JPH075737U - 印刷機およびインキローラ洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印刷機を洗浄するインキローラ洗浄装置をコ
ンパクトな取り扱い易いものとし、その使用する洗浄液
が印刷中にノズルからインキローラへと垂れ落ちて印刷
不良が起きないようにし、また、洗浄時に使用する洗浄
液のロスをなくす。 【構成】 インキ壺１１から版胴１２へとインキを転送
するインキローラ１３に洗浄液を散布するインキローラ
洗浄装置を、左右両端が回転軸１５に支えられた樋１６
に平行に洗浄液を散布する複数個のノズル１４を一直線
状に配置し、それら複数個のノズル１４を樋１６に接合
一体化して構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、インキ壺１１から版胴１２へとインキを転送する多数のインキロー ラ１３の中の何れかのインキローラに洗浄液を散布するノズル１４をインキロー ラの軸芯方向に設置した印刷機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

印刷機における印刷終了後のインキ交換時には、インキ壺１１から版胴１２へ とインキを転送するインキローラ１３の全てが洗浄される。 ノズル１４は、この洗浄作業を自動化するためにインキローラの軸芯方向に配 置され、洗浄液は、インキローラを回転しつつ散布されて全てのインキローラに 転送され、何れかのインキローラに設置されてエアーシリンダー等１９に駆動さ れるドクターブレード１８に掻き取られて回収除去されるようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

洗浄液のノズル１４への供給はソレノイドバルブ等２０を用いて行われるが、 その閉止直後には洗浄液がノズル１４の口先に少なからず付着したままになって おり、その後においても洗浄液がノズル１４から垂れ落ちることがある。 しかし印刷開始後にノズル１４からインキローラへと洗浄液が垂れ落ちると、 インキ壺から転送されてインキローラ１３の表面に積層されたインキ塗膜が禿げ 落ち、その塗膜厚みが不均一になって印刷不良を惹起する。特に、洗浄液の供給 中はホースの内圧が高くなっており、そのホースの内圧が洗浄液の供給停止後常 圧に戻るまでには、その内圧差分だけホース内の洗浄液がノズル１４から押し出 されることになるので、ソレノイドバルブ２０からノズル１４までのホース２１ の長さが長い場合や、そのホース２１が太い場合、或いはホース２１が軟質プラ スチック製のものである場合には、ソレノイドバルブ２０の閉止後の洗浄液のノ ズルからの漏出量も多く、その漏出分はそのままロスとなる。そのようなソレノ イドバルブ２０の閉止後の洗浄液のノズルからの漏出は、ソレノイドバルブ２０ がノズル１４よりも高い位置に設置されている場合にも多くなる。 勿論、そのような漏出洗浄液は、ノズルの下に受皿を設置して回収すればよい のであるが、その作業は手作業によるものであるから煩わしいことであるし、そ の受皿を移動する過程で洗浄液がインキローラの上や印刷機の周辺に零れること もあり、印刷開始後にノズルの下に受皿を入れることは危険であり、印刷開始後 の洗浄液の垂れ落ちに対処することは出来ない。 そして印刷機の構造は複雑になっていて受皿を出し入れするスペースを確保し 得ない場合もあり、そのような場合には垂れ落ちた洗浄液を拭き取らなければな らないなどの不利不便は免れない。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記の課題を解消するものであり、インキ壺１１から版胴１２へとイ ンキを転送する多数のインキローラ１３の中の何れかのインキローラに洗浄液を 散布する複数個のノズル１４をインキローラの軸芯方向に設置した印刷機におい て、ノズル１４から垂れ落ちる洗浄液を受ける樋１６を、その左右両端を回転軸 １５で支えてインキローラ１３の軸芯に平行に、ノズル１４の回りに回転可能に 配置し、その回転軸１５を回転駆動する駆動装置１７を取り付けることを要旨と するものである。

【０００５】 以下、図を参照しつつ具体的に説明するに、まず図１に図示する実施例におい ては、ノズル１４は回転軸１５の軸芯方向に配置されており、洗浄液の散布時に は樋１６がノズル１４を中心にノズル１４の上方へと回転移動するようになって いる。２２は、樋１６を回転軸１５に接合するアームであり、図解説明する上で 稍々長めに図示しているが、アーム２２の長さは、樋１６がノズル１４に密着す る程度に極く短いものとする。 図２は本考案に係る印刷機の要部側面図であり、図中、３０はインキ呼出ロー ラである。 回転軸１５を回転駆動する駆動装置１７は、エアーシリンダーを駆動部とする クランク機構や歯車伝動機構等によって回転軸１５を揺動回転駆動するように構 成すればよい。好ましい駆動装置１７は、図３に図示する如く、円筒内２３の軸 芯に軸支されて円筒内を２つの気密室２４・２５に仕切るベーンシール２６を、 それらの気密室２４・２５に交互に出入りする圧搾空気によってロータリーエン ジンの如く揺動駆動するロータリーエアーシリンダーである。

【０００６】 この図１に図示する印刷機において、洗浄時には回転軸１５を回転して樋１６ をノズル１４の上方へと移動し、ノズル１４からインキローラ１３へと洗浄液を 散布し、洗浄終了時には回転軸１５を回転して樋１６をノズル１４の下方へと移 動し、ノズル１４から滴下する洗浄液を樋１６で受ける。 その場合、樋１６の片端に排液口２７を設け、そのノズルの下方へと回転移動 した排液口２７の下側に漏斗２８を設け、樋１６に溜まった洗浄液を漏斗２８に 集めてタンク２９へと回収するとよい。 このように図１に図示する印刷機では、ノズル１４は口先を下に向けて固定さ れており、洗浄終了時にノズル１４の下方に樋１６を移動させるようになってい るが、そのように洗浄終了時に樋１６がノズル１４の下側に位置するのであれば 、ノズル１４の口先の向きの如何は問われない。

