JPH0767521A - 魚肉のジェリーミート化防止剤とそれを用いた摺身の製造法 - Google Patents

魚肉のジェリーミート化防止剤とそれを用いた摺身の製造法

Info

Publication number
JPH0767521A
JPH0767521A JP5235569A JP23556993A JPH0767521A JP H0767521 A JPH0767521 A JP H0767521A JP 5235569 A JP5235569 A JP 5235569A JP 23556993 A JP23556993 A JP 23556993A JP H0767521 A JPH0767521 A JP H0767521A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meat
agent
jelly
thiol
fish
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5235569A
Other languages
English (en)
Inventor
Hifumi Oishi
一二三 大石
Tomoko Uchida
智子 内田
Osamu Kirihara
修 桐原
Yoshiro Miyauchi
芳朗 宮内
Katsuhiko Sakurada
克彦 桜田
Yasuyuki Sasaki
安之 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYODO NYUGYO KK
Nichiro Corp
Original Assignee
KYODO NYUGYO KK
Nichiro Corp
Nichiro Gyogyo Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KYODO NYUGYO KK, Nichiro Corp, Nichiro Gyogyo Kaisha Ltd filed Critical KYODO NYUGYO KK
Priority to JP5235569A priority Critical patent/JPH0767521A/ja
Publication of JPH0767521A publication Critical patent/JPH0767521A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fish Paste Products (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 乳成分から分離したタンパク質分解酵素阻害
物質を成分とするジェリーミート化防止剤の提供と、こ
れらを使用して粘液胞子に汚染された魚肉から弾力及び
色調に優れた練り製品を製造できる摺身を製造する方法
の提供。 【構成】 乳成分から分離した分子量12,000〜1
4,000のチオール系タンパク質分解酵素阻害物質
や、乳成分から分離した分子量50,000〜100,
000のセリン系タンパク質分解酵素阻害物質を含有し
たことを特徴とする魚肉のジェリーミート化防止剤と、
粘液胞子虫に汚染された魚肉に、これらジェリーミート
化防止剤を接触させるようにした摺身の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乳成分から分離した成
分を主体とする魚肉のジェリーミート化防止剤を提供す
ることと、ジェリーミートを発現するような魚種から摺
身を製造する際に、乳成分から分離した魚肉のジェリー
ミート化防止剤や、これらを配合したタンパク質分解酵
素阻害製剤を使用して安全にジェリーミート化を防止
し、弾力及び色調に優れた練り製品を製造できる摺身を
製造することのできる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、魚介類には保存中、あるいは
食品加工中に肉質が軟化する現象が生じる。特に、マグ
ロ、カレイ、メルルーサ、パシフィックホワイティング
などの魚では、著しい肉質の軟化現象が魚体の一部ある
いは全体的に生じ、これはジェリーミートと呼ばれてい
る。この原因は魚肉に寄生した粘液胞子虫の生産するタ
ンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が、保存中あるいは
加工中に作用して、筋肉蛋白質の組織を破壊し分解する
為であると考えられている。
