JPH06280321A - 蔵様建築物 - Google Patents

蔵様建築物

Info

Publication number
JPH06280321A
JPH06280321A JP6876093A JP6876093A JPH06280321A JP H06280321 A JPH06280321 A JP H06280321A JP 6876093 A JP6876093 A JP 6876093A JP 6876093 A JP6876093 A JP 6876093A JP H06280321 A JPH06280321 A JP H06280321A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
warehouse
fire
fireproof
outdoor
continuous space
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6876093A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0726449B2 (ja
Inventor
Keiichi Sakashita
敬一 阪下
Hiroyuki Kishi
博之 岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ibiden Co Ltd
Ibiken Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
Ibiken Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ibiden Co Ltd, Ibiken Co Ltd filed Critical Ibiden Co Ltd
Priority to JP6876093A priority Critical patent/JPH0726449B2/ja
Publication of JPH06280321A publication Critical patent/JPH06280321A/ja
Publication of JPH0726449B2 publication Critical patent/JPH0726449B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の蔵よりも防火性・施工性・経済性に優
れ、電気空調設備等に頼らなくても自然に内部の調湿を
行うことができ、しかも外観的にも従来の蔵に極めて近
似した蔵様建築物を提供すること。 【構成】 主体構造部6を構成する壁面5の屋外S1 側
に、無機耐火繊維材料36と難燃性材料37とを組み合
わせてなる外装材35を配置する。壁面5の屋内S2 側
に、好通気性材料からなる内装材38を配置する。更に
外装材35と内装材38との間の領域に屋外S1 の空気
が流通可能な連続空間CS を設ける。その連続空間CS
と屋外S1 とを連通させるための換気口29,54を、
床下部28と軒裏部53とに設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蔵様建築物に係り、特に
は従来の伝統的な蔵の外観及び機能を有すると共に、そ
の構造がプレハブ形式である蔵様建築物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】各種家財や貴重品等を長期間にわたって
火災及び盗難等から守るための建築物として、石積み基
礎構造部の上に漆喰土壁木造瓦葺きの構造物を形成し
た、いわゆる「蔵」が従来より良く知られている。
【0003】上記のように、蔵は、主として収納物を変
質・劣化させることなく長期間保存するという役目を担
うものである。そのため、蔵には、防火機能を備えてい
ること、造りが堅牢であること、内部湿度を調整できる
機能があることなどの諸条件が通常要求されることにな
る。
【0004】ところで、従来における蔵の構造には、あ
る程度の防火性と調湿性とを兼ね備えた湿式の土壁防火
構造が一般的に採用されている。つまり、ここでいう湿
式の土壁防火構造とは、石積みの堅牢な基礎の上に太柱
及び梁等の木造軸組を構成し、土壁用木舞に厚い土壁を
形成し、かつ窓または出入口等を少なくしたような構造
のことを意味するものである。
【0005】そして、この種の蔵の特徴としては、古く
は江戸時代から昭和初期に建造されたものであるため、
外観的に古風なものであるということが第一に挙げられ
る。また、第二の特徴としては、古来より家宝や財宝等
を収納しておく場所であるという観点から、外観的にも
重厚で荘厳な印象を与えるものが望ましいという社会通
念があるということが挙げられる。
【0006】かかる事情のため、いまもなおこの種の蔵
の建造に際しては、日本瓦や白壁造りの壁というよう
な、伝統的な部材・工法等が好んで選択されているとい
う状況にある。例えば、漆喰土壁等についても、土壁用
木舞下地に土壁の下塗りを施した後、下塗りの上にわら
等の骨材を含む土の中塗りを施し、更に中塗りの上に上
塗り・表面仕上げを施すというような伝統的な工法が継
承されている。
【0007】しかしながら、上記の従来の蔵は、基本的
に主体構造部が木造の湿式工法によって構築されるもの
であるため、各段階での作業において、作業者に高度の
熟練技能が要求されるという大きな欠点がある。その例
としては、例えば前記の土壁用木舞下地を施工する場合
には、割竹材を縦横に交差させつつ、縄・麻糸等にて該
交差点を結束するという作業等が該当する。また、上述
の下塗り・中塗り・上塗り等の作業についても同様のこ
とがいえる。そして、今日における熟練技能者の人材確
保の困難さを鑑みると、この種の作業の必要性は、人件
費の高騰に直接つながるものであるため好ましいことと
はいい難い。
【0008】更に、石積み等の基礎構造の上に太い柱や
梁等を組み立てる木造軸組工法についても、熟練技能者
でなければ成し得ないという性質のものである。それば
かりでなく、前記木造軸組工法を実施するためには、多
大の材料費及び人件費が必要とされる。しかも、防火・
耐震構造にするためには、多大の材料費及び人件費が必
要となるばかりでなく、土壁等を長期にわたって自然乾
