JPH076016B2 - チタン酸カリウムウイスカ強化金属複合材料 - Google Patents

チタン酸カリウムウイスカ強化金属複合材料

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JPH076016B2
JPH076016B2 JP62272725A JP27272587A JPH076016B2 JP H076016 B2 JPH076016 B2 JP H076016B2 JP 62272725 A JP62272725 A JP 62272725A JP 27272587 A JP27272587 A JP 27272587A JP H076016 B2 JPH076016 B2 JP H076016B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、複合材料に係り、更に詳細にはチタン酸カリ
ウムウイスカの成形体を強化材とし軽金属をマトリック
ス金属とする複合材料に係る。
従来の技術 チタン酸カリウムウイスカは炭化ケイ素ウイスカ、窒化
ケイ素ウイスカ、アルミナ短繊維等に比して低廉であ
り、従ってチタン酸カリウムウイスカを使用すれば低廉
な複合材料を製造し得るものと期待される。しかしチタ
ン酸カリウムウイスカは炭化ケイ素ウイスカ等に比して
アスペクト比が小さいため、ウイスカ同士の絡み合いが
弱く、圧縮成形してもその形状を保持することが困難で
ある。
そのためチタン酸カリウムウイスカの成形体を形成し、
その成形体にマトリックス金属の溶湯を加圧浸透させる
所謂高圧鋳造法により複合材料を製造するに当たって
は、例えば本願出願人と同一の出願人の出願にかかる特
願昭61−83750号明細書に記載されている如く、他の短
繊維とチタン酸カリウムウイスカとを混合し、その混合
物の成形体を形成したり、特開昭61−127836号公報に記
載されている如く、チタン酸カリウムウイスカをその重
量に対し1〜5%の無機バインダにて成形することが行
われている。
発明が解決しようとする問題点 しかしチタン酸カリウムウイスカに炭化ケイ素ウイスカ
の如き高価な他の短繊維を混合する場合には、製造され
る複合材料のコストが増大し、チタン酸カリウムウイス
カが低廉であるメリットが減殺されるだけでなく、他の
短繊維とチタン酸カリウムウイスカとを均一に混合する
ことが困難であったり混合に長時間を要したりするとい
う問題がある。
またチタン酸カリウムウイスカを1〜5%の無機バイン
ダにて成形する場合には、ウイスカの体積率が30%程度
の高い値に設定されなければならず、ウイスカの体積率
が30%程度にて無機バインダの量が増大されると、バイ
ンダの量が5%以上の範囲に於て複合材料の強度が急激
に低下するという問題がある。またチタン酸カリウムウ
イスカが無機バインダを使用して体積率30%程度にて成
形される場合には、マトリックス金属が純アルミニウム
である場合には或る程度の強度を有する複合材料を製造
することができるが、マトリックス金属としてアルミニ
ウム合金やマグネシウム合金などの実用合金が使用され
ると、複合材料の強度が著しく低下して実質的にマトリ
ックス金属のみの強度と同一になり、チタン酸カリウム
ウイスカにて複合強化する意義が全く失われてしまうと
いう問題がある。
更に上述の特開昭61−127836号公報に記載されている如
く、チタン酸カリウムウイスカにマトリックス金属の粉
末を混合し、その混合物を1〜5%の無機バインダにて
成形することによりウイスカの体積率が20%以下に設定
されれば、高圧鋳造時に於ける成形体の割れ等を防止す
ることはできるが、マトリックス金属がアルミニウム合
金やマグネシウム合金である場合には複合材料の強度が
著しく低下して実質的にマトリックス金属のみの強度と
同一になり、チタン酸カリウムウイスカにて複合強化す
る意義が全く失われてしまうという問題がある。
本願発明者は、チタン酸カリウムウイスカを強化繊維と
し軽合金をマトリックス金属とする従来の複合材料に於
