JPH0757718A - 電池の負極端子板の被膜処理方法 - Google Patents

電池の負極端子板の被膜処理方法

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JPH0757718A
JPH0757718A JP19834493A JP19834493A JPH0757718A JP H0757718 A JPH0757718 A JP H0757718A JP 19834493 A JP19834493 A JP 19834493A JP 19834493 A JP19834493 A JP 19834493A JP H0757718 A JPH0757718 A JP H0757718A
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JP
Japan
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coating
metal
plate
roll
negative electrode
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JP19834493A
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English (en)
Inventor
Hirofumi Sugikawa
裕文 杉川
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Katayama Special Industries Ltd
Original Assignee
Katayama Special Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボタン電池において水銀を添加しなくても水
素ガスの発生を防止すると共に放電特性を向上させる。 【構成】 電池の負極端子板となる金属板(8)の負極
活物質と接触させる面に、Znを合金化できると共に該
合金の水素過電圧が高くなる金属を溶融状態としてロー
ルを用いてコーティングして、被膜層(5)を形成して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボタン電池の封口板等
からなる電池の負極端子板の被膜処理方法に関し、詳し
くは、負極活物質として亜鉛を用いている場合に水素ガ
スの発生防止および亜鉛の不動態化を防止するため従来
添加されていた水銀を不要とし、無水銀化を図るもので
ある。
【0002】
【従来の技術】乾電池の一次電池として用いられている
ボタン電池は、図4に示す構成からなり、正極端子板と
なるケース101に負極端子板となる封口板102をガ
スケット103を介して組み立ててボタン形状の偏平な
円筒体からなるボタン電池外板を形成し、その内部をセ
パレータ104で仕切り、セパレータ104とケース1
01に挟まれた空間に正極活物質105を充填すると共
に、セパレータ104と封口板102に挟まれた空間に
亜鉛を含む負極活物質106を充填している。尚、以下
の記載において、亜鉛はZnとして記載すると共に金属
は化学記号で記載する。
【0003】上記封口板102は負極活物質106の電
解液の漏出防止および外気との遮断を行う役割をもち、
鉄またはステンレス鋼板からなる基材の内面にCu被覆
層、外面にNi被覆層をメッキあるいはクラッド方法で
設けた金属板が用いられている。上記封口板102の外
面にNi被覆層を設けるのは接触電気抵抗を下げるため
であり、内面にCu被覆層を設けるのは、負極活物質の
Znが電解液との反応により水素ガスが発生するのを抑
止するためである。
【0004】即ち、負極活物質106として用いるZn
は、酸およびアルカリに非常に弱く、防食処理を施さな
いと、乾電池保存中にアルカリ成分である電解液と反応
し、水素ガスを発生しながら腐食する。よって、基材内
面にCu被覆層を設けていない場合より、Cu被覆層を
設けている方が水素ガス発生の抑止効果があるが、Cu
被覆層に不純物(Fe,C,Cr等)が含まれているた
め、該不純物が電解液に溶出して該電解液とZnが反応
して水素ガスを発生するのを完全に防止することはでき
ない。
【0005】また、負極活物質にZnを用いた場合、使
用中に放電により生成するZnOがZnを保護するよう
