JPH0765U - 釣用道糸 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】魚釣、特に鮎の友釣りに使用する道糸で、高強
度金属極細線のみでヨッたものでは、取扱時にどうして
もキンクが出来やすいという欠点がある。直線形状記憶
合金（超弾性）極細線をセンターに一本入れることによ
り、このキンクを押さえ、取扱を容易にすることが目的
である。 【構成】センター（芯）に直径０．０２ｍｍの直線形状
記憶合金（超弾性）極細線を入れ外側を０．０１８ｍｍ
の高強度金属極細線でヨリ合わせ、最終的に表面に樹脂
コーティングをして仕上げた。サイズに関しては、希望
する太さに応じて線形を変えていけばよい。例えば、糸
号数を０．３号にしたいのなら、その標準線径は０．０
９ｍｍであるから、ヨリ合わすそれぞれの極細線は０．
０３ｍｍのものを７本（内一本は直線形状記憶合金（超
弾性））ヨリ合わせばよい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、釣用道糸、特に鮎の友釣り用道糸として、近年実用化され盛んに使 用されている高強度極細線釣用道糸に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

成長した鮎は、水中の石や岩の表面に附着した桂藻をエサとしている。このエ サ場を守るため、その石を中心にして約１ｍ^２程度の縄張りを作りそこ へ侵 入してきた他の鮎を追い払おうとして猛然と体当たりをしていく。この習 性を 利用した釣が「鮎の友釣り」である。 縄張りをもった鮎は、そこに侵入してきた他の鮎が、自分のエサ場を荒らされ る心配のない弱った鮎や、不自然な泳ぎをする鮎には見向きもしないで就餌活 動を続ける。それ故鮎の友釣りでは、元気で自然に泳ぐオトリが必要である。 そのためには道糸は出来るだけ細く水の抵抗の小さな物がよい。そこで考えだ されたのが、高強度金属極細線やその他の高強度繊維をヨリ合わせた高強度極 細線釣用道糸である。 この道糸は、現在普通に使われているナイロン又はテトロン系道糸の約２〜３ 倍の強度があるため、１／２〜１／３の太さでよい。又金属道糸の場合は、比 重がナイロンに比べて約６倍と重いため、今までオモリを使わなければ入らな かった、流れの急な荒瀬に容易にオトリを沈めることが出来る。しかし、この 高強度極細線釣用道糸にも欠点がある。それはキンクに弱く、取扱に細心の注 意が必要なことである。 従来の高強度極細線釣用道糸は、図５に見るように、同じ高強度金属極細線を ヨリ合わせたものか、図６のようにポリエステル系又はアラミド系の高強度繊 維と高強度金属極細線をヨリ合せた複合で、共に表面に樹脂コーティングを行 って、ヨリ癖を防いだり、収束性を強めている。しかし、キンクに対する対策 としては何もなされていない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術でも述べたように、高強度金属極細線釣用道糸は、キンクに弱く、 取扱い方次第でヨジレが入りキンク切れを起こす。オトリを付けて“さあこれ から”という時に、何もしないで断線していた、と言うこともよくある。普通 金属は遡性変形しやすく、キンクをうまく解消できたとしても、折れ癖が残り 強度劣化を起こしていると考えられる。他の高強度繊維との複合の場合でも、 高強度繊維そのものには復元力があるわけではなく、ヨジレる、もつれる点で は、取扱上の注意以外に対策がないといえる。 本考案では、直線形状記憶合金（超弾性）の持つ直線保持性を利用して、この キンク切れを解消しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

高強度金属極細線又は、その他の高強度繊維のセンターに、直線形状記憶合金 （超弾性）極細線を入れ、芯にしてヨリ合わせる、又は高強度金属極細線又は その他の高強度繊維と直線形状記憶合金（超弾性）極細線を交互に配して、直 線形状記憶合金（超弾性）極細線をセンターに入れ芯にしてヨリ合わせて極細 ロープにした釣用道糸。

【０００５】

【作用】

高強度極細線釣用道糸を、鮎の友釣り用の糸として使用するメリットは、普通 使用されているナイロン又はテトロン系道糸の２〜３倍の強度があるため、よ り細糸の使用が出来、水の抵抗が少なく、より元気に、より自然にオトリが泳 いでくれる点であるが、一方取扱に慣れていないと、ヨジレを作り、キンク切 れのトラブルが起こる。 本考案の場合、ヨジレが出来にくく、かりに出来たとしても軽いものなら、軽 く引っ張ればヨリは戻ってくれてキンクにならずに済む。表面に樹脂コーティ ングを施すことにより、さらに顕著にこの効果が確認できた。

【０００６】

【実施例】 図１が今回実際に製作した実施例である。本考案では、より細い道糸での効果 を確認するため、実際の釣り糸としては、極限に近い細い部類である０．１号 相当を想定して、センター（芯）に入れる直線形状記憶合金（超弾性）極細線 を０．０２ｍｍにし、外側に０．０１８ｍｍの高強度金属極細線６本をヨリ合 わせて直径０．０５６ｍｍの極細ロープを作り、最終的に表面に樹脂コーティ ングを行っ。た結果は良好で、通常の使用中に入る２〜３回の軽いカールなら 軽く引っ張っただけで解消してくれ、高強度金属極細線のみの製品だと残って いた折れ癖なども残らなくなった。 実施例としては、０．１号（ナイロンテグス号数標準線径０．０５４ｍｍ）の みで説明したが、太径になればなる程より直線形状記憶合金（超弾性）の効果 も大きくなり、よりメリットは出てくる。 図２は、センター（芯）に直線形状記憶合金（超弾性）極細線を入れ高強度金 属極細線とアラミド系高強度繊維を外側に交互にヨリ合わせた複合ロープであ るが、この場合でも同様の効果が得られる。 図３は、センター（芯）に直線形状記憶合金（超弾性）極細線を一本ごとに交 互にヨリ合わせたものである。この場合は、効果としてはよリ一層大きくなる が、強度面ではややマイナスになる。 図４は、センター（芯）に直線形状記憶合金（超弾性）極細線を入れ、外側を アラミド系高強度繊維でヨリ合わせたものである。 図２〜図４までの各種の極細ロープも、表面には樹脂コーティングを行うこと は言うまでもない。いずれの場合も、取扱は平易になり、キンクぎれが減少し た。

【０００７】

【考案の効果】

直線形状記憶合金（超弾性）は、伸び率が７〜８％も有るため、弾性変形域以 内なら、どんな形に変形させても直線に戻ろうとする性質がある。つまり、少 々乱暴に扱ってもヨジレでキンクになったり、もつれたりする率はたいへん少 ない。本考案のように、直線形状記憶合金（超弾性）極細線をセンターに入れ 芯にして、他の高強度金属極細線や高強度繊維をヨリ合わせて釣用道糸を作る ことによってしなやかさを損なわず、強度も落とさず、キンクになりにくい扱 いやすいものになった。

【図面の簡単な説明】

図１は、センター（芯）に直線形状記憶合金（超弾性）
極細線を入れ、外側に高強度金属極細線を用いてヨリ合
わせた斜視図。図２は、センター（芯）に直線形状記憶
合金（超弾性）極細線を入れ、外側に高強度金属極細線
とその他の高強度繊維とを交互にヨリ合わせた斜視図。
図３は、センター（芯）に直線形状記憶合金（超弾性）
極細線を入れ、外側に同じ直線形状記憶合金（超弾性）
極細線と高強度金属極細線とを交互にヨリ合わせた斜視
図。図４は、センター（芯）に直線形状記憶合金（超弾
性）極細線を入れ、外側にその他の高強度繊維を用いて
ヨリ合わせた斜視図。図５は、高強度金属極細線のみで
ヨリ合わせた斜視図。図６は、高強度金属極細線をセン
ターに入れ、外側に同じ高強度金属極細線とその他の高
強度繊維とをヨリ合わせた斜視図。

【符号の説明】 ………直線形状記憶合金（超弾性）極細線 ………高強度金属極細線 ………その他の高強度繊維

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｄ０７Ｂ 1/06 Ｚ // Ｃ２２Ｃ 19/03 Ａ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】高強度金属極細線又はその他の高強度繊維
   のセンターに直線形状記憶合金（超弾性）極細線を入
   れ、芯にしてヨリ合わせる、又は、高強度金属極細線又
   はその他の高強度繊維と直線形状記憶合金（超弾性）極
   細線を交互に配して直線形状記憶合金（超弾性）極細線
   をセンターに入れ芯にしてヨリ合わせて極細ロープにし
   た釣用道糸。