JPH0768728B2 - 建築物の構造用耐火材料 - Google Patents

建築物の構造用耐火材料

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JPH0768728B2
JPH0768728B2 JP5068759A JP6875993A JPH0768728B2 JP H0768728 B2 JPH0768728 B2 JP H0768728B2 JP 5068759 A JP5068759 A JP 5068759A JP 6875993 A JP6875993 A JP 6875993A JP H0768728 B2 JPH0768728 B2 JP H0768728B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屋根、柱、壁面等とい
った建築物の主体構造部に使用される構造用耐火材料に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、家屋やビル等の建築物を火災時
の熱や火炎から保護するために、屋根、柱、壁面等とい
った建築物における主体構造部の外表面(耐火面)等に
対し、各種耐火材料を施工することが行われている。
【0003】また、このような構造用耐火材料として
は、例えばケイ酸カルシウム、バーミキュライト、Eガ
ラス繊維、高強度ガラス繊維、ロックウール、多泡ガラ
ス、石綿、ガラス繊維等を主材料としたものなどが従来
より知られている。
【0004】前記構造用耐火材料のうち、多泡ガラス及
びガラス繊維を用いたものには、通常300℃〜400
℃程度の温度に耐え得る耐火性能が付与されている。ま
た、ケイ酸カルシウム、バーミキュライト、Eガラス繊
維、高強度ガラス繊維、ロックウール及び石綿を用いた
ものには、更にそれよりも高い600℃〜800℃程度
の温度に耐え得る耐火性能が付与されている。
【0005】従って、この種の構造用耐火材料を燃え易
い木構造材等に配設した建築物などは、そうでない建築
物に比較して、有効な防火対策が図られているというこ
とができる。
【0006】しかしながら、一般の火災においてはしば
し最高温度が1000℃〜1200℃にも達することも
あり、前記各構造用耐火材料の使用温度限界を上回って
しまう場合が生じ得る。そして、高温に晒される時間が
比較的短ければ、これらの構造用耐火材料程度の耐火性
能であっても主体構造部の延焼をある程度回避すること
ができるものとも予想される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記各構造
用耐火材料の耐火性能は、せいぜいJIS A 130
4(建築構造部分の耐火試験方法)に規定される30分
耐火程度のものであることが公知である。このため、従
来、これらの構造用耐火材料を使用する場合には、肉厚
にすることなどによって耐火性能を向上させておく必要
があった。
【0008】しかし、構造用耐火材料の肉厚化は、必然
的に重量の増加及びそれに伴う取扱性・施工性の悪化等
の不利益をもたらすものである。従って、構造用耐火材
料の肉厚化は、有効な解決策であるとは言いがたいもの
であった。このようなことから、更に長時間にわたる耐
火性能を備えた、より高レベルの構造用耐火材料の登場
が望まれていた。
【0009】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、肉薄かつ軽量であるにもかかわら
ず高い強度を有し、しかも優れた耐火性能を有し、かつ
取扱性及び施工性にも優れ、更には、表面に直接漆喰等
の上塗りを施すことができる建築物の構造用耐火材料を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明では、屋根、柱、壁面等といった建築物の
主体構造部に使用される構造用耐火材料であって、前記
構造用耐火材料を、構造用合板と、水分を含有した難燃
性材料を主材料とする第二の耐火層との間に、無機耐火
繊維材料を主材料とする第一の耐火層を介在させて構成