に電極の表面を覆って不動態化し、放電の時に起こるZ
nの溶出反応を妨げる問題がある。このように、Znを
負極活物質として用いる場合、使用中にはZnOをZn
の表面にとどまらせないようにすることが好ましいが、
乾電池保存中にはZnOを生成させて不動態化させ電解
液のアルカリ成分と反応させないことが好ましく、全く
逆の特性を持たせなければならない。
【0006】上記した問題に対して、従来、負極活物質
中に水銀を添加して解決している。即ち、水銀はZnと
簡単に水銀基合金(アマルガム)を形成する。Znがア
マルガム化すると、アマルガムは水素過電圧が高いた
め、水素ガスが発生しにくくなり、よって、水素ガスの
発生反応と対になって生じるZnの溶解という腐食反応
を防止する。上記した水素過電圧が高いと水素ガスの発
生を抑止するのは、金属は理論上、水素ガスが発生する
電圧より更に大きな過電圧を加えないと水素ガスが発生
しない。よって、金属表面ではこの過電圧が高い程、水
素ガスが発生しにくくなることによる。一方、アマルガ
ムは、放電時に生成する電気抵抗が比較的大きいZnO
をZnの表面にとどまりにくくする作用を有すると共
に、アマルガムの電気抵抗はZnより小さく、よって、
Zn同士の接触抵抗も小さく出来、かつ、柔らかいため
接触面積を増大させるので、放電特性を改善することが
出来る。即ち、水銀は、電池保存中と電池使用中とにお
けるZnに要求される特性を両方満足させることが出来
るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近時、
電池の無水銀化が要求されるようになっており、水銀含
有量の規制さらには水銀使用の禁止がなされつつある。
よって、本発明は、水銀を添加することなく、負極活物
質としてZnを用いた場合に発生する前記した問題、即
ち、電池保存中におけるZnと電解液のアルカリ成分と
の反応による水素ガス発生および電池使用中におけるZ
nOによる不動態化による放電性能の低下を解消するこ
とを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、水銀と同一の特性、即ち、Znと合金化
して、該合金の水素過電圧が高くなる金属(以下、水銀
代替金属と称する)の被膜層を、負極活物質と接触する
面に設ける事を特徴としている。即ち、本発明は、電池
の負極端子板となる金属板の負極活物質と接触させる面
に、Znを合金化できると共に該合金の水素過電圧が高
くなる金属を溶融状態としてロールを用いてコーティン
グしている電池の負極端子板の被膜処理方法を提供する
ものである。
【0009】詳しくは、上記溶融金属を入れている容器
内に、下側部が溶融金属と浸漬するようにピックアップ
ロールを配置し、該ピックアップロールの溶融金属に浸
漬していない上面にコーティングロールを配置し、これ
らピックアップロールおよびコーティングロールを回転
させ、コーティングロールの上面に搬送する上記負極端
子板となる金属板の下面に上記溶融金属をコーティング
ロールを介してコーティングしている。
【0010】上記水銀と同一の特性を持つ水銀代替金属
としては、水素過電圧が高い金属で、しかも、水銀のよ
うな人体に害のある金属ではなく、人体に無害な金属、
例えば、Pb,In,Al,Ag,Sn,Mg,Ca,
Bi等を用いており、かつ、これらの金属は単一或いは
混合して用いる事ができる。上記水銀代替金属のコーテ
ィング被膜層の厚さは0.2μm〜15μmの範囲が好ま
しく、負極端子板となる金属板の基材である鋼板の内面
に直接被膜する場合には、0.5μm〜15μm、上記鋼
板の内面側にCu被覆層を介して被膜する場合には0.
2μm〜10μm、好ましくは、3μm〜6μmである。
【0011】上記のように水銀代替金属のコーティング
被膜層を、メッキによらずにコーティングにより形成し
ているのは、下記の理由による。即ち、メッキ方法によ
り被膜層を形成する場合、電解液槽に添加剤として有機
物等を入れるため、形成されるメッキ被膜中に有機物の
共析が生じる。さらに、ステンレス鋼板等かならる金属
板が連続的に電解液槽を通過すると、鋼板の成分である
Fe,C,Si,Mn,Cr等の金属が溶出し、電解液
中に混入するため、さらに形成されるメッキ被膜中に再
共析することとなる。よって、水素過電圧が高い金属の
メッキ被膜層を形成しても、該メッキ被膜層に不純物が
多く含まれてしまい、該不純物が水素過電圧を低下させ
る不純物(Fe,C,Cr等)であるため、水素ガスの
発生を抑止することが出来なくなる。上記不純物は1P
PM以下であると、水素ガスの発生を抑止することが出
来るが、メッキ方法では1PPM以下とすることは困難
である。さらに、メッキで被膜層を形成する場合には、
各工程で薬品等のくみ出しが発生するため、公害発生防
止の点から廃液処理装置を必要とする。上記メッキ方法
と比較してロールを介してコーティングで被膜層を形成
すると、メッキ工程時に発生する不純物の混入を防止で
きる。かつ、廃液処理装置が不要であると共に、メッキ
法と比較して被膜形成時間を1/5に短縮する事が出来
る。
【0012】上記溶融金属のコーティングは不活性ガス
雰囲気内で行うと共に、コーティングして金属被膜層を
形成した後、非酸化性ガス雰囲気中で焼鈍を行うと共
に、冷却後にスキンパス加工あるいはカレンダー加工を
施している。
【0013】また、上記溶融金属をコーティングする前
に金属板を加熱している。これは溶融金属を塗布する時
に、密着性を向上させると同時に温度差で金属板の変
形、変質を防止するためであり、予め金属板を低融点金
属の融点近くまで加熱しておくことが好ましい。
【0014】
【作用】本発明の上記負極端子板の製造方法では、上記
負極端子板となる金属板の内面に、ロールを用いてコー
ティングして水素過電圧の高い金属被膜層を形成してい
るため、該金属被膜層には、メッキ液槽を通してメッキ
で被膜層を形成する場合に生ずる不純物の混入を防止す
ることができ、不純物の混入により発生する水素ガスを
より確実に防止することが出来る。
【0015】また、メッキと比較してコーティングで上
記金属被膜層を形成すると、工程が単純化でき、該金属
被膜層の形成時間を略1/5に短縮でき、かつ、メッキ
の場合に必要な廃液処理設備を不要とすることが出来
る。
【0016】さらに、負極活物質と接する負極端子板の
内面に、水銀と同一の特性を有するZnと合金化して該
合金の水素過電圧が高くなる金属の被膜層を設けている
ため、Znが電解液のアルカリ成分と反応して水素ガス
を発生することを防止あるいは抑止することが出来る。
また、アマルガムと同様に、上記負極端子板の内面に被
膜した水素過電圧が高い金属とZnとの合金は、ZnO
がZnの表面に止まりにくくする作用を有し、Znの不
動態化を防止し、放電特性を高めることが出来る。 さ
らに、負極端子板の内面に上記金属の被膜層を設けてい
るため、耐衝撃性が向上する。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例により詳細
に説明する。図1は本発明に係わる方法により形成され
た負極端子板1の一例を示し、該負極端子板1は、ステ
ンレス鋼板2の内面側にCuメッキ層3、外面側にNi
メッキ層4を設け、上記Cuメッキ層3の内面に低融点
金属のSnとInを等量で混合した溶融金属をロールで
コーティングしてSn−In被膜層5を設けたものであ
る。上記ステンレス鋼板2とCuメッキ層3の間にはス
テンレス鋼とCuとの拡散層6、ステンレス鋼板2とN
iメッキ層4の間にはステンレス鋼とNiとの拡散層7
が設けられている。
【0018】上記ステンレス鋼板2およびその内外面に
積層した各層の厚さは下記の如く設定している。 ステンレス鋼板2・・0.05mm 〜 0.8mm Cuメッキ層3・・・ 2μm 〜 20μm Niメッキ層4・・・ 0.5μm 〜 6.0μm 拡散層6、7・・・・ 0.1μm 〜 5.0μm Sn−In被膜層・・ 0.2μm〜 15μm
【0019】上記Sn−In被膜層5を備えた負極端子
板1は、まず、図2に記載するフローチャートの工程に
従って、ステンレス鋼板2の内面に拡散層6を介してC
uメッキ層3と、外面に拡散層7を介してNiメッキ層
4を備えた金属板8を製造し、該金属板8にSn−In
被膜層5をコーティングしている。上記図2に示す工程
は、本出願人の出願に係わる特開平4−52295号に
開示した工程と同一であり、コイル払出機より巻き出し
たステンレス鋼板(ステンレス鋼素地)2に対して電解
脱脂処理をした後、水洗処理し、ついで、活性化処理を
する。活性化処理の後、水洗処理し、ついで、外面にN
iストライクメッキを施した後、内面にCuストライク
メッキを施す。上記のように、片面づつストライクメッ
キを施した後、外面にNi本メッキを施し、内面にCu
本メッキを施す。該本メッキ終了後に水洗、乾燥処理し
てコイル巻取機でコイル状に巻き取る。ついで、連続焼
