JPH0754214A - 芯鞘型複合短繊維及びその製造方法 - Google Patents

芯鞘型複合短繊維及びその製造方法

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JPH0754214A
JPH0754214A JP20548893A JP20548893A JPH0754214A JP H0754214 A JPH0754214 A JP H0754214A JP 20548893 A JP20548893 A JP 20548893A JP 20548893 A JP20548893 A JP 20548893A JP H0754214 A JPH0754214 A JP H0754214A
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JP
Japan
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sheath
core
fiber
component
polymer
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JP20548893A
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English (en)
Inventor
Fumio Matsuoka
文夫 松岡
Koichi Nagaoka
孝一 長岡
Yasuhiro Yonezawa
安広 米沢
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 鞘部がエチレン系重合体とプロピレン系重
合体とのブレンド物からなり、芯部がプロピレン系重合
体からなり、かつ前記鞘部と芯部との複合比が、重量比
で、鞘部/芯部=3/1〜1/3である芯鞘型複合短繊
維である。 【効果】 前記特定のブレンド構造体で鞘部を構成し
たため、エチレン系重合体のヌメリ感を解消すると共
に、細繊度かつ高強度で、しかも高配向の繊維となるた
め、熱接着不織布用として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、嵩高性及び柔軟性に優
れた熱接着不織布を得るに好適なオレフィン系の芯鞘型
複合短繊維とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、熱接着不織布用のオレフィン
系短繊維は、多くの提案があり、実用化されている。例
えば、特開昭60−194113号公報には、線状低密
度ポリエチレンと低密度ポリプロピレンとのブレンド繊
維が開示されている。この繊維は、熱接着不織布に適用
すると、単一相から構成される繊維であるため熱融着時
に全融してしまって、不織布形態を維持しにくいといっ
た問題がある。また、特公昭61−10583号公報、
特開昭58−191215号公報には、線状低密度ポリ
エチレンを鞘成分とし、かつポリプロピレンを芯成分と
した芯鞘型複合繊維が開示されている。この繊維は線状
低密度ポリエチレンを鞘成分に用いているため、ヌメリ
感が発生し、肌に触れるような不織布用途、例えば紙お
むつやナプキンなどの表面材には不向きであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題を
解決し、嵩高性及び柔軟性に優れ、特に熱接着不織布に
好適なポリオレフィン系の芯鞘型複合短繊維と、その繊
維を効率よく製造することができる方法とを提供しよう
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
を解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は、(1)鞘部がエチレン系重合体とプロ
ピレン系重合体とのブレンド物からなり、芯部がプロピ
レン系重合体からなり、かつ前記鞘部と芯部との複合比
が、重量比で、鞘部/芯部=3/1〜1/3であること
を特徴とする芯鞘型複合短繊維と、(2)メルトインデ
ックス値が10〜50g/10分のエチレン系重合体と
メルトフロ−レ−ト値が5〜45g/10分のプロピレ
ン系重合体とのブレンド物を鞘成分とするとともに、メ
