JP2006029759A - ボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラント - Google Patents

ボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラント Download PDF

Info

Publication number
JP2006029759A
JP2006029759A JP2004262088A JP2004262088A JP2006029759A JP 2006029759 A JP2006029759 A JP 2006029759A JP 2004262088 A JP2004262088 A JP 2004262088A JP 2004262088 A JP2004262088 A JP 2004262088A JP 2006029759 A JP2006029759 A JP 2006029759A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steam
oxygen
feed water
boiler plant
injecting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004262088A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Motai
憲次 馬渡
Hiroki Okubo
宏樹 大久保
Akito Yoshida
章人 吉田
Masahiko Nagai
正彦 永井
Koichi Sakamoto
康一 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2004262088A priority Critical patent/JP2006029759A/ja
Publication of JP2006029759A publication Critical patent/JP2006029759A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
  • Physical Water Treatments (AREA)

Abstract

【課題】 ボイラからの蒸気に脱酸素剤を十分に混合させて溶存酸素量を効率的かつ効果的に低減して、タービンでの応力腐食割れを防止するとともに過熱器等でのスケール剥離による不具合を防止し得るボイラプラントの蒸気処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明にかかるボイラプラント1の蒸気処理方法は、復水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラント1の蒸気処理方法において、脱酸素剤を、過熱器11の上流側に設けられた汽水分離器9への流入部12に注入することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラントに関するものである。
近年、ボイラプラントにおける給水処理として、復水器からの復水および/または脱気器出口からの給水に酸素を注入して保護皮膜としてヘマタイトスケールを生成する酸素注入処理が適用されている。この酸素注入処理には、酸素のみを注入するNWT(Neutral Water Treatment)と、酸素およびアンモニアを注入するCWT(Combined Water Treatment)とがある。
しかし、これらの酸素注入処理では、ボイラからの蒸気に酸素が含まれるため、この溶存酸素に起因するタービンの応力腐食割れが発生する恐れがある。
これを解消するものとして、特許文献1に示されるように、ボイラ出口からの流体に脱酸素剤を供給し、タービンへ供給される溶存酸素をできるだけ少なくし、タービンの応力腐食割れを抑制するものが提案されている。
特公平7−43093号公報(4欄4行〜32行,及び第1図)
しかしながら、特許文献1のものでは、ボイラ出口の流体に脱酸素剤を十分に混合させて、溶存酸素を効率的にかつ効果的に低減するための工夫がなされていないので、例えば、過熱器あるいは再熱器でのスケールの剥離防止については、十分に行うことができなかった。
本発明は、上記問題点に鑑み、ボイラからの蒸気に脱酸素剤を十分に混合させて溶存酸素量を効率的かつ効果的に低減して、タービンでの応力腐食割れを防止するとともに過熱器および再熱器等でのスケール剥離による不具合を防止し得るボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラントを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法は、復水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントの蒸気処理方法において、前記脱酸素剤を、過熱器の上流側に設けられた汽水分離器への流入部に注入することを特徴とする。
本発明によれば、脱酸素剤は過熱器の上流側に設けられた汽水分離器への流入部に注入されるので、脱酸素剤は汽水分離器中で生じる旋回流により蒸気中によく混合されることになる。このように、脱酸素剤が蒸気中によく混合されると蒸気中の溶存酸素と十分に反応するので、蒸気中の溶存酸素量を効率的に、かつ効果的に低減することができる。このため、溶存酸素量が十分に低減された蒸気が過熱器等に供給されるので、過熱器、再熱器およびタービン等の蒸気系において酸素による応力腐食割れを防止できるとともに溶存酸素により、ヘマタイト化が進行し、スケールが剥離し易くなることを抑制することができる。
また、ヘマタイト化抑制により、スケールの剥離量が低減するので、剥離したスケールが過熱器や再熱器等の細管に溜まり、さらに堆積して管を閉塞することを防止できるため、これら閉塞された細管が過熱されて、ついには噴破事故につながることを防止できる。また、剥離したスケールがタービンに損傷を与えることを防止できる。
なお、脱酸素剤としては、例えばヒドラジン、モルホリン、シクロヘキシルアミンおよび水素等の還元剤が好適である。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法は、復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントの蒸気処理方法において、前記脱酸素剤を、節炭器の出口もしくはその上流側(具体的にはボイラ給水ポンプの出口や中間段など)から過熱器の上流側に噴射給水するスプレイの給水ラインに注入することを特徴とする。
本発明によれば、脱酸素剤は節炭器の出口もしくはその上流側から過熱器の上流側に噴射給水するスプレイの給水ラインに注入されるので、脱酸素剤はスプレイから霧吹き状に供給される流体により過熱器の上流側の蒸気に供給されることになる。このように、脱酸素剤は蒸気に霧吹き状に供給されるので、蒸気中によく混合されることになる。
なお、脱酸素剤がよく混合されることにより蒸気中の酸素濃度が十分に低下しスケールのヘマタイト化が抑制されること、およびこれにより得られる利点は上記発明と同様である。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法は、復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントの蒸気処理方法において、過熱器の上流側の蒸気配管に細管で形成される分岐管路を形成し、前記脱酸素剤を、前記分岐管路に注入することを特徴とする。
本発明によれば、脱酸素剤は細管で形成された分岐管路に注入されるので、脱酸素剤は細管内で蒸気と十分に予混合されることになる。このように、脱酸素剤は蒸気と予混合された状態で蒸気配管に供給されるので、蒸気と蒸気の混合となるため、脱酸素剤は蒸気中によく混合されることになる。
なお、脱酸素剤がよく混合されることにより蒸気中の酸素濃度が十分に低下しスケールのヘマタイト化が抑制されること、およびこれにより得られる利点は上記発明と同様である。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法は、復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントの蒸気処理方法において、前記脱酸素剤を、過熱器の管寄せの上流側に注入することを特徴とする。
本発明によれば、脱酸素剤は過熱器の管寄せの上流側に注入されるので、注入された脱酸素剤は管寄せに流入して急速に拡散する蒸気流に乗るため、蒸気中によく混合されることになる。
なお、脱酸素剤がよく混合されることにより蒸気中の酸素濃度が十分に低下しスケールのヘマタイト化が抑制されること、およびこれにより得られる利点は上記発明と同様である。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法では、前記脱酸素剤を、再熱器の上流側の蒸気配管に注入することを特徴とする。
このように、脱酸素剤は、再熱器の上流側の蒸気配管にも注入されるので、再熱器に流入される蒸気の溶存酸素量はより低減される。このため、再熱器でのヘマタイトスケールの生成はより低減されることになるので、再熱器でのスケール剥離による不具合を防止できる。
したがって、例えば再熱器を交換した場合等、ヘマタイトスケールが生成され易い状態でも再熱器を保護することができる。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法では、前記過熱器の下流側で、前記溶存酸素の量を測定して前記脱酸素剤の供給量を調節することを特徴とする。
