JPH0756140B2 - 擁壁構造物の建設方法及び擁壁構造物 - Google Patents

擁壁構造物の建設方法及び擁壁構造物

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JPH0756140B2
JPH0756140B2 JP62024408A JP2440887A JPH0756140B2 JP H0756140 B2 JPH0756140 B2 JP H0756140B2 JP 62024408 A JP62024408 A JP 62024408A JP 2440887 A JP2440887 A JP 2440887A JP H0756140 B2 JPH0756140 B2 JP H0756140B2
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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は水中の安定した擁壁構造物、例えば、防潮堤、
埠頭、ドック等の改良に関する。
地中に隔置された可撓性補強材を組み入れることによっ
て擁壁構造物を安定させる技法は確立されている。この
手順の基本的原則はアンリヴィダル(Henri Vidal)の
英国特許第1039361号に記載されている。補強材は、補
強材と隣接する裏込粒体との間及びこれらの粒体と残余
のものとの間の双方の摩擦力によって、ほぼ完全に土、
すなわち、土石を安定させる。摩擦力が裏込め全体に伝
達されて補強材内に生じる張力が裏込粒体の大きな水平
移動に対抗するように補強材の間隔が決定される。これ
らの構造物における補強材の望ましいタイプは、細長い
剛性の偏平帯鋼である。使用時において同帯鋼は、平坦
面を水平にし、一端を、英国特許第1324686号に開示さ
れているような、パネルユニットに取付けて、裏込材中
に横設される。構築中においてパネルユニット及び隔置
される補強帯鋼の双方の正確な位置決めが望ましいこと
は明らかであり、地上で安定した擁壁構造物を構築する
場合にはこの要件を十分満たすことができる。各パネル
ユニットを立設し、補強帯鋼の先決高さ(レベル)まで
土石で裏込めをして固める。その後これらをユニットに
取付けて裏込め上に配置する。さらに次の補強レベルま
で裏込めをして固め、所要の高さの安定した擁壁構造物
が形成されるまでこれを続ける。
これらの構造物を水中で構築しようとする試みは、補強
材の位置決め及び裏込めの敷設上困難であった。概し
て、現場での視程条件が不十分なので、潜水夫を使うこ
とは難しい。
補強帯鋼をパネルユニットに回転自在に取付け、該レベ
ルまでの裏込めが完了するまで帯鋼を垂直方向に回転さ
せた状態に保つことにより、水中における補強帯鋼のパ
ネルユニットへの取付けを避けることが、アンリヴィダ
ルの英国特許第440527号により知られている。この方法
では、海床又は河床上の土台ユニットから上方に延在す
る可撓性案内ケーブルにより、パネルユニットが水中の
位置に案内される。各案内ケーブルは、ブイにより水面
に支持され、降下すべきパネルユニットの対応する垂直
案内穴に挿入されるときにブイから外さなければらな
い。さらに、土台ユニット及びパネルユニットを正しく
配置させるように、建設現場が水平であることを保証す
ることが一般的に必要がある。
本発明の一面によれば、水中の擁壁構造物の建設方法で
あって、土台ユニットを水底に横設する工程、裏込土石
による安定を図るために少なくとも1個の細長い可撓性
補強材が取付けられるパネルユニットを、土台ユニット
に連結立設された案内部材によって案内しながら、土台
ユニットに降下させる工程、及び補強材を覆うようにパ
ネルユニットに裏込めをする工程からなる擁壁構造物の
建設方法において、土台ユニットが細長い箱から成り、
この細長い箱内に導入された、支持材料が前記パネルユ
ニットの下縁を水平に支持するようにし、かつ実質的に
剛性を有する案内部材は高さ調整自在となるように土台
ユニットに連結するようにしたことを特徴とする方法が
提供される。
本発明の別の面によれば、少なくとも一部が水中に在る
擁壁構造物であって、水中の土台ユニットがパネルユニ
ットを支持し、パネルユニットの背後の土石による安定
を図るために少なくとも1個の細長い補強材が前記パネ
ルユニットに取付けられ、パネルユニットの降下のため
の少なくとも1個の案内部材が土台ユニットに連結され
ており、土台ユニットはパネルユニットの下縁を水平に
支持する支持材料を収容する細長い箱からなり、案内部
材は実質的に剛性を有し土台ユニットに対して垂直方向
に高さ調整自在であることを特徴とする擁壁構造物が提
供される。
本発明のさらなる面によれば、パネルユニットの降下の
ための案内部材が連結立設された、水中の擁壁構造物の
ための土台ユニットであって、パネルユニットを支持す
る支持材料を収容する細長い箱からなることを特徴とす
る土台ユニットが提供される。
この様な構成により、土台ユニットを形成する細長い箱
は傾斜現場、例えば、水平線に対してある角度をなす砂
利床上に静止し得ると同時に支持材料は、パネルユニッ
トの下端を水平に支持されることが保証される。
概して、矩形のパネルユニットと剛性の案内部材との係
合によって、案内部材は垂直方向に延在することが可能
で、箱に対する案内部材の必要な調節が調節自在の接続
部により可能となる。
支持材料は、例えば、クレーンによりパネルユニットが
下端を水平にして細長い箱の容積内に保持される間に、
箱内に導入される砕石又は砂利であってもよい。支持材
料は少なくともパネルユニットの下縁に達して接触する
まで箱の容積を満たすように導入されるので、パネルユ
ニットをクレーンから外したときに石または砂利がパネ
ルユニットを正しい位置に支持する。しかし、支持材料
は、細長い箱が現場に据付けられるまでは流動性を保つ
コンクリートであって、コンクリートが固まったとき
に、パネルユニットが降下した際にパネルユニットを支
持する水平パッドになるようにすることが望ましい。細
長い箱が水中に降下する前に箱内にコンクリートを注入
することもできる。一度に大量のコンクリートを混和し
てから別々の箱に配分することができるので、この手順
は多くの箱を降下させる時に有利である。
一般に複数の細長い箱を列をなすように降下させ、隣接
