JPH0761888B2 - セメント組成物 - Google Patents

セメント組成物

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JPH0761888B2
JPH0761888B2 JP15192086A JP15192086A JPH0761888B2 JP H0761888 B2 JPH0761888 B2 JP H0761888B2 JP 15192086 A JP15192086 A JP 15192086A JP 15192086 A JP15192086 A JP 15192086A JP H0761888 B2 JPH0761888 B2 JP H0761888B2
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カネボウ・エヌエスシ−株式会社
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、アクリル酸系樹脂の水性エマルジヨンによ
り、接着性,弾性,防水性等に優れたセメント硬化体を
生成するセメント組成物に関するものである。
〔従来の技術〕
従来から、建築物等の塗布仕上げ等に用いられるセメン
ト組成物には、合成樹脂水性エマルジヨンが添加されて
おり、生成セメント硬化体の収縮亀裂の発生の防止,防
水性の付与,接着性の向上,耐衝撃性の向上,耐摩耗性
の向上,弾性の付与等の効果が得られている。上記合成
樹脂水性エマルジヨンとしては、合成ゴム系ラテツク
ス,アクリル系エマルジヨン,エチレン・酢酸ビニル系
エマルジヨン,エチレン・塩ビ系エマルジヨン等が用い
られている。
これらのエマルジヨンのうち、合成ゴム系ラテツクス
は、その合成ゴムが耐水性,耐セメントアルカリ性には
優れているものの、耐オゾン性,耐熱性,耐候性に劣る
という特性を有しているため、あまり有効なセメント混
和剤とはいえない。また、エチレン・酢酸ビニル系エマ
ルジヨンは、そのエチレン・酢ビ共重合樹脂が、接着性
には優れているものの、耐水性,耐セメントアルカリ
性,耐候性に劣るという特性を有しており、これも有効
なセメント混和剤とはいえない。エチレン・塩ビ系エマ
ルジヨンも、その樹脂は接着性,耐セメントアルカリ性
に優れているものの、耐熱性,耐候性に劣るという特性
を有しており、これもまた有効なセメント混和剤とはい
えない。これに対して、アクリル系エマルジヨンは、そ
の樹脂の特性がほぼ全てにわたつて優れており、総合的
に最も優れたセメント混和剤として広く使用されてい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記のように、アクリル系エマルジヨンは、優れたセメ
ント混和剤として広く使用されているが、さらにその性
能を高める試みがなされている。例えば、上記エマルジ
ヨンに使用するアクリル樹脂の接着力を高めてセメント
硬化体の接着性をさらに向上させる目的で、カルボキシ
ル基やグリシジル基をもつエチレン性不飽和単量体また
はカチオン系エチレン性不飽和単量体(例えばアルキル
アミノエチルメタクリレート等)を共重合させたり、カ
チオン性界面活性剤やカチオン性保護コロイドをエマル
ジヨンに添加してカチオン性を付与する方法が提案され
ている。しかしながら、このような方法によるセメント
硬化体の接着性の向上では、適用分野によつてはまだ不
充分とされている。すなわち、釉薬をかけた磁器タイル
の表面,プラスチツク製床材(エポキシ樹脂系床材,ウ
レタン樹脂系床材,塩化ビニル樹脂系床材等),アスフ
アルトコンクリート面,鋼板,合板,古くなつたセメン
トコンクリートやセメントモルタル面等に対しては接着
性が劣るため、それら材料面に対しての塗布仕上げに用
いることは難しい。
また、セメント硬化体の弾性を高める目的で、アクリル
系エマルジヨンに使用するアクリル樹脂として、ガラス
転移温度の低い軟質なものを選択し、その使用量を増加
するという方法も提案されている。この方法によれば、
かなりの効果が期待できる筈であるが、実際には、使用
するアクリル樹脂を、ガラス転移温度の低い軟質なもの
とすると、それによつてセメント硬化体の接着性が低下
するため、ガラス転移温度の低いものを使用するにも自
ずと限界があり、期待どおりの効果が得られず、ある程
度の弾性の向上効果が得られるにすぎない。特に、上記
のように、ガラス転移温度の低いものの使用に制約を受
ける結果、低温時の弾性の改善については不充分であ
り、実用上種々の制約を受けているのが実状である。
この発明は、多様な被着体に対して優れた接着性を示す
と共に、低温領域を含む広い温度領域において優れた弾
性を発揮するセメント硬化物になりうるセメント組成物
の提供をその目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明のセメント組成物
は、下記のA成分とB成分を主成分とするという構成を
とる。
(A)下記の一般式(1)で表される反覆単位および一
般式(2)で表される反覆単位の少なくとも一方と、一
般式(3)で表される反覆単位とを主成分とし、ガラス
転移温度が10℃以下であるアクリル酸系樹脂の水性エマ
ルジヨン。
(B)セメント。
すなわち、この発明のセメント組成物には、上記の反覆
単位を主成分とし、ガラス転移温度が10℃以下であるア
