JPH076427A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JPH076427A
JPH076427A JP14926693A JP14926693A JPH076427A JP H076427 A JPH076427 A JP H076427A JP 14926693 A JP14926693 A JP 14926693A JP 14926693 A JP14926693 A JP 14926693A JP H076427 A JPH076427 A JP H076427A
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JP14926693A
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English (en)
Inventor
Takumi Shimamori
巧美 島守
Yoko Ikeda
陽子 池田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 600nm以下の波長に対応した高記録密度
の光磁気記録媒体を提供することを目的とする。 【構成】 基板上に少なくとも、光磁気記録層、反射層
を有する光磁気記録媒体において、光磁気記録層をキュ
リー温度が220℃以上のものとし、かつ反射層を以下
の元素群の中の少なくとも1種を含有するAg合金とし
たことを特徴とする光磁気記録媒体。 元素群:V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、N
b、Mo、Ta、W

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱磁気記録と磁気光学効
果を用いて光により情報の記録・再生を行う光磁気記録
媒体、及びそれを用いた光情報記録再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報量の飛躍的な増大に伴い、情
報記録媒体に対する記録密度向上の要求が高まってい
る。光ディスクは記録密度が高い上に、ランダムアクセ
ス性、可搬性に優れている。特に光磁気ディスクは繰り
返し記録が可能で、信頼性にも優れるため、コンピュー
タ用外部記憶装置、録音装置の記録媒体として既に商品
化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在商品化されている
光磁気ディスクの記憶容量は直径5.25インチのディ
スク片面当り300メガバイト(MByte)程度であ
る。これを1ギガバイト(GByte)程度まで高める
ために、トラックピッチを短くすることや記録信号の変
調方式を変更することが提案されており、実用化の目処
が立ちつつある。
【0004】しかしながら、現行技術の範囲内で記録密
度を更に向上させるのは、記録密度が既に理論的な限界
に近づいていることから不可能であると言わざるを得な
い。光ディスクにおける記録密度の理論的限界を決定す
るのは記録再生に使われるレーザ光の集光スポットの大
きさである。従って更に記録密度を高めるためにはレー
ザ光のスポットをより小さく絞ることが不可欠である。
レーザ光のスポット径dは使用するレーザ光の波長λと
対物レンズの開口数NAにより次式(1)で表される。
【0005】ただし、kはレンズの開口形状、入射光束
の強度分布によって決まる定数である。
【0006】
【数1】d=k・λ/NA ・・・(1) レーザ光のスポット径dを小さくするためには、波長λ
の短い光源を用いること、及び開口数NAの大きな対物
レンズを用いることが必要である。レンズの開口数を大
きくすると、焦点深度が浅くなり、またディスクの傾き
や基板の厚みむらに対する許容度が急激に低下してしま
うため、光ヘッドのサーボ能力が低下してしまう。
【0007】従って、レンズの開口数は現行の0.55
程度よりさほど大きくすることはできない。よって、レ
ーザ光のスポット径を小さくして記録密度を向上させる
ためには、光ヘッドの光源として現行の830nm、7
80nmよりも短い波長の光源を使用することが不可欠
である。光磁気ディスクの再生信号の品質を支配するの
は反射率と磁気カー回転角であり、より具体的には反射
率の平方根と磁気カー回転角との積という形で表され
る。これを性能係数と呼ぶこととする。
【0008】現在商品化されている光磁気ディスクの記
