JPH0754607A - 蒸気タービンの防食法 - Google Patents

蒸気タービンの防食法

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JPH0754607A
JPH0754607A JP5198095A JP19809593A JPH0754607A JP H0754607 A JPH0754607 A JP H0754607A JP 5198095 A JP5198095 A JP 5198095A JP 19809593 A JP19809593 A JP 19809593A JP H0754607 A JPH0754607 A JP H0754607A
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JP
Japan
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turbine
water
steam
water supply
supply pump
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JP5198095A
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Inventor
Nobuo Shimizu
暢夫 清水
Tetsuo Yamaguchi
哲男 山口
Kazuo Ikeuchi
和雄 池内
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸気タービンにおいて、特に低圧タービン
で、系統水に混入した腐食媒を含む湿り域に発生する腐
食環境による低圧タービンの金属構成部材の腐食を防止
する防食法を提供する。 【構成】 この蒸気タービンの防食法は、火炉1、高圧
タービン2、低圧タービン4、復水器5、脱塩塔9、給
水ポンプ13等を備えた蒸気タービンにおいて、低圧タ
ービン4の入り側配管に還元剤なる水素を注入し、低圧
タービン4の後段落を構成する金属部材の電位をその金
属の腐食電位以下に保つものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発電用蒸気タービン、
舶用蒸気タービン、その他各種回転機器駆動用蒸気ター
ビンの防食法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、火力発電プラントにおいて系統水
の流れる系全体の防食法の公知例としては、主にAVT
(All Volatile Treatment),CWT(Combined Water Tr
eatment)の水処理法が挙げられる。
【0003】AVT水処理法は、火力発電プラント系統
内にヒドラジンを注入し、系統水を水素イオン濃度pH
9.0〜9.5、溶存酸素DO≦7ppbのアルカリ脱
気にして、蒸気を発生する火炉で系統水の流路となる細
管を防食するものである。
【0004】CWT水処理は、火力発電プラント系統内
にヒドラジンと酸素を注入し、系統水をpH8.0〜
8.5、DO=50〜200ppbのアルカリ性、低濃
度の溶存酸素を含んだ状態にし、主に火炉の細管を防食
するものである。
【0005】以上のように、従来技術であるAVT水処
理法およびCWT水処理法は、主に火炉の細管の防食を
行うものであり、積極的に蒸気タービン内部部品の防食
を行う方法でなかった。火力発電プラントの蒸気タービ
ンは、通常、高圧タービン、中圧タービン及び低圧ター
ビンの3つのタービンで構成されるが、低圧タービンの
後段落の湿り蒸気域では、蒸気が一部液滴となるため、
火力発電プラント系統内に腐食媒が混入した場合に、こ
の域は腐食環境になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、火力発
電用蒸気タービンの低圧タービンの後段落の湿り蒸気