クリル酸系樹脂の水性エマルジヨンが含まれており、そ
のアクリル酸系樹脂は、粒子状をしていてカチオン性を
帯びているため、セメント組成物を被着体表面に塗布し
たときに、アニオン性を帯びているセメント粒子に効率
よく吸着する。その結果、セメント粒子,アクリル酸系
樹脂粒子の分布ないし配置が均一になる。そして、その
状態でアクリル酸系樹脂粒子の表面に存在する官能基 がセメント粒子のアルカリにより架橋反応を起こし、樹
脂分子間,樹脂粒子間ならびにセメントさらには被着体
とも強固に結合し、それによつて生成セメント硬化体が
優れた接着性を発揮し被着体に強く接着する。このよう
な接着性の著しい向上は、ガラス転移温度の低いアクリ
ル酸系樹脂(接着性低下作用を有する)の使用を許容
し、上記のようなガラス転移温度の低い樹脂を支障なく
使用できるようになり、それによつて低温領域における
弾性の改善も実現できるようになるのである。
このように、この発明は、上記の反覆単位を主成分とす
るアクリル酸系樹脂の水性エマルジヨンを用いることが
最大の特徴である。
上記の反覆単位を主成分とするアクリル酸系樹脂の水性
エマルジヨンは、例えば、炭素数1〜12のアルキル基ま
たはシクロアルキル基を有するアクリル酸アルキルエス
テルおよびメタクリル酸アルキルエステルを単独でもし
くは併用し、これら単量体と、下記の一般式(4)また
は(5)で表されるアルカリ架橋性の第4級アンモニウ
ム塩単量体を単独でもしくは併用し、公知のアクリル酸
系樹脂水性エマルジヨンの製法に準じて共重合させるこ
とにより製造することができる。
上記炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基
を有するアクリル酸アルキルエステル,メタクリル酸ア
ルキルエステルの代表的なものを例示するとつぎのとお
りである。アクリル酸メチルエステル,アクリル酸エチ
ルエステル,アクリル酸プロピルエステル,アクリル酸
ブチルエステル,アクリル酸アミルエステル,アクリル
酸ヘキシルエステル,アクリル酸2−エチルヘキシルエ
ステル,アクリル酸n−オクチルエステル,アクリル酸
デシルエステル,アクリル酸ラウリルエステル,アクリ
ル酸シクロヘキシルエステル,メタクリル酸メチルエス
テル,メタクリル酸エチルエステル,メタクリル酸プロ
ピルエステル,メタクリル酸ブチルエステル,メタクリ
ル酸アミルエステル,メタクリル酸ヘキシルエステル,
メタクリル酸2−エチルヘキシルエステル,メタクリル
酸n−オクチルエステル,メタクリル酸デシルエステ
ル,メタクリル酸ラウリルエステル。これらは単独でも
しくは適宜に組み合わされて用いられる。なお、必要に
応じて、これらと共重合可能な他の不飽和単量体、例え
ば、スチレンおよびその誘導体、アクリロニトリル,メ
タクロニトリル,アクリル酸,メタクリル酸,ビニルピ
リジン,ビニルピロリドン,ヒドロオキシアルキルアク
リレート,アクリルアミドおよびその誘導体、メタクリ
ルアミドおよびその誘導体、アルキルアミノアクリレー
ト,アルキルアミノメタクリレート,N,N−ジアルキルア
クリルアミド,N,N−ジアルキルメタクリルアミド,ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミド,ジメチルアミノプ
ロピルメタクリルアミド等を併用してもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合させ
る上記一般式(4)のアルカリ架橋性第4級アンモニウ
ム塩単量体の代表例として、下記に例示する各種のエピ
ハロヒドリン付加物と無機あるいは有機アニオンとの
塩、例えば、クロライド,ブロマイド,サルフエート,
ナイトレート,アセテート,プロピオネート,ベンゼン
スルホネート,ラウリルスルホネート等があげられる。
(エピハロヒドリン付加物) ジメチルアミノエチルメタクリレート・エピハロヒドリ
ン付加物〔一般式(4)において、R=CH3、A=−O
−、n=2、R1,R2=CH3、X=Cl,BrまたはIである化
合物、以下同様の表記法による〕,ジエチルアミノエチ
ルメタクリレート・エピハロヒドリン付加物,ジメチル
アミノプロピルメタクリレート・エピハロヒドリン付加
物,ジメチルアミノエチルクリレート・エピハロヒドリ
ン付加物,ジメチルアミノプロピルメタクリレート・エ
ピハロヒドリン付加物,ジメチルアミノエチルアクリレ
ート・エピハロヒドリン付加物,ジエチルアミノプロピ
ルアクリレート・エピハロヒドリン付加物,ジメチルア
ミノプロピルメタクリルアミド・エピハロヒドリン付加
物,ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド・エピハ
ロヒドリン付加物,ジメチルアミノエチルメタクリルア
ミド・エピハロヒドリン付加物,ジエチルアミノプロピ
ルアクリルアミド・エピハロヒドリン付加物,ジメチル
アミノプロピルアクリルアミド・エピハロヒドリン付加
物。
上記一般式(4)で表されるアルカリ架橋性第4級アン
モニウム塩単量体のなかでも、ジメチルアミノエチルメ
タクリレート・エピクロルヒドリン付加物,ジメチルア
ミノエチルアクリレート・エピクロルヒドリン付加物,
ジメチルアミノプロピルメタクリレート・エピクロルヒ
ドリン付加物,ジメチルアミノプロピルエクリルアミド
