JPH0770705A - 熱膨張特性に優れたオーステナイトステンレス鋼 - Google Patents

熱膨張特性に優れたオーステナイトステンレス鋼

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JPH0770705A
JPH0770705A JP24206793A JP24206793A JPH0770705A JP H0770705 A JPH0770705 A JP H0770705A JP 24206793 A JP24206793 A JP 24206793A JP 24206793 A JP24206793 A JP 24206793A JP H0770705 A JPH0770705 A JP H0770705A
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Hiromitsu Nagata
弘光 永田
Hiroshi Yokota
博史 横田
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Aichi Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 重量比にしてC:0.015%以下、Si:0.50%以下、
Mn:2.0〜4.0%、Cu:2.0〜4.0%、Ni:10.0 越え〜12.0% 、
Cr:17.0 〜19.0% 、N:0.020%以下、S:0.005%以下、C+N:
0.030%以下を含有し、残部がFe及び不純物元素からなる
鋼及び必要に応じて窒化処理を施し、耐焼付性を向上さ
せたことを特徴とする熱膨張特性に優れたオーステナイ
トステンレス鋼。 【効果】 鋼としては、非常に高い熱膨張係数が得られ
るので、Al合金等熱膨張係数の高い素材を用いた部品と
接触する部位に使用した時に熱膨張係数の違いにより生
じる問題(ボルトのゆるみ、焼付)の発生を防止するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷間加工後の熱膨張特
性に優れ、かつ冷間加工性、耐焼付性、窒化特性にも優
れたオーステナイトステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】Al合金製部品の締結部品 (ボルト等) や
その他のAl合金製部品と接触する部位に使用される部品
で、温度変化の比較的大きい環境で使用され、部品を製
造する際に熱間圧延により製造した棒鋼、線材を冷鍛、
引抜等の冷間加工する場合、その材料には冷間加工性が
優れることが勿論であるが、Al合金に近い熱膨張係数を
有することが要求される。これは、温度が大きく変化す
る環境において前記用途にAl合金と熱膨張係数が大きく
異なった材料を使用すると、ボルトが時間の経過ととも
に緩んでしまったり、Al合金部品との接触状態が悪化し
て、前記部品を使用した機械を稼働させた時の騒音が大
きくなったり、接触部分で焼付が発生することがあるか
らである。焼付が発生した場合、その程度によっては機
械の稼働に支障がでる場合があり、できるだけAl合金に
熱膨張係数の近い材料を選択する必要がある。
【0003】従来前記用途にはオーステナイトステンレ
ス鋼であるSUSXM7が最も多く用いられている。これは、
鋼がAl合金に比べ強度に優れており、かつ鋼の中でもオ
ーステナイトステンレス鋼が比較的熱膨張係数が高く、
Al合金の熱膨張係数に近い値を示すためである。さら
に、JIS のオーステナイトステンレス鋼の中でSUSXM7は
引張強さが低く、冷間加工性に優れるためである。
【0004】また、冷間加工性に優れたオーステナイト
ステンレス鋼で既に出願されているものとしては、例え
ば特開昭61-190048 号公報に示す発明がある。これらは
Ni、Mn、Cu等のオーステナイト相を安定化させる元素を
適量添加して加工誘起マルテンサイトを抑え、加工硬化
を防止するとともに、C 、N 量を低減して強度を低く抑
え、冷間加工性の向上を図るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記部品は、熱間圧延
後固溶化熱処理、酸洗処理を施し、表面に加工中の焼付
防止のための潤滑処理を施した後、冷鍛等の冷間加工を
するという工程によって製造される。従って、冷鍛等の
冷間加工後において高い熱膨張係数を有していることが
