JPH0764269A - 現像処理装置 - Google Patents

現像処理装置

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JPH0764269A
JPH0764269A JP1946294A JP1946294A JPH0764269A JP H0764269 A JPH0764269 A JP H0764269A JP 1946294 A JP1946294 A JP 1946294A JP 1946294 A JP1946294 A JP 1946294A JP H0764269 A JPH0764269 A JP H0764269A
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良作 澤田
Kensaku Sawada
憲作 澤田
Kosaku Sawada
幸作 澤田
Sosaku Sawada
宗作 澤田
Mikio Matsui
幹夫 松井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小容積の液室を有する現像容器を水槽内に配
置し、かつ液室内にフイルムを移送する回転ローラを現
像容器の一構成部とした現像処理装置について、回転ロ
ーラの摺動部を両側端面に限定しても液室の液封が果た
せ、かつ通過するフイルムに対する処理液の接触速度を
高めることができ、もって運転に要する消費動力を低減
できると共に、少量の現像液でむらの無い安定した現像
処理をより迅速に達成できるものとする。 【構成】 弾性材からなる前後2対の回転ローラ(3),
(3')間に上下2つのシールローラ(4),(4')を配すると共
に、それらローラの両側に対の支持端板(5),(5')を配し
て、その内部に小容積の液室(2a)を形成せしめ、かつ支
持端板(5),(5')に液室(2a)に通じる給排液口(5a),(5a')
を設けてなる現像容器(2) を、水槽(1) 内に配し、更に
前記液室(2a)内に偏平状の液流孔(6a)を有するフイルム
案内兼液流増速具(6) を各ローラと非接触に配してなる
ものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用、工業用および
汎用の感光フイルムや印画紙の現像処理に用いられる現
像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】歯科医院や研究所等において撮影された
感光フイルムの現像処理には、通常、所定の処理容器に
現像処理液(現像液・定着液・現像定着液等、以下単に
処理液という)を取り分けて溜め、その中に感光フイル
ム(以下フイルムという)を浸漬して現像した後、空中
を移送して次の処理容器で定着処理する方法が採られ、
また、処理量および処理頻度が高い場合には、移送ロー
ラ等の搬送手段を附設した比較的容量の大きな溶液槽な
どに処理液を収容し、フイルムを連続的に経由させて現
像処理する方法が採られている。また、現像処理の繰り
返しにより特性劣化した処理液は、関連諸法規に則る希
釈および中和処理を施して廃棄される。
【0003】ところで、一般に処理液を収容する容器や
溶液槽は、フイルムを装入・出させるために、大気中に
開口されているので、収容された処理液は、繰り返し使
用によって特性が低下すると共に、液面における酸化に
より時経劣化する。更にまた、移送ローラ等の処理機器
の液面まわりに付着した処理液は、乾燥固化や結晶化し
て処理フイルムの損傷因子となる。従って、処理液を収
容した容器や溶液槽内に感光フイルムを浸漬ないしは経
由させる従来の現像処理方法では、安定した現像処理を
継続するためには、処理液の特性変化を継続的に管理し
て適時に補充または交換することと、処理機器の液面ま
わりを頻繁に清掃して処理液の乾燥固化物および結晶化
物を除去することが必要とされる。
【0004】しかし、これら処理液および機器の管理は
比較的煩雑であるため、実際には、処理液の補充・交換
や機器清掃の時期を失して、貴重な映像が不鮮明となっ
たり損傷したりするという問題を往々にして引き起こし
ている。また、交換時期に達した処理液は、関連諸法規
に則る希釈および中和処理を施した上で廃棄する必要が
あり、その使用量が多いほど、廃液処理のコストおよび
手数が多くなるので、より少量の処理液で安定した現像
処理ができ、かつ処理機器の清掃を不要ないしは軽減で
き、しかもコンパクトな構成の現像処理装置が要望され
ていた。
【0005】本発明者らは、上記要望に対応するための
改善検討を鋭意継続しているもので、その一環として、
本願に先立ち、極少量の処理液で安定した現像処理が達
成できると共に、煩雑な処理液の補充・交換管理や機器
清掃を不要にすることのできる現像処理装置を提案(特
願平4-1721号)した。この先願の現像処理装置は、その
2実施例の概要説明図である〔図4〕および〔図5〕の
(a)図に示すように、偏平状の液室(43),(53) を有し、
かつその前後にスリット状のフイルム出入口(44),(54)
を設けた処理容器(42),(52) を、水槽(41),(51) 内の清
水(W) 中に浸漬配置すると共に、その液室(43),(53) 内
に処理液を送給して横方向に往復流動させ、通過するフ
イルム(F) に均等に接触させて現像処理する構成とし、
それにより、極少量の処理液で安定した現像処理が達成
でき、かつ煩雑な処理液の補充・交換管理や機器清掃を
不要にできると共に、廃液処理も容易になるという優れ
た効果を得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、フイルム出
入口を有する処理容器を水中に浸漬配置する場合、水圧
バランスである程度の抑制はできるものの、そのフイル
ム出入口を通して液室内への水の侵入、または液室内か
らの処理液の漏出が生じ易い。これを防ぐため、上記先
願の〔図4〕に示した現像処理装置では、同 (b)図に示
すように、処理容器(42)のフイルム出入口(44)を、軟弾
性材からなる上下対のシールパッキン(45)によって液封
