JPH075609Y2 - 有極電磁継電器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は有極電磁継電器、詳しくは略Ｕ字形の鉄心の中
央に永久磁石を配設した電磁石ブロックに関するもので
ある。

（従来の技術） 従来、第４図に示すように、略Ｕ字形の鉄心１に、両端
及び中央に鍔部を有するスプール３を一体に固着し、該
スプール３の中央鍔部に永久磁石２を配設するととも
に、当該スプール３を介してコイル４を巻回した電磁石
ブロック５と、該電磁石ブロック５を収容する箱形ベー
ス６と、前記電磁石ブロック５の永久磁石２の上に揺動
可能に支持された可動ブロック７と、ケース８からなる
有極電磁継電器が公知である。

前記可動ブロック７は、可動鉄片９と、該可動鉄片９の
両側に平行に配設され、各々の両端に可動接点11,11を
有するとともに、中間にＴ字形の接続片12を有する可動
接触片10,10とを、可動鉄片９を取り巻くように形成し
た絶縁部13を介して一体化したものである。

そして、可動ブロック７は、可動鉄片９の裏面に形成し
た図示しない支持突部が永久磁石２に接触するように支
持され、さらに接続片12がベース６に設けた端子14に接
続されるとともに、可動接点11がベース６に設けた固定
接点15と対向するようになっている。

この種の有極電磁継電器には、コイルの励磁，無励磁に
より可動ブロック５が揺動して接点が開閉するいわゆる
シングルステイブル型と、コイルに印加する電圧の極性
を変えることにより、可動ブロック７が揺動して接点が
開閉するいわゆるラッチング型とがある。シングルステ
イブル型とラッチング型とでは永久磁石の磁力を変える
必要があるが、従来永久磁石の着磁率を変えることによ
り対応していた。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、永久磁石の着磁率を変えるには、中途着
磁の段階で磁化を終えなければならないため、着磁量が
ばらつき、動作特性もばらつきやすいという問題があっ
た。

また、スプール３の射出成形時に鉄心１と永久磁石２を
インサートしなければならないため、成形が困難で時間
がかかるという問題があった。

本考案はかかる問題点に鑑みてなされたもので、電磁石
ブロックのスプールの成形が容易で動作特性のばらつき
が少ない有極電磁継電器を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 前記目的を達成するため、本考案は、略Ｕ字形の鉄心
に、両端及び中央に鍔部を有するスプールを一体に固着
し、該スプールの中央鍔部に永久磁石を配設するととも
に、当該スプールを介してコイルを巻回した電磁石ブロ
ックを備え、前記永久磁石の上に接点機構を駆動する可
動鉄片を揺動可能に支持した有極電磁継電器において、 スプールの中央鍔部に完全着磁した体積の異なる複数の
永久磁石のいずれも挿入可能な溝を設けたものである。

（作用） 完全着磁した体積の異なる永久磁石は、その体積に応じ
て着磁量が定まる。従って、同じ体積の永久磁石を使用
する限り、一定の着磁量が得られ、電磁継電器の動作特
性のばらつきが減少する。

（実施例） 次に、本考案の一実施例を図面に従って説明する。

第１図は本考案に係る有極電磁継電器の電磁石ブロック
21を示し、スプール３の中央鍔部3aに永久磁石22,23の
挿入溝24を設けた以外は前記従来の電磁石ブロックと同
一であり、対応する部分には同一番号を付して説明を省
略する。

前記スプール３の中央鍔部3aの溝24は、体積及び着磁率
の異なる永久磁石22,23のいずれもが圧入によって挿入
可能な形状になっている。すなわち、溝24は、幅w₁，長
さl₁，高さｈの永久磁石22が挿入可能な溝24aと、幅
w₂，長さl₂，高さｈで体積V₂＝w₂l₂hが前記永久磁石22
の体積V₁＝w₁l₁hより大きい永久磁石23が挿入可能な溝2
4bとを重ねた形状に形成されている。

前記永久磁石22,23はそれぞれ飽和状態に磁化されいる
が、体積が異なるために異なる着磁量で完全着磁してい
る。そして、ラッチング型には第２図に示すように、体
積が小さくて着磁量の小さい永久磁石22が溝24aに圧入
され、シングルステイブル型には第３図に示すように、
体積が大きくて着磁量の大きい永久磁石23が溝24bに圧
入される。このとき、永久磁石22,23の各圧入量を変え
ることにより、可動鉄片９（第４図参照）の可動ストロ
ークを調整することができる。

永久磁石22,23を溝24に圧入した後、空いた方の溝24に
接着剤を充てんすることにより、永久磁石22,23を確実
に固定することができる。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案によれば、この
電磁石ブロックに完全着磁した体積の異なる永久磁石を
用いているため、着磁量が一定となり、動作特性のばら
つきが減少する。また、永久磁石を体積すなわち着磁量
の異なるものに入れ換えることにより、簡単にシングル
ステイブル型又はラッチング型に変えることができる。
さらに、スプールの成形後に永久磁石を挿入するため、
インサート成形をする必要がなく、スプールの成形が容
易である等の効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る有極電磁継電器の電磁石ブロック
の斜視図、第２図，第３図はそれぞれ異なる永久磁石を
挿入した状態を示す電磁石ブロックの部分拡大斜視図、
第４図は従来の有極電磁継電器の分解斜視図である。 １……鉄心、３……スプール、3a……中央鍔部、４……
コイル、９……可動鉄片、11,15……接点、22,23……永
久磁石、24……溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】略Ｕ字形の鉄心に、両端及び中央に鍔部を
   有するスプールを一体に固着し、該スプールの中央鍔部
   に永久磁石を配設するとともに、当該スプールを介して
   コイルを巻回した電磁石ブロックを備え、前記永久磁石
   の上に接点機構を駆動する可動鉄片を揺動可能に支持し
   た有極電磁継電器において、 スプールの中央鍔部に完全着磁した体積の異なる複数の
   永久磁石のいずれも挿入可能な溝を設けたことを特徴と
   する有極電磁継電器。