燥させる工程等が必要とされる。よって、必然的に工期
が長期間化するという問題が生じる。
【0009】また、従来の蔵には、上記のような施工上
の問題点のみならず、防火上の問題点もある。先に述べ
たように、湿式の土壁防火構造を採る従来の蔵は、数百
℃程度の高温であれば、内部の収納物の延焼も蔵自身の
延焼も回避することが可能である。よって、蔵がこの程
度の温度に遭遇した場合であっても、防火上、特に大き
な問題は生じない。
【0010】しかしながら、火災温度はしばし1000
℃〜1200℃にも達するということが知られており、
蔵がこのような高温下に晒された場合、必ずしも所望の
防火性を発揮し得なくなる。その結果、蔵自身が延焼し
たり、蔵の内部の収納物が延焼してしまうというような
好ましくない事態となる。
【0011】また、仮に蔵自身の延焼を回避できたとし
ても、蔵内部の温度上昇によって収納物が変質・劣化を
来してしまい、結果的に蔵としての本来の目的を達成し
得なくなるという事態も生じ得る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の蔵における施工
上及び防火上の欠点を解消すべく提案されたものとして
は、例えばセラミック材料等の無機耐火繊維材料を使用
したプレハブ防火構造の蔵様建築物(以下「防火セラミ
ック蔵」と呼ぶ)がある。
【0013】防火セラミック蔵の特色としては、100
0℃〜1200℃程度の火災温度にも耐え得るような無
機耐火繊維材料が、火災時に延焼し易い部分の主建材と
して採用されていることである。また、そのような材料
を予め所定形状に成形したものを建材として使用するプ
レカット工法が一般的に採用されていることもその特色
の一つである。
【0014】従って、このような部材・構造等を採用し
たいわゆる乾式工法による防火セラミック蔵は、従来の
蔵と比較して施工性に優れ、かつ防火性にも優れるもの
であるといえる。
【0015】ところで、従来の蔵の場合には主建材とし
て土壁や木材等がふんだんに使用されているため、蔵内
部の調湿もそれらが持つ自然の吸湿性を利用することに
よって行われている。一方、無機耐火繊維材料を主建材
の一つとして用いる防火セラミック蔵の場合には、従来
の蔵のときほど、材料の持つ自然の吸湿性を利用するこ
とができないという特徴がある。
【0016】そのため、通常は扉や窓の開閉といった換
気を人為的に実施することにより調湿を行ったり、エア
コン等の電気的な空調手段を設けることにより機械的に
かつ強制的に調湿を行うことなどが要求される。即ち、
とりわけ夏期に高湿になる我が国の場合、この種の対策
を施すことにより、結露等に起因するカビの繁殖、収納
物の変質・劣化及び構造材自体の劣化を防ぐ必要がある
ためである。
【0017】ところが、防火セラミック蔵にエアコン等
の電気的空調設備を設置すると、蔵自体の価格が高騰し
てしまい、コスト的にも不利になる。また、蔵または防
火セラミック蔵が一般に数年〜数十年以上にわたって使
用されるものであることを考慮すると、電気代や修理代
等のように維持費がかかることは不利な点であるといえ
る。
【0018】更に、電気的空調設備等を備えた防火セラ
ミック蔵の場合、接点等の火花によって、内部発生的な
火災が起こるという危険性も完全に否定することはでき
ない。従って、火災防止対策を万全にするためには、こ
の種の電気的空調設備を極力設置しないで調湿を行いた
いという要請が強い。その反面、調湿のために換気を人
手に頼ることは極めて煩雑であるという側面もある。
【0019】また、上述したように、「蔵」は古風かつ
重厚で荘厳な印象を与える外観を呈していることが望ま
しいという一般的な社会通念がある。特に需要者側にあ
っては、いまもなおそのような傾向が強いという状況に
ある。
【0020】しかしながら、プレカット工法による防火
セラミック蔵は、従来の蔵の有する外観的イメージをあ
る程度残したものとはいえ、需要者側の要求を完全に満
たすものであるとは必ずしもいい難いものであった。こ
のため、従来の蔵のような湿式工法の利点と、近年にお
ける防火セラミック蔵のような乾式工法の利点とを兼ね
備えた新しいタイプの蔵様建築物に対する期待が高まっ
ていた。
【0021】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、従来の蔵よりも優れた防火性・施
工性・経済性を備えると共に、電気空調設備等に頼らな
くても自然に内部の調湿を行うことができ、しかも外観
的にも従来の蔵に極めて近似した蔵様建築物を提供する
ことにある。
【0022】
【課題を解決するための手段及び作用】上記の課題を解
決するために、本発明では、屋根と、該屋根を支持する
柱、壁面及び天井等の主体構造部と、該主体構造部を支
持する基礎構造部とからなるプレハブ形式の蔵様建築物
であって、前記主体構造部において少なくとも前記壁面
の屋外側に、無機耐火繊維材料と難燃性材料を組み合わ
せてなる外装材を配置すると共に、同じくその屋内側に
好通気性材料からなる内装材を配置し、更に前記外装材
と内装材との間の領域に屋外の空気が流通可能な連続空
間を設け、かつその連続空間と屋外とを連通させるため
の換気口を前記連続空間の所定箇所に設けたことを特徴
とする蔵様建築物をその要旨としている。
【0023】この場合、屋根に無機耐火繊維材料を配置
したり、少なくとも換気口が形成された部分の内壁面に
無機耐火繊維材料を配置しても良い。また、連続空間を
床下部から壁面を経て軒裏部にわたる領域に形成し、か
つ換気口を少なくとも床下部と軒裏部とに形成しても良
く、床下部の換気口を地表面より離間させて設けても良
い。更に、外装材の最外面に漆喰薄塗り仕上げを施して
も良い。
【0024】以下、本発明の蔵様建築物について詳細に
説明する。本発明において主体構造物とは、柱・土台・
胴差等からなる軸組、根太・はり・大引等からなる床
組、はり・母屋・たる木等からなる小屋組といった構造
部と、壁面・床・天井等の造作材とを指すものである。
【0025】ここで軸組とは、蔵様建築物の自重、屋根
瓦の重さ及び台風や地震等の外力を、骨組みによって支
持する構造のことをいう。また、床組とは蔵様建築物の
内部を支持する骨組み構造をいい、小屋組とは屋根を下
面から支持する骨組み構造をいう。そして、造作材と
