JPH076089B2 - 透明性および染料鮮明発色性に優れたポリアミド繊維およびその製造方法 - Google Patents

透明性および染料鮮明発色性に優れたポリアミド繊維およびその製造方法

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JPH076089B2
JPH076089B2 JP2117942A JP11794290A JPH076089B2 JP H076089 B2 JPH076089 B2 JP H076089B2 JP 2117942 A JP2117942 A JP 2117942A JP 11794290 A JP11794290 A JP 11794290A JP H076089 B2 JPH076089 B2 JP H076089B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、透明性、染料鮮明発色性および風合に優れ、
衣料用素材として好適なポリアミド繊維、およびその製
造方法に関するものである。
[従来の技術] 近年、衣料用フィラメント糸のマーケットでは、よりナ
チュラルに、よりファッショナブルにという要求が強
く、特に女性用の肌着、ストッキング、カジュアルウェ
ア等では、布帛として、より薄いこと、より鮮やかな色
合いであることが求められてきている。
衣料用のポリアミド繊維に鮮明な発色性を付与する方法
としては、染料自身に鮮明な発色を出せる物を選択する
ことはもちろんであるが、ポリアミドの基質自身を改良
する方法や繊維断面形状を改良する方法が提案されてい
る。
このポリアミドの基質自身を改良する方法としては、ジ
アミド化合物を配合する方法が、特開昭58-132137号公
報、特開昭58-132113号公報で提案されている。
この公報では、ジアミド化合物は、その粉末状物をポリ
アミドチップと混合する方法、および、ポリアミド重合
時に添加する方法を具体的に開示している。
ジアミド化合物を比較的低濃度でポリマに配合する場合
は、ポリアミドチップに混合するという方法や重合時に
添加する方法で、ある程度の均一混合が可能であり、相
応の透明性向上および鮮明発色性向上の効果を得ること
ができる。
また、その繊維断面形状は、前者の場合、丸断面であ
り、後者の場合、凸型四葉断面である。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、ジアミド化合物は一般にポリアミドとの
親和性があまり良くないために、従来法では混合の均一
性を十分に高めることが難しく、紡糸時に種々のトラブ
ルを誘発し易いし、また、ジアミド化合物の配合による
効果を十分に高めることが困難である。しかも、マスタ
ーポリマの製造が難しく、工業生産上さらに改良が望ま
れていた。
即ち、ポリアミドとの相溶性が十分でないジアミド化合
物を含むために、紡糸時の糸切れを低水準に抑えること
が難しく、また、溶融紡糸時の口金孔周りが汚れ易いと
いう問題があった。
また、溶融紡糸された繊維中におけるジアミド化合物の
混合の均一性を十分に高めることが難しいので、得られ
る繊維の透明性、鮮明発色性や強さ等を十分に高めるこ
とが難しく、しかも、糸斑となり易い。特に、強くかつ
透明であることの要求水準が一層高まってきている最近
のマーケットニーズには十分に応えることが困難であっ
た。
さらにまた、ジアミド化合物はポリアミドとの相溶性が
不十分なために、工業生産する上で好適なマスターポリ
マ法をとることが困難であった。
さらにその上、丸断面や凸型四葉断面のジアミド化合物
含有ポリアミド繊維では、得られる布帛がべたつき感の
ある風合(手触り)となり、さらさら感のある風合とす
ることは困難であった。
そこで、本発明は、これら問題を解消し、溶融紡糸時の
糸切れの改善により工業的に安定して製造でき、しか
も、さらなる性能アップや風合改善により、透明性及び
染料鮮明発色性に優れるとともに、さらさらした風合
(手触り)や光沢(艶)にも優れたポリアミド繊維、お
よびその好適な製造方法を提供するものである。また、
マスターポリマ法によって優れた糸質の繊維を紡糸性良
く製造することが可能なその製法を提供するものであ
る。
このように、本発明は、最近のマーケットニーズに応え
