JPH0767349A - 電力を単一インバータ電源から複数の誘導負荷に分配する装置及びその方法 - Google Patents

電力を単一インバータ電源から複数の誘導負荷に分配する装置及びその方法

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JPH0767349A
JPH0767349A JP6049959A JP4995994A JPH0767349A JP H0767349 A JPH0767349 A JP H0767349A JP 6049959 A JP6049959 A JP 6049959A JP 4995994 A JP4995994 A JP 4995994A JP H0767349 A JPH0767349 A JP H0767349A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 単一インバータ電源から複数の誘導負荷に電
力を分配する装置において、電力の誘導負荷への切換え
時におけるオーバーシュート及びアンダーシュートの発
生を防止する。 【構成】 第1の切換サイクルにおいて、初期遅延時間
を予め設定し、各負荷10のオーバーシュート/アンダ
ーシュートの最大量を測定回路24で測定し、オーバー
シュート/アンダーシュートの補正のため各負荷に対す
る遅延時間調整値を決定し、この調整値をメモリ28に
格納し、第2の切換サイクルにおいて、インバータへの
切換え時又はその前に負荷に対する調整値をメモリ28
から引き出し、新規の遅延時間値を設定し、遅延時間発
生器20からインバータ16に駆動パルスを送り、負荷
切換回路22を介して所望の負荷10に電力を供給し、
オーバーシュート/アンダーシュートの発生を防止す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、単一インバータ電源か
らの電力を複数の誘導負荷に分配し、かつ複数の誘導負
荷への給電タイミングを制御する装置及び方法に関す
る。本発明は、負荷電圧及び負荷電流間の位相シフトを
変動させ、負荷間の切換え時に生じる電力出力のオーバ
ーシュート及び/又はアンダーシュートに応じて変動量
を選択的に調整する。本発明は、電力を複数の誘導炉又
は単一誘導負荷の複数領域に分配するのに特に有効であ
るがこれに限定されるものではない。
【0002】
【従来の技術】誘導加熱は、時変電磁界によって誘導さ
れる渦電流により名目的な導電体(即ち、装入金属)に
対して熱を生じさせるものである。一般に、装入金属は
液冷銅コイルにより囲繞された耐火るつぼからなる炉内
に配置される。50Hz〜60,000Hzの交流電流の形態
の電力が適当な電源から上記コイルに給電される。これ
によって、コイルの回りに交流の電磁界が発生する。コ
イルの回りの電磁界によって装入金属に誘導された渦電
流によって装入金属に熱が発生する。
【0003】高周波acを供給するための電源のひとつ
の形式に、シリコン制御整流器(SCR)のような高力
サイリスタ固体装置を用いた固体電力供給装置がある。
一般的な誘導加熱装置(例えば誘導炉)及びSCRを適
用した炉用インバータ電源のブロックダイアグラムが米
国特許第5,165,049号公報の図1及び2に図示
されている。
【0004】誘導炉は誘導負荷の一形式である。米国特
許第5,165,049号公報には、負荷の共振周波数
の絶え間ない変動及び周波数の厳密な同一化を回避する
ことの必要性に関する観点において、誘導負荷とインバ
ータ電源間のエネルギー伝達を最大とするため、両者の
共振周波数を整合する問題について記載されている。も
し周波数が同一化されると、電源は同特許公報にて説明
された理由によって短絡する。又、同公報に記載されて
いるように、負荷の共振周波数は絶えず変動する。例え
ば、炉内の装入金属の共振周波数は、組成の変動、加熱
及び冷却、るつぼへの金属の付加又は除去に伴い、変動
する。又、米国特許第5,165,049号公報には、
負荷の共振周波数に応じて負荷の電流及び電圧間の位相
差を変動させることにより電源及び負荷の同一周波数の
問題を解決する回路について開示されている。この回路
は、インバータにおける電流のゼロクロスをモニター
し、電力出力レベルが維持され、少なくとも最小移相φ
が負荷に伝達される電流及び電圧間に常時維持されるよ
うに、インバータSCRが駆動される前に、遅延時間を
発生する。このようにして、SCR駆動周波数(インバ
ータ周波数)は負荷の共振周波数とは常に異なるものと
される。
【0005】米国特許第5,165,049号公報に記
載されているように、インバータから炉に供給される電
力(電流はサイン波、電圧は矩形波と仮定し、理想的な
インバータ形式の電源の場合とする)は下記に等しい: P=(2/π)×(VIcosφ) (等式1) ここで、 V=インバータ電圧(=VDC:フル−ブリッジ・インバ
ータに対して) I=インバータ電流の振幅 φ=電圧及び電流間の移相又は位相角 0°及び90°間のφにおいて、φが増加すると炉に供
給される電力が減少する。φ=0のとき(即ち、cos
φ=1のとき)、最大電力が供給される。しかしなが
ら、米国特許第5,165,049号公報にて説明され
ているように、電源の短絡を回避するため、φがゼロに
なるのは許容されるべきではない。米国特許第5,16
5,049号公報の制御装置は、φをゼロから安全な間
隔をおいた値(即ち、上記の最小移相)に維持し、しか
しcosφができるだけ大きくなるようにできるだけゼ
ロに近づけ、これによって、可能な限り最大の電力供給
を確実なものとしている。
【0006】装入金属の組成、温度又は量が変動したと
きのように、負荷の共振周波数が変動したとき、米国特
許第5,165,049号公報の制御装置は、最大電力
を供給するため、位相角φを再調整してその最適値を維
持する。
【0007】図1(a)及び(b)は、異なった時間に
おける負荷電流の波形を説明するだけのために単純化さ
れた例を図示したものである。
【0008】図1(a)は、負荷の共振周波数が1Hz
である時間T1 を示している。位相角(すなわち、t0
におけるゼロクロスとt1 における駆動パルス間の遅延
時間)はφ1 である。この例では、φ1 は約36°であ