ルトフロ−レ−ト値が5〜45g/10分のプロピレン
系共重合体を芯成分として、前記鞘成分と芯成分との複
合比を、重量比で、鞘成分/芯成分=3/1〜1/3と
して溶融複合して紡出し、得られた糸条を冷却して一旦
巻き取るか又は巻き取らずに得た未延伸複合繊維を、5
0℃以上かつ繊維相互が融着しない温度で熱延伸し、 次
いで得られた延伸複合繊維に、捲縮付与処理を施こすか
または捲縮付与処理を施さずに、仕上げ油剤を付与し、
その後乾燥し、所定長さに切断して短繊維とすることを
特徴とする芯鞘型複合短繊維の製造方法と、を要旨とす
るものである。
【0005】次に、本発明を詳細に説明する。まず、本
発明の芯鞘型複合短繊維に関して説明する。本発明に係
る鞘部の重合体は、エチレン系重合体とプロピレン系重
合体とのブレンド構造を有することが必要である。例え
ば低密度ポリエチレンの単一成分では、繊維あるいは不
織布とした場合にはヌメリ感が発生して、問題となる。
また高密度ポリエチレンの単一成分では、曳糸性が低下
して細繊度の繊維を得ることができにくくなる。これに
対し本発明のようにブレンド構造とすることにより、低
密度ポリエチレンを適用してもポリプロピレンの影響で
ヌメリ感の発生を防止することができ、また、高密度ポ
リエチレンを適用しても曳糸性を向上することができる
ため細繊度の繊維を得ることができるのである。エチレ
ン系重合体とプロピレン系重合体は互いに相溶性がない
が、エチレン系重合体にプロピレン系重合体をミクロに
ブレンド分散することで、鞘部のエチレン系重合体の曳
糸性を向上させ、しかも芯部のプロピレン系重合体とに
よる芯鞘層の剥離を解消することができる。
【0006】エチレン系重合体としては、線状低密度ポ
リエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、あるいはエチレンを主体とす
る共重合エチレン等が挙げられる。
【0007】プロピレン系重合体としては、ポリプロピ
レン、あるいはプロピレンを主体とする共重合プロピレ
ン等が挙げられる。前記ブレンド物のエチレン系重合体
(aとする)とプロピレン系重合体(bとする)との混
合比(重量比)すなわちブレンド比a/bは、99/1
〜75/25が好ましい。プロピレン系の重量割合が高
くなるとプロピレン系重合体の特質が強くなってしまう
ことと曳糸性が低下することのためよくない。一方プロ
ピレン系重合体が少なくなると曳糸性が向上せず細繊度
糸を得ることが困難になるばかりでなく、芯部との剥離
が生じたり、ポリエチレン独特のヌメリ感が現れて用途
が限定されるためよくない。したがって、この混合比は
95/5〜80/20がより好ましい。
【0008】本発明では、芯鞘型複合繊維の複合比(重
量比)は、鞘部/芯部=3/1〜1/3が必要である。
鞘部の重量比が大きくなると、熱接着成分が多くなって
繊維強度が低くなり、また熱接着不織布に展開した場合
に、風合いが硬くなったり嵩高性に欠けたりするので好
ましくない。また、芯部の重量比が大きくなると、繊維
強度は高くなるが、熱接着不織布に展開した場合に繊維
間の接着不足が生じ、不織布強力が低下する問題が発生
するので好ましくない。複合形態は、一般的な同心円型
芯鞘構造、偏心円型芯鞘構造あるいは異形断面型であっ
てもよい。
【0009】本発明に係る繊維の単糸繊度は、5デニ−
ル以下であれば、不織布とした時の嵩高性と柔軟性を向
上することができる。単糸繊度を小さくするほど、構成
不織布あたりの繊維本数が増加して、嵩高性と柔軟性を
向上することができるためである。したがって、好まし
くは3デニ−ル以下、より好ましくは1デニ−ル以下で
ある。下限としては、現状の紡糸口金精度から0.2デ
ニ−ル程度である。
【0010】また、本発明に係る繊維は、鞘部と芯部の
複屈折が共に0.030以上であり、繊維の最大熱収縮
応力が0.015g/デニール以下であることが好まし
い。繊維の複屈折は、繊維自体の結晶配向度合いを意味
し、値が大きいほど高配向であることを示す。鞘部およ
び芯部ともに、複屈折が0.030未満となると繊維の
配向が少なくなるため、繊維強度や繊維モデュラスが低
下して、嵩高でかつ強力の高い熱接着不織布が得られな
くなる。このことから複屈折が0.035以上であると
更に好ましい。なおここでいう複屈折は、カ−ルツァイ
