JPH0768541A - 自己強化複合材料の製造方法 - Google Patents

自己強化複合材料の製造方法

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JPH0768541A
JPH0768541A JP6155940A JP15594094A JPH0768541A JP H0768541 A JPH0768541 A JP H0768541A JP 6155940 A JP6155940 A JP 6155940A JP 15594094 A JP15594094 A JP 15594094A JP H0768541 A JPH0768541 A JP H0768541A
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JP
Japan
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lcp
polyolefin
temperature
extruder
processing
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Application number
JP6155940A
Other languages
English (en)
Inventor
Aaldrik Roelf Postema
アールドリツク・ルウルフ・ポステマ
Gervinius Petrus Schipper
ヘルビヌス・ペトルス・スヒツペル
John Alexander Nicholl Scott
ジヨン・アレクサンダー・ニコル・スコツト
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Shell Internationale Research Maatschappij BV
Original Assignee
Shell Internationale Research Maatschappij BV
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリオレフィンマトリックスポリマーとLC
Pとを含有する自己強化複合材料を製造する方法であっ
て、実施しやすく、比較的小型の設備しか要せず、しか
も優れたモジュラス及び強度などの機械的特性を有する
再利用可能な自己強化複合材料をもたらし、特に成分の
ブレンドと加工とを一度に行ない得る方法の提供。 【構成】 本発明による自己強化複合材料製造方法では
液晶ポリマー(LCP)と、LCPの固相−ネマチック
相転移温度より低い融点を有するポリオレフィンとのブ
レンドをLCPの固相−ネマチック相転移温度より1〜
10℃高い温度で剪断応力下に加工する。加工した複合
材料は引き伸ばし応力下に加工設備から離し、かつ直ち
に急冷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自己強化複合材料系を
製造する方法に係わる。本発明は特に、熱可塑性ポリマ
ーと液晶ポリマー(LCP)とを含有する自己強化複合
材料系の製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】POLYMER ENGINEERIN
G AND SCIENCE, Vol.30, N
o.9, pp.532−542, mid−May,
1990において、サーモトロピック液晶ポリマー
(TLCP)を一方ではポリスチレン(PS)と、他方
ではポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物
(PS/PPE)と混合して得られるブレンドのモルホ
ロジー、配向、及び結果として得られる機械的特性が検
討された。成分の配合は押出機において、TLCPが液
晶相もしくはネマチック相となる290〜320℃の加
工温度で行なわれた。押出機を離れたストランドは直ち
に水浴中で急冷され、風乾され、かつ更に加工するべく
切断してグラニュレートとされた。あるいは他の場合に
は、ストランドは押出機から2種の異なる引き取り速度
で回収された。グラニュレートに更に施される加工に、
紡糸して繊維とする加工が有り、この紡糸加工はアスペ
クト比の大きい微細なフィブリルを生じさせる引き伸ば
し変形の好ましい一法であると結論された。機械的特
性、即ちモジュラス及び強度はTLCP含量が高いほど
向上すると判明し、一方対応する優れた機械的特性を有
するフィブリル構造体を得るうえでは引き伸ばし変形が
非常に重要であると結論された。
【0003】米国特許第5,006,402号には、2