【0003】このようなジェリーミートを起こすタンパ
ク質分解酵素(プロテアーゼ)の種類また、そのタンパ
ク質分解酵素(プロテアーゼ)の性質についてはまだほ
とんど明らかになっていないが多くの場合、タンパク質
分解酵素(プロテアーゼ)はチオール系タンパク質分解
酵素(プロテアーゼ)あるいは、セリン系タンパク質分
解酵素(プロテアーゼ)で占められていることが明らか
になった。そこで、このジェリーミート化を防止するた
めに従来から各種阻害物質が提案されている。
【0004】例えば、特開昭54−135264号には
卵白、特開昭55−108242号、特開昭55−10
4846号にはチオール系蛋白分解酵素阻害物質、特開
昭56−88779号には亜硝酸塩、過酸化水素等の酸
化剤などの添加物質を添加する方法が示されている。
尚、チオール系蛋白分解酵素阻害物質としては、放線
菌、麹かび類等の培養液、アンチパイン、キモスタチ
ン、TLCK、亜硝酸塩類、魚卵、蜂毒、じゃがいも、
ユリ根、長ネギ、パイナップル、米糠抽出物、卵白プソ
イドグロブリン、血漿中の阻害物質等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の添加物質は、その有効性、安全性あるいは価格の点で
充分とは言えなかった。
【0006】例えば、チオール系蛋白分解酵素阻害物質
は放線菌などの生産物が代表的な例として示されている
が、人体中のタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を阻
害する恐れがあるとされ、その安全性は確実なものでは
なく、また価格の点でも高価なものになる。亜硝酸塩、
過酸化水素等の酸化剤も安全性の面では満足できるもの
ではなかった。卵白の場合には安全であるが硫黄臭の発
生があり、血漿中の阻害蛋白を添加するものについて
は、不純な血球蛋白質やその他の成分により色や臭いが
悪くなる。即ち、実際には阻害成分を含んだこれら食品
素材をそのまま添加するという極めて粗雑な方法の上に
成り立っており、実質的には阻害成分以外の夾雑物質が
多量に混入するため、摺身の品質を低下させている。ま
たそれら阻害成分を含んだ食品素材が使われることによ
り摺身自体に悪印象を与える結果に終わっている。
【0007】本発明者はこれら添加物のかかえる欠点を
解消し、有効性、安全性、価格等の点で極めて有効なジ
ェリーミート化防止剤を開発しようと鋭意研究を進めた
結果、新たに次のような知見を得た。
【0008】第1知見は、粘液胞子虫に汚染された魚の
筋肉中には、分子量13,000のカテプシンL様のチ
オール系タンパク質分解酵素と、セリン系タンパク質分
解酵素と呼ばれる近年魚肉中に発見された戻り誘導酵素
(Modori-Inducing Proteinases をMIPと略称する)
の性質に酷似している酵素とが存在し、これがジェリー
ミートを起こしていることを確認した。
【0009】第2知見は、ジェリーミートを完全に防止
するためには、従来のようにチオール系タンパク質分解
酵素を阻害するだけでは不十分であり、同時にセリン系
タンパク質分解酵素とよばれる戻り誘導酵素をも同時に
阻害しなければならないとの知見を得た。
【0010】第3知見は、上記2種類のタンパク質分解
酵素を阻害する物質(チオール系タンパク質分解酵素阻
害物質と、セリン系タンパク質分解酵素阻害物質)を検
討した結果、乳成分中に、チオール系タンパク質分解酵
素を阻害するタンパク質成分と、セリン系蛋白質分解酵
素を阻害するが、戻り誘導酵素(MIP)を特に強く阻
害するタンパク質成分の両方が存在していることを見出
した。
【0011】そこで発明者は、上記知見に基づきこのタ
ンパク質分解酵素のそれぞれを阻害する成分物質を、乳
中から膜技術等の分離方法を用いて分画し、それらを単
独で、或は両物質を配合することにより、安全で効果的
な新しい魚肉のジェリーミート化防止剤と、ジェリーミ
ート化を防止し、弾力及び色調に優れた練り製品を製造
できる摺身を製造することのできる技術を開発したもの
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1の発明は、乳成分から分離した分子量12,000〜
14,000のチオール系タンパク質分解酵素阻害物質
を含有したことを特徴とする魚肉のジェリーミート化防
止剤である。
【0013】これは第1知見と第3知見に基づき開発さ
れた魚肉のジェリーミート化防止剤である。乳成分から
分離した分子量12,000〜14,000のチオール