このように、過熱器の下流側で、溶存酸素の量を測定して脱酸素剤の供給量を調節するので、脱酸素剤を必要な量だけ供給することができる。このため、例えば脱酸素剤の供給が不十分で、ヘマタイトスケールの抑制が不十分となること、あるいは脱酸素剤が余分に供給されて余った脱酸素剤が悪影響を及ぼすようなことが防止できる。
なお、溶存酸素量の測定は、溶存酸素計あるいは酸化還元電位(ORP:Oxdation Reduction Potential)計で行い、目標としては溶存酸素が7ppb以下あるいはORPが25℃において−0.3〜−0.4V以下になるように脱酸素剤を注入するのが好適である。
また、溶存酸素量の測定箇所としては、ヘマタイトスケールの影響が大きい過熱器の出口あるいは過熱器および再熱器の各出口が好適である。場合によっては、酸素注入前の復水あるいは高圧給水加熱装置および低圧給水加熱装置のドレンの溶存酸素量を測定してもよい。
ところで、上記のようにボイラプラントの蒸気系に脱酸素剤の注入を行った場合、以下の理由によって給水加熱装置中の鉄濃度が上昇し、結果としてボイラ持ち込み鉄量が上昇することによる蒸発管スケール成長速度の加速が懸念される。
すなわち、蒸気系への脱酸素剤を注入により蒸気中の溶存酸素が除去され、これによってタービン車室等から給水加熱装置に供給される抽気中の溶存酸素も除去される。一方、CWT適用時は給水pHが最大でも9.3程度(通常は9.0程度)であり、抽気ドレン水質はpH低、酸素なしという状況となり、給水加熱装置の蒸気系での腐食が促進される恐れがある。この場合、給水加熱装置から導出される抽気ドレン中の鉄濃度が上昇する。この抽気ドレンは復水管や脱気器に回収されるため、結果的にボイラ給水中の鉄濃度(ボイラ持ち込み鉄量)も上昇し、これによって蒸発管内面でのスケール成長速度が加速する。このスケール成長速度の加速により、スケール成長抑制、ボイラ化学洗浄間隔の延長といったCWTのメリットが阻害される恐れがある。
そこで、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法では、給水加熱装置に蒸気を供給する抽気ラインに酸素を注入することを特徴とする。
本発明によれば、給水加熱装置に導入される抽気に酸素が注入されることにより、給水加熱装置からのドレン系統をCWT条件に調整することで、ヘマタイト保護皮膜を形成し、ボイラ持ち込み鉄量の上昇を抑え、蒸発管内面でのスケール成長を抑制することができる。従って、蒸気系への脱酸素剤の注入を行った場合でも、スケール成長抑制、ボイラ化学洗浄間隔の延長といったCWTのメリットが阻害されることがない。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法では、前記給水加熱装置に蒸気を供給する複数の抽気ラインのうち、少なくとも前記給水加熱装置を流れる蒸気の最上流側で該給水加熱装置と接続する抽気ラインに酸素を注入することを特徴とする。
このように少なくとも最上流側の抽気ラインに酸素を注入することにより、給水加熱装置の蒸気系全体に酸素が行き渡り、給水加熱装置内の腐食を効率よく抑えることができる。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法では、前記給水加熱装置の抽気ドレン中の溶存酸素の量を測定して、前記抽気ラインへの前記酸素の注入量を調節することを特徴とする。
このように、給水加熱装置の抽気ドレン中の溶存酸素の量を測定して酸素の供給量を調節するので、酸素を必要な量だけ供給することができる。このため、例えば酸素の供給が不十分で、ヘマタイト保護皮膜の形成が不十分となること、あるいは酸素が余分に供給されて余った酸素が悪影響を及ぼすようなことが防止できる。
なお、抽気ドレン中の溶存酸素量の測定は、溶存酸素計または腐食電位計および温度計で行うことが好ましい。抽気ドレンの溶存酸素量の目標値としては50ppbが好適であるが、20〜200ppbの範囲で調整すればよい。また、腐食電位計および温度計を用いる場合は、ヘマタイト保護皮膜安定領域である腐食電位(例えば、−300mV以上 vs SHE at 100℃)となるように注入酸素量を制御すればよい。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法では、給水加熱装置に蒸気を供給する抽気ラインに、上記酸素に代えて、アルカリ性揮発物を注入することを特徴とする。
本発明によれば、給水加熱装置に導入される抽気にアルカリ性揮発物が注入されることにより、給水加熱装置からのドレン系統をAVT(All Volatile Treatment)条件に調整することで、マグネタイト保護皮膜を形成し、ボイラ持ち込み鉄量の上昇を抑え、蒸発管内面でのスケール成長を抑制することができる。従って、蒸気系への脱酸素剤の注入を行った場合でも、スケール成長抑制、ボイラ化学洗浄間隔の延長といったCWTのメリットが阻害されることがない。なお、注入する前記アルカリ揮発物としては、アンモニア水、ヒドラジン等が好適である。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法では、前記給水加熱装置に蒸気を供給する複数の抽気ラインのうち、少なくとも前記給水加熱装置を流れる蒸気の最上流側で該給水加熱装置と接続する抽気ラインにアルカリ性揮発物を注入することを特徴とする。
このように少なくとも最上流側の抽気ラインにアルカリ性揮発物を注入することにより、給水加熱装置の蒸気系全体にアルカリ性揮発物が行き渡り、給水加熱装置内の腐食を効率よく抑えることができる。
また、本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法では、前記給水加熱装置の抽気ドレンのpHを測定して、前記抽気ラインへの前記アルカリ性揮発物の注入量を調節することを特徴とする。
このように、給水加熱装置の抽気ドレンのpHを測定して、前記抽気ラインへの前記アルカリ性揮発物の注入量を調節するので、アルカリ性揮発物を必要な量だけ供給することができる。このため、例えばアルカリ性揮発物の供給が不十分で、マグネタイト保護皮膜の形成が不十分となること、あるいはアルカリ性揮発物が余分に供給されて余ったアルカリ性揮発物が悪影響を及ぼすようなことが防止できる。
なお、抽気ドレンのpHの測定は、pH計または電気伝導率計で行うことが好ましい。抽気ドレンのpHの目標値としては9.4が好適であるが、pH9.3以上となるようにアルカリ性揮発物を注入すれば、マグネタイト安定領域に保持することができ、鉄溶解度が低くなるので、十分に腐食を抑制できる。また、電気伝導率計を用いる場合は、pH9.3以上に相当する電気伝導率5.5μS/cm以上となるように注入するアルカリ性揮発物の量を制御すればよい。
さらに、本発明にかかるボイラプラントは、復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントにおいて、過熱器の上流側に設けられた汽水分離器の流入部に脱酸素剤を注入する脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とする。
本発明によれば、脱酸素剤は脱酸素剤注入ラインにより過熱器の上流側に設けられた汽水分離器への流入部に注入されるので、脱酸素剤は汽水分離器中で生じる旋回流により蒸気中によく混合されることになる。このように、脱酸素剤が蒸気中によく混合されると蒸気中の溶存酸素と十分に反応するので、蒸気中の溶存酸素量を効率的に、かつ効果的に低減することができる。このため、溶存酸素量が十分に低減された蒸気が過熱器、再熱器およびタービン等に供給されるので、過熱器、再熱器およびタービン等の蒸気系において酸素による応力腐食割れ等の局所腐食を防止できるとともに溶存酸素により、ヘマタイト化が進行し、スケールが剥離し易くなることを抑制することができる。
また、ヘマタイト化抑制により、スケールの剥離量が低減するので、剥離したスケールが過熱器や再熱器等の細管に溜まり、さらに堆積して管を閉塞することを防止できるため、これら閉塞された細管が過熱されて、ついには噴破事故につながることを防止できる。また、剥離したスケールがタービンに損傷を与えることを防止できる。
また、本発明にかかるボイラプラントは、復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントにおいて、節炭器の出口もしくはその上流側(具体的にはボイラ給水ポンプの出口や中間段など)から過熱器の上流側に噴射給水するスプレイの給水ラインに、脱酸素剤を注入する脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とする。
本発明によれば、脱酸素剤は脱酸素剤注入ラインにより節炭器の出口もしくはその上流側から過熱器の上流側に噴射給水するスプレイの給水ラインに注入されるので、脱酸素剤はスプレイから霧吹き状に供給される流体により過熱器の上流側の蒸気に供給されることになる。このように、脱酸素剤は蒸気に霧吹き状に供給されるので、蒸気中によく混合されることになる。
なお、脱酸素剤がよく混合されることにより蒸気中の酸素濃度が十分に低下しスケールのヘマタイト化が抑制されること、およびこれにより得られる利点は上記発明と同様である。
また、本発明にかかるボイラプラントは、復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントにおいて、過熱器の上流側の蒸気配管に細管で形成される分岐管路を形成し、該分岐管路に脱酸素剤を注入する脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とする。
