JPH0759544A - 凍結変性を防止した卵黄の製造法 - Google Patents

凍結変性を防止した卵黄の製造法

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JPH0759544A
JPH0759544A JP5210267A JP21026793A JPH0759544A JP H0759544 A JPH0759544 A JP H0759544A JP 5210267 A JP5210267 A JP 5210267A JP 21026793 A JP21026793 A JP 21026793A JP H0759544 A JPH0759544 A JP H0759544A
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JP
Japan
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egg yolk
denaturation
freezing
yolk
fluid
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Pending
Application number
JP5210267A
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English (en)
Inventor
Shoichi Takahashi
昌一 高橋
Kazuyuki Nakayama
和幸 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 凍結変性を防止した卵黄の提供。 【構成】 凍結卵黄を製造するに際し、卵黄に脂質分解
酵素を添加し、酵素処理を施した後、亜臨界または超臨
界状態の流体を流通させ、ついで凍結することを特徴と
する凍結変性を防止した卵黄の製造法。 【効果】 凍結変性を防止した、食品用素材として好適
な凍結卵黄が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、卵黄を冷凍保存すると
きに生じる、凍結に伴う粘度の上昇、乳化性および熱凝
固性の低下等の凍結変性を防止した卵黄の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】卵黄は美味、高栄養価に加え、各種ビタ
ミンや鉄分を豊富に含む完全栄養食品である。また、卵
黄の有する乳化性や熱凝固性等の機能は、各種加工食品
において様々な形で利用されている。この卵黄の鮮度を
保持するためには、低温下での保存が不可欠であるが、
特に割卵した卵の場合には細菌等の微生物の増殖が進み
易いために、冷蔵下においても数日間しか保存できな
い。長期間の保存が必要な場合は、卵黄を冷凍して保存
すれば良いが、凍結変性によって粘度の上昇、熱凝固性
の低下および乳化性の低下といった卵黄の持つ物性、機
能特性が損なわれることとなる。従来より、このような
卵黄の冷凍保存における凍結変性を防ぐために、食塩や
蔗糖を卵黄に添加混合した後冷凍する方法が一般的には
行われている。また、卵黄にプロテアーゼ等のタンパク
質分解酵素を添加し、酵素処理を行うことによって凍結
変性を防ぐ方法(特公昭62−5572号公報)も知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の、卵黄に食塩や
蔗糖を添加し、凍結変性を防止する方法では、卵黄に対
して約5〜20%程度の蔗糖や食塩の添加が必要となる
ため、凍結変性は防げるものの風味面に大きな影響を及
ぼすこととなる。すなわち、蔗糖による甘味、食塩によ
る塩味が生じ、卵黄の用途範囲が大幅に制限されること
となる。また、プロテアーゼを添加する方法では、タン
パク質を分解するため、苦味を呈するペプチドが生じた
り、卵黄の機能特性である乳化性や熱凝固性が損なわれ
たりする問題が生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な事情に鑑み、上記の問題を生じない、凍結変性を防止
した卵黄の製造法について鋭意検討した結果、本発明を
完成するに至った。すなわち、本発明は、凍結卵黄を製
造するに際し、卵黄に脂質分解酵素を添加し、酵素処理
を施した後、亜臨界または超臨界状態の流体を流通さ
せ、ついで凍結することを特徴とする凍結変性を防止し
た卵黄の製造法を提供するものである。
【0005】本発明における卵黄とは、鶏卵を割卵後、
卵白と分離して得られる卵黄液の他、卵白を所望の割合
で混合した卵黄卵白混合液、または割卵後卵黄と卵白と
を分離しない全卵液を意味し、いずれのものを用いても
本発明の目的は達せられる。
【0006】本発明に用いる脂質分解酵素は特に限定す
るものではなく、卵黄に含まれるトリグリセリドまたは
リン脂質に作用するものであればいずれでもよい。かか
る酵素としては、例えば、リパーゼ、リポプロテインリ
パーゼおよびホスフォリパーゼから選ばれた少なくとも
1種が好適に使用できる。具体的には、リパーゼF、リ
パーゼM、リパーゼA、リパーゼAYおよびリポプロテ
インリパーゼ(以上、天野製薬社製)、豚膵臓リパーゼ
(シグマ社製)、レシターゼおよびパラターゼ、(以
上、ノボノルディスク社製)、リパーゼ「サイケン」
(ヤクルト本社製)、タリパーゼ(田辺製薬製)、リポ
プロテインリパーゼ(東洋紡績株式会社製)、ホスフォ
リパーゼA2、ホスフォリパーゼB、ホスフォリパーゼ
C、ホスフォリパーゼD(以上シグマ社製)等の名称で
一般に市販されているものが例示できる。また、該脂質
分解酵素の卵黄への添加量は、酵素の種類、処理温度等
の条件により異なるが、通常、卵黄に対して0.000
01%〜1%(重量%、以下同じ)の範囲で選ばれる。
添加量が0.00001%未満では、凍結変性防止効果
が現れ難く、また1%を超えて添加した場合には、短時
間のうちに卵黄に性状の変化が生じる場合があるため、
好ましくない。
【0007】酵素反応条件は、上記各酵素の通常用いら
れる処理条件にて実施すればよく、特に限定されない
が、一般的には原料である卵黄の熱による変性を避ける
ため、65℃以下、好ましくは30〜60℃の温度範
囲、および0.5〜48時間、好ましくは0.5〜10時