は、前記軸組等といった骨組みの間に配置される面材の
ことをいう。
【0026】なお、前記壁面とは、いわゆる各種工業材
料を成形加工して得られる乾式壁を意味するものであっ
て、平安時代以来の木舞下地に土壁を塗布する湿式壁に
対する概念となるものである。
【0027】また、前記基礎構造部とは主体構造部を支
持するための部分を意味し、例えば鉄筋コンクリート等
によって構成されるものをいう。上記のように、本発明
では主体構造部において少なくとも壁面の屋外側に外装
材が配置され、かつその屋内側に内装材が配置されるこ
とを特徴とする。
【0028】ここで外装材とは、壁面等の構造材の延焼
を外側からくい止める作用、室内の温度を一定に保つ作
用などを担うものをいう。外装材を構成する無機耐火繊
維材料とは、例えばセラミックファイバー、アルミナフ
ァイバー、ジルコニアファイバー等のように耐火温度が
約1000℃以上のものをいう。
【0029】なお、この種の高温用の無機耐火繊維材料
に加えて、Eガラス繊維、高強度ガラス繊維等の耐火温
度が700℃〜800℃位の中程度のものを併用するこ
とも可能である。更に、普通のガラス繊維、石綿等とい
った耐火温度が300℃〜400℃位の無機防火繊維を
併用することも可能である。
【0030】前記セラミックファイバーとは、アルミナ
とシリカとをほぼ等量づつ混合したものを溶融加熱し、
更にそれを音速域の高温気流によって繊維化させたもの
をいう。なお、前記セラミックファイバーは、不定形状
(例えばウール状)のままで使用されるばかりでなく、
必要に応じてボード状またはペーパー状に成形された状
態でも使用される。
【0031】以下、説明の便宜上、前記不定形状のセラ
ミックファイバーを「ウール状耐火繊維材」と呼ぶもの
とする。他のものについても同様に「ボード状耐火繊維
材」、「ペーパー状耐火繊維材」と呼ぶものとする。
【0032】一方、外装材を構成するもう一つの材料で
ある難燃性材料とは、例えば石膏ボードやケイ酸カルシ
ウムボード等のように、その内部に結晶水を多く含む材
料のことをいう。前記難燃性材料は、火災等に遭遇した
ときに内部の結晶水を飛散させることにより、周囲の温
度を低下させるという機能を有している。なお、このよ
うな結晶水の飛散は、通常、数百℃の温度下でみられる
現象である。このため、前記難燃性材料は、前記セラミ
ックファイバーとは異なり、比較的低い温度域で有効に
作用する耐火材であるということができる。
【0033】前記内装材に使用される好通気性材料と
は、例えばスギ等の針葉樹を用いた板材などが挙げられ
る。この種の板材は、例えば土壁等に比して数段優れた
吸湿性を備えるものであり、かつ従来の蔵においても内
装材としても良く使用されるものである。なお、前記好
通気性材料としては、前記板材と同等の好通気性や吸湿
性を有するものであれば、スギとは異なる樹種を選択す
ることも可能であり、更には木材以外のものを選択する
こともできる。
【0034】本発明では、外装材と内装材とを壁面等に
取付ける際、両者の間には屋外の空気を流通させること
が可能な連続空間が設けられる。そして、その連続空間
の所定箇所には、連続空間と屋外とを連通させるための
換気口が設けられる。
【0035】この場合、前記連続空間を床下部から壁面
を経て軒裏部にわたる領域に形成し、かつ換気口を少な
くとも床下部と軒裏部とに形成することが望ましい。こ
れを換言すると、連続空間は、蔵様建築物のほぼ全域に
わたり、できるだけ垂直方向に延びるように形成される
ことが良いということである。
【0036】つまり、前述のように高低差を設けた場合
には、高所と低所との温度差及び圧力差等に起因して自
然な対流が生じ、換気口を介して連続空間内に屋外の空
気が循環されるためである。より詳細には、屋外の空気
は、まず低所に位置する床下部の換気口から取り込まれ
て、連続空間内部を上昇した後、高所に位置する軒裏部
の換気口から排出されることになる。
【0037】更に、上記のように床下部に換気口を設置
する場合、その換気口を地面よりある程度離間させてお
くことが望ましい。その理由は、地面付近の空気は通常
湿度が高いことが多く、このような高湿の空気を調湿用
の空気として連続空間内に取り込まないようにするため
である。この場合、最も低所となる換気口の位置を、例
えば床下部と壁面との境界にあたるような位置に設定す
ることが好ましい。
【0038】本発明では、少なくとも換気口が形成され
た部分の内壁面に無機耐火繊維材料を配置することが望
ましい。その理由は、火災時において火の粉が換気口内
へ侵入したときなどに、その換気口付近に使用されてい
る構造材の延焼を防止するためである。
【0039】また、上述のように壁面や換気口廻りに無
機耐火繊維材料を配置するばかりでなく、屋根にも同じ
ような無機耐火繊維材料を配置することが望ましい。そ
の理由は、蔵様建造物において屋外側に面している部分
に耐火材を配置しておくことは、完全な防火対策を図る
うえで好ましいことだからである。また、屋根にこの種
の無機耐火繊維材料を配置することにより、同時に室内
の保温等を行うことができるからである。
【0040】更に、外装材の最外面に漆喰薄塗り仕上げ
を施すことが望ましい。その理由は、前記仕上げを施す
ことによって、従来の蔵の風合いと近似したものを得る
ことができるからである。
【0041】この場合、前記漆喰薄塗り仕上げの下地
に、モルタル等を含有する下地処理用塗材を塗布するこ
となどにより、前記漆喰薄塗り仕上げの接着性の改善及
び防水性の改善を図ることが良い。このような処理を施
しておくと、漆喰薄塗り仕上げの塗布状態が良くなり、
風合い等が従来の蔵のそれと極めて近くなる。
【0042】以上のように構成された蔵様建築物の場
合、一方の換気口から取り込まれる乾燥した屋外の空気
は、外装材と内装材とが形成する連続空間内を所定方向
に移動する。そして、前記空気は、最終的には他方の換
気口から排出される。このとき、屋外から取り込まれた
空気は、建築物内部の空気と混ざり合って湿気を含んだ
状態となり、かつその湿気を伴って屋外に排出されるこ
ととなる。よって、この構成によると、電気空調設備等
を設置しなくとも建築物内部の湿気が除去され、自然に
内部の調湿が図られる。
【0043】また、基本的に乾式工法であるプレハブ形
式を採用している本発明の蔵様建築物によると、湿式工
法による従来の蔵の場合とは異なり、施工に高度の熟練
技能を要することもなく、人件費等のコスト高を招くと
いうようなこともない。ゆえに、従来の蔵よりも施工性
・経済性に優れたものとすることが可能となる。
【0044】更に、本発明の構成によると、主体構造部
となる部分の屋外側に無機耐火繊維材料が設けられてい
るため、従来の蔵よりもより一層防火性に優れたものと
なっている。
【0045】加えて、外装材の最外面に漆喰薄塗り仕上
げが施される本発明によると、蔵様建築物を、外観的に
も従来の蔵に極めて近似し、かつ重厚で荘厳な印象を与
え得るものとすることができる。
【0046】
【実施例】以下、本発明を防火セラミック蔵に具体化し
た一実施例を図1〜図15に基づき詳細に説明する。
【0047】〔全体構成〕まず、図1〜図3に基づき本
実施例の防火セラミック蔵1の全体構成を説明する。
【0048】この防火セラミック蔵1はプレハブ耐火構
造によって構成されており、外観的にも機能的にも古来
の土壁造りの蔵に近似したものである。前記防火セラミ
ック蔵1は、基本的に、屋根2と、その屋根2を支持す
る柱3、天井4及び柱3間に形成された壁面5等からな
る主体構造部6と、該主体構造部6を支持する基礎構造
部7とによって構成されている。また、この防火セラミ
ック蔵1は二階建てであり、一階の収納室8と二階の収
納室9との間には昇降用の階段10が設けられている。
そして、この防火セラミック蔵1では、間口11のほう
が奥行き12よりも大きくなっている。
【0049】図1(a)に示されるように、防火セラミ
ック蔵1の前面の中央下部には、左右観音開きの耐火扉
13を有する出入口14が形成されている。また、図1
(b)に示されるように、防火セラミック蔵1の裏面の
略中央上部には、耐火窓15を有する採光部16が形成
されている。前記出入口14の外側上部及び前記耐火窓
15の外側上部には、それぞれ出入口庇17及び窓庇1
8が設けられている。そして、前記出入口14の前面下
側には、階段19を備える出入口床20が形成されてい
る。
【0050】〔使用建材・組付け方法〕次に、この防火
セラミック蔵1に使用される各種建材、及びそれらを組
付ける方法等を図1〜図14に基づき説明する。
【0051】本実施例において基礎構造部7の構造に
は、図4に示されるような一体の鉄筋コンクリート造り
が採用されている。この場合、布基礎22は、地面23
から300mm下の位置(設計地耐力の地盤の位置)に設
けられる。また、図11に示されるように、防火セラミ
ック蔵1の床下地盤全面には、厚さ0.1mmの防湿シー
ト(ポリエチレンフィルム)24が敷き詰められる。そ
して、その防湿シート24上には、更に厚さ60mmの防
湿コンクリート25が打設される。
【0052】図4に示されるように、防湿コンクリート
25上面において大引41の下面となる位置には、コン
クリート製の束石27が等間隔に配置される。また、布
基礎22の外周部には、床下部28の換気口(以下「床
下換気口」という)29となる開口が形成される。本実
施例において前記床下換気口29は、図1に示されるよ
うに地面23より約700mm〜800mm高い位置に複数
個設けられる。なお、前記床下換気口29は、土台26
の継手、大引41の継手、鉛直力を集中的に負担する柱
付近を避けて設置される。
【0053】本実施例では、主体構造部6を構成する建
材として、使用される箇所に応じて予め所定形状にプレ
カットされた木材が使用される。軸組、床組及び小屋組
の木構造材には、製材のJASで定める1等以上の木部
材が使用される。造作材には、製材のJASで定める小
節以上のものが使用される。また、壁面5部分等の建材
としては、構造用合板(JAS品質に適合する1級また
は2級のものであり、かつ種類が特類で、厚さ9mmのも
の)34が使用される。
【0054】なお、主体構造部6の各部分(軸組、床
組、小屋組、造作材)に使用される木材の樹種について
は表1に示される通りである。前記木材のうち、例えば
土台26や大引41など、地面23から約1m以内のも
のについては、予め防腐・防蟻処置が施されている。
【0055】そして、上記の軸組、床組、小屋組、造作
材は、従来より慣用的に行われている施工法及び所定の
建築基準に従って組付けられる。よって、ここではその
詳細な説明を省略する。
【0056】
【表1】
【0057】図6に示されるように、柱3の屋外S1 側
には壁面5用の構造用合板34が釘留めされ、その構造
用合板34の屋外S1 側には更に無機耐火繊維材料と難
燃性材料とからなる外装材35が配置される。
【0058】本実施例では、無機耐火繊維材料として、
前述したボード状耐火繊維材(厚さ20mmのもの)36
が使用される。また、難燃性材料としてケイ酸カルシウ
ムボード(不燃認定品、厚さ12mmのもの)37が使用
される。なお、これらはいずれも所定形状にプレカット
されており、前記構造用合板34に対してボード状耐火
繊維材36、ケイ酸カルシウムボード37の順に取付け
られる。その際、ボード状耐火繊維材36にケイ酸カル
シウムボード37を仮留めするため、ボード状耐火繊維
材36の表面には無機系の接着剤等が塗布される。更
に、本実施例では、前記ボード状耐火繊維材36及びケ
イ酸カルシウムボード37は、いずれも土台26から軒
げた51にわたる長さとほぼ同じ長さを有するものであ
る。
【0059】一方、図6,図7に示されるように、内装
材(スギ板材:15mm×300mm ×900mm 本実加工)38
は、前記柱3より屋内S2 側に設けられた縦横の胴縁3
9に釘等により固定される(表2参照)。なお、表2
に、壁面5以外の部分に使用される内装材の樹種及びサ
イズについても示す。図5に示されるように、屋根2の
屋内S2 側となる天井4にも内装材38が配置される。
【0060】
【表2】
【0061】図8(a),図8(b)に示されるよう
に、床組部分を構成する大引41と根太42との間にも
ボード状耐火繊維材(厚さ10mmのもの)36が配置さ
れる。本実施例では、屋根2葺きの材料として、図13
(a),図13(b)に示されるような日本瓦(JIS
A 5208に適合するもの)43が使用される。こ
こで日本瓦43とは、日本古来の粘土を主原料とし、そ
れを所定形状に成形しかつ焼成したものをいう。
【0062】小屋組を構成するむな木44、母屋45、
たる木46の上面側には、屋根2用の構造用合板(屋根
野地板)47が釘留めされる。実施例では、前記屋根野
地板47としてJAS適合品(特類、厚み9mm)が用い
られる。
【0063】この屋根野地板47の上面全体には、前述
したペーパー状耐火繊維材(厚さ3mm)48と防水紙
(商品名:タイベック)49とが下葺き材として敷き詰
められ、釘等によって屋根野地板47に固定される(図
9参照)。このような屋根野地板47の上面には、前記
日本瓦43が一文字葺きされる。なお、前記防水紙49
は、屋根2に敷設されることにより雨水等の侵入を防止
し、かつ内部の空調効果を向上させるためのものであ
る。
【0064】一方、屋根野地板47の下面側、即ち屋内
S2 側のたる木46間には、図9に示されるように前記
ボード状耐火繊維材(厚さ20mmのもの)36が脱落し
ないように嵌合される。
【0065】図13(a)に示されるように、軒先先廻
り50の軒げた51には防火対策としてケイ酸カルシウ
ムボード(厚さ12mm)37がビス留めされる。図17
に示されるように、軒裏部53には換気口(以下「軒裏
換気口」という)54が下向きに開口するように設けら
れる。前記軒裏換気口54には、金属製(SUS30
4,30mm×300mm)の換気口用部材55が嵌め込ま
れる。本実施例では、前記換気口用部材55は、昆虫の
侵入を避けるための防虫網40を備えている。また、前
記軒裏部53についても同様に、防火対策としてケイ酸
カルシウムボード(厚さ12mm)37がビス留めされ
る。
【0066】図12に示されるように、出入口庇17の
上面及び下面には、それぞれ前記屋根2用の構造用合板
(厚さ9mm)47が固定される。この構造用合板47の
上面には前記ペーパー状耐火繊維材48と防水紙49と
が下葺き材として敷設され、更にその上面には日本瓦4
3が一文字葺きされる。また、構造用合板47の下面に
は、前記ボード状耐火繊維材36とケイ酸カルシウムボ
ード37とが取付けられる。なお、窓庇18納まりにつ
いても、出入口庇17納まりと同様にペーパー状耐火繊
維材48、ボード状耐火繊維材36及びケイ酸カルシウ
ムボード37等が取付けられる。
【0067】前記出入口14に設けられる耐火扉13に
は、図1(a)に示されるように、網入りガラス付きス
チールフラッシュドア(乙種防火戸,ドアクローザー付
き)が建具として使用される。また、採光部16の耐火
窓15には、図1(b)に示されるように、網入りガラ
ス付きスチールフラッシュドア(乙種防火戸,アームス
トッパ付き)が建具として使用される。
【0068】そして、各収納室8,9内の所定部分に
は、図示しない照明器具やコンセント等の電気配線が施
工される。この場合、火花等による火災を未然に防止す
るために、電線引き込み箇所は、前述のウール状耐火繊
維材56を充填することによって確実にシールされる。
【0069】図14に示されるように、耐火扉13の上
側に位置する間柱57の下面及び屋内S2 面には、構造
材の延焼を回避すること目的としてペーパー状耐火繊維
材48がビス留めされる。また、壁面5用の構造用合板
34、間柱57及び耐火扉13の間の空隙には、防火対
策・保温対策等を徹底させるためにウール状耐火繊維材
56が充填される。
【0070】そして、耐火扉13の下側に位置する火打
土台58の上面にも、構造材の延焼を回避することを目
的としてペーパー状耐火繊維材48が配置される。ま
た、火打土台58、耐火扉13、根太42及び床(縁甲
板,厚さ12.5mm)59の間の空隙にも、防火対策・
保温対策等を徹底させるため、同様に前記ウール状耐火
繊維材56が充填される。
【0071】なお、耐火窓15廻りについても、基本的
には上述した耐火扉13廻りの場合と同じ要領で、ペー
パー状耐火繊維材48、ウール状耐火繊維材56等が配
置される。
【0072】図10に示されるように、床下換気口29
の内側には、鋳鉄製の換気口用部材(JIS 550
1,210mm×440mm×9mm)60が取付けられる。
前記換気口用部材60の上側には土台26が位置してい
る。そして、その土台26の下面には、火の粉等の侵入
による構造材の延焼を回避することを目的として、ペー
パー状耐火繊維材48とケイ酸カルシウムボード37と
が配置される。また、床下換気口29の外側上部には、
床下換気口29内への雨水の侵入等を防止するためにア
ルミニウム製の水切61が設けられる。
【0073】〔仕上げ〕本実施例では、図6に示される
ように、外装材35を構成するケイ酸カルシウムボード
37の最外面に、厚さ7mmの薄塗漆喰磨き仕上げ62が
施される。
【0074】この場合、ケイ酸カルシウムボード37の
表面にはまずシーラー処理が施され、更にその上には接
着剤(「イビハイボンド(商品名)」の5倍希釈液)が
塗布される。このようなケイ酸カルシウムボード37の
表面には、薄塗漆喰磨き仕上げ62のための下地とし
て、モルタル等を含有する下地処理用塗材63が厚さ3
mmほどしごき塗りされる。なお、本実施例においては前
記下地処理用塗材63として、特殊調合モルタルとカチ
オン系アクリル混和液とをセットにした「イビジュシモ
ル(商品名)」が使用される。この種の下地処理用塗材
63は、薄塗漆喰磨き仕上げ62の外装材35に対する
接着性や、防水性の改善等を図るために塗布されるもの
である。
【0075】前述の下地処理用塗材63の性能について
は、表3に示される通りである。表3より明らかよう
に、前記下地処理用塗材63は、JIS A 6203
にて定められる規格値(接着強さ、吸水率、透水率等)
を全て満たすという優れた性能を持つものである。
【0076】
【表3】
【0077】また、軒廻り(図13(a) ,図13(b) 参
照)や庇裏(図12参照)についても、前記壁面5の場
合と同様に、その最外面に薄塗漆喰磨き仕上げ62が施
される。更に、図11に示されるように、基礎巾木64
の外表面にはコンクリートこて押工による豆砂利洗い出
し仕上げ65が施される。また、その他の部分の仕上げ
の方法については、表4に示される通りである。
【0078】
【表4】
【0079】〔通気システム〕次に、この防火セラミッ
ク蔵1における通気システムについて説明する。図5,