域、その他の舶用蒸気タービン、回転機器駆動用蒸気タ
ービンにおける後段落の湿り蒸気域は、系統内に腐食媒
が混入した場合、腐食環境となる。
【0007】以下に、火力発電用蒸気タービンを例にと
り、湿り蒸気域が腐食環境となる機構を説明する。火炉
で発生した蒸気は、高圧タービン、中圧タービン及び低
圧タービンそれぞれで仕事をした後に復水器の冷却装置
により冷却され、凝縮して液相の水になる。この際、復
水器で冷却水として用いる海水の流路となる細管に腐食
により微細な貫通穴が生じた場合には、海水が蒸気ター
ビン系統内に侵入する。ところで、海水に含む塩の主成
分である塩化ナトリウムは、火力発電プラントを構成す
る部品の材料である特殊鋼、炭素鋼、低合金鋼等を腐食
する性質をもっているため、蒸気タービンの復水器の下
流に塩化ナトリウムを除去する脱塩塔が設置されてい
る。脱塩塔は、H−OH型またはNH4−OH型が運用
されているが、この脱塩塔の運用の不備により、復水器
で侵入した海水の塩化ナトリウムが蒸気タービン系統内
に侵入することがある。また塩化ナトリウムの侵入経路
としては、火力発電プラントの系統水を補給する系統も
考えられる。系統水の補給は、河川水を脱塩塔にて処理
し、処理された水を系統内に補給するように行われる
が、この場合に脱塩塔で腐食媒が除去しきれず、塩化ナ
トリウム等の腐食媒が火力発電プラント系統内に侵入す
ることも考えられる。
【0008】上記のように腐食媒が除去しきれずに系統
内に侵入した場合、蒸気タービンの乾き蒸気域では、蒸
気タービン部品の腐食は通常起きないので、問題となら
ないが、蒸気タービンの湿り蒸気域は腐食環境となり、
ここで蒸気タービン部品の腐食が発生し、タービンの動
翼の折損、飛散等のトラブルが生じ、火力発電プラント
が運転不可能となる深刻事態を招くことがある。このよ
うなトラブルは、火炉が水ドラムと蒸気ドラムを備えた
ドラムタイプより、長い管のみから構成され、系統水が
途中で順次に加熱、蒸発、過熱されて蒸気として送り出
される貫流タイプの場合に多く発生する。またこのよう
なトラブルは、火力発電プラントの高圧タービン、中圧
タービン及び低圧タービン等の主タービンだけでなく、
火炉に水を送給する給水ポンプ駆動用の蒸気タービンで
も発生することがある。
【0009】このようなトラブルは、従来技術のAVT
水処理法、CWT水処理法のみによって防止することは
不可能である。
【0010】本発明は、上記トラブルの問題を解決する
ためになされたものであって、蒸気タービンの湿り蒸気
域またはその上流に還元剤を注入し、この蒸気タービン
の構成部材の電位を所定の低電位に保つことによって、
構成部材の腐食を防止できる蒸気タービンの防食法を提
供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の蒸気タービンの防食法は、火炉で給
水を加熱して蒸気を発生し、この蒸気により高圧タービ
ンと低圧タービンを駆動し、この低圧タービンから排出
された蒸気を復水器で海水を用いて凝縮し、凝縮した水
からNaCl等の塩を脱塩塔で除去して浄化し、この浄
化した水を給水ポンプによって火炉に給水する循環系を
有する蒸気タービンの防食法であって、低圧タービンの
入り側配管に還元剤なる水素を注入し、低圧タービンの
後段落を構成する金属部材の電位をこの金属の腐食電位
以下に保つことを特徴とする。
【0012】また本発明の第2の蒸気タービンの防食法
は、火炉で給水を加熱して蒸気を発生し、この蒸気によ
り高圧タービンおよび低圧タービンを駆動し、低圧ター
ビンから排出された蒸気を復水器で海水を用いて凝縮
し、この凝縮した水からNaCl等の塩を脱塩塔で除去
して浄化し、浄化した水を給水ポンプによって火炉に給
水する循環系と、給水ポンプを、火炉からの蒸気により
駆動される給水ポンプ駆動用タービンによって駆動し、
この給水ポンプ駆動用タービンから排出された蒸気を復
水器および脱塩塔を通して浄化した水とし、給水ポンプ
によって火炉に戻す別の循環系を有する蒸気タービンの