必要になる。しかしながら、従来鋼であるSUSXM7等JISG
4303に記載されたオーステナイト系ステンレス鋼は、固
溶化熱処理直後においては割合高い熱膨張係数を有して
いるが、加工によって熱膨張係数が低下し、要求特性を
十分に満足することができない。また、SUSXM7はJIS 鋼
の中では冷間加工性が優れるものの、厳しい加工をする
際には若干冷間加工性が劣っている。
【0006】また、前記した公報等既に出願されている
冷間加工性に優れたステンレス鋼は、冷間加工性や一部
の出願で加工後の非磁性特性の向上を考慮して成分が設
計されているが、加工後の熱膨張係数について何ら考慮
されておらず、前記用途に適用するためには、熱膨張係
数まで考慮した最適な成分設計をしなければ、その適用
は困難である。
【0007】さらに、使用中にAl合金部品と擦れ合う場
合には、熱膨張係数を考慮した素材を使用しても長時間
使用によって焼付が生じることがあり、解決する必要が
あった。本発明は、前記課題を解決し、Al合金部品と接
触する部位に使用しても、緩みや焼付が生じることがな
く、冷間加工性にも優れたオーステナイトステンレス鋼
の提供を可能にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、従来鋼の
前記のごとき欠点に鑑み、先願の冷間加工性に優れたス
テンレス鋼に比較して同等ないし優れた加工性を有しつ
つ、熱膨張係数にも優れた成分系を見出すために鋭意研
究を重ねた結果、完成に至ったものであり、下記に示す
新たな知見に基づくものである。
【0009】Mn、Cu、Ni等のオーステナイト安定化元素
を添加して、加工誘起マルテンサイトの生成を防止し、
かつC+N を極力低減して冷間加工性を向上させるとする
基本的考え方については、先願の公報に記載された内容
と同じである。しかし、前記課題を解決するためには、
さらに熱膨張特性、耐焼付性についても合わせて検討す
る必要があり、詳しく調査した。
【0010】その結果、固溶化熱処理段階で高い熱膨張
係数を確保し、かつ加工後の熱膨張係数の低下を抑える
ためには、オーステナイト安定化元素であるMn、Cu、Ni
とCr量を適量に調整する必要があり、MnおよびCuを2.0
〜4.0%、Niを10% を越えて含有させ、Crの上限を19% 以
下に規制することにより、加工後においても優れた熱膨
張係数が得られることを見出した。
【0011】特にCuは、加工による熱膨張係数の低下防
止に大きな効果があり、3Mn-18Cr-11Ni 鋼の場合、50%
圧縮加工による熱膨張係数の低下は、Cuが1%の場合、約
1.5×10-6/℃程度のものが、Cuが2%の場合には約0.8
×10-6/℃に、Cuが4%の場合には約0.2 ×10-6/℃に抑
えられることを知見した。
【0012】またNiは、Cuとは異なり、固溶化熱処理段
階での熱膨張係数を高めるのに効果があり、3Mn-3Cu-18
Cr鋼の場合、Ni量が8.5%と11.5% で比較すると、約2.0
×10-6/℃程度の差があることを確認した。
【0013】さらに、本発明者等は、耐焼付性を向上す
るために、低合金鋼で多く用いられている表面処理の適
用に注目し、適切な表面処理条件と表面処理後に優れた
特性を得るための最適な成分系についても合わせて検討
した。その結果、窒化処理により、Hv800 以上の極めて
高い硬さを有する層を表面から20μm 以上設けることに
より耐焼付性が著しく向上すること、窒化処理後の特性
を向上させるためには、前記した熱膨張係数の場合と同
様に、Mnの上限を4.0%に規制するとともに、Niの上限を
12.0% 以下に規制する必要があることを見出したもので
ある。
【0014】すなわち、本発明鋼の場合、高い熱膨張係
数が得られるので、従来鋼を用いた場合に比べ接触状態
の変化の程度が小さく、焼付は生じにくいが、冷間加工
のままの状態では、表面硬さは加工度の高い部分でもHv
350 程度であり、接触状況によっては焼付が生じる場合
がある。この場合でも表面に窒化処理をすることによっ
て、表面から20μm 以上の深さについてHv800 以上の硬
さとすることにより焼付を防止できることを見出したも
のである。
【0015】なお、窒化処理は、処理温度550 〜600
℃、処理時間5〜10時間、雰囲気ガスの水素ガスに対す
る窒素ガスの分圧比が1.5 〜4.0 の条件で行えば良い。
この条件で処理することにより表面から20μm 以上の深