した建築物の構造用耐火材料をその要旨とする。
【0011】この場合、第一の耐火層をセラミックファ
イバー、アルミナファイバー、ジルコニアファイバーを
板状にしたものから選択したり、第二の耐火層を石膏ボ
ードやケイ酸カルシウムボードから選択しても良い。ま
た、施工性を改善するために、前記第一の耐火層及び前
記第二の耐火層とを耐熱性接着剤によって貼り合わせて
も良い。
【0012】
【作用】本発明のような三層構造の構造用耐火材料の場
合、比較的低温域(数百℃)においては第二の耐火層が
主として防火機能を担うことになる。前記温度に遭遇す
ると、第二の耐火層を構成している難燃性材料から水分
が放出され、その結果として裏面の温度を低下させる。
また、1000℃以上の高温域においては第一の耐火層
が主として防火機能を担い、第二の耐火層のみによって
阻止できなかった熱・火炎等が確実にくい止められる。
そして、以上のような二段階の防火機能のコンビネーシ
ョンによって、確実に主体構造部の延焼や建築物内部の
温度上昇等が回避される。
【0013】また、前記二種の耐火層が裏面温度を低下
させるため、構造用合板の構造強度が火災により劣化す
ることがない。特に、本発明では、第一の耐火層を、構
造用合板と第二の耐火層との間に挟み込むように構成し
たので、高温域の防火機能を担う第一の耐火層の破損を
確実に防止することができると共に、第一の耐火層の厚
さを薄くすることも可能となる。 さらに、表面には第二
の耐火層が露出する構成であるため、本発明の耐火材料
の表面に直接漆喰等の上塗りを施すことができる。
下、本発明の建築物の構造用耐火材料について詳細に説
明する。
【0014】本発明では第一の耐火層をセラミックファ
イバー、アルミナファイバー、ジルコニアファイバーの
うちの少なくともいずれかを板状に成形したものから選
択することが望ましい。その理由は、これらの無機耐火
繊維材料は1200℃以上の高温に耐え得るものであ
り、かつ所望の形状に成形可能なものだからである。
【0015】例えば、前記セラミックファイバーとは、
アルミナとシリカとをほぼ等量づつ混合したものを溶融
加熱し、更にそれを音速域の高温気流によって繊維化さ
せたものをいう。なお、前記セラミックファイバーは板
状に成形されるばかりでなく、用途に応じてペーパー状
等に成形された状態でも使用される。
【0016】また、本発明では第二の耐火層を石膏ボー
ド、ケイ酸カルシウムボードのうちの少なくともいずれ
かから選択することが望ましい。その理由は、これらの
難燃性材料はその内部に結晶水を多く含んでおり、前述
した低温域での防火を図るうえで好適な耐火材となるか
らである。
【0017】更に、前記第一の耐火層及び前記第二の耐
火層とは耐熱性接着剤によって貼り合わされてなること
が望ましい。その理由は、火災に遭遇したときでも各層
間に剥離等が生じたりしないようにするためである。こ
の場合、前記耐熱性接着剤として、耐火モルタルや水ガ
ラスや液状シリコーン等を用いることが好ましい。
【0018】なお、本発明の構造用耐火材料の全体の肉
厚は30mm〜100mm程度であることが好ましい。ま
た、第一の耐火層及び第二の耐火層の肉厚は、各々1mm
〜50mm,5mm〜50mm程度であることが良い。また、
構造用合板の肉厚は、7.5mm〜20mm程度であること
が良い。
【0019】肉厚が前記範囲よりも薄くなると、所望の
耐火機能を充分に発揮することができなくなる。一方、
肉厚が前記範囲よりも厚くなると、構造用耐火材料の取
扱性及び施工性が悪くなるばかりでなく、コスト的にも
高くなってしまう。
【0020】
【実施例】以下、本発明を蔵様建築物(以下「防火セラ
ミック蔵」という)用の構造用耐火材料に具体化した一
実施例を図1〜図9に基づき詳細に説明する。
【0021】〔全体構成〕まず、図1,図2に基づき本
実施例の防火セラミック蔵1の全体構成を説明する。
【0022】この防火セラミック蔵1はプレハブ耐火構
造によって構成されており、外観的にも機能的にも古来
の土壁造りの蔵に近似したものである。前記防火セラミ