【０００７】 図４と図５は、洗浄終了時にノズル１４の口先が上向きになるように構成され た実施例を図示するものであり、ノズル１４は回転軸１５に取り付けられて樋１ ６と一体回転するようになっている。 即ち、インキローラ洗浄装置は、左右両端が回転軸１５に支えられた樋１６に 平行に、洗浄液を散布する複数個のノズル１４が一直線状に配置し、それら複数 個のノズル１４を樋１６に接合し一体化して構成されている。

【０００８】 この図４と図５に図示するインキローラ洗浄装置は、洗浄時には回転軸１５が 回転して樋１６がノズル１４の上側になり、ノズル１４の口先は下向きになって インキローラ１３へと洗浄液を散布し（図４）、洗浄終了時には回転軸１５が反 転して樋１６がノズル１４の下方へと移動し、上向きになったノズル１４の口先 から滴下する洗浄液を樋１６で受けることになる（図５）。この図４と図５に図 示する樋１６には、そこに溜まった洗浄液を排出する排液口（２７）はなく、そ こに溜まった洗浄液は、次の洗浄時に回転軸１５が反転した際に、インキローラ １３へと散布されることになっている。

【０００９】

【考案の効果】

本考案に係る印刷機は、ノズル１４から垂れ落ちる洗浄液を受ける樋１６が、 その左右両端が回転軸１５に支えられてインキローラ１３の軸芯に平行に配置さ れ、ノズル１４の回りに回転するようになっており、洗浄時にはノズル１４とイ ンキローラ１３の間から回転移動して遠ざかり、ノズル１４からの洗浄液の散布 を妨げず、洗浄終了後には再びノズル１４の下方へと回転移動してノズル１４か ら漏出する洗浄液を受け止めることになる。

【００１０】 このため洗浄終了後にノズル１４から滴下する洗浄液によってインキローラ１ ３のインキ塗膜が禿げ落ちることがなく、インキ塗膜の厚み斑による印刷不良が 解消される。

【００１１】 そして、その樋１６に受け止められた洗浄液は、タンク２９へと回収され、ま たは、次の洗浄時に樋１６が反転した際にインキローラ１３へと散布して使用さ れるので、洗浄液のロスは生じない。

【００１２】 また、このように回転移動する樋１６の移動量は極く僅かなもので十分である から、種々の部品の入り込んだ狭いスペースにも樋１６を配置することが出来、 特に図４と図５に図示する如く、インキローラ洗浄装置をノズル１４と樋１６を 一体回転するように構成したものでは、樋１６を設置する格別なスペースや取付 手間を要せず、ノズル１４を設置する場合には同時に樋１６も設置されることに なるから、簡便に実施することが出来る。

【００１３】 そして更に、樋１６の駆動装置１７をロータリーエアーシリンダーとする場合 には、ロータリーエアーシリンダー（１７）が回転軸１５を軸支する軸受と同程 度の大きさのものであり、それが軸受に代用されるものであるから、その設置に より印刷機の構造を複雑な込み入ったものとせず、本考案の実施により印刷機が 扱い難いものになることもない。

【００１４】 このように本考案は、 （１） ノズルからの洗浄液の垂れ落ちによる印刷不良が解消する。 （２） ノズルから垂れ落ちる洗浄液を拭き取る危険な作業が省かれる。 （３） ノズルから垂れ落ちる洗浄液が再使用され、洗浄液にロスを生じない。 （４） インキローラ洗浄装置がコンパクトに構成され、印刷機が取り扱い易い ものとなる。 等の実用上の効を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る印刷機のインキローラ洗浄装置の
斜視図である。

【図２】本考案に係る印刷機の要部側面図である。

【図３】ロータリーエアーシリンダーの断面側面図であ
る。

【図４】本考案に係る印刷機のインキローラ洗浄装置の
斜視図である。

【図５】本考案に係る印刷機のインキローラ洗浄装置の
要部斜視図である。

【符号の説明】

１１ インキ壺 １２ 版胴 １３ インキローラ １４ ノズル １５ 回転軸 １６ 樋 １７ 駆動装置 １８ ドクターブレード １９ エアーシリンダー ２０ ソレノイドバルブ ２１ ホース ２２ アーム ２３ 円筒 ２４ 気密室 ２５ 気密室 ２６ ベーンシール ２７ 排液口 ２８ 漏斗 ２９ タンク ３０ インキ呼出ローラ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 インキ壺１１から版胴１２へとインキを
   転送する多数のインキローラの中の何れかのインキロー
   ラに洗浄液を散布する複数個のノズル１４をインキロー
   ラの軸芯方向に設置した印刷機において、ノズル１４か
   ら垂れ落ちる洗浄液を受ける樋１６が、その左右両端が
   回転軸１５に支えられてインキローラ１３の軸芯に平行
   に配置され、ノズル１４の回りに回転可能になってお
   り、その回転軸１５を回転駆動する駆動装置１７を具備
   することを特徴とする印刷機。
2. 【請求項２】 左右両端が回転軸１５に支えられた樋１
   ６に平行に洗浄液を散布する複数個のノズル１４が一直
   線状に配置され、それら複数個のノズル１４が樋１６に
   接合されて一体になっていることを特徴とするインキロ
   ーラ洗浄装置。