JPH0772150A - IgEの測定方法 - Google Patents

IgEの測定方法

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JPH0772150A
JPH0772150A JP21892093A JP21892093A JPH0772150A JP H0772150 A JPH0772150 A JP H0772150A JP 21892093 A JP21892093 A JP 21892093A JP 21892093 A JP21892093 A JP 21892093A JP H0772150 A JPH0772150 A JP H0772150A
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ige
chain
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reaction
soluble
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JP21892093A
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English (en)
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Mitsuaki Yanagida
光昭 柳田
Shintaro Yagi
慎太郎 八木
Mochimasa Tanida
以誠 谷田
Akira Hasegawa
明 長谷川
Tomoyasu Ra
智靖 羅
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アレルギー反応を誘発する能力を有するIg
Eを選択的に検出又は測定することができるIgEの検
出又は測定方法を提供する。 【構成】 試料中のIgEとFcεRIα鎖とを反応せ
しめ、そして該反応を検出又は測定することを特徴とす
る、試料中のIgEの検出又は測定方法;並びにこの方
法のための試薬、及びキット。 【効果】 アレルギー反応を誘発する能力を有するIg
Eを選択的に測定することができるため、アレルギー診
断、寄生虫感染、重症肝障害、湿疹、IgEミエローマ
等の種々の疾患の診断に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、本来のアレルギー反応
を誘発する機能を有する免疫グロブリンE(IgE)を
特異的に検出・測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒトの即時型(アナフィラキシー型)ア
レルギー(またはI型アレルギーとも呼ばれる)反応
は、おおよそ以下のような機序で起こると考えられてい
る。アレルギー抗原が体内に侵入すると、その抗原に対
する特異的なIgE抗体が体内に産生され、産生された
IgEは、好塩基球、肥満細胞表面に存在する抗体特異
的な受容体(FcεRI)を介して結合する。FcεR
Iと結合したIgEが抗原と特異的に反応することによ
り、受容体の凝集が起こり、細胞から蓄えられていたヒ
スタミンなどの活性アミンが放出され、続いてロイコト
リエン、プロスタグランジンや種々のサイトカインが合
成放出され、これらの物質により種々のアレルギー反応
が誘発される。
【0003】このため、血中のIgE量を定量すること
はI型アレルギー疾患に於て、とくにアトピー性疾患に
於ては重要な診断規準となる。IgEの量は上記のI型
アレルギー以外にも、寄生虫感染、重症肝障害、湿疹、
IgEミエローマでも上昇することが知られており、血
中IgE量を定量することはこれらの疾患を判別するこ
とに役立つ。
【0004】現在抗体を組み合わせたELISA系やR
IA系により血中のIgE量を測定することが可能であ
り、例えば結合競合法、抗体(ポリクローナル、または
モノクローナル抗体、もしくはこれらの組み合わせ)を
用いたサンドイッチ法により行なわれている(原田重
徳、アレルギーの臨床、第11刊、p16−、199
1)。それによれば、健常人の血中IgE量は100〜
300IU/ml(1IU/mlはほぼ2ng/mlに相当する) の
範囲にあるが、アトピー性疾患の場合にはそれよりも高
値を示すことが多く、ときには10000IU/mlを越す
ような例も知られている。
【0005】しかしながら、IgEに対する抗体の特異
性を利用した前記の方法においては、血中に存在するI
gEが機能するものであるのか否かを判定することは出
来ない。つまり抗原抗体反応を用いているかぎりにおい
ては、血中のIgEがアレルギー反応を引き起こすべ
く、肥満細胞上に存在するレセプターに結合する能力を
持たないものでも検出され、さらに分解を受けたもの、
変性されてしまったものであっても検出されてしまう。
すなわち生体内において機能しアレルギー反応を誘発で
きるもの、機能を持たずアレルギー反応を誘発できない
ものの両者を検出していることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は生体
内でアレルギー反応を誘発する能力を持ったIgEを選
択的に測定する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく種々検討した結果、FcεRI分子のα鎖
とIgEとの特異的反応を用いて、アレルギー反応を誘
発する能力を持ったIgEを選択的に検出・測定する方
法を確立した。従って本発明は、試料中のIgEとFc
εRIα鎖とを反応せしめ、そして該反応を検出又は測
定することを特徴とする、試料中のIgEの検出方法を
提供する。
【0008】1つの態様においては、この方法はサンド
イッチ方式であり、(1)FcεRIα鎖を結合してい
る固体キャリヤーと分析用試料とを接触せしめる段階、
(2)該固体キャリヤーと、IgEに対する標識された
抗体とを接触せしめる段階、及び(3)該固体キャリヤ
ーに結合した標識を検出又は測定する段階をこの順序で
含んで成り、あるいは(1)IgEに対する抗体を結合
した固体キャリヤーと分析用試料とを接触せしめる段
階、(2)該固体キャリヤーと、標識されたFcεRI
α鎖とを接触せしめる段階、及び(3)該固体キャリヤ
ーに結合した標識を検出又は測定する段階を、この順序
で含んで成る。
【0009】本発明はまた、FcεRIα鎖を含んで成
る、IgE検出又は測定用試薬に関する。本発明はま
た、FcεRIα鎖、及びIgEに対する抗体を含んで
成る、IgEの検出又は測定用キットに関する。これら
の試薬又はキットにおいて、FcεRIα鎖は好ましく
は可溶性FcεRIα鎖であり、抗体はモノクローナル
抗体、ポリクローナル抗体もしくは抗血清、又はこれら
の組合わせである。
【0010】上記試薬又はキットにおいて、FcεRI
α鎖及びIgEに対する抗体は、測定方式に依存して溶
液もしくは凍結乾燥物の形態であり、又はキャリヤーに
結合している。これらは、常用のキャリヤー、例えばラ
テックス粒子、ビーズ、マイクロタイタープレート、試
験管等の表面に結合している場合があり、また、常用の
標識、例えば放射性標識、蛍光標識、酵素、アビジン又
はビオチン等により標識されている場合がある。
【0011】
【具体的な説明】FcεRIは1分子のα鎖、1分子の
β鎖、2分子のγ鎖から構成される4量体として細胞膜
上に存在する。これらのサブユニットのうちIgEとの
結合に必要十分な機能を持つ分子はα鎖である(Kinet,
J.P.(1990),Curr.Opinion Immunol.,p499-505)。ヒト
のα鎖を暗号化しているcDNA配列は清水らによって
報告された(Shimizu,A.,Tepler,I.,Benfey,P.N.,Beren
stein,E.H.,Siraganian,R.P.,and Reder,P.(1988)Proc.