ック蔵1は、基本的に、屋根2と、その屋根2を支持す
る柱3、天井4及び柱3間に形成された壁面5等からな
る主体構造部6と、該主体構造部6を支持する基礎構造
部7とによって構成されている。また、この防火セラミ
ック蔵1は二階建てであり、一階の収納室8と二階の収
納室9との間には昇降用の階段(図示略)が設けられて
いる。そして、この防火セラミック蔵1では、間口11
のほうが奥行き12よりも大きくなっている。
【0023】図1(a)に示されるように、防火セラミ
ック蔵1の前面の中央下部には、左右観音開きの耐火扉
13を有する出入口14が形成されている。また、図1
(b)に示されるように、防火セラミック蔵1の裏面の
略中央上部には、耐火窓15を有する採光部16が形成
されている。前記出入口14の外側上部及び前記耐火窓
15の外側上部には、それぞれ出入口庇17及び窓庇1
8が設けられている。そして、前記出入口14の前面下
側には、階段19を備える出入口床20が形成されてい
る。
【0024】〔使用建材・組付け方法〕次に、この防火
セラミック蔵1に使用される各種建材、及びそれらを組
付ける方法等を図1〜図9に基づき説明する。
【0025】本実施例において基礎構造部7の構造に
は、図2に示されるような一体の鉄筋コンクリート造り
が採用されている。この場合、布基礎22は、地面23
から300mm下の位置(設計地耐力の地盤の位置)に設
けられる。
【0026】本実施例では、主体構造部6を構成する建
材として、使用される箇所に応じて予め所定形状にプレ
カットされた木材が使用される。軸組、床組及び小屋組
の木構造材には、製材のJASで定める1等以上の木部
材が使用される。造作材には、製材のJASで定める小
節以上のものが使用される。また、壁面5部分等の建材
としては、構造用合板(JAS品質に適合する1級また
は2級のものであり、かつ種類が特類で、厚さ9mmのも
の)34が使用される。上記の軸組、床組、小屋組、造
作材は、従来より慣用的に行われている施工法及び所定
の建築基準に従って組付けられる。よって、ここではそ
の詳細な説明を省略する。
【0027】図3,図4に示されるように、柱3の屋外
S1 側には、壁面5用の構造用合板34が釘留めされ
る。そして、その構造用合板34の屋外S1 側には、更
に第一の耐火層及び第二の耐火層が配置される。そし
て、前記構造用合板34、第一の耐火層、第二の耐火層
によって三層構造の構造用耐火材料35が構成される。
【0028】本実施例では、前記第一の耐火層として、
セラミックファイバーを板状に成形してなるボード状耐
火繊維材(厚さ20mmのもの)36が使用される。ま
た、前記第二の耐火層として、ケイ酸カルシウムボード
(不燃認定品、厚さ12mmのもの)37が使用される。
なお、これらはいずれも取付け場所に応じて所定の大き
さ・形状にプレカットされている。
【0029】ボード状耐火繊維材36及びケイ酸カルシ
ウムボード37は、前記構造用合板34の表面に対して
ボード状耐火繊維材36、ケイ酸カルシウムボード37
の順に取付けられる。その際、両者36,37は耐火性
接着剤Bとしての耐火モルタルによって仮留めされた
後、ビスによって本留めされる。
【0030】なお、本実施例では、壁面5用のボード状
耐火繊維材36及びケイ酸カルシウムボード37は、い
ずれも土台26から軒げた51にわたる長さとほぼ同じ
長さとなっている。また、壁面5の構造用合板34の屋
内S2 側には、所定間隔を隔てて木製の内装材38が配
置される。
【0031】図7に示されるように、出入口庇17の上
面及び下面には、それぞれ厚さ9mmの屋根2用の構造用
合板(屋根野地板)47が固定される。庇裏に設けられ
た屋根野地板47の下面についても、ボード状耐火繊維
材36とケイ酸カルシウムボード37とが取付けられ
る。つまり、前記屋根野地板47、ボード状耐火繊維材
36、ケイ酸カルシウムボード37とによって三層構造
の構造用耐火材料35が構成された状態となる。なお、
窓庇18納まりについても、出入口庇17納まりと同様
に前記三層構造の構造用耐火材料35が配置された状態
となる。