00℃以上の融点を有する熱可塑性ポリマー5〜60重
量%と、LCPである溶融加工可能な芳香族ポリエステ
ル95〜40重量%とを含む自己強化ポリマー複合材料
が開示されている。上記熱可塑性ポリマーは上記ポリエ
ステルのためのマトリックスとして機能し、ポリエステ
ルはマトリックス中で用時形成された一方向配向繊維の
形態で存在する。上記のようなポリマー複合材料を製造
する方法では、熱可塑性ポリマーと芳香族ポリエステル
とをドライブレンドし、かつ適当な混合装置において両
ポリマーの融点より高い、好ましくは300〜400℃
の温度で徹底的に混合するが、その際混合装置は繊維形
成を十分惹起する徹底的な高歪み混合を実現する。適当
な混合装置の例には、スタティックミキサー及び押出ダ
イを直列に具備した一軸スクリュー押出機が有る。混合
装置を離れた高温のブレンドを続いて急冷し、かつスト
ランドの形態に押出成形した場合は固化後切断してペレ
ットとする。
【0004】国際特許出願公開第WO 91/0187
9号には、幾つかの自己強化熱可塑性材料層から成る成
形された自己強化熱可塑性複合材料が開示されており、
前記層は各々、実質的に一方向へ配向した細長いLCP
繊維と熱可塑性ベースポリマーのマトリックスとを含
む。上記2種のポリマーの溶融加工温度範囲は重なり合
い、その際LCPは熱可塑性ベースポリマーの最低溶融
加工温度より高い融点を有する。この複合材料は、LC
P繊維を繊維形成条件下にベースポリマーマトリックス
中で用時形成することによりまず幾つかの層を形成し、
その後個々の層を積み重ねて積層体(lay−up)を
形成する方法によって製造する。最後に、前記積層体を
加熱及び加圧下に成形して、密着した成形強化熱可塑性
複合材料とする。ベースポリマーとLCPとを混合装置
において、ベースポリマーの融点もLCPの融点も上回
る加工温度で混合しなければならないことは上記特許出
願公開第WO 91/01879号の開示から明らかで
ある。適当な混合装置は例えば、場合によってはスタテ
ィックミキサーをその後段に配置した押出機である。こ
の特許出願は、用い得る冷却手段については言及してい
ない。そのうえ、複合積層材料(composite
laminate)中のLCP量は好ましくは40〜9
5重量%、更に好ましくは50〜90重量%であり、そ
の残部が実質的に熱可塑性ベースポリマーであると教示
している。
【0005】既に開示された方法は、熱可塑性マトリッ
クスポリマーとLCPとの両方が溶融加工可能である加
工温度を必要とする。本発明の方法に有用なLCPの融
点は通常270℃以上であるので、高い加工温度が必要
となる。このことは上述の三つの参考文献に説明されて
おり、これらの文献のいずれにおいても実際の加工温度
はLCPの融点より高い。しかし、加工温度はまた熱可
塑性ポリマーの劣化温度によって制限されることに留意
するべきである。従って、熱可塑性ポリマーとしてポリ
オレフィンが有用であるとすると270℃以上の加工温
度は高すぎると考えられ、なぜならそのような高温下で
はポリオレフィンは劣化するからである。他方、270
℃より低い温度での作業も、そのような温度ではLCP
が固相状態に留まり、その結果LCPと熱可塑性ポリマ
ーとの混和性に悪影響が及ぶので望ましくない。即ち、
上記のような比較的低い加工温度では、固相LCPが熱
可塑性ポリマーマトリックス全体に最適に分配されな
い。
【0006】PCT特許出願公開第WO 92/185
68号にはポリオレフィンとLCPとを含有するブレン
ドが開示されており、このブレンドにはポリオレフィン
とLCPとの適合性を高めるべく、マレエート化したポ
リオレフィンが添加される。上記特許出願公開第WO
92/18568号によれば、LCPの加熱加工温度と
ポリオレフィンの加熱加工温度とが重ならないという問
題点は、或る押出機からは溶融ポリオレフィン/マレエ
ート化ポリオレフィン流、別の押出機からは溶融LCP
流を別々に製造し、その後これら二つの流れをスタティ
ックミキサーにおいて、LCPの融点もポリオレフィン
及びマレエート化ポリオレフィンの劣化温度も下回る2
00〜250℃の温度でブレンドすることにより克服す
ることができる。このような方法は比較的大型の設備を
必要とし、その結果相互同調及び高コストに関して生じ
るあらゆる問題を伴うと考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリオレフ
ィンマトリックスポリマーとLCPとを含有する自己強
化複合材料系を製造する方法であって、実施しやすく、
比較的小型の設備しか要せず、しかも優れたモジュラス
及び強度などの機械的特性を有する再利用可能な自己強