録層としては、TbFeCoに代表される重希土類−遷
移金属アモルファス合金が使われている。これら合金の
性能係数は現行光磁気ディスクドライブのレーザ光の波
長800nm程度では比較的大きな値を示すが、光の波
長が短くなって600nm以下になると急激に減少して
しまう。
【0009】またドライブの信号検出に使われている光
検出素子のフォトダイオードの検出感度も、800nm
付近では高いが600nm以下になると急激に低下して
しまう。これらの事実は現行の技術では短波長側で再生
信号の強度が極端に低下してしまい、記録信号の安定し
た再生が不可能になることを意味している。
【0010】以上に述べてきたように、記録密度の向上
を狙った短波長光源を用いた光磁気記録再生システムを
実現するには、短波長側での再生信号強度の低下が問題
となっている。先に述べたように、大きな再生信号を得
るためには記録媒体の性能係数を大きくすることと光検
出素子の感度を向上させる事が重要である。
【0011】光磁気ディスクドライブで用いられている
光検出素子、フォトダイオードにおける光の検出は、光
がpn接合付近の電子を伝導帯に励起し、伝導帯の電子
がpn接合を移動し、フォトダイオードを電流が流れる
ことによりなされる。フォトダイオードを構成するSi
半導体の光吸収係数は短波長側で大きくなるため、短波
長の光はフォトダイオード表面近傍で吸収されてしま
い、pn接合付近まで到達しにくくなる。
【0012】その結果pn接合付近で励起される電子の
数が減少するため、光の検出感度が低下してしまう。よ
って短波長側で光検出素子の検出感度を向上させるのは
理論的に困難であり、短波長側で大きな再生信号を得る
ためには記録媒体の性能係数を大きくすることが重要で
ある。光磁気記録媒体は一般的には、透明基板上に、光
磁気記録層、光干渉層、光反射層、保護層等、複数の層
を設けることにより構成される。再生信号強度を支配す
る性能係数はこれらの全ての層を総合して考慮しなけれ
ばならない。
【0013】本発明は全ての層を構成する材料、層厚、
及び層構成を最適化し、光磁気ディスクの600nm以
下の波長での性能係数を高めた光磁気記録媒体を提供す
るとともに、それと600nm以下の短波長光を用いた
光情報記録再生システムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは高記録密度
光磁気記録再生システムを提供すべく鋭意検討した結
果、基板上に少なくとも、光磁気記録層及び反射層を有
する光磁気記録媒体において、光磁気記録層をキュリー
温度が220℃以上のものとし、かつ反射層として少な
くとも元素群V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Z
r、Nb、Mo、Ta、Wの中から選ばれる1元素を含
むAg合金を用いることにより600nm以下の波長で
優れた性能係数を示す光磁気記録媒体が提供可能となる
ことを明らかにした。
【0015】更に、この媒体に600nm以下の波長を
用いて記録再生を行ったところ、優れた記録再生特性を
示し、高密度の光情報記録再生が実現できることが明ら
かになった。本発明は、基板上に少なくとも、光磁気記
録層、反射層を有する光磁気記録媒体において、磁性層
のキュリー温度を220℃以上とし、かつ反射層として
少なくとも元素群V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、
Zr、Nb、Mo、Ta、Wの中から選ばれる1元素を
含むAg合金を用いることを特徴とする光磁気記録媒、
及びその媒体に波長600nm以下のレーザ光を用いて
情報の記録再生を行うことを特徴とする光情報記録再生
方法である。
【0016】以下に本発明を更に詳しく説明する。本発
明にて用いられる光磁気記録媒体の基板としては、ガラ
ス、ポリカーボネート等のプラスチック、あるいはガラ
ス上に光ヘッド案内用の溝付き樹脂を形成した基板など
が挙げられる。溝の深さ、及び間隔は使用する波長に合
わせて最適化、つまり波長が短くなるほど溝を浅くし、
間隔を細かくするのが好ましい。このような基板の複屈
折は、光磁気信号の品質を損なわないよう極力小さいこ
とが望ましい。また基板の厚みは1〜2mm程度が一般
的である。
【0017】本発明の光磁気記録層は波長600nm以
下のレーザ光を集光させてキューリー点まで加熱し、外
部磁気ヘッドを用いて熱磁気記録を行う層である。記録