・エピクロルヒドリン付加物,ジメチルアミノプロピル
アクリルアミド・エピクロルヒドリン付加物のクロライ
ドまたはナイトレートは製造ないしは入手が容易であ
り、しかも良好な特性を有するアクリル酸素樹脂(共重
合体)を与えるところから特に好適に用いられる。
これら一般式(4)の化合物は、pHの調整等により容易
に脱ハロゲン化水素反応を起こして、末端にエポキシ基
を有する一般式(5)の化合物に転換するが、この一般
式(5)の化合物もアルカリ架橋性単量体として本発明
の共重合体の製造に使用可能であり、単独でもしくは上
記一般式(4)の化合物と併せて用いられる。このよう
に、上記一般式(5)の化合物は、通常、上記一般式
(4)の化合物から誘導されたものが用いられる。ただ
し、上記一般式(5)の化合物を、単独でもしくは一般
式(4)の化合物と併せて用いるよりも、一般式(4)
のエピハロヒドリン形のものを単独で用いる方が製造
上、好都合である。
上記一般式(4)および(5)のアルカリ架橋性第4級
アンモニウム塩単量体の使用量(共重合体量)は、重量
基準で、全使用単量体中、上記アルカリ架橋性第4級ア
ンモニウム塩単量体が0.5〜10%を占めるように設定す
ることが好ましい。これにより、アクリル酸系樹脂中に
おいて、前記一般式(1),(2)で示される反覆単位
が重量基準でアクリル酸系樹脂全体の0.5〜10%を占め
るようになる。より好ましいのは1〜7%(重量、以下
同じ)の範囲内である。すなわち、上記値が0.5%未満
では、セメント硬化体に対する接着性,弾性改善効果が
充分でなく、逆に10%を超えると架橋密度が高くなり過
ぎて共重合体ひいてはセメント硬化体が脆いものとなる
傾向がみられるようになるからである。
上記アルカリ架橋性第4級アンモニウム塩単量体と、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合反応
は、すでに述べたように、公知のアクリル酸エステル系
共重合体水性エマルジヨンの製造に準じて行われるが、
より詳しく説明すると、ジヤケツト等により内部温度の
調節が可能な攪拌機付きの反応釜に上記単量体を入れて
常圧下で重合反応を行う。反応は重合開始剤のラジカル
発生温度、一般的には50〜80℃で3〜8時間行う。この
重合反応に際しては、重合開始剤,界面活性剤,保護コ
ロイド,連鎖移動剤ならびに緩衝剤等が水溶液ないしは
分散液の形で反応系内に添加される。
上記重合開始剤としては、一般に過酸化物あるいは過酸
化物と還元性物質との組み合わせが用いられる。過酸化
物としては、過硫酸カリ,過硫酸ナトリウム,過硫酸ア
ンモニウム,過酸化水素等があげられ、還元性物質とし
ては、酸性亜硫酸ソーダ,チオ硫酸ソーダ,ハイドロサ
ルフアイト,第一鉄塩等があげられる。重合開始剤の使
用量は、重合開始剤が、全使用単量体に対して、0.02〜
5%の割合になるように設定される。
また、界面活性剤としては、慣用されている総ての界面
活性剤(非イオン型,アニオン型,カチオン型)を使用
することができるが、この発明では、特に非イオン型も
しくはカチオン型のものの使用が好ましく、これによつ
て得られるアクリル酸系樹脂の特性を最も有効に発揮せ
しめることができるようになる。非イオン型界面活性剤
としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリ
オキシエチレンアルキルフエノールエーテル,オキシエ
チレンオキシプロピレンブロツクポリマー等があげら
れ、カチオン型界面活性剤としては、ラウリルトリメチ
ルアンモニウムクロライド,ステアリルトリメチルアン
モニウムクロライド,ジステアリルジメチルアンモニウ
ムクロライド,アルキルベンジルジメチルアンモニウム
クロライド等があげられる。なお、上記非イオン型もし
くはカチオン型のもの程有効ではないが、アニオン型界
面活性剤を用いることもできる。そのようなものとし
て、高級アルコールの硫酸エステルアルカリ塩,アルキ
ルベンゼンスルホン酸アルカリ塩,アルキルナフタレン
スルホン酸アルカリ塩,ポリオキシエチレンアルキルサ
ルフエートアルカリ塩,ポリオキシエチレンアルキルフ
エニルサルフエートアルカリ塩等があげられる。
また、保護コロイドとしては、公知の水溶性ポリマーの
殆ど総てのものが適用でき、代表的なものとして、完全
鹸化ポリビニルアルコール,部分鹸化ポリビニルアルコ
ール,スルホン化部分鹸化ポリビニルアルコールアルカ
リ塩,スルホン化完全鹸化ポリビニルアルコールアルカ
リ塩,メチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース
等の水溶性のセルロース誘導体、さらにはポリプロピレ
ングリコール,ポリエチレングリコール等があげられ
る。保護コロイドの使用量は、全使用単量体に対して、
0.2〜10%になるようにすることが好ましく、より好ま
しいのは2〜5%である。
緩衝剤としては、燐酸,重炭酸ソーダ,重炭酸カリ,ピ
ロリン酸ソーダ,ピロリン酸カリ,第3リン酸ソーダ,
酢酸ソーダ等があげられ、その使用量は、全使用単量体
に対して0〜5%に設定される。
このようにして、アクリル酸系樹脂の水性エマルジヨン
が製造される。アクリル酸系樹脂は、上記水性エマルジ
ヨンにおいて、粒子状で分散しているが、その粒子径を
0.01〜1μmの範囲に設定することが好ましい。また、
上記水性エマルジヨンは、アクリル酸系樹脂(固形分)
が20〜70%を占めるように設定することが好ましい。そ
して、上記アクリル酸系樹脂は、ガラス転移温度が10℃
以下、好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−10℃以
下に設定されている。すなわち、アクリル酸系樹脂のガ
ラス転移温度は、主として、単量体である(メタ)アク
リル酸エステルにおけるアルキル基の大きさによつて定
まり、アルキル基の炭素数が多くなると、低くなる。し
たがつて、この発明は、(メタ)アクリル酸エステルの
アルキル基を前記のように炭素数1〜12のものに設定
し、生成アクリル酸系樹脂のガラス転移温度が、10℃以
下になるように配慮している。ガラス転移温度が10℃を
超えると、生成樹脂の主骨格が硬くなりすぎ、硬化樹脂
が弾性に欠けた脆いものとなるため、セメント硬化体の
弾性が向上しなくなる。したがつて、アクリル酸系樹脂
は、ガラス転移温度が10℃以下であることが必要であ
る。なお、ガラス転移温度が比較的高いアクリル酸系樹
脂、例えばガラス転移温度が10℃を超える樹脂について
は、可塑剤を添加してガラス転移温度を10℃以下に下げ
るようにしてもよいし、水性エマルジヨンの製造の際の
原料仕込み時に、可塑剤と(メタ)アクリル酸エステル
とのブレンド物を使用するようにしてもよい。使用する
可塑剤としては、ジブチルフタレート,ジオクチルフタ
レート,トリメチルペンタジオール,トリメチルペンタ
ジオールモノイソブチレート,トリメチルペンタジオー
ルジイソブチレート,ブチルカルビトール等通常使用さ
れている可塑剤が用いられる。また、その使用量は、ア
クリル酸系樹脂に対して20%以下であつて、できるだけ
少量とすることが望ましい。ガラス転移温度の下限につ
いては、−40℃を下廻ると、樹脂の主骨格が軟らかくな
りすぎて架橋が進んだ後にも充分な機械的強度が得難く
なることがあるため、−40℃以上、特に−30℃以上に設
定することが好ましい。
この発明のセメント組成物は、上記のようなアクリル酸
系樹脂の水性エマルジヨンとセメントとを、必要に応じ
て充填材,顔料,消泡剤,その他添加剤とともに混練す
ることによつて製造される。水性エマルジヨンと混練す
るセメントとしては、ポルトランドセメント,早強セメ
ント,超早強セメント,アルミナセメント,ジエツトセ
メント,高炉セメント,ポゾランセメント,耐硫酸塩セ
メント,白色ポルトランドセメント等公知のセメントの
すべてがあげられる。
充填材は必要に応じて使用され、硅砂,砕砂,高炉スラ
グ砕砂,人工軽量骨材,川砂,海砂,山砂,パーライ
ト,炭酸カルシウム粉体,アスベスト,耐アルカリ性ガ
ラス繊維,鋼繊維,炭素繊維,フライアツシユ,酸化チ
タン,鉄鉱砂等のなかから施工目的に応じて適宜選択さ
れる。消泡剤は必要に応じて水性エマルジヨンに対して
0〜5%の割合で使用される。これは緻密なセメント硬
化体をつくるのに有効である。顔料としては、ベンガ
ラ,カーボンブラツク等の無機顔料および通常使用され
る有機顔料が用いられる。
上記水性エマルジヨンとセメント等との混練について
は、通常のセメントの練り混ぜ方法をそのまま適用して
何ら差し支えない。例えばセメントに所定量の水性エマ
ルジヨンと、必要に応じて充填材等を加え、これを携帯
電動ミキサー,塗料分散用ミキサー,モルタルミキサー
等を用いて、あるいは場合によつてはモルタルスプーン
を用いた手練りで混練することにより目的とするセメン
ト組成物を得ることができる。この場合、水性エマルジ
ヨンは、セメントに添加する混練水の一部あるいは全量
で予めこれを希釈して用いてもよい。
また、セメントに対する水性エマルジヨンの混入率はア
クリル酸系樹脂(固形分)基準で、セメントに対して通
常1〜200%の範囲であり、セメント組成物の用途等に
応じてかかる範囲から適宜のものが選択される。例えば
セメント硬化体の接着性能のみを向上させる目的で使用
する場合は、1〜40%特に5〜25%で充分かつ好適であ
るが、セメント硬化体にさらに弾性を与える目的で使用
する場合は25〜200%が好ましく、さらに好ましくは40
〜100%である。この場合、上記水性エマルジヨンをセ
メントおよび水と混錬しても通常に用いる温度では直ち
に架橋反応は進まず、セメントの水和反応と同時に進行
するので極めて都合のよい緻密なセメント硬化体構造を
形成しうるのである。
このようにして得られるセメント組成物は、種々の被着
体面の塗布仕上げ用として特に好適である。例えば、建
造物の躯体コンクリート壁面,床面への仕上げモルタ
ル,防水セメント,弾性セメント塗装材,古くなつた磁
器タイル表面への補修用セメント,鋼板床面へのセメン
トモルタル舗装,鉄鋼製品のセメント防錆塗装材,露出
鉄骨や鉄筋の補修用セメント塗装材,コンクリートある
いは磁器タイル用の目地セメント等に広く利用でき、優
れた効果を発揮する。この場合、上記セメント組成物の
塗布は、通常のセメント系仕上げ材と同様にして行うこ
とができる。すなわち、セメント組成物がセメントモル
タル状の場合は、金鏝や木鏝で塗りつけることができ
る。セメント塗料状の場合には刷毛,スプレーガン,エ
アレススプレーガン等を使うことができる。また広い床