している。また〔図5〕に示した現像処理装置では、同
(b)図に示すように、処理容器(52)の前後のフイルム出
入口(54)に、弾性材からなる2対の回転ローラ(55),(5
5')を近接配置すると共に、その回転ローラ(55),(55')
と処理容器(52)との間を、処理容器(52)端面に嵌設され
たゴムパッキン(56)によって液封している。すなわちフ
イルム(F) を移送する回転ローラ(55),(55')を処理容器
(52)の一構成部とすることで、処理容器(52)の液室(53)
を液封している。
【0007】しかしながら、この先願の現像処理装置に
ついて更に詳細に検討すると、以下の点が改善すべき課
題として残されていることが判った。すなわち、上記前
者の処理容器の液封構成では、上下対のシールパッキン
間を通してフイルムを移送するため、このシールパッキ
ンが軟弾性材からなるものであっても、そのシールパッ
キンとの摺動によって、フイルム表面の薬剤層に擦り疵
がつくという危険性があり、これが特に細緻で鮮明な映
像が求められる場合には忌避すべき問題点となる。ま
た、上記後者の処理容器の液封構成では、前後2対の回
転ローラによる摺動を伴わない回転動にてフイルムを移
送するので、フイルム表面に擦り疵がつくという危険性
は避けられるが、液室の液封はゴムパッキンに接して回
転する対の回転ローラによって保たれるため、両者間の
摺動抵抗により、回転ローラを駆動回転させるに必要な
動力が増大する。特に複数の処理容器を配列してなる現
像処理装置では、各回転ローラの摺動抵抗による消費動
力の増大は無視し難い損失となる。更にまたゴムパッキ
ンと回転ローラに摺動による摩損も生じ、それよって保
守・点検の頻度が高まるという問題も派生する。
【0008】また、この先願の現像処理装置では、処理
液を処理容器の液室内に送給して横方向に往復流動さ
せ、通過するフイルムに均等に接触させる構成としてい
るので、極少量の処理液で安定した現像処理が達成でき
るという優れた効果が得られるものの、処理液の流動方
向を逆転させる際に寸時の液流停止が不可避的に生じる
ため、その処理液とフイルムとの接触速度、すなわち攪
拌速度にある限界が生じ、これがより迅速な現像処理を
達成せんとする場合に一種の制約因子となる。
【0009】本発明は上記課題を解決してより改善され
た現像処理装置を提供すべくなされたもので、小容積の
液室を有する処理容器を水槽内の水中に浸漬配置し、か
つ、その液室内に対してフイルムを移送する前後2対の
回転ローラを処理容器の一構成部とした構成のもとで、
回転ローラの摺動部をその両側端面に限定しても液室の
液封が果たせ、更には、その液室内を通過するフイルム
に対する処理液の接触速度(攪拌速度)を高めることが
でき、もって、その運転に要する消費動力を低く抑える
ことができると共に、極少量の処理液でもってむらの無
い安定した現像処理をより迅速に達成できる現像処理装
置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成とされている。すなわち、本
発明に係る現像処理装置は、フイルムを移送する2対の
回転ローラを所定小間隔を隔てて前後に配すると共に、
この2対の回転ローラ間の上下両側に、前後の回転ロー
ラそれぞれの外周に接して回転する上下2つのシールロ
ーラを配する一方、それらローラの両側に対の支持端板
を配して、2対の回転ローラと2つのシールローラおよ
び両側の支持端板によって画成される内部に小容積の液
室を形成せしめ、かつ、前記回転ローラの胴部を弾性材
で形成してなると共に、両側の支持端板に内部の液室に
連通する処理液の給排液口を設けてなる処理容器を、水
槽内に配置してなることを特徴とする。
【0011】また、上記処理容器の液室内に、前後2対
の回転ローラそれぞれの接触面間を指向してスリット状
に開口すると共に両側の支持端板の給排液口に連通する
偏平状の液流孔部を有してなるフイルム案内兼液流増速
具が、回転ローラおよびシールローラとは非接触に配設
されていても良い。
【0012】また、上記処理容器が、フイルムの移送方
向に複数並設されると共に、その両側の支持端板を連ね
て一体化されていても良い。
【0013】また、上記複数の処理容器が、前後両側に
位置するものが高位となるUの字状に配列され、かつ、
各処理容器それぞれの上方に位置する前後の回転ローラ
およびシールローラの外径が、下方に位置する前後の回
転ローラおよびシールローラの外径よりも小径とされて
いても良い。
【0014】また、上記処理容器の両側の給排液口が対
の管路を介して液循環ポンプに接続され、かつ、その対
の管路のいずれか一方の管路に抜気槽が介装されていて
も良い。
【0015】また、上記抜気槽内に銀イオンを電着させ
る陰極板が配されていても良い。
【0016】
【作用】本発明の現像装置では、前後2対の回転ローラ
と、この2対の回転ローラの間の上下両側に配した2つ
のシールローラと、それらローラの両側に配した対の支
持端板とによって画成される内部に小容積の液室を形成
せしめてなる処理容器を、水槽内に配置しており、ま
た、その処理容器の両側の支持端板に内部の液室に連通
する処理液の給排液口を設けているので、外部からの処
理液を処理容器の液室内に送給して横方向に流動させる
一方で、前後2対の回転ローラによって感光したフイル
ムを移送してその液室内を通過させ、すなわち、液室内
で横方向に流動する処理液中を横切るようにしてフイル
ムを通過させることで、処理液をフイルムの表面に均等
に接触させ、その処理液とフイルム表面の薬剤との間に
所期の反応を生じさせることができる。
【0017】また、処理容器の前後2対の回転ローラの
胴部は弾性材で形成しているので、その回転ローラとシ
ールローラとの胴部外周面を互いに接触させると共に、
それぞれの胴部両端面を両側の支持端板の内面に直接
に、またはシールリングを介して密着させることによっ
て、それらの内部に画成した液室を各ローラを回転させ
つつ液封することができる。また前後2対の回転ローラ
は、上下からフイルムを挟持して回転することで、その
フイルムに擦り疵を生じさせることなく確実に移送して