する箱間及び列の各端に1つづつ案内部材を設け、パネ
ルユニットを案内部材の間に降下させて列を形成する。
従って、降下される最初の箱が長手端に1つづつ一対の
案内部材を支持し、第2の箱は、一端が案内部材の1つ
と係合して第1箱に隣接するまで案内降下され、第2箱
は、他端に第3の案内部材を支持する。この工程は、追
加の箱について箱の列及び隔置された案内部材の列を継
続して形成することができる。
降下中の箱の案内は概して、箱の一部及び先に降下した
箱に支持された案内部材間の能動インターロック(連
動)により達成される。好ましい実施例によれば各案内
部材は、ウエブで結合された2つのフランジを含むH形
横断面を有し、先に降下した箱により支持される。ウエ
ブは箱の縦軸に平行で、一形材フランジが先に降下した
箱端のみぞに受承され、他のフランジが降下中の新しい
箱を案内する。この様な構成において、案内部材を先に
降下した箱に据付けて、ウエブと垂直な軸の周りに回転
させるようにすることにより、案内部材の向きが調節で
きる。
各箱の位置は次に降下されるパネルユニットの位置を決
めるので、箱を正確に位置付けることの重要性は明らか
である。従って、降下中に箱を案内する案内部材の下方
領域には、案内部材を支持する、先に降下された箱に対
して位置決めする装置を設けてもよい。例えば、案内部
材が上記のH形材であれば、降下中の箱のみぞは、H形
材の案内ウエブを比較的緩く受承するように設け、ウエ
ブには案内部材の下方領域にくさび部材を設けて、箱の
みぞが最終的に案内部材に対して正しい位置をとるよう
にさせてもよい。これは構造物の基底で細長い箱の全て
を正しく位置付ける助けとなる。
構造物のパネルは平面図で直立壁か若しくは壁に湾曲部
を設けてもよい。この様な設計変更は、既に据付けた案
内部材と連動する箱の部分を適切に位置決めすることに
より行える。例えば、先に据付けた箱が縦方向の一端で
案内部材を支持し、同時に降下すべき箱の連動部を箱の
側壁に設け、それにより構造物のパネルに直角曲りを与
えてもよい。他の角度もまた提供できる。パネルの異な
る部分からある角度で延在する補強材が相互に干渉しな
いようにするために、一部分のパネルユニットの第1列
は、他の部分の第1列パネルユニットの正規の高さの、
例えば、半分に低下させてもよい。
一般にパネルユニットの各端は、隣接する案内部材と係
合するみぞ装置を有し、柱状をなすパネルユニットは通
常細長い箱上に積み重ねられる。構造物のパネルを通し
て裏込め材が失われるのを避けるために、各案内部材に
垂直方向に延びる袋を設け、その中に、例えば、グラウ
トを注入して隣接パネルユニット間にシールを形成させ
るのが望ましい。
水中で裏込めを固めることを地上の場合と同程度の効果
で行うのは一般に不可能で、それゆえ裏込めは未知の定
着状態にさらされるかも知れない。従って、パネルユニ
ット関して補強材の限られた下降運動を許容する装置に
より補強材をパネルユニットに取り付け、未知の裏込め
定着に備えることが望ましい。
これを達成する一方法は、パネルユニットの裏面に垂直
に延びる細長い部材、例えば、チューブ又はパイプを設
け、同部材上に1つ以上の補強材を垂直方向移動自在に
取り付けることである。垂直方向に隔置された補強材を
パネルユニットの裏面上の垂直に延びる細長い部材に取
り付けるのが望ましい。
パネルユニットは一般に垂直方向に隔置された複数の補
強材列を有するパネルから成る。垂直部材は一般に重く
て高価であるから、補強材を取り付けるためのパネルユ
ニットに設ける垂直部材の総数は最小にすることが望ま
しい。従って、好ましい実施例によれば、垂直方向に隔
置されに同一垂直部材に取り付けられた2つの隣接補強
材は、平面図では相互に散開する。
好ましい方法によれば、各補強材は、その長さに沿って
それぞれのパネルユニットから隔たった位置に配置され
る装置により支持され、ユニットを所定位置に降下中及
び降下後の双方において補強材をほぼ水平に支持させる
ようにする。このような方法で、必要な水平位置におい
て降下準備されたパネルユニットへの補強材の取付け
は、好都合にも水中よりも水の外でより効率的に行うこ
とが可能で、その後全組立体を降下させることができ
る。概してパネルユニットは裏込めをされ、その時に補
強材は土石安定化のために正しい水平位置に支持され
る。
組立体を降下させる時に現存の土石又は裏込めの高さが
補強材の所望の高さより低いので、好ましい方法では、
概して現存土石の高さより垂直上方に隔置させて補強材
を配置することが考えられる。例えば、支持装置がケー
ジを有し、ケージは、所要の間隔を与えるように現存土
石又は裏込めに対してその上に止まるか若しくはそれに
侵入する一本以上の脚を有する。このようなケージは、
パネルユニットと同時に降下され、実際降下中ケージ及
びユニットは共通治具から吊り下げ、治具を、例えば、
クレーンで降下させてもよい。補強材をケージに関して
保持することが望ましく、これは補強材をケージに連結
するワイヤタイ(つなぎ材)を用いて行うのが好まし
い。降下中及び正しい位置決め間の補強材の安定性は、
特に長い補強材の場合には、長さに沿って複数箇所で支
持することにより改善されよう。このような追加の支持
は、単一ケージ、複数ケージを用いて与えられよう。
前述のようにパネルユニットは、複数、すなわち、2以
上の列をなして配置される補強材を有するパネルから成
る。このような配列では列全体を支持するために支持ケ
ージは横方向に延在するのが好ましい。例えば、ケージ
は複数の横方向に隔置された垂直部材から成り、各々が
現存の土石又は裏込め上に止まるか又はその中に侵入す
るようにされ、各部材は、一列の補強材につき1以上の
横に延びる支持部材により連結される。パネルユニット
が2列以上の補強材を有する場合には、ケージは各高さ
の補強材につき1以上の支持部材を含むことができる。
既に述べた配列においては、垂直方向に隔置される補強
材は平面図では互いに散開しているが、これらの補強材
は立面図で見れば収斂して同一高さで支持できるように
なる。従って、補強材支持装置は同一高さで2つの補強
材を支持し、補強材はパネルユニットの背面部材上に隔
置されると共に支持位置で横方向に隔置される。これ
は、支持装置構築の簡素化を可能にし、特に、例えば、
パネルユニットが4列の補強材を有する場合には、支持