【0032】また、床下換気口29の上側に位置する土
台26の下面には、図6に示されるように、二層構造を
した構造用耐火材料31が配置される。但し、この構造
用耐火材料31には、上記の構造用耐火材料35とは若
干異なる構成が採用されている。つまり、この構造用耐
火材料31は、セラミックファイバーをペーパー状に成
形してなるペーパー状耐火繊維材(厚さ3mmのもの)4
8と、前記ケイ酸カルシウムボード37との組み合わせ
によって成り立っている。なお、両者48,37は、耐
火性接着剤Bとしての耐火モルタルによって予め接着さ
れている。
【0033】また、本実施例の防火セラミック蔵1で
は、壁面5、出入口庇17の裏面側及び床下換気口29
廻りのように、防火対策が特に必要される部分以外の部
分についても所定の防火対策が施されている。
【0034】図5に示されるように、小屋組を構成する
むな木、母屋、たる木46の上面側には前記屋根野地板
47が釘留めされ、その上面には屋根2葺きの材料とし
ての日本瓦43が一文字葺きされる。このとき、両者4
7,43の間には、下葺き材としてペーパー状耐火繊維
材48と防水紙49とが敷設される。
【0035】図7に示されるように、出入口庇17上面
側の構造用合板47と日本瓦43との間にも、同様に前
記ペーパー状耐火繊維材48と防水紙49とが敷設され
る。なお、窓庇18納まりについても同様の施工がなさ
れる。
【0036】また、屋根2において屋根野地板47の下
面側、即ち屋内S2 側のたる木46間には、図5に示さ
れるように前記ボード状耐火繊維材(厚さ20mmのも
の)36のみが脱落しないように嵌合される。
【0037】更に、図8(a)に示されるように、軒先
先廻り50の軒げた51にはケイ酸カルシウムボード
(厚さ12mm)37のみがビス留めされる。軒裏部53
についても同様に前記ケイ酸カルシウムボード37がビ
ス留めされる(図8(b) 参照)。
【0038】そして、図9に示されるように、耐火扉1
3の上側に位置する間柱57の下面及び屋内S2 面に
は、ペーパー状耐火繊維材48のみがビス留めされる。
また、壁面5用の構造用合板34、間柱57及び耐火扉
13の間の空隙には、不定形のセラミックファイバーか
らなるウール状耐火繊維材56が充填される。
【0039】耐火扉13の下側に位置する火打土台58
の上面にも、前記ペーパー状耐火繊維材48が配置され
る。また、火打土台58、耐火扉13、根太42及び床
59の間の空隙にも、同様に前記ウール状耐火繊維材5
6が充填される。
【0040】なお、耐火窓15廻りについても、基本的
には上述した耐火扉13廻りの場合と同じ要領で、ペー
パー状耐火繊維材48、ウール状耐火繊維材56等が配
置される。
【0041】〔仕上げ〕本実施例では、図4に示される
ように、構造用耐火材料35を構成するケイ酸カルシウ
ムボード37の最外面に、厚さ7mmの薄塗漆喰磨き仕上
げ62が施される。
【0042】この場合、ケイ酸カルシウムボード37の
表面にはまずシーラー処理が施され、更にその上には接
着剤(「イビハイボンド(商品名)」の5倍希釈液)が
塗布される。このようなケイ酸カルシウムボード37の
表面には、薄塗漆喰磨き仕上げ62のための下地とし
て、モルタル等を含有する下地処理用塗材63が厚さ3
mmほどしごき塗りされる。
【0043】なお、本実施例においては前記下地処理用
塗材63として、特殊調合モルタルとカチオン系アクリ
ル混和液とをセットにした「イビジュシモル(商品
名)」が使用される。この種の下地処理用塗材63は、
薄塗漆喰磨き仕上げ62の接着性や防水性の改善等を図
るために塗布される。このような薄塗漆喰磨き仕上げ6
2は、軒廻り(図8(a) ,図8(b) 参照)や庇裏(図7
参照)部分についても同様に行われる。
【0044】〔作用・効果〕本実施例の防火セラミック
蔵1では、壁面5、出入口庇17の裏面側及び床下換気
口29廻りのように、防火対策が特に必要される部分
に、三層または二層構造からなる構造用耐火材料31,
35が施工されている。
【0045】この場合、比較的低温域(数百℃)での防