本発明によれば、脱酸素剤は脱酸素剤注入ラインにより細管で形成された分岐管路に注入されるので、脱酸素剤は細管内で蒸気と十分に予混合されることになる。このように、脱酸素剤は蒸気と予混合された状態で蒸気配管に供給されるので、蒸気と蒸気の混合となるため、脱酸素剤は蒸気中によく混合されることになる。
なお、脱酸素剤がよく混合されることにより蒸気中の酸素濃度が十分に低下しスケールのヘマタイト化が抑制されること、およびこれにより得られる利点は上記発明と同様である。
また、本発明にかかるボイラプラントは、復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントにおいて、過熱器の管寄せの上流側に脱酸素剤を注入する脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とする。
本発明によれば、脱酸素剤は脱酸素剤注入ラインにより過熱器の管寄せの上流側に注入されるので、注入された脱酸素剤は管寄せに流入して急速に拡散する蒸気流に乗るため、蒸気中によく混合されることになる。
なお、脱酸素剤がよく混合されることにより蒸気中の酸素濃度が十分に低下しスケールのヘマタイト化が抑制されること、およびこれにより得られる利点は上記発明と同様である。
また、本発明にかかるボイラプラントは、再熱器の上流側の蒸気配管に脱酸素剤を注入する第二の脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とする。
このように、脱酸素剤は、第二の脱酸素剤注入ラインにより再熱器の上流側の蒸気配管にも注入されるので、再熱器に流入される蒸気の溶存酸素量はより低減される。このため、再熱器でのヘマタイトスケールの生成はより低減されることになるので、再熱器でのヘマタイトスケール剥離による不具合を防止できる。
したがって、例えば再熱器を交換した場合等、ヘマタイトスケールが生成され易い状態でも再熱器を保護することができる。
また、本発明にかかるボイラプラントは、前記過熱器の下流側に、前記溶存酸素の量を測定する計測器を設け、該計測器で計測された溶存酸素量により前記脱酸素剤の供給量を調節することを特徴とする。
このように、過熱器の下流側で、計測器により溶存酸素の量を測定して脱酸素剤の供給量を調節するので、脱酸素剤を必要な量だけ供給することができる。このため、例えば脱酸素剤の供給が不十分で、ヘマタイトスケールの抑制が不十分となること、あるいは脱酸素剤が余分に供給されて余った脱酸素剤が悪影響を及ぼすようなことが防止できる。
なお、溶存酸素量の測定は、溶存酸素計あるいは酸化還元電位(ORP:Oxdation Reduction Potential)計で行い、目標としては溶存酸素が7ppb以下あるいはORPが25℃において−0.3〜−0.4V以下になるように脱酸素剤を注入するのが好適である。
また、測定器の設置箇所としては、ヘマタイトスケールの影響が大きい過熱器の出口あるいは過熱器および再熱器の各出口が好適である。場合によっては、計測器は酸素注入前の復水あるいは高圧給水加熱装置および低圧給水加熱装置のドレンの溶存酸素量を測定するようにしてもよい。
また、本発明にかかるボイラプラントは、給水加熱装置に蒸気を供給する抽気ラインに酸素を注入する酸素注入ラインを接続したことを特徴とする。
本発明によれば、酸素注入ラインによって、給水加熱装置に蒸気を供給する抽気ラインに酸素が注入されるので、給水加熱装置からのドレン系統をCWT条件に調整することで、ヘマタイト保護皮膜を形成し、ボイラ持ち込み鉄量の上昇を抑え、蒸発管内面でのスケール成長を抑制することができる。従って、蒸気系に脱酸素剤を注入するボイラプラントであっても、スケール成長抑制、ボイラ化学洗浄間隔の延長といったCWTのメリットが阻害されることがない。
また、本発明にかかるボイラプラントは、前記給水加熱装置に蒸気を供給する複数の抽気ラインのうち、少なくとも前記給水加熱装置を流れる蒸気の最上流側で該給水加熱装置と接続する抽気ラインに酸素を注入する酸素注入ラインを接続したことを特徴とする。
このように少なくとも最上流側の抽気ラインに酸素を注入することにより、給水加熱装置の蒸気系全体に酸素を供給することができ、給水加熱装置内の腐食を効率よく抑えることができる。
また、本発明にかかるボイラプラントは、前記給水加熱装置の抽気ドレンを回収する抽気ドレンラインに、前記抽気ドレンの溶存酸素の量を測定する計測器を設け、該計測器で計測された溶存酸素量により前記抽気ラインへの前記酸素の注入量を調節することを特徴とする。
このように、給水加熱装置の抽気ドレンラインに、抽気ドレンの溶存酸素の量を測定する計測器を設けることにより、この計測器で計測された溶存酸素量に基づいて、酸素を必要な量だけ供給することができる。このため、例えば酸素の供給が不十分で、ヘマタイト保護皮膜の形成が不十分となること、あるいは酸素が余分に供給されて余った酸素が悪影響を及ぼすようなことが防止できる。
なお、溶存酸素の量を測定する計測器としては、溶存酸素計または腐食電位計および温度計を好適に用いることができる。
また、本発明にかかるボイラプラントは、給水加熱装置に蒸気を供給する抽気ラインにアルカリ性揮発物を注入するアルカリ性揮発物注入ラインを接続したことを特徴とする。
本発明によれば、アルカリ性揮発物注入ラインによって、給水加熱装置に導入される抽気にアルカリ性揮発物が注入されるので、給水加熱装置からのドレン系統をAVT(All Volatile Treatment)条件に調整することで、マグネタイト保護皮膜を形成し、ボイラ持ち込み鉄量の上昇を抑え、蒸発管内面でのスケール成長を抑制することができる。従って、蒸気系への脱酸素剤の注入するボイラプラントであっても、スケール成長抑制、ボイラ化学洗浄間隔の延長といったCWTのメリットが阻害されることがない。
また、本発明にかかるボイラプラントは、前記給水加熱装置に蒸気を供給する複数の抽気ラインのうち、少なくとも前記給水加熱装置を流れる蒸気の最上流側で該給水加熱装置と接続する抽気ラインにアルカリ性揮発物を注入するアルカリ性揮発物注入ラインを接続したことを特徴とする。
このように少なくとも最上流側の抽気ラインにアルカリ性揮発物を注入することにより、給水加熱装置の蒸気系全体にアルカリ性揮発物を供給することができ、給水加熱装置内の腐食を効率よく抑えることができる。
また、本発明にかかるボイラプラントは、前記給水加熱装置の抽気ドレンを回収する抽気ドレンラインに、前記抽気ドレンのpHを測定する計測器を設け、該計測器で計測されたpHにより前記抽気ラインへの前記アルカリ性揮発物の注入量を調節することを特徴とする。
このように、給水加熱装置の抽気ドレンラインに、抽気ドレンのpHを測定する計測器を設けることにより、この計測器で計測されたpHに基づいて、アルカリ性揮発物を必要な量だけ供給することができる。このため、例えばアルカリ性揮発物の供給が不十分で、マグネタイト保護皮膜の形成が不十分となること、あるいはアルカリ性揮発物が余分に供給されて余ったアルカリ性揮発物が悪影響を及ぼすようなことが防止できる。
なお、pHを測定する計測器としては、pH計または電気伝導率計を好適に用いることができる。
本発明にかかるボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラントによれば、ボイラからの蒸気に脱酸素剤を十分に混合させることができるので、蒸気中の溶存酸素量を効率的かつ効果的に低減できる。このため、過熱器等の蒸気系において酸素による応力腐食割れを防止できるとともに剥離し易いヘマタイトスケールの生成を低減することができるので、剥離したヘマタイトスケールが過熱器や再熱器等の細管に溜まり、さらに堆積して管を閉塞し、これら閉塞された細管が過熱されて、ついには噴破事故につながることを防止できる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態にかかる火力発電用のボイラプラント1について、図1および図2を用いて説明する。
図1は、ボイラプラント1の全体概略構成を示すブロック図である。
ボイラプラント1には、蒸気系3と給水系5とが備えられている。
蒸気系3には、火炉水壁管7で生成された飽和蒸気を蒸気と水とに分離する汽水分離器9と、飽和蒸気を過熱して過熱蒸気とする過熱器11と、過熱蒸気の熱エネルギーを回転動力に変換する高圧タービン13と、高圧タービン13の排気を再び過熱する再熱器15と、再熱器15からの過熱蒸気の熱エネルギーを回転動力に変換する中圧タービン17と、中圧タービン17の排気の熱エネルギーを回転動力に変換する低圧タービン19とが備えられている。
これら汽水分離器9、過熱器11、高圧タービン13、再熱器15、中圧タービン17および低圧タービン19は蒸気配管10により接続されている。
給水系5には、低圧タービン19の排気を冷却して復水する復水器21と、復水器21の復水を抽出する復水ポンプ23と、復水中のイオンを除去する復水脱塩装置25と、グランド蒸気復水器27と、復水を必要な圧力まで昇圧する復水昇圧ポンプ29と、低圧タービン19からの抽気で給水を加熱する低圧給水加熱装置31と、中圧タービン17から抽気された蒸気によって給水を直接加熱し、給水中の溶存ガスを物理的に分離除去する脱気器33と、給水の圧力を上げ下流側に押し込む給水ポンプ35と、蒸気系3からの抽気により給水を加熱する高圧給水加熱装置37と、燃焼排気ガスにより給水を加熱する節炭器39とが備えられている。
これら復水器21、復水ポンプ23、復水脱塩装置25、グランド蒸気復水器27、復水昇圧ポンプ29、低圧給水加熱装置31、脱気器33、給水ポンプ35、高圧給水加熱装置37および節炭器39は給水配管20により接続されている。