液室内を通過させる一方で、同液室の液封機能を保持す
ることができる。更に各ローラの摺動部は、その外周面
ではなく、それぞれの胴部両端面に限定されるので、そ
の回転に際する摺動抵抗を低く抑えることができ、よっ
て各ローラの駆動回転に要する動力を低減させることが
できる。
【0018】また、処理容器の液室は、フイルムの通過
を許容すると共に、その内部で処理液を横方向に流動さ
せ得る範囲内において、その断面積を狭めて内容積を小
さくできるので、この液室内を充満するに要する処理液
は少なくてすむと共に、その処理液の横方向の流速を容
易に高めることができ、よって通過するフイルムに対す
る処理液の接触速度(攪拌速度)を高めて、少量の処理
液でむらの無い安定した現像処理を迅速に達成すること
ができる。
【0019】また、処理容器は水槽内に配置するので、
この水槽内に給水した水中に浸漬させて、水圧とのバラ
ンスによって処理容器の液室内からの処理液の漏出を抑
制できると共に、その液室内の処理液と大気との接触を
完全に遮断し、処理液が酸化により特性劣化したり、当
該処理容器まわりで乾燥固化や結晶化して通過するフイ
ルムを損傷させたりすることを確実に防止できる。ま
た、液室内を通過して現像処理されたフイルムを、水槽
内の水中で連続して水洗処理することができる。更にフ
イルムの移送および各ローラの回転に随伴して液室外に
滲み出た微量の処理液は水槽内の水中に拡散して希釈さ
れるので、水槽内への給水量を適宜調整することで、そ
の排水を中和剤の添加のみで法規制を満たして直接に廃
棄し得るものとすることもできる。
【0020】また、上記処理容器の液室内に、前後2対
の回転ローラそれぞれの接触面間を指向してスリット状
に開口すると共に両側の支持端板の給排液口に連通する
偏平状の液流孔部を有してなるフイルム案内兼液流増速
具を、回転ローラおよびシールローラとは非接触に配設
することで、その液室の処理液流通路およびフイルム通
過路の形状を整えると共に、その内容積を小さくし、こ
れによりフイルムの通過を安定なものとする一方で、フ
イルム表面に対する処理液の流動を整流すると共に増速
させることができ、よって通過するフイルムに処理液を
均等かつ確実に接触させると共に、その接触速度(攪拌
速度)をより高め、より少量の処理液でむらの無い安定
した現像処理をより迅速に達成することができる。
【0021】また、上記処理容器を、フイルムの移送方
向に複数並設すると共に、その両側の支持端板を連ねて
一体化させることで、それぞれの処理容器に種別の異な
る処理液を送給し、例えば、現像〜定着〜水洗とフイル
ムを連続的に現像処理することができる。また、各処理
容器の間は水中となるので、連続的に処理するフイルム
を次の処理容器に移送する間に水洗し、これにより前の
処理液の影響を排除して次の処理を安定したものとする
ことができる。また、両側の支持端板を連ねて一体化さ
せることで総体構成を簡易かつコンパクトにすることが
できる。
【0022】また、上記複数の処理容器を、前後両側に
位置するものが高位となるUの字状に配列することで、
フイルムをUの字状に移送して連続的に処理でき、すな
わちフイルムを上方から装入・送出することができ、こ
れにより長尺なフイルムについても取り扱いが容易にな
ると共に、装置の前後方向の長さを短縮して総体構成を
よりコンパクトにすることができる。更に、それら処理
容器の上方に位置する前後の回転ローラおよびシールロ
ーラの外径を、下方に位置する前後の回転ローラおよび
シールローラの外径よりも小径とすることで、各処理容
器のフイルム入出部を斜め上方を指向させ、Uの字状の
配列および同配列下でのフイルムの移送を容易かつ安定
なものとすることができる。
【0023】また、上記処理容器の両側の給排液口を対
の管路を介して液循環ポンプに接続することで、処理容
器と対の管路と液循環ポンプからなる閉回路を形成し、
これにより一定かつ少量の処理液を理容器の液室内に循
環送給して横方向に流動させ、その少量の処理液でもっ
て数次の現像処理を行うことができる。更に、対の管路
のいずれか一方の管路に抜気槽を介装することで、その
閉回路に処理液を充填供給ないしは補充する際に不可避
的に混入した空気を排出し、処理容器の液室内に循環送
給して高速で流動させる処理液中に気泡が生じて現像処
理精度が低下することを防止できる。
【0024】また、上記抜気槽内に銀イオンを電着させ
る陰極板を配し、これを処理液として定着液が循環供給
される処理容器の管路に介装することによって、フイル
ムから処理液中にイオン化して溶出した銀を陰極板に電
着させて回収できる。
【0025】なお、上記の処理液とは、現像液、定着
液、現像定着液、カラー発色液、後処理液等の通常の現
像処理に用いられる溶液および洗浄用の清水である。
【0026】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して、以下に説
明する。〔図1〕は本発明の第1実施例の現像処理装置
の概要構成を示す図面であって、 (a)図は一部を切欠い
て示す正面図、 (b)図は (a)図のA−A断面図である。
【0027】〔図1〕において、(1) は水槽であって、
この水槽(1) は、立方形の上開口式槽で、ここでは図示
を省略した給水手段に接続される給水口(1a)と、規制水
面を形成する排水口(1b)と、この排水口(1b)側の側辺部
に設けられた排水溜(1c)とを備えてなる。また、その内
底部には水温調整用のヒータ(1d)が配設されている。
【0028】(2) は処理容器であって、この処理容器
(2) は、フイルム(F) を移送する2対の回転ローラ(3),
(3')を小間隔を隔てて前後に配すると共に、この2対の
回転ローラ(3),(3')間の上下両側に、前後の回転ローラ
(3),(3')それぞれの外周に接して回転する上下2つのシ
ールローラ(4),(4')を配する一方、それらローラの両側
に方形板状の対の支持端板(5),(5')を配して、前後2対
の回転ローラ(3),(3')と2つのシールローラ(4),(4')お
よび両側の支持端板(5),(5')によって画成される内部に