鈍炉へとコイルより巻き出して搬送し、非酸化性雰囲気
中で加熱温度600℃〜900℃に昇温し、0.5〜1
5分焼鈍している。この焼鈍工程で、ステンレス鋼板2
とCuメッキ層3の間にSUS−Cu拡散層6、ステン
レス鋼板とNiメッキ層4の間にSUS−Ni拡散層7
を形成している。上記連続焼鈍の後、調質圧延を行い、
その後、コイル巻取機に巻き取っている。
【0020】上記した工程で金属板8を製造した後、C
uメッキ層3の表面(内面)にSn−In被膜層5を図
3に示す被膜装置10で設けている。
【0021】上記被膜装置10は、等量で混合したSn
とInの溶融金属20を入れている容器21、該溶融金
属20に下側部を浸漬させた状態で容器21の内部に配
置しているピックアップロール22、該ピックアップロ
ール22の上端面に接触配置しているコーティングロー
ル23を備え、上記ピックアップロール22およびコー
ティングロール23は回転駆動手段(図示せず)で回転
させている。また、コーティングロール23と対向する
上面に押えロール28を配置している。上記ピックアッ
プロール22は溶融金属に浸漬する下側部で粘性を有す
る溶融金属20がロール表面に付着し、この溶融金属2
0が付着した状態で回転し、上面側のコーティングロー
ル23との対向面において、ピックアップロール22と
コーティングロール23との隙間で付着した溶融金属2
0を絞りながらコーティングロール23の表面側に溶融
金属20を付着するようにしている。
【0022】上記被膜装置10はチャンバー24内に設
置しており、該チャンバー24に対向して入口24aと
出口24bを設け、これら入口24aと出口24bを通
して上記金属板8を水平状態として連続搬送している。
このように連続搬送する金属板8をコーティングロール
23と押えロール28の間を通して搬送し、金属板8の
Cuメッキ層3の下面が上記コーティングロール23の
上面と接触するように設定している。また、チャンバー
24内に不活性ガス用エアコンプレッサー25と接続し
た配管26を延在させ、該配管26の先端より不活性ガ
スをチャンバー24内に供給し、チャンバー24内を不
活性ガス雰囲気としている。不活性ガスとしてはHe,
Ne,Ar,Nガスを用いている。
【0023】上記溶融金属を入れた容器20は耐熱ステ
ンレスで形成し、金属の融点以上、好ましくは融点より
20〜50℃以上に加熱している。これら加熱手段とし
てはSiCヒータあるいは誘導加熱器(図示せず)を用
いている。上記ピックアップロール22およびコーティ
ングロール23も耐熱ステンレスで形成しており、その
表面は平滑面としている。尚、溶融金属は粘性を有する
ためピックアップロール22、コーティングロール23
の平滑な表面にも十分付着する。また、チャンバー24
の壁面はセラミックスで形成し、耐熱性を与えている。
【0024】上記被膜装置10に搬入する金属板8は図
3に示すように、金属板8を前処理装置11で脱脂・酸
活性処理し、ついで、加熱装置12で乾燥すると共に上
記溶融金属の融点近くまで加熱している。例えば、本実
施例では、等量で混合したSn−In合金の融点が約1
20℃であるため、該融点近くの100℃まで加熱して
いる。
【0025】被膜装置10では、容器21内のSn−I
n溶融金属20がピックアップロール22の回転に応じ
て、溶融金属20に浸漬される下側部で、その表面に供
給され、ついで、ピックアップロール22の上面側でコ
ーティングロール23の表面に供給される。ついで、コ
ーティングロール23の上端面に接触する金属板8のC
uメッキ層3の表面にコーティングされる。
【0026】コーティングされるSn−In被膜層5の
膜厚の制御は、ピックアップロール22とコーティング
ロール23との対向する隙間を調節することにより制御
しており、被膜層5の膜厚を大とする場合には上記隙間
を大としてコーティングロール23の表面に付着する溶
融金属の厚さを大とし、逆に膜厚を薄くするには隙間を
小としている。尚、被膜層5の膜厚制御は他の適宜な手
段、例えば、金属板8の搬送速度とロール22、23の
回転速度の制御、あるいは、上記容器21、ロール2
2、23を設けた被膜手段を複数組み並列に設置しても
良い。
【0027】上記コーティングロール23でコーティン
グされる溶融金属20は均一な厚さで金属板8のCuメ
ッキ層3の表面に被膜され、Sn−In被膜層5が形成
される。本実施例ではSn−In被膜層5の厚さは0.