火機能を主としてケイ酸カルシウムボード37が担い、
1000℃以上での防火機能を主としてボード状耐火繊
維材36やペーパー状耐火繊維材48が担うことにな
る。
【0046】従って、数百℃程度の火災にあっては、屋
外S1 側に配置されたケイ酸カルシウムボード37中か
ら結晶水が放出される。その結果、裏面の温度低下が図
られ、構造材への延焼がくい止められる。なお、本実施
例では耐火性接着剤Bが使用されているため、構造用耐
火材料31,35の層間に剥離が生じることもない。
【0047】そして、仮にケイ酸カルシウムボード37
のみによって温度上昇を阻止することができず、耐火面
の温度が1000℃以上に達する場合であっても、ボー
ド状耐火繊維材36等が確実に熱・火炎等をくい止め
る。以上のような二段階の防火機能のコンビネーション
によって、確実に主体構造部6の延焼や防火セラミック
蔵1内部の温度上昇等が回避される。
【0048】また、この構造用耐火材料31,35のよ
うな構成にすると、例えばケイ酸カルシウムボード37
のみ使用して同じ耐火能力を実現しようとするときより
も、確実に全体を肉薄にすることができる。特に、本実
施例において、ボード状耐火繊維材36やペーパー状耐
火繊維材48を、構造用合板34とケイ酸カルシウムボ
ード37との間に挟み込むように構成したので、高温域
の防火機能を担うボード状耐火繊維材36やペーパー状
耐火繊維材48の破損を確実に防止することができると
共に、該耐火繊維材36,48の層の厚さを薄くするこ
とも可能となる。ゆえに、従来の構造用耐火材料を用い
た場合とは異なり、全体重量の増加や、それに伴う取扱
性・施工性の悪化等といった不利益は生じ得ないばかり
か、上記のとおり耐火繊維材36,48は確実に保護さ
れるので耐火性能を長期に亘り保持することができる。
さらに、表面にはケイ酸カルシウムボード37が露出す
る構成であるため、このケイ酸カルシウムボード37の
表面に直接漆喰等の上塗りを施すことができる。
【0049】更に、基本的に乾式工法であるプレハブ形
式を採用したこの防火セラミック蔵1によると、湿式工
法による従来の蔵の場合とは異なり、施工に高度の熟練
技能を要するということがない。また、人件費等のコス
ト高を招くというようなこともない。ゆえに、従来の蔵
よりも施工性・経済性に優れたものとなる。
【0050】〔耐火試験〕なお、本実施例にて使用した
構造用耐火材料(厚さ20mmのボード状耐火繊維材+厚
さ12mmのケイ酸カルシウムボード)35を用いてJI
Sによる耐火試験を行った結果を以下に記す。
【0051】ここで、JIS A 1304に定める試
験の方法を概説する。まず、試験片の表面温度が最高で
1010℃となり、裏面温度が260℃となるような範
囲で試験片の加熱を行い、これを2時間継続する。
【0052】その結果、試験中において試験片の部分的
な脱落、変形・破壊、火災を通すような亀裂が発生する
か否かを観察する。そして、上記のものが発生しないこ
とをもって合格基準とする。
【0053】本実施例の構造用耐火材料35をサンプル
として上記耐火試験を行ったところ、2時間の加熱を経
ても、試験片に脱落等の異常は何ら認められなかった。
なお、比較例として厚さ12mmのケイ酸カルシウムボー
ドのみを用いて同じ耐火試験を行ったところ、30分加
熱後に異常が発生することが確認された。
【0054】従って、本実施例の構造用耐火材料35を
所定部分に使用すれば、JIS A1304に合格する
耐火性能を備えた防火セラミック蔵1が得られることが
わかる。
【0055】〔別例〕なお、本発明は上記実施例のみに
限定されることはなく、以下のような構成に変更するこ
とが可能である。例えば、 (a)実施例とは異なる壁面5用の構造用耐火材料とし
て、ボード状耐火繊維材36とケイ酸カルシウムボード
37とを予め一体化したものをプレカット建材として使
用しても良い。
【0056】更には、ケイ酸カルシウムボード37表面
に薄塗漆喰磨き仕上げ62が予め施されたものや、構造
用合板34と構造用耐火材料35とが一体化されたもの
などをプレカット建材として使用しても良い。