り(全サイクルは360°である)、約0.81(co
sφ=cos36°=0.81)の電力供給値を生ず
る。
【0009】図1(b)は、装入金属の変化(例えば、
組成、温度又は量)により負荷の共振周波数が2.0H
zに変化した場合の時間T2 を示している。実際には、
共振周波数の100%の変化は、同じ炉に関して短時間
内に発生することはあり得ない。又、そのような大きな
変化は、急激に変化する条件下においても幾つかの炉に
関しては発生することはない。しかしながら、位相角の
変動の影響に関する重要な点についてより良く説明する
ため、そのような大きな変化を仮定したものである。図
1(b)において、位相角φ2 は2倍の約72°であ
り、約0.31(cosφ=cos72°=0.31)
の電力供給値を生ずる。従って、位相角が再調整されな
いと、共振周波数の変動によって電力供給が低減する。
この場合には、最適電力供給効率が維持されるように位
相角を減少するべきである。負荷の変動により共振周波
数が減少する場合には、位相角があまりにもゼロの近く
に接近しすぎるのを避けるため、位相角を増大すべきで
ある。
【0010】米国特許第5,165,049号公報の制
御回路は、負荷の共振周波数が変動するに伴い、位相角
を増大又は減少するように機能し、これにより、最適電
力供給効率を維持する。一般に、この制御回路は、動作
フィードバックモードに固有の遅延時間のため、位相角
の調整を完了するために数個の波形サイクルを必要とす
る。例えば、より実際的な例において、炉の共振周波数
は、装入金属の追加により、1000Hzから1030
Hzに変動するかもしれない。3又は4サイクルの調整
遅れには3〜4ミリ秒かかるだけである。又、必要な位
相角は非常に僅かな量が変化されるのみなので、全時間
にわたる比較的安定し且つ最適な電力供給の維持に関し
て、概して、重大な問題に遭遇することはない。更に、
共振周波数の変動は恐らく徐々に発生する。例えば、装
入金属の追加又は除去、又は装入物の温度の変化に起因
する共振周波数の変動は、位相角調整回路の調整時間遅
れ又はラグタイムに比して、秒又は分の単位時間中に恐
らく発生する。要するに、単一インバータ/単一負荷の
構成においては、負荷の共振周波数の変動に関連する電
力供給の問題に遭遇することは殆どない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】米国特許第5,16
5,049号において、単一誘導負荷(例えば、単一の
炉)には単一インバータ電源から給電される。ときに
は、単一インバータ電源を複数の誘導負荷に、例えば
2、3個の炉又は区域暖房装置に接続することが要求さ
れる。これは、個別の電源から各誘導負荷に電力を供給
することに関連する費用を避けるためである。しかしな
がら、単一インバータ電源を複数の誘導負荷に切換える
ときに問題が生じる。各誘導負荷は恐らく遅かれ早かれ
ある時点において非常に異なった共振周波数を有するこ
とになるので、電源を新規の負荷に切換える度に、上記
の位相角は、(単一誘導負荷を使用したときの非常に小
さな調整量に比して)比較的大きな量の調整を絶えず行
なわなければならなくなる。更に、もし電源が、時間的
に重なるようにして一つの負荷から次の負荷に切換える
ことにより電力を分配する場合には、位相角調整が殆ど
同時に発生することになる。例えば図1(a)及び図1
(b)は、異なる時間における単一負荷の共振周波数の
変動を示す代わりに、時間的に重なるようにして連続的
に単一インバータ電源に接続された、非常に異なる共振
周波数を有する2つの異なった負荷を示すこともでき
る。
【0012】米国特許第5,165,049号の位相角
調整回路が、大きく異なる共振周波数を有する2つの異
なった負荷間で単一インバータ電源を切換えるために適
用されると、フィードバック動作に関連した固有の時間
遅れの結果、負荷に供給される電力に、切換え時毎に一
時的に大きなオーバーシュートもしくはアンダーシュー
トが生じる。最終的に位相角を回路により調整し新規の
負荷に対する電力供給を最適化したとしても、調整時間
は数波長サイクルに亙り、又、この時間は一時的な大き
な電力のオーバーシュートもしくはアンダーシュートが
発生するには十分な時間である。又、単一負荷の共振周
波数が変動したときにこのオーバーシュートもしくはア
ンダーシュートが発生したとしても、オーバーシュート
もしくはアンダーシュートの量は一般的に大したことは
ない(又、しばしば検知できないほど小さい)。これ
は、装入金属のパラメータの変化による位相角の変動が
通常非常に小さく、又、この変動が位相角調整回路のラ
グタイムに比して比較的長時間に亙り発生するからであ
る。
【0013】大きなオーバーシュートは回路の構成要素
に重大な損傷を与える可能性がある。又、大きなオーバ
ーシュート及びアンダーシュートは、電力供給効率の制
御不能且つ予期不能な変化もしくは変動を招来すること
により、複数の負荷への所望の電力分配を不正確なもの
とする。従って、単一インバータ電源の分配を複数の負
荷間で切換えることにより生じるオーバーシュート及び
アンダーシュートの量を低減する技術が要請されてい
る。又、米国特許第5,165,049号の現存する位
相角調整回路に関連したそのような機能を提供する必要
性も求められている。本発明はこれらの必要性を満たす
ものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、単一インバー
タ電源から出力された電力を複数の誘導負荷のうち少な
くともひとつの選択された負荷に切換える装置を提供す
る。各負荷はそれぞれ共振周波数を有する。インバータ
電源はインバータ出力スイッチを有し、予め選択された
調整可能な量の電力を出力することができる。この装置
は、時分割手法にてインバータ出力を複数の誘導負荷の
うちの選択された負荷に選択的に切換える負荷切換手段
と、インバータからの電力出力を測定し、且つある誘導
負荷から他の誘導負荷に切換えた時に発生する最大及び
最小過渡的電力値を検知する手段と、ある誘導負荷から
他の誘導負荷に切換えた時に遅延時間を開始し、且つ遅
延時間の予め選択された終了時を発生させ出力する、前
記負荷切換手段に接続された遅延時間源と、ある負荷か
ら他の負荷に切換える次の動作間に前記測定された最大
