JPH077234Y2 - 車両のシ−トベルト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、アームレストを備えたシートを有する車両に
用いられるシートベルト装置、特にそのバックル周辺の
構造に関するものである。

（従来の技術） アームレストは、車両における居住性をより良いものと
するため、後部シート等に設けられる車体装備品である
が、アームレストの使用を乗員が望まない場合、あるい
は後部シートに３人掛けする場合等を考慮し、アームレ
ストは一般に、シートバックの表面から突出する使用位
置と、シートバックの内部に没入する格納位置とを取り
得るように、これら両位置間を回動可能とされている。
一方、車両走行中にアームレストを使用する場合におい
ては、後部シート等に乗員が腰掛けているのが通例であ
るから、ベルト着用が必要となってくる。このようなこ
とから従来、特開昭59−213545号公報に開示されている
ように、アームレストを使用位置に引き出す際、アーム
レストと共にバックルを回動させ、これによりアームレ
ストを使用する際にはバックルをベルトに取り付けられ
たタングプレートと係合可能な位置に自動的に引き出し
てベルト着用を可能ならしめるようにしたシートベルト
装置が提案されている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記シートベルト装置にあっては、バッ
クルの引出しがアームレストの引出しに追従する構成と
なっているため、アームレストを引き出すときは必ずバ
ックルも引き出されることとなる。したがって、例えば
車両を駐車した状態で後部シート等に腰掛けているよう
な場合には、ベルトを着用する必要がないにもかかわら
ず、アームレストを引き出したときバックルも引き出さ
れることとなり、このバックルが煩わしいといった不都
合を生ずる。また、アームレストを使用せずにバックル
のみを使用する場合には、シートバック内部の格納位置
からバックルを引き出す操作が容易でないといった不都
合も生ずる。

本考案は、このような事情に鑑みなされたものであっ
て、バックルをアームレストと一体的に引出しおよび格
納することができ、しかも所望によりこれらを独立して
引出しおよび格納することもでき、かつバックルのみを
引き出す場合の引出操作を自動的に行うことのできる使
い勝手の良い車両のシートベルト装置を提供しようとす
るものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案による車両のシートベルト装置は、バックルを支
持するためのバックルベースを回動可能に設け、このバ
ックルベースを、回動可能に設けられたアームレストに
対して連結手段によって連結および連結解除可能とし、
さらに、バックルベースによるバックルの支持を回動可
能なものとするとともに、バックルをバックルベースに
対してタングプレート係合位置方向へ回動可能とする回
動手段を設けることにより、上記目的達成を図るように
したものである。すなわち、シートバックの表面から突
出する使用位置と、前記シートバックの内部に没入する
格納位置とを取り得るように、これら両位置間を回動可
能とされたアームレストを備えたシートを有する車両に
用いられるシートベルト装置であって、バックルと、こ
のバックルを支持するとともに、該バックルが前記シー
トバックの表面から突出するタングプレート係合位置と
前記シートバックの内部に没入する格納位置とを取り得
るよう、該バックルと共に所定角度回動可能とされたバ
ックルベースと、このバックルベースと前記アームレス
トとの連結および連結解除が可能とされ、これらバック
ルベースおよびアームレストを、連結時には一体的に、
連結解除時にはそれぞれ独立して回動可能とする連結手
段と、前記バックルを前記バックルベースに対して前記
支持位置から前記タングプレート係合位置方向へ所定角
度相対回動させる回動手段とを備えてなることを特徴と
するものである。

上記「回動手段」は、特定の回動方法によるものに限定
されるものではないが、例えば、スプリング等の弾性体
の弾性力を利用してこれを構成してもよいし、あるいは
モータ等の駆動力を利用してこれを構成してもよい。ま
た、上記「回動手段」の作動開始動作は、乗員の手動操
作等によってこれを行うようにしてもよいし、あるいは
リトラクタからのベルト引出し等によりシートベルト装
置が使用状態に入ったこと等を検知して自動的にこれを
行うようにするようにしてもよい。

上記「連結手段」のバックルベースおよびアームレスト
に対する連結部位は、これらの各回動軸であってもよい
し、それ以外の部分であってもよく、要するに両者を連
結したときこれらを一体的に回動可能とすることができ
る部位であればよい。同様にバックルベースの回動軸と
アームレストの回動軸とは同軸であってもよいし、同軸
でなくてもよい。