が行われるためには、磁化軸が膜面に対して垂直に向か
なければならないので、光磁気記録層としては垂直磁気
異方性の大きいことが望ましい。再生は、波長600n
m以下のレーザ光(記録時のレーザ光より弱い光)を用
いてカー効果により行うものであるが、再生光の波長が
短くなって集光スポット径が小さくなると、単位面積当
りの光のエネルギー密度が高くなるため、再生光を照射
したときの光磁気記録層の温度は従来の800nm程度
の波長の場合よりも高くなりやすい。
【0018】光磁気記録層の温度が高くなると磁気カー
回転角が減少し、再生信号の出力が低下するが、低下の
割合は光磁気記録層のキュリー温度が低いほど著しい。
このため、光磁気記録層の物性を適切に調整する必要が
生ずる。従来の800nm程度の波長用の光磁気記録層
のキュリー温度は170℃程度であるが、この媒体に4
88nmの波長の光源で記録再生を行ったところ、記録
感度が極端に向上し、C/Nが低下する。
【0019】記録層の組成であるTb−Fe−CoのC
o濃度を増すことによってキュリー温度は上昇するが、
キュリー温度を220℃前後にすると記録感度が低下
し、C/Nが向上することが分かった。よって600n
m以下の波長の光を用いて記録再生を行うための光磁気
記録層の材料のキュリー温度としては220℃以上であ
ることが必須となる。
【0020】このような条件を満たす光磁気記録層とし
ては、3d遷移金属中のCo濃度が15原子%以上のT
b−Fe−Co非晶質合金、あるいは3d遷移金属中の
Co濃度が35原子%以上のNd−Tb−Fe−Co非
晶質合金等が挙げられる。3d遷移金属中のCo濃度の
上限は60原子%程度が望ましい。光磁気記録層の膜厚
は、レーザ光のパワーに対する記録感度、性能係数等を
考慮して使用する波長、及び反射層の光学定数に合わせ
て決定されなければならず、600nm以下の波長、A
gを主体とする反射層に合わせると光磁気記録層の膜厚
は30nm以下が好適である。
【0021】反射層は光磁気記録層を透過した光を反射
して再び光磁気記録層に戻す役割を担う。これにより光
の利用効率を高めると共に、反射率と磁気カー回転角が
増大し、性能係数が増大する。また、反射膜の組成は光
磁気記録媒体の熱伝導性に影響を与える。現在商品化さ
れている800nm程度の波長に対応する光磁気ディス
クの反射層としてはアルミニウムあるいはアルミニウム
合金が使用されているのに対し、本発明では特定の元素
を含むAg合金からなる反射層が使用されるのが特徴的
である。
【0022】反射層として、従来のアルミニウム、アル
ミニウム合金、あるいは金を用いると600nm以下の
波長で充分な性能係数を得ることができないが、Agを
主体とする反射層を用い、先に述べた220℃以上のキ
ュリー温度を持つ光磁気記録層と組み合わせることによ
り、はじめて良好な性能係数を得ることが可能になるこ
とが分かった。
【0023】これまでにも反射率の高い金属に着目し、
Au、Ag、Cu、Alを光磁気記録媒体の反射層に用
いるという特許が出願されている。(特開昭58−83
364号、特開昭59−132434号、特開昭59−
8150号、特開昭59−38781号等)これらの特
許の中で着目されている反射層の反射率は、空気から直
接反射層に光を入射した際の反射率である。
【0024】しかしながら、このような反射率が性能係
数にとって本質的でないことは次の点から明かである。
即ち、光磁気記録媒体の反射層における光の反射は光磁
気記録層と反射層の界面、あるいは、光磁気記録層と反
射層との間に設けた断熱層(干渉層)と反射層の界面
で、両者の光学定数の違いにより起こっており、空気と
反射層の界面での反射とは全く異なるからである。
【0025】また、Ag合金反射層の果たす役割につい
て詳細に検討した結果、Ag合金反射層によってもたら
される効果は高反射率を得ることよりは、むしろ光磁気
記録層のカー回転角を増大させる役割が大きいことが分
かった。例えば、従来のAl合金からなる反射層を使用
した場合と、本発明のAg合金を用いた場合の反射率、
カー回転角、性能係数を比較すると以下の表−1のよう
になり、Ag合金を用いたメリットは反射率ではなく、
むしろカー回転角であることが分かる。測定波長は50
0nmである。
【0026】
【表2】 Ag合金を反射層に用いた場合に、カー回転角の増大が
著しく、結果として良好な性能係数が得られる理由は、
Agの屈折率nが600nm以下の波長においても0.