図6に示されるように、この防火セラミック蔵1の場
合、壁面5の部分において配置される外装材35と内装
材38との間の領域には、柱3の幅よりも若干大きな幅
を有し、かつ空気が流通可能な空間66が形成される。
また、図5に示されるように、天井4の内装材38と屋
根野地板47との間の領域にも同様に、空気が流通可能
な空間67が形成される。なお、前記空間66,67同
士は、軒げた51の裏側で連通した状態にある。
【0080】図8(a),図8(b)に示されるよう
に、一階の収納室8の床59の外縁部には、つま側及び
けた側のいずれについても通気用間隙(本実施例では3
0mm)68が設けられる。従って、床59の上側領域と
下側領域とは、前記通気用間隙68によって屋内S2 側
にて連通された状態となる。
【0081】このようなことから、本実施例の防火セラ
ミック蔵1には、床下部28から壁面5全体を経て軒裏
部53に到るまで連続した空間(連続空間)CS が形成
されることになる。
【0082】そして、前記連続空間CS の最下部に位置
する箇所には床下換気口29が設けられており、最上部
に位置する箇所には軒裏換気口54が設けられている。
このため、前記連続空間CS は、床下換気口29及び軒
裏換気口54を介して屋外S1 側の領域と連通した状態
となっている。
【0083】〔作用・効果〕さて、以上のような構成を
備えた本実施例の防火セラミック蔵1の作用・効果につ
いて述べる。
【0084】前記のような通気システムによると、日射
による屋内S1 側と屋内S2 側との温度差、収納室8,
9における温度差等に起因して、自然に空気の対流が発
生する。つまり、床下換気口29から床下部28へ取り
込まれる乾燥した屋外S1 の空気は、壁面5及び屋根2
部分の連続空間CS 内を上方向(図5,図6,図15に
て示される矢印Aの方向)に移動する。そして、連続空
間CS 内を移動して軒裏部53まで達した空気は、最終
的には軒裏換気口54から屋外S1 に排出される。
【0085】このような循環が起こるとき、乾燥した屋
外S1 の空気は床下部28や収納室8,9の湿気を伴う
ことになるため、結果として防火セラミック蔵1内部の
湿気が除去されることとなる。よって、従来の防火セラ
ミック蔵のように電気空調設備等を特別に設置しなくと
も、内部の湿度が自然に一定範囲内に保持され、結露や
カビ等も確実に防止される。また、この防火セラミック
蔵1の場合には、維持費として多額の電気代等がかかる
ことがないため、コスト的にも有利なものなる。
【0086】そして、基本的に乾式工法であるプレハブ
形式を採用したこの防火セラミック蔵1によると、湿式
工法による従来の蔵の場合とは異なり、施工に高度の熟
練技能を要するということがない。また、人件費等のコ
スト高を招くというようなこともない。ゆえに、従来の
蔵よりも施工性・経済性の観点において優れたものとな
る。
【0087】更に、本実施例の防火セラミック蔵1で
は、壁面5用の構造用合板34や屋根2の屋根野地板4
7に、耐火対策としてセラミックファイバー製のボード
状耐火繊維材36等が配置されていることを特徴とす
る。このため、従来の蔵に比して、より一層防火性に優
れたものとなっている。
【0088】特に、本実施例の壁面5のような二層構造
の外装材35の場合、比較的低温域(数百℃)での防火
機能を主としてケイ酸カルシウムボード37が担い、1
000℃以上での防火機能を主としてボード状耐火繊維
材36が担うことになる。よって、防火セラミック蔵1
内の収納物を火災から確実に守ることができる。
【0089】加えて、本発明の防火セラミック蔵1で
は、壁面5に設けられる外装材35の最外面に、従来の
蔵によく施されるような薄塗漆喰磨き仕上げ62を施す
ことを特徴としている。このため、上述した防火性・施
工性・経済性に優れるばかりでなく、従来の蔵の外観的
に極めて近似し、かつ重厚で荘厳な印象を与え得るもの
となる。
【0090】また、本実施例では、薄塗漆喰磨き仕上げ
62の下地として下地処理用塗材63を塗布しているた
め、薄塗漆喰磨き仕上げ62の接着性も防水性も良い。
ゆえに、施工時の美しい外観が長期間にわたって維持さ
れる。
【0091】〔耐火試験〕なお、本実施例にて使用した
外装材(厚さ20mmのボード状耐火繊維材+厚さ12mm
のケイ酸カルシウムボード)35を用いてJISによる
耐火試験を行った結果を以下に記す。
【0092】ここで、JIS A 1304に定める試
験の方法を概説する。まず、試験片の表面温度が最高で
1010℃となり、裏面温度が260℃となるような範
囲で試験片の加熱を行い、これを2時間継続する。
【0093】その結果、試験中において試験片の部分的
な脱落、変形・破壊、火災を通すような亀裂が発生する
か否かを観察する。そして、上記のものが発生しないこ
とをもって合格基準とする。
【0094】本実施例の外装材35をサンプルとして上
記耐火試験を行ったところ、2時間の加熱を経ても、試
験片に脱落等の異常は何ら認められなかった。従って、
本実施例の外装材35を使用すれば、JIS A 13
04に合格する耐火性能を備えた防火セラミック蔵1が
得られることがわかる。
【0095】〔別例〕なお、本発明は上記実施例のみに
限定されることはなく、以下のような構成に変更するこ
とが可能である。例えば、 (a)本発明を実施例にて示した間取りとは異なる防火
セラミック蔵に具体化しても勿論良い。また、実施例の
ような二階建て構造のみに限定されることはなく、一階
建て構造とすることもできる。
【0096】(b)実施例のように、外装材35を構成
しているボード状耐火繊維材36とケイ酸カルシウムボ
ード37とを別個に構造用合板34に取り付けるという
ような施工法のみに限定されることはない。
【0097】例えば、両者36,37を予め一体化した
ものをプレカット建材として使用しても良く、更にはそ
の表面に薄塗漆喰磨き仕上げ62が予め施されたものを
プレカット建材として使用しても良い。このように建材
のプレカット化を一層進めることにより、部品点数の減
少及び施工時間の短縮などを図ることが可能となる。
【0098】(c)また、前記無機耐火繊維材料の形状
は、実施例にて示したようなボード状またはペーパー状
のみに限定されることはなく、もっと複雑な形状に成形
することも可能である。
