JPH0762424A - レーザ焼入れ用レーザ吸収剤 - Google Patents
レーザ焼入れ用レーザ吸収剤Info
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- JPH0762424A JPH0762424A JP21176593A JP21176593A JPH0762424A JP H0762424 A JPH0762424 A JP H0762424A JP 21176593 A JP21176593 A JP 21176593A JP 21176593 A JP21176593 A JP 21176593A JP H0762424 A JPH0762424 A JP H0762424A
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Abstract
じさせることなく効率良く所定の焼入れ温度まで急速加
熱できるようなレーザ吸収剤を提供することにある。 【構成】レーザ焼入れを行う際に鋳鉄製のワークの表面
に塗布するレーザ吸収剤であって、MoS2 を16重量
%、黒鉛を3重量%を含み、バインダとしてアクリル系
樹脂を用いるとともに、溶剤としてハイドロクロロフロ
ロカーボンを用いている。このレーザ吸収剤をワークの
表面に塗布したのち、レーザビームを照射することによ
ってスポット状にエネルギーを集中させ、所定の焼入れ
温度まで加熱する。このレーザ吸収剤に含まれているM
oS2 は、鋳鉄の溶融温度付近で分解するため、ワーク
表面が溶融することなく所定の焼入れ温度まで急速加熱
される。
Description
レーザ焼入れする場合に好適なレーザ吸収剤に関する。
たディーゼルエンジン等において、シリンダブロックの
筒穴(シリンダボア)の内面に耐摩耗性のライナーを挿
入することが行われているが、部品点数の削減やコスト
の低減化を図るために、ライナーを用いないシリンダブ
ロックが要望されている。このようなライナーレスのシ
リンダブロックは、筒穴内面に直接ピストンやピストン
リングが接するため、例えば自動車用エンジンのように
高回転域で使われるエンジンにおいては、筒穴内面の耐
摩耗性をいかにして高めるかが重要な課題である。
て、筒穴内面を焼入れ等の熱処理によって調質すること
が考えられている。このため本発明者らは、シリンダブ
ロックの筒穴内面にレーザビームによるスポット状の焼
入れを行う技術を開発し、種々の試験と試作等を行って
きた。レーザビームによる焼入れは、筒穴の内面に高密
度エネルギーを集中させて短時間の局部急速加熱を行っ
たのち、シリンダブロック内部への熱拡散による自己冷
却作用によって急冷させ、マルテンサイト組織を得るよ
うにしている。従ってレーザ焼入れにおいては、レーザ
ビームを効率良く吸収させるために、レーザ吸収剤をワ
ークの表面に塗布するようにしている。
はレーザビームの吸収効率が高いことも重要であるが、
単にレーザビームの吸収効率が良いだけではワークの材
質によっては焼入部にチル(溶融)を生じてしまって、
焼入れ品質がかえって悪くなることがある。例えば前述
した鋳鉄製シリンダブロックのレーザ焼入れに際して、
黒鉛を主成分とするレーザ吸収剤を用いた場合、焼入部
の温度が鋳鉄の溶融温度よりも高くなり、チルが生じて
しまう。また、特開平2−19420号公報に記載され
ているように窒化ホウ素からなるレーザ吸収剤も知られ
ているが、鋳鉄製ワークのレーザ焼入れに適していると
は言えないものであった。
レーザ焼入れを行うに当って、ワーク表面を溶融温度直
前まで急速加熱することができ、溶融による害を防止で
きるようなレーザ吸収剤を提供することにある。
開発された本発明のレーザ吸収剤は、MoS2 を15〜
19重量%、黒鉛を2〜5重量%含有し、残部が主とし
てバインダと溶剤であることを特徴とする。溶剤はハイ
ドロクロロフロロカーボン(HCFC)が適しており、
この溶剤を用いた場合のバインダはアクリル系樹脂が適
している。
たのち、例えばCO2 レーザ発振器等から出力されるレ
ーザビームによるスポット状の焼入れが実施される。レ
ーザによる焼入れは加熱面積が小さいため、ビームを一
定方向に走行させながらビーム照射による高密度エネル
ギーをワーク表面に集中させる。照射されたレーザビー
ムはレーザ吸収剤によって瞬時に吸収され、短時間で効
果的な局部急速加熱が行われる。レーザ照射後は、加熱
された箇所の熱がワークの内部を拡散することによって
急冷されるため、この自己冷却作用によって焼入れマル
テンサイト組織が得られる。
付近で分解してレーザ吸収効果が落ちるため、ワーク表
面の溶融が回避される。鋳鉄は炭素を 1.7〜4.5 mass%
含有する鉄−炭素合金であり、鋳造性の改善のため、あ
るいは不純物として、Si,Mn,P,Sを含有する場
合もある。鋳鉄の融点は一般鋼に比べて低く、例えば1
160℃前後である。
照して説明する。図3はワークの一例としてのシリンダ
ブロック10を示している。このシリンダブロック10
はFC250 等の鋳鉄によって鋳造され、ピストン11
を挿入する筒穴12が形成されている。この筒穴12の
内面12aに、図4に示すような多数のスポット状レー
ザ焼入部15を含む調質部分16が設けられている。
であり、それぞれ筒穴12の周方向に沿う横長な形状を
なしている。焼入部15の長さLの一例は15mm、幅W
の一例は3.5mm前後である。焼入れ深さの一例は0.