面には軟らかく混練して、通称トンボといわれる道具で
塗り広げることもできる。塗布したセメント組成物の養
生は、気乾養生あるいは湿空養生方法等によつて行われ
る。一旦共重合体粒子の皮膜形成が完了すれば水中養生
により硬化させることもできる。
〔作用〕
この発明のセメント組成物を上記のように被着体表面に
塗布した場合において、セメント組成物中の水分は、セ
メントの水和反応,水分の蒸発,被着体(吸水生がある
場合)への水分の移動等により減少し、いわゆる濃縮作
用によりアクリル酸系樹脂粒子,セメント粒子,充填材
粒子等は互いに接近し、やがて密着する。ところで上記
アクリル酸系樹脂の粒子の表面には、多くのカチオン性
基が存在するため、アクリル酸系樹脂の粒子は、従来の
カチオン性界面活性剤やカチオン性保護コロイドを添加
したものや、カチオン性エチレン性不飽和単量体(例え
ばアルキルアミノエチルメタクリレート等)を共重合し
たものと比較して強いカチオン性を帯びている。したが
つて、上記濃縮作用によるアクリル酸系樹脂粒子,セメ
ント粒子,充填材粒子等の接近ならびにその後の密着の
際、強いカチオン性を帯びているアクリル酸系樹脂粒子
が、アニオン性に帯電している。セメントや充填材被着
体に効率よく吸着し、融着するようになり、それによつ
てセメント,充填材,樹脂粒子の分布ないしは配置状態
が均一になり、アクリル酸系樹脂の混入効果が顕著に発
現するようになる。従来のアクリル系重合体混入セメン
トでは、セメントや充填材の空隙部分にアクリル系重合
体粒子が凝集し、その後融着するため、硬化重合体の分
布だ不均一となり、防水性はある程度付与されるもの
の、弾性付与や接着性向上には効果が小さかつた。これ
に対してこの発明のセメント組成物によれば、アクリル
酸系樹脂粒子のみでなく、セメント粒子,充填材等も均
一に分布ないし配置するため、セメント硬化体の構造が
緻密かつ均質になり、そのうえ、均一分布しているアク
リル酸系樹脂粒子によつて被着体に対する強い接着力を
発揮する。そして、セメント粒子,充填材等に吸着,融
着したアクリル酸系樹脂粒子表面の官能基が、セメント
のアルカリにより架橋反応を起こし、アクリル酸系樹脂
粒子間の強い結合を形成するのみならず、上記樹脂粒子
とセメント,充填材,被着体間にも強い密着力を形成
し、上記アクリル酸系樹脂粒子等の均一分布にもとづく
接着力向上効果,組織の緻密均質化効果と相俟つてセメ
ント硬化体が被着体に極めて強固に接着するようになる
とともに、強靱になる。しかも、上記アクリル酸系樹脂
は、温度変化に伴う物性の低下ないし変化が少ないとい
う優れた特性を備えており、かつガラス転移温度が10℃
以下であつて軟質であるため、上記セメント硬化体は、
高温領域だけでなく、低温領域でも優れた弾性を発揮す
る。
〔発明の効果〕
この発明のセメント組成物は、上記のような反覆単位を
主成分とし、ガラス転移温度が10℃以下であるアクリル
樹脂の水性エマルジヨンを用いているため、その作用に
より、従来のセメント組成物では塗布仕上げが不可能で
あつた被着体に対しても塗布仕上げでき、しかも高温領
域だけでなく低温領域においても優れた弾性を発揮する
セメント硬化体を生成しうるのである。しかも、このセ
メント組成物は、乾燥硬化過程で乾燥収縮による亀裂が
発生せず、かつ生成硬化体は上記のように極めて優れた
接着性ならびに弾性を備えているのみならず、組織が緻
密で均質なことから、優れた防水性,曲げ強度,引張り
強さ,耐衝撃性,耐摩耗性をも備えている。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕 内容積2lの、錨型撹拌機を備えた硬質ガラス製乳化重合
反応装置に下記の原料を投入しアクリル酸系樹脂の水性
エマルジヨンをつくつた。
(1)初期にフラスコへ仕込む水溶液の組成 ポリオキシエチレンノニルフエノールエー テル(エチレンオキシド付加モル数20) :5部(重量、以下同じ) 第1燐酸ソーダ :0.5部 過硫酸アンモニウム:0.5部 ヒドロキシエチルセルロース (2%水溶液粘度10cpsのもの):3部 工 業 用 水 :100部 合 計 :109部 (2)重合用単量体混合物 メチルメタクリレート :32部 2−エチルヘキシルアクリレート:65部 ジメチルアミノプロピルメタクリレート・ エピクロルヒドリン付加物のナイトレート (90%水溶液) :3.3部 上記水溶液をフラスコに仕込み75℃まで加温し、その温
度を維持しながら上記重合用単量体混合物を3時間にわ
たつて均等に滴下して乳化重合を行い、滴下終了後も75
℃に1時間保持して反応を終了させた。ついで、冷却し
たのち、生成したアクリル酸系樹脂水性エマルジヨンを
取り出した。得られた水性エマルジヨンの物性はつぎの
とおりであつた。
固形分濃度 :51% 粘度(30℃,BH型粘度計、以下同じ) :3500cps アクリル酸系樹脂(以下「樹脂」と略す) のガラス転移温度(以下「Tg」と略す) :−14℃ pH :2.2 つぎに、上記水性エマルジヨンを用い、つぎのように各
原料を配合し混練してセメントモルタルをつくつた。
普通ポルトランドセメント:100部 豊浦標準砂 :300部 水性エマルジヨン :39.2部 (固形分として20部) 消泡剤(ノプコNXZ,サンノプコ社) :1部 水 :45部 得られたセメントモルタルを市販半磁器タイル(寸法7.