【0099】(d)換気口29,54に蓋等を設けるこ
とにより、それらを開閉可能な構造としても良い。この
構成の利点としては、例えば雨天時など屋外S1 が多湿
のとき等に換気口29,54を閉成しておくことによ
り、内部の湿度上昇を回避することが可能なことであ
る。
【0100】また、連続空間CS 内の空気の動きを意図
的に止めることにより、外装材35と内装材38との間
に不動空気層を形成し、それによって内部の保温を図る
こともできる。なお、簡単な電気回路等を用いて前記蓋
を自動的に開閉するというような構成としても良い。
【0101】(e)前記連続空間CS の途中、または床
下換気口29や軒裏換気口54に、高温遭遇時に体積変
化を生じるようなシール材をファイヤーストッパとして
設けても良い。ここでファイヤーストッパに用いられる
ものとしては、例えば膨張黒鉛等を主体としたシール材
のように、約150℃以上になると膨張するようなもの
がある。この種のシール材を前記連続通路CS の途中や
出入口に配置しておくと、火災発生時に空気の対流を停
止させることができ、防火セラミック蔵1の内部の構造
材の延焼を未然に防ぐことができる。
【0102】なお、この種のファイヤーストッパは、実
施例にて示した防火セラミック蔵1への使用のみにとど
まらず、一般住宅等にも使用可能なものである。 (f)また、例えば床下換気口29を介して連続空間C
S 内に、防腐・防蟻のための殺虫剤等の薬剤やその他の
薬剤等を施与することもできる。このため、防腐・防蟻
処置が施されていない防火セラミック蔵1の上側の部分
についても、容易に防腐・防蟻処置を施すことができ
る。
【0103】(g)実施例の防火セラミック蔵1とは異
なる領域に連続空間CS を設けたり、床下部28や軒裏
部53以外の箇所に換気口29,54を設けることも勿
論可能である。なお、換気口29,54の数も、防火セ
ラミック蔵1の設置場所や設置地域等の周囲の環境に応
じて、適宜変更することが可能である。
【0104】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の蔵様建築
物によれば、従来の蔵よりも優れた防火性・施工性・経
済性を備えると共に、電気空調設備等に頼らなくても自
然に内部の調湿を行うことができ、しかも外観的にも従
来の蔵に極めて近似した蔵様建築物を提供することがで
きるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本実施例における防火セラミック蔵全
体の外観を示す正面図、(b)は同じく背面図、(c)
は同じく右側面図である。
【図2】前記防火セラミック蔵における一階の収容室を
示す平面図である。
【図3】前記防火セラミック蔵における二階の収容室を
示す平面図である。
【図4】前記防火セラミック蔵全体の概略側断面図であ
る。
【図5】前記セラミック蔵に形成される連続空間を示す
部分概略断面図である。
【図6】外装材及び内装材の施工状態を示す部分概略断
面図である。
【図7】内装材の施工状態を示す概略一部破断面図であ
る。
【図8】(a)は床のつま側に形成された通気用空隙を
示す部分概略断面図、(b)は床のけた側に形成された
通気用空隙を示す部分概略断面図である。
【図9】屋根野地板付近の施工状態を示す部分概略断面
図である。
【図10】床下換気口付近の施工状態を示す部分概略断
面図である。
【図11】基礎巾木付近の施工状態を示す部分概略断面
図である。
【図12】出入口庇廻りの施工状態を示す部分概略断面
図である。
【図13】(a)は軒先先廻りの施工状態を示す部分概
略断面図、(b)は軒裏廻りの施工状態を示す部分概略
断面図である。
【図14】耐火扉廻りの施工状態を示す部分概略断面図
である。
【図15】防火セラミック蔵内を循環する空気の流れを
説明するための背面図である。
【符号の説明】
1…蔵様建築物としての防火セラミック蔵、2…屋根、
3…柱、4…天井、5…壁面、6…主体構造部、7…基
礎構造部、23…地面、28…床下部、29…(床下)
換気口、35…外装材、36…無機耐火繊維材料として
のボード状耐火繊維材、37…難燃性材料としてのケイ
酸カルシウムボード、38…内装材、48…無機耐火繊
維材料としてのペーパー状耐火繊維材、53…軒裏部、
54…(軒裏)換気口、62…漆喰薄塗り仕上げ(=薄
塗漆喰磨き仕上げ)、S1 …屋外、S2 …屋内、CS …
連続空間。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】屋根(2)と、該屋根(2)を支持する柱
    (3)、壁面(5)及び天井(4)等の主体構造部
    (6)と、該主体構造部(6)を支持する基礎構造部
    (7)とからなるプレハブ形式の蔵様建築物(1)であ
    って、 前記主体構造部(6)において少なくとも前記壁面
    (5)の屋外(S1 )側に、無機耐火繊維材料(36)
    と難燃性材料(37)とを組み合わせてなる外装材(3
    5)を配置すると共に、同じくその屋内(S2 )側に好
    通気性材料からなる内装材(38)を配置し、更に前記
    外装材(35)と内装材(38)との間の領域に屋外
    (S1 )の空気が流通可能な連続空間(CS )を設け、
    かつその連続空間(CS )と屋外(S1 )とを連通させ
    るための換気口(29,54)を前記連続空間(CS )
    の所定箇所に設けたことを特徴とする蔵様建築物。
  2. 【請求項2】前記屋根(2)に前記無機耐火繊維材料
    (36,48)を配置したことを特徴とする請求項1に
    記載の蔵様建築物。
  3. 【請求項3】少なくとも前記換気口(29)が形成され
    た部分の内壁面に、前記無機耐火繊維材料(48)を配
    置したことを特徴とする請求項1または2に記載の蔵様
    建築物。
  4. 【請求項4】前記連続空間(CS )を床下部(28)か
    ら壁面(5)を経て軒裏部(53)にわたる領域に形成
    し、かつ前記換気口(29,54)を少なくとも前記床
    下部(28)と前記軒裏部(53)とに形成したことを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蔵様