小容積の液室(2a)を形成してなるものとされている。ま
た、両側の支持端板(5),(5')には、 (b)図に示すよう
に、内部の液室(2a)に連通する給排液口(5a),(5a')が設
けてある。また、回転ローラ(3),(3')およびシールロー
ラ(4),(4')は、金属製の中心軸上にゴム製の胴部を焼嵌
成形してなる平ローラとされている。
【0029】また、その液室(2a)内には、前後がスリッ
ト状に開口すると共に両側の支持端板(5),(5')の給排液
口(5a),(5a')に連通する偏平状の液流孔部(6a)を有する
フイルム案内兼液流増速具(6) が、両端を支持端板(5),
(5')に連結・支持されて、回転ローラ(3),(3')およびシ
ールローラ(4),(4')とは非接触に配設されている。な
お、このフイルム案内兼液流増速具(6) は、押出成形さ
れたポリビニールクロライド樹脂製のもので、その外周
面には、回転ローラ(3),(3')とシールローラ(4),(4')の
外径に非接触で沿う円弧状の凹部が横幅方向に形成され
ている。
【0030】また、回転ローラ(3),(3')およびシールロ
ーラ(4),(4')は、それぞれの両端部軸を両側の支持端板
(5),(5')を貫通して側方に突出させて、同支持端板(5),
(5')に回転自由に軸支されている。更に、それらローラ
の胴部両端面と支持端板(5),(5')の内面との間には、
(b)図に示すように、それらローラと同外径であって、
摩擦係数の低いテフロンシートとシリコンゴム板とを積
層してなる平環状のシールリング(7) が介装されてお
り、このシールリング(7) にて各ローラと支持端板(5),
(5')との間が摺動抵抗の小さい状態で液封されている。
また、両側の支持端板(5),(5')は、その四隅部に配され
た連結ロッド(5b)にて互いに平行に連結され、これによ
って支持端板(5),(5')と各ローラとが一体に組み立てら
れている。
【0031】そして、この処理容器(2) は、最上部のシ
ールローラ(4) が、水槽(1) の規制水面よりも僅少に低
い高さ位置となり、その水槽(1) 内に給水した清水(W)
中に完全に浸漬するように配置されると共に、 (b)図に
示すように、その両側の給排液口(5a),(5a')が対の液管
(8),(8')を介して遠心型の液循環ポンプ(10)の接続さ
れ、その液室(2a)と液管(8),(8')と液循環ポンプ(10)と
からなる閉回路に形成されている。
【0032】また、液循環ポンプ(10)には、それに連な
る閉回路に処理液(L) を点滴補給するための液点滴注入
管(10a) 、初期充填するための液供給管(10b) および交
換時に排出するための排液管(10c) が接続されている。
一方、液室(2a)からの排液側となる一方の液管(8')に
は、小型の抜気槽(9) が介装されている。更に、その抜
気槽(9) が備える抜気管(9a)の水面上に位置する部位に
は液溢流管(9b)が分岐して設けてある。また、その液溢
流管(9b)は、ここでは図示を省略した透明液送管を介し
て、水槽(1) の排水溜(1c)に連通されている。
【0033】翻って、(11)は駆動平歯車であって、この
駆動平歯車(11)は、処理容器(2) の支持端板(5),(5')上
に配置された架台(16)に回転自由に軸支されている。ま
た、この駆動平歯車(11)は、架台(16)上に載置された減
速機付モータ(15)の出力軸に取着されているピニオン歯
車(14)に歯合されている。
【0034】一方、処理容器(2) の一側方に突出させた
前後2対の回転ローラ(3),(3')それぞれの端部軸には、
本実施例装置の駆動系の説明図である〔図2〕の (a)図
に示すように、互いに歯合して対の回転ローラ(3),(3')
同士を同期回転させる平歯車(12)が取着されており、ま
た、それらの内の上方に位置す2つの平歯車(12)は、前
記の駆動平歯車(11)に歯合されている。更にまた、他側
方に突出させた前後2対の回転ローラ(3),(3')の端部軸
のいずれか一方と、シールローラ(4),(4')それぞれの端
部軸には、同 (b)図に示すように、互いに歯合して同期
回転する平歯車(13)が取着されている。本実施例装置で
は、上記駆動系のもとで、処理容器(2) の各ローラを
〔図1〕の (a)図中の矢印で示す方向に同期回転させ、
これによって液室(2a)の液封を果たしながらフイルム
(F) を移送して同液室(2a)内を通過させる。
【0035】また、水槽(1) の処理容器(2) の前後に位
置する部位には、テフロンコーテングした複数のステン
レス鋼細線を、前後部の規制水面上から処理容器(2) の
前後2対の回転ローラ(3),(3')間を指向させると共に、
幅方向に平行に配列してなるフイルムガイド(17)が設け
てあり、現像処理されるフイルム(F) は、このフイルム
ガイド(17)に沿って装入・送出される。
【0036】上記構成を具備する本実施例の現像処理装
置によるフイルムの現像処理は、次のようにして行う。
先ず、水槽(1) 内に清水(W) を連続供給して内部の処理
容器(2) を清水(W) 中に浸漬させると共に、液循環ポン
プ(10)の液供給管(10b) を介して、処理容器(2) の液室
(2a)に連なる閉回路に処理液(L) を供給充填する。次い
で、減速機付モータ(14)を駆動して処理容器(2) の各ロ
ーラを回転させると共に、液循環ポンプ(10)を駆動して
充填された処理液(L) を液室(2a)を通して高速で循環さ
せる。そして、抜気槽(9) からの抜気状態を確認しなが
ら、液循環ポンプ(10)の液点滴注入管(10a) から処理液
(L) を点滴補充して、液室(2a)に連なる閉回路に混入し
た空気を完全に抜気した後、フイルムガイド(16)を介し
てフイルム(F) を処理容器(2) に向けて装入する。
【0037】このとき、フイルム(F) は水槽(1) 内の清
水(W) 中を経て、処理容器(2) 前部の対の回転ローラ
(3),(3')間に向けて送られ、前後2対の回転ローラ(3),
(3')によって液室(2a)内を通過させられた上で、再び水
