JP3196429B2 - レーザ焼入れ方法 - Google Patents
レーザ焼入れ方法Info
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- JP3196429B2 JP3196429B2 JP15345293A JP15345293A JP3196429B2 JP 3196429 B2 JP3196429 B2 JP 3196429B2 JP 15345293 A JP15345293 A JP 15345293A JP 15345293 A JP15345293 A JP 15345293A JP 3196429 B2 JP3196429 B2 JP 3196429B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ焼入れ方法に関
する。
する。
【０００２】
【従来の技術】レーザ光のビームを被加工物表面に照射
しつつ該表面に沿って相対的に移動させて焼入れを行う
場合、従来においては、何らかの方法で、均一なパワー
密度分布を有する矩形ビームを成形して、焼入れに用い
ていた（昭和57年発行、社団法人日本溶接協会大出力レ
ーザ金属加工法研究会編「レーザ加工技術解説書」Ｐ4
2，115 参照）。
しつつ該表面に沿って相対的に移動させて焼入れを行う
場合、従来においては、何らかの方法で、均一なパワー
密度分布を有する矩形ビームを成形して、焼入れに用い
ていた（昭和57年発行、社団法人日本溶接協会大出力レ
ーザ金属加工法研究会編「レーザ加工技術解説書」Ｐ4
2，115 参照）。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、パワー密度分
布を任意に変化させて最適なパワー密度分布形状を見出
すことは非常に難しく、均一パワー密度分布の矩形ビー
ムが、レーザ発振器から直接得られるシングルモード、
マルチモード、あるいはリングモードの円形ビームより
優れていることが、解析的、あるいは実験的に確認され
てきただけであった。従って、均一パワー密度分布が最
適のビームであることの証明はなされていなかった。
布を任意に変化させて最適なパワー密度分布形状を見出
すことは非常に難しく、均一パワー密度分布の矩形ビー
ムが、レーザ発振器から直接得られるシングルモード、
マルチモード、あるいはリングモードの円形ビームより
優れていることが、解析的、あるいは実験的に確認され
てきただけであった。従って、均一パワー密度分布が最
適のビームであることの証明はなされていなかった。
【０００４】そこで、本発明者らは、数値解析によるレ
ーザ焼入れ現象のシュミレーションを可能とするシステ
ムを開発して、最適パワー密度分布の検討を行ってき
た。本発明は、このような実情に鑑みてなされたもの
で、レーザ焼入れ現象のシュミレーション解析結果によ
り、最適パワー密度分布を有するビームを用いたレーザ
焼入れ方法を提供することを目的とする。
ーザ焼入れ現象のシュミレーションを可能とするシステ
ムを開発して、最適パワー密度分布の検討を行ってき
た。本発明は、このような実情に鑑みてなされたもの
で、レーザ焼入れ現象のシュミレーション解析結果によ
り、最適パワー密度分布を有するビームを用いたレーザ
焼入れ方法を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、レ
ーザ光の矩形ビームを被加工物表面に照射しつつ該表面
に沿って相対的に移動させて焼入れを行うレーザ焼入れ
方法において、相対的なビーム移動方向の前方にパワー
密度（エネルギ密度）のピークを持つビームを用いるこ
とを特徴とする。
ーザ光の矩形ビームを被加工物表面に照射しつつ該表面
に沿って相対的に移動させて焼入れを行うレーザ焼入れ
方法において、相対的なビーム移動方向の前方にパワー
密度（エネルギ密度）のピークを持つビームを用いるこ
とを特徴とする。
【０００６】
【作用】このことにより、従来の均一パワー密度分布の
ビームを用いた焼入れに比べて、オーステナイト化温度
以上、融点以下に、焼入れ部を保持する時間が長くとれ
るため、炭素の拡散が充分に行え、結晶粒が粗大な材料
に対しても均一な焼入れが行える。
ビームを用いた焼入れに比べて、オーステナイト化温度
以上、融点以下に、焼入れ部を保持する時間が長くとれ
るため、炭素の拡散が充分に行え、結晶粒が粗大な材料
に対しても均一な焼入れが行える。
【０００７】
【実施例】以下に本発明をシュミレーション解析の実施
例に基づいて説明する。図１はシュミレーション解析に
用いたパワー密度分布の一例である。従来の完全に均一
なパワー密度分布のビームと、ビーム移動方向の前方あ
るいは後方にパワー密度のピークを持つビーム（本発明
及びその比較例）とが示されている。いずれのビームも
出力は1850Ｗで、一定である。
例に基づいて説明する。図１はシュミレーション解析に
用いたパワー密度分布の一例である。従来の完全に均一
なパワー密度分布のビームと、ビーム移動方向の前方あ
るいは後方にパワー密度のピークを持つビーム（本発明
及びその比較例）とが示されている。いずれのビームも
出力は1850Ｗで、一定である。
【０００８】図２は上記ビームを用いて移動速度（送り
速度）を変化させ、表面が溶融する直前の条件で得られ
た焼入れ部表面中心での温度履歴を示している。表面が
溶融する直前の条件での移動速度は、従来のパワー密度
の場合が 0.4ｍ/min、本発明（前方にピーク）の場合が
0.2ｍ/min、本発明の比較例（後方にピーク）の場合が
0.75ｍ/minであった。
速度）を変化させ、表面が溶融する直前の条件で得られ
た焼入れ部表面中心での温度履歴を示している。表面が
溶融する直前の条件での移動速度は、従来のパワー密度
の場合が 0.4ｍ/min、本発明（前方にピーク）の場合が
0.2ｍ/min、本発明の比較例（後方にピーク）の場合が
0.75ｍ/minであった。
【０００９】次に作用を説明する。図２により、ビーム
移動方向の前方にパワー密度のピークを持つビームを用
いた場合には、最高到達温度は最も低いが、短い時間で
最高温度に達し、その温度を比較的長く持続する。従っ
て、温度変化が小さいため、加熱部では均一な温度分布
が得られると考えられると共に、材料のオーステナイト
化温度（Ａ3 点）以上、融点（Ｔｍ）以下に、焼入れ部
を保持する時間が最も長くなることが見出された。尚、
このとき、本発明以外のビームでビーム移動速度を遅く
すれば、表面溶融を起こし焼入れとして適当でないこと
は明白である。
移動方向の前方にパワー密度のピークを持つビームを用