防食法であって、給水ポンプ入り側配管に還元剤なる水
素を注入し、低圧タービン及び給水ポンプ駆動用タービ
ンそれぞれの後段落を構成する金属部材の電位を該金属
の腐食電位以下に保つことを特徴とする。
【0013】また本発明の第3の蒸気タービンの防食法
は、前述の第2の蒸気タービンの防食法を適用した各循
環系を有する蒸気タービンにおいて、給水ポンプ駆動用
タービンの入り側配管に還元剤なる水素を注入し、給水
ポンプ駆動用タービンの後段落を構成する金属部材の電
位をこの金属の腐食電位以下に保つことを特徴としてい
る。
【0014】また本発明の第4の蒸気タービンの防食法
は、前述の第1の蒸気タービンの防食法を適用した循環
系を有する蒸気タービンにおいて、低圧タービンの後段
落を構成する静翼にその軸心に沿って軸心孔を設け、さ
らにこの軸心孔から静翼の面へこの静翼と対向する動翼
方向に噴出孔を設け、軸心孔から噴出孔を通じて還元剤
なる水素を送給して、動翼の電位を動翼を構成する金属
腐食の電位以下に保つことを特徴とする。
【0015】さらに本発明は第5の蒸気タービンの防食
法は、前述の第2の蒸気タービンの防食法を適用した各
循環系を有する蒸気タービンにおいて、給水ポンプ駆動
用タービンの後段落を構成する静翼にその翼の軸心に沿
って軸心孔を設け、さらに軸心孔から静翼の面へこの静
翼と対向する動翼方向に噴出孔を設け、軸心孔から噴出
孔を通じて還元剤なる水素を送給して、動翼の電位をこ
の動翼を構成する金属の腐食電位以下に保つことを特徴
とする。
【0016】
【作用】本発明の第1の蒸気タービンの防食法によれ
ば、低圧タービンの入り側配管から注入された水素によ
って低圧タービンの後段落を構成する金属部材の電位は
その金属の腐食電位以下に保たれるので、腐食媒を含む
湿り蒸気域に配置された低圧タービンの後段落の金属部
材の腐食は防止される。
【0017】また本発明の第2の蒸気タービンの防食法
によれば、給水ポンプ入り側配管から注入された還元剤
なる水素は火炉を経て、低圧タービンおよび給水ポンプ
駆動用タービンに流入し、それぞれの後段落を構成する
金属部材の電位がこの金属の腐食電位以下に保たれるの
で、腐食媒を含む湿り蒸気が発生する領域に配置された
各タービンの構成部材は腐食から保護される。
【0018】また本発明の第3の蒸気タービンの防食法
によれば、給水ポンプ駆動用タービンの入り側配管から
注入された還元剤なる水素によって、給水ポンプ駆動用
タービンの後段落を構成する金属部材の電位が腐食電位
以下に保たれるので、この金属部材は腐食媒を含む湿り
蒸気による腐食から保護される。
【0019】また本発明の第4の蒸気タービンの防食法
によれば、低圧タービンの後段落を構成する静翼設けら
れた軸心孔を通じて噴出孔から還元剤なる水素が噴出さ
れて、静翼と対向する動翼の電位が腐食電位以下に保た
れるので、動翼は腐食媒を含む湿り蒸気による腐食から
保護される。
【0020】さらに本発明は第5の蒸気タービンの防食
法によれば、給水ポンプ駆動用タービンの後段落を構成
する静翼に設けられた軸心孔を通じて噴出孔から噴出さ
れた還元剤なる水素によって、静翼に対向する動翼の電
位は腐食電位以下に保たれるので、腐食媒を含む湿り蒸
気による動翼の腐食は防止される。
【0021】なお、腐食媒は復水器で冷却水として用い
る海水から、また蒸気タービンの系統水を補給する系統
から系統水に侵入する。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明の蒸気タービンの防食法の原理を説
明する図、図2は本発明の第1実施例で低圧タービンの
蒸気入口配管を還元剤注入点とする防食法を示す図、図
3は本発明の第2実施例で給水ポンプ上流側を還元剤注
入点とする防食法を示す図、図4は本発明の第3実施例
で給水ポンプ駆動用蒸気タービン入口配管を還元剤注入
点とする防食法を示す図、図5は本発明の第4実施例で
低圧タービン後段の湿り域を還元剤注入点とする防食法