2μm〜15μmとしている。このSn−In被膜層5
は、Sn−Inの混合溶融金属が直接にCuメッキ層の
表面にコーティングされるので、純度の変化はなく、不
純物の混入が99.99%ない被膜層とすることが出来
る。
【0028】また、上記溶融金属20がコーティングさ
れる金属板8は予め加熱されているため、コーティング
時の熱によって、変性、歪みの発生を防止でき、かつ、
コーティングされた溶融金属を確実に熱融着させて密着
性を向上させることが出来る。
【0029】被膜装置10でSn−In被膜層5を設け
た後、焼鈍を行う誘導加熱装置13に搬送している。該
誘導加熱装置13内は、非酸化性雰囲気としており、ヒ
ータ16内を上記Sn−In被膜層5がコーティングさ
れた金属板8を挿通させ、所要時間および所要温度で加
熱して焼鈍を行っている。この焼鈍で、Sn−In被膜
層5とCuメッキ層3の間に拡散層を設けることも出来
る。
【0030】上記焼鈍の後、冷却装置14で冷却し、冷
却後にスキンパス装置15で所要の厚さに圧下処理して
いる。このスキンパス加工により、コーティング時にS
n−In被膜層5に空孔が生成していても、空孔がなく
なり、かつ、Sn−In被膜層5の厚みを所要の厚みと
することが出来る。上記した工程で製造された図1に示
す負極端子板1は、プレス加工で前記図4に示すボタン
電池の封口板となる形状に成形される。
【0031】上記実施例は、ステンレス鋼板2の両面に
Cuメッキ層3とNiメッキ層4を設けた金属板8のC
uメッキ層3に水素過電圧の高い被膜層5を設けている
が、ステンレス鋼板2の一面にCu箔、他面にNi箔を
貼り合わせ、ついで、これらに対して圧延、焼鈍を繰り
返して施して一体に密着させたクラッド材からなる金属
板8を用い、該金属板8のCu箔の表面に上記被膜装置
10で被膜層5を形成してもよい。さらに、ステンレス
鋼板の表面にCu被覆層を介さずに直接に被膜装置10
を用いて被膜層5を形成してもよい。ただし、その場合
には被膜層5の膜厚を大とすることが好ましい。
【0032】尚、本発明は上記実施例に限定されず、例
えば、溶融金属を入れた容器に大径ロールを浸漬し、該
大径ロールの上端面を容器より突出させると共に、大径
ロールの上端面に接触するように金属板を搬送し、該ロ
ールにより溶融金属をコーティングするようにしてもよ
い。
【0033】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
では、負極活物質Znと接する負極端子板の内面に、Z
nと合金化して該合金の水素過電圧が高くなる金属をロ
ールを用いてコーティングしているため、電池保存中
は、水素過電圧が高いことにより水素ガスの発生を防止
あるいは抑止することができる。また、使用中はZnO
がZnの表面にとどまりにくくして、Znの不動態化を
防止し、放電特性を高めることができる。
【0034】また、上記水素過電圧が高い金属を、メッ
キ法ではなく、溶融した状態でコーティングして該金属
被膜層を形成しているため、該金属被膜層に不純物が混
入するのを確実に防止することができる。よって、不純
物の混入により増加する水素ガスの発生を確実に防止す
ることができる。
【0035】さらに、メッキ方法では廃液処理設備が必
要とすると共に工程が複雑になるが、コーティング方法
を用いると、廃液処理設備が不要となり、しかも工程が
簡単となって、メッキ方法と比較して約1/5時間で被
膜層を形成することができる等の種々の利点を有するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の負極端子板の断面図であ
る。
【図2】 上記実施例の被膜層5を被膜する前の金属板
を構成するまでのフローチャートである。
【図3】 上記実施例の被膜処理装置を示す概略図であ
る。
【図4】 ボタン電池の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
101 正極端子板 102 封口板 103 ガスケット 104 セパレータ 105 正極活物質 106 負極活物質 1 負極端子板 2 ステンレス鋼板 3 Cu被膜層 4 Ni被膜層 5 被膜層(Sn−In被膜層) 6 SUS−Cu拡散層 7 SUS−Ni拡散層 8 金属板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年11月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】上記のように水銀代替金属のコーティング
被膜層を、メッキによらずにコーティングにより形成し