及び最小電力に応じて、次の最大及び最小値を小さくす
るために演算された量だけ前記遅延時間の予め選択され
た終了時を調整する手段とを具備する。前記遅延時間源
により出力された信号により前記インバータ出力スイッ
チをトリガーし前記インバータの電力出力を前記負荷切
換手段に供給し、選択された負荷に切換える。
【0015】また、本発明は、ある誘導負荷から他の誘
導負荷に切換えるときに発生する最大及び最小過渡的電
力値を減少する方法を提供する。
【0016】
【実施例】本発明は好適な実施例に関連して説明される
が、本発明がその実施例によって限定されないことを理
解すべきである。一方、上記特許請求の範囲により限定
されるような本発明の精神及び領域内に包含される変更
例、変形例及び同等例は全て含まれるものである。
【0017】米国特許第5,165,049号の図4及
び6には、SCR駆動パルスをトリガーする信号を出力
する遅延発生器を有する制御装置が図示されている。遅
延量は位相角に比例する。米国特許第5,165,04
9号の実施例において、遅延量は、予め設定されたしき
い値(即ち、しきい値制御電圧)まで充電されるタイミ
ング・キャパシタの時間の関数である。タイミング・キ
ャパシタが充電される時間が早ければ早いほど遅延量は
小さく、それはタイミング・キャパシタがより早く設定
しきい値に達するからである。米国特許第5,165,
049号の制御装置において、しきい値は外部から予め
設定される。キャパシタは、遅延発生器がSCR駆動パ
ルスをトリガーする信号を出力する前に、予め設定され
たしきい値に常に達していなければならない。前述のよ
うに、非常に異なった共振周波数を有する第2誘導負荷
がインバータ電源に接続されるのであれば、位相角は、
オーバーシュート又はアンダーシュートを防止するため
負荷の連続的切換えに対して正確且つ迅速に調整されね
ばならない。(米国特許第5,165,049号におけ
るタイミング・キャパシタの使用は、遅延時間を形成す
る単なる一方法に過ぎないことを認めるべきである。遅
延時間は、遅延パルスを発生させ、遅延パルスの予め選
択された数が検知されたときにSCR駆動パルスをトリ
ガーすることによっても形成することができる。)本発
明の一実施例において、位相角は、米国特許第5,16
5,049号公報に記載されたような遅延時間発生器の
しきい値もしくはしきい値制御電圧を変化させることに
より制御される。遅延時間は、しきい値制御電圧を調整
することにより、予期されるオーバーシュート量又はア
ンダーシュート量に応じて延長又は短縮することができ
る。例えば、炉1から炉2への切換えによって、それら
の共振周波数が異なるために、アンダーシュートが生じ
る場合、しきい値制御電圧が小さくなり、それによりS
CRの駆動の遅れを減少させ、次に炉1に関連する炉2
の位相角を小さくする。位相角が小さくなると、炉2に
供給される電力が増大し(遅延時間が小さくなると、位
相角φが小さくなり、そのため上記等式1のVIcos
φが大きくなる)、そのためアンダーシュート量が減少
する。最も重要なことは、米国特許第5,165,04
9号公報に記載されているように、しきい値制御電圧が
調整不能であれば、電力の増大がより迅速に発生するこ
とである。上記特許の位相角調整手法は、単一誘導負荷
に対しては完全に良好に作動するが、この手法が単一電
源/多誘導負荷環境に適用されたときにはオーバーシュ
ート又はアンダーシュートを発生する。本発明は、しき
い値調整手段を付加することによりそのような限界を克
服するものである。
【0018】図2(a)は、単一インバータ電源からの
電力を2つの誘導負荷が受けるときの時間関数としての
負荷電流を示すグラフである。誘導負荷は異なる共振周
波数を有している。この誇張された例において、負荷2
は負荷1の2倍の共振周波数を有している。本例の各負
荷は等しい電力量を受ける。従って、インバータ電源は
等しい周期(即ち、時間t1 〜時間t2 間=時間t2
時間t3 間、等)で負荷1及び負荷2間で切換わる。切
換点は時間t1 、時間t2 、時間t3 、等である。時間
0 は切換点ではなく、むしろ負荷1の電力サイクル間
の時間内のある時点である。
【0019】図2(b)は、図2(a)の2つの負荷が
連続的に受ける単一インバータ電源からの負荷電力を示
す時間に基ずくグラフである。図2(b)のインバータ
電源は、米国特許第5,165,049号公報の第4図
に記載されたような遅延時間発生器からの信号によって
起動される。米国特許第5,165,049号公報(特
に図4参照)に開示された位相角調整回路のみを採用し
たとき、該回路は連続的に位相角φを調整し、最適電力
供給を維持する。この例の場合、位相角はφ1(負荷1
が電源に切換えられた時の位相角)からφ2 (負荷2が
電源に切換えられた時の位相角)へと又はその逆に変化
する。この負荷間の切換えにより一時的な電力のオーバ
ーシュート及びアンダーシュートが発生する。時間t0
からt1においては、位相角調整回路がすでに作用して
最適位相角φ1 に設定し、又負荷1の共振周波数に大き
な変動がないことにより、安定した電力が負荷1に与え
られる。時間t1 において、電力が負荷1から負荷2に
切換えられる。負荷2は負荷1と異なる共振周波数を有
していることにより、負荷2は、上述の理由により異な
った位相角φ(この場合、より小さい位相角φ2 )を必
要とする。しかしながら、位相角調整回路がφ1 からφ
2 に調整する前に、複数のサイクルが発生するのため、
不要な一時的な電力のアンダーシュートが発生する。最
終的に、位相角調整回路が位相角をより高い共振周波数
に対応したφ2 に減少させ、電力は安定した状態に戻
る。時間t2 では、負荷2から負荷1に切換えられるこ
とにより、位相角φが負荷1に対する適切な値に未だ再
調整(即ち、φ2 からφ1 への再調整)されていないた
め、負荷1に不要なオーバーシュートが発生する。最終
的に再度、位相角調整回路によって位相角φが増大さ
れ、より低い共振周波数とされる。時間t3 では、時間
1 等と同様に、電力のアンダーシュートの影響が生ず
る。
【0020】要するに、切換えられる負荷の共振周波数
が非常に異なる場合には、米国特許第5,165,04
9号の回路によって設定された位相角φが、負荷切換点