スイエナ干渉顕微鏡を用い、封入剤として流動パラフィ
ンとα−ブロムナフタリンとの混合液を用いて処理を行
い、複合繊維の鞘部の重合体成分と芯部の重合体成分と
のそれぞれの複屈折を測定したものである。
【0011】次に繊維の最大熱収縮応力は、熱処理時の
収縮力の指標となるもので、値が大きいほど繊維の収縮
が高いことを意味する。特に熱接着不織布用の繊維は、
熱接着時に収縮力が高いと得られる不織布の地合い、厚
み、幅が変動するため問題となる。したがって、最大熱
収縮応力が小さいほど安定した品質の良い不織布が得ら
れることになる。このことから、より好ましくは0.0
10g/デニール以下とするのがよい。
【0012】次に本発明に係る芯鞘型複合繊維の製造方
法を説明する。本発明に係る溶融複合紡糸は、通常の複
合紡糸装置を用いて行うことができる。溶融複合紡糸に
際しては、芯鞘型の紡糸口金を用い、一般的には200
℃〜280℃の紡糸温度で複合紡糸を行えばよい。
【0013】鞘成分である前記ブレンド物の一成分のエ
チレン系重合体(a)としては、前記したごとく線状低
密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン、あるいはエチレンを主体
とする共重合エチレン等が挙げられる。このエチレン系
重合体(a)のメルトインデックス値は、10〜50g
/10分であることが必要である。10g/10分未満
であると、溶融粘度が高すぎるため曳糸性が低下する。
また、紡糸温度を上げて見掛けの溶融粘度を低下させる
手段においては、煙が多量に発生し、作業環境が悪くな
るので好ましくない。更にまた、プロピレン系重合体と
ブレンドする時にミクロ分散できなくなる問題が生じ
る。一方、メルトインデックス値が50g/10分を超
えると、溶融粘度が低過ぎることになり、繊維の強度低
下を生じたり、曳糸性が低下するため問題となる。
【0014】また、前記鞘成分のブレンド物としてのも
う一方の成分であるプロピレン系重合体(b)として
は、前記したごとくポリプロピレン、あるいはプロピレ
ンを主体とする共重合プロピレン等が挙げられる。この
プロピレン系重合体(b)のメルトフロ−レ−ト値は、
5〜45g/10分であることが必要である。この範囲
でないとエチレン系重合体との均一なミクロブレンド構
造体とならない。すなわち、メルトフロ−レ−ト値が5
g/10分未満であるとエチレン系重合体中への分散性
が低下する。また、45g/10分を超えるとプロピレ
ン系重合体中へのエチレン系重合体の分散性が低下す
る。これは要するに互いに相溶性のない重合体の組み合
わせであるからである。したがって、本発明においては
5〜45g/10分とするが、より好ましくは10〜4
0g/10分がよい。
【0015】前記鞘成分のブレンド物のエチレン系重合
体(a)とプロピレン系重合体(b)との混合比(重量
比)a/bは、前述の本発明の繊維の場合と同様に99
/1〜75/25が好ましく、95/5〜80/20が
より好ましい。
【0016】一方、芯成分としては、前記プロピレン系
重合体を適用すればよい。すなわち、適用する重合体と
しては、ポリプロピレン、あるいはプロピレンを主体と
する共重合プロピレン等が挙げられる。このプロピレン
系重合体のメルトフロ−レ−ト値は、5〜45g/10
分であることが必要である。
【0017】この範囲以外では、繊維の鞘部と芯部との
層間でバラス効果の違いによって曳糸性が低下するとい
った問題が生じる。すなわち、メルトフロ−レ−ト値
が、5g/10分未満であると、溶融粘度が極めて高く
なるため曳糸性が低下する。紡糸温度を高めて見掛け上
の溶融粘度を低下させても、鞘部の溶融粘度も大きく低
下するため同じことが言え、しかも発煙性が増加し、紡
糸室の環境を悪化させたりするので問題となる。また、
45g/10分を超えると、繊維のモデュラスが低下し
て腰のない繊維しか得られない。また熱接着不織布に適
用した場合には嵩高性が大きく低下する問題がある。し
たがって、本発明においては5〜45g/10分とする
のがよく、10〜40g/10分とするのがより好まし
い。
【0018】また、複合紡糸に際しては、前記鞘成分の
エチレン系重合体成分(a)の溶融後のQ値(重量平均
分子量/数平均分子量)を8以下とすることが好まし
い。このQ値とは、ゲルパーミエイションクロマトグラ
フ法により求められる重合体の重量平均分子量と数平均
分子量の比のことであり、個別に溶融計量された重合体
を複合紡糸する前に個別に採取し、冷却した重合体を試
料として測定した値である。熱可塑性重合体は溶融紡糸
時に受ける熱及び剪断力の影響で劣化しやすく、溶融紡
糸後のQ値は紡糸前のそれに比べ低下することが知られ
ている。Q値は分子量分布の幅を示すものであり、複合
繊維の製造適正と加工適正に大きく影響するものであ
る。すなわち、Q値が大きく分子量分布の幅が広いと、
安定した複合繊維を得ることができ、しかも熱接着不織
布用途に展開した場合には熱処理温度領域が広くなり、
品質の安定した不織布を得ることができる。しかしなが
ら、Q値が大きくなって分子量分布の幅が広くなりすぎ
ると、溶融紡糸時の糸条冷却が悪くなって曳糸性が低下
する。したがって、このQ値は8以下が好ましく、7.
0以下がより好ましい。
【0019】一方、前記鞘成分および芯成分のプロピレ
ン系重合体成分の溶融後のQ値(重量平均分子量/数平
均分子量)は、2以上かつ8以下とすることが好まし
い。このQ値は、前述したように、分子量分布の幅を示
すものであり、複合繊維の製造適正と加工適正に大きく
影響するものである。特に、このプロピレン系重合体成
分は、複合繊維の高融点成分であって繊維モジュラスを
代表するものであり、分子量分布の幅が特に重要であ
る。すなわち、Q値が2未満であると、分子量分布が狭
くなって複合繊維の収縮率が低下するため好ましい方向
であるが、複合繊維に捲縮を付与する場合の捲縮保持性
が低下して、ウェブ形成に最も一般的に用いられるカ−
ド工程を良好に通過させることが困難となる。また、カ
−ド工程通過後の不織ウェブあるいは不織布にエンボス
ロ−ラ−や熱風乾燥機等の熱処理装置を用いて熱処理を
施して繊維を熱接着させる場合の熱処理温度領域が狭く
なり、嵩高性を有し、かつ品位の高い不織布を安定して
得ることが出来ない。さらに、複合繊維のタフネスが低
下するため、嵩高性及び柔軟性に優れた不織布を得るこ
とができない。一方、Q値が8を超えると、重合体の分
子量分布の幅が広くなりすぎて、溶融紡糸時の糸条冷却
が悪くなって曳糸性が低下し、細繊度の複合繊維を得る
ことが困難となる。したがって、このQ値は、2以上8
以下とし、好ましくは3以上7以下とすることがよい。
【0020】本発明に係る芯鞘型複合繊維を製造する時
の鞘/芯複合比(重量比)は、本発明に係る繊維自体の
場合と同様に、3/1〜1/3が必要である。さらに、
溶融複合紡糸に際しては、鞘成分におけるエチレン系重
合体成分とプロピレン系重合体成分との吐出線速度を、
1.7〜5.8m/分/デニ−ルとすることが好まし
い。ここでいう吐出線速度とは、溶融重合体の単孔吐出
量Q(g/分)、同重合体の溶融密度ρ(g/cm3 )、
紡糸孔径d(mm)、及び目標単糸繊度D(デニ−ル)を
用いて次式(i)により算出されたものである。 なお、
上記溶融密度ρは、東洋精機株式会社製メルトインデク
サーを用い、芯成分重合体または鞘成分重合体を試料と
し、温度条件を適用する紡糸温度に設定して前記両試料
ごとに芯成分重合体の溶融密度と鞘成分重合体の溶融密
度とを次式(ii)によりそれぞれ求め、得られた各試
料ごとの溶融密度を加重平均して求められたものであ
る。
【0021】 吐出線速度(m/分/デニ−ル)=4 Q/(πρd2)/D ………(i) 溶融密度(g/cm3 )=FR×t/s×L ………(ii) FR:紡糸温度で溶融した重合体を試料とし、印加荷重
2160gの条件で測定したときのフローレート値(g/10
分) s :ピストンとシリンダーの平均断面積×600 (c
m2 ) L :ピストンの移動距離(cm) t :ピストンが距離Lを移動するに要する時間(秒) 通常、異種の重合体からなる複合繊維を溶融紡糸するに
際しては、組み合わせる重合体間のメルトフロ−レ−ト
差による可紡域の差と高粘度成分により限定される溶融
温度とにより曳糸性が大きく左右され、重合体の種類に
応じて適当な吐出線速度を選択する必要がある。したが
つて、本発明では、良好な曳糸性を得るために吐出線速
度を1.7〜5.8m/分/デニ−ルとすることが好ま
しく、細繊度の繊維を得る際には、吐出線速度がこの範
囲外では曳糸性が低下する傾向にある。すなわち、1.
7m/分/デニ−ル未満では糸切れが発生しやすい。ま
た、5.8m/分/デニ−ルを超えると、ノズル口金面
に汚れが発生することや、紡糸張力が低下して均一な冷
却がしにくくなることから、曳糸性が低下する。したが
って好ましくは2.0〜5.0m/分/デニ−ル、特に
好ましくは2.5〜4.0m/分/デニ−ルとするのが
よい。
【0022】なお、前記鞘と芯の両成分には、通常、繊
維に用いられる艶消し剤、耐光剤、耐熱剤あるいは顔料
等を、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、添加
することができる。
【0023】本発明では、次に、溶融複合紡糸して得ら
れた未延伸複合繊維を、50℃以上かつ繊維相互が融着
しない温度で熱延伸する。熱延伸は、通常の熱延伸装置
を用いて行なうことができる。通常、熱可塑性合成繊維
を延伸する場合、ガラス転移温度以上で加熱延伸をする
ことが知られているが、本発明ではガラス転移温度より
相当高い50℃以上の温度で熱延伸する。延伸温度が5
0℃未満であると、延伸張力が高くなりすぎて延伸性が
低下する。また、本発明では、延伸温度は、高くとも繊
維相互が融着し始める温度未満とする。延伸温度が高く
なりすぎて繊維相互が融着し始めると、延伸工程で糸切
れが発生して操業性が低下したり、製品の均一性が低下
することによって品位が低下したりするので好ましくな
い。したがって、この延伸温度は50℃以上かつ繊維相
互が融着しない温度とし、好ましくは60〜100℃と
するのがよい。
【0024】次いで、得られた延伸複合繊維に捲縮付与
処理を施す場合には、通常スタッファ型捲縮付与装置等
の捲縮付与装置を用いる。この捲縮付与処理に引き続
き、繊維に仕上油剤を付与し、乾燥した後、所定長さに
切断して短繊維とする。この場合の繊維長は通常32〜
76mmの範囲が適用される。また、得られた延伸複合
繊維に捲縮付与処理を施さない場合には、引き続き、繊
維に仕上油剤を付与し、乾燥した後、所定長さに切断し
て湿式不織布用の短繊維とする。この場合の繊維長は通
常3〜20mmの範囲が適用される。本発明の繊維を製
造するためには、複合短繊維の単繊維繊度を5デニ−ル
以下とするのが好ましい。単繊維繊度が5デニ−ルを超
えると、不織布としたときに柔軟性が低下したり、ある
いは溶融紡糸に際し、エチレン系、プロピレン系溶融重
合体の冷却が不充分となり、フィラメント間に融着が生
じて曳糸性が低下したりするため好ましくない。
【0025】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。なお、実施例における各種特性の測定及び評価
は、次の方法により実施した。
【0026】重合体の融点:パ−キンエルマ社製示差走
査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分で測
定した融解吸収曲線の極値を与える温度を融点とした。 メルトインデックス値:ASTM D1238 (E)に記
載の方法により測定した。
【0027】メルトフロ−レ−ト値:ASTM D1238
(L)に記載の方法により測定した。 繊維の引張強伸度:東洋ボ−ルドウイン社製テンシロン
UTM− 4−1−100を用い、試料長20mmの試料を引張
速度20mm/分で測定した。
【0028】繊維の熱収縮応力:カネボウ社製の乾熱収
縮応力測定機を用いて、単繊維30本を試料とし、試料
長25mmで両端を把持するように改良して、初荷重1
/30g/デニール、室温から300℃に達する時の昇
温速度が180℃/minの条件で測定した時の最大の
