日立 電線株式会社日高工場内 (72)発明者 黒田 修弘 茨城県日立市日高町５丁目１番１号 日立 電線株式会社日高工場内 (56)参考文献 特開 昭59−117012（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−123610（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】移動する平型ケーブル（FC）に沿って所定
   範囲を前進後退可能な融着部形成のための金型（16）
   と、非移動部分に設置されていて金型の駆動用モータ
   （５）に連設されることでパルス信号を発信するロータ
   リーエンコーダー（３）と、平型ケーブルの移動長さを
   計尺する計尺プーリー（６）に連設されることでパルス
   信号を発信するロータリーエンコーダー（８）と、両方
   のロータリーエンコーダーのパルス信号を取り込んで加
   減算する論理演算回路（12）と、その論理演算回路から
   の演算結果の信号を取り込んでパルスのカウントを行う
   ３段プリセットカウンター（11）とを備え、この３段プ
   リセットカウンターが第１設定値に達したとき、起動ス
   イッチ（10）をONの状態にしてモーター制御ユニット
   （９）によって金型の駆動用モーターを駆動して金型を
   平型ケーブルの移動方向に前進させ、３段プリセットカ
   ウンターが第２設定値に達したとき、金型を平型ケーブ
   ルに向かって押し付けて平型ケーブルの融着を行い、３
   段プリセットカウンターが第３設定値に達したとき、金
   型を平型ケーブルから引き離すとともに平型ケーブルの
   移動方向とは逆の原位置に後退しさらに３段プリセット
   カウンターをリセットするように構成した、平型ケーブ
   ルの融着ピッチ制御装置。