るため、強く透明で染料鮮明発色性に優れるとともにさ
らさらしたナチュラルな風合(手触り)及び光沢(艶)
を有する繊維製品とすることが可能なポリアミド繊維を
提供するものである。
[課題を解決するための手段] これら目的を達成するため、本発明の請求項1は、ポリ
アミドに対して0.01〜1.0重量%の下記一般式(1)ま
たは(2)で示されるジアミド化合物、該ジアミド化合
物に対して1〜30重量%の硫酸エステル塩、スルホン酸
塩およびポリカルボン酸塩の群から選ばれた1種以上の
塩化合物を含み、かつ、繊維横断面形状が、長径aと短
径bとの比(a/b)が3〜5の楕円形である透明性およ
び染料鮮明発色性に優れたポリアミド繊維からなる。
(ただし、R1、R4は炭素原子数10〜20のアルキル基、R2
R3は水素原子、メチル基またはエチル基、nは1〜10の
整数を示す。) また、請求項2の製造方法は、重合以前の工程で、前記
ジアミド化合物と、硫酸エステル塩、スルホン酸塩およ
びポリカルボン酸塩の群から選ばれた1種以上の塩化合
物とを添加することにより、前記ジアミド化合物の濃度
が0.01〜1重量%であるポリアミド組成物を製造し、該
ポリアミド組成物を溶融紡糸することにより、請求項1
記載のポリアミド繊維を製造する、透明性および染料鮮
明発色性に優れたポリアミド繊維の製造方法からなる。
本発明で用いるポリアミドは、繊維形成性のジアミンと
ジカルボン酸との縮合重合、あるいは環状ラクタムの開
環縮合重合で得られる線状ポリアミドであればよい。例
えば、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、
ポリカプラミド(ナイロン6)等で代表される。これら
ポリアミドには、繊維特性を大幅に減殺しない範囲で、
共重合可能な単量体が共重合されていてもよい。例え
ば、ヘキサメジレンジアンモニウムアジペートに10重量
%以下のε−カプロラクタムを添加し共重合してなるポ
リアミドであってもよい。
これらポリアミドには、ポリアミドに溶解しかつ透明性
を損わない添加剤、例えば耐熱剤、紫外線吸収剤などは
含まれていてもよいが、光を散乱させる異物質、例え
ば、艶消剤、その他の無機顔料、ポリアミドに溶解しな
い程多くの有機物は実質的に含まれていないことを要す
る。これら異物質は、繊維の透明性を大幅に低下させる
原因となるから、多くとも、ジアミド化合物による向上
効果を半減させない程度に抑えることが好ましい。
本発明に係るポリアミド繊維は、異物質を実質的に排除
し前記ジアミド化合物を添加しているので、従来のポリ
アミド繊維に比べてより強くなり、薄地布帛でも十分な
耐久性が得られ易いが、より好ましくは重合度を高目に
コントロールすることがよい。
本発明のポリアミドの重合度は、一般に、繊維形成可能
であれば使用できる。例えば、98%硫酸相対粘度にして
2.7〜3.5の範囲内であればよく、この程度の重合度であ
れば、衣料用フィラメント糸の強度を所望水準とし、本
発明のポリアミド繊維の性能を効果的に発揮することが
できる。なお、重合度があまりにも高くなり過ぎると溶
融温度が高くなり過ぎて溶融紡糸性が悪くなるので、実
用上好ましくない。
ポリアミド繊維の透明性、鮮明発色性そして強さを高め
る化合物として、前記の式(1)あるいは(2)で示さ
れるジアミド化合物を用いる必要がある。これ以外のジ
アミド化合物では本発明の目的とする高鮮明発色性を得
ることが困難である。
前記一般式(1)または(2)で表されるジアミド化合
物は、ジカルボン酸とアルキルモノアミンとの反応によ
り、あるいはモノカルボン酸とアルキレンジアミンとの
反応により調整することができる。
代表的なジアミンとしてはメチレンジアミン、エチレン
ジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミンがあ
り、炭素数1〜10のアルキレンジアミンが含まれる。ア
ルキルモノアミンとしてはオクタデシルアミン、メチル
オクタデシルアミン、エチルオクタデシルアミンなどの
ように、炭素数10〜20のアルキル基を有する一級アミン
およびそれらがさらにメチル基、エチル基で置換された
二級アミンが含まれる。