復水器21には、メイクアップ水タンク41からメイクアップ水ポンプ43により給水されるように構成されている。
低圧給水加熱装置31は、4個の熱交換器が直列に接続されて構成されている。各熱交換器には、それぞれ低圧タービン19で抽気された蒸気が供給されており、この蒸気の熱量により給水配管20で送られる給水を加熱するものである。そして、低圧給水加熱装置31に供給された蒸気のドレンは、低圧給水加熱装置31の途中で給水配管20に供給され、給水の一部を構成する。
脱気器33は、中圧タービン17の車室から抽気された蒸気が貯留された水に直接供給されて貯留された水を加温するものである。このように、水を加温することにより、水に含まれる溶存ガスを分離除去するものである。
高圧給水加熱装置37は、それぞれ3個の熱交換器が直列に接続されたものが、2組並列に配列されて構成されている。直列に接続された熱交換器には、上流側からそれぞれ、中圧タービン17の車室から抽気された蒸気、再熱器15から抽気された蒸気および高圧タービン13の車室から抽気された蒸気が熱源として供給されている。これらの蒸気は、給水配管20で送られる給水を加熱し、熱量を失いドレンとなる。このドレンは脱気器33に供給され給水の一部を構成する。
給水配管20には、グランド蒸気復水器27の下流側に位置する位置Aおよび脱気器33と給水ポンプ35との間の位置Bにおいて、ヘマタイトスケールによる保護膜を形成するために酸素が注入されるように構成されている。
給水配管20には、節炭器39出口部に位置する位置Dにて分岐されたスプレイライン(給水ライン)49が設けられている。スプレイライン49の他端は、過熱器11の上流側に位置する位置Fにて蒸気配管10に接続されている。このスプレイライン49の他端には、スプレイ71(図3参照)が設けられており、節炭器39を通過した水を過熱蒸気に霧吹き状態で噴射するように構成されている。スプレイ71からの給水量を調整することにより、過熱器11へ供給される過熱蒸気の温度が調整されるものである。
汽水分離器9で分離された水はドレンタンク45に送られる。ドレンタンク45において、残留した蒸気は上部から蒸気配管10側へ供給され、水は下部から循環ポンプ47により給水配管20の位置Cに供給される。
汽水分離器9への流入部である蒸気配管10の位置Eには、蒸気配管10に脱酸素剤を注入する第一脱酸素剤注入ライン(脱酸素剤注入ライン)51が接続されている。
また、再熱器15の上流側である蒸気配管10の位置Hには、蒸気配管10に脱酸素剤を注入する第二脱酸素剤注入ライン(第二の脱酸素剤注入ライン)53が接続されている。
過熱器11の下流側である蒸気配管10の位置Gには、位置Gでの過熱蒸気の酸化還元電位を計測する第一酸化還元電位計55が設けられている。
また、再熱器15の下流側である蒸気配管10の位置Iには、位置Iでの過熱蒸気の酸化還元電位を計測する第二酸化還元電位計57が設けられている。
なお、本実施形態では、過熱蒸気中の溶存酸素量の計測に酸化還元電位計を採用しているが、これは溶存酸素計であってもよい。
第一脱酸素剤注入ライン51について、図2により説明する。
汽水分離器9は、中空の略円柱形状をしている。上端部に過熱器11へ接続される蒸気配管10が接続されている。下端部には、ドレンタンク45へ接続される配管が設けられている。火炉水壁管7からの蒸気配管10は二つに分岐され、それぞれ汽水分離器9の上部外周に、その流入部12が円形横断面の接線方向に沿うように取り付けられている。
第一脱酸素剤注入ライン51には、脱酸素剤を貯蔵するタンク61と、タンク61から脱酸素剤を供給するポンプ63と、脱酸素剤の供給量を調節する流量調節弁65と、が設けられている。
流量調節弁65は、第一酸化還元電位計55の測定結果に基づいて図示しない制御装置により駆動されるように構成されている。
なお、第二脱酸素剤注入ライン53は、第一脱酸素剤注入ライン51と同様な構成となっており、第二酸化還元電位計57の測定結果に基づいて脱酸素剤の注入量が調節されるように構成されている。
以上、説明した本実施形態にかかるボイラプラント1の動作について説明する。
復水器21からの復水は、復水脱塩装置25により陽イオンおよび陰イオンが除去された後、復水昇圧ポンプ29により昇圧されて給水される。そして、この復水は低圧給水加熱装置31において低圧タービン19の抽気により加熱されて脱気器33に供給される。
この時、位置Aにおいて、適量の酸素が添加されるので、位置Aの下流側では、この酸素によりヘマタイトスケールが形成され、給水配管20を腐食から保護することができる。
脱気器33では、復水は中圧タービン17の車室からの抽気で加熱され、溶存ガスが除去される。そのため、脱気器33の出口部である位置Bにおいて、水に適量の酸素が添加されるので、給水中には適量の酸素が溶存することになる。
そして、水は給水ポンプ35により圧力を上げて高圧給水加熱装置37に供給される。給水は、高圧給水加熱装置37にて蒸気系3で抽気された蒸気により加熱され、次いで節炭器39でさらに過熱されて火炉水壁管7へ給水される。
位置Bにて添加された適当量の酸素により、位置Bの下流側ではヘマタイトスケールが形成され、給水配管20を腐食から保護することができる。
火炉水壁管7で生成された飽和蒸気は、蒸気配管10により汽水分離器9に搬送される。汽水分離器9では、飽和蒸気が蒸気配管10の流入部12から円形横断面の接線方向に向かって流入する。この流入により汽水分離器9内部に旋回流が生じる。この旋回流により水等の比重が大きいものが中心に集まりその重量により下方に落下し、一方比重の軽い蒸気は外周面に集まり上端部に接続された蒸気配管10を通って過熱器11に送られる。
汽水分離器9からの蒸気は、過熱器11で過熱されて過熱蒸気とされる。この過熱蒸気は高圧タービン13に供給され、その熱エネルギーが回転動力に変換される。高圧タービン13の排気は、再熱器15で再び過熱され中圧タービン17および低圧タービン19へ供給される。中圧タービン17および低圧タービン19では、過熱蒸気の熱エネルギーは回転動力に変換される。
高圧タービン13、中圧タービン17および低圧タービン19において変換された回転動力は、発電機の回転動力や、その他補機関係の動力として利用される。
この時、汽水分離器9の流入部12へ、脱酸素剤が第一脱酸素剤供給ライン51から供給されているので、脱酸素剤例えばヒドラジンは蒸気とともに汽水分離器9に流入される。
供給される脱酸素剤の量は、第一酸化還元電位計55の計測値と目標値との偏差に応じて増減される。目標値としては、例えば25℃において−0.3〜−0.4V以下である。これは、溶存酸素量としては、7ppb以下に相当する大きさである。
蒸気とともに流入した所要量の脱酸素剤は、汽水分離器9内部に生じた旋回流に乗り蒸気と相互に衝突を繰り返しながら高速で移動するので、蒸気とよく混合される。
このように、脱酸素剤は蒸気とよく混合されるので、蒸気に含まれる溶存酸素と十分に反応することができる。このため、蒸気中の溶存酸素を効率的に、かつ効果的に低減することができる。
このように、過熱器11以降へ送られる蒸気の溶存酸素量は十分に低減できるので、過熱器11以降の蒸気系3構成機器における酸素による応力腐食割れ等の局所腐食を防止できる。これは、特に過大な応力がかかる高圧タービン13、中圧タービン17および低圧タービン19で著しい効果が得られる。
また、過熱器11以降へ送られる蒸気の溶存酸素量は相当少ないので、スケールのヘマタイト化を抑制することができる。
スケールのヘマタイト化が抑制されるので、スケールが剥離する量は低減できる。このため、剥離したスケールが過熱器や再熱器等の細管に溜まり、さらに堆積して管を閉塞することを防止できる。これにより、例えば、これら閉塞された細管が過熱されて、ついには噴破事故につながることを防止できる。また、剥離したスケールがタービンに損傷を与えることを防止できる。
また、第一脱酸素剤注入ライン51から供給する脱酸素剤の量は、過熱器11の出口である位置Gで計測された溶存酸素量が目標値になるように制御されているので、過熱器11での溶存酸素量をすばやく制御できる。このため、過熱器11の保護が遅れることなく十分に行うことができる。
そして、蒸気配管10の位置Hで、第二脱酸素剤注入ライン53が蒸気配管10内に脱酸素剤を供給しているので、再熱器15へ流入される過熱蒸気の溶存酸素量はより低減される。
この時、第二脱酸素剤注入ライン53から供給される脱酸素剤の量は、第二酸化還元電位計57の計測値と目標値との偏差に応じて増減される。この目標値は、第一脱酸素剤注入ライン51の目標値と同じでもよいし、より小さくしてもよい。
このように、再熱器15へ流入される過熱蒸気の溶存酸素量をより低減させると、再熱器15におけるスケールのヘマタイト化が抑制されることになるので、再熱器15でのスケール剥離による不具合を防止できる。
また、スケールのヘマタイト化は過熱器管や再熱器管が新品の場合に、稼動中のものに比べて発生し易いが、第二脱酸素剤注入ライン53を設けているので、例えば再熱器15を交換した場合でも再熱器15を十分保護することができる。
第一脱酸素剤注入ライン51および第二脱酸素剤注入ライン53における脱酸素剤の供給量は、それぞれ近接した下流側に設けられた第一酸化還元電位計55および第二酸化還元電位計57で計測された溶存酸素量により調節しているので、脱酸素剤を必要な量だけ供給することができる。このため、例えば脱酸素剤の供給が不十分で、スケールのヘマタイト化の抑制が不十分となること、あるいは脱酸素剤が余分に供給されて余った脱酸素剤が悪影響を及ぼすようなことが防止できる。
