JPH0763786B2 - 二重缶の製造方法 - Google Patents

二重缶の製造方法

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JPH0763786B2
JPH0763786B2 JP2050309A JP5030990A JPH0763786B2 JP H0763786 B2 JPH0763786 B2 JP H0763786B2 JP 2050309 A JP2050309 A JP 2050309A JP 5030990 A JP5030990 A JP 5030990A JP H0763786 B2 JPH0763786 B2 JP H0763786B2
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洋一 紙田
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、上端が開口する外筒と下端が開口する内筒
を底部で接続した二重缶の製造方法に関し、さらに詳し
くは製造工程において手間を要せず、かつ内容物の漏れ
がなく、軸方向の荷重(座屈荷重)に強く、しかも缶素
材を節約した経済的な二重缶の製造方法に関する。
従来の技術 従来、コーヒー、清酒等は飲料用に適するように自動販
売機内で適当な温度に加温されて販売されることが多
い。
しかし、登山やキャンプ地等の野外では、即席的に加温
して飲食することが不可能であった。そこで、化学反応
による反応熱を利用して、容器内の内容物を即席的に加
温できる加熱筒付缶が開発された。この加熱筒付缶はコ
ーヒー、清酒等の内容物を入れる外筒と発熱体を収納す
る内筒とから構成されている。又、従来1個の缶のスペ
ースを2分して、各々のスペースに別々の内容物を収納
する缶が提案されている。そして、これらに使用される
缶としては、例えば第7図に示すようなものがある。第
7図中、50は外筒であり、この外筒50はアルミニウム
板、スチール板を円筒状に丸めて端部を溶接して造られ
る。又、外筒50がコンポジットの缶胴である場合、紙、
アルミ箔、合成樹脂フィルム等を積層したコンポジット
材料を円筒状に形成して造られる。51は内筒であり、こ
の内筒51は外筒50とは別工程で造られる。内筒51の製造
方法としては、アルミニウム、スチール等の金属板を円
板形状に打抜き、次にカップ形状に絞り加工を施して造
られる。これらの外筒50と内筒51とは、内筒51の縁部51
aが外筒50の縁部50aに巻締められることにより、外筒50
内に取り付けられる。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら、従来このような缶は、外筒50と内筒51と
を別工程で造り、これらを別個に巻締める工程を経て造
られるため、製造工程において頗る手間を要するという
問題があった。又、このようにして巻締められた後、内
容物充填工場にて内容物を缶内に充填した場合、巻締め
不良により、とくに発熱時に内筒が熱膨張して、内容物
が外部に漏れることがあるという欠点があった。
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされ
たもので、製造工程において、手間を要せずかつ内容物
が漏れる虞のない缶の製造方法を提供することを目的と
する。
問題を解決するための手段 この目的を達成するため、この発明はアルミニウム等の
板材を円板形状に打抜く工程(打抜き工程)と、打抜い
た円板1にカップ形状の缶2に絞り加工する工程(カッ
ピング工程)と、先端部が小径で基部が大径の段差3aを
有するアイアニングパンチ3および対応するダイリング
4を用いて、前記カップ形状の缶2に、小径部(Y)と
ダイリング4による絞り加工、及びこれに引き続く、大
径部とダイリングとによる絞りしごき加工を施すことに
より、前記カップ形状の缶2より直径が小さく、かつ胴
部の途中から開口端側にかけて最終の缶と対応する高さ
の薄肉部を有する中間成形体を成形する工程(絞りおよ
び絞りしごき加工工程)と、中間成形体の底部を皺押え
で押圧しつつ、前記胴部の薄肉部が底部側に引き込まれ
るいくらか手前まで、逆絞りパンチ7で底部をダイリン
グ4の内側に押し込む逆絞り加工を施すことにより、薄
肉の外筒9と同心状の内筒10を成形する工程(逆絞り加
工工程)と、さらには缶の開口を絞り込むネッキング工
程を経ることを特徴とするものである。
実施例および作用 次に、この発明を図面に基づいて説明する。
第1図は、打抜き工程においてアルミニウム等の板材を
カッピングプレス機で打抜いた円板1を示した斜視図で
ある。円板1の素材としては、アルミニウム、スチール
等の金属板が使用される。
第2図は、打抜かれた円板1をカッピングプレス機で絞
り加工を施して成形されたカップ形状の缶2の断面図で
ある。このカップ形状の缶2は、単に絞り加工が施され
るだけであるから、その胴部と底部とは、元の円板1の
肉厚と同厚に成形される。
第3図は、第2図で成形されたカップ形状の缶2に絞り
加工および絞りしごき加工を施している断面図である。
すなわち、大径部(X)と小径部(Y)とから構成され
た段差3aを有するアイアニングパンチ3を缶体5の内面
に上方から摺動させ、かつダイリング4との間で絞りし
ごき加工および絞り加工を施し、缶体5を成形する工程
を示している。この缶の製造方法の大きな特徴は、段差
3aを有するアイアニングパンチ3を用いて、カップ形状
の缶2に加工を施す点にある。ダイリング4は、従来絞
りしごき加工用として用いられているダイリングを使用
する。この工程において、小径部(Y)とダイリング4