また、代表的なジカルボン酸としてはコハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸があり、炭素数2〜12のジカルボン酸
が含まれる。モノカルボン酸としてはラウリン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸のように、炭素数11〜21のアル
キルモノカルボン酸が含まれる。
上記ジアミド化合物の配合量は、ポリアミド繊維に対し
0.01〜1.0重量%であることが必要であり、さらに、0.0
5〜1.0重量%が好ましい。配合量が少な過ぎると本発明
の目的とする高鮮明発色性が十分に得られず、逆に多過
ぎるとジアミド化合物による繊維の着色が目立つように
なるし、しかもブリードアウトなどによる繊維特性の悪
化が生じるので、実用に適さない。
本発明では、ジアミド化合物とともに、硫酸エステル
塩、スルホン酸塩およびポリカルボン酸塩の群から選ば
れた1種以上の塩化合物に、ポリアミド中に配合する必
要がある。
この塩化合物としては、下記のような化合物が挙げられ
る。
硫酸エステル塩は、一般式R(OSO3M)nで示される。ここ
でRはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アラ
ルキル基の如き炭化水素残基であり、これら炭化水素残
基にアルキル基、ハロゲン、水酸基、アミノ基、スルホ
ン基、カルボン酸エスエルなどの置換基を有するものも
含まれる。また、これらの主鎖の一部にアミド結合、エ
ーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、ウレタ
ン結合、スルホアミド結合などの酸素、硫黄、窒素など
を含んでいてもよい。Mは、カリウム、ナトリウムある
いはアンモニウム基であり、一部は水素であってもよ
い。nは1以上の整数である。一般的には、高級アルコ
ール硫酸エステル塩、脂肪族アミンおよび脂肪族アミド
硫酸エステル塩、ポリエチレングリコールエーテル硫酸
エステル塩、オレフィン硫酸エステル塩、脂肪油硫酸エ
ステル塩、高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩などが挙
げられる。
スルホン酸塩は、一般式R′(SO3M)mで示される。こ
こで、R′はアルキル基、シクロアルキル基、少くとも
2個以上の芳香核を有するアラルキル基の如き炭化水素
残基であり、これら炭化水素残基にアルキル基、ハロゲ
ン、水酸基、アミノ基、カルボン酸基、硫酸基カルボン
酸エステルなどの置換基を有するものも含まれる。ま
た、これらの主鎖の一部にアミド結合、エーテル結合、
チオエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、スル
ファミド結合などの酸素、硫黄、窒素などを含んでいて
もよい。Mは、カリウム、ナトリウムあるいはアンモニ
ウム基であり、一部は水素であってもよい。mは1以上
の整数である。一般的には、脂肪族エステルスルホン酸
塩、脂肪族アミドスルホン酸塩、エーテル結合含有スル
ホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレ
ンホルムアルデヒド縮合物スルホン酸塩などが挙げられ
る。
ポリカルボン酸塩は、一般式R″(COOM)pで示され
る。R″はアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、
アラルキル基の如き炭化水素残基であり、これら炭化水
素残基にアルキル基、ハロゲン、水酸基、アミノ基、ス
ルホン基、カルボン酸エステルなどの置換基を有するも
のも含まれる。また、これらの主鎖の一部にアミド結
合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、
ウレタン結合、スルホアミド結合などの酸素、硫黄、窒
素などを含んでいてもよい。Mは、カリウム、ナトリウ
ムあるいはアンモニウム基であり、一部は水素であって
もよい。pは、2以上の整数であり、好ましくは5〜50
0である。最も一般的には、ポリアクリル酸、ポリメタ
クリル酸、ポリアクリル酸エスエル部分ケン化物、ポリ
メタクリル酸エステル部分ケン化物としてアクリル酸、
メタクリル酸あるいはマレイン酸と他のビニル化合物、
例えば酢酸ビニルとの共重合ポリマなどのポリカルボン
酸のナトリウムあるいはカリウム塩、アルギン酸ナトリ
ウムなどであるがこれらに限定されるものではない。
これら塩化合物は、ジアミド化合物と同時に添加される
が、その配合量は、ジアミド化合物に対して1〜30重量
%であることを要する。この配合量が少な過ぎれば、目
的とする性能アップや溶融紡糸時の糸切れ改善の効果が
得られ難いし、また、マスターポリマを製造することが
困難である。逆に多過ぎると、ブリードアウトが生じ易
くなるし、しかも、得られるポリアミド繊維の透明性が
損なわれ高鮮明発色性が得られ難い。
上記したジアミド化合物と塩化合物とは、ポリアミドの
重合以前の工程で添加すればよく、なかでも、重合以前
の工程で重合原料中にジアミド化合物と塩化合物とを高
濃度に添加してジアミド化合物の含有量が2〜15重量%
であるマスターポリマを製造し、このマスターポリマを
未変性ポリアミドと混合した後に溶融紡糸して、所定濃
度のジアミド化合物および塩化合物を含有するポリアミ
ド繊維を製造するマスターポリマ法が好ましい。
マスターポリマとして用いるベースポリマには、ポリカ
プラミドのように、環状アミドの開環縮合重合により得
られるポリアミドが好適である。ジアミド化合物は一般
に粉末状であるためにポリアミド原料中に均一に分散さ
せることが容易ではなく、特にジアミンとジカルボン酸
とからなるポリアミド原料(ナイロン塩)への分散は困
難である。しかし、なかでも、ε−カプロラクタムのよ
うな環状モノマの水溶液や溶融物には比較的均一分散が
容易であるから、高濃度に配合することが必要なマスタ
ーポリマには環状アミドからのポリアミドが好適であ
る。
ジアミド化合物のマスターポリマ中への添加量は2〜15
重量%が適当であり、好ましくは5〜10重量%である。
15重量%を越えるとマスターポリマの重合中にジアミド
化合物の分離凝集が生じ、吐出ペレタイズが困難とな
る。2重量%未満と少ないとマスターポリマ法本来の効
果が発揮できない。
ジアミド化合物および塩化合物をラクタム中に添加する
場合は、少量のラクタム水溶液と十分に混練してペース
ト状にしてから、マスターポリマの原料であるラクタム
水溶液に添加して混合するという方法をとることが好ま
しい。
このように重合以前に添加する方法は、ジアミド化合物
を粉末状態でポリアミドペレットにまぶして溶融紡糸す
る方法に比べてジアミド化合物が均一に未変性ポリアミ
ドに分散され易いので、本発明の目的とする性能アップ
や溶融紡糸時糸切れ改善等のために有効である。
また、ポリアミドの重合の段階で、ジアミド化合物およ
び塩化合物を最終繊維の配合量で添加する方法でも、ナ
イロン6繊維は製造可能であるが、均一分散が困難なた
めにナイロン66繊維の製造は困難である。これに対し、
マスターポリマ法によるとジアミド化合物が均一分散し
たナイロン66を製造することも可能となって、鮮明発色
性のナイロン66繊維の製造が可能となる。また、マスタ
ーポリマ法は、少量品種への対応が容易という利点もあ
る。
ジアミド化合物および塩化合物を含むマスターポリマの
重合は、通常のラクタムの重合と同様に行えばよい。即
ち、ラクタム水溶液あるいは溶融物を加熱し開環縮合重
合させればよく、アルカリ、酸などの触媒を用いてもよ
い。
また、マスターポリマを製造する場合、ジアミド化合物
と塩化合物とを添加する時期は、ポリカプラミドの重合
時あるいはその前であることを要する。これに対し、重
合した後の未変性ポリアミドペレットに、粉末状のジア
ミド化合物を高濃度で添加混合した後、エクストルーダ
などの溶融成形機でマスターペレットとする方法では、
ジアミド化合物を十分均一に分散させることが難しく、
目的とする高透明性ポリアミド繊維を得ることは難しく
なる。
得られたマスターポリマのペレットは、ポリアミド繊維
中の濃度が所定量になるような量だけ未変性ポリアミド
ペレットと混合した後、繊維横断面形状が特定の楕円形
となるように、エクストルーダのような通常の溶融紡糸
機で、通常の方法により溶融紡糸して、繊維とすればよ
い。
繊維横断面形状を、長径aと短径bの比(a/b)が3〜
5の楕円形とするためには、口金吐出孔の形状をスリッ
ト状とすればよく、その幅/長さの比は、ポリマの溶融