なお、本実施形態では、溶存酸素量の測定箇所としては、過熱器11および再熱器15の各出口としているが、これに限定されることはなく、例えば、酸素注入前の復水あるいは高圧給水加熱装置および低圧給水加熱装置のドレンの溶存酸素量を測定してもよい。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施形態は、ボイラプラント1は、第一脱酸素剤注入ライン51の取付位置が前述した第一実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第一実施形態のものと同じであるので、ここではそれらの構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
本実施形態における第一脱酸素剤注入ライン51は、スプレイライン49の蒸気配管10側(図1の位置J)に取り付けられている。
スプレイ71には、蒸気配管10内に固定して設けられた支持部材73と、支持部材73に設けられた一対のノズル75,75とが備えられている。一対のノズル75,75は過熱蒸気流れ方向77下流側に向けて水を噴霧状態で噴射するように構成されている。
第一脱酸素剤注入ライン51の端部は、スプレイライン49の管壁を貫通してその内部と連通するように取り付けられている。
以上説明した本実施形態にかかるボイラプラント1の動作について説明する。
なお、本実施形態は、第一脱酸素剤注入ライン51から供給された脱酸素剤の挙動が第一実施形態と異なるので、その点について説明する。その他の作用効果は前述の第一実施形態と同様である。
スプレイライン49では、節炭器39からの水を、過熱器11に流入する過熱蒸気の温度を一定に保つため、必要に応じて必要な量だけスプレイ71に供給する。
スプレイ71では、スプレイライン49から供給された水が支持部材73を経由して一対のノズル75,75に供給される。ノズル75,75は、供給された水を過熱蒸気流れ方向77の下流側に向けて霧吹き状に噴射する。
第一脱酸素剤注入ライン51から供給された脱酸素剤は、スプレイライン49で供給される水とともにスプレイ71に供給され、ノズル75,75から水とともに蒸気配管10内へ霧吹き状に噴射される。ノズルが2個間隔を空けて設けられているので、霧吹きされた脱酸素剤は、蒸気配管10の横断面全体を覆うように供給される。
このように、脱酸素剤は霧吹き状に供給されるので、過熱蒸気と混合し易い。また、脱酸素剤は蒸気配管10の横断面全体を覆うように供給されるので、より混合し易くなる。
したがって、脱酸素剤は、過熱蒸気とよく混合されるので、蒸気に含まれる溶存酸素と十分に反応することができる。このため、蒸気中の溶存酸素を効率的に、かつ効果的に低減することができる。
このように、過熱器11以降へ送られる蒸気の溶存酸素量は十分に低減できるので、過熱器11以降の蒸気系3構成機器における酸素による応力腐食割れを防止できる。これは、特に過大な応力がかかる高圧タービン13、中圧タービン17および低圧タービン19で著しい効果が得られる。
また、過熱器11以降へ送られる蒸気の溶存酸素量は相当少ないので、スケールのヘマタイト化を抑制することができる。
スケールのヘマタイト化が抑制されるので、スケールが剥離する量は低減できる。このため、剥離したスケールが過熱器や再熱器等の細管に溜まり、さらに堆積して管を閉塞することを防止できる。これにより、例えば、これら閉塞された細管が過熱されて、ついには噴破事故につながることを防止できる。また、剥離したスケールがタービンに損傷を与えることを防止できる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、ボイラプラント1は、第一脱酸素剤注入ライン51の取付位置が前述した第一実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第一実施形態のものと同じであるので、ここではそれらの構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
本実施形態では、蒸気配管10における過熱器11の上流側位置(図1の位置K)に、分岐して合流する分岐管路79が設けられている。
分岐管路79の径は蒸気配管10の径に比べて約五分の一と細い管で構成されている。
本実施形態の第一脱酸素剤注入ライン51の端部は、この分岐管路79の途中に合流するように取り付けられている。
以上説明した本実施形態にかかるボイラプラント1の動作について説明する。
なお、本実施形態は、第一脱酸素剤注入ライン51から供給された脱酸素剤の挙動が第一実施形態と異なるので、その点について説明する。その他の作用効果は前述の第一実施形態と同様である。
過熱蒸気は、蒸気配管10とともに分岐管路79を通って過熱器11へ供給される。第一脱酸素剤注入ライン51から分岐管路79へ脱酸素剤が供給されると、分岐管路79の径が細いので、脱酸素剤は過熱蒸気とよく混合される。このように、脱酸素剤が予混合された過熱蒸気が分岐管路79から蒸気配管10に供給されると、蒸気配管10内では、蒸気同士の混合と同様な状況となるので、脱酸素剤は過熱蒸気全体とよく混合されることになる。
したがって、蒸気に含まれる溶存酸素と十分に反応することができる。このため、蒸気中の溶存酸素を効率的に、かつ効果的に低減することができる。
このように、過熱器11以降へ送られる蒸気の溶存酸素量は十分に低減できるので、過熱器11以降の蒸気系3構成機器における酸素による応力腐食割れを防止できる。これは、特に過大な応力がかかる高圧タービン13、中圧タービン17および低圧タービン19で著しい効果が得られる。
また、過熱器11以降へ送られる蒸気の溶存酸素量は相当少ないので、スケールのヘマタイト化を抑制することができる。
スケールのヘマタイト化が抑制されるので、スケールが剥離する量は低減できる。このため、剥離したスケールが過熱器や再熱器等の細管に溜まり、さらに堆積して管を閉塞することを防止できる。これにより、例えば、これら閉塞された細管が過熱されて、ついには噴破事故につながることを防止できる。また、剥離したスケールがタービンに損傷を与えることを防止できる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施形態は、ボイラプラント1は、第一脱酸素剤注入ライン51の取付位置が前述した第一実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第一実施形態のものと同じであるので、ここではそれらの構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
本実施形態における第一脱酸素剤注入ライン51は、蒸気配管10における過熱器11の直前位置(図1の位置M)に取り付けられている。
過熱器11には、多数の熱交換を行う過熱器管83と、これら過熱器管83がそれぞれ連通するように取り付けられた管寄せ81と、管寄せ81と蒸気配管10とを連通する接続部材85とが設けられている。管寄せ81は略円筒形状をし、蒸気配管10の長手方向に対して直交する方向に延設されている。
位置Mは、過熱器11を構成する接続部材85に近接しているので、過熱器11へ脱酸素剤を供給するのと略同様である。
以上説明した本実施形態にかかるボイラプラント1の動作について説明する。
なお、本実施形態は、第一脱酸素剤注入ライン51から供給された脱酸素剤の挙動が第一実施形態と異なるので、その点について説明する。その他の作用効果は前述の第一実施形態と同様である。
過熱蒸気は、蒸気配管10から過熱器11へ供給されると、接続部材85から管寄せ81に流入する時、急速に拡散する。そして、各過熱器管83に流入される。
第一脱酸素剤注入ライン51から蒸気配管10へ脱酸素剤が供給されると、接続部材85を通過する際、この急速に拡散する蒸気流に乗るため、その運動量により過熱蒸気とよく混合される。
したがって、過熱蒸気に含まれる溶存酸素と十分に反応することができる。このため、蒸気中の溶存酸素を効率的に、かつ効果的に低減することができる。
このように、過熱器11以降へ送られる蒸気の溶存酸素量は十分に低減できるので、過熱器11以降の蒸気系3構成機器における酸素による応力腐食割れを防止できる。これは、特に過大な応力がかかる高圧タービン13、中圧タービン17および低圧タービン19で著しい効果が得られる。
また、過熱器11以降へ送られる蒸気の溶存酸素量は相当少ないので、スケールのヘマタイト化を抑制することができる。
スケールのヘマタイト化が抑制されるので、スケールが剥離する量は低減できる。このため、剥離したスケールが過熱器や再熱器等の細管に溜まり、さらに堆積して管を閉塞することを防止できる。これにより、例えば、これら閉塞された細管が過熱されて、ついには噴破事故につながることを防止できる。また、剥離したスケールがタービンに損傷を与えることを防止できる。
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について、図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態のボイラプラント101の全体概略構成を示すブロック図である。
本実施形態のボイラプラント101は、低圧給水加熱装置131および高圧給水加熱装置137のそれぞれの蒸気系の上流側に、酸素を注入するための酸素注入ライン142〜146を設けた点で前述した第一ないし第四実施形態のボイラプラント1と異なる。その他の構成については前述した第一ないし第四実施形態のいずれかの構成を適用できるので、ここではそれらの構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第一ないし第四実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