槽(1) 内の清水(W) 中に送り出されて水洗され、これに
より現像処理されるのである。
【0038】ここで、本実施例の現像処理装置では、処
理液(L) を処理容器(2) の液室(2a)に循環送給して、つ
まり液室(2a)の一側方から送給して他側方から流出させ
て、その処理液(L) を液室(2a)内で横方向に高速で流動
させるので、この液室(2a)内を通過するフイルム(F) 表
面に、処理液(L) を均等に接触させてフイルム(F) 表面
の薬剤層との間に所期の反応を生じさせることができ
る。
【0039】また、処理容器(2) の液室(2a)内に、フイ
ルム案内兼液流増速具(6) を配することで、その液室(2
a)の処理液流通路およびフイルム通過路の形状を整える
と共に、その内容積を小さくしているので、これにより
フイルム(F) の通過を安定なものとする一方で、フイル
ム(F) 表面に対する処理液(L) の流動を整流および増速
させ、処理液(L) をフイルム(F) の表面に均等かつ確実
に接触させると共に、その接触速度(攪拌速度)を高め
ることができる。更に、処理液(L) の充填供給に際して
液室(2a)に連なる閉回路内に不可避的に混入した空気を
抜気することで、液室(2a)内を高速で流動させる処理液
(L) 中に気泡が生じることを防止でき、これらにより極
少量の処理液(L) で安定した現像処理を高速にて達成で
きる。
【0040】また、処理容器(2) の液室(2a)は、2対の
回転ローラ(3),(3')と2つのシールローラ(4),(4')と両
側の支持端板(5),(5')とで液封するのであるが、各ロー
ラの胴部はゴム製であることより、相互間の液封は互い
の外周面を密着させることで回転しながらでも保たれ、
一方、各ローラと両側の支持端板(5),(5')との間の液封
は、それらの間に介装されたシールリング(7) で保たれ
る。従って、各ローラの摺動部は、その外周面ではな
く、それぞれの胴部両端面に限定され、しかも、その摺
動部には摩擦係数の低いシールリング(7) を介装してい
るので、各ローラの回転に際する摺動抵抗を低く抑える
ことができ、よって当該現像装置の運転に要する消費動
力を低く抑えることができる。
【0041】また、処理容器(2) は、水槽(1) 内に給水
した清水(W) 中に浸漬させるので、水圧とのバランスに
よって液室(2a)内からの処理液(L) の漏出を抑制できる
と共に、液室(2a)内の処理液(L) と大気との接触を完全
に遮断し、処理液(L) が酸化により特性劣化したり、処
理容器(2) の各ローラまわりで乾燥固化および結晶化し
て処理されるフイルム(F) を損傷させたりすることを確
実に防止できる。また、フイルム(F) の移送および各ロ
ーラの回転に随伴して、液室(2a)内から滲み出た極微量
の処理液(L) は、水槽(1) 内の清水(W) 中に拡散して自
律的に希釈されて排水溜(1c)に流出するので、この水槽
(1) 内への給水量を適宜調整することで、その排水溜(1
c)内の排水を、中和剤の添加のみで、法規制を満足して
廃棄可能なものとすることができる。更に水槽(1) 内に
水温調整用のヒータ(1d)を配設しているので、その内部
の清水(W) の温度および処理容器(2) の液室(2a)内の処
理液(L) の温度を制御して現像処理をより安定化させる
ことができる。
【0042】次に、本実施例装置による具体的な現像処
理例を、以下に述べる。本実施例では上記構成のもと
で、処理容器(2) は、液室(2a)の内法幅が80mm、フイル
ム(F) 移送方向の長さが20mmで、かつ内部に配したフイ
ルム案内兼液流増速具(6) は、約 3mmの間隙をなす液流
孔部(6a)を有するものとし、その液室(2a)の実内容積が
約 5cm3 のものとした。また、その処理容器(2) の液室
(2a)と液循環ポンプ(10)とを接続する対の液管(8),(8')
には内径 6mmのゴム管を用い、それらで形成された閉回
路の総内容積が約 25cm3のものとした。一方、水槽(1)
は、幅および長さが約 150mmで、高さが約 100mmのもの
とし、また、その水槽(1) 内の清水(W) の温度は約33℃
に制御するものとした。
【0043】そして先ず、最適な現像処理条件を把握す
るために、この現像処理装置を用いて、処理液とフイル
ムの接触時間と、処理液の流速との関係を調べた。処理
液としては、フイルムを静止液中に 20sec以上浸漬する
ことで、所定の現像濃度および定着抜けが得られる現像
液および定着液を用い、また処理液とフイルムの接触時
間は、フイルムの移送速度の変更にて、5sec、 10sec、
15secおよび 23secにそれぞれ設定した。そして、約 2
5cm3の量の上記処理液それぞれを、液室に連なる閉回路
に抜気して充満させた後、それら処理液を、循環させな
い静止状態、液室での流速を 250mm/secおよび 500mm/s
ecとした高速循環の3通りの状態とし、その液室内を幅
40mm、長さ30mmの撮影済フイルムを上記4接触時間とな
る速度でそれぞれ通過させて、現像濃度および定着抜け
の比較評価を行った。その結果を〔表1〕および〔表
2〕に示す。なお、〔表1〕は現像濃度の結果を示し、
〔表2〕は定着抜けの合否の判定結果を示す。また、現
像濃度は 2.1以上をもって合格と判定し〔表1〕中に丸
印を付して示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】この調査により、本実施例の現像処理装置
では、〔表1〕および〔表2〕に示すように、静止状態
の処理液中ではフイルムの現像および定着に 20sec以上
の接触時間を要するところを、処理液の流速とフイルム
の移送速度との選定によって、半分以下の時間に短縮可
能であることが確認された。
【0047】更にまた、初期に約 25cm3の量の処理液を
充満させた後、上記撮影済フイルムを、液室内の処理液
流速を 500mm/secとして、 2mm/secの速度(接触時間10
sec)で移送させ、かつ、フイルム1枚につき 0.3cm3
処理液を点滴補充する方法で、連続または翌日繰越の現