化複合材料をもたらす方法を提供することを目的とす
る。本発明は特に、再利用可能な自己強化複合材料系を
製造する方法であって、成分のブレンドと加工とを一度
に行ない得る方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】今や驚くべきことに、ポ
リオレフィン−LCPブレンドをLCPの固相−ネマチ
ック相転移温度より高い特定範囲内の温度で加工する
と、ポリオレフィンが幾分劣化するにもかかわらず優れ
た機械的特性を有する自己強化複合材料が得られること
が判明した。
【0009】従って本発明は、液晶ポリマー(LCP)
と、LCPの固相−ネマチック相転移温度より低い融点
を有する熱可塑性ポリマーとのブレンドを剪断応力下に
加工し、その後引き伸ばし応力下に加工設備から離し、
それによってLCPが固相となる温度まで冷却する自己
強化複合材料の製造方法であって、熱可塑性ポリマーが
ポリオレフィンであり、前記加工を、LCPの固相−ネ
マチック相転移温度より1〜10℃、好ましくは2〜6
℃高いがLCPの等方性化温度をなお下回る温度で行な
うことを特徴とする方法を提供する。
【0010】これに関して、LCPの“等方性化温度
(isotropisation temperatu
re)”という語はLCPのネマチック相から等方性相
への、またはその逆の転移が生起する温度を意味するこ
とが指摘される。即ち、LCPは長鎖ポリマー分子から
成る。LCPが液状で、長鎖LCP分子がランダムに分
配されている状態のことを“等方性相”と呼称する。こ
の相ではLCP分子は自由に移動可能であり、いずれの
方向へも全く配列しない。等方性相に後続する相を“ネ
マチック相”と呼称する。ネマチック相は等方性相と固
相との間の状態であり、この相ではLCP分子は互いに
対して平行に配列し、かつその配列を保ちながら長手方
向に移動し得る。実際のところ、ネマチック相は“液晶
状態”と呼んでもよい。最後に、ネマチック相の次の状
態が固相である。固相ではLCP分子は平行配向状態に
固定される。LCPが固相からネマチック相に転移する
温度のことを“固相−ネマチック相転移温度”と呼称す
る。
【0011】本発明の方法に有用なLCPは、液相では
等方性の挙動を示し、固相では異方性であり、かつ一方
向への配向を有し、液相と固相との間の液状中間相即ち
ネマチック相では液晶の挙動を示すLCPである。この
ようなLCPは普通“サーモトロピックLCP”と呼称
する。従って、融解前に分解するLCPや、固相におい
て一方向への配向を有しないLCPは明らかに本発明の
範囲から除外される。そこで適当なサーモトロピックL
CPには、Hoechst Celaneseから商品
名“ベクトラ”(“ベクトラ”は商標)の下に市販され
ているものなど、完全に芳香族性のポリエステル及びポ
リエステルアミドが含まれる。特定例は、(i)ポリマ
ー鎖中にナフトイン部分(naphthoic moi
eties)を有する、完全に芳香族性の液晶ポリエス
テルアミドであるベクトラB950、及び(ii)やは
りポリマー鎖中にナフトイン部分を有する芳香族コポリ
エステルであるベクトラA950である。これらのLC
Pの固相−ネマチック相転移温度は280℃であるの
で、本発明による好ましい加工温度は281〜290℃
となり、好ましくは282〜286℃となる。285℃
であれば非常に優れた結果が得られる。
【0012】本発明の方法は、ポリオレフィンとLCP
との出発ブレンドが75〜99重量%、好ましくは85
〜95重量%のポリオレフィンと25〜1重量%、好ま
しくは15〜5重量%のLCPとを含有する複合材料系
の製造に特に適する。
【0013】本発明の方法に有用なポリオレフィンには
高密度ポリエチレン及びポリプロピレンなどの、モノオ
レフィン、特にα−オレフィンのホモポリマーが含まれ
る。オレフィンのコポリマーを用いることもできる。例
えばエチレン−プロピレンコポリマー、及び良く知られ
たEPDMポリマーなどを用い得る。2種以上のポリオ
レフィンホモポリマー及び/またはコポリマーの混合物
を用いることも可能である。本発明の好ましい一例で
は、ポリオレフィンとしてポリプロピレンを用いる。
【0014】剪断応力下に加工する際のポリオレフィン
とLCPとの相対粘度比も、LCP相の繊維相への変形
に影響するので、最終複合材料系の諸特性に強い影響を
及ぼす一要因である。LCP対ポリオレフィンの粘度比
は、剪断応力10〜50kPaにおいて0.5〜6、特
に1〜4であれば好ましい。
【0015】剪断応力下での加工は原則として、熱可塑
性ポリマー−LCPブレンドの加工に十分な剪断応力を