にて最適となることは決してない。
【0021】図2(c)、図2(d)は、図2(a)の
負荷1及び負荷2間の切換えに対する時間の関数とし
て、それぞれ、負荷電力切換え及びSCRインバータ駆
動切換えパルスを示すグラフである。又、負荷電力切換
えにもSCRを採用しているので、負荷電力は各負荷切
換えSCRを入り切りする駆動パルスによって切換える
ことができる。図2(c)は各々の負荷切換えSCRを
オンする駆動パルスを示している。(同時に駆動パルス
は他の負荷をオフする。)切換えSCR駆動パルスは、
インバータ電流がゼロクロス(即ち、時間t1 、t2
3 等)するやいなや発生すべきである。電子要素の全
ての遅れ及びSCRがオンされる時間を考慮に入れた場
合、電流のゼロクロスの少し前には切換えSCRを駆動
する必要がある。尚、図2(c)は、そのような遅れに
遭遇しない理想的な状態を示している。
【0022】ゼロクロスが検知されると、各インバータ
SCRが駆動されるまでに短い時間が経過し、それによ
り、電力を適正な負荷に供給する各負荷スイッチにイン
バータ出力電力を供給する。この期間又は遅延時間は、
米国特許第5,165,049号にて開示された位相角
調整回路によるフィードバック制御によって調整され、
インバータ電源に接続された負荷に対して適正な所定の
位相角が得られる。こうして、遅延時間が位相角φを決
定する。
【0023】図2(c)は、負荷1及び負荷2間の切換
点に関連する電流のゼロクロスにおける駆動パルスを示
す。図2(d)は、ゼロクロス点に続く期間tX 及びt
y におけるインバータSCR駆動パルスを示す。こうし
て、インバータ駆動パルスは時間t1 +tx 、t2 +t
y 、t3 +tz 等に発生する。図2(a)乃至2(d)
から明らかなように、時間の長さは位相角φに比例す
る。尚、図2(d)は、負荷間の切換えに続くインバー
タ駆動パルスのみを示しているが、インバータ駆動パル
スはゼロクロス毎に続く周期で発生すると理解すべきで
ある。φ1 がφ2より大であるため、周期tx もty
り大でなければならないことも又明らかである。
【0024】図2(a)乃至図2(d)は、単一インバ
ータ電源が2つの負荷に切換えられる例を示している
が、インバータ電源が2つの以上の負荷に切換えられ得
ることも理解すべきである。従って、2つ以上の位相角
及び関連した遅延時間周期があることとなる。従って、
その場合図2(b)の負荷電力のグラフは、連続する負
荷間の各切換えに対する異なるオーバーシュート量及び
アンダーシュート量を示す。
【0025】図3は、図2(b)に図示されたオーバー
シュート及びアンダーシュートを低減させる回路のブロ
ックダイアグラムを示す。このブロックダイアグラム
は、負荷1、2、…、nにそれぞれ対応する誘導負荷1
1 、102 、…、10n を示している。各誘導負荷は
それぞれ対応する電力設定ポテンショメータ121 、1
2 、…、12n を備えている。作動時に、各電力設定
ポテンショメータは所望の電力レベルに設定される。電
力レベルは、アナログのポテンショメータ値をデジタル
値に変換し全電力を加算するインバータ電力設定器14
に送られる。電力設定器14は、必要であれば(例え
ば、もしポテンショメータによって設定される全電力が
インバータ電源の最大容量を超過する場合)、電力を測
定し、信号を発してインバータ電源16を適正なレベル
に設定する。電力設定器14は、ポテンショメータ値を
適用し、図4を参照して後述するパルス幅変調(PW
M)切換え装置に関連したタイミング周期を提供する。
【0026】インバータ16はどのようなインバータ源
でもよい。好適な形式のインバータが米国特許第5,1
65,049号公報の図4に示されている。インバータ
16は、パルス発生源から駆動パルスを受ける度に電力
を出力する。そのような発生源のひとつが米国特許第
5,165,049号公報の図4にブロックダイアグラ
ムの形態で示された回路であり、そこでは「Z−制御」
と称される。
【0027】そこに記載されているように、Z−制御回
路の遅延発生器は、タイミングキャパシタが所定のしき
い値もしくはしきい値制御電圧に到達したとき、駆動パ
ルスを出力する。Z−制御回路は、タイミングキャパシ
タの充電率を変化させることにより位相角を調整するこ
とが可能であり、又それによって、キャパシタが所定の
しきい値に到達する時間も調整可能であるが、遅延時間
発生器のしきい値又はしきい値制御電圧は固定されたま
まである。
【0028】本発明の図3には、遅延時間発生器20を
有するZ−制御回路18が示されている。一実施例にお
ける遅延時間発生器は、しきい値制御電圧を調整する本
発明の回路の能力を除いて、米国特許第5,165,0
49号の遅延時間発生器122を備えたZ−制御回路に
類似している。
【0029】再度図3の回路の作動において、インバー
タ16は、PWM手法に応じて出力電力を特定の負荷
1、2、又はnに送る負荷切換回路22にその出力電力
を供給する。又インバータ出力電力はオーバーシュート
/アンダーシュート測定回路24に供給される。この回
路24は出力電力値をモニターし、かつ第1切換サイク
ル間の切換点で発生する最大及び最小の過渡的電力値を
決定し、更にその値をプロセッサ26に送る。最大及び
最小の過渡的電力値は、電力設定器14により設定され
た電力量より大きいか又は少ない、負荷から得る電力量
を表わしている。従って、大きなオーバーシュート又は
アンダーシュートの存在は、所定の負荷に対する位相角
φが一時的に理想的、所望の値でないことを示してい
る。プロセッサ26は、その最大及び最小値から、その
負荷に対する理想的、所望の値を得る為にどれだけ位相
角φを調整すべきかを決定し、この情報を遅延時間値に
変換する。次に遅延時間値をプロセッサ26のメモリ・
レジスタ28に格納する。
【0030】次の切換サイクル間に、プロセッサ26は
特定のメモリ・レジスタ28から遅延時間値を取り出
し、その値をD/Aコンバータ30に出力する。D/A
コンバータ30はデジタル値をアナログ値(しきい値制
御電圧値)に変換し、その値を遅延時間発生器20に与
える。従って、図3の実施例にて、遅延時間値は、Z−
制御回路18の遅延時間発生器20のしきい値制御電圧
を示す。遅延時間発生器20は、切換点(常に電流のゼ