Natul,Acad.Sci.U.S.A. 85,p1907-1911 、特表平3−5
02878)。
【0012】公表されている配列によればヒトα鎖は2
21のアミノ酸から成り立っていると考えられるが、分
離精製したα鎖は50〜60キロダルトンであること、
これをNグリカナーゼなどの酵素処理により糖鎖を除去
することにより分子量が小さくなることから、α鎖は著
しく糖鎖修飾された形で生体中において合成されてい
る。また暗号化されている配列から2箇所の分子内ジス
ルフィド結合を持つことが予想され、分子内に膜貫通領
域を持つ膜蛋白質であることが示された。このα鎖遺伝
子をCOS7細胞を用いて一過性に発現させるために
は、γ鎖の同時発現のみで十分であった。
【0013】この分子内の膜貫通領域を除去した形で発
現できるようにしたcDNAをCHO細胞を用いて安定
的に発現させたところ、約40〜50キロダルトンのも
のが細胞外に分泌産生された。この可溶化されたα鎖は
IgEとの高い親和性の結合活性を持っており、Nグリ
カナーゼによって糖鎖を除去したものも同様のIgEに
対する高い親和性を示した(Blank,U.,Ra,C.,and Kine
t,J.-P.(1991)J.Biol.Chem.266, p2639-2646)。
【0014】本発明は、アレルギー反応を誘発する能力
を有するIgEと選択的又は特異的に結合する能力を有
するFcεRIα鎖又はその断片を利用した、アレルギ
ー反応を誘発する能力を有するIgEの検出又は測定方
法を提供する。この方法において使用するFcεRIα
鎖としては、その全長形態のものでもよく、また膜貫通
部位が除去された可溶性FcεRIα鎖でもよい。ま
た、これらは糖鎖が結合したものでもよく、糖鎖を有し
ないものでもよい。
【0015】α鎖の膜貫通部位を除去した形で作らせた
組換え体が作る可溶化されたα鎖は、IgEとの高い親
和性の結合活性を持っているので、可溶化されたα鎖を
利用することが好ましい。さらに可溶性FcεRIα鎖
は、本発明者等によって明らかになったところによれ
ば、可溶性FcεRIα鎖遺伝子を組み込ませた組換え
バキュロウイルスを昆虫細胞に感染させることにより、
大量に、効率良く産生させることが出来る。
【0016】また本発明者等によって可能になった、可
溶性FcεRIα鎖遺伝子発現ベクターを導入した改変
された酵母組換え体を用いることにより、可溶性Fcε
RIα鎖を効率良く産生させることが可能である。また
CHOのような培養細胞で産生されたものを用いること
も可能である。このように組換え体で産生させた可溶性
FcεRIα鎖を用いることにより、再現良く可溶性F
cεRIα鎖を得ることが出来、細胞から調製したもの
を用いることと比較して好ましい。
【0017】本願発明におけるIgE−FcεRI特異
的結合を利用した測定方法の方式としては、抗原−抗体
の特異的反応を利用する従来からの免疫測定の種々の方
式を用いることができる。その1つの方式として、いわ
ゆるサンドイッチ系の応用が考えられる。例えば可溶性
FcεRIα鎖を、マイクロプレート、ビーズ、ニトロ
セルロース膜、ナイロン膜等の酵素免疫学的検出法(例
えばELISA、EIA等)、放射性免疫学的検出法
(例えばRIA等)等で一般に用いられる担体に結合さ
せ、それを検体と反応させることにより、検体中の機能
を持つIgEを担体上にある可溶性FcεRIα鎖に結
合させる。
【0018】一般に用いられる方法により結合していな
い分画を洗い、酵素、ビオチン、放射性同位元素等で標
識したIgEに特異的に結合する抗体(モノクローナル
抗体もしくはポリクローナル抗体、またはそれらの組み
合わせ)と反応させ、可溶性FcεRIα鎖に結合した
IgEに結合させる。一般に用いられる方法により結合
していない分画を洗い、標識されている酵素等を検出す
ることにより可溶性FcεRIα鎖に結合している機能
を持ったIgEを定量することが可能となる。
【0019】またIgEに特異的に結合する抗体(モノ
クローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、又はそれ
らの組み合わせ)をマイクロプレート、ビーズ、ニトロ
セルロース膜、ナイロン膜等の酵素免疫学的検出法(例
えばELISA、EIA等)、放射性免疫学的検出法
(例えばRIA等)等で一般に用いられる担体に結合さ
せ、それを検体と反応させることにより、検体中のIg
Eを担体上にあるIgEに特異的に結合する抗体(モノ
クローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、又はそれ
らの組み合わせ)に結合させる。
【0020】一般に用いられる方法により結合していな
い分画を洗い、酵素、ビオチン、放射性同位元素等で標
識した可溶性FcεRIα鎖と反応させ、抗体に結合さ
せた機能を持つIgEに結合させる。一般に用いられる
方法により結合していない分画を洗い、標識されている
酵素等を検出することにより可溶性FcεRIα鎖に結
合できる機能を持ったIgEを定量することが可能とな
る。
【0021】ここで肝要なことは、用いる抗体が、可溶
性FcεRIα鎖とIgEとの結合を阻害しないもので
あること、可溶性FcεRIα鎖と結合したIgEに結
合しうるものであることであり、このような抗体は前述
の系を組み立て、その系に適用してみることにより、目
的の抗体を得ることが出来る。また可溶性FcεRIα
鎖はIgEのCH3ドメインに結合することが知られて
いる(Helm,B. 等、Nature, 331, p180-183,1988) こと
から、前述のような活性を持つ抗体は以下のような方法
により作ることも可能であろう。例えば、IgEのCH
3ドメイン以外の領域(CH1、CH2、CH4ドメイ
ン)に対応するアミノ酸配列からなるペプチド(ポリペ
プチド)を、遺伝子工学的手法(組換え体を用いたポリ
ペプチドの産生方法)、化学合成法によるペプチド合成
手法を利用して産生させる。
【0022】これを免疫源として、適当な宿主を免疫
し、一般に用いられている方法によって抗体(抗血清)
を得ることが出来る。これらの中からさらに選択するこ
とにより、前述のような活性を持つ抗体を効率良く作る
ことが可能となる。またIgEのFc領域を免疫源とし
て免疫して得た抗体から、CH3ドメインに結合する抗
体を除くことによっても、前述のような活性を持つ抗体
を効率良く作ることが可能となろう。ここでCH3ドメ
インに結合する抗体を除く方法としては、適当な方法に
より産生させたCH3ドメインの配列を持つペプチドを
結合させたカラムを作り、そのカラムに抗体を結合させ
ることにより達成されるであろう。
【0023】このようにして選択した抗体、作製した抗
体を用い、前述のような系を組むことにより、可溶性F
cεRIα鎖に結合する機能を持ったIgEを定量する
ことが可能となる。例えば実施例に記載した方法に従え
ば、1ngから100ngの機能を持つIgEの検出が可能
となる。本発明の測定方法の方式としては、前記のサン
ドイッチ方式の他に種々の方式を用いることができる。
【0024】例えば標識した可溶性FcεRIα鎖を用
いることにより、アレルギー反応を誘発する抗原を調べ
ることが可能となる。例えば、抗原を担体に結合させ
る。ここで担体とは免疫学測定法(酵素免疫学的検出
法、放射性免疫学的検出法)で一般に用いられているマ
イクロプレート、ビーズ、可溶性ポリマー、スポンジ、
ニトロセルロース膜、ナイロン膜等のものが考えられ
る。この抗原を結合させた担体を検体と反応させる。反
応終了後、非結合分画を適当な方法により洗い、そこに
標識した可溶性FcεRIα鎖を加えることにより反応
させる。反応終了後、非結合分画を適当な方法により洗
い、標識されている酵素等を検出することにより、抗原
に結合するIgEの検出が可能になる。種々の抗原を準
備することにより、アレルギー反応を誘発する抗原を検
出することが可能となる。
【0025】逆に可溶性FcεRIα鎖を結合させた担
体を検体と接触させ、検体中のIgEを結合させる。反
応終了後非結合分画を適当な方法で洗い、そこに標識し
た抗原を加え、反応させる。反応終了後、非結合分画を
洗い、適した方法で標識を検出する。この方法によって
もアレルギー反応を誘発する抗原の検出が可能になる。
【0026】本発明において、IgE−FcεRIα鎖
反応の検出又は測定に用いる標識は、常用の免疫測定法
において用いられる種々の標識を、測定方式に依存して
選択して使用することができる。例えば、放射性標識、
例えば 125I標識;蛍光標識、例えばFITC、ローダ
ミン;酵素標識、例えば西洋ワサビパーオキシダーゼ、
β−D−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、
グルコース−6−リン酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵
素等が使用される。
【0027】これらの標識は、測定方式に従って、Fc
εRIα鎖、IgE、又はその他の試薬に結合される。
この場合、結合は常用の手段、例えばグルタルアルデヒ
ド法、過ヨウ素酸酸化法、MBS法、ジアゾカップリン
グ法、マレイミド法により行うことができる。酵素等の
標識を他の試薬に結合させる場合には、上記の手段のほ
かに、アビジンとビオチンとの特異的結合を用いること
もできる。この場合、アビジン及びビオチン(これらも