発生し得る任意の適当な混合装置において行ない得る。
そのような混合装置は、例えばスタティックミキサーま
たは押出機であり得る。好ましくは、剪断応力下での加
工は押出機において行なう。押出機を離れる複合材料系
の最終的な形態は押出ヘッドによって決まると理解され
る。例えば、押出機は単孔押出ヘッドを具備し得、その
場合押出機を離れる複合材料系はモノフィラメントスト
ランドの形態を有する。あるいは他の場合には、押出機
は多孔押出ヘッドを具備し得、その結果融合マルチフィ
ラメントストランドが得られる。即ち、前記マルチフィ
ラメントストランドは、押出機を離れる時に融合し合っ
た複数のモノフィラメントストランドから成る。上記の
ような融合が起こるのは、多孔押出ヘッドを同時に離れ
る複数の単一フィラメント複合材料ストランドがまだマ
トリックス結晶化温度より高温であり、従って互いに付
着するからであると考えられる。直後の冷却の際にこの
“付着状態”は固定され、融合マルチフィラメントスト
ランドが得られる。得られたマルチフィラメントストラ
ンドは後からペレットまたはグラニュレートとすること
ができる。更に別の例では、押出ヘッドはスリットを具
え、それによって複合材料シートが得られる。通常、押
出機を離れる複合材料には押出ヘッドによって任意の望
ましい形態を付与し得る。
【0016】ポリオレフィンマトリックス中に細長い
(分子配向した)LCP繊維が得られるように、ポリオ
レフィン−LCP複合材料が引き伸ばし応力下に加工装
置を離れることが重要である。即ち、加工の際LCPは
ポリオレフィン中に分散している。エネルギー的に最も
好ましい状態はLCPが小球の形態で分散する状態であ
る。LCP−ポリオレフィン分散系に引き伸ばし応力を
付加することにより、小球を引き伸ばして細長い繊維と
する。加工装置を離れた複合材料を直ちにLCPが固相
となる温度に冷却することにより、上記のように実現し
た繊維状態を固定してLCPを複合材料中に繊維の形態
で存続させる。冷却は水浴によって、または単に高温の
複合材料が加工装置を離れた時該複合材料を室温の空気
に暴露することによって適宜行ない得る。
【0017】ポリオレフィンを極性基含有化合物で改質
すれば、極性LCPと非極性ポリオレフィンマトリック
スとの適合性を改善することができる。従って、ポリオ
レフィンは少なくとも1個の極性基を含有する少なくと
も1種の分子によって改質し得る。この改質は、例えば
ポリオレフィン主鎖上に極性基含有分子をグラフトさせ
ることによって行ない得る。このような改質法に適した
極性基含有分子は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸、マレイン酸無水物及び3−アジドスルホニ
ル安息香酸(ASB)といった脂肪族及び芳香族の不飽
和カルボン酸やその誘導体などである。マレイン酸無水
物及びASBが好ましい。改質ポリオレフィン中に存在
させるべき極性基含有化合物の量は広い範囲内で様々で
あり得るが、好ましくは改質ポリオレフィンの総重量に
基づき0.1〜10重量%、更に好ましくは0.2〜5
重量%である。
【0018】剪断応力下に加工するべきポリオレフィン
とLCPとのブレンドは、例えば粉末、ペレットまたは
グラニュレートの形態の前記両成分を、後に特定温度で
剪断応力下の加工を行なう押出機に供給することによっ
て適宜製造することができる。あるいは他の場合には、
最初にポリオレフィンとLCPとをドライブレンドし、
得られたブレンドを押出機に供給することによって上記
ブレンドを製造し得る。高温の複合材料を引き伸ばし応
力下に押出機から離し、直ちに急冷する。この操作は、
複合材料ストランドを水浴の後段に配置した、例えば巻
き取りロールなどの引き取り装置またはグラニュレータ
ーによって水浴中を通過させながら引くことにより好ま
しく実施し得る。このようにして得られるストランドは
ペレット化することができる。従って、本発明の方法は
その典型的実施段階として、(a)ポリオレフィン及び
LCPを押出機に供給する段階と、(b)LCPの固相
−ネマチック相転移温度より1〜10℃高い温度で剪断
応力下に加工する段階と、(c)押出機を離れた高温の
複合材料ストランドを直ちに水浴中で急冷し、その際水
浴の後段に配置した巻き取りロールによって引き伸ばし
応力を付加する段階と、場合によっては(d)このよう
にして得られる自己強化複合材料ストランドをペレット
化する段階とを含む。得られるストランド、またはペレ
ット化した場合のペレットは、ポリオレフィンの融点と
LCPの固相−ネマチック相転移温度との間の温度で更
に加工するうえで非常に有利である。即ち、上記のよう
な温度での加工を行なうとポリオレフィンマトリックス
