JPH0763265B2 - 藺草ハーベスタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、機体走行に伴って圃場に植立する藺草を収穫
する藺草ハーベスタに関する。

〔従来の技術〕

この種の藺草ハーベスタとしては、圃場の藺草を分草装
置でほぐし、引起し装置で引起し、刈取装置で藺草の株
元を切断して、この刈取った藺草の茎先側を、茎先挟持
搬送装置によって引起し装置の引起し方向と同じ機体後
方に送っている。そして、この送られる藺草の株元側に
対し、選別装置を作用させて、雑草や長さの足りない屑
藺草を取り出し、その後に藺草を結束して後方の載置台
に載置回収するものが従来より知られている（例えば特
開昭61−15613号公報参照）。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来構造の藺草ハーベスタでは、刈り取り引き起こ
された藺草の茎先側が、茎先挟持搬送装置によって結束
装置での結束箇所に達するまでの間に、選別装置を構成
するすぐり搬送帯が藺草の株元側に作用して屑藺草を取
り出すように構成されているので、大量に発生する雑草
や屑藺草を結束前に予め除去した状態で以後の処理を効
果的に行える点で有用なものである。

しかしながら、前記選別装置によるすぐり作用は、前記
茎先挟持搬送装置による後方側への送り作用と前記すぐ
り搬送帯による横側方への送り作用との相乗作用によっ
て生じるものであるため、前記の相乗的な送り作用を生
じる装置の一方側での保持がなくなると、それ以上のす
ぐり作用が生じなくなる。このため従来の藺草ハーベス
タでは、前記茎先挟持搬送装置及び前記すぐり搬送帯の
作用長さを充分に長く構成しておかないと、すぐり作用
によって掻き落とされようとする屑藺草が、収穫すべき
正規の長さの藺草から分離されないまま結束等の後処理
行程に送られてしまうという問題がある。

本発明の目的は、引き起こし装置から受け渡された藺草
を挟持搬送する茎先挟持搬送装置との協働で屑藺草をす
ぐり選別する選別装置の小型化を図りながら、すぐり性
能を向上することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために講じた本発明の技術手段は、
走行機体の進行に伴って圃場の藺草を分草する分草装置
と、分草処理された藺草を導入しながら引起す引起し装
置と、引起された圃場の藺草の株元を切断する刈取装置
と、刈取り対象藺草の茎先側を挟持して選別装置の背部
で上側部に配設した結束装置へ送る茎先挟持搬送装置
と、前記茎先挟持搬送装置で送られる途中の藺草の株元
側を、機体外方側へ向けて係止搬送しながら、屑藺草を
すぐり出す選別装置とを備えた藺草ハーベスタであっ
て、前記選別装置を、この選別装置による藺草株元の搬
送方向を前記茎先挟持搬送装置による藺草茎先側の搬送
方向とは交差する方向へ向かわせるように配設するとと
もに、前記選別装置を、上下に複数個配設した藺草株元
側を係止搬送する係止爪付きのスグリ搬送帯と、そのス
グリ搬送帯の終端で上下軸芯周りに回転して屑藺草を挟
持搬送して放出する上下に一定長さを有せしめた一対の
ローラとの組合せで構成してあることである。

〔作 用〕

上記の技術手段を講じたことによる作用は次の通りであ
る。

a.茎先挟持搬送装置による藺草の茎先側の搬送方向とは
交差する方向に選別装置による藺草株元の搬送方向を設
定してあるので、両装置の協働で搬送される途中の藺草
株元側に対してすぐり作用を与え、積極的に屑藺草の除
去を行うことができる。

b.そして、前記選別装置は、上下に複数個配設した藺草
株元側を係止搬送する係止爪付きのスグリ搬送帯と、そ
のスグリ搬送帯の終端に上下軸芯周りに回転して屑藺草
を挟持搬送して放出する上下に一定長さを有せしめた一
対のローラとを設けて構成しているので、屑藺草がスグ
リ搬送帯ですぐり作用を受けた後にも未だ正規長さの藺
草から分離されないうちに、スグリ搬送帯の搬送作用範
囲の終端に達したとしても、互いに離反する方向に作用
する茎先挟持搬送装置と一対のローラとの搬送力によ
り、すなわち、茎先側が挟持されている正規の藺草は茎
先挟持搬送装置により茎先を挟持されて、前記一対のロ
ーラ存在箇所から離れる方向へ、また、未分離の屑藺草
は一対のローラにより茎先挟持搬送装置から離れる方向
へと、夫々挟持搬送することにより、未分離の屑藺草は
確実に送り出し放出することができる。

つまり、屑藺草が前記スグリ搬送帯の搬送作用範囲の終
端に達して、そのスグリ搬送帯による搬送作用が消失し
ても、茎先挟持搬送装置と一対のローラの搬送力が互い
に離反する方向に作用して引き続いて未分離の屑藺草を
分離すべく搬送する。そして、このローラによる挟持搬
送は、スグリ搬送帯による係止搬送のように搬送長さが
決まったものではなく、無制限に搬送作用を与え続ける
ことができるものであるから、前記のとおり茎先挟持搬
送装置との協働作用と相俟って前記スグリ搬送帯の長さ
を必要最小限の短いものに構成しても、長い屑藺草にも
対応した所期の送り出し機能を達成できるものである。

c.また、一対のローラを上下に一定長さを有せしめて上
下に複数個発生してなる係止爪つきのスグリ搬送帯の終
端に設けたので、屑藺草のキャッチング洩れが少なく、
前記ローラの存在によって選別装置の搬送終端部におけ
る屑藺草の停滞による堆積を回避でき、より一層選別装
置での選別が良好に行えるものとなる。