5×7.5×0.5cm)の釉薬のかかつた表面に、流して4.5×
4.5×0.5cmセメントモルタル層を形成し、20℃で3週間
気乾養生してセメント硬化体化した。
〔比較例1〕 上記水性エマルジヨンに代えて、市販セメント混入用ア
クリルエステル系共重合体エマルジヨンCT(ジメチルア
ミノエチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレ
ート・メチルメタクリレート共重合体)を、セメントに
対して固形分として20部の割合になるように用いた。そ
れ以外は実施例1と同様にして市販半磁器タイルの表面
にセメント硬化体層を形成した。なお、上記市販エマル
ジヨンCTの物性はつぎのとおりであつた。
固形分濃度 :40% 粘 度 :150cps Tg :−5℃ pH :5.4 〔比較例2〕 上記水性エマルジヨンに代えて、市販セメント混入用ア
クリルエステル系共重合体エマルジヨンUS(アクリル酸
・2−エチルヘキシルアクリレート・スチレン共重合
体)を、セメントに対して固形分として20部の割合にな
るように用いた。それ以外は実施例1と同様にして市販
半磁器タイルの表面にセメント硬化体層を形成した。な
お、上記市販エマルジヨンUSの物性はつぎのとおりであ
つた。
固形分濃度 :58% 粘 度 :700cps Tg :−25℃ pH :8.0 上記実施例および比較例1,2において形成されたセメン
ト硬化体層の接着強度を、建研式引張試験機を用いて測
定した(以下の測定も同様である)。その結果を第1表
に示した。
第1表から、実施例のセメント組成物によれば、比較例
1,2のセメント組成物では塗布仕上げが困難である釉薬
表面に対しても、強固に接着するセメント硬化体層を形
成できることがわかる。
〔実施例2〜11,比較例3,4〕 初期にフラスコへ仕込む水溶液の組成をつぎのように変
えるとともに、重合用単量体混合物の組成を下記の第2
表のように変えた。それ以外は実施例1と同様にして第
2表に示す物性の水性エマルジヨンを得た。
(1)初期にフラスコへ仕込む水溶液の組成 ポリオキシエチレンオクチルフエノールエ ーテル(エチレンオキシド付加モル数35) :5.0部 過硫酸カリ :0.5部 第1燐酸カリ :1.0部 ポリオキシエチレンノニルフエノールエー テル(エチレンオキシド付加モル数15) :5.0部 工 業 用 水 :100部 合 計 :111.5部 なお、第2表において、試料No.に*印がついているも
のは実施例であり、番号の小さいものから順に、実施例
2ないし11に対応している。*印のついていないものは
比較例である。
つぎに、上記水性エマルジヨンを用い、つぎのようにし
て各原料を配合し混練してセメントモルタルをつくつ
た。
早強セメント :100部 6号 硅 砂 :100部 7号 硅 砂 :100部 8号 硅 砂 :100部 水性エマルジヨン :固形分で20部 市販消泡剤 :0.5部 水 :50部 得られたセメントモルタルをそれぞれ、下記の4種類の
被着体の表面に流し、4.5×4.5×0.5cmのセメントモル
タル層を形成し、20℃で2週間気乾養生してセメント硬
化体化した。
(被着体) SS41鋼板(6.0×9.0×0.9cm) ラワン合板(7.5×7.5×0.9cm) 半磁器タイル(釉薬面へ接着、 7.5×7.5×0.5cm) セメントモルタル板(7.0×7.0×2.0cm) 上記実施例および比較例において形成されたセメント硬
化体層の接着強度を測定して第3表に示した。ただ、SS
41鋼板,半磁器タイル,セメントモルタル板について
は、上記の試験以外に、気乾養生を1週間したのち、
「2日間室温の水中へ浸漬し、続いて2日間で80℃乾燥
すること」を1サイクルとするサイクリングテストを5
サイクル行い、ついで室内で1週間気乾養生を行つて接
着強度を測定するという試験を行つた。その結果も第3
表に併せて示した。
なお、第3表において、No.14は、No.12の水性エマルジ
ヨンに、可塑剤としてジブチルフタレートを5%(固形
分に対して)添加しガラス転移温度を0℃に下げたもの
を混入したモルタルについての試験結果である。
第3表の結果から、この発明のセメント組成物は、全て
の被着体に対して優れた接着性を示し、サイクリング後
の接着性能も良好であることがわかる。これに対して、
この発明で用いるアルカリ架橋性単量体を含まない樹脂
を配合したセメント組成物(試料No.2)では、初期接着
強度ならびにサイクリング後の接着強度の双方が共に不
良となつている。また、この発明で用いるアルカリ架橋
性単量体と同種の単量体を含む樹脂であつても、そのガ
ラス転移温度が10℃を上回るような場合(試料No.12)