間の反応時間を採用するのが適当である。
【0008】本発明の製造法は、凍結前の卵黄に脂質分
解酵素を添加し、酵素処理を施した後、亜臨界または超
臨界状態の流体を流通させ、ついで凍結することにより
実施できる。亜臨界または超臨界状態の流体とは、臨界
温度および臨界圧力近傍あるいはこの臨界点を越える状
態にある流体であり、例えば、エチレンは9℃、50気
圧、二酸化炭素は、31℃、73気圧、亜酸化窒素は3
7℃、71気圧、プロパンは97℃、42気圧が臨界点
であり、本発明においては、この臨界点近傍あるいはこ
れを超える状態の流体を卵黄に流通させることにより凍
結変性を防止する。臨界温度以下の液状の高圧流体でも
本発明の目的を達成することができるが、非効率的であ
る。すなわち、本発明においては、圧力50〜500k
g/cm2、好ましくは100〜350kg/cm2、温
度25〜80℃、好ましくは30〜60℃の亜臨界また
は超臨界状態の流体を用いるのが好ましい。圧力が50
kg/cm2より低いと満足すべき凍結変性防止効果は
得難く、また、500kg/cm2より高い圧力ではそ
の効果はあるものの、装置費がかさむため経済的でなく
なる。また、温度が25℃より低いと、圧力の低い場合
と同様に本発明の目的は達せ難く、逆に80℃より高い
場合は、卵黄中の蛋白質の変性、機能特性の劣化等によ
る品質的な問題が生じる。
【0009】亜臨界または超臨界状態の流体を酵素処理
を施した卵黄に流通させる時間も特に限られないが、通
常30分から5時間の範囲で実施するのが良い。本発明
で用いる流体は、上記のような亜臨界または超臨界状態
のものであればいずれでも良いが、安全性、静菌または
殺菌作用、経済性、比較的低温下での処理が可能等の理
由から、二酸化炭素が好ましく用いられる。また、卵黄
の殺菌および使用した脂質分解酵素の失活を目的として
前記操作の後60〜70℃にて加熱処理を施すことも可
能である。
【0010】かくして、本発明の製造法で得られた凍結
卵黄は、従来の凍結卵黄と同様に保存、使用でき、長期
の保存によっても、凍結変性を最少限に止どめることが
できる。
【0011】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 卵黄液500gにリパーゼM(天野製薬製)100mg
を添加し、40℃にて2時間撹拌しながら反応させた。
この酵素処理を施した卵黄液を1000ml容の耐圧容
器に入れ、250kg/cm2、43℃の二酸化炭素を
2時間流通させた。この操作の後、耐圧容器より卵黄液
を取り出し、−20℃にて冷凍保存した。3カ月間後冷
凍卵黄液を取り出し、室温にて解凍し、卵黄液の粘度
(40℃:B型粘度計使用)を測定した。また、本発明
の酵素処理および二酸化炭素の流通を施さない卵黄液を
−20℃にて3カ月冷凍保存したものを対照1とし、解
凍した後、同様に粘度を測定した。この結果を表1に示
す。
【0012】
【表1】
【0013】表1に示すごとく、本発明の製造法で得ら
れた卵黄液は凍結解凍後の粘度が低く、凍結変性を防止
できた。また、解凍後の卵黄液の乳化性、熱凝固性およ
び風味は、当初のものと変わらないものであった。
【0014】実施例2 卵黄液1000gにリパーゼF(天野製薬製)1gを添
加し、37℃にて4時間撹拌しながら酵素処理を行っ
た。この処理を施した卵黄液を2000ml容の耐圧容
器に入れ、300kg/cm2、45℃の二酸化炭素を
3時間流通させた。耐圧容器より卵黄液を取りだし、−
20℃にて冷凍保存した。一定期間後に室温にて解凍
し、その流動性を観察した。対照2として、リパーゼF
による酵素処理のみを施し、二酸化炭素の流通を施さな
い場合の卵黄液も同様にして冷凍保存した後、解凍し、
その流動性を観察した。この結果を表2に示す。
【0015】実施例3 リパーゼFの代わりにリポプロテインリパーゼ(東洋紡
績製)10mgを用いた以外は実施例2と同様にして酵
素処理、二酸化炭素の流通を行い、−20℃での凍結保
存後の流動性を調べた。その結果、3カ月経過後、解凍
しても流動性のある卵黄液が得られることを確認した。
【0016】実施例4 リパーゼFの代わりにホスフォリパーゼD(シグマ社
製)20mgを用いた以外は実施例2と同様にして酵素
処理、二酸化炭素の流通を行った。−20℃での凍結保
存後の流動性を調べたところ、3カ月経過後も流動性の
ある卵黄液が得られることを確認した。
【0017】
【表2】
【0018】表2に示すごとく、本発明の製造法により
得られる卵黄液は凍結解凍後も流動性がよく、凍結変性
を防止できることがわかる。
【0019】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、卵黄の乳化
性、熱凝固性等の機能特性を低下させることなく、ま
た、本来の風味を損なうこと無く、凍結に伴う凍結変性
を防止した卵黄を得ることができる。凍結解凍後に得ら
れる卵黄は流動性の良好なものであり、食品用素材とし
て好適なものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凍結卵黄を製造するに際し、卵黄に脂質
    分解酵素を添加し、酵素処理を施した後、亜臨界または
    超臨界状態の流体を流通させ、ついで凍結することを特
    徴とする凍結変性を防止した卵黄の製造法。
  2. 【請求項2】 脂質分解酵素がリパーゼ、リポプロテイ
    ンリパーゼ、ホスフォリパーゼから選ばれた少なくとも
    1種である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 圧力50〜500kg/cm2および温
    度25〜80℃の条件下で亜臨界または超臨界状態の流
    体を流通させる請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】 亜臨界または超臨界状態の流体が二酸化
    炭素である請求項3記載の製造法。
JP5210267A 1993-08-25 1993-08-25 凍結変性を防止した卵黄の製造法 Pending JPH0759544A (ja)

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