像試験と定着試験とをそれぞれ延べ1000枚実施した。そ
の結果は終始良好で、それ以上継続可能と思われたが、
その一方の現像試験において、処理容器の前後2対の回
転ローラの表面に還元銀が付着し、かつその付着量が増
加して行くので、フイルム保護のために、約 800枚程度
処理した時点において、それら回転ローラを清掃する
か、ないしは、予めそれら回転ローラの胴部外周に細い
フエルトブラシ等を接触配置して、運転中において回転
ローラの清掃が行える構成とするなどの対処が必要であ
ることが認められた。
【0048】次いで上記結果より、処理液として静止液
中に 20sec以上浸漬することで1液処理できる現像定着
液を用い、その処理液を液室に連なる閉回路に抜気しな
がら充満(約 25cm3)させた後、液室内での流速を 500
mm/secとする高速で循環させると共に、幅40mm、長さ30
mmの撮影済の歯科用X線フイルムを、1.3mm/sec の速度
で移送して現像処理した。その結果、得られた映像はむ
らの無い鮮明なものであった。また続いて、フイルム1
枚につき 0.3cm3 の処理液を点滴補充する方法で連続処
理を行ったところ、約 200枚程度まで安定した映像が得
られた。
【0049】以上に述べたように、本実施例の現像処理
装置では、その都度に新液を用いることを許容し得る程
度の極少量の処理液でもって、むらの無い安定した現像
処理を高速で達成でき、また、その装置全体をコンパク
トな(具体的には、全高さが約250mm 、幅と長さが約15
0mm の外郭形状)ものとすることができた。
【0050】なお、本実施例の現像処理装置では、処理
容器の回転ローラとシールローラはゴム製の胴部を有す
るものとしたが、その回転ローラの胴部がゴム製のもの
である限り、シールローラは金属等の硬質材からなる胴
部を有するものであっても、当該処理容器の液室の液封
は達成できる。また処理容器の液室内のフイルム案内兼
液流増速具は、その液室が小容積とされている限り、省
略することもできる。また、この処理容器の液室からの
排液側となる液管に抜気槽を介装して、その液室と対の
液管および液循環ポンプからなる閉回路から抜気するも
のとしたが、この抜気槽は、給液側となる液管に介装さ
れて良いことは言うまでもない。また、この場合には排
液側の流路抵抗を低めて、液室内の液圧を低く制御でき
る。
【0051】また、本実施例の現像処理装置では、処理
液を、一定方向から連続的に送給・排出させて、処理容
器の液室内で横方向に流動させたが、これは、例えば、
処理容器の両側の給排液口部に同期して交互作動する小
型容積ポンプ等を配置し、液室内に充満させた処理液を
横方向に往復流動させることも、その液室に連なる閉回
路の管路長を短くできて、処理液量をより少量にするに
効果的である。
【0052】また、本実施例の現像処理装置は、1個の
処理容器を水槽内に配置してなる構成とし、処理液とし
ては現像定着液を用いるものとしたが、これは1例であ
って、例えば、水槽内に2ないし3個の処理容器をフイ
ルムの移送方向に並設してなる構成とし、それら処理容
器に種別の異なる処理液を送給し、つまり現像液、定着
液および清水等を送給して、現像〜定着〜水洗とフイル
ムを連続的に現像処理するものとされても良い。この構
成では、各処理容器の間は水中となるので、連続的に処
理するフイルムを次の処理容器に移送する間に水洗し、
これにより直前の処理液の影響を排除して次の処理を安
定したものとすることができる。また、この場合には、
各処理容器の両側の支持端板を連ねて一体化させること
が、全体の構成をコンパクトするに効果的である。
【0053】次に、本発明の第2実施例の現像処理装置
について〔図3〕により説明する。〔図3〕は本実施例
の現像処理装置の概要構成を示す図面であって、 (a)図
は一部を切欠いて示す正面図、 (b)図は同装置の駆動系
の説明図である。なお、本実施例の現像処理装置は、複
数の処理容器をUの字状に配列すると共に、その両側の
支持端板を連ねて一体化した点を除き、その基本的構成
部は前記第1実施例のものと同様であるので、ここでは
〔図1〕と等価な各部に同符号を付すと共に細部の図示
を省略し、その差異点のみを要約して説明する。
【0054】本実施例の現像処理装置では、〔図3〕の
(a)図に示すように、前後2対の回転ローラ(3),(3')
と、この2対の回転ローラ(3),(3')間の上下両側に配さ
れた2つのシールローラ(4),(4')と、それらローラの両
側に配された対の支持端板(20),(20')とを備え、その内
部に小容積の液室(2a)を形成せしめてなる3個の処理容
器(2) を、同一中心点Pから等距離となる円弧上に沿わ
せてUの字状に配列し、かつ、それぞれの両側の支持端
板(20),(20')を連ねて一体化させている。
【0055】また、それら処理容器(2) の、上方に位置
する前後の回転ローラ(3) とシールローラ(4) の外径
を、下方に位置する前後の回転ローラ(3')とシールロー
ラ(4')の外径よりも小径とし、これにより各処理容器
(2) のフイルム(F) 入出部を斜め上方を指向させ、それ
ら処理容器(2) を同一円弧上に沿わせて配列することを
容易すると共に、その配列下でのフイルム(F) の移送を
容易にしている。
【0056】また、それら処理容器(2) の後部には、フ
イルムガイド(17)の代わりに、フイルム(F) を排出させ
るための2対のガイドローラ(21)が配されている。そし
て、これら2対のガイドローラ(21)も両側の支持端板(2
0),(20')に回転自由に軸支されている。また、その2対
のガイドローラ(21)の間には、前後にフイルム(F) を非
接触で通過させるスリット状の通過口を有する通風筒(2
2)が、両側の支持端板(20),(20')を貫通して横方向に配
されている。また、その通風筒(20)の一側方端は、ここ
では図示を省略した温風送給装置に接続されている。
【0057】一方、それら処理容器(2) の一体化された
支持端板(20),(20')には、駆動平歯車(11)が、前記P点
を中心に回転自由に軸支されている。また、その上方に
は、減速機付モータ(15)を載置した架台(16)が支持端板