ロクロス点)とインバータSCRの駆動点との間の遅延
量を調整することによって、このアナログ信号に応答す
る。(米国特許第5165049号にて説明したよう
に、インバータSCRの駆動によって電力がインバータ
電源から負荷に流れる。)本発明の一実施例において、
しきい値制御電圧は下記の式に従って調整される、 Vnew =(Vold /2)×(1+P2 /P1 ) (等式2) ここで、Vold は当初の制御電圧 Vnew は次の誘導負荷に対する制御電圧 P1 は設定電力量、そして P2 はオーバーシュート又はアンダーシュートの電力量
である。P2 は、測定回路24にて、図2(b)に示す
ような電力レスポンス曲線をサンプリングすることによ
って決定される。等式2は、しきい値制御電圧を調整す
るための値を決定する為に採用されうる式の一例に過ぎ
ないことに留意すべきである。
【0031】等式2の演算は、続く負荷に切り換える第
1のサイクル間に実行され、これにより、メモリ・レジ
スタ28に格納される一連のしきい値制御電圧を得る。
尚、これは各負荷に対してひとつずつ有する。等式2
は、切り換えの連続したサイクル間において、必要とさ
れるときにのみ実施される。即ち、オーバーシュート又
はアンダーシュートが、特定の負荷の共振周波数が大き
く変動した場合に発生するような、Vnew の再演算を許
可するのに十分大きい時のみである。このしきい値制御
電圧はしきい値制御電圧域の中間のどこかに設定され、
常に固定されている。実際上は、負荷nから負荷1への
過渡時に対するしきい値制御電圧は演算されない。米国
特許第5165049号の図4に示すような一般的な遅
延時間発生器積分回路は約5Vから約15Vのしきい値
制御電圧域を備えている。このように、しきい値制御電
圧は約8Vに固定することができ、新規の値と置換し
て、負荷を1から2、2から3、…、及びnから戻って
1へ切り換えることができる。従って、n個の負荷に切
り換えるときには、n−1の異なったしきい値制御電圧
値があることとなる。
【0032】上記のように、プロセッサ26は、等式2
のVnew の制御電圧値を格納する為の1からn−1のレ
ジスタを有するメモリ28を含む。例えば、レジスタ1
は、制御電圧が負荷1から負荷2への切り換え時に10
Vに調整又は変動されるべきであることを示す10Vの
値を格納することができる。レジスタ2は、制御電圧が
負荷2から負荷3への切り換え時に7Vに変動されるべ
きであることを示す7Vを格納することができる、とい
う具合である。又、負荷が、負荷nから負荷1に切り換
えられるときには、当初の制御電圧が常に再格納され
る。
【0033】第1の切換サイクル間には、大きなオーバ
ーシュート及びアンダーシュートが発生したとしても、
制御電圧の調整はなされない点に留意すべきである。そ
の代わりに、これらのオーバーシュート及びアンダーシ
ュートは、後で発生するオーバーシュート及びアンダー
シュートを防止するため、その発生が許容され、測定さ
れ、制御電圧の適切な調整を演算するために使用され
る。
【0034】第1の切換サイクル間において、(即ち、
装置が最初に起動されたとき)、インバータ電源からの
出力電力は、電力設定ポテンショメータの設定を無視し
て、全電力の30%以下に低減される。この最初の低減
は、回路要素に重大な損傷を与える増幅オーバーシュー
トの発生を防止するために必要である。本発明の回路は
連続したオーバーシュートを低減するが、幾つかの回路
要素は、最大のインバータ出力において過度のオーバー
シュートを被った場合、作用しないことになる。電力を
大きく低減することによって、オーバーシュートの絶対
量を安全な限界内とし、比較的大きなパーセンテージの
オーバーシュートであっても回路要素に対して過度な電
力レベルを強いることはない。ある負荷から次の負荷に
切り換えることによって生じるオーバーシュート及びア
ンダーシュートの量はインバータ出力に比例する(即
ち、最大インバータ電力における50%の電力のオーバ
ーシュートは30%インバータ電力における50%の電
力のオーバーシュートとして現われる)ので、オーバー
シュート/アンダーシュート測定回路24は、それに応
じてその出力が加減され、適正な遅延時間を決定するた
めプロセッサ26によって実行される演算は絶対的な電
力設定による影響を受けない。
【0035】本発明の環境内において、単一インバータ
電源からの電力は、パルス幅変調(PWM)装置により
複数の負荷(例えば、複数の誘導炉)に分配される。電
源は、例えば各負荷のポテンショメータによって、増幅
変調され、所望の電力出力値を各負荷に対して供給す
る。電力はそれぞれの電力設定ポテンショメータ1
1、122 、…、又は12n によって各負荷に対して
個々に設定される。次に、各個々の電力設定ポテンショ
メータからの信号はマイクロコントローラによって加算
され、インバータ電源の電力設定信号を得る。このよう
に、インバータ電源の電力出力値は電源においては設定
若しくは調整されない。その代わり、負荷に関連した1
個以上の電力設定ポテンショメータを変動することによ
って設定もしくは調整される。各負荷に関連した電力設
定ポテンショメータ121 、122 、…、又は12n
全て同一であり、0%電力から100%電力への値を示
す電圧域内に設定することが可能である。
【0036】例えば、電力が負荷1に対して30%、負
荷2に対して40%と設定された場合、インバータはそ
の全電力量の70%(30+40=70)を供給する。
電力のパーセンテージが100%を超えた場合には、電
力値は各負荷に対して比例的に低減される。例えば、負
荷1が70%に設定され、負荷2が60%に設定された
場合には、実際の電力は、それぞれ、54%(70/
(70+60)=54)と、46%(60/(70+6
0)=46)に設定される。
【0037】インバータにより出力される全電力が設定
されると、PWM装置は、ポテンショメータの設定に比
例した周期で負荷に電力を分配する。上記の第1の例に
おいては、負荷1には時間の3/7が通電され、負荷2
には時間の4/7が通電される。このように、サイクル
時間が10秒の場合、負荷1は各サイクル時間の約4.
3秒間オンされ、約5.7秒間オフされる。同様に、負
荷2は各サイクル時間の約5.7秒間オンされ、約4.