5以下の小さな値を示すためであることが光学定数を用
いたシミュレーションにより判明した。
【0027】また、他の高反射率金属である、Au、C
uにおいては、屈折率nが波長800nm付近では小さ
くAgと同等であるが、波長600nm以下の波長領域
ではAgよりもかなり大きくなり、0.5を超えるよう
になることが、光学定数の測定から判明した。更に、各
種金属、半導体の光学定数を測定したところ、600n
m以下の可視光領域で屈折率が0.5以下の小さい値を
示す元素はAgだけであることが分かった。
【0028】即ち、800nm程度の波長ではAg以外
のAu、Cu、Al等を主体とする反射層を用いても良
好な特性が得られるが、600nm以下の波長ではAg
を主体とする反射層を用いないと良好な特性が得られな
いということになる。また、Agを主体とする反射層は
220℃以上のキュリー温度を持つ光磁気記録層と組み
合わせることにより、はじめて600nm以下の波長で
良好な特性を示す。
【0029】800nm程度の波長に対応する光磁気媒
体は、記録感度を良好にする為に200℃以下、一般的
には170℃程度のキュリー温度を持つ光磁気記録層を
用いている。このような光磁気記録層とAgを主体とす
る反射層を組み合わせても、光磁気記録層が本来備える
磁気光学効果が小さいために、600nm以下の波長で
優れた性能係数を得ることが出来ない。
【0030】ところでAg単体は熱伝導度が高く、記録
感度が悪いため、反射層にそのまま応用するのは困難で
ある。そこでAgの熱伝導度低減を鋭意検討した結果、
元素郡V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、N
b、Mo、Ta、Wの中の少なくとも1元素を含むAg
合金において、600nm以下の波長における屈折率が
0.5以下であること、熱伝導度が十分に低いことが同
時に実現することを見いだした。
【0031】反射層の熱伝導度の評価には注意を要す
る。光磁気記録媒体に用いられる反射層の厚みは数十n
m程度が一般的である。ところが、このような薄膜の熱
伝導率は、組成が同じバルクの場合と大きく異なること
が知られている。従って、バルク、あるいは厚膜の熱伝
導率を測定して、薄膜の熱伝導率を類推することは無意
味と言える。
【0032】一方、数十nmの薄膜の熱伝導度を直接測
定することは、基板が薄膜に対して非常に厚く、基板に
よる熱伝導が大き過ぎるため、不可能である。ところ
で、Agのような金属の熱伝導は自由電子が担うとされ
ている。また同時に、金属の自由電子は金属中の電気伝
導も担っている。よって、金属の熱伝導度と電気伝導度
が対応すると考えられる。実際、井上敏氏らの編による
のアグネ最新元素周期表のデータをもとに、各種金属元
素の熱伝導度と電気伝導度の対応を整理してみたとこ
ろ、非常にきれいな比例関係が見られることが分かっ
た。
【0033】つまり、金属薄膜の電気伝導度を測定すれ
ば、金属薄膜の熱伝導度を決定できるということであ
る。そこで、反射層薄膜をガラス基板上に作製したもの
について、4端子法により電気抵抗率を測定し、電気伝
導度から熱伝導度を決定した。ちなみに、100nm程
度の厚みのAgの熱伝導度は周期表から得られるバルク
のAgの熱伝導度とはかなり異なる値を示した。
【0034】また、各元素のAg合金中の添加濃度には
最適範囲があることも見いだした。即ち、添加元素濃度
が高過ぎると屈折率が増加し、0.5を超えてしまう上
に、逆に添加元素濃度が低過ぎる場合には熱伝導度の低
下が十分でないことが分かった。各元素の添加範囲(濃
度範囲)を以下に示す。
【0035】
【表3】 添加元素の濃度範囲 V :0.5原子%以上、8.0
原子%以下 Cr:0.8原子%以上、8.2原子%以下 Mn:1.1原子%以上、7.5原子%以下 Fe:0.7原子%以上、12.1原子%以下 Co:0.8原子%以上、12.5原子%以下 Ni:1.3原子%以上、14.2原子%以下 Zr:0.2原子%以上、1.8原子%以下 Nb:0.2原子%以上、4.0原子%以下 Mo:0.2原子%以上、4.4原子%以下 Ta:0.6原子%以上、10.8原子%以下 W :0.1原子%以上、1.9原子%以下 反射層には前記元素群の中から2元素以上を選択して添
加してもよいし、前記元素群以外の元素、例えば耐食性
を向上させるようなAu、Pt、Rh、Cu等を更に添
加してもよいが、屈折率を0.5以下に保つためにはA
g合金中のAg濃度を70原子%以上にしなければなら
ない。反射層の膜厚としては30nm〜100nmが好
ましい。
【0036】干渉層は誘電体からなり、光を干渉させる
層である。一般的には基板と光磁気記録層との間に設け
られ、基板と光磁気記録層と間で光を多重反射させ、見
かけ上の磁気カー回転角を増大させる役割、干渉効果を
担う。その厚みは使用する光の波長に合わせて変化させ