系タンパク質分解酵素阻害物質というのは、ウシ初乳よ
り単離され構造決定された物質で、その分布と等電点か
らみてウシのシスタチンに属する蛋白質である。発明者
は、当該ウシのシスタチンに属する蛋白質を分離し、摺
身に添加することによりチオール系タンパク質分解酵素
阻害物質であることを確認した。従って、この乳成分か
ら分離したチオール系タンパク質分解酵素阻害物質を添
加すると、チオール系タンパク質分解酵素が原因のジェ
リーミートを有効に防止することができる。
【0014】尚、本発明中には、前記乳成分から分離し
たチオール系タンパク質分解酵素阻害物質だけではな
く、既存の他のタンパク質分解酵素阻害物質を組み合わ
せてなるジェリーミート化防止剤をも含むこと勿論であ
る。
【0015】特許を受けようとする第2の発明は、乳成
分から分離した分子量50,000〜100,000の
セリン系タンパク質分解酵素阻害物質を含有したことを
特徴とする魚肉のジェリーミート化防止剤である。
【0016】ウシ初乳中には、前記低分子量のものだけ
でなく、高分子量のものも存在している。発明者は、ウ
シ初乳中から分子量50,000〜100,000とい
う高分子量の物質を分離し、精製してその性状を調べて
いるうち、これがセリン系タンパク質分解酵素阻害物質
であることが判明した。しかも当該セリン系タンパク質
分解酵素阻害物質は、セリン系蛋白質分解酵素の活性を
阻害するものであるが、戻り誘導酵素(MIP)を特に
強く阻害するタンパク質成分であることを見出した。従
って、摺身製造工程で本発明に係るセリン系タンパク質
分解酵素阻害物質を含有した魚肉のジェリーミート化防
止剤を接触させると、セリン系タンパク質分解酵素の戻
り誘導酵素(MIP)に起因するジェリーミート化を有
効に防止することができるのである。
【0017】尚、本発明の場合にも、前記乳成分から分
離したセリン系タンパク質分解酵素阻害物質だけではな
く、既存の他のタンパク質分解酵素阻害物質を組み合わ
せてなるジェリーミート化防止剤をも含むこと勿論であ
る。
【0018】特許を受けようとする第3の発明は、少な
くとも、乳成分から分離した請求項1記載のチオール系
タンパク質分解酵素を阻害するタンパク質成分と、乳成
分から分離した請求項2記載の戻り誘導酵素を阻害する
タンパク質成分とを混合したことを特徴とする魚肉のジ
ェリーミート化防止剤である。
【0019】本発明はジェリーミートを完全に防止する
ために開発された完成度の高い魚肉のジェリーミート化
防止剤である。知見2にあるように、ジェリーミートの
原因になっている2種類のタンパク質分解酵素の活性を
阻害する乳成分から新たに分離した前記2種類のタンパ
ク質分解酵素阻害物質を組み合わせたので、そのジェリ
ーミート化防止効果は絶大である。以上、第1発明から
第3発明までのジェリーミート化防止剤は、いずれも牛
乳から抽出し精製した蛋白質が成分であるので安全であ
るし、抽出精製されているので少量でも効果が大きいう
え夾雑物がないので、摺身や魚肉の風味や味を損うよう
なことがない。
【0020】特許を受けようとする第4の発明は、粘液
胞子虫に汚染された魚肉から摺身を製造する際に、当該
魚肉に乳成分から分離した請求項1記載のチオール系タ
ンパク質分解酵素を阻害するタンパク質成分か、乳成分
から分離した請求項2記載のセリン系タンパク質分解酵
素を阻害するタンパク質成分か、或はそれら両方のタン
パク質分解酵素阻害物質と接触させるようにしたことを
特徴とする摺身の製造方法である。
【0021】第1発明から第3発明までのジェリーミー
ト化防止剤を用いてジェリーミートを発現しうる魚肉か
ら摺身を製造する方法である。実際の魚肉にこれらを接
触する方法には、魚肉の有するチオール系タンパク質分
解酵素活性及びセリン系タンパク質分解酵素活性の各々
の強度に基づいて配合された当該タンパク質分解酵素阻
害剤を適宜用いて、摺身製造工程時の落とし身あるいは
スクリュープレスを通過した脱水肉に混合(砂糖等など
の冷凍変性防止剤を添加する工程が入る場合にはその
時)する方法が適当である。
【0022】
【作用】次に、本発明の前提となった前記3つの技術知
見が本願各発明の作用を説明するものになっているの
で、この点を発明者が確認した試験結果とともに説明す
る。
【0023】第1の知見は、粘液胞子虫に汚染された魚
の筋肉中には、分子量13,000のカテプシンL様の
チオール系タンパク質分解酵素と、セリン系タンパク質
分解酵素と呼ばれる近年魚肉中に発見された戻り誘導酵
素(MIP)の性質に酷似している酵素とが存在し、こ