には、初期接着性は良好であるものの、サイクリングテ
スト後の接着性が著しく低下し実用性に乏しい。ただ
し、このような共重合体であつても、これに可塑剤を添
加してガラス転移温度を10℃以下に低下させることによ
り、耐久接着性を向上させることは可能である(試料N
o.19参照)。なお、試料No.13はガラス転移温度が−48
℃のものを用いているにもかかわらず、それよりガラス
転移温度の高いものを用いている実施例よりも成績が悪
いことからアクリル酸系樹脂ガラス転移温度の下限にも
好ましい範囲があることがわかる。
〔実施例12,比較例5〜8〕 重合用単量体組成物の組成を下記の第4表のよう変え
た。それ以外は実施例2〜11と同様にして第4表に示す
物性の水性エマルジヨンを得た。
なお、第4表において、試料No.に*印のついているも
のは実施例であり、ついていないものは比較例である。
つぎに、得られた水性エマルジヨンを用い、下記の
(A)および(B)で示すように2種類のセメント組成
物をつくり、それぞれ試験を行つた。
(A)実施例2〜11と全く同様の組成で同様にしてセメ
ントモルタルをつくり、同様にして各種被着体表面に対
する接着強度の測定ならびにサイクリングテストを行つ
た。
(B)白色ポルトランドセメント100部,炭酸カルシウ
ム粉体50部,水性エマルジヨン固形分で100部,メチル
セルローズ0.2部,市販消泡剤3部および適量の水を十
分攪拌分散させてセメント塗料をつくり、直ちに剥離性
のある平滑な板の上に流し、厚み1mmのセメントフイル
ムをつくつた。これを20℃で1カ月間養生を行つたの
ち、JIS A6021に準じてセメントフイルムの引張試験を
行い物性を調べた。
以上の試験結果を第5表にまとめて示した。なお、第5
表において試料No.20は、乳化重合に際し、一般式
(4)または(5)のカチオン性単量体を用いる代わり
に、カチオン性の界面活性剤を用いてカチオン性のエマ
ルジヨンを得たものであつて、その重合条件は、ポリオ
キシエチレンノニルフエノールエーテル(非イオン界面
活性剤)に代えて、ラウリルトリメチルアンニウムクロ
ライド(カチオン性界面活性剤)を用い、かつ単量体混
合物の組成をメチルメタクリレート35部,2−エチルヘキ
シルアクリレート65部とした以外は実施例1と同様に設
定した。
第5表の結果から、この発明のセメント組成物は、他の
架橋性単量体の共重合により得られた樹脂エマルジヨン
を配合した比較例のセメント組成物に比べて各種被着体
に対する接着性について全般的に優れているのみなら
ず、引張強度と伸度のバランスがよくとれており、かつ
その温度変化が少ないので低温から高温に至る広い温度
領域で優れた物性(特に弾性)を示すことがわかる。特
に、5サイクル後の接着強度については、比較例が大幅
にダウンするのに対して、この発明のものは殆ど変化し
ないか、逆に向上しており、両者間に大差がついてい
る。このような差が生じるのは、この発明に係るセメン
ト硬化体が弾性に富んでいてサイクリングテストにおけ
る温度変化等によく追随するに対し、比較例のものは弾
性に欠け温度変化等に追随できないからと考えられる。
〔実施例13〕 初期にフラスコに仕込む水溶液および重合用単量体混合
物として下記に示す組成のものを用いた。それ以外は実
施例1と同様にして水性エマルジヨンを製造した。ただ
し、反応温度は70〜75℃,単量体の滴下時間は4時間に
設定した。
(1)初期にフラスコへ仕込む水溶液の組成 ポリオキシエチレンノニルフエノールエー テル(エチレンオキシド付加モル数20) :6.0部 過硫酸アンモニウム :0.4部 第1燐酸ソーダ :0.5部 工 業 用 水 :100部 合 計 :106.9部 (2)重合用単量体混合物 メチルメタクリレート :10部 ス チ レ ン :15部 2−エチルヘキシルアクリレート:42部 エチルアクリレート :30部 ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ エピクロルヒドリン付加物のナイトレート (70%水溶液) :4.3部 合 計 :101.3部 得られた水性エマルジヨンの物性はつぎのとおりであつ
た。
固形分濃度 :50.2% 粘 度 :480cps Tg :−14℃ pH :3.1 つぎに、上記水性エマルジヨンを用い、つぎのようにし
て各原料を配合し混練してセメントモルタル(フロー値
170)をつくつた。
早強セメント :100部 7号 硅 砂 :100部 6号 硅 砂 :100部 5号 硅 砂 :100部 水性エマルジヨン :固形分として30部 市販消泡剤 :2 部 水 :適 量 得られたモルタルを、施工後約5年を経過したエポキシ