熱収縮応力値の平均値(g/デニール)をもって評価し
た。
【0029】発煙性:溶融紡糸時の紡糸口金部での発煙
度合いを視覚判定により次の4段階で評価した。◎:発
煙が全く観察されない。○:発煙がやや観察される。
△:発煙が相当観察されるが、操業上問題とならない。
×:発煙が極めて多く、発煙物が紡糸口金付近に堆積
し、操業上問題である。
【0030】曳糸性:溶融紡糸時の曳糸性を糸切れの発
生率により次の3段階で評価した。○:糸切れが全く発
生せず、操業性が良好である。△:糸切れが24時間・紡
糸錘数16当たり1回発生。×:糸切れが24時間・紡糸錘
数16当たり2回以上発生し、操業上問題である。
【0031】延伸性:延伸性を糸切れ及び単糸切れの発
生率により次の3段階で評価した。○:糸切れや単糸切
れが全く発生せず、操業性が良好である。△:糸切れや
単糸切れが24時間当たり1回発生。×:糸切れや単糸切
れが24時間当たり2回以上発生し、操業上問題である。 実施例1〜8及び比較例1〜4 表1に示したエチレン系重合体とプロピレン系重合体と
を用い、表2のごとく組み合わせて芯鞘型の複合紡糸を
行った。
【0032】なお、複合紡糸機は通常のエクストル−ダ
−型押し出機で、個々に溶融計量した後、紡糸孔径が
0.5mm、孔長/孔径比3.0、孔数が390の芯鞘
型複合紡糸口金を用い、単孔吐出量を各々に変更し、2
30℃の紡糸温度で溶融紡糸し、引き取り速度1100
m/分で引き取って、芯鞘型複合フィラメント糸の未延
伸糸条を得た。得られた未延伸糸条を数十本集束しトウ
として、熱延伸をした。延伸に際しては、2段熱ロ−ラ
−延伸機を用い、延伸条件を、延伸速度100m/分、
第1ロ−ラ−温度60℃、第2ロ−ラ−温度90℃,第
3ロ−ラ−温度25℃として、最大延伸倍率の85%の
延伸倍率で延伸を行った。延伸に連続して、延伸トウを
スタッファボックスに供給して14個/25mmの捲縮
を付与した後、仕上げ油剤を付与して温度70℃で乾燥
し、適宜繊維長も変更して、芯鞘型複合短繊維の原綿を
得た。得られた原綿の特性と曳糸性、延伸性の結果を表
2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表2から明かなように、実施例1〜7につ
いては紡糸延伸性も良好で、しかも得られた原綿は、強
度、複屈折が高く、熱応力が低いものであり、熱接着不
織布用原綿として好適であった。実施例8では、鞘部の
ポリエチレンとポリプロピレンとの混合比が大き過ぎた
ため、曳糸性、延伸性がやや低下した。
【0036】比較例1では、鞘部にポリプロピレンを含
有していないためヌメリ感が発生し、しかもガイド上に
ポリマ−の削られた白粉が堆積し、紡糸延伸の操業に問
題があった。また、得られた繊維の強度は低下してい
た。比較例2では、芯鞘複合繊維の鞘部の割合が大きい
ため、繊維強度が低下した。比較例3では、芯鞘複合繊
維の芯部の割合が大きいため、繊維強度的には優れてい
るが、熱収縮応力が高いものとなった。また、熱融着成
分である鞘部の割合が少なくなって、熱接着不織布とし
た場合には不織布強力が実用的でなくなる問題点が発生
した。比較例4では、エチレン系重合体のメルトインデ
ックス値が高すぎて、プロピレン系重合体とのブレンド
状態が不均一となり、曳糸性が悪化した。そのために延
伸ができず、原綿を採取することができなかった。 実施例9〜11 いずれも紡糸口金の孔長/孔径比が3.0である表3に
示した紡糸孔径の口金を用い、単孔吐出量を表3に示し
たように設定した以外は、実施例1と同様にして、芯鞘
型複合繊維の原綿を得た。
【0037】得られた結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】表3から明らかなように、実施例9につい
ては紡糸延伸性が良好であり、しかも得られた原綿は、
強度、複屈折が高く、熱応力が低いものであり、熱接着
不織布用原綿として好適であった。実施例10では吐出
線速度が高く、紡糸口金面での汚れが発生し、紡糸操業
性がやや低下した。実施例11では吐出線速度が小さく
糸切れがやや発生し、曳糸性が低下した。 比較例5、6 表1に示したプロピレン系重合体の内、No.8のみを用
いて、芯鞘構造を有しないシングル型の溶融紡糸を行っ
た。なお、複合紡糸機は通常のエクストル−ダ−型押し
出機で、溶融計量した後、紡糸孔径が0.5mm、孔長
/孔径比2.0、孔数が390のシングル型紡糸口金を
用いた。比較例5と6で単孔吐出量を変更して、230
℃の紡糸温度で溶融紡糸し、引き取り速度1100m/
分で引き取って、シングル型フィラメント糸の未延伸糸
条を得た。得られた未延伸糸条を数十本集束しトウとし
て、熱延伸をした。延伸に際しては実施例2と同じ条件
を用い、短繊維の原綿を得た。得られた原綿の特性と曳
糸性、延伸性の結果を表3に示す。
【0040】表3から明らかなように、比較例5では紡
糸延伸性とも良好で、しかも強度の優れた原綿を採取す
ることができたが、全融型の原綿であるため、熱接着不
織布に用いると、不織布強力が弱く実用的でなかった。
比較例6では、曳糸性が低下して紡糸ができなかった。 比較例7、8 表1に示したエチレン系重合体のNo.4とプロピレン系
重合体のNo.7とを90/10の重量比でブレンドし、
シングル型の溶融紡糸を行った。なお、複合紡糸機は通
常のエクストル−ダ−型押し出機で、溶融計量した後、
紡糸孔径が0.5mm、孔長/孔径比2.0、孔数が3
90のシングル型紡糸口金を用いた。比較例7と8で単
孔吐出量を変更して、230℃の紡糸温度で溶融紡糸
し、引き取り速度1100m/分で引き取って、シング
ル型フィラメント糸の未延伸糸条を得た。得られた未延
伸糸条を数十本集束しトウとして、熱延伸をした。延伸
に際しては、実施例2と同じ条件を用い、短繊維の原綿
を得た。得られた原綿の特性と曳糸性、延伸性の結果を
表3に示す。
【0041】表3から明らかなように、比較例7では、
紡糸延伸性が良好で、しかも強度の優れた原綿を採取す
ることができたが、延伸工程上での捲縮付与時の安定性
に欠け、しかも経時的に捲縮がへたる問題が生じた。ま
たこの原綿をフラットカード機に掛けたところ、原綿の
移行性が非常に劣った。この不織ウェブは原綿が全融型
であるため、熱接着不織布に用いると、不織布強力が弱
く実用的でなかった。比較例8では、曳糸性が低下して
紡糸ができなかった。 比較例9 表1に示す重合体から表3に示すものを選定し、紡糸温
度を適宜変更しながら、実施例3に準じた紡糸延伸を行
った。その代表的結果を表3に示す。比較例9では、重
合体の溶融粘度が高いため紡糸温度を高くして紡糸を行
ったところ、紡糸時の発煙が極めて多く紡糸室の環境を
悪化させ、曳糸性にまで影響した。したがって延伸はせ
ず、繊維の評価は行えなかった。 実施例12〜13 実施例2で製造した未延伸糸を用いて、延伸倍率を最大
延伸倍率の75%(実施例12),65%(実施例1
3)で延伸した以外は実施例2と同じ条件で、芯鞘型複
合繊維の原綿を得た。
【0042】得られた結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】表4から明らかなように、実施例12、1
3については紡糸延伸性とも良好であったが、延伸倍率
の低下と共に、得られた原綿は、強度、複屈折が低下
し、熱接着不織布に適用した場合には、嵩高でかつ強力
の高い不織布が得られにくいといった問題を有する芯鞘
型複合繊維の原綿であった。
【0045】
【発明の効果】本発明の芯鞘型複合短繊維は、特定のブ
レンド構造体を鞘部に有するため、エチレン系重合体の
ヌメリ感を解消すると共に、細繊度かつ高強度で、しか
も高配向の繊維となり、熱接着不織布用として好適であ
る。また、特定のプロピレン系重合体を芯成分とすると
ともに、ブレンド構造体を鞘成分としているため、高強
度でかつ細繊度の繊維を操業性よく得ることができる。
したがって、本発明の繊維は湿式及び乾式の熱接着不織
布の用途に最適に使用できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鞘部がエチレン系重合体とプロピレン系
    重合体とのブレンド物からなり、芯部がプロピレン系重
    合体からなり、かつ前記鞘部と芯部との複合比が、重量
    比で、鞘部/芯部=3/1〜1/3であることを特徴と
    する芯鞘型複合短繊維。
  2. 【請求項2】 単糸繊度が0.2〜1デニ−ルであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の芯鞘型複合短繊維。
  3. 【請求項3】 鞘部と芯部の複屈折が共に0.030以
    上であり、繊維の最大熱収縮応力が0.015g/デニ
    ール以下であることを特徴とする請求項1または2記載
    の芯鞘型複合短繊維。
  4. 【請求項4】 メルトインデックス値が10〜50g/
    10分のエチレン系重合体とメルトフロ−レ−ト値が5
    〜45g/10分のプロピレン系重合体とのブレンド物
    を鞘成分とするとともに、メルトフロ−レ−ト値が5〜
    45g/10分のプロピレン系重合体を芯成分として、
    前記鞘成分と芯成分との複合比を、重量比で、鞘成分/
    芯成分=3/1〜1/3として溶融複合して紡出し、得
    られた糸条を冷却して一旦巻き取るか又は巻き取らずに
    得た未延伸複合繊維を、50℃以上かつ繊維相互が融着
    しない温度で熱延伸し、 次いで得られた延伸複合繊維
    に、捲縮付与処理を施こすかまたは捲縮付与処理を施さ
    ずに、仕上げ油剤を付与し、その後乾燥し、所定長さに
    切断して短繊維とすることを特徴とする芯鞘型複合短繊
    維の製造方法。
  5. 【請求項5】 鞘成分と芯成分との吐出線速度を1.7
    〜5.8m/分/デニ−ルとして溶融複合紡糸すること
    を特徴とする請求項4記載の芯鞘型複合短繊維の製造方
    法。
JP20548893A 1993-08-20 1993-08-20 芯鞘型複合短繊維及びその製造方法 Pending JPH0754214A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104195658A (zh) * 2014-07-30 2014-12-10 杭州翔盛高强纤维材料股份有限公司 Uhmwpp与uhmwpe皮芯复合纤维、专用设备及其纺丝方法
CN116234524A (zh) * 2021-06-30 2023-06-06 旭化成株式会社 非织造布及其用途、以及非织造布的制造方法

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