との間では絞り加工のみが施されるので、小径部(Y)
と接触する部分、すなわち缶体5の胴部のうち、最終的
に内筒、底部および外筒の底部近辺を構成するほぼ下半
分は厚肉に形成され、底部は厚肉のまま残される。一
方、大径部(X)とダイリング4との間では絞りしごき
加工が施されるので、大径部(X)と接触する部分、す
なわち最終的に外筒(ただし底部近辺を除く)を構成す
る缶体5の胴部のほぼ上半分は薄肉に形成される。な
お、小径部(Y)の直径を調節することにより、ダイリ
ング4との間で、同時に若干の絞りしごき加工が施され
る場合もある。
上記絞り加工および絞りしごき加工が施された缶体5
は、次の工程において、缶体5の高さ寸法を調節するた
めに、缶体5の端部を切り揃えるトリミング加工工程を
経ると共に、缶の内面および外面を洗浄する洗浄工程を
経る。さらに、缶体5の内面保護を目的とした内面塗装
工程を通る。なお、トリミング加工工程、洗浄工程、印
刷工程、内面塗装工程は逆絞り加工工程が済んだ後に施
されてもよく、上記絞りしごき加工および絞り加工工程
後に行なうことに限定されない。
第4図は、第3図で成形された缶体5がトリミング加工
工程、洗浄工程等の諸工程を経た後、缶体5を逆絞り加
工する工程を示した断面図である。この工程では、缶体
5の底部5aおよび流れ込んでくる胴部の一部を皺押さえ
6で押圧しながら、逆絞りパンチ7で底部5aをダイリン
グ8の内側に押し込んで、逆絞り加工を途中まで施すも
のである。この工程においては、必要に応じて皺押さえ
6を分割して底部5aを押さえることにより、皺押さえ効
果を向上させることも可能である。
第5図は、逆絞り加工後、得られる所望の缶の断面図で
あり、外筒9の内側に内筒10および底部が一体的に形成
されている。缶の肉厚は各々a、b、cの寸法を有し、
座屈荷重が作用する部位(m部)の肉厚は厚肉に構成さ
れて所望の座屈荷重に耐え得るようにし、座屈荷重の影
響が少ない部位(l部)は薄肉に構成して缶素材の節約
を図ったものである。例えば、直径66mmの缶において、
a=0.423mm、b=0.38mm〜0.43mm、c=0.21mmの缶を
造り、その座屈強度を測定したところ、約150kgであっ
た。同様に、直径66mmの肉厚の均一な缶(第5図に示す
m=0.21mm)の座屈強度を測定したところ、座屈強度は
80kg〜90kgであった。これは、第5図に示すようにm部
の肉厚を厚くすることにより座屈強度が向上したものと
考えられる。
逆絞り加工後、第5図に示すように缶の開口部を絞り込
むネッキング工程に入る。ネッキング加工はネッキング
マシンにより行なわれ、同時にネッキングマシンの缶ホ
ルダー内において、外筒9の缶底9aに段付加工を施し
て、上げ底9bを形成することも可能である。
効果 以上説明してきたように、この発明によれば従来のよう
に、外筒と内筒とを別工程で造り、これらを別個に組み
合わせて巻締めるような、手間のかかる工程を経る必要
がないので、製造工程が簡略化される。又、この発明に
かかる缶の製造工程により造られた缶は、外筒と内筒と
の巻締部が存在しないので、内容物の漏れがなく、かつ
軸方向の座屈強度が向上すると共に缶素材の節約が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図は、この発明に係る製造方法の一実施例
を示したもので、第1図は打抜き工程で切断された円板
の斜視図、第2図はカッピング工程において絞り加工さ
れたカップ形状の缶の断面図、第3図は絞り加工および
絞りしごき加工工程における段差を有するアイアニング
パンチ、ダイリングおよび缶体を示す断面図、第4図は
逆絞り加工工程における逆絞りパンチ、ダイリング、皺
押さえおよび缶体を示す断面図、第5図は逆絞り加工後
にネッキング加工が施された缶の断面図、第6図はネッ
キング加工と同時に底部に段付加工が施された他の実施
例の缶を示す断面図、第7図は従来の二重缶を示した断
面図である。 1……円板、2……カップ形状の缶 3……アイアニングパンチ、3a……段差 4、8……ダイリング、5……缶体 5a……底部、6……皺押さえ 7……逆絞りパンチ、X……大径部 Y……小径部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上端が開口する外筒と下端が開口する内筒
    とを円環状の底部で連結した二重缶を製造する方法であ
    って、 (a)アルミニウム等の板材を円筒形状に打抜く工程
    (打ち抜き工程)と、 (b)打抜いた円板をカップ形状の缶に絞り加工する工
    程(カッピング工程)と、 (c)先端部が小径で基部が大径の段差を有するアイア
    ニングパンチおよび対応するダイリングを用いて、前記
    カップ形状の缶に、小径部とダイリングによる絞り加
    工、及びこれに引き続く、大径部とダイリングとによる
    絞りしごき加工を施すことにより、前記カップ形状の缶
    体より直径が小さく、かつ胴部の途中から開口端側にか
    けて最終の缶と対応する高さの薄肉部を有する中間成形
    体を成形する工程(絞り加工および絞りしごき加工工
    程)と、 (d)中間成形体の底部を皺押さえで押圧しつつ、前記
    胴部の薄肉部が底部側に引き込まれるいくらか手前ま
    で、逆絞りパンチで底部をダイリングの内側に押し込む
    逆絞り加工を施すことにより、薄肉の外筒およびこれと
    同心状の内筒を成形する工程(逆絞り加工工程)と、 (e)外筒の開口を絞り込むネッキング工程を経ること
    を特徴とする二重缶の製造方法
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