樹脂床面の補修のため該床面に2〜5mmの厚みで全面に
塗りつけ金鏝で平滑に仕上げ、1週間気乾養生を行つた
のち、水性床用塗料(緑色)を刷毛塗りし、補修工事を
終了した。エポキシ樹脂面への混入モルタルの接着強度
は、材令7日(気乾養生直後)で8.4kg/cm2(全て材料
破壊)であり極めて良好であつた。
ちなみに、比較のため、実施例1で用いた市販アクリル
系共重合体水性エマルジヨンCTおよびUSを用い、同一の
条件でエポキシ樹脂床面への接着剤強度を測定したが、
どちらも接着強度は0kg/cm2であつた。
〔実施例14〕 初期にフラスコへ仕込む水溶液および重合用単量体混合
物として下記に示す組成のものを用いた。それ以外は実
施例1と同様にして水性エマルジヨンを製造した。
(1)初期にフラスコへ仕込む水溶液の組成 ポリオキシエチレンノニルフエノールエー テル(エチレンオキシド付加モル数25) :7.0部 過硫酸カリ :0.6部 工 業 用 水 :70部 合 計 :77.6部 (2)重合用単量体混合物 ブチルメタクリレート :15部 ス チ レ ン :10部 エチルアクリレート :25部 ブチルアクリレート :45部 ジメチルアミノエチルメタクリルアミド・ エピクロルヒドリン付加物のクロライド (90%水溶液) :5.5部 合 計 :100.5部 得られた水性エマルジヨンの物性はつぎのとおりであつ
た。
固形分濃度 :59.1% 粘 度 :1520cps Tg :−18℃ pH :2.3 つぎに、上記水性エマルジヨンを用い、つぎのようにし
て各原料を配合し混練してセメントモルタル(フロー値
200)をつくつた。
早強セメント :100部 7号 硅 砂 :100部 水性エマルジヨン :固形分として50部 市販消泡剤 :3 部 水 :適 量 得られたモルタルを、屋外のアスフアルトコンクリート
面の凹部に、金鏝で塗りつけ、アスフアルトコンクリー
ト面を平滑に補修した。そして、1週間気乾養生後、そ
の上に、ウレタン樹脂塗り床材を5mmの厚みで塗りつけ
テニスコートに仕上げた。完工後、1年間経過した状態
で仕上り状態を観察したところ、その状態は変化が全く
なく良好で、アスフアルトコンクリート面−セメント硬
化体層−ウレタン樹脂床材層間の密着性は極めて良好で
あつた。
ちなみに、比較のため、実施例1で用いた市販アクリル
系共重合体水性エマルジヨンCTおよびUSを用い、上記と
同一の条件で屋外のアスフアルトコンクリート面の凹部
に塗りつけ平滑に仕上げたのちウレタン樹脂塗り床材を
塗りつけた。しかし、約6カ月後、CTおよびUS混入セメ
ント硬化体層は土中からの水分を吸収して膨潤しウレタ
ン床面に凹凸が生じた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/00 PPB 133/04 PGB 133/26 PFW 163/00 PJK PJP E04F 13/02 A 9127−2E //(C04B 28/02 24:26 F 14:06 Z 24:00) 111:27 (72)発明者 カーマイン・ピー・アイオヴィーニ アメリカ合衆国ニュージャージー州08807 ブリッジウオーター・ホワイトオークリ ッジロード263 (72)発明者 サミュエル・ゴールド アメリカ合衆国ニュージャージー州07060 ウオッチァン・パーリンレーン35

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のA成分とB成分を主成分とするセメ
    ント組成物。 (A)下記の一般式(1)で表される反覆単位および一
    般式(2)で表される反覆単位の少なくとも一方と、一
    般式(3)で表される反覆単位とを主成分とし、ガラス
    転移温度が10℃以下であるアクリル酸系樹脂の水性エマ
    ルジヨン。 (B)セメント。
  2. 【請求項2】アクリル酸系樹脂が、0℃〜−40℃の範囲
    内のガラス転移温度をもつものである特許請求の範囲第
    1項記載のセメント組成物。
  3. 【請求項3】一般式(1)で表される反覆単位および一
    般式(2)で表される反覆単位の少なくとも一つが、重
    量基準でアクリル酸系樹脂全体の0.5〜10%に設定され
    ている特許請求の範囲第1項または第2項記載のセメン
    ト組成物。
  4. 【請求項4】A成分の使用割合が、A成分の固形分を基
    準にしてB成分に対して1〜200重量%になるように設
    定されている特許請求の範囲第1項ないし第3項のいず
    れかに記載のセメント組成物。
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