標識と称する場合がある)と他の試薬との結合は、例え
ば上記の常用の手段により行うことができる。
【0028】IgE、FcεRIα鎖、抗−IgE抗体
等の試薬は、測定方式に応じて、キャリヤーに結合させ
て使用する場合があり、これらのキャリヤーとしては、
常用の免疫測定において使用されるもの、例えばプレー
ト、例えばマイクロタイタープレート、ビーズ、ラテッ
クス粒子等が挙げられる。これらの材料の材質としては
常用のものを使用することができる。これらのキャリヤ
ーにIgE、FcεRIα鎖、抗−IgE抗体等の試薬
を結合させるには、これらのキャリヤーに結合するため
に常用されている手段、例えば適当な溶媒に希釈したも
のを接触させることにより結合させる、カップリング剤
でプレート等に架橋させる、電気的に膜に移行させる、
膜等に疎水的に結合させる等により行うことができる。
【0029】本発明の反応は、通常、水性媒体中で行わ
れる。従って、IgE、FcεRIα鎖、抗−IgE、
その他の試薬は水性媒体中の溶液又は懸濁液の形で使用
される場合がある。これらの場合の水性媒体としては、
緩衝液、例えばリン酸緩衝液、Tris−HCl緩衝
液、Hepes緩衝液等の常用の緩衝液が好適に使用さ
れる。
【0030】本発明はまた、IgEの検出又は測定用試
薬に関する。この試薬は、FcεRIα鎖、例えば可溶
性FcεRIα鎖、IgE、又は抗−IgE抗体等を含
んでなる。これらの試薬は、前記のごとき水性媒体中の
溶液又は懸濁液、キャリヤー、例えばビーズ、プレー
ト、例えばマイクロタイター、試験管、ニトロセルロー
ス膜、ナイロン膜等の固体キャリヤー、ラテックス粒
子、等の表面に結合した形態であることができる。さら
に、前記溶液又は懸濁液を凍結乾燥した形態であっても
よい。
【0031】本発明はまた、前記の試薬又はその原料を
2種以上含んで成るIgE測定用キットに関する。キッ
トの構成成分は、そのキットを使用する測定方式に依存
して異る。例えば、サンドイッチ法用キットの1つの態
様は、(1)FcεRIα鎖(好ましくは可溶性Fcε
RIα鎖を表面に固定した前記のごとき固体キャリヤ
ー、及び(2)前記のごとき標識により標識された、I
gEに対する抗体の溶液又はその凍結乾燥物を含んで成
る。サンドイッチ法用キットの他の態様は、(1)Ig
Eに対する抗体を表面に結合した前記のごとき固体キャ
リヤー、及び(2)前記のごとき標識により標識された
FcεRIα鎖(好ましくは可溶性FcεRIα鎖)の
溶液又はその凍結乾燥物、を含んで成る。
【0032】これらのキットはさらに、検出用試薬、反
応媒体用又は試薬や試料希釈用の緩衝液等を含むことも
できる。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法に従えば、いままでの方法
では識別不可能であった、アレルギー反応を誘発する能
力を持ったIgEを選択的に、かつ定量的に測定でき、
アレルギー診断や寄生虫感染、重症肝障害、湿疹、Ig
Eミエローマ等の種々の疾病の診断に有効である。
【0034】
【実施例】以下実施例により、本発明のさらに詳細な説
明を行なうが、本発明は実施例にのみ限定されるもので
はない。実施例1.ビオチン標識可溶性FcεRIα断片を用い
たIgE検出系
【0035】(1)可溶性FcεRIα断片のビオチン
標識 バキュロウイルス発現系で発現分泌精製された可溶性F
cεRIα断片のビオチン標識は以下のように行った。
精製された可溶性FcεRIα断片を0.1M炭酸水素
ナトリウム、0.2M塩化ナトリウム溶液中に0.2mg
/mlとなるように調製した。この溶液2.9mlに1.7
mg/mlのNHS−LC−Biotin(ピアス社製)を
30μl加えて穏やかに攪拌しながら室温で2時間反応
させた。さらに0.2Mグリシン溶液pH8.0を加えて
室温で1時間穏やかに攪拌した。この溶液を0.2M塩
化ナトリウム、20mMトリス塩酸緩衝液pH7.6に対し
て透析して反応試薬を除去し、ビオチン標識可溶性Fc
εRIα断片を得た。
【0036】(2)IgE測定用マイクロタイタープレ
ートの調製 試料中のIgE量を測定するために、以下の系を構築し
た。抗ヒトIgEモノクローナル抗体(ヤマサ社製)を
50mM炭酸ナトリウム緩衝液pH9.35で1000倍に
希釈し、マイクロタイタープレート(ヌンク社製マイク
ロウエルモジュールプレートマキシソープF−8)の各
穴にその0.1mlずつを入れて4℃で一晩コーティング
した。各穴を洗浄液(150mM塩化ナトリウム、0.0
5%(w/v)Tween20、20mMトリス塩酸緩衝
液pH7.4)で洗浄した後、1%(w/v)BSA、1
50mM塩化ナトリウム、20mMトリス塩酸緩衝液pH7.
4を添加し、4℃で一晩ブロッキングを行った。このI
gE測定用マイクロタイタープレートは使用するまで4
℃で保存した。
【0037】(3)IgEの検出 IgE測定用マイクロタイタープレートの各穴を洗浄液
で洗浄した後、これに希釈用溶液(0.2%(w/v)
BSA、150mM塩化ナトリウム、0.05%(w/
v)Tween20、20mMトリス塩酸緩衝液pH7.
4)で各濃度に希釈したIgE標準溶液あるいはIgE
試料溶液を0.1ml添加した。室温で2時間静置した
後、各穴を洗浄液で洗浄し、上で調製したビオチン標識
可溶性FcεRIα断片を希釈用溶液で1000倍に希
釈したものを0.1ml添加してさらに室温で2時間静置
した。
【0038】各穴を洗浄液で洗浄し、西洋ワサビペルオ
キシダーゼ標識アビジン(ベクター社製)を希釈用溶液
で5000倍に希釈したものを0.1ml添加して室温で
2時間静置した。各穴を洗浄液で洗浄した後、基質とし
てHRP発色キット(メディックスバイオテク社製)を
0.1ml添加し室温で10分間遮光して反応させた。反
応停止は各穴に0.025mlの10%(w/v)硫酸を
添加した。各穴の450nmの吸光度をマイクロタイター
プレートリーダーで測定した。その結果、この系により
1ng以上のIgEを検出することができた。結果を図1
において白円で示す。
【0039】(4)上記IgE測定系の反応時間短縮法 上記IgEの検出法で反応時間を短縮するために、Ig
E溶液とビオチン標識可溶性FcεRIα断片を別々に
2時間反応させるのではなく、IgE溶液とビオチン標
識可溶性FcεRIα断片をそれぞれ最終濃度、最終液
量が上と等しくなるように同時に添加し、室温で2時間
静置した。以下の操作は上記と同じとし、両方法の差を
比較した。
【0040】その結果、両方法のIgE検出限界量は変
わらず、1ngから10ngのIgEについてはほぼ等しい
吸光度を示したので、この方法で反応時間の短縮が可能
であった。結果を図1において黒円で示す。次に、本発
明において使用する可溶性ヒトFcεRIα鎖の製造方
法を参考例として具体的に説明する。
【0041】参考例1.可溶性ヒトFcεRIα鎖遺伝
子断片を持つプラスミドの調製 ヒトFcεRIα鎖遺伝子断片を持つプラスミドBS−
SK(+)herαから、DNA合成機(8700DNA Synt
hesizer, MilliGen /Biosearch)を用いて合成したプラ
イマーDNAを用い、PCR反応により目的とする可溶
性ヒトFcεRIα鎖遺伝子断片を調製した。プライマ
ーとしてはNTVプライマーとPASプライマーを作製
した。それぞれの配列は以下に示すものである。
【0042】NTVプライマー;5′−AAAAACTCGAGATG
GCTCCTGCCATGGAATCCCCTACT(配列番号:1) PASプライマー;5′−AAAAAGGATCCTTAAGCTTTTATTAC
AGTAATGTTGA(配列番号:2) PCR反応は次に示す条件で行なった。100μlの反
応液〔1ngプラスミドBS−SK(+)herαDN
A、1μMNTVプライマー、1μMPASプライマ
ー、10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM
KCl、1.5mMMgCl2 、0.001% gela
tin、200μM dATP、200μM dCT
P、200μM dGTP、200μM dTTP、
2.5U AmpliTaq DNA polymer
ase(宝酒造)〕を調製し、DNAThermal
Cycler(Perkin Elmer Cetus社) を用いて、94
℃にて1分間、50℃にて2分間、72℃にて3分間の
反応を30サイクル行なわせた。
【0043】反応液の一部20μlを0.8%アガロー
スにアプライし電気泳動を行なった。分離した約0.6
kbのDNA断片をアガロースからGeneCleanキ
ット(BIO101社)を用いて16μlのTE溶液〔10mM
Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA〕中
に回収した。そこに10Xの反応緩衝液〔100mMTr
is−HCl(pH7.5)、1.5M NaCl、70
mM MgCl2 〕を2μl加え、BamHI、XhoI
をそれぞれ1μl加え37℃において1時間反応させ
た。
【0044】反応液を65℃、10分間処理することに
より酵素を熱失活させた後、その一部5μlをBamH
IおよびXhoIで切断したクローニングベクターpT
3T7U19X(特願平3−106600号)10ngと
ともにDNAライゲーションキット(宝酒造社)A液3
0μlおよびB液6μlと混合し、16℃、1時間反応
させ両DNAを連結させた。得られたDNA溶液10μ
lを用いて大腸菌XL1−Blue (Stratagene社) を
Hanahanの方法〔DNA cloning:A practical appr
oach(ed.D.M.Glover), vol.1, p109-, IRC press (188
5)〕に従って形質転換させ、X−Galを含むL−am
pプレートに蒔き、白色のコロニーを選択することによ
りアンピシリン耐性で、βガラクトシダーゼ欠損のコロ
ニーを選択した。
【0045】選択したコロニーをL−amp培地で培養
し、ヘルパーファージVCSM13を感染させることに
より組換え体ファージを調製した。調製した組換え体か
ら一本鎖DNAを調製し、調製したDNA約0.8μg
をDNA Sequencing System/Taq polymerase(アプライド
バイオシステム社) を用い、メーカーの推奨する条件に
従い反応させ、反応産物をDNA sequencer Model 370A
(version 1.30、アプライドバイオシステム社) を用い
て分析し塩基配列を決定した。
【0046】またアルカリ溶菌法により調製した組換え
体プラスミドDNA約1μgをM13RPIプライマー
(アプライドバイオシステム社)を用い、Cyclin
gsequencing法 (アプライドバイオシステム
社テクニカルマニュアル)によりメーカーの推奨する方
法に従い反応させ、反応産物をDNA sequencer Model 37
0A(version 1.30、アプライドバイオシステム社) を用
いて分析し塩基配列を決定した。
【0047】両者の方法により決定した配列のうち、構
造遺伝子部分が既に報告されているヒトFcεRIα鎖
遺伝子のものと異なっておらず、翻訳開始コドンの前に
NTVプライマーによって導入されたXhoIサイトが
あり、かつコードされているアミノ酸配列の25番目の
バリンを第1位とした場合に第172位のアラニンをコ
ードするコドンの直後にPASプライマーによって導入
された翻訳終了コドンTAAとBamHIサイトがある
ことが確認された組換え体プラスミドpNTV2を得
た。
【0048】参考例2.ヒト可溶性FcεRIα鎖遺伝
子断片の単離 KU812細胞(4×107 細胞)からTotal RNA Sepa
rator Kit(Clontech社)を用い、メーカーの推奨する方
法に則り、RNAを抽出した。抽出したRNAからmRNA
Separator Kit(Clontech社)を用い、メーカーの推奨
する方法に従いpolyA RNAを精製した。40μ
gのpolyA RNAを得ることが出来た。このうち
5μgを用い、Time Saver cDNA 合成キット(ファルマ
シア社)を用い、メーカーの推奨する方法に従い、二本
鎖cDNAを合成した。
【0049】得られたcDNA液(150μl)の内の
一部、10μlを用いて、前述のNTVプライマー、P
ASプライマーを用い、100μlの反応液(1μM
NTVプライマー、1μM PASプライマー、10mM
Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、
1.5mM MgCl2 、0.001% gelati
n、200μM dATP、200μM dCTP、2
00μM dGTP、200μM dTTP、2.5U
AmpliTaq DNA polymerase
〔宝酒造〕)を調製し、DNA Thermal Cy
clerを用いて、94℃にて1分間、50℃にて2分
間、72℃にて3分間の反応を30サイクル行なわせ
た。
【0050】反応液の一部20μlを0.8%アガロー
スにアプライし電気泳動を行なった。分離した約0.6
kbのDNA断片をアガロースからGeneCleanキ
ットを用いて16μlのTE溶液〔10mM Tris−
HCl(pH7.5)、1mMEDTA〕中に回収した。そ
こに10Xの反応緩衝液〔100mM Tris−HCl
(pH7.5)、1.5M NaCl、70mM MgCl
2 〕を2μl加え、XhoI、BamHIをそれぞれ1
μl加え37℃において1時間反応させた。
【0051】反応液を65℃、10分間処理することに
より酵素を熱失活させた後、その一部5μlをXho
I、BamHIで切断したクローニングベクターpBl
uescriptIIKS(+)、10ngとともにDNA
ライゲーションキット、A液30μl、B液6μlと混
合し、16℃、1時間反応させ両DNAを連結させた。
得られたDNA溶液10μlを用いて大腸菌XLl−b
lueをHanahanの方法に従って形質転換させ、
X−Galを含むL−ampプレートに蒔き、白色のコ
ロニーを選択することによりアンピシリン耐性で、βガ
ラクトシダーゼ欠損のコロニーを選択した。
【0052】コロニーから調製したプラスミドDNA
1.5μgをDye primer cycling sequencing kit(アプ
ライドバイオシステム社)を用い、M13RP1または
−21M13プライマーをもちいて、メーカーの推奨す
る条件に従い反応させ、反応産物をDNA seque
ncer Model 373Aを用いて分析し挿入断
片の塩基配列を決定した。
【0053】挿入された断片は報告の配列と同じ配列を
持ち、翻訳開始コドンATGの直前にXhoIサイトが
あり、第24位のバリンを第1位とした場合に172位
に存在するアラニンのコドンの直下に翻訳停止コドンと
BamHIサイトが挿入されていることが確認された。
このようにして得られたプラスミドは、実施例2におい
てpNTV2の代わりに用いることが出来ることは明ら
かである。
【0054】参考例3.可溶性ヒトFcεRIα鎖の発
現プラスミドの作製 可溶性ヒトFcεRIα鎖遺伝子を持つプラスミドpN
TV2 1μgを10μlの反応液中〔10mM Tri
