JPH0767601B2 - 粗形鋼片の連続鋳造装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、無端走行する鋳型ブロックの内部空間で溶融
金属を冷却・凝固することにより、種々の断面形状をも
つ粗形鋼片を鋳造する装置に関する。

〔従来の技術〕

最近、溶鋼等の溶融金属から最終形状に近い数mm〜数十
mm程度の厚みをもつ薄帯を直接的に製造する連続鋳造方
法が注目されている。この方法によるとき、従来のよう
な多段階にわたる熱延，冷延等の処理を大幅に省略する
ことができるため、工程及び設備の簡略化が図られる。
また、工程間で行われる熱処理も省略又は軽減すること
ができるため、省エネルギーも可能となる。

この連続鋳造方法の一つとして、ツインベルト方式，単
ベルト方式，ツインドラム方式，単ドラム方式等の各種
の方法が開発されている。たとえば、単ベルト方式にお
いては、無端走行するベルトの上に湯溜り部を形成し、
ここに注湯された溶融金属をベルトを介した抜熱によっ
て冷却・凝固し、生成したシェルをベルトの走行に伴っ
て湯溜り部から送り出し、金属薄帯を製造している。こ
のベルト方式によるとき、溶融金属は、一方向から冷却
され、ベルトと反対側の面は開放されている。そのた
め、タンディシュ等の容器から溶融金属をベルト上の湯
溜り部に供給するノズルの配置に対する制約が少なくな
る。

本発明者等は、このベルト方式において、湯溜り部の側
面を仕切る堰を移動可能にした鋳造装置を開発し、これ
を特願昭60−155247号として出願した。

第４図は、この先願で提案された装置を示す。この装置
においては、金属製のベルト１が一対のプーリ2a,2bに
掛け渡されており、無限軌道を走行するようになってい
る。そして、一方のプーリ2aを高く保持することによ
り、ベルト１の無限軌道はプーリ2aに向かって上昇する
ものとなる。このベルト１の周囲には、チェーン等によ
って連結した複数の耐熱ブロック３が配置され、これら
耐熱ブロック３は、ベルト１の走行に同期して移動す
る。

耐熱ブロック３は、ベルト１が直線状に走行する上部で
湯溜り部４の側部を仕切るサイド堰５となる。他方、湯
溜り部４の後方には、固定堰６が設けられている。これ
によって、ベルト１の進行方向のみが開放された湯溜り
部４が形成される。この湯溜り部４に、注湯装置７から
溶融金属８が注湯される。

注湯された溶融金属８は、ベルト１の裏面に配置されて
いる冷却装置９により抜熱され、冷却・凝固して凝固シ
ェル10となる。この凝固シェル10は、ベルト１の移動に
伴って、第４図において右方向に搬送される。この搬送
の過程で抜熱が継続しているので、凝固シェル10は所定
の厚みをもつ薄帯11に成長し、湯溜り部４から送り出さ
れる。

この薄帯11は、次いで加圧ロール12によって目標板厚に
圧延され、巻取り装置13によって薄板コイル14として巻
き取られる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

溶融金属からこのようにして製造される製品は、これま
でのところ、主として板材であった。ところが、金属材
料として需要のあるものには、板材の外に山型鋼，溝型
鋼,H型鋼等の異形鋼材がある。このような異形鋼材は、
第４図に示したような装置で製造することはできない。

そこで、本発明は、種々の異形型鋼を製造することがで
きる連続鋳造装置を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の連続鋳造装置は、その目的を達成するために、
粗形鋼片の断面形状に対応する断面の内部空間をもつ鋳
型ブロックを環状に連続し、前記内部空間を斜め上方に
開放させた、前記環状連結鋳型ブロックの搬送経路を設
け、走行する該環状連結鋳型ブロックと、該環状連結鋳
型ブロック上の内部空間の内壁面に接して設けた、摺動
する後面堰とにより、該環状連結鋳型ブロックの内部空
間に形成した湯溜まり部に金属溶湯を注湯し、該環状連
結鋳型ブロックの裏面を冷却して金属溶湯を凝固せしめ
て、粗形鋼片を連続鋳造することを特徴とする。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら、実施例により本発明の特徴
を具体的に説明する。

第１図は、本発明実施例で使用した連続鋳造装置の要部
を示す。なお、第１図において、第４図で示した部材等
に対応するものについては、同一の符番で指示した。

本実施例の装置は、多数の鋳型ブロック20を環状に連結
し、垂直面上で無端走行するように配置している。この
鋳型ブロック20を走行させる搬送経路には、鋳型ブロッ
ク20を走行させる駆動プーリ21及び22が配置されてい
る。

この鋳型ブロック20は、第２図に示すように、製造しよ
うとする粗形鋼片の形状に応じた内部空間を備えてい
る。すなわち、同図（ａ）の場合、Ｈ型鋼を製造するた
めに溝状窪みａを両端にもち中央部が平坦面ｂとなって
いる内部空間24があり、この内部空間24に注入された溶
融金属８は、内部空間24の内壁面に沿って凝固し、Ｈ型
鋼用の粗形鋼片25となる。また、同図（ｂ）の場合に
は、山型鋼を製造するために三角形状の内部空間24が形
成されている。同図（ｃ）の場合、矩形の内部空間24を
鋳型ブロック20に形成しており、その内部空間24の内壁
面に沿って溝型鋼用の粗形鋼片25が凝固・成長する。