を示す図、図6は本発明の第5実施例で給水ポンプ駆動
用蒸気タービン後段の湿り域を還元剤注入点とする防食
法を示す図、図7は給水ポンプ駆動用蒸気タービンの構
造図、図8は蒸気タービンの静翼を還元剤注入点とする
防食法を示す図である。
【0023】金属は水中である値の電位を持つ。NaC
l等の腐食媒が水中に存在する場合、金属の電位は純水
中におけるより高い。この電位は通常飽和甘こう電極を
基準として測定される。腐食媒を含む水に水素等の還元
剤を溶解させると、図1に示すように、水素濃度が増加
するにつれて金属の電位は低下する。そして溶存酸素の
値DOが高くなると金属の電位が高くなり、腐食されや
すくなる。金属の腐食の形態には、応力腐食割れ、腐食
疲労、孔食、隙間腐食等がある。これらの腐食は各々金
属をある電位以下に保つと発生しなくなることが知られ
ている。この腐食が発生する電位の閾値は図中では腐食
電位の線で示す。この閾値を求めるためには、例えば応
力腐食割れの場合、水中で金属に電位をかけ、応力腐食
割れ試験を実施し、次第に電位を下げてゆくと応力腐食
割れが発生しなくなるので、この応力腐食割れが発生し
なくなる閾値を腐食電位とする。例えばステンレス鋼S
US304の応力腐食割れを防止するには、約−230
mV以下に電位を保てばよいことが知られている。
【0024】したがって、蒸気タービン実機で金属を防
食するには、その金属が存する環境中に水素等の還元剤
を注入すると金属の電位を下がるので、金属の電位を腐
食電位以下に保つような還元濃度で還元剤を注入すれ
ば、金属を防食することが可能である。
【0025】[第1実施例]図2に示すように構成され
た、火力発電プラントの蒸気タービンにおいては、蒸気
発生器である火炉1で発生した蒸気は、高圧タービン2
に送られ、高圧タービン2を駆動した後に一旦火炉1に
戻され、火炉1の再熱器で再加熱されて、中圧タービン
3から2つの低圧タービン4,4に順次に送られて、回
転軸により一体となる高圧タービン5、中圧タービン3
及び2つの低圧タービン4,4を駆動する。低圧タービ
ン4,4を出た蒸気は復水器5で海水により冷却されて
凝縮し、この時に復水器5で海水を通す管にチューブリ
ーク等があれば、海水が蒸気タービンの系統水に侵入す
る。この凝縮した系統水は復水ポンプ6により順次にグ
ランドコンデンサー7及び復水濾過器8を介して脱塩塔
9に送られ、ここで海水から系統水に侵入したNaCl
等の腐食媒は取り除かれる。
【0026】しかし、脱塩塔9で腐食媒を完全に除去す
ることは難しいのが現状である。脱塩塔9には、通常2
種類のタイプ、H−OH型と、NH4−OH型がある。
NH4−OH型はH−OH型に比べて腐食媒の除去効率
が悪いことが知られている。また脱塩塔9では再生不良
等により、Na,Cl,SO4等のイオンが系統内に侵
入することがある。
【0027】脱塩等9から出た系統水は復水ブースタポ
ンプ10によって順次に低圧給水加熱器11から脱気器
12に送られ、さらに給水ポンプ13によって高圧給水
加熱器に送られてそこで予備加熱された後に火炉1に供
給される。ここで給水ポンプ13は火炉1から高圧ター
ビン2に送られる蒸気から分流された蒸気により駆動さ
れる。
【0028】上記のように腐食媒が系統内に侵入した場
合、特に貫流ボイラの場合には、復水に侵入し脱塩塔9
で取りきれなかった腐食媒は、全量蒸気タービンの中に
侵入することになる。ところで低圧タービン4は内部に
数段落の軸流蒸気タービンを有している。駆動蒸気が低
圧タービン4の内部で飽和圧力以下となるので、低圧タ
ービン4の後ろの段落で、湿り蒸気域が発生する。駆動
蒸気に腐食媒が混入した場合、この湿り蒸気域の発生し
始める領域で、高濃度の腐食媒を含んだ溶液が発生する
ことが、初期凝縮現象として知られている。この領域で
は蒸気タービン動翼の付け根等に、応力腐食割れ、腐食
疲労、孔食、隙間腐食が発生しやすくなり、動翼の折損
飛散等のトラブルが発生することがある。