状態や製糸条件によって異なるが、一般に5〜20程度を
用いればよい。
繊維横断面形状の、長径/短径の比(a/b)が5を越え
るほどに偏平(リボン状)であると、溶融紡糸性および
巻上げ性が悪化するし、しかも、巻上げパッケージから
解舒する時に生じる解舒撚りにより、光の反射が強過ぎ
や不均一となって布帛の外観上の斑が生じ易く、優れた
布帛製品が得られ難い。また、長径/短径の比(a/b)
が3未満では楕円形状としたことによる効果が発揮され
難く、透明性、鮮明発色性、風合、光沢等を十分に向上
させることが難しく、さらさらした風合や良好な光沢
(艶)は得られ難い。
そして、溶融紡糸にあたっては、次のような条件をとれ
ばよい。
本発明で用いるジアミド化合物および塩化合物の変性ポ
リアミドは、溶融紡糸時にポリマ中のジアミド化合物が
吐出孔周辺にしみ出し易いので、口金孔を汚染し炭化物
などを形成する傾向が強く、その結果、糸揺れや糸切れ
などのトラブルを招き易い。従って、口金孔周辺は、窒
素、スチームなどの不活性ガスでシールして炭化などの
変性を防ぐことが好ましい。この口金吐出孔を汚染する
傾向は、ジアミド化合物のポリアミド中における分散・
溶解状態にも左右され、均一分散が難しい粉末ブレンド
法では、不活性ガスシールしてもその汚れは顕著で糸切
れが多くなり易い。
次いで、溶融紡糸されて冷却固化された糸条は、工程通
過性をよくするめに紡糸油剤を付与されるが、その油剤
と同時に付与される水分のバラツキを厳しくコントロー
ルすことが好ましい。この付与水分のバラツキが大きい
と水を吸収したときのポリアミド繊維の結晶化に差が生
じ、これが光の透過性を変え糸条の透明性にバラツキを
生じる一因となる。透明性のバラツキはフィラメント糸
を布帛にしたときの筋状斑の原因となり、商品価値が大
幅に低下することになる。必要とされる水分のバラツキ
は対象となる製品、糸種により異なるが、同一太さの未
変性の糸条に比べて、20%以上少くなっていることが好
ましい。給油方法は、回転ローラによるローラ給油より
は一定量ずつ計量しながら付与されるノズル給油の方が
好ましい。
本発明のポリアミド繊維は、主として衣料用に用いられ
るから、最終製品の風合や触感などの点からして、単糸
繊度が20デニール以下であることが好ましい。
このポリアミド繊維は、衣料用布帛製造の通常の方法
で、製織あるいは製編され、さらに、染色されて製品布
帛とされる。
この布帛の染色は、衣料用ポリアミドに通常使用される
酸性染料、含金染料、分散染料等を用いればよく、鮮明
な発色性を十分に生かすには、高鮮明色染料を用いるこ
とが好ましい。
[作用] 本発明において特定のジアミド化合物とともに繊維中に
配合している特定の塩化合物は、それのみの配合では透
明性向上や強度向上などの効果を奏することはできない
が、ジアミド化合物と併用させることによりジアミド化
合物の効果を増大させることができる。
即ち、ジアミド化合物のポリアミド中における溶融、分
散性が極めて良好となるために、糸条内部の外部異物や
ジアミド化合物の不溶解粗大粒子による光の散乱が大巾
に抑制され、極めて透明性のよい糸条とすることができ
る。さらに、これら異物粒子が糸条の物理的特性、特に
強度を低下させることがなくなるので、強度が一段と優
れた糸条とすることもでき、衣料用フィラメント糸とし
ては強いポリアミド繊維とすることが可能となる。
また、上記塩化合物は、ジアミド化合物を配合すること
や、繊維断面形状を偏平化することによって引起こされ
る紡糸時糸切れの増加のような悪影響を大幅に抑えるこ
とができる。この悪影響は、ジアミド化合物が溶融紡糸
時にポリマ中で分離凝集する傾向が強いことや、溶融紡
糸時に口金孔の周辺に滲み出して口金孔周りを汚染する
こと等によるものと考えられる。しかも、上記塩化合物
は、ポリアミド原料モノマ中へ均一混合できるジアミド
化合物の量を多くすることができ、従って、マスターポ
リマとすることが容易となる。
さらにその上、繊維横断面を特定の楕円形とすることに
より、ジアミド化合物の作用効果をさらに一層高めるこ
とできるとともに、製品をさらさらしたナチュラルな風
合や良好な光沢(艶)とすることができる。
即ち、本発明においては、ジアミド化合物含有繊維の繊