2mm以上が望ましいが、調質の目的によっては10〜1
5μm程度の焼入れ深さでも効果が認められる場合があ
る。これらの焼入部15は、筒穴12の周方向に所定ピ
ッチP1 で複数箇所に設けられているとともに、筒穴1
2の軸線方向に所定ピッチP2 で複数列設けられてい
る。ピッチP2 の一例は5mmである。
5に例示した一連の工程を経てレーザ焼入れ等の処理が
行われる。機械加工工程S1では、筒穴12の内面12
aがボーリングマシン等の工作機械によって所定の内径
に切削される。この工程S1が実施された筒穴12の内
面12aには研削油が付着しているため、機械加工後に
洗浄工程S2が実施され、筒穴12の内面洗浄と乾燥が
行われる。
剤塗布工程S3において、図1に例示した塗布装置40
を用いて、レ−ザ吸収剤が筒穴12の内面12aに塗布
される。塗布装置40は、筒穴12に挿入される塗布ノ
ズル41と、この塗布ノズル41を回転させる機構42
と、塗布ノズル41を上下させる昇降機構43などから
なり、筒穴内面12aに所定の膜厚となるように上記レ
ーザ吸収剤を吹付けるようになっている。
本実施例のレーザ吸収剤は、主剤として15〜19wt%
のMoS2 と2〜5wt%の黒鉛を含有するとともに、バ
インダとしてのアクリル系樹脂を6〜10wt%添加し、
溶剤としてのハイドロクロロフロロカーボン(CF3 C
F2 CHCl2 +CClF2 CF2 CHClF)66〜
77wt%で溶いたものである。特に好ましいMoS2 の
含有量は16wt%、黒鉛が3wt%であった。このレーザ
吸収剤の塗布厚は25μm〜45μm程度がよい。
と、MoS2 の含有量が19wt%を越える場合には、C
O2 レーザの吸収効率が低過ぎるため過大なレーザビー
ムパワーが必要となり、小さなパワーでは所定温度に到
達しにくくなる。一方、黒鉛が5wt%を越える場合と、
MoS2 が15wt%未満の場合には、レーザの吸収効率
が高過ぎて鋳鉄の場合に溶融を生じるようになる。この
ためMoS2 と黒鉛の含有量を前記範囲に限定する。
CFC)を用いる理由は、フロン系の溶剤に比べてオゾ
ン破壊係数が低く、しかも不燃性であることなどによる
が、HCFCは溶解するバインダの種類が少ないことが
欠点として挙げられる。この問題は、HCFCに対して
溶解性の良いアクリル樹脂をバインダに用いることによ
り解決した。
レーザ焼入れ装置50によってレーザビームによる焼入
れが行われる。焼入れ装置50の一例は、筒穴12の内
部に挿入される加工ヘッド51と、レーザ発生手段の一
例としてCO2 レーザ発振器52と、このレーザ発振器
52によって発生させた10.6μmの波長のレーザビ
ームを加工ヘッド51に導く光学系53などを備えてい
る。
2の内面12aに周方向に所定間隔でレーザビームを走
行させながら高密度エネルギーを集中させ、チル(溶
融)を出さない程度の温度まで短時間で急速加熱を行
う。加熱温度の一例は980℃〜1120℃であり、要
するに鋳鉄のA1 変態点以上の温度に設定される。加熱
時間の一例は0.2秒程度である。
おいて蓄熱状況を考慮したパワーに個別設定され、NC
パワー制御が実行される。レーザビームによって急速加
熱された箇所は、レーザの照射を停止した時に、熱が急
速にシリンダブロック10内を伝って拡散し、急冷状態
になることによって、焼入れ前のパーライトとフェライ
トの混合組織が焼入れマルテンサイトに変化する。こう
して、筒穴12の円周方向に順次焼入れが実施される。
ン・グラファイト系)を用いた場合と、比較例(窒化ホ
ウ素系およびモリブデン系のレーザ吸収剤)を用いた場
合のワーク表面温度を示している。本実施例のレーザ吸
収剤を用いた場合には、溶融温度に達する直前まで急速
加熱されるが、溶融温度直前でMoS2 が分解してレー
ザ吸収効果が落ちるため、ワーク表面にチルを生じるこ
となく効果的な急速加熱が行える。
焼戻し工程S5が実施される。焼戻し工程S5において
は、加熱手段の一例としての高周波誘導コイルによっ
て、筒穴内面12aが所定のテンパー温度(例えば30
0℃〜350℃)に加熱されたのち、空気中で放置され
る。
ホーニング機によって筒穴12の内面12aにホーニン
グ加工が行われる。ホーニング機は、回転駆動機構によ