なければ、充分な干渉効果が得られない。400nm〜
600nmの波長を考えると干渉層の厚みは20nm〜
55nmとするのが好適である。
【0037】これは一次干渉点を利用する場合である
が、二次干渉点を利用して干渉層の厚みを120nm〜
200nmとすることもできる。また、基板と光磁気記
録層の間に設けられる干渉層は基板と光磁気記録層との
密着性を高める役割、光磁気記録層と基板を断熱する役
割、プラスチック基板を通して侵入してくる水分から光
磁気記録層を保護する役割等を合わせ持つ。
【0038】干渉層として用いられる材料としては窒化
シリコン、酸化タンタル、酸化シリコン、酸化アルミニ
ウム、酸化チタン、硫化亜鉛等やこれらの混合物からな
るアモルファス薄膜が一般的である。誘電体からなる干
渉層は、更に光磁気記録層と反射層の間にも設けること
ができる。これにより更に光の干渉効果を高め、磁気カ
ー回転角を増大させることが可能である。
【0039】ただし、600nm以下の波長の場合、現
行の800nm程度の波長に比べて干渉効果が大きく、
干渉効果による反射率の低減が著しい。反射率が極端に
低下するとトラッキングを行うための信号が微弱になっ
てしまう等の問題が生じる。従って、600nm以下の
波長の光を用いる光磁気記録媒体においては、光磁気記
録層と反射層との間に誘電体からなる干渉層を設けず、
反射層を光磁気記録層に接して設けるのがむしろ好まし
い。
【0040】以上に述べた各層を環境から化学的、物理
的に保護する保護層としては、アクリル系の紫外線硬化
樹脂等、硬質性の材料を用いるのが好適であり、反射層
の上にスピンコート法により厚み2〜20μm程度塗布
した後、紫外線照射により硬化させて形成されるのが一
般的である。紫外線硬化樹脂等(有機物)からなる保護
層と反射層との間に、先に述べたような誘電体からなる
層を設けて、保護層としてもよい。
【0041】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 基板としては厚さ1.2mmのガラス基板を用いた。基
板上に誘電体層として、酸化タンタル薄膜を反応性スパ
ッタリング法により形成した。
【0042】その後、その表面を高周波プラズマで5分
間エッチングし、表面を平滑化した。エッチング後の酸
化タンタル層の厚みが約35nmとなるように初期の膜
厚を設定した。次にこの酸化タンタル層の上にTb20
64Co16{数値は原子%で成分量を示す、3d遷移金
属(Fe)中のCo濃度は20%}のアモルファス合金
を、直流マグネトロンスパッタリング法により膜厚約2
0nmに形成し、光磁気記録層とした。
【0043】Agターゲット上にVチップを置いて直流
マグネトロンスパッタを行い、約50nmの反射層を設
けた。分析を行った結果、反射層の組成はV1.4原子
%Ag98.6原子%であった。反射層の上に保護層と
して酸化タンタル層約40nmを設けた。スパッタ装置
から取り出した後、紫外線硬化樹脂をスピンコートし、
厚さ約3μmの保護層を設けて、光磁気記録媒体とし
た。
【0044】紫外線硬化樹脂を設けないこと以外は上と
同様の方法で作製したサンプルについて、温度を上昇さ
せながら磁気カーループの測定を行ったところ、220
℃においてもループは観測され、光磁気記録層のキュリ
ー温度は220℃以上であることが分かった。光源とし
て波長488nmのArレーザを用いた光磁気記録動特
性評価機により、光磁気記録媒体としての記録特性、再
生特性を評価した。記録条件、再生条件は以下の通りで
ある。
【0045】記録条件 線速10m/s 記録周波数2MHz duty50% 記録印加磁界は24kA/mとし、記録レーザパワーを
変化させた 再生条件 線速10m/s 再生レーザパワー 1mW 記録パワーを0.5mWずつ変化させながらC/Nを測
定し、C/Nが立ち上がる記録パワー、PthとC/Nの
最大値を調べた結果を表−2に示した。Pthが大きいほ
ど記録感度が悪いことを意味する。
【0046】実施例2 光磁気記録層をNd10Tb15Fe38Co37{数値は原子
%で成分量を示す、3d遷移金属(Fe)中のCo濃度
は49%}アモルファス合金約20nmとした以外は実
施例1と同様の方法で光磁気記録媒体を作製した。キュ
リー温度は220℃以上であった。光磁気記録媒体とし
ての記録特性、再生特性を評価した。結果を表−2に示
した。
【0047】実施例3 反射層がTaAg合金約50nmであること以外は実施
例1と同様の方法で光磁気記録媒体を作製した。反射層
の組成はTa2.0原子%、Ag98.0原子%であっ
た。光磁気記録媒体としての記録特性、再生特性を評価
した。結果を表−2に示した。
【0048】比較例1 光磁気記録層をTb20Fe74Co6{数値は原子%で成
分量を示す、3d遷移金属(Fe)中のCo濃度は7.