低圧給水加熱装置131は、4個の熱交換器が直列に接続されて構成されており、それぞれの熱交換器を、給水上流側から(加熱蒸気下流側から)、第一ヒータ131a、第二ヒータ131b、第三ヒータ131c、第四ヒータ131dと呼称する。第三ヒータ131cおよび第四ヒータ131dには、低圧タービン19で抽気された蒸気がそれぞれ第六抽気ライン132および第五抽気ライン133を介して熱源として供給されており、この蒸気の熱量により給水配管20で送られる給水を加熱する。第四ヒータ131dの蒸気のドレンは第三ヒータ131cの蒸気系と接続し、第三ヒータ131cの熱源の一部として利用される。第三ヒータ131cの蒸気のドレンは、抽気ドレンライン134を介して、第三ヒータ131cと第四ヒータ131dとの間で給水配管20に供給され、給水の一部を構成する。
また、高圧給水加熱装置137は、それぞれ3個の熱交換器が直列に接続されたものが、2組並列に配列されて構成されており、直列に接続された熱交換器を、給水上流側から(加熱蒸気下流側から)、第六ヒータ137a、第七ヒータ137b、第八ヒータ137cと呼称する。第六ヒータ137aには中圧タービン17の車室から抽気された蒸気が第三抽気ライン138を介して熱源として供給され、第七ヒータ137bには再熱器15から抽気された蒸気が第二抽気ライン139を介して熱源として供給され、第八ヒータ137cには高圧タービン13の車室から抽気された蒸気が第一抽気ライン140を介して熱源として供給されている。第八ヒータ137cの蒸気のドレンは第七ヒータ137bの蒸気系と接続し、第七ヒータ137bの熱源の一部として利用される。第七ヒータ137bの蒸気のドレンは第六ヒータ137aの蒸気系と接続し、第六ヒータ137aの熱源の一部として利用される。第六ヒータ137aの蒸気のドレンは、抽気ドレンライン141を介して脱気器33に回収された後に給水配管20に供給され、給水の一部を構成する。
上記第一ないし第四実施形態で説明したようにボイラプラントの蒸気系に脱酸素剤が注入されると、蒸気中の溶存酸素が除去され、低圧タービン19、中圧タービン17、再熱器15、高圧タービン13から第三ヒータ131c、第四ヒータ131d、第六ヒータ137a、第七ヒータ137b、第八ヒータ137cに供給される抽気中の溶存酸素も除去される。一方、CWT適用時は給水pHが最大でも9.3程度(通常は9.0程度)であり、低圧給水加熱装置131および高圧給水加熱装置137のそれぞれの抽気ドレン水質はpH低、酸素なしという状況となり、低圧給水加熱装置131および高圧給水加熱装置137のそれぞれの蒸気系での腐食が促進される恐れがある。この場合、各給水加熱装置から導出される抽気ドレン中の鉄濃度が上昇する。この抽気ドレンはそれぞれ給水配管20や脱気器33に回収されるため、結果的にボイラ給水中の鉄濃度(ボイラ持ち込み鉄量)も上昇し、これによって蒸発管内面でのスケール成長速度が加速する。このスケール成長速度の加速により、スケール成長抑制、ボイラ化学洗浄間隔の延長といったCWTのメリットが阻害される恐れがある。
そこで、本実施形態では、低圧給水加熱装置131を流れる加熱蒸気の最上流側にある第四ヒータ131dに接続する、低圧タービン19の車室からの第五抽気ライン133の途中(位置N)、および高圧給水加熱装置137を流れる加熱蒸気の最上流側にある第八ヒータ137cに接続する、高圧タービン13の車室からの第一抽気ライン140の途中(位置P)に、それぞれ酸素を注入するための酸素注入ライン142,143が設けられている。
上記の位置に加えて、低圧タービン19と第三ヒータ131cとを接続する第六抽気ライン132の途中(位置Q)、中圧タービン17と第六ヒータ137aとを接続する第三抽気ライン138の途中(位置R)および再熱器15と第七ヒータ137bとを接続する第二抽気ライン139の途中(位置S)のうちの少なくとも一箇所に酸素を注入するための別の酸素注入ライン144,145,146のいずれかを設けてもよい。
低圧給水加熱装置131に接続する抽気ライン132,133への酸素の注入は、例えば酸素ガスボンベから酸素ガスを注入することにより行うことができる。高圧給水加熱装置137に接続する抽気ライン138,139,140への酸素の注入は、高圧のため酸素ガスを注入することが困難なので、高圧下で高濃度に酸素を溶存させた水を注入する方法が好ましい。
低圧給水加熱装置131の蒸気系の下流側である抽気ドレンライン134の位置Tには、冷却器、減圧器および流量計を備えたサンプリング装置(図示略)が設置され、このサンプリング装置に位置Tでの抽気ドレン中の溶存酸素を計測する溶存酸素計151が設けられている。
また、高圧給水加熱装置137の蒸気系の下流側である抽気ドレンライン141の位置Uには、冷却器、減圧器および流量計を備えたサンプリング装置(図示略)が設置され、このサンプリング装置に位置Uでの抽気ドレン中の溶存酸素を計測する溶存酸素計152が設けられている。
なお、本実施形態では、抽気ドレン中の溶存酸素量の計測に、サンプリング装置に設置した溶存酸素計151,152を採用しているが、これらは抽気ドレンラインの高温高圧部に設置した腐食電位計測装置と温度計とを組み合わせたものであってもよい。
以上説明した本実施形態にかかるボイラプラント101の動作について説明する。
前記第一ないし第四実施形態に従って脱酸素剤が注入され、溶存酸素が7ppb以下にコントロールされた蒸気系3内の蒸気の一部は、高圧タービン13の車室、再熱器15、中圧タービン17の車室および低圧タービン19の車室からそれぞれ抽気される。高圧タービン13の車室からの抽気は第一抽気ライン140を介して第八ヒータ137cに熱源として供給される。再熱器15からの抽気は第二抽気ライン139を介して第七ヒータ137bに熱源として供給される。中圧タービン17の車室からの抽気は第三抽気ライン138を介して第八ヒータ137aに熱源として供給される。低圧タービン13の車室からの抽気は第五抽気ライン133および第六抽気ライン132をそれぞれ介して第四ヒータ131dおよび第三ヒータ131cにそれぞれ熱源として供給される。
この時、第一抽気ライン140の途中の位置Pで、酸素注入ライン143から第一抽気ライン140に適量の酸素が注入される。位置Pにて添加された適当量の酸素により蒸気中に適量の酸素が溶存することになり、位置Pの下流側にある高圧給水加熱装置137の蒸気系はCWT条件に調整され、ヘマタイト保護皮膜が形成されることにより腐食が抑制される。その結果、高圧給水加熱装置137から抽気ドレンライン141に導出される抽気ドレン中の鉄濃度を低く抑えることができる。
また、第五抽気ライン133の途中の位置Nで、酸素注入ライン142から第五抽気ライン133に適量の酸素が注入される。位置Nにて添加された適当量の酸素により蒸気中に適量の酸素が溶存することになり、位置Nの下流側にある低圧給水加熱装置131の蒸気系はCWT条件に調整され、ヘマタイト保護皮膜が形成されることにより腐食が抑制される。その結果、低圧給水加熱装置131から抽気ドレンライン134に導出される抽気ドレン中の鉄濃度を低く抑えることができる。
高圧給水加熱装置137の抽気ドレンは、脱気器33で回収され、給水系5に合流し、低圧給水加熱装置131の抽気ドレンは、第三ヒータ131cと第四ヒータ131dとの間の給水配管20で回収され、給水系5に合流するが、前述のとおりいずれの抽気ドレンも鉄濃度が低く抑えられているので、ボイラ持ち込み鉄量の上昇を抑え、蒸発管内面でのスケール成長を抑制することができる。従って、第一ないし第四実施形態に記載したように蒸気系3へ脱酸素剤の注入を行っても、スケール成長抑制、ボイラ化学洗浄間隔の延長といったCWTのメリットが阻害されることがない。
なお、上記の例では、高圧給水加熱装置137の蒸気系においては、その最上流に接続する第一抽気ライン140にのみ酸素を注入しているが、これに加えて、第二抽気ライン139の位置Sに接続された酸素注入ライン146および/または第三抽気ライン138の位置Rに接続された酸素注入ライン145によって酸素を注入してもよい。この場合、高圧給水加熱装置137の蒸気系全体で溶存酸素濃度が均一になるように、より細かく酸素の注入を制御することができる。
同様に、上記の例では、低圧給水加熱装置131の蒸気系においては、その最上流に接続する第五抽気ライン133にのみ酸素を注入しているが、これに加えて、第六抽気ライン132の位置Sに接続された酸素注入ライン146によって酸素を注入してもよい。この場合、低圧給水加熱装置131の蒸気系全体で溶存酸素濃度が均一になるように、より細かく酸素の注入を制御することができる。
高圧給水加熱装置137の蒸気系に供給される酸素の量は、抽気ドレンライン141の位置Uに設けられた溶存酸素計152の計測値と目標値との偏差に応じて増減される。目標値としては、例えば50ppbとすることができるが、20〜200ppbの範囲内で許容される。
低圧給水加熱装置131の蒸気系に供給される酸素の量は、抽気ドレンライン134の位置Tに設けられた溶存酸素計151の計測値と目標値との偏差に応じて増減される。目標値は、上記した高圧給水加熱装置137の抽気ドレンの場合と同様である。
溶存酸素計151,152に代えて、腐食電位計測装置および温度計を用いて抽気ドレンライン134,141の位置Tおよび位置Uにおける抽気ドレン中の溶存酸素を測定する場合は、腐食電位の指示値がヘマタイト安定期(例えば、−300mV以上 vs SHE at 100℃)となるように酸素を注入制御すればよい。図7は、目標とする腐食電位を求める際に用いられる、鉄−水系のプールベ線図(電位−pH線図)の一例を示したものである。
[第六実施形態]