れがジェリーミートを起こしていることを確認したとい
うものである。
【0024】本発明者は、ジェリーミート化をおこす魚
(メルルーサ類)の代表としてパシフィックホワイティ
ングに注目し、この魚の筋肉中に含まれている酵素につ
いて研究を進めた。その結果、先ず、この筋肉中には粘
液胞子虫とともに分子量13,000のカテプシンL様
のチオール系タンパク質分解酵素が含まれていることを
見出した。
【0025】さらに検討を行った結果、パシフィックホ
ワイティングの筋肉中には前述の酵素以外に強いジェリ
ーミート発現活性を示すタンパク質分解酵素を発見し
た。それはセリン系タンパク質分解酵素と呼ばれてお
り、近年魚肉中に発見された戻り誘導酵素(MIP)の
性質に酷似していることが確認された。この戻り誘導酵
素(MIP)はチオール系タンパク質分解酵素とは異な
る酵素活性機構を有し、その阻害様式も全く異なるもの
であるため、チオール系タンパク質分解酵素阻害物質で
は阻害できないことが解った。
【0026】尚、プロテアーゼの所在はゲルティン・シ
ルバー・フイルム法の原理に基づいて確認し、その種類
や性質は、種々の阻害剤や薬剤の粗抽出液中の活性への
影響度合、イオン交換クロマトグラフィー中の挙動、活
性の温度、pHに対する安定性等によって調べ、SDS
−PAGEの結果より分子量を算出し、プロテアーゼ活
性の測定はヘモグロビン分解法およびカゼイン分解法で
測定した。
【0027】次に第2知見は、ジェリーミートを完全に
防止するためには、従来のようにチオール系タンパク質
分解酵素を阻害するだけでは不十分であり、同時にセリ
ン系タンパク質分解酵素とよばれる戻り誘導酵素をも同
時に阻害しなければならないとの知見を得た。
【0028】パシフィックホワイティングの摺身製造中
にチオール系タンパク質分解酵素阻害物質を入れてみた
ところ、ジェリーミートの発現はかなり弱くなったが、
充分の弾力を得られなかった。そこで同時にセリン系タ
ンパク質分解酵素とよばれる戻り誘導酵素をも同時に阻
害しなければならないとの知見を得た。
【0029】第3知見は、上記2種類のタンパク質分解
酵素を阻害する物質(チオール系タンパク質分解酵素阻
害物質と、セリン系タンパク質分解酵素阻害物質)を検
討した結果、乳成分中に、チオール系タンパク質分解酵
素を阻害するタンパク質成分と、セリン系蛋白質分解酵
素を阻害するが、戻り誘導酵素(MIP)を特に強く阻
害するタンパク質成分の両方が存在していることを見出
した。
【0030】発明者は、ウシ初乳より常法によってホエ
ーを得、DEAE−セルロースに吸着させて、1MのNa
Clで溶出させた画分を凍結乾燥したものを出発物質と
し、膜技術等の分離方法を用いて分画したところ、分子
量12,000〜14,000のタンパク質と、分子量
50,000〜100,000のタンパク質を得た。つ
まり、ウシ初乳中には前者の低分子量タンパク質と、後
者の高分子量タンパク質との2種類が存在することが解
った。これらタンパク質について検討したところ、前者
の低分子量タンパク質は、前記パシフィックホワイティ
ングから調製した前記チオール系タンパク質分解酵素を
阻害することが解り、後者の高分子量タンパク質は、同
様にパシフィックホワイティングから調製したセリン系
蛋白質分解酵素を阻害し、戻り誘導酵素(MIP)を特
に強く阻害することが解った。前者の低分子量タンパク
質の中から、分子量13,500のタンパク質を単離
し、その性質について検討したところシスタチンに属す
るタンパク質で、細胞外に産出されるものであることが
判明した。
【0031】発明者は、次に、当該乳中から分離したチ
オール系タンパク質分解酵素阻害物質(分子量13,5
00のシスタチンの一種)の効果について確認する試験
<試験例1.>と、乳中から戻り誘導酵素阻害物質(分
子量約70,000)を分離し、その活性の評価につい
て確認の試験<試験例2.>をおこなった。
【0032】<試験例1.>牛乳中から分離したチオー
ル系タンパク質分解酵素阻害物質(分子量13,500
のシスタチンの一種)をパシフィックホワイティングの
筋肉から調製したチオール系タンパク質分解酵素に作用
させたところ、図1.の通りその阻害活性を確認した。
【0033】発明者は、次に、当該乳中からの戻り誘導
酵素阻害物質の分離とその活性の評価について確認の試
験2.をした。 <試験例2.>牛乳のホエー中からUFモジュールで分
離した戻り誘導酵素阻害物質(分子量約70,000)
をパシフィックホワイティングの筋肉から調製した戻り