は2つの高さだけで行えばよい。
好ましい方法においては、支持ケージの各垂直部材は逆
V又はUの形状を有し、任意の適切な高さで横支持部材
により相互連結される。別形のケージはL形状の垂直部
材で、横支持部材により相互連結される。概してケイー
ジは、補強材を正しく位置決めするために十分な剛性を
有し、例えば、従来の直径15mmの鋼補強筋で形成しても
よい。ケイジは、パネルユニットの裏込め中所定位置に
放置され、従って、固定した擁壁構造物中に埋没される
が、ケイージは可撓性補強材のためのアンカとしては作
動せず、構造物の定着に適応する際補強材の可撓力は損
なわれない。その部分的理由は、関連する力に関してケ
ージは半剛性しかなく、また、補強材は、例えば、ワイ
ヤタイ又はタック溶接によりケイージと概して弱く連結
されているでけであることによる。
案内部材は概して、案内された降下のためにパネルユニ
ットが案内部材と係合できる水面領域又は好ましくはそ
の上方まで延在する。案内部材の平行性を確保するため
に、浮遊スペーサ部材を案内部材又は案内部材対間に設
け、水面で案内部材の正しい空間配列を与えるようにす
ることができる。パネルユニットを、2つの案内部材間
で土台ユニット上に降下させる場合には、概して、まず
それぞれのスペーサ部材を取外すことを要す。このよう
な状況において、スペーサ部材はその後浮遊位置に戻さ
れる、しかし、パネルユニットが案内部材の位置決めを
支援するので、戻す必要はないかもしれない。
可能な一建設方法においては、概して補強部材は、パネ
ルユニットに取付けた補強材端の周りに回転自在に配置
されて、その自由端は、ユニットが降下する間水面上方
に保持されるようにされ、その後固定すべき土石に対し
て回転自在にされる。このようにして、補強材のパネル
ユニットへの取付けは、例えば、水中よりはむしろ作業
船上等、水の外の便利な任意の場所で行える。
好ましい方法においては、補強材の自由端を水の上方に
保持するための保持装置を設ける。これは、通常パネル
ユニットを降下させる間及び補強材の高さまでの裏込め
中に必要である。保持装置は、前述のように案内部材用
のスペーサ部材上に設けるか又は代わりに別個の保持装
置を設けてもよい。好ましい方法においては、保持装置
は、浮遊するようにされると共にパネルユニットに取付
けた補強材につき少なくとも1つの保持要素、例えば、
案内チューブ等を有するビーム(梁)から成り、一方ビ
ームは付加的にスペーサ部材として機能するようにされ
る。補強材は、保持装置と積極的に係合することを何等
必要とすることなく、同装置によりほぼ垂直方向に保持
されるのに十分な剛性を有するのが好ましい。このよう
な配置で、保持装置を上昇させて、垂直案内部材から外
れた後、例えば、水面を横切って、パネルユニットから
離すようにすることが可能で、それにより補強材は、保
持装置との接触から外れ、固定すべき土石に対して下方
に回転する。
好ましい方法においては、列をなしてパネルユニットに
取付けられる複数の補強材の自由端は、横方向に隔置さ
れる、各補強材当たり1つの複数の案内チューブを有す
る浮遊部材により水面上方に保持される。保持部材をパ
ネルユニットから取外すときには、補強材はそれぞれの
案内チューブから単に滑り出させることができる。
補強材はパネルユニットに回転自在に取付けるのが好ま
しい。細長い平坦な帯鋼状の補強材をパネルユニットに
取付けることは、米国特許第4440527号により知られて
おり、取付けは、帯鋼と強固に連結される中間板を用い
て行われる。本発明の好ましい特徴によれば、水中で安
定した擁壁構造物のための建設ユニットが提供される。
同ユニットは、パネルユニット及び直面内移動のために
パネルに回転自在に取付けた少なくとも1つの細長い可
撓性補強材を含み、補強材は、ほぼ平坦な単体の細片、
例えば、帯鋼を含み、帯鋼は、帯鋼端部の穴を貫通する
ボルトのような水平に配置されたスピンドルによりパネ
ルユニットに回転自在に取付けられる。同端部は、帯鋼
の残部に対してほぼ90゜捩じられ、帯鋼が土石に横たわ
るように回転するときに、その長さの大部分が平坦面を
水平にして配置されるようにする。このような配置は、
垂直面内で帯鋼を都合よく回転自在にし、同時に土石に
よる安定化を達成するために帯鋼に最も有利な方向を与
える。実際、このような補強帯鋼自体が本発明の好まし
い特徴を構成する。
裏込め量及び必要となるかも知れない用地の排除を最小
にするために、補強帯鋼の長さは、概して構造物の安定
性と合致して最小に保たれる。一般に帯鋼は、建設ユニ
ットの据付中及び直立位置から水平位置への回転中に、
それ自体の座屈力に耐えるためにその長さに関して十分
な剛性を有する。帯鋼の座屈に対する感受性は、従来の
鋼テープ巻尺と同様に、横断面に僅かの曲線を持たせて
帯鋼を圧延するか又は片面若しくは両面に連続した縦リ
ブを付けて圧延することにより低減できる。その代わり
に、建設ユニットは、帯鋼の長さの大部分を支持する保
持装置、例えば、比較的長い案内チューブと共に用いる
ことができる。
本発明の別の好ましい特徴によれば、水中で安定した擁
壁構造物のための建設ユニットが提供される。同ユニッ
トは、パネルユニット及びほぼ水平な垂直方向に隔置さ
れる、複数列の別個の細長い可撓性補強材から成り、各
補強材は、概してパネルユニットに取付けられる端の周
りに回転自在で、すべての補強材が同一共通面上に横た
わる、直立方向まで回転し、各列の補強材は、他の列の
補強材に関して横方向にずらされ、すべての補強材が直
立方向にあるとき互いに重複又は干渉しないようにされ
る。このようなユニットは、上述の好ましい形の建設方
法に用いるのに特に適しており、そこでは複数の補強材
の自由端が当初水面上方に保持される。
このようなユニットを用いる好ましい建設方法は、パネ
ルユニットが最低列の補強材の高さまで土石で裏込めが
なされてしまうまで、すべての補強材の自由端を水面の
上方に保持し、これらの補強材を解放し、補強材が裏込
めされた土石上に向けて回転するようにさせ、次の列の
補強材の高さま再び裏込めをし、その後これらの補強材
を解放し、土石上に向けて回転するようにさせる。2列
の補強材を有する建設ユニットを用いてこれを行うのに
特に好ましい方法では、建設ユニットと関連する一対の
分離自在に連結された、浮遊保持部材を提供し、保持部