次に、本発明の第六実施形態について、図6を用いて説明する。
本実施形態のボイラプラント101は、第五実施形態で注入した酸素に代えて、アルカリ性揮発物を注入する点と、第五実施形態で抽気ドレンライン134,141に設置された溶存酸素計151,152または腐食電位計および温度計に代えて、冷却器、減圧器および流量計を備えたサンプリング装置(図示略)に設置したpH計を用いる点で第五実施形態のボイラプラント101と異なっている。その他の構成要素については前述した第五実施形態のものと同じであるので、ここではそれらの構成要素についての説明は省略する。
以下、本実施形態にかかるボイラプラント101の動作について説明する。
第一抽気ライン140の途中の位置Pおよび第五抽気ラインの途中の位置Nで、第五実施形態の酸素に代えて適量のアルカリ性揮発物が注入される。アルカリ性揮発物としては、アンモニア水が好適に用いられる。アンモニア水に代えて、ヒドラジンを用いてもよい。添加された適当量のアルカリ性揮発物により、蒸気のpHが上げられる。これにより、位置Pの下流側にある高圧給水加熱装置137の蒸気系および位置Nの下流側にある低圧加熱装置131の蒸気系はAVT条件に調整され、マグネタイト保護皮膜が形成されることにより腐食が抑制される。その結果、前記第五実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、前記蒸気のpHが9.3以上となるようにアルカリ性揮発物を注入すると、エロージョン・コロージョンの発生が抑制されるため、これも腐食抑制効果となる。
なお、第五実施形態の酸素注入の場合と同様に、アルカリ性揮発物の注入は、第一抽気ライン140の位置Pに加えて、第二抽気ライン139の位置Sおよび/または第三抽気ライン138の位置Rでおこなってもよい。この場合、高圧給水加熱装置137の蒸気系全体のpHが均一になるように、より細かくアルカリ性揮発物の注入を制御することができる。
同様に、アルカリ性揮発物の注入は、第五抽気ライン133の位置Nに加えて、第六抽気ラインの位置Qで行ってもよい。この場合は、低圧給水加熱装置131の蒸気系全体のpHが均一になるように、より細かくアルカリ性揮発物の注入を制御することができる。
高圧給水加熱装置137の蒸気系に供給されるアルカリ性揮発物の量は、抽気ドレンライン141の位置Uに設けられたpH計の計測値と目標値との偏差に応じて増減される。低圧給水加熱装置131の蒸気系に供給されるアルカリ性揮発物の量は、抽気ドレンライン134の位置Tに設けられたpH計の計測値と目標値との偏差に応じて増減される。目標値としては、いずれも例えばpH9.4とすることができるが、pH9.3以上になるように調整すればよい。
また、前記pH計に代えて電気伝導率計を用いてもよい。この場合は、pH9.3以上に相当する電気伝導率5.5μS/cm以上となるように注入するアルカリ性揮発物の量を制御する。
なお、第五および第六実施形態の給水加熱装置131,137の各熱交換器とそれらの熱源となる抽気供給元との組み合わせは一例であり、本発明はこれに限定されない。
また、第五および第六実施形態では、蒸気系3に脱酸素剤を注入した場合について説明したが、蒸気系3に脱酸素剤を注入しない場合であっても、低圧タービンの車室内は負圧となるために溶存酸素が少なくなることがあるので、低圧給水加熱装置131の蒸気系に関しては第五または第六の実施形態の構成を好適に用いることができる。すなわち、蒸気系3に脱酸素剤を注入しない場合であっても、前記した溶存酸素の減少により低圧給水加熱装置131の蒸気系が腐食され、その抽気ドレンの鉄濃度が上昇し、結果としてボイラ持ち込み鉄量が上昇することにより蒸発管スケール成長速度が加速する恐れがあるが、第五抽気ラインの位置Nまたは第五抽気ラインの位置Nおよび第六抽気ライン位置Qに酸素またはアルカリ揮発物を注入することにより、上記の問題を防ぐことができる。
本発明の第一実施形態にかかるボイラプラントの全体構成を示すブロック図である。 本発明の第一実施形態の汽水分離器を示す部分断面図である。 本発明の第二実施形態のスプレイを示す部分断面図である。 本発明の第三実施形態の分岐管を示す正面図である。 本発明の第四実施形態の過熱器を示す部分正面図である。 本発明の第五および第六実施形態にかかるボイラプラントの全体構成を示すブロック図である。 本発明の第五実施形態で用いられる鉄−水系のプールベ線図の一例を示したものである。
符号の説明
1 ボイラプラント
9 汽水分離器
10 蒸気配管
11 過熱器
15 再熱器
39 節炭器
49 スプレイライン
51 第一脱酸素剤注入ライン
53 第二脱酸素剤注入ライン
55 第一酸化還元電位計
57 第二酸化還元電位計
71 スプレイ
79 分岐管路
81 管寄せ
101 ボイラプラント
131 低圧給水加熱装置
137 高圧給水加熱装置
142,143,144,145,146 酸素注入ライン
151,152 溶存酸素計

Claims (24)

  1. 復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントの蒸気処理方法において、
    前記脱酸素剤を、過熱器の上流側に設けられた汽水分離器への流入部に注入することを特徴とするボイラプラントの蒸気処理方法。
  2. 復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントの蒸気処理方法において、
    前記脱酸素剤を、節炭器の出口もしくはその上流側から過熱器の上流側に噴射給水するスプレイの給水ラインに注入することを特徴とするボイラプラントの蒸気処理方法。
  3. 復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントの蒸気処理方法において、
    過熱器の上流側の蒸気配管に細管で形成される分岐管路を形成し、
    前記脱酸素剤を、前記分岐管路に注入することを特徴とするボイラプラントの蒸気処理方法。
  4. 復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントの蒸気処理方法において、
    前記脱酸素剤を、過熱器の管寄せの上流側に注入することを特徴とするボイラプラントの蒸気処理方法。
  5. 前記脱酸素剤を、再熱器の上流側の蒸気配管に注入することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のボイラプラントの蒸気処理方法。
  6. 前記過熱器の下流側で、前記溶存酸素の量を測定して前記脱酸素剤の供給量を調節することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のボイラプラントの蒸気処理方法。
  7. 給水加熱装置に蒸気を供給する抽気ラインに酸素を注入することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のボイラプラントの蒸気処理方法。
  8. 前記給水加熱装置に蒸気を供給する複数の抽気ラインのうち、少なくとも前記給水加熱装置を流れる蒸気の最上流側で該給水加熱装置と接続する抽気ラインに酸素を注入することを特徴とする請求項7に記載のボイラプラントの蒸気処理方法。
  9. 前記給水加熱装置の抽気ドレン中の溶存酸素の量を測定して、前記抽気ラインへの前記酸素の注入量を調節することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のボイラプラントの蒸気処理方法。
  10. 給水加熱装置に蒸気を供給する抽気ラインにアルカリ性揮発物を注入することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のボイラプラントの蒸気処理方法。
  11. 前記給水加熱装置に蒸気を供給する複数の抽気ラインのうち、少なくとも前記給水加熱装置を流れる蒸気の最上流側で該給水加熱装置と接続する抽気ラインにアルカリ性揮発物を注入することを特徴とする請求項10に記載のボイラプラントの蒸気処理方法。
  12. 前記給水加熱装置の抽気ドレンのpHを測定して、前記抽気ラインへの前記アルカリ性揮発物の注入量を調節することを特徴とする請求項9または請求項11に記載のボイラプラントの蒸気処理方法。
  13. 復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントにおいて、
    過熱器の上流側に設けられた汽水分離器の流入部に脱酸素剤を注入する脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とするボイラプラント。
  14. 復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントにおいて、
    節炭器の出口もしくはその上流側から過熱器の上流側に噴射給水するスプレイの給水ラインに、脱酸素剤を注入する脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とするボイラプラント。
  15. 復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントにおいて、
    過熱器の上流側の蒸気配管に細管で形成される分岐管路を形成し、
    該分岐管路に脱酸素剤を注入する脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とするボイラプラント。
  16. 復水および/または給水に酸素を注入して給水されるボイラの出口流体に脱酸素剤を注入して蒸気中の溶存酸素を低減するボイラプラントにおいて、