誘導酵素に作用させて、その阻害活性を確認した。戻り
誘導酵素に対する阻害活性は酵素と阻害物質を50℃及
び60℃、10分間プレインキュベートした後合成基質
を加えて、同じ温度でさらに10分間インキュベートし
た。この結果は図2.の通りであるが、これから本発明
品に含まれる戻り誘導酵素阻害物質は戻り誘導酵素に対
してかなり高い阻害活性を有することは明らかである。
【0034】そこで発明者は、上記知見に基づきこのタ
ンパク質分解酵素のそれぞれを阻害する成分物質を、乳
中から膜技術等の分離方法を用いて分画し、それらを単
独で、或は両物質を配合することにより、安全で効果的
な新しい魚肉のジェリーミート化防止剤を開発した。
また、これらジェリーミート化防止剤を用いて、ジェリ
ーミート化を防止し、弾力及び色調に優れた練り製品を
製造できる摺身を製造することのできる技術を開発した
ものである。
【0035】
【実施例1】粘液胞子虫に汚染されたパシフィックホワ
イティングのすり身(阻害物質の入っていないもの)に
牛乳由来の戻り誘導阻害物質(MIPI)及びチオール
系タンパク質分解酵素阻害物質(CPI)及び対照とし
て乳清タンパク質(WPC)を添加し、蒲鉾製造試験を
行なった。
【0036】
【表1】
【0037】このように、すりみのゲル強度は牛乳由来
の成分であるMIPI、CPIおよびWPCの配合剤の
添加により高いゲル強度を示すようになった。とくにM
IPI添加量に相関する傾向を示し、品質の高い蒲鉾と
なることからその効果は明らかである。
【0038】
【実施例2】粘液胞子虫に汚染されたパシフィックホワ
イティングのすり身製造工程中の脱水肉に牛乳由来の戻
り誘導酵素阻害物質(MIPI)及びチオール系タンパ
ク質分解酵素阻害物質(CPI)を添加し、蒲鉾を製造
した。結果は、表2.の通りである。
【0039】
【表2】
【0040】1番肉は新鮮な摺身であるが、2番肉は2
回リファイナーに通した鮮度の悪い摺身である。以上の
結果から、新鮮な魚肉から摺身を製造する際に本発明の
効果が高いことは明らかである。
【0041】
【発明の効果】以上の如く、第1発明である乳成分から
分離した分子量12,000〜14,000のチオール
系タンパク質分解酵素阻害物質を含有したことを特徴と
する魚肉のジェリーミート化防止剤でも、第2発明であ
る乳成分から分離した分子量50,000〜100,0
00のセリン系タンパク質分解酵素阻害物質を含有した
ことを特徴とする魚肉のジェリーミート化防止剤でも、
これを魚肉に添加混合等の方法で接触させることにより
異常な肉質軟化、即ちジェリーミート化作用の発現を止
めたり、低減させる効果がある。
【0042】しかし、このジェリーミート化作用の発現
をほぼ完全に止めようとする場合には、第3発明である
少なくとも、乳成分から分離した請求項1記載のチオー
ル系タンパク質分解酵素を阻害するタンパク質成分と、
乳成分から分離した請求項2記載のセリン系タンパク質
分解酵素を阻害するタンパク質成分とを混合したことを
特徴とする魚肉のジェリーミート化防止剤を用いると良
い。尚、この場合、魚肉の有するチオール系タンパク質
分解酵素活性及びセリン系タンパク質分解酵素活性の各
々の強度に基づいて配合された当該タンバク質分解酵素
阻害剤を適宜用いるとより効果があがる。
【0043】第4発明は、ジェリーミートを発現しうる
魚肉から摺身を製造する際に、当該魚肉に乳成分から分
離した請求項1記載のチオール系タンパク質分解酵素を
阻害するタンパク質成分か、乳成分から分離した請求項
2記載のセリン系タンパク質分解酵素を阻害するタンパ
ク質成分か、或はそれら両方のタンパク質分解酵素阻害
物質と接触させるようにしたことを特徴とする摺身の製
造方法であって、これにより異常な肉質軟化即ちジェリ
ーミートにより、蒲鉾の品質が低下する魚種から、弾
力、色調に優れた蒲鉾を作ることが出来る摺身を安全に
しかも安価に製造することが出来ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】乳中から分離したチオール系タンパク質分解酵
素阻害物質の効果試験の結果を示すグラフである。
【図2】乳中から戻り誘導酵素阻害物質(分子量約7
0,000)を分離し、その活性の評価についての試験