ているのは、下記の理由による。即ち、メッキ方法によ
り被膜層を形成する場合、電解液槽に添加剤として有機
物等を入れるため、形成されるメッキ被膜中に有機物の
共析が生じる。さらに、ステンレス鋼板等かならる金属
板が連続的に電解液槽を通過すると、鋼板の成分である
Fe,C,Si,Mn,Cr等の金属が溶出し、電解液
中に混入するため、さらに形成されるメッキ被膜中に再
共析することとなる。よって、水素過電圧が高い金属の
メッキ被膜層を形成しても、該メッキ被膜層に不純物が
多く含まれてしまい、該不純物が水素過電圧を低下させ
る不純物(Fe,C,Cr等)であるため、水素ガスの
発生を抑止することが出来なくなる。上記不純物は1P
PM以下であると、水素ガスの発生を抑止することが出
来るが、メッキ方法では1PPM以下とすることは困難
である。さらに、メッキで被膜層を形成する場合には、
各工程で薬品等のくみ出しが発生するため、公害発生防
止の点から廃液処理装置を必要とする。上記メッキ方法
と比較してロールを介してコーティングで被膜層を形成
すると、メッキ工程時に発生する不純物の混入を防止で
きる。かつ、廃液処理装置が不要であると共に、メッキ
法と比較して金属被膜層形成時間を1/5に短縮する事
が出来る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例により詳細
に説明する。図1は本発明に係わる方法により形成され
た負極端子板1の一例を示し、該負極端子板1は、ステ
ンレス鋼板2の内面側にCuメッキ層3(Cu被覆層)、
外面側にNiメッキ層4(Ni被覆層)を設け、上記Cu
メッキ層3の内面に低融点金属のSnとInを等量で混
合した溶融金属をロールでコーティングしてSn−In
被膜層5を設けたものである。上記ステンレス鋼板2と
Cuメッキ層3の間にはステンレス鋼とCuとの拡散層
6、ステンレス鋼板2とNiメッキ層4の間にはステン
レス鋼とNiとの拡散層7が設けられている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 101 正極端子板 102 封口板 103 ガスケット 104 セパレータ 105 正極活物質 106 負極活物質 1 負極端子板 2 ステンレス鋼板 3 Cu被覆層 4 Ni被覆層 5 被膜層(Sn−In被膜層) 6 SUS−Cu拡散層 7 SUS−Ni拡散層 8 金属板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電池の負極端子板となる金属板の負極活
    物質と接触させる面に、Znを合金化できると共に該合
    金の水素過電圧が高くなる金属を溶融状態としてロール
    を用いてコーティングしている電池の負極端子板の被膜
    処理方法。
  2. 【請求項2】 上記溶融金属を入れている容器内に、下
    側部が溶融金属と浸漬するようにピックアップロールを
    配置し、該ピックアップロールの溶融金属に浸漬してい
    ない上面にコーティングロールを配置し、これらピック
    アップロールおよびコーティングロールを回転させ、コ
    ーティングロールの上面に搬送する上記負極端子板とな
    る金属板の下面に上記溶融金属をコーティングロールを
    介してコーティングしている請求項1記載の被膜処理方
    法。
  3. 【請求項3】 上記コーティングする金属がSn,I
    n,Bi,Pb,Mg,Al,Ca,Ag等を単体ある
    いは混合したものからなる請求項1記載の被膜処理方
    法。
  4. 【請求項4】 上記電池の負極端子板となる金属板は鋼
    板からなる基材の下面に予めCu被覆層を設けており、
    該Cu被覆層の下面に上記溶融金属をコーティングして
    いる請求項1記載の被膜処理方法。
  5. 【請求項5】 上記溶融金属のコーティングは不活性ガ
    ス雰囲気内で行うと共に、コーティングして金属被膜層
    を形成した後、非酸化性ガス雰囲気中で焼鈍を行うと共
    に、冷却後にスキンパス加工あるいはカレンダー加工を
    施している前記請求項のいずれか1項に記載の被膜処理
    方法。
  6. 【請求項6】 上記溶融金属をコーティングする前に上
    記金属板を加熱していること前記請求項のいずれか1項
    に記載の被膜処理方法。
  7. 【請求項7】 上記負極端子板がボタン電池の封口板で
    ある前記請求項のいずれか1項に記載の被膜処理方法。
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