    過熱器の管寄せの上流側に脱酸素剤を注入する脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とするボイラプラント。
  17. 再熱器の上流側の蒸気配管に脱酸素剤を注入する第二の脱酸素剤注入ラインを接続したことを特徴とする請求項13から請求項16のいずれかに記載のボイラプラント。
  18. 前記過熱器の下流側に、前記溶存酸素の量を測定する計測器を設け、
    該計測器で計測された溶存酸素量により前記脱酸素剤の供給量を調節することを特徴とする請求項13から請求項17のいずれかに記載のボイラプラント。
  19. 給水加熱装置に蒸気を供給する抽気ラインに酸素を注入する酸素注入ラインを接続したことを特徴とする請求項13から請求項18のいずれかに記載のボイラプラント。
  20. 前記給水加熱装置に蒸気を供給する複数の抽気ラインのうち、少なくとも前記給水加熱装置を流れる蒸気の最上流側で該給水加熱装置と接続する抽気ラインに酸素を注入する酸素注入ラインを接続したことを特徴とする請求項19に記載のボイラプラント。
  21. 前記給水加熱装置の抽気ドレンを回収する抽気ドレンラインに、前記抽気ドレンの溶存酸素の量を測定する計測器を設け、
    該計測器で計測された溶存酸素量により前記抽気ラインへの前記酸素の注入量を調節することを特徴とする請求項19または請求項20に記載のボイラプラント。
  22. 給水加熱装置に蒸気を供給する抽気ラインにアルカリ性揮発物を注入するアルカリ性揮発物注入ラインを接続したことを特徴とする請求項13から請求項18のいずれかに記載のボイラプラント。
  23. 前記給水加熱装置に蒸気を供給する複数の抽気ラインのうち、少なくとも前記給水加熱装置を流れる蒸気の最上流側で該給水加熱装置と接続する抽気ラインにアルカリ性揮発物を注入するアルカリ性揮発物注入ラインを接続したことを特徴とする請求項22に記載のボイラプラント。
  24. 前記給水加熱装置の抽気ドレンを回収する抽気ドレンラインに、前記抽気ドレンのpHを測定する計測器を設け、
    該計測器で計測されたpHにより前記抽気ラインへの前記アルカリ性揮発物の注入量を調節することを特徴とする請求項21または請求項23に記載のボイラプラント。
JP2004262088A 2004-06-14 2004-09-09 ボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラント Withdrawn JP2006029759A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004262088A JP2006029759A (ja) 2004-06-14 2004-09-09 ボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラント

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004175583 2004-06-14
JP2004262088A JP2006029759A (ja) 2004-06-14 2004-09-09 ボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラント

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006029759A true JP2006029759A (ja) 2006-02-02

Family

ID=35896334

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004262088A Withdrawn JP2006029759A (ja) 2004-06-14 2004-09-09 ボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006029759A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009162463A (ja) * 2008-01-10 2009-07-23 Kurita Water Ind Ltd 脱酸素剤注入量の制御方法
JP2011196679A (ja) * 2010-03-17 2011-10-06 Babcock & Wilcox Power Generation Group Inc 高温蒸気発生器用のハイブリッド水処理
KR20160126222A (ko) * 2015-04-23 2016-11-02 주식회사 그랑쏠레이 스팀 보일러
CN109539234A (zh) * 2018-12-29 2019-03-29 西安热工研究院有限公司 一种锅炉蒸汽还原处理系统及方法
CN110759528A (zh) * 2019-10-31 2020-02-07 四川玉竹麻业有限公司 一种脱胶废水热能回收装置
CN113023806A (zh) * 2021-03-09 2021-06-25 天津国投津能发电有限公司 一种热法海水淡化氧腐蚀检测装置及其检测方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009162463A (ja) * 2008-01-10 2009-07-23 Kurita Water Ind Ltd 脱酸素剤注入量の制御方法
JP2011196679A (ja) * 2010-03-17 2011-10-06 Babcock & Wilcox Power Generation Group Inc 高温蒸気発生器用のハイブリッド水処理
EP2372113A3 (en) * 2010-03-17 2017-04-12 The Babcock & Wilcox Company Hybrid water treatment for high temperature steam generators
KR20160126222A (ko) * 2015-04-23 2016-11-02 주식회사 그랑쏠레이 스팀 보일러
KR101720624B1 (ko) * 2015-04-23 2017-03-28 주식회사 그랑쏠레이 스팀 보일러
CN109539234A (zh) * 2018-12-29 2019-03-29 西安热工研究院有限公司 一种锅炉蒸汽还原处理系统及方法
CN110759528A (zh) * 2019-10-31 2020-02-07 四川玉竹麻业有限公司 一种脱胶废水热能回收装置
CN113023806A (zh) * 2021-03-09 2021-06-25 天津国投津能发电有限公司 一种热法海水淡化氧腐蚀检测装置及其检测方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5651580B2 (ja) 発電プラントの水質管理方法及びシステム
JP4918517B2 (ja) タービン設備の水質監視方法
US10760453B2 (en) Feedwater system of combined cycle power plant
LT6286B (lt) Jėgainė
JP2006029759A (ja) ボイラプラントの蒸気処理方法およびボイラプラント
WO2009138216A3 (de) Chemische wasser-dampf-kreislauf-konditionierung
JP4814077B2 (ja) タービン設備、排熱回収ボイラ装置及びタービン設備の運転方法
JP2007064501A (ja) ボイラプラントの蒸気処理方法、ボイラプラントおよびボイラプラントの蒸気処理装置
US4282715A (en) Method and apparatus for preventing corrosion in a steam power plant
JP2012117703A (ja) 排熱回収ボイラとその停缶中の腐食防止方法
JP4745990B2 (ja) タービン設備及びタービン設備の酸素処理の初期切替え方法
JPH11337009A (ja) フラッシュ式脱気装置
JPH11236689A (ja) 発電プラントの水処理装置および水処理方法
JP2004278861A (ja) 主蒸気管又は再熱蒸気管の化学洗浄方法
JP4442764B2 (ja) ドラムボイラおよびドラムボイラを備えた排熱回収ボイラ
JP2004198006A (ja) 鉄イオン晶析抑制システム、および、過熱蒸気プラント
JP2007292414A (ja) コンバインドサイクル発電設備およびコンバインドサイクル発電設備の水質管理方法
JP2011094849A (ja) 火力発電プラント及びその運転方法
JP4114731B2 (ja) ボイラ設備とその給水処理方法
JP2002098306A (ja) ボイラ設備とその運用方法
JP5330730B2 (ja) プラント用配管設備
Tomarov et al. Extending the erosion-corrosion service life of the tube system of heat-recovery boilers used as part of combined-cycle plants
JP2004020497A (ja) 原子力発電所における非凝縮性ガスの蓄積・滞留防止装置
JPH03121202A (ja) 蒸気タービン羽根の腐食防止装置
JP4909112B2 (ja) タービン設備

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20071204