さについてHv800 以上の硬さを確保することができる。
また、窒化処理方法にはいろいろあるが、その中でもイ
オン窒化処理法により行うのが望ましい。これは他の窒
化処理方法により行うと、表面の不働態皮膜によって窒
素の侵入が十分に進まない場合があるからである。
【0016】以上説明した知見により得られた本発明で
ある熱膨張特性に優れたオーステナイトステンレス鋼の
第1発明は、重量比にしてC:0.015%以下、Si:0.50%以
下、Mn:2.0〜4.0%、Cu:2.0〜4.0%、Ni:10.0 越え〜12.0
% 、Cr:17.0 〜19.0% 、N:0.020%以下、S:0.005%以下、
C+N:0.030%以下を含有し、残部がFe及び不純物元素から
なることを特徴とし、第2発明は第1発明の鋼を固溶化
熱処理し、冷間加工後、窒化処理を施すことによって耐
焼付性を向上させたものである。
【0017】なお、本発明で言う冷間加工性とは、棒
鋼、線材を用いて引抜等の伸線や冷鍛を行う際の加工性
のことを意味し、薄板を対象とする深絞り性、プレス成
形性とは内容が異なるものである。
【0018】
【作用】本発明の熱膨張特性に優れたオーステナイトス
テンレス鋼は、C 、N を極力低減し、オーステナイト安
定元素であるMn、Cu、Ni、Crを加工によるオーステナイ
ト安定度だけでなく、熱膨張特性や窒化特性を含めて考
慮し、規制しているので、優れた冷間加工性と加工後の
高い熱膨張係数を確保するとともに、必要に応じて窒化
処理を施し、耐焼付性を高めることができる。
【0019】以下に本発明である熱膨張特性に優れたオ
ーステナイトステンレス鋼の成分限定理由について説明
する。 C:0.015%以下 C は固溶強化により変形抵抗を増大させるため、冷間加
工性を害するとともに、Crと結びついてCr炭窒化物を形
成するとCrの耐食性向上効果が阻害される。従って、可
能な限り低減する必要があり、上限を0.015%とした。よ
り優れた耐食性、冷鍛性を得るためには、0.010%以下と
することが望ましい。
【0020】Si:0.50%以下 Siは、C と同様に固溶強化によって変形抵抗を増大させ
るため、冷間加工性を害する元素である。本発明では冷
間加工性を最重視しているので、できるだけ低減するこ
とが必要であり、上限を0.50% とした。より優れた特性
を得るには、0.15% 以下とすることが望ましい。
【0021】Mn:2.0〜4.0% Mnは、オーステナイトの安定度を高め、γ→αマルテン
サイト変態を防止して、加工による熱膨張係数の低下を
抑えるとともに、冷間加工性を向上するために必要な元
素であり、2.0%以上含有させることが必要である。しか
し、多量に含有させると窒化処理時に窒素を侵入させる
ことが難しくなるとともに、加工後にγ→εマルテンサ
イト変態が起こりやすくなって、熱膨張係数が低下する
ので、上限を4.0%とした。
【0022】Cu:2.0〜4.0% Cuは、Mnと同様にオーステナイト安定度を高め、冷鍛性
を向上するために必要な元素であり、2.0%以上の含有が
必要である。特にCuは加工による熱膨張係数の低下を抑
えるのに大きな効果があり、3.0%以上含有させることが
望ましい。しかし、多量に含有させると熱間圧延時に割
れが生じやすくなるため、上限を4.0%とした。
【0023】Ni: 10.0越え〜12.0% Niはオーステナイト相を安定化させるとともに、耐食性
を向上させるとともに、熱膨張特性を高める効果のある
元素であり、熱膨張特性を最重視している本発明では1
0.0% を越えて含有させる必要がある。しかし、多量に
含有させると、コストが上昇することは勿論であるが、
窒化処理時に窒素が侵入しにくくなるため、上限を12.0
% とした。
【0024】Cr: 17.0〜19.0% Crはステンレス鋼の基本特性である耐食性を確保すると
ともに、窒化処理後の表面硬さを高め、耐焼付性を向上
させる効果のある元素であり、17.0% 以上の含有が必要
である。しかし、多量に含有させると、δフェライトが
析出して、熱間加工性、冷間加工性が低下するととも
に、熱膨張係数が低下するため、上限を19.0% とした。
【0025】N:0.020%以下 N は鋼中に不純物として存在し、C と同様に固溶強化に
よって強度を高め、冷間加工性を低下させるとともに、
耐食性にも悪影響を及ぼす元素である。従って、N はで
きるだけ低減することが望ましく、上限を0.020%とし
た。望ましくは0.010%以下とすべきである。