材の各々が補強部材のそれぞれの列のユニットと関連す
ると共にそのための保持装置を提供し、それにより、補
強材の下方列の自由端を解放するために一保持部材が取
り外し可能で、同時に他の保持部材が浮遊位置に残り、
補強材の上方列の自由端を水の上方に保持するようにさ
せる。下方列の補強材が上方列の保持部材に関して横方
向にずれている場合には、列をなす案内チューブのよう
な、一方の保持装置の保持要素も同様に他方の保持部材
の保持要素から横方向にずれることは明らかである。こ
れは例えば、各々がそれぞれの保持部材に取付けられた
2列の案内チューブは、相互に干渉しないという利点を
有する。勿論、建設ユニットが3列以上の補強材を有す
る場合には、対応する数の別々に取外し可能な保持装置
を用いることができる。
従って、水中における安定した擁壁構造物の建設中に
は、隣接列の補強材を横方向にずらせるのが最も好都合
であることが分かる。それゆえに、本発明の別の好まし
い特徴により提供される安定擁壁構造物は、安定性を与
えるために土塊中に埋設された、垂直方向に隔置された
ほぼ水平な複数列の別個の細長い補強材から成り、垂直
方向に隣接する少なくとも1つの列の補強材に対して各
列の補強材がずれている。一般に構造物は複数の同一建
設ユニットから成り、各ユニットはパネルユニット及び
一対の補強材を含み、各列の補強材は、垂直方向に隣接
する列の両補強材に対してずらされる。
安定な擁壁構造物を乾いた土地に建設する場合には、従
来の方法により補強材の各層に裏込めを施して固めるこ
とができる。しかし、水中で一連の固めた土石層を構築
しなければならない場合には、特殊な問題が生じ、各種
の裏こめ方法が可能である。例えば、裏込めを水圧によ
り施すことが可能で、水圧式裏込めは、固めてかなりの
高さの裏込めを得るのを助成するために、水及び裏込め
材を同時に放出することを含むであろう。他の方法は、
裏込め作業船に取付けた浮遊式の木製又は管状アルミニ
ューム(例えば、発泡スチロールで満たされた)グリッ
ドを用いることから成る。グリッド隔室は、裏込め敷設
の位置及び量を案内するであろう。一度に2つ以上のユ
ニットを裏込めするためには、浮遊グリッドの幅は、パ
ネルユニットの横幅に等しいかそれ以上で、一方グリッ
ドの長さは、帯鋼の長さにより決まるであろう。クラム
シェル(つかみ上げ機)が各グリッド空間を通して補強
材の上方の所定の高さ、例えば2mまで下げられ、そこで
バケツ一杯分の裏込め材が落されるであろう。これは裏
込め材の分散を助け、クラムシェルもまた下ろされて裏
込め材層の分散及び固化を助長し得るであろう。
概して裏込めを正確かつ均等に行うことが望ましく、従
って本発明のさらに好ましい特徴によれば、水中で安定
した擁壁構造物のパネルを裏込めする方法が提供され
る。同方法は、垂直壁で仕切られかつ頂底部が解放され
た複数の隔室から成るにフレームを、パネル背後の位置
に降下させ、解放したフレーム頂部を通して各隔室に裏
込め材を置き、フレームを上昇させ、裏込め材をパネル
背面の位置に残すようにすることを含む。裏込め材は水
圧で敷設してもよいが、クラムシェルにより堆積させる
のが望ましい。上昇中フレームを振動させ、裏込め材を
固めると共に上昇をおそくさせるようにすることが考え
られる。一隔室当たりの所要裏込め量は、建設中の試行
錯誤により決めてもよい。適切な裏込め材料は砂又は砂
利でよい。
この裏込め方法の潜在的欠点は、フレームの各隔室の、
例えば、クレーンブームに関する正確な位置を知るのが
難しいことである。従って、さらに望ましい方法におい
ては、裏込めフレームは、例えば、各隔室の存在位置を
水面上で示す前述の形の浮遊グッドと共に用いられる。
フレームは、水面から突出する十分に長い1つ又は好ま
しくは2つの直立部材を含み、パネルに関するフレーム
及びフレームに関する浮遊グリッドの位置付け基準を与
えるようにするのがよい。浮遊グリッドは、一直立部材
と一直線をなし、また、例えば、クラムシェルを用いた
裏込めを助長するために、フレーム隔室に対応するグリ
ッド配列を有するであろう。
以下添付図を参照しつつ本発明の実施例を記載する。
第1図および第2図は、多数の建設ユニット3を支持す
る一列の土台ユニット2を含む安定化擁壁構造物1を示
す。各建設ユニット3は、パネル、すなわち、パネルユ
ニット4および2列の垂直方向に隔置されかつ回転自在
に取り付けた補強材5から成る。浚渫機等で設けた溝6
は、砂利により部分的に満たされて土台ユニットを支持
するための砂利床7を形成する。溝は砕石8で満たさ
れ、流失防止のために構造物の前部に一連の粗い物質を
用いる。各土台ユニットはコンクリートのレベリング
(水準)パッド10を含む。同コンクリートは、土台ユニ
ットが最初に所定位置に降下するときにはまだ流動性を
保ち、第2図に示すようにたとえ現地表面が傾斜してい
ても、パネルユニット4を水平に据付けられるようにさ
れている。列をなす案内部材11は、H形鋼材から成り、
上方に延びてパネルユニット4の位置決めに際してこれ
を案内する。案内部材は、土台ユニットに支持され、レ
ベルをWで示すように、水面から外にに延びている。案
内部材は、パネルユニット4の挿入を支援するために頂
部に先細加工を施すことができる。パネルユニットは隣
接案内部材間で積み重ねられ、頂部パネルは常に一列の
プレキャストコンクリートの笠石ユニット12の支持に必
要な所定の高さを有する。笠石ユニット12は、構造物が
固まった後で注入される充填コンクリート13の梁上に設
けられ、濾過材14層を横切って後方に延びる。
代表的な土台ユニットの詳細を第3図および第4図に示
す。同ユニットは、鉄筋コンクリートで形成された一般
にU形横断面を有し、シート部16により結合される一対
の対向する側壁15を有する。速硬性コンクリートを受承
して水準パッド10を形成する細長い箱18を提供するよう
に、U形横断面の両端はそれぞれ端壁17により閉じられ
る。コンクリートの上方に真水19を張って選択的に鋼製
ふた20を設ける。ふた20は土台ユニットを水中に降下さ
せるとき、特に裏込め材が箱18内に入らないようにして
生コンクリートを保護する。4つの急速吊上アンカ23に
掛かる吊上加重および建設の初期段階における波の作用
に耐えるために、シート部16は補強される。土台ユニッ
トの幅はパネルの全体的高さにより異なり、必要に応じ
て第1列のパエルユニットを支持するブラケットのため
の補助空間を設けることができる。土台ユニットの高さ
も砂利床7の勾配により必要となるコンクリートの水準
パッド10の深さにより異なる。
第5図及び第6図に端壁17の詳細を示す。案内部材を横
方向に支持する、垂直方向に延在するみぞ82を定めるよ
うに、各端壁に一対の隔置された平行チャンネル部材22
がボルト止めされる。支持板21が各チャンネル部材22か
ら外方に延び、支持板21には穴81を設け、2枚の支持板
21の穴を一直線に並べ、案内部材11の対応する穴を貫通
するピン80を受承するようにさせる。従って、現場に勾
配が存在する場合には、案内部材をある限定範囲に亘り
ピン80の周りに回転させて垂直位置にすることができ
る。
各案内部材を隣接土台ユニットの端壁間で等距離に支持
させるように、案内部材の支持板21を配置する。第5図
および第5a図に示す案内部材11の外部フランジにはくさ
び部材83が設けられ、降下すべき次の土台ユニットの端
壁17で定められるみぞ82が案内部材に関して、従って、
同様に既に定位置にある土台ユニットに関しても正しい
位置を取るようにさせる。最初に水中に降下すべき土台
ユニットは、各端で案内部材を支持するピン80を保有す
る、これに対して次の土台ユニットは、一端で各追加の
案内部材を支持するピンを必要とするだけである。
第7図および第8図は、代表的なパネルユニット、すな
わち、パネルを示す。ユニットは鉄筋コンクリートで形
成され、係船加重、動的ごみ加重および、場所により、
氷荷重のみならず背面の全地圧に耐えるようにされる。
パネルユニットの各側端24にはアングル部材、すなわ
ち、山形材25が、案内部材11と係合するように垂直に取
付けられる。垂直方向に隔置された2列の平行な補強材
5用の取付点26がパネルユニットの背面に設けられ、各
取付点は、パネルに打設されてパネル背面から突出する
一対の平行な垂直鋼板27を含む。パネルユニットの据付
および裏込め中の直立位置にあるとき補強材5の干渉を
避けるように、上方列の取付点は下方列の取付点から横
方向にずらす。各パネルユニット間の水平および垂直接
合部は、例えば、水平接合部では各パネルの下縁28に固
定された圧縮性ポリウレタンにより、また垂直接合部
は、案内部材にグラウトを注入することにより、実質的
にシール(密封)されるので、プレキャスト間に一対の
鋼管フィルタ29がコンクリートに埋め込まれる。各管は
前後にワイヤメッシュのグリッドを有し、グリッド間に
フィルタ材が満たされる。水位低下の早い河川で構造物
を建設する場合には、追加の管フィルタを要するかもし
れない。パネルを吊りあげて降下させるために、一対の
急速吊上アンカ30がパネルユニットの上縁に鋳込まれ
る。
パネルユニットおよび案内部材との係合の詳細は第9図
に示す。パネルの各側縁24の一角に山形材から成る取付
部材31がコンクレート中に打設され、パネルを案内する
山形材25が取付部材に溶接される。隣接するパネルユニ
ット間の垂直接合部は、H形材の案内部材11のウエブの
前方かつパネルユニットの2つの横方向突出部33の後方
で、垂直に延びる空洞32を含む。この空洞はフィルタ布
袋34で占められる。布袋は、案内部材に接着され、当初
は一対の、例えば、ナイロンロープ35により所定位置に
保持される。グラウトチューブ36が袋34の内側に延在
し、パネルユニットが据付けられて硬化が起こった時
に、ロープ35が解放されグラウト材が袋の中に放出さ
れ、それにより空洞32は満たされて垂直接合部が密封さ
れる。グラウトの代わりに砕石および砂を用いて袋を満
たしてもよい。
第1列の各パネルユニットは、それぞれの土台ユニット
の側壁15間にはまり込み、コンクリート水準パッド10上
に着座する。第1列のパネルユニットを、例えば、約6m
より深い水中に据付ける場合には、パネルの前後にブラ
ケットを設けて、水準パッド10上に追加のブレーシン
グ、すなわち、振れ止めを提供する。頂部パネルユニッ
トは、上記代表的パネルと類似しているが、パネルの頂
部形状に合わせて高さが変わる点で異なる。
第10図及び第11図は、建設ユニット3を形成するために
パネルユニット4に取付ける補強材5の取付に関する詳
細を示す。取付点26は、パネルユニットの背面から突出
する隔置された2枚の平行な鋼板27および鋼板の穴を通
して水平に延在して一対のナット37で固定される1本の
ボルトを含む。補強材5は穴39が形成される端部38を有
し、穴39は2枚の鋼板間でボルトを緩く受承して補強材
を垂直平面内で回転自在にさせる。代表的なボルトは、
長さが2in(51mm)外径が5/8in(16mm)で、軸部が十分
長く鋼板27が補強材を締付ける程ナットを固く締めるこ
とができないものがよい。水中構造物に適した補強材
は、高張力帯鋼で、真水にはメッキされた70×6mm、海
水にはメッキされてない70×8mmのものである。帯鋼
は、長さの大部分につき平坦面を水平にして延び、ボル
ト穴39付近で平坦面が垂直になり、そこで90゜ねじれて
いる。ねじれ40の長さは、典型的に1.0−1.5mであろ
う。
第12図乃至第15図は、2つの隣接案内部材11を水面で隔
置しかつ補強材を選択的に水上で保持するための可能な
配置を示す。同配置は、上面で上方ビーム42を担持する
スペーサビーム41を有し、少なくとも下方ビーム、望ま
しくは両ビーム共に、例えば堅木で形成され、浮くよう
にされている。両ビーム共に、例えばアルミで形成され
た垂直方向に延びる案内チューブ43形の隔置された複数
の保持要素を備え、各チューブはそれぞれ補強材5を保
持するように働き、各チューブ端を外方に広げて、補強
材の挿入を助けると共に補強材がもつれるのを防止する
ようにさせる。ビームの浮力を高めるために発泡スチロ
ール板を案内チューブに取り付けてもよい。スペーサビ
ーム41は上列補強材の自由端を保持し、同時に上方ビー
ム42は下列補強材の自由端を保持する。スペーサビーム
41は、同部材を水面から隔置するために両端で隣接案内
部材11と係合するようにされ、一方上方ビーム42は、単
に下列補強材の保持手段として設けられる。スペーサビ
ーム41と案内部材11との係合は、ビームの各端に結合さ
れた板45に結合された一対の平行板44により行われる。
第14図に示すように、各対の板44はH形材案内部材11の
フランジ両端と係合する。スペーサビームの上面に一対
のくぼみを設けてパイプスリーブ46で内張する。各パイ
プスリーブは、上方ビーム42から下方に突出する、それ
ぞれ対応する鋼ピン47を受承する。スペーサビーム41の
上面にはまた、一対の鋼製ブラケット48が取付けられけ
られ、スプレダビーム49がブラケット下方で係合し、ス
ペーサビーム41を上昇させるようにする。個別的に上方
ビーム42を上昇自在にするために、上方ビームにもブラ
ケット(図示せず)を設ける。スプレダビーム49は、土
台ユニット及び建設ユニット3を担持する懸垂要素58を
支持するためにも用いられる。
第16図は、構造物のパネル面の裏込めをするための可能
な一配置を例示する。鋼フレーム50は、垂直壁52により
分割され、頂部及び底部が解放された隔室51の網状構造
から成る。パネル背面に最も近接すべき2つの隔室53は
前面が解放され、裏込めを丁度パネル面まで設けられる
ようにする。フレーム50は、2本の直立鋼チューブ形材
54を含み、同部材は、フレームがパネルの土台に位置す
る場合にも、水面上方に突出するのに十分な長さを有す
る。チューブ形材54の上端は吊上げガーダ55で架橋され
る。フレーム50の隔室に対応する隔室を有する浮遊グリ
ッド56は、チューブ形材54を受承するグリッド内の一対
の窓57により、水面上のフレーム50の真上に配置され
る。
特に第17図乃至第19図を参照し、水中の安定擁壁構造物
の好ましい建設方法を以下に述べる。浚渫船を用いて、
現存の海床、湖床、河床等から約1.5m下方まで溝6を掘
削し、厚0.5mの砂利床7を溝の中にできるだけ平らに敷
設する(第1図参照)。擁壁構造物の一端でパネルユニ
ットを支持すべき最初の土台ユニット2に、砂利床の勾
配により決められる量のコンクリートを満たしてその上
に真水を張る。案内部材11を土台ユニットの両端に取付
け、土台ユニットは、吊上げアンカ23と係合する懸垂要
素58により水中に降下される。土台ユニットを据付ける
ときアンカから懸垂要素を解放するために、ゆるみライ
ン59を設ける。懸垂要素は土台ユニット吊上げビーム85
と連結される。水面上における案内部材の直線性を確認
するために、ラインにより土台ユニットにブイを取付け
てもよい。現地が傾斜している場合には、案内部材を土
台ユニットに回転自在に接続することにより、案内部材
を垂直位置に調節できる。第17図は、既に所定位置にあ
る案内部材内へ降下されんとする、だた1つの案内部材
11を支持する次の土台ユニットを示す。列全体の土台ユ
ニットが敷設されるまで、後続の土台ユニットが順次建
設される。第17図に示すように各端部に一案内部材11の
みを担持することを除けば、各ユニットは同様な方法で
降下される。
1列の土台ユニットが建設方向に据付けられてしまう
と、第18図に示すように、頂部近辺、例えば100mm以内
まで、ユニットは砂利で裏込めをされる。次に最初の土
台ユニット2上に配置すべき最初の建設ユニット3が、
組立て部署、例えば船上において、パネルユニット4に
2列の補強帯鋼5を回転自在に取付けることにより組立
てられる。この段階で、パネルはその前面上に横たわ
り、帯鋼はその自由端がそれぞれの案内チューブ43を通
して適合し得る位置まで水平に延びる。適切なスペーサ
ビームが、パネルユニットを受承すべき2つの案内部材
間から取外され、上列の帯鋼が同スペーサビームの案内
チューブを通して挿入され、同時に下列の帯鋼が上方ビ
ーム42の案内チューブを通して挿入されるようにする。
スプレダビーム49(第13図及び第15図)が、懸垂要素58
によりパネルユニットに取付けられると共にスペーサビ
ーム41のブラケット48の下に係合される。その後、例え
ばクレーンによりスプレダビームは上方に移動される。
パネルは、懸垂要素の長さにより決まる距離だけスペー
サビームから垂直方向に隔たった直立位置をとる。補強
帯鋼はその後、各案内チューブを通してパネルから垂直
方向に延びる。最初の土台ユニット内の裏込めが定着し
ていないことを確認した後、パネルユニットを案内部材
間に降下させ、スペーサビームの平行板44が案内部材上
に案内される。スプレダビームが水面より下に降下され
ると直ちに、スペーサビームはスプレダビームから外れ
る。従って、スペーサビーム41及び上方んビーム42は、
ピン47により接続されて浮遊状態に止まる。スペーサビ
ーム41の案内チューブ43は、上方ビームの案内チューブ
に対して横方向にずれており、チューブにより保持され
る補強帯鋼のパネルユニットへの取付が行われる低い高
さを考慮するために、案内チューブはより深くまで水中
に延びる。パネルユニットが土台ユニット上の所定位置
に配置されると、懸垂要素がゆるみラインにより外され
る。
建設ユニットの据付工程は同ユニットの最初の列が設置
されるまで順次継続される。その後既に述べた方法の1
つを用いて、裏込め中に直立状態に止まる下方補強帯鋼
まで、全パネルが同一方向に裏込めがなされる。次に、
スプレダビームを用いて、案内部材のないブラケットに
より、最初の建設ユニットと連結した上方ビームを上昇
させ、スペーサビームは浮遊状態にとどめると共に上方
補強帯鋼を保持させる。第19図に示すように、上方ビー
ムはパネルから外され、下方帯鋼が案内チューブから完
全に滑り出て裏込め上の位置に落ち込むまで、同帯鋼を
連結部の周りで回転させる。上方ビームを取外す工程は
全ての下方帯鋼につき繰り返され、その後パネルは上方
帯鋼の高さまで裏込めがなされる。スプレダビームは第
1建設ユニットと結合したスペーサビームと連結され、
スペーサビームが案内部材なしに上昇され、上方ビーム
が移動されたのと同一方法でパネルから離され、それに
より上方帯鋼を裏込めの方へ回転させると共に最終的に
裏込め上に降下させる。
次いで第1列と同一方法で第2列のパネルユニットを据
付けて裏込めをし、水面下の全てのパネルを設置し終わ
るまで同工程を繰り返す。水面の上方で乾燥状態で据付
けられる次のパネルは、補強帯鋼を取り付ける前に、ス
プレダビームを用いて設置できる。一旦裏込めが補強帯
鋼の高さまで完了すれば、帯鋼は従来の方法で取付けら
れる。一旦最終列のパネルユニットが据付けられて降下
が起こったならば、ナイロンロープ35を解放し、チュー
ブを通してフィルタ布袋34にグラウトを満たす。次に平
坦面を得るために、コンクリート充填ビーム13を所定の
位置に打つ。プレキャストの笠石ユニット12を据付け、
安定化した土壌の上方に追加のスラブを打てるようにす
るために、同ユニット後方の水平脚部から補強材を突出
させる。
本建設方法は、高さ約5mまでの構造物に特に適してい
る。より高い壁を要するより深い水中では、土台ユニッ
ト列は海床上方で他の構造物、例えば、前述のように鋼
ケージ(かご)に結合された水平な鋼補強材を取付けた
パネルユニットを含む安定化擁壁構造物上に据付けるこ
とができる。
鋼ケージに結合されたほぼ水平な補強材を用いる、この
ような建設方法は事実上、建設すべき壁の全高上比較的
長い補強材を要する、特により深い水中における構造物
に適している。この方法に適した建設ユニット61の第2
実施例は、パネルユニット62に対する補強帯鋼の取付け
方法の点で第1実施例とは異なる。第20図乃至第21図に
詳述するユニットは、土台ユニットに設ける建設ユニッ
トの第1工程に用いられる例である。パネルユニット62
の背面には5本の垂直パイプ90がパネル背面から隔置さ
れて連結され、各パイプは3対の水平取付板63を活動自
在に支持する。各取付板はパイプの後方に垂直穴を有
し、各対の穴は一直線をなして一本のボルトを受承し、
同ボルトが各対の取付板間にそれぞれの補強帯鋼5を保
持する。帯鋼をパネルに対して活動自在に取付けること
により裏込め材の沈下を順応させることができる。
裏込めの沈下を考慮した代りの取付け形態は第1実施例
と類似し、パネルユニット内に打設されてパネル背面か
ら突出する一対の垂直かつ平行な鋼板を含む。しかし、
穴が形成される代りに、同鋼板にはそれぞれ垂直方向に
延びるスロット(溝穴)が形成され、補強帯鋼を取付け
るボルトがスロットを通して延在する。ボルトは垂直方
向に活動できるように緩くはめ合わされ、一方スロット
の残部分はほぼ圧縮材5で満たされる。この配置は、補
強帯鋼5がパネルユニットに取付けられた位置での帯鋼
の下方移動を可能にすることにより、未知の裏込め沈下
条件に備えている。
第20図に示す第1過程(列)のパネルユニットは、各端
にエタフォーム(ethafoam)他の適切な材料製の成形ブ
ロック64を含み、パネルを降下させて入れるべき土台ユ
ニットにより設けられた、細長い箱内に設置するのを支
援する。
第23図は、第2列及び後続各列に対する第3実施例の建
設ユニット65を降下させる手順を示す。このユニット
は、垂直パイプ装置によりパネルユニット66(見易さの
ため各列の内側補強材は省略されている)に取付けられ
た4列の補強帯鋼5を含む。
パネルユニットから隔たりかつ補強帯鋼の長さに沿っ
て、帯鋼をそれぞれ水平位置に支持するケージ67を設け
る。この実施例では、ケージは15mmの強化鋼棒で形成さ
れ、概して逆U状に曲げた棒から成る4つの横方向に隔
置される垂直部材68を含む。これらの垂直部材68は、補
強材を低位置で支持する一対の下方横部材69及び補強材
を高位置で支持する一対の上方横部材70により相互連結
される。下方横部材69は、2列の隣接下方補強材を支持
する。補強材のより詳細な配置につき第22図を参照する
と、同一垂直パイプ90に取付けられる隣接列の補強材
は、平面図で見ると互いに散開している。これにより、
パネルに取付ける所定数の補強材に対して使用すべき垂
直パイプの数を少なくすることができる。補強材がこの
ように散開するので、ケージ67により支持に要する高さ
は1つのみで、従って、第21図に示すように正面図では
収斂する。第2列及びそれ以降の列に用いられる第3実
施例の配置は類似しており、第23図に示すように4列の
補強材が2つの高さで支持される。
ケイージを降下させる間ケイージを担持するために吊り
パイプ72が用いられる。図示のように吊りパイプは2つ
の隣接垂直部材頂点の下側にはまり込み、その頂面に垂
直部材の保持を支援する一対のくぼみを有してもよい。
吊りパイプ自体は懸垂要素73に支持されて、懸垂要素に
偏心して連結され、不荷重の場合には吊りパイプが垂直
方向に傾き、その後ケージ領域から取外せるようにされ
る。懸垂要素73は吊上げ治具74に連結され、治具はまた
パネルユニットのアンカ76に連結される別の懸垂要素75
を担持する。それ自体が、例えばクレーンに担持される
吊上げ治具74は、パネルユニット及び吊りパイプを共通
に支持し、降下中補強帯鋼がほぼ水平に配置されるよう
に懸垂要素73、75の長さを選べる。各懸垂部材の2つの
下端部71は一対の脚として作動し、補強帯鋼を水平位置
に支持するために必要に応じて、現存地面若しくは裏込
め面上に止まるか又は侵入する。
第2及び第3建設ユニットの実施例を用いて水中に安定
した擁壁構造物を建設する方法は、以下の点を除けば、
第1実施例に関して既に述べた方法と同様である。土台
ユニット2を据付けて裏込めをした後、パネルユニット
62に3列の補強帯鋼5を取付けて建設ユニットを組立
て、次に補強帯鋼を支持するためのケージ67と共にユニ
ットを吊上治具から吊下げる。次いで帯鋼をほぼ水平位
置に支持したまま水中に全組立体を降下させ、最後にケ
ージ67の脚71を裏込め材に係合させる。懸垂要素75をパ
ネルユニットから外し、吊りパイプ72が垂直位置まで回
転するように連続降下させることによりパイプ72をケー
ジから外す。このようにしてパネルユニットは、コンク
リートの水準パッド10上に残され、取付けられた補強帯
鋼は水平に支持される。より長い補強帯鋼を必要とする
深い水中では、帯鋼の長手に沿って隔置された2つ以上
の支持ケージ67を用いてもよい。次いで好ましくは案内
として前述の浮遊グリッドを用い、また、裏込め材を最
初にケージ上にその後帯鋼の残部上に落とすことによ
り、パネルユニットに裏込めをする。この様にして、両
列の補強帯鋼は同時に裏込めがなされ、第21図に示すよ
うに上方の補強帯鋼まで裏込めが行われる。裏込めの高
さは、電子的又は機械的診断により点検される。一旦第
1列の建設ユニット61を据付けて裏込めをした後、第2
列の建設ユニットを据付け、所要の高さの構造物が得ら
れるまで同工程を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
第1図は、水中に建設される安定擁壁構造物の代表的断
面図、 第2図は、構造物の代表的正面図、 第3図は、構造物の土台ユニットの平面図、 第4図は、第3図の土台ユニットの断面図、 第5図は、案内部材が支持される、土台ユニット端部を
通る水平断面図、 第6図は、土台ユニットの端部立面図、 第7図は、代表的パネルユニットの平面図、 第8図は、パネルユニットの後部立面図、 第9図は、案内部材及び2つの隣接パネルユニットを通
る断面図、 第10図は、第1実施例の建設ユニットを形成するパネル
ユニットへの取付けを示す細長い補強帯鋼の平面図、 第11図は、第10図の補強帯鋼の正面図、 第12図は、2列の帯鋼保持装置の部分透視図、 第13図は、一対の案内部材を隔置するスペーサビームと
しても作動する、保持装置の平面図、 第14図は、スペーサビームと案内部材の係合を示す詳細
図、 第15図は、第13図の線15−15に沿う断面図、 第16図は、裏込めフレーム及び浮遊グリッドの透視図、 第17図は、降下中の土台ユニットの透視図、 第18図は、それぞれの土台ユニット上の所定位置にある
第1列の2つの建設ユニット及び降下中の第3ユニット
を示す透視図、 第19図は、建設順序の後段を示す透視図、 第20図は、第2実施例の建設ユニットの第1列に対する
背部立面図、 第21図は、第20図のユニトを通る垂直断面図、 第22図は、第20図のユニトの平面図、 第23図は、第3実施例の建設ユニットの第2列及びそれ
以降の降下を示す透視図である。 1……擁壁構造物 2……土台ユニット 3……建設ユニット 4……パネルユニット 5……補強帯鋼 10……水準パッド 11……案内部材 18……箱 34……袋

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水中の擁壁構造物の建設方法であって、 土台ユニットを水底に横設する工程、 裏込土石による安定を図るために少なくとも1個の細長
    い可撓性補強材が取付けられるパネルユニットを、前記
    土台ユニットに連結立設された案内部材によって案内し
    ながら、前記土台ユニットに降下させる工程、及び 前記補強材を覆うように前記パネルユニットに裏込めを
    する工程からなる擁壁構造物の建設方法において、 前記土台ユニットが細長い箱から成り、この細長い箱内
    に導入された、支持材料が前記パネルユニットの下縁を
    水平に支持するようにし、かつ実質的に剛性を有する前
    記案内部材は、高さ調整自在となるように前記土台ユニ
    ットに連結するようにしたことを特徴とする擁壁構造物
    の建設方法。
  2. 【請求項2】支持材料は土台ユニットを所望の位置に据
    付けるまでは流動性を保つコンクリートであり、該コン
    クリートが硬化した時、前記パネルユニットを支持する
    水平パッドとなることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項に記載の擁壁構造物の建設方法。
  3. 【請求項3】複数の土台ユニットを横設して土台を形成
    し、隣接する土台ユニットの間及び土台の両端にそれぞ
    れ1個の案内部材を立設すること、及びパネルユニット
    を案内部材の間におろしてパネルを形成することを特徴
    とする特許請求の範囲第1項または第2項に記載の擁壁
    構造物の建設方法。
  4. 【請求項4】前記各案内部材には、垂直方向に延在する
    フィルタ袋が付着配置されており、該フィルタ袋の中に
    密封材を導入して、隣接するパネルユニット間の空間を
    シールすることを特徴とする特許請求の範囲第3項に記
    載の擁壁構造物の建設方法。
  5. 【請求項5】パネルユニットに対して補強材をある程度
    上下に回転可能に取付けたことを特徴とする特許請求の
    範囲第1項乃至第4項のいずれかに記載の擁壁構造物の
    建設方法。
  6. 【請求項6】パネルユニットはその裏側に、垂直に延在
    する細長い2枚の鋼部材の組合せを縦横に複数有し、補
    強材を前記鋼部材間に取付けることを特徴とする特許請
    求の範囲第5項に記載の擁壁構造物の建設方法。
  7. 【請求項7】パネルユニットから後方に隔置されて配置
    される支持部材によってパネルユニットを降下させてい
    る間及びその後も前記補強材をほぼ水平に支持するとを
    特徴とする特許請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか
    に記載の擁壁構造物の建設方法。
  8. 【請求項8】支持部材がパネルユニットの裏側の縦横の
    複数の鋼部材に取り付けられた複数の補強材を夫々同じ
    高さに支持することを特徴とする特許請求の範囲第7項
    に記載の擁壁構造物の建設方法。
  9. 【請求項9】少なくとも一部が水中にある擁壁構造物で
    あって、 水中の土台ユニットがパネルユニットを支持し、該パネ
    ルユニットの背後の土石による安定を図るために少なく
    とも1個の細長い補強材が前記パネルユニットに取付け
    られ、前記パネルユニットの降下のための少なくとも1
    個の案内部材が前記土台ユニットに連結されており、 前記土台ユニットは前記パネルユニットの下縁を水平に
    支持する支持材料を収容する細長い箱からなり、前記案
    内部材は実質的に剛性を有し前記土台ユニットに対して
    垂直方向にに高さ調整自在であることを特徴とする擁壁
    構造物。
  10. 【請求項10】前記擁壁構造物を建設する間に前記補強
    材を水平に支持し得るように、前記パネルユニットから
    後方に隔置した位置に支持部材を設けたことを特徴とす
    る特許請求の範囲第9項記載の擁壁構造物。
  11. 【請求項11】パネルユニットの降下のための案内部材
    が連結立設された、水中の擁壁構造物のための土台ユニ
    ットであって、 パネルユニットを支持する支持材料を収容する細長い箱
    からなることを特徴とする土台ユニット。
JP62024408A 1986-02-05 1987-02-04 擁壁構造物の建設方法及び擁壁構造物 Expired - Lifetime JPH0756140B2 (ja)

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