は融解し、一方細長いLCP繊維はそのまま残存する。
【0019】押出成形の際、LCPとポリオレフィンと
の加工温度での粘度比を1〜5.5、好ましくは1.5
〜5.0に選定すれば有益な効果を挙げることができる
(規定した粘度比は剪断応力40〜50kPaで測定し
た粘度の比)。その結果、引っ張り強さ及び引っ張り弾
性率(E−modulus)の改善が可能となる。
【0020】本発明の方法により製造した自己強化複合
材料は、例えば自動車の様々な部品など、現在ガラス繊
維強化ポリプロピレン製品が用いられている用途におい
て非常に役立つ。
【0021】本発明の方法により製造した自己強化複合
材料から成るものであれば成形品も本発明の一部を成す
と理解される。
【0022】
【実施例】本発明を、以下の実施例によって更に詳述す
る。本発明の範囲はこれらの特定例に限定されない。
【0023】実施例1 この実施例では、サーモトロピック液晶ポリマー(Ho
echstのベクトラA950及びベクトラB950)
をポリプロピレン(ShellのSY 6100;メル
トインデックス11dg/min.)と重量比10/9
0で混合する溶融ブレンド製造及び溶融紡糸を説明す
る。
【0024】ポリプロピレンとドライブレンドする前に
LCPペレットを、緩やかな窒素流下に置いた真空オー
ブン内で115℃で一晩乾燥した。ブレンドを、円錐形
の進入口と直径1.3mmのオリフィスとを有するスト
ランドダイを具備した25mm Plamvo一軸スク
リュー押出機において押出成形した。スクリュー速度は
毎分16回転(16r.p.m.)とした。押出機ゾー
ン温度は、材料温度がLCPの固相−ネマチック相転移
温度より5℃高い285℃となるように選択した。押出
機の出口から出て来る高温のストランドを直ちに引いて
様々な引き落とし比のストランドとし、その後水浴中で
冷却した。巻き取り速度を高めて押出物を破断させた。
【0025】比較のため、LCP単独、及びポリプロピ
レン単独でも上記と同じ条件下に溶融紡糸を行なった。
【0026】光学顕微鏡検査によって、溶融状態で緩慢
に引くだけで既にLCP繊維の分配及び配向に関して改
善されたより細い押出物が得られることが判明した。引
く速度を高めると、LCP繊維の配向はほぼ完璧とな
り、LCP繊維の平均直径はより小さくなり、繊維直径
の分布は狭まった。このようにして得られたPP−LC
P複合材料中のLCP繊維のアスペクト比は100より
大きかった。
【0027】上述のようにして得た押出物の引っ張り特
性をInstron 1195試験機で測定した。ゲー
ジ長さを50mm、クロスヘッド速度を1mm/mi
n.(歪み2%以下)、次いで2mm/min.とし、
平均八つの試料を用いた。
【0028】最大引き落とし比、最高引っ張り弾性率及
び最大引っ張り強さを表Iに示す。引き落とし比はオリ
フィスの断面積を押出物の断面積で除して算出した。
【0029】
【表1】
【0030】実施例2 この実施例では、押出物の温度が自己強化PP−LCP
複合材料の特性に及ぼす影響を説明する。
【0031】実施例1において特定したポリプロピレン
とLCPとの(比90/10の)混合物を、円錐形の進
入口を有する直径1.3mmのストランドダイを具備し
た30mm一軸スクリュー押出機において溶融ブレンド
とした。用いたスクリュー速度は10r.p.m.であ
った。
【0032】押出機ゾーン温度を、LCPの固相−ネマ
チック相転移温度(280℃)より低いかまたは高い様
々な材料温度が得られるように変更した。
【0033】ブレンド製造及び溶融紡糸は実施例1と同
様に行なった。
【0034】溶融紡糸押出物のモルホロジーを、光学顕
微鏡検査及び共焦点走査型レーザー顕微鏡検査(CSL
M)によって調べた。表IIに、実施例1と同様に測定
した引っ張り特性を示す。
【0035】
【表2】
【0036】顕微鏡検査の結果から、ネマチック相−固
相転移段階のあたりで得た試料においてLCP繊維が最
小の直径を有し、かつ高度に配向しつつ最良に分配され
ていることが明らかとなった。LCPのネマチック相転
移温度を5℃より大きく上回る温度ではLCP繊維は次
第に太くなってゆき、従ってアスペクト比が小さくな
る。アスペクト比は、繊維の長さを直径で除した商とし
て定義されている。ベクトラA950系の場合は高い温
度(300℃)において、またベクトラB950系の場
合は比較的低い温度(273℃)においてLCP繊維の
直径が甚だしく大きくなり、かつはるかに不規則とな
る。
【0037】最大引き落とし比及び引っ張り特性は、ネ
マチック相転移温度より約5℃高い材料温度において明
白な最適値を取る。