（作用） 上記構成に示すように、バックルおよびアームレスト
は、連結手段によりバックルベースとアームレストとの
連結がなされているときには一体的に回動可能となり、
連結が解除されているときにはそれぞれ独立して回動可
能となる。さらに、独立状態にあるときには、回動手段
による回動動作により、バックルを自動的にタングプレ
ート係合位置方向に回動させることが可能となる。

（考案の効果） したがって、本考案によれば、必要に応じてバックルお
よびアームレストを一体的にあるいはそれぞれ独立して
引出しおよび格納することが可能となり、しかも、バッ
クルのみを引き出す場合には、回動手段による自動引出
しが可能となり、使い勝手が向上する。

（実施例） 以下添付図面を参照しながら本考案の実施例について詳
述する。

第１図は、本考案による車両のシートベルト装置の一実
施例を示す側面図である。

車両の後部シート１を構成するシートクッション２およ
びシートバック３は、車体パネル４に沿って設けられ、
車体パネル４のシートバック３下端部近傍には、バック
ル５を支持するためのバックルベース６を回動可能に支
持するベース７がボルト８により固設されている。ま
た、シートバック３の一部はアームレスト９によって構
成されていて、アームレスト９は、バックルベース６の
回動軸と同軸で回動可能とされ、シートバック３の表面
から突出してシートクッション２に載置される使用位置
と、シートバック３の内部に没入してシートバック３と
面一となる格納位置とを取り得るようになっている。一
方、バックル５は、バックルベース６上に支持され、該
バックルベース６と共に回動してシートバック３の表面
から突出するタングプレート係合位置とシートバック３
の内部に没入する格納位置とを取り得るようになってい
て、ベルト着用時にはタングプレート係合位置に引き出
されて使用に供され、不使用時には格納位置に格納され
るようになっている。

第２図は、バックル５を含むシートベルト装置全体を示
す斜視図である。

バックル５は、シートバック３の車幅方向の中央部分に
設けられたアームレスト９の両側近傍に１対設けられて
いる。これら各バックル５は、上端部がシートバック３
上方のガイド10を経て車体の固設されたリトラクタ11に
巻回されるとともに下端部がシートクッション２の側方
近傍において車体に固設されたアンカ12に支持されたベ
ルト13に取り付けられたタングプレート14と係合するこ
とにより、それぞれ後部シート１の乗員をベルト13によ
り保持することができるようになっている。

第３図は、バックル５、バックルベース６およびアーム
レスト９の支持構造およびこれらの連結構造を示す斜視
図である。

バックルベース６がベース７に回動可能に支持されてい
ることはすでに述べたとおりであるが、ベース７による
バックルベース６の支持は車幅方向に延びる連結シャフ
ト15を介してなされている。すなわち、この連結シャフ
ト15は、ベース７と回転可能に嵌合する一方、バックル
ベース６と固着されている。そして、バックルベース６
によるバックル５の支持は、バックルベース６に連結シ
ャフト15と同軸で固設された支持ピン21にバックル５を
回転可能に嵌合することによってなされ、バックルベー
ス６に対するバックル５の回転方向の位置決めはロック
ピン16によってなされるようになっている。

バックルベース６には、ロックピン16を摺動可能に収容
するスリーブ17が固設されている。ロックピン16はケー
ブル18と一体的に形成され、ケーブル18の他端部はキャ
ンセルノブ19に連結されている。ロックピン16は、図示
のように、キャンセルノブ19を押し戻してあるときには
バックル５のアーム部分に形成された孔20と係合可能な
位置まで摺動し、キャンセルノブ19を引き出したときに
はバックル５の孔20との係合が解除される位置まで摺動
するようになっている。

第４図に示すように、バックル５およびバックルベース
６にはテンションスプリング22の両端部が係止されてい
て、バックル５の孔20にロックピン16が係合していると
き（すなわちキャンセルノブ19が押し戻してあるとき）
には、バックル５をタングプレート係合位置方向に付勢
するようになっている。したがって、キャンセルノブ19
が引き出されてロックピン16の係合が解除されると、バ
ックル５はタングプレート係合位置方向に回動すること
となる。すなわち、上記ロックピン16、スリーブ17、ケ
ーブル18、キャンセルノブ19およびテンションスプリン
グ22により、バックル５をバックルベース26上でタング
プレート係合位置方向へ回動させる回動手段が構成され
ている。