ける上述の如き種々の問題に鑑み鋭意実験的検討を行っ
た結果、コストの増大を招来することなく複合材料の強
度を十分に向上させるためには、ウイスカの体積率を高
く設定すればよいのではなく、ウイスカの体積率及び無
機バインダの量に最適範囲が存在し、特にウイスカの体
積率は高い値に設定されるよりも5〜25%の比較的低い
値に設定されることが好ましく、またこれに対応して無
機バインダの量は6〜18%の比較的高い値に設定される
ことが好ましいことを見出だした。
本発明は、本願発明者が行った実験的検討の結果得られ
た知見に基づき、チタン酸カリウムウイスカの成形体を
強化材とし軽合金をマトリックス金属とする複合材料で
あって、ウイスカの体積率が比較的低く、しかも高価な
炭化ケイ素ウイスカ等が使用される場合やチタン酸カリ
ウムウイスカの体積率が高い値に設定される場合と同等
の優れた強度を有する非常に低廉な複合材料を提供する
ことを目的としている。
問題点を解決するための手段 上述の如き目的は、本発明によれば、チタン酸カリウム
ウイスカがその重量に対し6〜18%の無機バインダにて
成形され前記ウイスカの体積率が5〜25%であるチタン
酸カリウムウイスカの成形体を強化材とし、軽合金をマ
トリックス金属とするチタン酸カリウムウイスカ強化金
属複合材料によって達成される。
発明の作用及び効果 本発明によれば、チタン酸カリウムウイスカがその体積
率が2〜5%の最適範囲の値に設定されると共に、これ
に対応して無機バインダの量がウイスカの重量に対し6
〜18%の最適範囲の値に設定されるので、後述の本願発
明者が行った実験的研究の結果より明らかである如く、
チタン酸カリウムウイスカの体積率が30%以上であり無
機バインダの量がウイスカの重量に対し1〜5%であり
アルミニウム合金又はマグネシウム合金をマトリックス
金属とする複合材料や、チタン酸カリウムウイスカとマ
トリックス金属の粉末との混合物が1〜5%の無機バイ
ンダにて成形されウイスカの体積率が20%以下である成
形体を強化材としアルミニウム合金又はマグネシウム合
金をマトリックス金属とする複合材料に比して高強度の
複合材料を得ることができる。
またチタン酸カリウムウイスカの体積率が低いので、例
えば30%前後の高体積率のチタン酸カリウムウイスカを
強化繊維とする従来の複合材料に比して低廉であり、ま
た炭化ケイ素ウイスカ等の高性能であるが高価なウイス
カを強化繊維とし同等の強度を有する複合材料に比して
製造コストが1/5〜1/25程度と非常に低廉であり、被削
性等の加工性にも優れた複合材料を得ることができる。
本発明の一つの詳細な特徴によれば、無機バインダはア
ルミナ、ジルコニア、酸化クロム、酸化セリウム、酸化
鉄、酸化チタニウム、酸化スズ、酸化アンチモン及びこ
れらの混合物よりなる群より選択される。
また後述の如くチタン酸カリウムウイスカの体積率及び
チタン酸カリウムウイスカの重量に対する無機バインダ
の量はそれぞれ7〜20%、8〜16%あることが好まし
い。従って本発明の他の一つの詳細な特徴によれば、チ
タン酸カリウムウイスカの体積率は7〜20%に設定さ
れ、無機バインダの量はチタン酸カリウムウイスカの重
量に対し8〜16%に設定される。
尚本明細書に於て、「軽合金」とはアルミニウム合金及
びマグネシウム合金を包括的に意味するものである。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を実施例について
詳細に説明する。
実施例1 チタン酸カリウムウイスカの体積率が如何なる値である
ことが適切であるかの検討を行うべく、第7図に示され
ている如く、アルミナバインダ(日産化学株式会社製)
とチタン酸カリウムウイスカ2(大塚化学株式会社製、
平均繊維径0.2μ、平均繊維長20μ)とを混合し、それ
を成形して乾燥することにより、100×38×16mmの寸法
を有し、ウイスカの重量に対するアルミナバインダの量
が8%であり、ウイスカの体積率が5%、7%、10%、