3秒間オフされる。第2の例においては、負荷1は時間
の54%通電され、負荷2は時間の46%通電される。
【0038】図4は、単一インバータ電源が3台の炉間
で切り換えられるPWM装置に関連した波形およびゲー
トパルスを示している。このように、単一インバータ電
源からの電力は、前以て設定された時間に複数の負荷
(例えば、複数の誘導炉)間で切り換えることによっ
て、複数の炉に分配される。図示された例において、炉
1は10kWの電力を必要とし、炉2は20kWの電力
を必要とし、炉3は20kWの電力を必要としている。
このように、インバータ電源は50kWを供給するよう
に設定されている。本例の場合、インバータ電源はその
最大容量を超過していないので低減は必要とされない。
【0039】図4の例において、PWMは次のように実
行される。炉1に対するゲート可能信号は1サイクルの
1/5間オンされ、1サイクルの4/5間オフされる。
炉2に対するゲート可能信号は1サイクルの2/5間オ
ンされ、1サイクルの3/5間オフされる。最後に、炉
3に対するゲート可能信号は1サイクルの2/5間オン
され、1サイクルの3/5間オフされる。2つのゲート
可能信号が同時にオンされることはない。このようにし
て、インバータ電源は、3台の炉間で電力設定ポテンシ
ョメータによる所望の値に50kWを分割するために演
算されたパルス期間で特定の炉に切換えられる。例え
ば、t1 時には、電力は炉1から炉2に切換えられる。
2 時には、電力は炉2から炉3に切換えられる。t3
時には、電力は炉3から炉1に切換えられる、という具
合である。切換えはインバータ電流のゼロクロス(即
ち、インバータ電流がゼロの時)に発生する。ゼロクロ
ス検知器はインバータ電流がゼロのときに信号を発し、
切換えが発生する。
【0040】図4は、異なった共振周波数を有する炉に
ついて図示したものである。上述のように、炉の共振周
波数は、炉内の装入金属の組成、温度及び量のような多
くの要素によって変動する。
【0041】図5(a)は、図2(a)に示したような
同様の負荷に対する時間の関数としての負荷電流のグラ
フであり、本発明が電力オーバーシュート及びアンダー
シュート(即ち、切換えられる負荷が非常に異なる共振
周波数を有する時に、負荷切換点の位相角φを最適値に
迅速に設定することができないこと)の原因に対して対
処する手段について図示したものである。本発明によ
り、図5(b)に図示したのと同様に、オーバーシュー
ト及びアンダーシュートを実質的に無視できるレベルま
で低減することができる。
【0042】図5(c)及び5(d)は、図5(a)の
負荷1及び2間の切換えに対する負荷電力の切換え及び
SCRインバーター駆動切換えパルスを時間の関数とし
てそれぞれ示すグラフである。負荷電力の切換え(SC
Rの切換え)は図2(a)に示したのと同様な方法で行
なわれる。しかしながら、インバーターSCRは特定の
負荷の共振周波数に対して適切な時間に駆動される。従
って、図5(d)に示すように、インバーターSCR駆
動パルスはt1 +ty 、t2 +tx 、t3 +ty 等の時
間に発生する。本発明において、位相角調整時間は必要
とされない。位相角φは、図3のプロセッサ26による
決定に伴い、切換え時に即時に適切な値に設定される。
【0043】上述のように、適切な値は、第1の切換え
の間に発生するオーバーシュート及びアンダーシュート
を許容することによって決定される。第1の切換えの間
においては、インバータ出力電力がその最大電力の30
%以下に低減され、オーバーシュート及びアンダーシュ
ートの最大量を測定し、続く切換えサイクル間のオーバ
ーシュート又はアンダーシュートを防止するのに必要な
適切な遅延時間(即ち、位相角)を決定する。調整値
(各負荷に対する1つの調整値)は格納され、必要時に
取り出される。従って、図5(a)の負荷電流波が後方
に延長され、まさしくその第1切換えサイクルを示すと
すると、図2(a)に示したのと同様なアンダーシュー
トが、第1切換点の図5(b)の負荷電力グラフ内に存
在することになる。
【0044】上述の負荷切換えはインバータ電流の方向
切換え時のみに発生すべきである。このとき、全てのイ
ンダクタに蓄積されたエネルギーはゼロに等しくなり、
急な電流遮断に関連する電圧の乱高下はない。又インバ
ータ切換えも又、ゼロクロスパルスと同期化すべきであ
り、且つインバータ駆動パルスとインバータ電流のゼロ
クロス間の時間内にのみ許容され得るものである。
【0045】本発明が米国特許第5,165,049号
に開示された位相角調整回路に関連して採用された時、
この回路は、電力が負荷に与えられる間に、るつぼのパ
ラメータ(例えば、組成、温度、量)の変動による特定
の負荷の共振周波数の小さなドリフトに起因する位相角
調整を行なう働きをなすことを理解されたい。
【0046】図6は、PWM装置に関連したインバータ
ー出力電力及び期間が設定された後の本発明のステップ
を示す機能フローチャートである。
【0047】図7及び8は、オーバーシュート/アンダ
ーシュート値に応じた位相角調整回路の付加がどのよう
に電力に影響を与えるかを示したものである。
【0048】図7は、固定制御電圧を有する遅延時間発
生器により駆動される単一インバータ電源が炉1及び炉
2の形態の2つの誘導負荷間で切換えられるときの電力
を時間の関数として示したものである。炉2に関連した
炉1の共振周波数の差により切換点の近傍で大きなオー
バーシュート及びアンダーシュートが発生する。これら
のオーバーシュート及びアンダーシュートをはっきりと
見ることができる。
【0049】図8は、図7の同様な単一インバータ電力
が同期間に図7の同様な2台の誘導負荷間で切換えられ
るときの電力を時間の関数として示したものである。し
かしながら、図8において、オーバーシュート/アンダ
ーシュート値に対応する本発明の位相角調整回路を採用
した回路が本装置に付加されている。この実施例におい
て、位相調整は遅延時間発生器28の制御電圧を調整す
ることにより実行される。図8に示すように、図7に存
在するオーバーシュート及びアンダーシュートはそのよ
うな回路によって実質的に排除されている。
【0050】本発明は、上述のように、遅延時間がその
制御電圧を調整することにより調整される遅延時間発生
器28を採用した位相角調整回路に関連して説明され
た。しかしながら、本発明の範囲は決してそのようなア
ナログ的実行手段に限定されるものではない。本発明の
上述の実施例は次の意味で「アナログ的」と考えられ
る。即ち、可変制御電圧がキャパシタにチャージされる
しきい値電圧レベルを決定し、それにより遅延時間を調
整するからである。それとは逆に、本発明の範囲は、位
相角調整手段のデジタルマイクロプロセッサを利用した
手法をも含むものである。当業者には理解されるよう
に、上記のアナログ的手法はデジタルマイクロプロセッ
サ制御回路に容易に交換することができる。この制御回
路は、負荷切換点に関連したゼロクロスに続く、プログ
ラムされた周期でインバータSCRを駆動するようにプ
ログラムされる。従って、遅延時間発生器20は、デジ
タル的に遅延時間期間を変動するようにプログラムされ
たマイクロプロセッサに置換できる。
【0051】マイクロプロセッサは、理想的にはそのよ
うな時間−指向タスク(timing-oriented task) に適合
するものである。このような実施例においては、ゼロク
ロスとSCR駆動との間の周期に必要な時間調整を予め
少なくとも粗く決定しておき、オーバーシュート又はア
ンダーシュートの所定量を補正することが必要である。
事実上、この予め決定するステップは、上記の等式2の
制御電圧の結果を実際の遅延時間に関連づけることに相
当する。そのような値が分ると、マイクロプロセッサ
は、(a)切換えの第1サイクル間にオーバーシュート
及びアンダーシュートの測定値を受取り、(b)適切な
遅延時間周期を決定し、そして、(c)続く切換えのサ
イクル間にそのような周期を与えるようにプログラムす
ることができる。位相シフト調整手法をマイクロプロセ
ッサをベースとして実行することの1つの利点は、イン
バーターの周波数と負荷の共振周波数に関するマイクロ
プロセッサの高作動周波数により、マイクロプロセッサ
が上記のステップ(a)から(c)を連続的に実行する
ことが可能となり、それにより、サイクル毎に小さな位
相シフト調整をすることができることである。従って、
マイクロプロセッサはオーバーシュート及びアンダーシ
ュートに対する負荷電力を連続的にモニターすることが
でき、又遅延時間周期を適切に調整することができる。
【0052】マイクロプロセッサをベースとした実施態
様は、遅延時間周期が負荷1に対して固定され、又負荷
2、3、…、nに対して演算格納された値を用いた異な
った値に変更することができる上述の実施例と同様であ
る。このように、マイクロプロセッサは各負荷に対する
実際上の遅延時間周期を格納でき、インバーター出力電
力を受け取る負荷の切換え時に、遅延時間周期を各負荷
に関連した新規の周期と置換できる。
【0053】制御電圧制御の実施態様又はマイクロプロ
セッサをベースとした実施態様のいずれを採用するとき
にも、遅延時間情報が、次の電流のゼロクロスの前でか
つインバータSCRの駆動に続く時間により制限される
期間にのみ、遅延時間発生器に取り込まれることは重要
である。この取り込みは、ゼロクロスの後とインバータ
ーSCRの駆動の前との期間により形成される期間内に
発生してはならない。というのはこの期間が、前以て取
り込まれた遅延時間期間によって制御され、インバータ
ーSCRの駆動まで消去もしくは変更されてはならない
からである。
【0054】また、全体のZ−制御回路18は本発明に
必要な特徴部でないことを認めるべきである。その回路
の遅延時間発生機能を与えることのみが必要である。従
って、マイクロプセッサにより実行される実施態様で
は、インバータSCRの駆動を遅延する遅延時間の発生
を除き、Z−制御回路18の特徴部は省略されるか又は
マイクロプロセッサ自身によって与えられる。
【0055】上述された新規の制御装置及び方法によっ
て従来技術により企図されたことのない大きな利点を得
ることができる。特に、その装置及び方法によって、連
続した負荷間の敏速な切換えによって招来される負荷電
力のオーバーシュート及びアンダーシュートを最小化し
つつ、パルス幅変調手法により単一インバータ電源を複
数の誘導負荷にあたえることが可能となる。
【0056】本発明は、その精神及び本質的な属性から
逸脱することなく他の特定の形態に実施することがで
き、従ってその基準は、本発明の範囲を示すものとして
上述の詳細な説明よりはむしろの上記の特許請求の範囲
とすべきである。
【0057】
【発明の効果】本発明による単一インバータ電源からの
電力を複数の誘導負荷に分配する装置及びその方法は、
上記において詳細に説明したように構成されたことによ
り、誘導負荷の切換時に発生するオーバーシュート及び
/又はアンダーシュートを実質的に無視できるレベルま
で低減することができ、オーバーシュートによる装置の
制御回路の損傷を防止することができ、又オーバーシュ
ート及びアンダーシュートによる電力供給効率の不安定
化をなくし、複数の負荷への電力を所望通りに分配する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なった共振周波数の負荷の負荷電流波形を示
すグラフである。
【図2】単一インバータ電源からの電力を受け取る2つ
の誘導負荷における負荷電流を時間の関数として示すグ
ラフ(a)、グラフ(a)の2つの誘導負荷に対する固
定されたしきい値制御電圧値を有する遅延時間発生器に
より駆動される単一インバータ電源からの負荷電力を示
すグラフ(b)、グラフ(a)の負荷1及び負荷2を切
換えるための負荷電力切換駆動パルスを示すグラフ
(c)、及びグラフ(a)の負荷1及び負荷2を切換え
るためのSCRインバータ切換駆動パルスを示すグラフ
(d)を関連付けて示したものである。
【図3】本発明のブロックダイアグラムである。
【図4】電力を単一インバータ電源から複数の負荷に分
配するためのパルス幅変調手法を示すグラフである。
【図5】単一インバータ電源からの電力を受け取る2つ
の誘導負荷における負荷電流を時間の関数として示すグ
ラフ(a)、グラフ(a)の2つの誘導負荷に対する調
整可能なしきい値制御電圧値を有する遅延時間発生器に
より駆動される単一インバータ電源からの負荷電力を示
すグラフ(b)、グラフ(a)の負荷1及び負荷2を切
換えるための負荷電力切換駆動パルスを示すグラフ
(c)、及びグラフ(a)の負荷1及び負荷2を切換え
るためのSCRインバータ切換駆動パルスを示すグラフ
(d)を関連付けて示したものである。
【図6】本発明の位相角調整手法のステップを示す機能
のフローチャートである。
【図7】本発明の位相角調整手法を取り入れずに本発明
の切換回路を採用した時の電力波形を示すグラフであ
る。
【図8】本発明の切換回路及び本発明の位相角調整手法
を採用した時の電力波形を示すグラフである。
【符号の説明】