結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12N 9/99 9152−4B (72)発明者 桐原 修 東京都西多摩郡日の出町平井180 協同乳 業株式会社研究所内 (72)発明者 宮内 芳朗 神奈川県横須賀市久里浜7−36−5 株式 会社ニチロ中央研究所内 (72)発明者 桜田 克彦 神奈川県横須賀市久里浜7−36−5 株式 会社ニチロ中央研究所内 (72)発明者 佐々木 安之 東京都千代田区有楽町1丁目12番1号 株 式会社ニチロ本社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳成分から分離した分子量12,000
    〜14,000のチオール系タンパク質分解酵素阻害物
    質を含有したことを特徴とする魚肉のジェリーミート化
    防止剤。
  2. 【請求項2】 乳成分から分離した分子量50,000
    〜100,000のセリン系タンパク質分解酵素阻害物
    質を含有したことを特徴とする魚肉のジェリーミート化
    防止剤。
  3. 【請求項3】 少なくとも、乳成分から分離した請求項
    1記載のチオール系タンパク質分解酵素を阻害するタン
    パク質成分と、乳成分から分離した請求項2記載のセリ
    ン系タンパク質分解酵素を阻害するタンパク質成分とを
    混合したことを特徴とする魚肉のジェリーミート化防止
    剤。
  4. 【請求項4】 粘液胞子虫に汚染された魚肉から摺身を
    製造する際に、当該魚肉に乳成分から分離した請求項1
    記載のチオール系タンパク質分解酵素を阻害するタンパ
    ク質成分か、乳成分から分離した請求項2記載のセリン
    系タンパク質分解酵素を阻害するタンパク質成分か、或
    はそれら両方のタンパク質分解酵素阻害物質と接触させ
    るようにしたことを特徴とする摺身の製造方法。
JP5235569A 1993-08-27 1993-08-27 魚肉のジェリーミート化防止剤とそれを用いた摺身の製造法 Pending JPH0767521A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5235569A JPH0767521A (ja) 1993-08-27 1993-08-27 魚肉のジェリーミート化防止剤とそれを用いた摺身の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5235569A JPH0767521A (ja) 1993-08-27 1993-08-27 魚肉のジェリーミート化防止剤とそれを用いた摺身の製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0767521A true JPH0767521A (ja) 1995-03-14

Family

ID=16987938

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5235569A Pending JPH0767521A (ja) 1993-08-27 1993-08-27 魚肉のジェリーミート化防止剤とそれを用いた摺身の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0767521A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001231510A (ja) * 2000-02-22 2001-08-28 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 水産練製品
WO2003053162A1 (fr) 2001-12-20 2003-07-03 Nippon Suisan Kaisha, Ltd. Extrait aqueux de son de riz et son utilisation dans des additifs pour des produits a base de chair de poisson de fond

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001231510A (ja) * 2000-02-22 2001-08-28 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 水産練製品
WO2003053162A1 (fr) 2001-12-20 2003-07-03 Nippon Suisan Kaisha, Ltd. Extrait aqueux de son de riz et son utilisation dans des additifs pour des produits a base de chair de poisson de fond
US7763307B2 (en) 2001-12-20 2010-07-27 Nippon Suisan Kaisha, Ltd. Fish paste mixture with rice bran extract

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Simpson Digestive proteinases from marine animals
US4677069A (en) Clam derived proteinases
CN107846944A (zh) 食用肉改良剂
US6001398A (en) Processed meat product and process for preparing same
Pereira et al. Exogenous enzymes in dairy technology: acidic proteases from processing discards of shrimp Pleoticus muelleri and their use as milk‐clotting enzymes for cheese manufacture
JP5035586B2 (ja) タンパク質分解酵素粉末を含有する食肉軟化剤及び該食肉軟化剤を用いる食肉の改質方法
JP2008161104A (ja) 食肉加工用塩漬液
JPH0767521A (ja) 魚肉のジェリーミート化防止剤とそれを用いた摺身の製造法
JP2002171933A (ja) キムチエキス健康食品
Aktayeva et al. Proteolytic enzymes in cheese making
EP1051919B1 (en) Surimi product and process for preparing same
JPS5963140A (ja) ペ−スト状の蛋白質食品または蛋白質材料の製造方法
KR100357993B1 (ko) 참치와 참치가공 부산물을 이용한 참치액젓 및 그 속성 제조방법
Ketnawa et al. Extraction and Biochemical Characterization of Peptidases from Giant Catfish Viscera by Aqueous Two‐Phase System
Córdova-Montejo et al. Partial characterization of digestive proteases in Totoaba (Totoaba macdonaldi)
Shalaby et al. Extraction and purification of alkaline protease from mullet fish (Mugil cephalus) viscera and its biochemical characteristics
Wang et al. Biochemical and sensory changes of low-salt anchovy (Engraulis japonicus) sauce prepared by a novel technique
Pavan Kumar et al. Isolation of Crude Proteases from Freshwater Fishes Catla catla and Labeo rohita: Optimizing the Hydrolysis Conditions of Crude Proteases
JPH0767522A (ja) 水産物の品質劣化防止剤及び水産物の品質劣化防止方法
JPS5963144A (ja) ペ−スト状の蛋白質食品または蛋白質材料の製造方法
JPH0526457B2 (ja)
Apaza Utilization of Acid Whey as a Fermentation Aid to Process Fish Waste and Develop an Enriched Feed Ingredient
JP2936055B2 (ja) サンマの内臓由来のプロテアーゼおよび淡色調味料の製造方法
JPH0113828B2 (ja)
Jeong Characteristics of proteases from stomachless aquatic organisms