s−HCl(pH7.5)、100mM NaCl、7mM
MgCl2 、12U XhoI、10U BamHI〕
で37℃において1時間反応させた。反応終了後フェノ
ール/クロロホルムによりDNAを抽出した後、エタノ
ール沈殿法により回収した。このDNA断片をDNAプ
ランティングキット〔宝酒造〕を用いて、メーカーの推
奨する方法により平滑末端化した。反応液を0.8%ア
ガロース電気泳動にかけ、分離した約0.6kbの断片を
アガロース小片からGeneCleanキットを用いて
10μlのTE液中に回収した。
【0055】一方バキュロウィルス発現ベクターである
pAcYM1(Matsuura, Y.ら、J.Gen.Virol. 68, p12
33−1255)1μgを10μlの反応液中〔10mM Tr
is−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、7mM
MgCl2 、10U BamHI〕で37℃において
1時間反応させた。反応液を0.8%アガロース電気泳
動にかけ、分離した約10kbの断片をアガロース小片か
らGeneCleanキットを用いて10μlのTE液
中に回収した。
【0056】この回収した断片を含む溶液2μlと、p
NTV2から回収した断片を含む溶液3μlとをそれぞ
れDNAライゲーションキットA液25μl、B液5μ
lと混合し、16℃、1時間反応させ両DNAを連結さ
せた。得られたDNA溶液10μlを用いてそれぞれ大
腸菌XLl−blueをHanahanの方法に従って
形質転換させ、L−ampプレートに蒔き、アンピシリ
ン耐性のコロニーを選択した。コロニーのプラスミドD
NAの制限酵素部位を調べそれぞれの断片が連結された
プラスミドを持つ形質転換体を選別することによりバキ
ュロウィルス発現ベクターであるpAcYM1−NTV
を得た。
【0057】参考例4.可溶性ヒトFcεRIα鎖発現
組換えウィルスの単離 夜盗蛾腸培養細胞であるSf−9細胞株にバキュロウィ
ルス発現ベクターであるpAcYM1−NTV、10μ
gと天然型バキュロウィルスDNA1μgを燐酸カルシ
ウム沈殿法により感染させた。感染の方法は松浦(実験
医学8刊、p281−284,1990)の方法に従っ
た。感染後プラークアッセイ法によりポリヘドリンを合
成していないプラークを選択した。このプラークアッセ
イを3回行なうことにより組換えウィルスを単離した。
【0058】単離したウィルスをMOI(multiplicity
of infection)=1でSf−9細胞に感染させ、10%
FCSを含むGrace培地(Gibco社)中で72時間培
養し、培養上清の一部をウェスターンプロッティング法
により分析することにより、可溶性ヒトFcεRIα鎖
発現組換えウィルスであるAc−NTVを単離した。単
離したウィルスをMOI(multiplicity of infection)
=1でSf−9細胞に感染させ、10%FCSを含むG
race培地(Gibco社)中で72時間培養し培養上清を
回収することにより、約1×108 pfu/mlの組換えウ
ィルスを回収した。
【0059】参考例5.発現及び発現産物の精製 組み換えウィルスをMOI(multiplicity of infectio
n)=5でSf−9細胞(4×108 細胞)に感染させ、
10%FCSを含むGrace培地(Gibco社)中400
mlで72時間培養し培養上清を回収した。回収した上清
中に硫安を飽和濃度60%となるように加えた後、4℃
で2時間保温した。10000rpm で30分間遠心し、
沈殿物を回収した。
【0060】回収した沈殿物をTBS(20mM Tri
s−HCl〔pH7.5〕、150mMNaCl)に溶解さ
せた後、同溶液に対して4℃、1夜透析した。透析後液
を回収し、TBSで平衡化したセファクリルS200カ
ラム(2.6cm×60cm)にかけTBSにて分離した。
分子量3万から4万付近に相当する分画を集めた。抗F
cεRIαモノクローナル抗体カラムの作製を以下のよ
うに行なった。BrCN−activated Sep
harose4B(ファルマシア社製)を1mM塩酸中で
室温で15分間膨潤させた。1mM塩酸を用いてグラスフ
ィルター上で膨潤ゲルの洗浄と膨潤を繰り返した後、カ
ップリング緩衝液(0.5M塩化ナトリウム、0.1M
重炭酸ナトリウム pH8.3)で洗浄した。
【0061】直ちにこのゲル2mlを、カップリング緩衝
液に溶解した精製抗FcεRIαモノクローナル抗体溶
液2ml(5mg/ml)に加え、室温で2時間穏やかに攪拌
した。上清を除き、0.2Mグリシン塩酸、pH8.0に
ゲルを懸濁し、室温で2時間穏やかに攪拌した。次にこ
れをカップリング緩衝液と0.5M塩化ナトリウムを含
む0.1M酢酸緩衝液 pH4.0で繰り返し洗浄し、抗
FcεRIαモノクローナル抗体カラムを得た。
【0062】ゲル濾過により得られた画分の抗FcεR
Iαモノクローナル抗体カラムによる精製を以下のよう
に行なった。0.5M塩化ナトリウムを含む20mMトリ
ス塩酸緩衝液 pH7.6で平衡化した抗FcεRIαモ
ノクローナル抗体カラムに、培養上清をゲル濾過して得
られたFcεRIαを含む画分をかけ、平衡化に用いた
緩衝液にてカラムを充分に洗浄した。
【0063】次に、3Mチオシアン酸ナトリウムと0.