【0029】これを防止する為に、本実施例では低圧タ
ービン4の入り口配管に還元剤である水素の注入点16
を設ける。水素の注入量は低圧タービンの構成要素、特
に動翼の電位を図1に示すような腐食電位以下にするに
足る量とする。
【0030】なお、脱塩塔9は、NaCl等の腐食媒を
イオン交換樹脂により除去するよう構成されているが、
腐食媒を除去する機構は、化学平衡反応であるので、完
全に腐食媒を除去することは不可能である。通常、NaCl
の復水への混入量は、脱塩塔9出口で数ppb以下に制限
する運用を行なっている。NaClの復水への混入量が数pp
bであっても、低圧タービン4内での初期凝縮現象とし
て知られる腐食媒の濃縮は、避けられない。
【0031】[実施例2]本実施例は、実施例1と同じ
構成の蒸気タービンに、図3に示すように、脱気器12
の下流で給水ポンプの上流に還元剤である水素の注入点
16を設けて防食を行うものである。これにより低圧タ
ービン4および給水ポンプ駆動用タービン14の後ろの
段落を構成する部品である動翼等の電位を腐食電位以下
に下げ、構成部品の腐食を防止する。また本実施例によ
れば、還元剤は高圧タービン2、中圧タービン3、低圧
タービン4からなる主タービンと給水ポンプ駆動用ター
ビン14の全てにわたるので、高圧タービン2、中圧タ
ービン3にも防食の効果が期待できる。
【0032】[実施例3]本実施例では、実施例1で示
すのと同様に構成された蒸気タービンにおいて、図4に
示すように、給水ポンプ駆動用タービン14の入り口に
還元剤なる水素の注入点16を設けた。これにより給水
ポンプ駆動用タービン14の後段落を構成する動翼等の
電位をこの動翼の材料の腐食電位以下に下げて動翼等を
防食する。
【0033】[実施例4]本実施例では、実施例1で説
明した構成の蒸気タービンにおいて、図5に示すよう
に、2つの低圧タービン4、4で生じる湿り域の直前
に、還元剤なる水素注入点16を設ける。低圧タービン
4はディバイディッド形式で左右同形のタービンを有す
るので、各低圧タービン4に2か所を注入点16を設
け、タービン内に直接還元剤を注入する。
【0034】注入の方法を図7、8を用いて説明する。
図7は給水ポンプ駆動用タービン14の縦断面図であ
る。説明を容易にするするために低圧タービン4の左右
の一方のタービンを持つこの給水ポンプ駆動用タービン
14の構造図を利用する。通常、蒸気タービンの腐食で
問題になるのは、ロータに取り付けられた動翼20の折
損である。これを防止する為に、湿り域の始まる領域に
ある動翼20と対向する静翼19に還元剤の導入孔を設
ける。静翼19はケーシングに固定されている。
【0035】図8に示すように、タービンの後段落を構
成する静翼19にその軸心に沿って軸心孔として導入穴
を設け、さらにこの導入穴から静翼19の翼面へ噴出孔
23を設ける。静翼19の外周側に位置する導入穴の口
を還元剤入り口22として、ここから還元剤である水素
を注入し、噴出口23から還元剤を噴出し、湿り域の始
まる領域にある動翼20に吹き付け、湿り域の始まる領
域に発生する腐食環境の緩和を図り、動翼20の防食を
はかる。還元剤を噴出する静翼は、静翼全数もしくは、
還元剤必要量より、周上の数本でも可能である。
【0036】[実施例5]図6に示す実施例5の方法
は、前述の実施例4で静翼を介して還元剤を動翼に噴出
する機構を、給水ポンプ駆動用タービン14の湿り域の
直前に設けたもので、その防食効果は、実施例4による
のと同様である。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、第1の蒸気タービンの
防食法を、低圧タービンの入り側配管に還元剤なる水素
を注入し、低圧タービンの後段落を構成する金属部材の
電位をこの金属の腐食電位以下に保つものとするので、
蒸気タービンの湿り蒸気域に配置された低圧タービンの
後段落を構成する金属部材の応力腐食割れ、腐食疲労、
孔食、隙間腐食等の各種腐食を防止できる。