〔発明の効果〕

上記のように、茎先挟持搬送装置の搬送力を利用可能に
して係止爪付きのスグリ搬送帯と一対のローラを組合せ
て構成することにより、スグリ搬送帯の搬送長さに制約
されることなく、充分に長い屑藺草を排出することがで
きる。したがって、長い屑藺草にも対応する所期の送り
出し機能を有した選別装置を、スグリ搬送帯の搬送長さ
が短い小型のもので構成することができる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図及び第２図に示すように、駆動回転される左右一
対の分草装置（１）、分草装置（１）から藺草を導入し
ながら引起す左右一対の引起し装置（２）、引起された
藺草の株元を切断するバリカン型の刈取装置（３）、刈
取られた藺草の茎先側を挟持して横方向に送る茎先挟持
搬送装置（４）、茎先挟持搬送装置（４）で送られる藺
草の株元側を前方（第１図では紙面右方）に向けて係止
搬送しながら屑藺草をすぐり出す選別装置（５）、選別
装置（５）の作用によって倒れ姿勢に設定された選別処
理後の藺草を結束する結束装置（６）、結束された藺草
の束を載置する載置台（７）を備えて藺草ハーベスタを
構成しており、農用トラクタの走行機体（Ａ）にこの藺
草ハーベスタを連結している。

第１図及び第２図に示すように走行機体（Ａ）は、農用
トラクタの運転座席（８）、ステアリングハンドル
（９）等を走行機体（Ａ）に対して前後逆向きに変更し
た状態で用いられており、藺草ハーベスタに対して走行
機体（Ａ）からの動力が伝動軸（10）を介して伝えら
れ、走行機体（Ａ）に備えたリフトアーム（11）の作動
によって、藺草ハーベスタの対地レベル調節を行えるよ
うに構成している。

次に、藺草ハーベスタに備えた各装置の構造について説
明する。第1,2,3図に示すように、分草装置（１）は、
分草フレーム（12）の前部に前端をボールジョイント
（13）を介して支持した前下り姿勢で緩やかに湾曲した
杆体（1a）、この杆体（1a）を第２図に示すように、紡
錘状の軌跡を描いて軸芯（Ｐ）周りで回転駆動する駆動
機構（1b）により構成されている。引起し装置（２）
は、上下一対のスプロケット（2a）、これらに巻回され
た無端チェーン（2b）、無端チェーン（2b）に設けた多
数の起伏爪（2c）、これらを収めるケース（2d）により
構成されている。

第1,2,3図に示すように茎先挟持搬送装置（４）は、縦
向き軸芯で回転する多数のプーリ（4a）、これらに巻回
されて藺草を傷めないような柔軟な材質の一対の挟持ベ
ルト（4b）により構成されている。

選別装置（５）は、前後一対のスプロケット（14）に巻
回される無端チェーン（15）に多数の起伏爪（16）を備
えたものを、ケース（17）に内装し、このケース（17）
を上下方向に３つ並設してスグリ搬送帯（5A）を構成し
ており、このスグリ搬送帯（5A）で掻送られた屑藺草を
さらに前方に向けて放出する左右一対のローラ（5B）
と、前述のスグリ搬送帯（5A）とで選別装置（５）が構
成されている。又、選別処理後の藺草の株元側の結束装
置（６）側への送りを補助するため、突起ベルト（18）
が設けられている。

以上の構成により、収穫作業時において、株元が切断さ
れた藺草は、その茎先側が茎先挟持搬送装置（４）によ
って挟持された状態で選別作用を受ける為に、株元側が
前方に向かう倒れ姿勢に設定され、この後に結束装置
（６）で結束され載置台（７）上に放出されるのであ
る。

〔別実施例〕

本発明は前述の実施例以外に例えば、３条刈以上又は１
条刈用に藺草ハーベスタを構成しても良い。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為
に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成
に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る藺草ハーベスタの実施例を示し、第
１図は走行機体及び藺草ハーベスタの平面図、第２図は
走行機体及び藺草ハーベスタの側面図、第３図は藺草に
対する選別の処理状態を示す藺草ハーベスタの側面図で
ある。 （１）……分草装置、（２）……引起し装置、（３）…
…刈取装置、（４）……茎先挟持搬送装置、（５）……
選別装置、（5A）……スグリ搬送帯、（5B）……ロー
ラ、（６）……結束装置、（７）……載置台、（Ａ）…
…走行機体。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−150320（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−15613（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−10431（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭60−6188（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】走行機体（Ａ）の進行に伴って圃場の藺草
   を分草する分草装置（１）と、分草処理された藺草を導
   入しながら引起す引起し装置（２）と、引起された圃場
   の藺草の株元を切断する刈取装置（３）と、刈取り対象
   藺草の茎先側を挟持して選別装置（５）の背部で上側部
   に配設した結束装置（６）へ送る茎先挟持搬送装置
   （４）と、前記茎先挟持搬送装置（４）で送られる途中
   の藺草の株元側を、機体外方側へ向けて係止搬送しなが
   ら、屑藺草をすぐり出す選別装置（５）とを備えた藺草
   ハーベスタであって、前記選別装置（５）を、この選別
   装置（５）による藺草株元の搬送方向を前記茎先挟持搬
   送装置（４）による藺草茎先側の搬送方向とは交差する
   方向へ向かわせるように配設するとともに、 前記選別装置（５）を、上下に複数個配設した藺草株元
   側を係止搬送する係止爪付きのスグリ搬送帯（5A）と、
   そのスグリ搬送帯（5A）の終端で上下軸芯周りに回転し
   て屑藺草を挟持搬送して放出する上下に一定長さを有せ
   しめた一対のローラ（5B）との組合せで構成してある藺
   草ハーベスタ。