12%、15%、17%、20%、22%、5%、27%、30%、35
%である12個の繊維成形体4を形成した。
次いで各繊維成形体を600℃に予熱した後、第8図に示
されている如く鋳型6のモールドキャビティ8内に配置
し、該モールドキャビティ内に710℃のアルミニウム合
金(JIS規格AC1A)の溶湯10を注湯し、該溶湯を鋳型に
嵌合するプランジャ12により1000kg/cm2の圧力に加圧し
その加圧状態を溶湯が完全に凝固するまで保持した。か
くして得られた凝固体よりチタン酸カリウムウイスカに
て複合強化された部分を切出し、その複合材料を510℃
に8時間加熱し、しかる後160℃に8時間加熱する熱処
理を行った。
また比較の目的で、バインダとしてシリカバインダが使
用され、チタン酸カリウムウイスカの体積率が30%、35
%に設定され、それぞれウイスカの重に対するバインダ
の量が5%、1%に設定され、繊維成形体がステンレス
鋼製のケース内に充填された状態で予熱され鋳造が行わ
れた点を除き、上述の複合材料と同一の要領及び条件に
て比較例A及びBの複合材料を製造した。
かくして製造された複合材料よりそれぞれ長さ50mm、幅
10mm、厚さ2mmの曲げ試験片を作成し、各曲げ試験片に
ついて支点間距離を40mmに設定して常温にて3点曲げ試
験を行い、またアルミニウム合金(JIS規格AC1A)のみ
よりなるブロック試験片についても同様に曲げ試験を行
った。尚これらの曲げ試験に於ては、試験片の破断時に
於ける表面応力M/Z(M=破断時に於ける曲げモーメン
ト、Z=曲げ試験片の断面係数)を曲げ強さとして測定
した。これらの曲げ試験の結果を第1図に示す。
実施例2 バインダとして酸化セリウム(日産化学株式会社製)が
使用され、バインダの量がチタン酸カリウムウイスカの
重量に対し12%に設定され、マトリックス金属がアルミ
ニウム合金(JIS規格AC7A)に置換えられ、溶湯の温度
が690℃に設定された点を除き、上述の実施例1の場合
と同一の要領及び条件にて複合材料を製造し、各複合材
料について実施例1の場合と同一の要領及び条件にて曲
げ試験を行った。これらの曲げ試験の結果を第2図に示
す。
実施例3 バインダとして酸化チタニウム(日産化学株式会社製)
が使用され、チタン酸カリウムウイスカの重量に対する
バインダの量が16%に設定され、マトリックス金属がマ
グネシウム合金(JIS規格MC2)に置換えられ、溶湯の温
度が690℃に設定され、複合材料に対し熱処理が行われ
なかった点を除き、上述の実施例1の場合と同一の要領
及び条件にて複合材料を製造し、各複合材料について実
施例1の場合と同一の要領及び条件にて曲げ試験を行っ
た。これらの試験の結果を第3図に示す。
実施例1〜3の結果より、バインダやマトリックス金属
の種類に拘らず、比較例の複合材料よりも十分に高い強
度を有する複合材料を得るためには、チタン酸カリウム
ウイスカの体積率は5〜25%、特に7〜20%であること
が好ましいことが解る。
実施例4 無機バインダの量が如何なる値であることが適切である
かの検討を行うべく、チタン酸カリウムウイスカの体積
率を7%に設定し、酸化クロムバインダ(日産化学株式
会社製)の量をウイスカの重量に対し4%、6%、8
%、10、12%、14%、16%、18%、20%となるよう9個
の繊維成形体を形成し、マトリックス金属がアルミニウ
ム合金(JIS規格AC4C)に置換えられ、溶湯の温度が710
℃に設定された点を除き、実施例1の場合と同一の要領
及び条件にて複合材料を製造し、各複合材料について実
施例1の場合と同一の要領及び条件にて曲げ試験を行っ
た。これらの曲げ試験の結果を第4図に示す。
実施例5 無機バインダとして酸化鉄(Fe2O3、日産化学株式会社
製)が使用され、チタン酸カリウムウイスカとして平均
繊維径20μ、平均繊維長200μの久保田鉄工株式会社製
タイプAが使用され、ウイスカの体積率が12%に設定さ
れ、マトリックス金属としてアルミニウム合金(JIS規