維断面形状を特定偏平度の偏平断面としているので、ジ
アミド化合物による高透明性や高鮮明発色性を阻害する
ことなく、風合や光沢を改善することができ、さらさら
したナチュラルな風合や良好な光沢(艶)を有する高透
明性、高鮮明発色性のポリアミド繊維とすることでき
る。さらに、特定の塩化合物を併用添加していることに
より、ジアミド化合物含有ポリアミド繊維の断面形状を
偏平化しても、工業的に製造可能な良好な紡糸性でもっ
て製造することができ、しかも、ジアミド化合物の本来
の効果を阻害することなく、むしろその効果を増大させ
ることができるのである。
従って、本発明によると、夏用衣料として好適な風合を
有する鮮明発色性製品を得ることができる。
請求項2の方法により、重合以前の工程でポリアミド重
合原料中にジアミド化合物も塩化合物も添加すれば、繊
維中におけるジアミド化合物の分散状態をより均一化す
ることができ、繊維性能アップおよび紡糸性の改善の効
果を一段と高めることができる。
[実施例] ・実施例1 ε−カプロラクタムの85%水溶液に、ε−カプロラクタ
ムに対し0.5重量%のエチレンビスステアリン酸アミ
ド、および、0.1重量%のβ−ナフタリンスルホン酸ホ
ルマリン縮合物(花王アトラス(株)製“デモールN")
を添加し、よく撹拌した後、常法により加熱、開環縮合
重合して98%硫酸相対粘度が2.78のマスターポリアミド
ペレット(試料A)を得た。
この変性ポリアミドをエクストルーダ型紡糸機に供し、
スリット幅が0.3mm、スリット長が異なる矩形状の吐出
孔を有する口金から、1000m/分でそれぞれ溶融紡糸した
後、引続き、伸度が40〜45%となるように延伸して糸断
面の長径と短径比(a/b)がそれぞれ異なる30デニー
ル、6フィラメントのナイロン6糸条を得た(No.1〜
4)。
また、比較として、前記変性ポリアミドを円形吐出孔も
しくは十字形吐出孔を用いて同様に溶融紡糸し、ナイロ
ン6糸条とした(No.5、8)。
さらにまた、比較として、ジアミド化合物もβ−ナフタ
リンスルホン酸ホルマリン縮合物も添加しないで重合し
たポリアミドを用いて、円形吐出孔、矩形状吐出孔もし
くは十字形吐出孔から同様に溶融紡糸し、丸断面、楕円
形断面もしくは凸型四葉断面のナイロン6糸条とした
(No.6、7、9)。
これら各方法で得られた糸条の透明性は、糸条を巾2.5c
mに1000本、すだれ状に並べ、垂直方向から白色光を入
射させ、透過した光の量を光電光度計で測定し、入射光
に対する透過光の割合(透過光強度)でもって表示し
た。
さらに、これらの糸条から筒編地を作成し、Diacid Ali
zaline sky Blue Bで常法どおり染色し、その鮮明発色
性、風合(手触り)及び光沢(艶)をそれぞれの1対1
比較法で、肉眼あるいはは手触りにより評価した。
本発明によるポリアミド繊維は、極めて優れた光透過性
をもち、染料鮮明発色性にも優れ、サラサラした風合及
び良好な光沢(艶)を有するものであった。しかも、紡
糸時糸切れも少なかった。
これに対し、No.3の場合(繊維横断面の長径/短径比が
5を越える場合)、透明性や鮮明発色性に優れていた
が、紡糸時糸切れが特に多く、断続的に紡糸することが
困難であった。
また、No.4の場合(繊維横断面の長径/短径比が3未満
の場合)、No.5の場合(丸断面繊維の場合)およびNo.7
の場合(楕円形断面糸だがジアミド化合物の配合なしの
場合)は、ジアミド化合物添加なしの丸断面糸のNo.6よ
りも良いが、透明性や鮮明染色性の点で不十分なもので
あった。
さらにまた、No.8、9の場合(凸型四葉断面の場合)
は、べたつき感がある風合となり、さらさら感は得られ
なかった。
・実施例2 ε−カプロラクタムの85%水溶液に、ε−カプロラクタ
ムに対し10重量%のエチレンビスステアリン酸アミド、
および、1重量%のβ−ナフタリンスルホン酸ホルマリ
ン縮合物(花王アトラス(株)製“デモールN")を添加
し、よく撹拌した後、常法により加熱、開環縮合重合し
て98%硫酸相対粘度が2.45のマスターポリアミドペレッ
ト(試料A)を得た。
また、塩化合物として、ポリアクリル酸ソーダ(東亜合
成工業(株)製“ディスペックス”)を用いた以外は、
上記と同様に、添加および重合を行い、硫酸相対粘度が