    建築物。
  5. 【請求項5】前記床下部(28)の換気口(29)を地
    面(23)より離間させて設けたことを特徴とする請求
    項4に記載の蔵様建築物。
  6. 【請求項6】前記外装材(35)の最外面に漆喰薄塗り
    仕上げ(62)を施したことを特徴とする請求項1乃至
    5のいずれか1項に記載の蔵様建築物。
JP6876093A 1993-03-26 1993-03-26 蔵様建築物 Expired - Fee Related JPH0726449B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6876093A JPH0726449B2 (ja) 1993-03-26 1993-03-26 蔵様建築物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6876093A JPH0726449B2 (ja) 1993-03-26 1993-03-26 蔵様建築物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06280321A true JPH06280321A (ja) 1994-10-04
JPH0726449B2 JPH0726449B2 (ja) 1995-03-22

Family

ID=13383031

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6876093A Expired - Fee Related JPH0726449B2 (ja) 1993-03-26 1993-03-26 蔵様建築物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0726449B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003026463A (ja) * 2001-07-10 2003-01-29 Daiken Trade & Ind Co Ltd ホルムアルデヒド吸着内装材およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003026463A (ja) * 2001-07-10 2003-01-29 Daiken Trade & Ind Co Ltd ホルムアルデヒド吸着内装材およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0726449B2 (ja) 1995-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
FI101407B (fi) Ulkopuolen eristys- ja päällystysjärjestelmä
US4464877A (en) Method of assembling multi-unit, party wall residential buildings and fire-resistant party wall structure
US3415026A (en) Building of gypsum structural wall elements
RU191078U1 (ru) Навесная тёпло-холодная ограждающая конструкция здания
ITMI20140071U1 (it) Elemento di parete
RU80870U1 (ru) Строительная панель
US3466818A (en) Prefabricated buildings
JPH06280321A (ja) 蔵様建築物
JP4086715B2 (ja) 壁構造及び建物
RU44697U1 (ru) Деревянное домостроение
CN206467689U (zh) 一种泄压井及建筑
RU74932U1 (ru) Ограждающая конструкция для постройки здания
EP0566562B1 (en) Structure panel and a joint between such panels and method of using and manufacturing the panel
CN220414587U (zh) 一种用于钢结构模块化建筑的全预制干挂陶砖外墙结构
Derinoz Wood frame house construction process and performance investigation
DERINOZ ISTANBUL TECHNICAL UNIVERSITY★ INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
JPH0768728B2 (ja) 建築物の構造用耐火材料
Marriage et al. Façades and cladding: Façades and cladding
LEVEL et al. Road
Kochkin et al. Construction Guide to Next-Generation High-Performance Walls in Climate Zones 3-5-Part 1: 2x6 Walls
Straube et al. Building Enclosure Fundamentals
JPH03115659A (ja) 内、外壁改修構造
JPH0621477B2 (ja) 建築物の耐火構造
DE29916451U1 (de) Schauelemente, Musterhäuser sowie Anordnungen aus Schauelementen und Musterhäusern
JPS63156141A (ja) 建築物における屋根の耐火構造

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 16

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110322

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees