JPH0765582B2 - 液封式ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は真空ポンプ又は圧縮機として使用される液封式
ポンプに関するものであり、更に詳細には気液の逆流防
止用のボールを備えた液封式ポンプに関するものであ
る。

（従来の技術） ポート壁の外側にボールホルダを取付け、その内部に吐
出ポートからケーシング内への気体の逆流を防止するボ
ールを収納した液封式ポンプは従来から知られている。
この種の液封式ポンプにおいては、ポート壁に外側から
裏面に貫通しないタップ孔を形成し、このタップ孔にボ
ールホルダ固定用のボルトをねじ込んでボールホルダを
固定したものが普通である。しかしポート壁が鋳鉄材で
ある場合には、封液による腐食や異種金属接続による電
解腐食が生じ易く、これらの腐食が0.5mm程度以上進行
するとねじ山のかかりが無くなりねじの機能が失われ、
ボールホルダが脱落する危険があった。これらのボルト
締結用のタップはポート壁で隔てた空間の気密を保つた
めに裏面に貫通しないタップ孔とする必要があるが、ポ
ート壁に耐食性に優れたセラミックスを使用した場合に
は、研削加工が必要であり、タップ孔の形成はほとんど
不可能であった。

またねじのような小さな凹凸形状は、セラミックスのよ
うなチッピングが生じやすいいわゆるぜい性材料には向
いていない。

更に特開昭56−106091号公報にはポンプ室が対をなす液
封式ポンプにおけるボールホルダの特殊な取付け法が示
されているが、構造が複雑であり一般の液封式ポンプに
おいては実用性に乏しいものであった。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は上記したような従来の問題点を解決して、構造
が簡単で腐食によるトラブルがなく、しかもポート壁を
セラミックス製とした場合にも容易に製造ができる逆流
防止機能付きの液封式ポンプを提供するために完成され
たものである。

（課題を解決するための手段） 上記の課題は、ポート壁の外側にボールホルダを取付
け、その内部に吐出ポートからケーシング内への気液の
逆流を防止するボールを収納した液封式ポンプにおい
て、セラミックス製のポート壁にケーシング内部側が拡
径した貫通孔を形成し、頭部が拡径した耐食樹脂製のボ
ルトをこの貫通孔に通してその頭部を貫通孔に溶着さ
せ、その軸部によりボールホルダを固定したことを特徴
とする液封式ポンプによって解決することができる。

（実施例） 以下に本発明を図示の実施例によって更に詳細に説明す
る。

まず第１図と第２図によって実施例の液封式ポンプの全
体構造を説明すると、（１）はケーシング、（２）はこ
のケーシング（１）の内部の偏心位置に支持された羽根
車、（３）はその回転軸である。（４）は羽根車（２）
に対向させて設けられたポート壁であり、本実施例では
ケーシング（１）、羽根車（２）、ポート壁（４）はす
べて耐食性に優れたセラミックスにより構成されてい
る。第２図に示されているように、ポート壁（４）の外
側、即ちケーシング（１）とは反対側の部分は吸入ポー
ト室（５）と吐出ポート室（６）と気液分離室（７）と
に３分割され、これに対応させてポート壁（４）には吸
入ポート（８）と吐出ポート（９）が透設されている。

このようなポート壁（４）の外側にはボールホルダ（1
0）がポート壁（４）と平行に取付けられている。第３
図に拡大して示したように、ボールホルダ（10）を取付
けるには、ポート壁（４）にケーシング内部側が拡径し
た貫通孔（11）を形成し、この貫通孔（11）内にケーシ
ング（１）側からふっ素系樹脂等の耐食樹脂製のボルト
（12）を通す。実施例の貫通孔（11）の拡径部は第３
図、第４図のように軸方向の断面が円弧状とし、ボルト
（12）の頭部（13）はこれに対応する形状とされてい
る。また貫通孔（11）の拡径部の内面は鋳放し面のまま
とし、樹脂製のボルト（12）の頭部を溶着させてある。
このようにしてポート壁（４）を貫通させて樹脂製のボ
ルト（12）を通し、その軸部（14）によりボールホルダ
（10）を第３図のとおり固定する。ボールホルダ（10）
の内部にはボール（15）が移動自在に収納されており、
吐出ポート（９）へ気液が逆流しようとするときには吐
出ポート（９）の表面にボール（15）が密着し、逆流を
防止する。ポート壁（４）で隔てた空間の気密は、ボル
ト（12）の頭部（13）で圧着され、得られる。

このほか、ボルト（12）の軸部（14）を利用してボール
ホルダ（10）を固定するにはナットによるのが普通であ
るが、ボルト（12）の軸端部をかしめてボールホルダ
（10）を固定することもできる。なお本発明の液封式ポ
ンプではねじ締結に比べ、ボルト締結による荷重がセラ
ミックス材に均一に加わるため、ぜい性破壊をまねく応
力集中を回避できた。

（作用） このように構成された本発明の液封式ポンプは、ポート
壁（４）の外側に取付けられたボールホルダ（10）の内
部のボール（15）が吐出ポート（９）の表面に対して接
離してケーシング（１）内への気液の逆流を防止するこ
とは従来のこの種の還流機構付きの液封式ポンプと同様
である。

しかし本発明においては、頭部（13）が拡径した樹脂製
のボルト（12）によってボールホルダ（10）がセラミッ
クス製のポート壁（４）に取り付けられているので、両
者間には一定の面圧が作用し、しかもボルト（12）の頭
部（13）を貫通孔（11）の拡径部に溶着させてあるの
で、貫通孔（11）を利用してボルト（12）を通している
にもかかわらず洩れが生ずることがない。またこのよう
な貫通孔（11）は従来のタップ孔とは異なりセラミック
材に対しても容易に形成することができ、加工効率が良
い。しかも耐食樹脂製のボルト（12）を使用しているの
で腐食しにくいうえ、万一腐食が生じた場合にもねじ締
結に比べ大きな抜け止めとなっているため、ボールホル
ダ（10）の脱落の危険が無く、ボルト（12）を締め直す
ことによりその頭部（13）と貫通孔（11）の拡径部とを
容易に密着させることができる。

（発明の効果） 以上に説明したように、本発明の液封式ポンプは構造が
簡単であること、腐食によるトラブルのおそれがないこ
と、セラミックス製のポート壁に対する加工が容易であ
り、ポート壁の応力集中も回避できたこと、しかも従来
品と同様の確実な逆流防止効果が得られること等の多く
の利点を有するものである。

よって本発明は従来の問題点を一掃した液封式ポンプと
して、産業の発展に寄与するところは極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例を示す一部切欠正面図、第２図は一部切
欠右側面図、第３図は要部の拡大断面図、第４図は要部
の一部切欠斜視図である。 （１）：ケーシング、（４）：ポート壁、（９）：吐出
ポート、（10）：ボールホルダ、（11）：貫通孔、（1
2）：ボルト、（13）：頭部、（14）：軸部、（15）：
ボール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ポート壁（４）の外側にボールホルダ（1
   0）を取付け、その内部に吐出ポート（９）からケーシ
   ング（１）内への気液の逆流を防止するボール（15）を
   収納した液封式ポンプにおいて、セラミックス製のポー
   ト壁（４）にケーシング内部側が拡径した貫通孔（11）
   を形成し、頭部（13）が拡径した耐食樹脂製のボルト
   （12）をこの貫通孔（11）に通してその頭部（13）を貫
   通孔（11）に溶着させ、その軸部（14）によりボールホ
   ルダ（10）を固定したことを特徴とする液封式ポンプ。