2.5のマスターポリアミドペレット(試料B)を得た。
さらに、ε−カプロラクタムの85%水溶液に、ε−カプ
ロラクタムに対し10重量%のエチレンビスステアリン酸
アミドのみを添加して同様に重合を行ったところ、重合
の進行と共にジアミド化合物がメルトポリマと分離しペ
レット化することが実質的にできなかった。そこで、ジ
アミド化合物の添加量を3%まで低下させて再度同様に
重合を行い、相対粘度2.5のマスターポリアミドペレッ
ト(試料C)を得た。
さらにまた、比較として上記と同じエチレンビスステア
リン酸アミド(粉末状)を、未変性ε−ポリカプラミド
ペレットにまぶしてエクストルダに供しマスターペレッ
トをつくることを試みた。エクストルーダの噛み込み性
が悪く、2.5重量%の添加することが限界であった(試
料D)。
これら4種類のマスターペレット(試料A〜D)につい
て、それぞれポリアミドフィラメント中のエチレンビス
ステアリン酸アミドの濃度が0.4重量%となるように、
実質的に光を散乱させる異物質を含まず硫酸相対粘度が
2.80である未変性ポリε−カプラミドペレットと混合
し、エクストルーダ紡糸機に供し、実施例1と同じ条件
で溶融紡糸して繊維断面のa/bが4である30デニール、
6フィラメントのポリε−カプラミド糸を得た(No.11
〜14)。
これらの糸条について実施例1と同じ方法で透明性と紡
糸性を評価した。
また別途、粉末条のエチレンビスステアリン酸アミドを
0.4重量%、ポリε−カプラミドペレットに直接まぶし
て、同様に溶融紡糸することを試みたが、エクストルー
ダの噛み込み安定性が極端に悪く、圧力変動大で糸切れ
が多発し継続して紡糸することができなかった。
本発明のエチレンビスステアリン酸アミドの分散、溶融
性向上剤を配合したポリε−カプラミドはすぐれた透明
性と紡糸安定性を示した。
[発明の効果] 本発明により、特定のジアミド化合物と特定の塩化合物
とを併用添加し、かつ、繊維横断面を特定の楕円形とす
ると、ジアミド化合物の添加による本来の効果を十分に
発揮させ、かつ、風合や光沢を改善させることができ、
透明性、染料鮮明発色性、強伸度特性、風合及び光沢が
一段と向上したポリアミド繊維を、紡糸性良く製造する
ことができる。
従って、薄地布帛としても強く、しかも透明性、鮮明発
色性に優れ、さらさらしてナチュラルな風合や良好な光
沢(艶)を有するポリアミド繊維製品とすることでき
る。
請求項2の方法によると、ジアミド化合物の均一分散性
を一層高めることができるので、透明性、染料鮮明発色
性および強伸度特性等をさらに高めることができ、マス
ターポリマ法を用いて製造することが容易となって工業
生産がさらに容易となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D04B 1/26

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミドに対して0.01〜1.0重量%の下
    記一般式(1)または(2)で示されるジアミド化合
    物、該ジアミド化合物に対して1〜30重量%の硫酸エス
    テル塩、スルホン酸塩およびポリカルボン酸塩の群から
    選ばれた1種以上の塩化合物を含み、かつ、繊維横断面
    形状が、長径aと短径bとの比(a/b)が3〜5の楕円
    形であることを特徴とする透明性および染料鮮明発色性
    に優れたポリアミド繊維。 (ただし、R1、R4は炭素原子数10〜20のアルキル基、R2
    R3は水素原子、メチル基またはエチル基、nは1〜10の
    整数を示す。)
  2. 【請求項2】重合以前の工程で、前記ジアミド化合物
    と、硫酸エステル塩、スルホン酸塩およびポリカルボン
    酸塩の群から選ばれた1種以上の塩化合物とを添加する
    ことにより、前記ジアミド化合物の濃度が0.01〜1.0重
    量%であるポリアミド組成物を製造し、該ポリアミド組
    成物を溶融紡糸することにより、請求項1記載のポリア
    ミド繊維を製造することを特徴とする、透明性および染
    料鮮明発色性に優れたポリアミド繊維の製造方法。
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