5%}アモルファス合金約20nmとした以外は実施例
1と同様の方法で光磁気記録媒体を作製した。キュリー
温度は170℃程度であった。光磁気記録媒体としての
記録特性、再生特性を評価した。結果を表−2に示し
た。
【0049】比較例2 反射層をAg単体約50nmとした以外は、実施例1と
同様の方法で光磁気記録媒体を作製した。光磁気記録媒
体としての記録特性、再生特性を評価した。結果を表−
2に示した。 比較例3 反射層をAlTa合金約50nmとした以外は、実施例
1と同様の方法で光磁気記録媒体を作製した。光磁気記
録媒体としての記録特性、再生特性を評価した。結果を
表−2に示した。
【0050】
【表4】 表−2より、実施例においては良好なC/Nが得られて
おり、記録感度にも問題が無いことが分かる。一方、比
較例1、3では記録感度は高いものの、C/Nが実施例
に比べてかなり劣ること、また比較例2ではC/Nは高
いが記録感度が極端に悪いことが分かる。
【0051】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、現
行よりも波長の短い600nm以下の波長に対応した高
性能の光磁気記録媒体を提供でき、600nm以下の波
長の光を用いた高記録密度の光磁気記録システムが実現
される。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも、光磁気記録層、反
    射層を有する光磁気記録媒体において、光磁気記録層を
    キュリー温度が220℃以上のものとし、かつ反射層を
    以下の元素群の中の少なくとも1種を含有するAg合金
    としたことを特徴とする光磁気記録媒体。 元素群:V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、N
    b、Mo、Ta、W
  2. 【請求項2】 Ag合金に含有される元素の含有量が下
    記の濃度範囲にあり、かつAg合金中のAg濃度が70
    原子%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光
    記録媒体。 【表1】 添加元素の濃度範囲 V :0.5原子%以上、8.0
    原子%以下 Cr:0.8原子%以上、8.2原子%以下 Mn:1.1原子%以上、7.5原子%以下 Fe:0.7原子%以上、12.1原子%以下 Co:0.8原子%以上、12.5原子%以下 Ni:1.3原子%以上、14.2原子%以下 Zr:0.2原子%以上、1.8原子%以下 Nb:0.2原子%以上、4.0原子%以下 Mo:0.2原子%以上、4.4原子%以下 Ta:0.6原子%以上、10.8原子%以下 W :0.1原子%以上、1.9原子%以下
  3. 【請求項3】 光磁気記録層の厚みが30nm以下であ
    ることを特徴とする請求項2に記載の光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 光磁気記録層の反射層が設けられた側と
    は反対の側に、厚みが20nm以上、55nm以下であ
    る誘電体からなる光干渉層を設けたことを特徴とする請
    求項3に記載の光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 光磁気記録層と反射層が接して設けられ
    ていることを特徴とする請求項4に記載の光磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 光磁気記録層が、3d遷移金属中のCo
    濃度が15原子%以上のTb−Fe−Co非晶質合金、
    あるいは、3d遷移金属中のCo濃度が35原子%以上
    のNd−Tb−Fe−Co非晶質合金であることを特徴
    とする請求項4に記載の光磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項1の光磁気記録媒体に、波長60
    0nm以下のレーザ光を用いて記録再生を行うことを特
    徴とする光情報記録再生方法。
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