第３図に示すように、連結シャフト15はアームレスト９
方向に延びて形成されていて、この連結シャフト15の延
長線上には、アームレスト９の回動軸を構成するスリー
ブ23にスプライン結合されたロッド24が設けられてい
る。このロッド24の他端部にはケーブル25が連結されて
いて、ケーブル25の他端部はキャンセルノブ26に連結さ
れている。そして、キャンセルノブ26の引出しおよび押
戻しの操作により、ロッド24はスリーブ23内を摺動して
図示実線位置および破線位置を取り得るようになってい
る。なお、キャンセルノブ26は、第２図に示すように、
キャンセルノブ19と共に、アームレスト９上方のシート
バック３表面に配されている。

第５図は、ロッド24の摺動構造を詳細に示す、第３図の
Ｖ−Ｖ線断面図である。

ケーブル25のロッド24との接続端部にはフランジ25aが
形成されていて、このフランジ25aとスリーブ23との間
にはコンプレッションスプリング27が介装されている。
また、連結シャフト15の端部は筒状に形成され、その内
周面にはロッド24と係合可能なスプライン溝15aが形成
されている。図はキャンセルノブ26が引き出された状態
を示すが、キャンセルノブ26を押し戻すと、ケーブル25
のフランジ25aがコンプレッションスプリング27の弾性
力に抗してロッド24をスリーブ23内を摺動せしめ、ロッ
ド24の先端部を連結シャフト15にスプライン結合させる
ようになっている。なお、キャンセルノブ26の引出し
は、コンプレッションスプリング27の弾性力に助勢され
るため、容易にこれを行うことができるようになってい
る。

上記キャンセルノブ26の押戻しおよび引出しの操作によ
り、バックルベース６とアームレスト９との連結および
連結解除がなされることとなる。すなわち、連結シャフ
ト15、スリーブ23、ロッド24、ケーブル25、キャンセル
ノブ26およびコンプレッションスプリング27により、バ
ックルベース６とアームレスト９との連結および連結解
除を行う連結手段28が構成されることとなる。

次に本実施例の作用について説明する。

第５図において、キャンセルノブ26を引き出した状態に
しておくと、バックルベース６およびアームレスト９は
連結手段28による連結が解除された状態となるため、バ
ックル５のみあるいはアームレスト９のみをそれぞれ独
立して引き出すことが可能となる。一方、キャンセルノ
ブ26を押し戻した状態にし、このときキャンセルノブ19
も押し戻した状態にしておくと、バックルベース６およ
びアームレスト９は連結手段28により連結された状態と
なり、バックル５はロックピン16によりバックルベース
６に対す回動が阻止された状態となるため、アームレス
ト９を引き出せば同時にバックル５をも引き出すことが
可能となり、アームレスト９を格納すれば同時にバック
ル５をも格納することが可能となる。

上記連結手段28による連結が解除された状態でのバック
ル５の引出しは、キャンセルノブ19を引き出すことによ
って自動的になされる。すなわち、キャンセルノブ19の
引出しにより、ロックピン16がバックル５の孔20から抜
け出るため、第４図に示すように、バックル５は、テン
ションスプリング22の弾性力により矢印方向に回動して
タングプレート係合位置まで引き出されることとなる。

このように、本実施例によれば、キャンセルノブ26およ
び19の操作により、バックル５およびアームレスト９の
引出しおよび格納を、一体的あるいは独立して行うこと
ができ、かつ独立して行う場合のバックル５の引出しを
自動的に行うことが可能となり、使い勝手が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による車両のシートベルト装置の一例を
示す側面図、 第２図は該装置の全体斜視図、 第３図は該装置のアームレストとの連結構造を示す斜視
図、 第４図は第３図のIV方向矢視図、 第５図は第３図のＶ−Ｖ線断面図である。 １……後部シート、３……シートバック ５……バックル、６……バックルベース ９……アームレスト 22……テンションスプリング（回動手段） 28……連結手段

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートバックの表面から突出する使用位置
   と、前記シートバックの内部に没入する格納位置とを取
   り得るように、これら両位置間を回動可能とされたアー
   ムレストを備えたシートを有する車両に用いられるシー
   トベルト装置であって、 バックルと、このバックルを支持するとともに、該バッ
   クルが前記シートバックの表面から突出するタングプレ
   ート係合位置と前記シートバックの内部に没入する格納
   位置とを取り得るよう、該バックルと共に所定角度回動
   可能とされたバックルベースと、このバックルベースと
   前記アームレストとの連結および連結解除が可能とさ
   れ、これらバックルベースおよびアームレストを、連結
   時には一体的に、連結解除時にはそれぞれ独立して回動
   可能とする連結手段と、前記バックルを前記バックルベ
   ースに対して前記支持位置から前記タングプレート係合
   位置方向へ所定角度相対回動させる回動手段とを備えて
   なることを特徴とする車両のシートベルト装置。