(20),(20')に支持されて配置されている。また、減速機
付モータ(15)のピニオン歯車(14)は、 (b)図に示すよう
に、前記中心点Pを中心に回転する駆動平歯車(11)に歯
合され、更にこの駆動平歯車(11)は、各処理容器(2) そ
れぞれの上方に位置する前後の回転ローラ(3)の端部軸
に取着された平歯車(12)に歯合されており、これによっ
て3つの処理容器(2) それぞれの前後2対の回転ローラ
(3),(3')が同期回転させられる。また、ここでは図示を
省略したが、上記の反対側において、前述の〔図2〕の
(b)図に示したように、各処理容器(2) の前後2対の回
転ローラ(3),(3')の端部軸のいずれか一方と、シールロ
ーラ(4),(4')それぞれの端部軸とには、互いに歯合して
同期回転する平歯車(13)が取着されており、この駆動系
のもとで、3つの処理容器(2) の各ローラが1つの減速
機付モータ(15)によって同期回転させられる。
【0058】また、ここでは図示を省略したが、本実施
例の現像処理装置では、最前部に位置する第1の処理容
器(2) と続く第2の処理容器(2) の液室(2a)は、第1実
施例のものと同様に、対の液管(8),(8')と液循環ポンプ
(10)とからなる閉回路に形成されており、また、その対
の液管(8),(8')のいずれか一方の液管には、小型の抜気
槽(9) が介装されている。一方、各液循環ポンプ(10)の
液点滴注入管(10a) には、所定量の処理液を取り分けて
収容した密封点滴袋が接続されている。
【0059】更に、第1の処理容器(2) の前後2対の回
転ローラ(3),(3')それぞれの胴部外側に、その外周面に
接して摺動する細かいフエルトブラシを配し、そのフエ
ルトブラシによって回転ローラ(3),(3')表面に付着する
還元銀を、運転中において清掃できるものとされてい
る。また、第2の処理容器(2) の液室(2a)に連結された
液管(8),(8')の一方の液管に介装されている抜気槽(9)
の液流路内には、フイルム(F) から溶出した銀イオンを
電着させて回収する陰極板が配されている。
【0060】更にまた、その最後部に位置する第3の処
理容器(2) の液室(2a)に接続された一方の液管(8) は清
水(W) の送給装置に接続させると共に、他の一方の液管
(8')は直接的に水槽(1) 内に開口させている。つまり第
3の処理容器(2) の液室(2a)は開放回路に形成し、この
第3の処理容器(2) に清水(W) を送給することで、運転
中における水槽(1) 内に清水(W) を連続供給するものと
している。
【0061】上記構成の本実施例の現像処理装置では、
第1および第2の処理容器(2) は、水槽(1) 内の清水
(W) 中に完全に浸漬させる一方、第3の処理容器(2)
は、上部の一部を水面上に露出させると共に、通風筒(2
2)は水面上に位置させた状態で水槽(1) 内に配置し、第
1の処理容器(2) に現像液、続く第2の処理容器(2) に
定着液をそれぞれ循環送給すると共に、続く第3の処理
容器(2) に清水(W) を送給し、かつ通風筒(24)に温風を
送りながらフイルム(F) をU字状に移送して3つの処理
容器(2) の液室(2a)内を通過させ、そのフイルム(F) に
現像〜定着〜水洗〜乾燥の処理を連続的に施して現像処
理する。
【0062】次いで、本実施例装置による具体的な現像
処理例を、以下に述べる。本実施例では上記構成のもと
で、処理容器(2) は、液室(2a)の内法幅が160mm、フイ
ルム(F) 移送方向の長さが20mmで、かつ内部に配したフ
イルム案内兼液流増速具(6) は約 3mmの間隙をなす液流
孔部(6a)を有するものとし、その液室(2a)の実内容積が
約 10cm3のものとした。また各処理容器(2) の液室(2a)
と液循環ポンプ(10)とを接続する対の液管(8),(8')に
は、第1実施例と同様に、内径 6mmのゴム管を用い、そ
れらで形成された閉回路の総内容積が約 30cm3のものと
した。一方、水槽(1) は、幅が約 230mm、長さが約 200
mm、高さが約 150mmのものとし、また、その水槽(1) 内
の清水(W) の温度は約33℃に制御するものとした。
【0063】そして、フイルムを静止液中に 20sec以上
浸漬することで、所定の現像濃度および定着抜けが得ら
れる現像液および定着液を、第1と第2の処理容器それ
ぞれの液室に連なる閉回路に抜気しながら充満(約 30c
m3)させた後、それれら液室内での流速を 500mm/secと
する高速で循環させる一方、第3の処理容器の液室内に
清水を送給して高速で通過させる共に、幅 15Omm、長さ
300mmの撮影済の歯科用パノラマX線フイルムを、2mm/
sec (接触時間10sec)の速度で移送して現像処理した。
また、次の現像を連続して行う場合には、フイルム1枚
につき10cm3 の現像液および定着液を、それぞれ点滴補
充する方法で連続処理を行った。
【0064】その結果、フイルムの現像から乾燥までの
1点通過(Top to Top)時間は55秒間で、すなわち上記フ
イルム全長が 3分25秒の高速で処理でき、しかも得られ
た映像はむらの無い鮮明なものであった。また続いて、
フイルム1枚につき 0.5cm3の現像液および定着液を、
それぞれ点滴補充する方法で、幅40mm、長さ30mmの撮影
済の歯科用X線フイルムを連続処理したが、各フイルム
は65秒の高速で処理でき、しかも、得られた映像はむら
が無く安定かつ良好なものであった。
【0065】因みに、現在市販されている小型現像処理
装置の殆どは、現像から乾燥までの1点通過(Top to To
p)時間として、3 〜 6分をカタログデータとしており、
またフイルム1枚あたりの処理液量は本実施例装置の約
3倍以上を必要としている。
【0066】以上に述べたように、本実施例の現像処理
装置では、極少量の処理液でもって安定した現像処理を
高速度で達成することができ、また、フイルムをUの字
状に移送することで、すなわちフイルムを上方から装入
・送出することで、長尺なフイルムを容易に取り扱える