鋳型ブロック20の内部空間24には、注湯装置７から溶融
金属８が注入され、湯溜り部４が形成される。この湯溜
り部４の下位側は、堰26で仕切られている。この堰26
は、走行する鋳型ブロック20の内部壁に摺動して一定の
位置に保たれている。

鋳型ブロック20の内壁面に沿って均一な厚みの粗形鋼片
25を成長させるためには、鋳型ブロック20の各部に対し
て冷却装置９による冷却条件を調整するか、或いは鋳型
ブロック20自体の構造に工夫を施すことが好ましい。

第３図は、鋳型ブロック20の内壁面各部における冷却条
件を均一にする手段の一例を示す。本例の鋳型ブロック
20は、第２図（ａ）に示すＨ型鋼用粗形鋼片25を鋳造す
るものであり、溝状窪みａの冷却速度に比較して、中央
平坦面ｂ及び上部側面ｃの冷却速度は小さなものであ
る。そこで、中央平坦面ｂ及び上部側面ｃを構成するブ
ロック壁に適宜個数の孔部31を穿設し、冷却装置９のノ
ズル32から噴出される冷却水等の冷媒が内壁面近くまで
到達するようにしている。これによって、内壁各部での
冷却速度がほぼ均一化され、同等な冷却条件下で内壁面
に凝固シェルが生成・成長する。

この孔部31形成に変えて、或いはそれに加えてノズル32
から噴射される冷媒の流量を、溝状窪みa,中央平坦面ｂ
及び上部側面ｃそれぞれについて変更する方法を採用す
ることもできる。また、溝状窪みａの内壁面に断熱性セ
ラミックスをコーティングすることによって、この部分
の冷却条件を緩和させて、冷却速度のバランスをとるこ
とも可能である。このようにして設けられたセラミック
ス層は、離型材としても作用するので、特に溝状窪みａ
のように入り組んだところで生成した粗形鋼片25を鋳型
ブロック20から分離させる上でも有効である。

生成された粗形鋼片25は、鋳型ブロック20の走行に随伴
して、湯溜り部４から第１図の右方向に搬出される。粗
形鋼片25は、カッター28で所定の長さに切断されて製品
となる。なお、カッター28による切断に先立って、圧下
ロール27で軽圧下しても良い。

次いで、具体的な操業条件と共に、得られた製品の性状
を示す。

普通鋼組成をもち温度1600℃の溶鋼を、240kg/分の流量
で、第２図（ａ）で示した鋳型ブロック20の内部空間に
よって形成された湯溜り部４に注入し、約5m/分の速度
でＨ型鋼用粗形鋼片を製造した。この鋳型ブロック20
は、深さ40mmで幅20mmの溝状窪みa,幅160mmの中央平坦
面ｂ及び高さ130mmの側面ｃをもつ内部空間24を設けた
ものである。また、湯溜り部４の湯面長さを鋳型ブロッ
ク20走行方向に沿って1400〜1500mmに維持した。

このような条件下で製造されたＨ型鋼用の粗形鋼片25
は、平均厚み20mmのフランジ部及び平均厚み22mmのウエ
ブ部をもつものであった。また、各部の厚み偏差は、フ
ランジ部に関しては2mmで、ウエブ部に関しては1mmと小
さなものであり、この程度の偏差は圧下ロール27によっ
て粗形鋼片25を圧下することにより充分に解消すること
ができるものであった。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明の連続鋳造装置において
は、製造しようとする粗形鋼片の形状に対応する内部空
間をもつ鋳型ブロックを環状に連結して、無端状に走行
させ、その内部空間で溶融金属を冷却・凝固させてい
る。そのため、種々の形状の粗形鋼片を製造することが
可能となる。また、従来の金属薄帯製造用の装置におけ
るベルト及びサイド堰の両者を、鋳型ブロックに持たせ
ているので、装置構成自体も簡単なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例の連続鋳造装置を示し、第２図は
その装置に組み込まれる鋳型ブロックの数例を示し、第
３図は冷却条件を調整するための一例を説明する図であ
る。また、第４図は、本発明者等が先に開発した金属薄
帯用の連続鋳造装置を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】粗形鋼片の断面形状に対応する断面の内部
   空間をもつ鋳型ブロックを環状に連結し、前記内部空間
   を斜め上方に開放させた前記環状連結鋳型ブロックの搬
   送経路を設け、走行する該環状連結鋳型ブロックと、該
   環状鋳型ブロック上の内部空間の内壁面に接して設け
   た、摺動する後面堰とにより、該環状連結鋳型ブロック
   の内部空間に形成した湯溜まり部に金属溶湯を注湯し、
   該環状連結鋳型ブロックの裏面を冷却して金属溶湯を凝
   固せしめて、粗形鋼片を連続鋳造するこを特徴とする単
   ベルト式連続鋳造装置。