10 負荷 16 単一インバータ電源 20 遅延時間源 22 負荷切換手段 24 オーバーシュート/アンダーシュート測定回路 26 プロセッサ 28 メモリ・レジスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シメオン ズィー ロットマン アメリカ合衆国 ニュージャージー州 07631 イングルウッド マラード コー ト 26 (72)発明者 ウォルター ピー ガズジック アメリカ合衆国 ペンシルバニア州 18940 ニュータウン イーグル ロード 770

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力をパルス幅変調手法によって単一イ
    ンバータ電源出力から複数の誘導負荷に切換える方法で
    あって、前記各誘導負荷は対応の共振周波数を有し、前
    記インバータ電源は設定電力量を出力するために設定さ
    れ、 (a)第1の切換えサイクルの間に、 (i) 各負荷が前記インバーター電源の電力を受けるため
    切換えられた時と、前記インバータ電源がトリガーされ
    実際に電力を与える時との間の時間を表す初期遅延時間
    値を予め設定し、 (ii)次の負荷への切換え時に発生するオーバーシュート
    及び/又はアンダーシュートの最大量を測定し、前記オ
    ーバーシュート及び/又はアンダーシュートは、前記負
    荷にて得られる、前記インバータにより前記負荷に出力
    する設定電力量より大きいか又は小さい電力量を表し、 (iii) 各負荷に対して前記オーバーシュート及びアンダ
    ーシュートを補正する遅延時間値を決定し、 (iV)各負荷に対する前記遅延時間値をメモリに取り込
    み、 (b)次の切換えサイクルの間に、 (i) 各負荷の切換え時に前記遅延時間値を取り出し、前
    記インバータ電源の電力を受け取るために、 (ii)各負荷に対する前記遅延時間値を用いた新規の遅延
    時間値を設定し、それにより次のオーバーシュート量及
    び/又はアンダーシュート量を低減する、上記各ステッ
    プを有することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 単一インバータ電源(16)の出力から
    の電力を複数の誘導負荷(10)の少なくともひとつの
    選択された負荷に切換えるための制御装置であって、各
    誘導負荷はそれぞれ共振周波数を有し、前記インバータ
    電源はインバータ出力スイッチを有し、且つ予め選択さ
    れた量の電力を出力するために調整可能であり、 (a)時分割手法にて前記インバータ出力を前記複数の
    誘導負荷のうち選択された誘導負荷に選択的に切換える
    負荷切換手段(22)と、 (b)前記インバータからの電力出力を測定し、且つあ
    る誘導負荷から他の誘導負荷に切換える時に発生する最
    大及び最小過渡的電力値を検知する手段(24)と、 (c)ある誘導負荷から他の誘導負荷に切換える時に遅
    延時間を開始し、該遅延時間の予め選択された終了時に
    信号を発生し且つ出力する、前記負荷切換手段に接続さ
    れた遅延時間源(20)とを有し、前記信号は前記イン
    バータ出力スイッチをトリガーし前記インバータの電力
    出力を前記負荷切換手段に供給して前記選択された負荷
    に切換え、また、 (d)ある負荷から他の負荷への次の切換動作時に、測
    定された最大及び最小電力に応じて計算された量だけ前
    記遅延時間の選択された終了時間を調整して次の最大値
    及び最小値を低減する手段(26)を有することを特徴
    とする制御装置。
  3. 【請求項3】 (e)連続した誘導負荷(10)への切
    換えに関連した最大値及び最小値に基づいて個々の遅延
    時間終了値を格納する手段(28)を有し、前記遅延時
    間は、続く各誘導負荷への切換時に、個々の格納値に応
    じて個々に与えられることを特徴とする請求項2の制御
    装置。
  4. 【請求項4】 前記遅延時間源(20)は制御電圧値を
    有し、前記遅延時間源は制御電圧値を得た時に前記トリ
    ガー信号を発生し且つ出力し、前記遅延時間値は前記制
    御電圧値であり、前記制御電圧値は原制御電圧値及び各
    誘導負荷に関連した値を有することを特徴とする請求項
    3の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記制御電圧値は公式Vnew =(Vold
    /2)×(1+P2/P1 )に従って決定され、該公式
    にてVold は原制御電圧であり、Vnew は続く誘導負荷
    に対する制御電圧であり、P1 はインバータ電源の設定
    電力量であり、P2 はオーバーシュート又はアンダーシ
    ュートの電力量であることを特徴とする請求項4の制御
    装置。
  6. 【請求項6】 前記公式の式は次の負荷に切換える第1
    のサイクル間に実施され、且つ前記電力出力測定手段が
    予め選択された範囲外の最大及び最小過渡的電力値を検
    知した時のみ続いて実施されることを特徴とする請求項
    5の制御装置。
  7. 【請求項7】 (f)制御電圧を表す値を格納するメモ
    リ(28)を有し、前記値は新規の電圧値が決定される
    度に前記メモリ内にて更新されることを特徴とする請求
    項6の制御装置。
  8. 【請求項8】 (f)制御電圧を表す値を格納するメモ
    リ(28)を有し、前記値は新規の電圧値が決定される
    度に前記メモリ内にて更新されることを特徴とする請求
    項5の制御装置。
  9. 【請求項9】 前記負荷のうちのある負荷に対する電圧
    は予め選択された固定値で固定され、制御電圧値は、そ
    れぞれの誘導電圧に関連した値に応じて前記負荷のうち
    の他の電圧に対して変動することを特徴とする請求項4
    の制御装置。
  10. 【請求項10】 前記負荷のうちのある負荷に対する遅
    延時間は固定され、前記負荷のうちの他の負荷に対する
    遅延時間は前記固定された時間から調整されることを特
    徴とする請求項3の制御装置。
  11. 【請求項11】 複数の誘導負荷は複数の誘導炉か単一
    誘導負荷の複数領域のいずれかを含むことを特徴とする
    請求項2の制御装置。
  12. 【請求項12】 (e)前記誘導負荷切換手段に接続さ
    れたインバータの電流のゼロクロスを検知する手段を有
    し、前記誘導負荷切換手段がインバータの電流のゼロク
    ロスで切換えることを特徴とする請求項2の制御装置。
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