【0057】このように建材のプレカット化を一層進め
ることにより、部品点数の減少及び施工時間の短縮など
を図ることが可能となる。 (b)ボード状耐火繊維材36とケイ酸カルシウムボー
ド37とを一体化させるための手段は、実施例のような
耐火性接着剤Bのみに限定されるわけではない。例え
ば、耐火性の糸や金属線等を用いて縫合したり、ビスや
金具等を用いて固定するなど各種の方法を採用すること
ができる。なお、ペーパー状耐火繊維材48とケイ酸カ
ルシウムボード37とを一体化させる場合においても同
様のことがいえる。
【0058】(c)また、前記無機耐火繊維材料31,
35の形状は、実施例にて示したようなボード状または
ペーパー状のみに限定されることはなく、もっと複雑な
別の形状に成形することも可能である。
【0059】(d)二層構造からなる構造用耐火材料3
1及び三層構造からなる構造用耐火材料35を使用した
実施例に代え、より多層構造からなる構造用耐火材料と
することも勿論可能である。例えば、ボード状耐火繊維
材36とケイ酸カルシウムボード37との層間に、中高
温域(約800℃〜1000℃)の防火機能を担うよう
な耐火層を設けても良い。
【0060】(e)難燃性材料として使用されるもの
は、実施例にて使用したケイ酸カルシウムボード37の
ように内部に結晶水を含むもののみに限定されるわけで
はない。例えば、耐熱性容器に水等の液体を充填したも
のや、耐熱性ポリマーに液体を含ませたものなどであっ
ても良い。
【0061】(f)本発明の構造用耐火材料31,35
は、実施例のような防火セラミック蔵1ばかりでなく、
例えば普通の家屋、ビル、倉庫等の防火対策にも適用可
能なものである。また、木構造材の耐火対策のみに限ら
れず、鉄筋等のような構造材の耐火対策としても有効で
ある。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
肉薄かつ軽量であるにもかかわらず高い強度を有し、
かも優れた耐火性能を有し、かつ取扱性及び施工性にも
優れ、更には、表面に直接漆喰等の上塗りを施すことが
できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本実施例における防火セラミック蔵全
体の外観を示す正面図、(b)は同じく背面図、(c)
は同じく右側面図である。
【図2】前記防火セラミック蔵全体の概略側断面図であ
る。
【図3】構造用耐火材料を示す概略部分破断斜視図であ
る。
【図4】壁面における構造用耐火材料及び内装材の施工
状態を示す部分概略断面図である。
【図5】屋根野地板付近の施工状態を示す部分概略断面
図である。
【図6】床下換気口付近の施工状態を示す部分概略断面
図である。
【図7】出入口廻りの施工状態を示す部分概略断面図で
ある。
【図8】(a)は軒先先廻りの施工状態を示す部分概略
断面図、(b)は軒裏廻りの施工状態を示す部分概略断
面図である。
【図9】耐火扉廻りの施工状態を示す部分概略断面図で
ある。
【符号の説明】 1…蔵様建築物としての防火セラミック蔵、2…屋根、
3…柱、5…壁面、6…主体構造部、35…構造用耐火
材料、34…構造用合板、36…第一の耐火層としての
ボード状耐火繊維材、37…第二の耐火層としてのケイ
酸カルシウムボード、48…第一の耐火層としてのペー
パー状耐火繊維材、B…耐熱性接着剤。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】屋根(2)、柱(3)、壁面(5)等とい
    った建築物(1)の主体構造部(6)に使用される構造
    用耐火材料(35)であって、 前記構造用耐火材料(35)を、構造用合板(34)
    と、水分を含有した難燃性材料を主材料とする第二の耐
    火層(37)との間に、無機耐火繊維材料を主材料とす
    る第一の耐火層(36)を介在させて構成したことを特
    徴とする建築物の構造用耐火材料。
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