【0038】また第2の蒸気タービンの防食法を、給水
ポンプ入り側配管に還元剤なる水素を注入し、低圧ター
ビンおよび給水ポンプ駆動用タービンそれぞれの後段落
を構成する金属部材の電位をこの金属の腐食電位以下に
保つものとするので、低圧タービンおよび給水ポンプ駆
動用タービンそれぞれで湿り蒸気が発生する領域に配置
された各タービンの構成部材を上記各種の腐食から保護
することができる。
【0039】また第3の蒸気タービンの防食法を、給水
ポンプ駆動用タービンの入り側配管に還元剤なる水素を
注入し、給水ポンプ駆動用タービンの後段落を構成する
金属部材の電位を腐食電位以下に保つものとするので、
この金属部材を湿り蒸気による上記各種腐食から保護す
ることができる。
【0040】また第4の蒸気タービンの防食法を、低圧
タービンの後段落を構成する静翼に軸心孔と噴出孔を設
け、軸心孔から噴出孔を通じて還元剤なる水素を送給し
て、静止翼に対向する動翼の電位を腐食電位以下に保つ
ものとするので、この動翼を湿り蒸気による上記各種腐
食から保護することができる。
【0041】また第5の蒸気タービンの防食法を、給水
ポンプ駆動用タービンの後段落を構成する静翼に軸心孔
と噴出孔を設け、軸心孔から噴出孔を通じて還元剤なる
水素を送給して、静翼と対向する動翼の電位を腐食電位
以下に保つものとするので、湿り蒸気による動翼の上記
各種腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸気タービンの防食法の原理を説明す
る図である。
【図2】本発明の第1実施例で低圧タービンの蒸気入口
配管を還元剤注入点とする防食法を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例で給水ポンプの入り側を還
元剤注入点とする防食法を示す図である。
【図4】本発明の第3実施例で給水ポンプ駆動用蒸気タ
ービン入口配管を還元剤注入点とする防食法を示す図で
ある。
【図5】本発明の第4実施例で低圧タービン後段の湿り
域を還元剤注入点とする防食法を示す図である。
【図6】本発明の第5実施例で給水ポンプ駆動用蒸気タ
ービン後段の湿り域を還元剤注入点とする防食法を示す
図である。
【図7】給水ポンプ駆動用蒸気タービンの構造図であ
る。
【図8】蒸気タービンの静翼を還元剤注入点とする防食
法を示す図である。
【符号の説明】
1 火炉 2 高圧タービン 3 中圧タービン 4 低圧タービン 5 復水器 6 復水ポンプ 7 グランドコンデンサ 8 復水濾過器 9 脱塩塔 10 復水ブースタポンプ 11 低圧給水加熱器 12 脱気器 13 給水ポンプ 14 給水ポンプ駆動用蒸気タービン 15 高圧給水加熱器 16 還元剤注入点 17 蒸気入り口弁 18 ロータ 19 静翼 20 動翼 21 軸受け 22 還元剤入り口 23 還元剤噴出口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 火炉で給水を加熱して蒸気を発生し、該
    蒸気により高圧タービンおよび低圧タービンを駆動し、
    該低圧タービンから排出された蒸気を復水器で海水を用
    いて凝縮し、該凝縮した水からNaCl等の塩を脱塩塔
    で除去して浄化し、該浄化した水を給水ポンプによって
    前記火炉に給水する循環系を有する蒸気タービンの防食
    法において、前記低圧タービンの入り側配管に還元剤な
    る水素を注入し、前記低圧タービンの後段落を構成する
    金属部材の電位を該金属の腐食電位以下に保つことを特
    徴とする蒸気タービンの防食法。
  2. 【請求項2】 火炉で給水を加熱して蒸気を発生し、該
    蒸気により高圧タービンおよび低圧タービンを駆動し、
    該低圧タービンから排出された蒸気を復水器で海水を用
    いて凝縮し、該凝縮した水からNaCl等の塩を脱塩塔
    で除去して浄化し、該浄化した水を給水ポンプによって
    前記火炉に給水する循環系と、前記給水ポンプを、前記
    火炉からの蒸気により駆動される給水ポンプ駆動用ター
    ビンによって駆動し、該給水ポンプ駆動用タービンから
    排出された蒸気を前記復水器および前記脱塩塔を通して
    浄化した水とし、該浄化した水を前記給水ポンプによっ
    て前記火炉に戻す別の循環系を有する蒸気タービンの防
    食法において、前記給水ポンプ入り側配管に還元剤なる
    水素を注入し、前記低圧タービンおよび前記給水ポンプ
    駆動用タービンそれぞれの後段落を構成する金属部材の
    電位を該金属の腐食電位以下に保つことを特徴とする蒸
    気タービンの防食法。
  3. 【請求項3】 火炉で給水を加熱して蒸気を発生し、該
    蒸気により高圧タービンおよび低圧タービンを駆動し、
    該低圧タービンから排出された蒸気を復水器で海水を用
    いて凝縮し、該凝縮した水からNaCl等の塩を脱塩塔
    で除去して浄化し、該浄化した水を給水ポンプによって
    前記火炉に給水する循環系と、前記給水ポンプを、前記
    火炉からの蒸気により駆動される給水ポンプ駆動用ター
    ビンによって駆動し、該給水ポンプ駆動用タービンから
    排出された蒸気を前記復水器および前記脱塩塔を通して
    浄化した水とし、該浄化した水を前記給水ポンプによっ
    て前記火炉に戻す別の循環系を有する蒸気タービンの防
    食法において、前記給水ポンプ駆動用タービンの入り側
    配管に還元剤なる水素を注入し、前記給水ポンプ駆動用
    タービンの後段落を構成する金属部材の電位を該金属の
    腐食電位以下に保つことを特徴とする蒸気タービンの防
    食法。
  4. 【請求項4】 火炉で給水を加熱して蒸気を発生し、該
    蒸気により高圧タービンおよび低圧タービンを駆動し、
    該低圧タービンから排出された蒸気を復水器で海水を用
    いて凝縮し、該凝縮した水からNaCl等の塩を脱塩塔
    で除去して浄化し、該浄化した水を給水ポンプによって
    前記火炉に給水する循環系を有する蒸気タービンの防食
    法において、前記低圧タービンの後段落を構成する静翼
    に該静翼の軸心に沿って軸心孔を設け、さらに該軸心孔
    から該静翼の面へ該静翼と対向する動翼方向に噴出孔を
    設け、前記軸心孔から前記噴出孔を通じて還元剤なる水
    素を送給して、前記動翼の電位を該動翼を構成する金属
    腐食の電位以下に保つことを特徴とする蒸気タービンの
    防食法。
  5. 【請求項5】 火炉で給水を加熱して蒸気を発生し、該
    蒸気により高圧タービンおよび低圧タービンを駆動し、
    該低圧タービンから排出された蒸気を復水器で海水を用
    いて凝縮し、該凝縮した水からNaCl等の塩を脱塩塔
    で除去して浄化し、該浄化した水を給水ポンプによって
    前記火炉に給水する循環系と、前記給水ポンプを、前記
    火炉からの蒸気により駆動される給水ポンプ駆動用ター
    ビンによって駆動し、該給水ポンプ駆動用タービンから
    排出された蒸気を前記復水器および前記脱塩塔を通して
    浄化した水とし、該浄化した水を前記給水ポンプによっ
    て前記火炉に戻す別の循環系を有する蒸気タービンの防
    食法において、前記給水ポンプ駆動用タービンの後段落
    を構成する静翼に該静翼の軸心に沿って軸心孔を設け、
    さらに該軸心孔から該静翼の面へ該静翼と対向する動翼
    方向に噴出孔を設け、前記軸心孔から前記噴出孔を通じ
    て還元剤なる水素を送給して、前記動翼の電位を該動翼
    を構成する金属の腐食電位以下に保つことを特徴とする
    蒸気タービンの防食法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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