【0026】S:0.005%以下 S は通常鋼中に不純物として含有し、冷間加工性、耐食
性を劣化させる元素である。従って、冷間加工性を重視
する本発明では、通常不純物とした含有している量より
低減する必要があるため、上限を0.005%とした。
【0027】C+N:0.030%以下 引張強さを低く抑え、冷間加工性を高めるためには、C
、N の合計含有率をできるだけ低減する必要がある。
従って、本発明ではその上限を0.030%とした。望ましく
は、0.015%以下とすべきである。
【0028】
【実施例】次に本発明鋼の特徴を、比較鋼、従来鋼と比
較して、実施例でもって明らかにする。表1に実施例で
使用した供試材の化学成分を示す。表1において、1〜
9鋼は本発明鋼であり、10〜17鋼は成分の一部が本発明
の範囲外である比較鋼、18、19鋼は従来鋼である。従来
鋼のうち、18鋼はSUSXM7、19鋼は特開昭61-190048号公
報の実施例に記載された成分の鋼である。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示す成分を有する鋼を30kg真空誘導
溶解炉で溶解し、製造した鋼塊を直径20mmの丸棒に熱間
鍛伸後1050℃で固溶化熱処理し、後述する各種試験用の
試験片を作製した。試験は、熱間加工性、冷鍛性(引張
強さ)、熱膨張係数、耐焼付性、ボルトのゆるみ試験に
ついて評価した。評価結果を表2に示す。
【0031】熱間加工性については、前記した30kg鋼塊
(直径約130mm)を直径20mmの丸棒に鍛伸する際に、1150
〜1200℃に加熱して行い、鍛伸後の割れの有無をチェッ
クすることによって行ったものである。表2には割れが
認められたものを×、割れの存在しなかったものを○で
表示した。
【0032】冷鍛性については、JIS14A号引張試験片を
作製し、島津製作所製25ton オートグラフを用いて引張
速度1mm/min の条件で試験を行い、引張強さを測定する
ことによって評価した。
【0033】熱膨張係数については、固溶化熱処理直後
の供試材、直径6mm 、長さ9mm の試験片を端面が平滑の
圧板で据率50% で据込加工したもの、後述する耐焼付性
評価試験片の3種類について測定した。この評価方法に
より、冷鍛加工や窒化処理による熱膨張係数の変化も考
慮した評価ができる。
【0034】耐焼付性については、前記した鍛伸加工し
た供試材を機械加工(直径18mm)し、直径17.1mmに引抜
加工後直径16.5mmに機械加工し、窒化処理したものを耐
焼付性評価試験片1とした。なお、窒化処理は温度 580
℃、処理時間7時間で行った。そして、図1に示すよう
に、耐焼付性評価試験片1を両側の側面から4000系のAl
合金を素材として作製した別の試験片2で面圧70kgf/cm
2 の条件で挟んだ状態で、3600rpm.の速度で回転させる
という実験を行った。図1でPは面圧の負荷、Tは耐焼
付性評価試験片1の回転を意味している。前記条件で50
時間試験を行った後、試験片1、2の表面を観察し、焼
付の発生が認められたものを×、そうでないものを○と
して表2に示した。
【0035】窒化特性については、前記耐焼付性評価試
験片1の窒化処理直後の表面を調査し、Hv800 以上とな
る表面層の厚さが20μm 以上の場合を○、そうでない場
合を×で示した。
【0036】4000系Al合金の板(厚さ5mm )を2枚重ね
たものを、供試材を冷鍛加工して作製したM6ボルト、ナ
ットで固定(締付力10kgfcm)したものを、冷熱衝撃試験
器により、室温(保持時間3hr)と 200℃(保持時間3hr)
の間を50回繰返し加熱冷却するという試験を行った後、
ボルトの締結力を調べた。そして、素手で力を入れてゆ
るむものを×、そうでない場合を○として表2に示し
た。
【0037】
【表2】
【0038】表2から明らかなように、比較鋼である10
〜17鋼を本発明の実施例である1〜9鋼と比較すると、
10鋼は、C 及びC 、N の合計含有率が高いため、冷間加
工性が劣るものであり、11鋼は、Mn含有率が高いため、
熱膨張係数、窒化特性がともに劣り、ボルトのゆるみが
生じ、耐焼付性が劣るものであり、12、14、17鋼は、そ
れぞれMn、Cu、Ni含有率が低いため、熱膨張係数が劣
り、ボルトのゆるみが発生し、耐焼付性も劣るものであ
り、13、15鋼は、それぞれCu、Cr含有率が高いため、熱
間加工性が劣るとともに、15鋼は熱膨張係数も劣るた