って回転させられる回転ヘッドに砥石を設けたものであ
り、砥石を筒穴内面12aにスパイラル状に擦りつける
ことにより、いわゆるクロスハッチと称される多数の微
細な斜状の擦り溝が形成される。この擦り溝はエンジン
運転中にオイルを保持する機能を果たす。
率が良く、しかもワーク表面に溶融を生じることなく焼
入れに適した温度まで急速加熱を行うことができる。
ンダブロックの斜視図。
一部の展開図。
加工工程を示す工程説明図。
レーザ吸収剤を用いた場合のワーク表面温度を示すタイ
ムチャート。
0…レーザ吸収剤塗布装置、50…レーザ焼入れ装置。
Claims (2)
- 【請求項1】レーザ焼入れを行う際にワークの表面に塗
布するレーザ吸収剤であって、 MoS2 を15〜19重量%、黒鉛を2〜5重量%含有
し、残部が主としてバインダと溶剤であることを特徴と
するレーザ焼入れ用レーザ吸収剤。 - 【請求項2】上記バインダがアクリル系樹脂であり、上
記溶剤がハイドロクロロフロロカーボンである請求項1
記載のレーザ吸収剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5211765A JP3067480B2 (ja) | 1993-08-26 | 1993-08-26 | レーザ焼入れ用レーザ吸収剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5211765A JP3067480B2 (ja) | 1993-08-26 | 1993-08-26 | レーザ焼入れ用レーザ吸収剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0762424A true JPH0762424A (ja) | 1995-03-07 |
JP3067480B2 JP3067480B2 (ja) | 2000-07-17 |
Family
ID=16611216
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5211765A Expired - Fee Related JP3067480B2 (ja) | 1993-08-26 | 1993-08-26 | レーザ焼入れ用レーザ吸収剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3067480B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2086306A1 (en) * | 1997-04-04 | 2009-08-05 | Delta Design, Inc. | Temperature control system for an electronic device |
JP2013083003A (ja) * | 2012-11-26 | 2013-05-09 | Yanmar Co Ltd | 内燃機関用鋳鉄製シリンダブロックのライナ表面部の硬化処理方法 |
CN116572493A (zh) * | 2023-07-07 | 2023-08-11 | 成都希德光安全科技有限公司 | 复合激光防护板及其加工工艺 |
-
1993
- 1993-08-26 JP JP5211765A patent/JP3067480B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2013083003A (ja) * | 2012-11-26 | 2013-05-09 | Yanmar Co Ltd | 内燃機関用鋳鉄製シリンダブロックのライナ表面部の硬化処理方法 |
CN116572493A (zh) * | 2023-07-07 | 2023-08-11 | 成都希德光安全科技有限公司 | 复合激光防护板及其加工工艺 |
Also Published As
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JP3067480B2 (ja) | 2000-07-17 |
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