格AC1A)が使用され、溶湯の温度が710℃に設定された
点を除き、実施例4の場合と同一の要領及び条件にて複
合材料を製造し、各複合材料について実施例1の場合と
同一の要領及び条件にて曲げ試験を行った。これらの曲
げ試験の結果を第5図に示す。
実施例6 無機バインダとして酸化ジルコニウム(日産化学株式会
社製)が使用され、チタン酸カリウムウイスカとして平
均繊維径0.4μ、平均繊維長6μの久保田鉄工株式会社
製タイプCが使用され、ウイスカの体積率が20%に設定
され、マトリックス金属としてマグネシウム合金(JIS
規格MC2)が使用され、溶湯の温度が690℃に設定された
点を除き、実施例4の場合と同一の要領及び条件にて複
合材料を製造し、複合材料に対し熱処理が行われなかっ
た点を除き実施例1の場合と同一の要領及び条件にて曲
げ試験を行った。これらの曲げ試験の結果を第6図に示
す。
実施例4〜6の結果より、バインダ、チタン酸カリウム
ウイスカ、マトリックス金属種類に拘らず、比較例の複
合材料よりも充分に高い強度を有する複合材料を得るた
めには、無機バインダの量はウイスカの重量に対し6〜
18%、特に8〜16%であることが好ましいことが解る。
以上に於ては本発明を幾つかの実施例について詳細に説
明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能で
あることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第3図はそれぞれチタン酸カリウムウイスカ
の体積率をパラメータとして行われた実施例1〜3の曲
げ試験の結果を比較例の曲げ試験の結果と共に示すグラ
フ、第4図乃至第6図はそれぞれ無機バインダの量をパ
ラメータとして行われた実施例4〜6の曲げ試験の結果
を示すグラフ、第7図はアルミナバインダを用いて形成
されたチタン酸カリウムウイスカの繊維成形体を示す斜
視図、第8図は第7図に示された繊維成形体を用いて複
合材料を製造する場合の高圧鋳造工程を示す解図であ
る。 2……チタン酸カリウムウイスカ,4……繊維成形体,6…
…鋳型,8……モールドキャビティ,10……アルミニウム
合金の溶湯,12……プランジャ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン酸カリウムウイスカがその重量に対
    し6〜18%の無機バインダにて成形され前記ウイスカの
    体積率が5〜25%であるチタン酸カリウムウイスカの成
    形体を強化材とし、軽合金をマトリックス金属とするチ
    タン酸カリウムウイスカ強化金属複合材料。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項のチタン酸カリウム
    ウイスカ強化金属複合材料に於て、前記無機バインダは
    アルミナ、ジルコニア、酸化クロム、酸化セリウム、酸
    化鉄、酸化チタニウム、酸化スズ、酸化アンチモン、及
    びそれらの混合物よりなる群より選択されたバインダで
    あることを特徴とするチタン酸カリウムウイスカ強化金
    属複合材料。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項又は第2項のチタン
    酸カリウムウイスカ強化金属複合材料に於て、前記チタ
    ン酸カリウムウイスカの体積率は7〜20%であることを
    特徴とするチタン酸カリウムウイスカ強化金属複合材
    料。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項乃至第3項の何れか
    のチタン酸カリウムウイスカ強化金属複合材料に於て、
    前記無機バインダの量はチタン酸カリウムウイスカの重
    量に対し8〜16%であることを特徴とするチタン酸カリ
    ウムウイスカ強化金属複合材料。
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