一方、各処理容器がフイルムを移送する回転ローラを備
えるので短尺のフイルムも安定に移送して現像処理する
ことができる。しかも、複数の処理容器を有していて
も、それらをU字状に配列することで水槽の長さも短縮
でき、その装置全体をコンパクトな(具体的には、全高
さが約250mm 、幅が約230mm 、長さが約200mm の外郭形
状)ものとすることができた。更に本実施例の現像処理
装置は、その装置前部に遮光フード等を設けることで、
容易に明室において現像処理可能なものとすることがで
きる。
【0067】また、それら処理容器を構成部である各ロ
ーラの摺動部を、その胴部両端面に限定して各ローラの
回転に際する摺動抵抗を低く抑える一方、それらのロー
ラを1つのモータで効率良く駆動回転させることがで
き、よって当該現像装置の運転に要する消費動力を低く
抑えることのできる。また、各処理容器は、水槽内の清
水中に浸漬させるので、その液室内の現像液および定着
液と大気との接触を完全に遮断し、それら処理液が酸化
により特性劣化したり、各ローラまわりで乾燥固化およ
び結晶化して処理されるフイルムを損傷させたりするこ
とを確実に防止でき、また各処理容器の間は水中となる
ので、連続的に処理するフイルムを次の処理容器に移送
する間に水洗し、これにより前の処理液の影響を排除し
て次の処理を安定したものとすることができる。更に処
理するフイルムから定着液中にイオン化して溶出した銀
も効果的に回収できる。
【0068】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の現像処理
装置は、小容積の液室を有する処理容器を水槽内の水中
に浸漬配置し、かつ、その液室内に対してフイルムを移
送する前後2対の回転ローラを処理容器の一構成部とし
た構成のもとで、回転ローラの摺動部をその両側端面に
限定しても液室の液封が果たせ、更には、その液室内を
通過するフイルムに対する処理液の接触速度(攪拌速
度)を高めることができ、もって、その運転に要する消
費動力を低減できると共に、極少量の処理液でむらの無
い安定した現像処理をより迅速に達成でき、しかも、装
置全体をコンパクトにできると共に、煩雑な機器清掃も
不要にできるという大きな効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の現像処理装置の概要構成
を示す図面であって、 (a)図は一部を切欠いて示す正面
図、 (b)図は (a)図のA−A断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の現像処理装置の駆動系の
説明図である。
【図3】本発明の第2実施例の現像処理装置の概要構成
を示す図面であって、 (a)図は一部を切欠いて示す正面
図、 (b)図は同装置の駆動系の説明図である。
【図4】先願の現像処理装置の概要説明図である。
【図5】先願の現像処理装置の概要説明図である。
【符号の説明】
(1) --水槽、(2) --処理容器、(2a)--液室、(3),(3')--
回転ローラ、(4),(4')--シールローラ、(5),(5')--支持
端板、(5a),(5a')--給排液口、(5b)--連結ロッド、(6)
--フイルム案内兼液流増速具、(6a)--液流孔部、(7) --
シールリング、(8),(8')--液管、(9) --抜気槽、(9a)--
抜気管、(9b)--液溢流管、(10)--液循環ポンプ、(10a)-
- 液点滴注入管、(10b)-- 液供給管、(10c)-- 排液管、
(11)--駆動平歯車、(12)--平歯車、(13)--平歯車、(14)
--ピニオン歯車、(15)--減速機付モータ、(16)--架台、
(17)--フイルムガイド、(F) --フイルム、(L) --処理
液、(W) --清水。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フイルムを移送する2対の回転ローラを
    所定小間隔を隔てて前後に配すると共に、この2対の回
    転ローラ間の上下両側に、前後の回転ローラそれぞれの
    外周に接して回転する上下2つのシールローラを配する
    一方、それらローラの両側に対の支持端板を配して、2
    対の回転ローラと2つのシールローラおよび両側の支持
    端板によって画成される内部に小容積の液室を形成せし
    め、かつ、前記回転ローラの胴部を弾性材で形成してな
    ると共に、両側の支持端板に内部の液室に連通する処理
    液の給排液口を設けてなる処理容器を、水槽内に配置し
    てなることを特徴とする現像処理装置。
  2. 【請求項2】 処理容器の液室内に、前後2対の回転ロ
    ーラそれぞれの接触面間を指向してスリット状に開口す
    ると共に両側の支持端板の給排液口に連通する偏平状の
    液流孔部を有してなるフイルム案内兼液流増速具が、回
    転ローラおよびシールローラとは非接触に配設されてい
    る請求項1記載の現像処理装置。
  3. 【請求項3】 処理容器が、フイルムの移送方向に複数
    並設されると共に、その両側の支持端板を連ねて一体化
    されている請求項1または2記載の現像処理装置。
  4. 【請求項4】 複数の処理容器が、前後両側に位置する
    ものが高位となるUの字状に配列され、かつ、各処理容
    器それぞれの上方に位置する前後の回転ローラおよびシ
    ールローラの外径が、下方に位置する前後の回転ローラ
    およびシールローラの外径よりも小径とされている請求
    項3記載の現像処理装置。
  5. 【請求項5】 処理容器の両側の給排液口が対の管路を
    介して液循環ポンプに接続され、かつ、その対の管路の
    いずれか一方の管路に抜気槽が介装されている請求項
    1、2、3または4記載の現像処理装置。
  6. 【請求項6】 抜気槽内に銀イオンを電着させる陰極板
    が配されている請求項5記載の現像処理装置。
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