5M塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液 pH
7.6でカラムからの溶出を行ない、溶出された画分を
0.1M塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液
pH7.6に対して直ちに透析し、可溶性FcεRIα
断片精製標品を得た。
【0064】参考例6.精製標品の純度検定 精製標品の純度検定をSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動法を用いて以下のように行なった。精製標品を
濃縮し、試料用緩衝液(2%ドデシル硫酸ナトリウム、
5%2−メルカプトエタノール、7%グリセロール、
0.005%ブロムフェノールブルーを含む62.5mM
トリス塩酸緩衝液 pH6.8)に懸濁し、100℃で5
分間煮沸した。
【0065】この試料を分離ゲル濃度が10−20%の
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動用濃度勾配平
板ゲル(第一化学薬品株式会社製)を用いて電気泳動
し、銀染色キット(第一化学薬品株式会社製)でゲルを
染色して蛋白質の検出を行なった。その結果、分子量3
0k〜35k付近に広がった単一のバンドが検出され
た。
【0066】参考例7.IgEとの結合活性の測定 96穴プレート(Nunc Immuno Module Maxisorp F16)に
100μl/wellの割合でcoating buffe
r(0.3mg/l CHO細胞由来の可溶性FcεRI
α鎖、1.59g/l Na2 CO3 、2.93g/l
NaHCO3、pH9.35)を加え、4℃で一昼夜保
温した。その後、coating bufferを捨
て、200μl/wellの割合でTTBS溶液〔20mM
Tris−HCl(pH7.4)、9g/l NaCl、
0.05% Tween20〕を加えることにより、各
wellを洗浄した。この洗浄操作をもう一度繰り返し
た。
【0067】洗浄後、200μl/wellの割合でブロッ
キング溶液〔20mM Tris−HCl(pH7.4)、
9g/l NaCl、1% BSA〕を加え、4℃で一
昼夜保温し、ブロッキングを行なった。ブロッキング溶
液を捨て、先に述べたTTBS溶液による洗浄操作を3
度繰り返した。次に、あらかじめ用意しておいた活性測
定用の一連のサンプル希釈液を、80μl/wellの割合
で加え、速やかに20μlのIgE溶液〔10ng/20
μl ヒトIgE(ヤマサ醤油)、20mM Tris−
HCl(pH7.4)、9g/l NaCl、0.05%
Tween20、0.2% BSA〕を加え、軽く攪
拌した。
【0068】室温で2時間保温した後、先に述べたTT
BS溶液による洗浄操作を3度繰り返した。次に、TT
BS−0.2% BSA溶液を用いて1000倍に希釈
したPeroxidase conjugated IgG Fraction Goat Anti-H
uman IgE(Epsilon Chain Specific:CAPPEL社)を10
0μl/well加え、室温で2時間保温した。TTBS溶
液による洗浄操作を4度繰り返した後、TMB Peroxidase
Substrate(KIRKEGAARD & PERRY LABOBATORIES社)とPe
roxidase Solution B(KIRKEGAARD &PERRYLABOBATORIES
社)を等量混合したものを、100μl/well加えて室
温で10分間保温し、10%w/vのH2 SO4 を25
μl/well加えて、反応を停止した。その後、A450
を測定することにより、精製した可溶性FcεRIα鎖
の測定を行なった。
【0069】これにより、活性のある可溶性ヒトFcε
RIα鎖がサンプル中に存在する場合、ヒトIgEと結
合することにより、ELISAプレートにコートされた
CHO細胞由来の可溶性FcεRIα鎖と結合するヒト
IgEが減少するためにA450の測定値が陽性コント
ロールに比べて低下する。この系に、スタンダードとし
て、CHO細胞由来の可溶性FcεRIα鎖をTTBS
−0.2% BSA溶液にて希釈した液をサンプル希釈
液の代わりに用いることにより、サンプル中の可溶性ヒ
トFcεRIα鎖の定量を行なうことができる。
【0070】この方法により、400mlから精製した可
溶性ヒトFcεRIα鎖は、2mgのCHO産生の可溶性
ヒトFcεRIα鎖に相当するIgE結合活性を持つこ
とが明かとなった。
【0071】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:38 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 AAAAACTCGA GATGGCTCCT GCCATGGAAT CCCCTACT 38
【0072】配列番号:2 配列の長さ:37 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 AAAAAGGATC CTTAAGCTTT TATTACAGTA ATGTTGA 37
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1において得たIgE濃度と測定
値(A450)との関係を示すグラフである。グラフ
中、白円は実施例1の(3)において得た結果を示し、
黒円は実施例1の(4)で得た結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八木 慎太郎 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 谷田 以誠 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 長谷川 明 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 羅 智靖 千葉県千葉市花見川区花園2−14−13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の免疫グロブリンE(IgE)と
    IgE結合受容体α鎖(FcεRIα鎖)とを反応せし
    め、そして該反応を検出又は測定することを特徴とす
    る、試料中のIgEの検出又は測定方法。
  2. 【請求項2】 FcεRIα鎖を含んで成る、IgEの
    検出又は測定用試薬。
  3. 【請求項3】 (1)請求項2に記載の試薬と、及び
    (2)IgEに対する抗体を含んで成る試薬を含んで成
    る、IgEの検出又は測定用キット。
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