め、ボルトのゆるみが発生し、耐焼付性が劣るものであ
り、16鋼は、Ni含有率が高いため窒化特性が劣り、耐焼
付性が劣るものである。
【0039】また、従来鋼のうち、SUSXM7である18鋼
は、引張強さが本発明鋼に比べ若干高くなるとともに、
熱膨張係数が劣るため、ボルトのゆるみが発生し、耐焼
付性が劣るものであり、19鋼は熱間加工性、冷間加工性
には優れるものの、熱膨張係数が劣るため、18鋼と同様
にボルトのゆるみが発生し、耐焼付性が劣るものであ
る。
【0040】これに対して、本発明鋼である1〜9鋼
は、従来の冷間加工性に優れたオーステナイトステンレ
ス鋼の技術思想に加え、窒化特性と熱膨張係数にも配慮
して、オーステナイト安定化元素であるMn、Cu、NiやCr
の含有率を適切に設定しているので、熱間加工性、冷間
加工性、熱膨張係数、窒化特性の全てについて優れてお
り、ボルトのゆるみも発生することがなく、優れた耐焼
付性を示すことが確認できた。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明である熱膨
張特性に優れたオーステナイトステンレス鋼は、従来の
冷間加工性に優れたステンレス鋼では、ほとんど考慮さ
れていなかった熱膨張係数、窒化特性まで検討して適切
な成分設計がされているので、Al合金のように熱膨張係
数の高い素材が用いられた部品の締結用に適している。
また、Al合金製部品と接触しながら使用される部位に使
用しても、必要に応じて窒化処理を施すことによって優
れた耐焼付性を確保できるため、長時間安心して使用す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐焼付性試験方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 耐焼付性評価試験片 2 試験片(Al合金製)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にしてC:0.015%以下、Si:0.50%以
    下、Mn:2.0〜4.0%、Cu:2.0〜4.0%、Ni:10.0 越え〜12.0
    % 、Cr:17.0 〜19.0% 、N:0.020%以下、S:0.005%以下、
    C+N:0.030%以下を含有し、残部がFe及び不純物元素から
    なることを特徴とする熱膨張特性に優れたオーステナイ
    トステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 重量比にしてC:0.015%以下、Si:0.50%以
    下、Mn:2.0〜4.0%、Cu:2.0〜4.0%、Ni:10.0 越え〜12.0
    % 、Cr:17.0 〜19.0% 、N:0.020%以下、S:0.005%以下、
    C+N:0.030%以下を含有し、残部がFe及び不純物元素から
    なる鋼を固溶化熱処理し、冷間加工後、窒化処理を施し
    たことを特徴とする熱膨張特性に優れたオーステナイト
    ステンレス鋼。
JP24206793A 1993-09-03 1993-09-03 熱膨張特性に優れたオーステナイトステンレス鋼 Pending JPH0770705A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006265090A (ja) * 2005-02-22 2006-10-05 Nissan Motor Co Ltd 遷移金属窒化物、燃料電池用セパレータ、燃料電池スタック、燃料電池車両、遷移金属窒化物の製造方法及び燃料電池用セパレータの製造方法
JP2007039786A (ja) * 2005-02-22 2007-02-15 Nissan Motor Co Ltd 合金の窒化物、燃料電池用セパレータ、燃料電池スタック、燃料電池車両、合金の窒化物の製造方法及び燃料電池用セパレータの製造方法
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EP3239341A4 (en) * 2014-12-26 2018-10-31 Posco Austenitic stainless steel having excellent flexibility

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