【0038】実施例3 この実施例には、ポリプロピレンに混入するLCPの量
の増加が引き落とし比及び引っ張り特性に及ぼす影響を
示す。ポリプロピレンと、0から20重量%までの様々
な量のLCP(ベクトラB950)とのブレンドを製造
し、実施例1と同様にして溶融ブレンドとした。押出成
形後の冷却は、PP単独の場合は水浴中で行なったが、
それ以外はこの例では空気中で行なった。引き落とし比
及び引っ張り特性を実施例1と同様に測定した。
【0039】最大引き落とし比、最高引っ張り弾性率及
び最大引っ張り強さを表IIIに示す。
【0040】
【表3】
【0041】一般に、引っ張り特性は引き落とし比の増
大と共に向上することが判明した。引き落とし比の増大
は、光学顕微鏡検査及び走査型電子顕微鏡検査で明らか
となったようにLCP繊維の分配も改善し、また引き落
とし比増大の結果として平均繊維直径がより小さくな
り、押出物流動方向への配向がより良く実現した。
【0042】実施例4 この実施例では、LCP対PPの粘度比が自己強化ブレ
ンドの押出成形の際のLCP液滴変形に及ぼす影響を説
明する。粘度は、ブレンド製造のための代表的条件、即
ち285℃の材料温度と40kPaの剪断応力との下で
Instron/Instrumat細管レオメーター
によって測定した。
【0043】様々なブレンド成分の粘度測定に、L/D
比が81であり、dが1.26mmであり、かつ流入角
が90°である細管を用いた。非ニュートン流れにはR
abinowitch補正を適用した。加工温度が比較
的高いため、PPマトリックスの劣化を予想しなければ
ならない。劣化の結果として、(押出機出口内及び該出
口のすぐ外での)液滴変形の瞬間にマトリックスの粘度
は低下する。正確な粘度値を測定するべく、最初にPP
を、ブレンド製造で用いるのと同じ条件下に押出成形し
た。レオロジー的実験にはこの加工した、従って“予め
劣化させた”PP(PP*)を用いた。
【0044】PP*の粘度を285℃において直接測定
すると、細管レオメーター試験そのものの間の付加的劣
化に起因して不正確な値が得られる。この理由から、P
P*に関するレオロジー的測定は、PP*がまだ実験の
間中熱的に安定である240℃の温度において行なっ
た。285℃での粘度値は、アレニウスの式、及び流れ
の活性化エネルギーの値40.8kJ/molを用いて
後から計算した。
【0045】この実施例で用いたサーモトロピックLC
PはベクトラB950である。ブレンド製造では様々な
粘度(メルトインデックス)を有するポリプロピレンを
用いた。285℃において(実施例1に述べたように)
加工した90/10 w/wブレンドに関する結果を表
IVに示す。LCP対PPの粘度比は剪断応力が40k
Paの時のものである。
【0046】
【表4】
【0047】実施例5 この実施例には、PPをASB(0.5及び1重量%)
またはマレイン酸(0.8重量%)で改質することがP
P−LCPブレンドの特性に及ぼす影響を示す。改質し
たPPを10重量%のベクトラA950と混合したブレ
ンドを、実施例1で用いた方法に従って製造した。得ら
れた押出物の機械的特性を表Vに示す。
【0048】
【表5】
【0049】実施例6 90重量%のPPを10重量%のLCP(ベクトラB9
50)と混合したブレンドを285℃の温度において、
8孔押出ダイヘッド(孔径1.3mm、流入角90°)
から押し出して成形した。各押出物ストランドをそれぞ
れ引き、かつLCPの固化温度とPPの固化温度との間
の温度に冷却した。その後、各ストランドを、互いに融
合させて1本の太い押出物とし、かつ更に室温まで冷却
してから通常の技術によってグラニュレートとした。8
本の細いストランドの冷却は、同様の総体積を有する1
本の太い押出物ストランドの冷却よりはるかに有効であ
った。より早く完了するこのような冷却は液状LCPジ
ェットを、押出成形の際の収縮及び歪みからより有効に
保護する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29C 47/88 9349−4F C08L 23/10 23/26 C09K 19/30 9279−4H // B29K 23:00 (72)発明者 ジヨン・アレクサンダー・ニコル・スコツ ト オランダ国、1031・セー・エム・アムステ ルダム、バドハアイスウエヒ・3

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶ポリマー(LCP)と、LCPの固
    相−ネマチック相転移温度より低い融点を有する熱可塑
    性ポリマーとのブレンドを剪断応力下に加工し、その後
    引き伸ばし応力下に加工設備から離し、それによってL
    CPが固相となる温度まで冷却する自己強化複合材料の
    製造方法であって、熱可塑性ポリマーをポリオレフィン
    とし、前記加工を、LCPの固相−ネマチック相転移温
    度より1〜10℃高いがLCPの等方性化温度をなお下
    回る温度で行なうことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記加工を、LCPの固相−ネマチック
    相転移温度より2〜6℃高いがLCPの等方性化温度を
    なお下回る温度で行なうことを特徴とする請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィンとLCPとのブレンドが
    75〜99重量%のポリオレフィンと25〜1重量%の
    LCPとを含有することを特徴とする請求項1または2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィンとLCPとのブレンドが
    85〜95重量%のポリオレフィンと15〜5重量%の
    LCPとを含有することを特徴とする請求項3に記載の
    方法。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィンがポリプロピレンである
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 LCPとポリオレフィンとの粘度比が剪
    断応力10〜50kPaにおいて0.5〜6であること
    を特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 LCPとポリオレフィンとの粘度比が1
    〜4であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 剪断応力下での加工を押出機において行
    なうことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 押出機が多孔押出ヘッドを具備してお
    り、その結果融合マルチフィラメントストランドが得ら
    れることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 ポリオレフィンを少なくとも1個の極
    性基を有する少なくとも1種の分子によって改質するこ
    とを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の
    方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも1個の極性基を有する分子
    を脂肪族もしくは芳香族不飽和カルボン酸またはその誘
    導体とすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記カルボン酸またはその誘導体をマ
    レイン酸無水物及び3−アジドスルホニル安息香酸の中
    から選択することを特徴とする請求項11に記載の方
    法。
  13. 【請求項13】 (a)ポリオレフィン及びLCPを押
    出機に供給する段階と、(b)LCPの固相−ネマチッ
    ク相転移温度より1〜10℃高い温度で剪断応力下に加
    工する段階と、(c)押出機を離れた高温の複合材料ス
    トランドを直ちに水浴中で急冷し、その際水浴の後段に
    配置した巻き取りロールによって引き伸ばし応力を付加
    する段階と、場合によっては(d)このようにして得ら
    れる自己強化複合材料ストランドをペレット化する段階
    とを含むことを特徴とする請求項1から12のいずれか
    1項に記載の方法。
JP6155940A 1993-07-09 1994-07-07 自己強化複合材料の製造方法 Pending JPH0768541A (ja)

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JP2008150417A (ja) * 2006-12-14 2008-07-03 Kuraray Co Ltd 耐衝撃性に優れた軽量繊維補強樹脂組成物およびそれからなる成形体

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CA2127603A1 (en) 1995-01-10
AU675539B2 (en) 1997-02-06
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