いた場合には、最高到達温度は最も低いが、短い時間で
最高温度に達し、その温度を比較的長く持続する。従っ
て、温度変化が小さいため、加熱部では均一な温度分布
が得られると考えられると共に、材料のオーステナイト
化温度（Ａ3 点）以上、融点（Ｔｍ）以下に、焼入れ部
を保持する時間が最も長くなることが見出された。尚、
このとき、本発明以外のビームでビーム移動速度を遅く
すれば、表面溶融を起こし焼入れとして適当でないこと
は明白である。
【００１０】そこで、低炭素鋼Ｓ４０（ＪＩＳ）を1000
℃で３時間焼きなまして結晶粒を粗大化した材料に、上
記パワー密度分布をほぼ再現したレーザ光のビームを照
射して焼入れを行った。その結果、図３は照射前の組織
（焼入れ前組織）を示すのに対し、図４は本発明のビー
ム移動方向の前方にパワー密度のピークを持つビームに
よる焼入れ組織を示し、均一なマルテンサイトの組織が
得られた。一方、図５は従来の均一なパワー密度分布の
ビームによる焼入れ組織を示し、もともとフェライト粒
であったところが部分的にそのまま残った不均一な焼入
れ組織となった。
℃で３時間焼きなまして結晶粒を粗大化した材料に、上
記パワー密度分布をほぼ再現したレーザ光のビームを照
射して焼入れを行った。その結果、図３は照射前の組織
（焼入れ前組織）を示すのに対し、図４は本発明のビー
ム移動方向の前方にパワー密度のピークを持つビームに
よる焼入れ組織を示し、均一なマルテンサイトの組織が
得られた。一方、図５は従来の均一なパワー密度分布の
ビームによる焼入れ組織を示し、もともとフェライト粒
であったところが部分的にそのまま残った不均一な焼入
れ組織となった。
【００１１】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
レーザ焼入れ方法は、矩形レーザビームの相対的なビー
ム移動方向の前方にパワー密度のピークを持つビームを
用いる構成としたことから、最高到達温度は低いが、短
い時間で最高温度に達し、その温度を比較的長く維持す
る特性が得られるので、ビーム移動速度の調整により、
オーステナイト化温度以上、融点以下に、焼入れ部を保
持する時間が最も長くなり、従って、結晶粒が粗大化し
た材料であっても、均一な焼入れを行うことができると
いう優れた効果が得られる。
レーザ焼入れ方法は、矩形レーザビームの相対的なビー
ム移動方向の前方にパワー密度のピークを持つビームを
用いる構成としたことから、最高到達温度は低いが、短
い時間で最高温度に達し、その温度を比較的長く維持す
る特性が得られるので、ビーム移動速度の調整により、
オーステナイト化温度以上、融点以下に、焼入れ部を保
持する時間が最も長くなり、従って、結晶粒が粗大化し
た材料であっても、均一な焼入れを行うことができると
いう優れた効果が得られる。
【図１】 矩形ビームにおける各種パワー密度分布を示
す図
す図
【図２】 各種パワー密度分布での加熱冷却曲線を示す
図
図
【図３】 照射前の組織（焼入れ前組織）を示す図
【図４】 本発明による焼入れ組織を示す図
【図５】 従来法による焼入れ組織を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−270717（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−103290（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C21D 1/09 B23K 26/00
Claims (1)
- 【請求項１】レーザ光の矩形ビームを被加工物表面に照
射しつつ該表面に沿って相対的に移動させて焼入れを行
うレーザ焼入れ方法において、相対的なビーム移動方向
の前方にパワー密度のピークを持つビームを用いること
を特徴とするレーザ焼入れ方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15345293A JP3196429B2 (ja) | 1993-06-24 | 1993-06-24 | レーザ焼入れ方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15345293A JP3196429B2 (ja) | 1993-06-24 | 1993-06-24 | レーザ焼入れ方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0711325A JPH0711325A (ja) | 1995-01-13 |
| JP3196429B2 true JP3196429B2 (ja) | 2001-08-06 |
Family
ID=15562871
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15345293A Expired - Fee Related JP3196429B2 (ja) | 1993-06-24 | 1993-06-24 | レーザ焼入れ方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3196429B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008267598A (ja) * | 2007-03-23 | 2008-11-06 | Yamaha Motor Co Ltd | クランクシャフト、内燃機関、輸送機器およびクランクシャフトの製造方法 |
-
1993
- 1993-06-24 JP JP15345293A patent/JP3196429B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0711325A (ja) | 1995-01-13 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080608 Year of fee payment: 7 |
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| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090608 Year of fee payment: 8 |
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| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |