JPH0754120A - Al材へのZn膜形成方法並びに熱交換器の製造方法 - Google Patents
Al材へのZn膜形成方法並びに熱交換器の製造方法Info
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- JPH0754120A JPH0754120A JP19803693A JP19803693A JPH0754120A JP H0754120 A JPH0754120 A JP H0754120A JP 19803693 A JP19803693 A JP 19803693A JP 19803693 A JP19803693 A JP 19803693A JP H0754120 A JPH0754120 A JP H0754120A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 Al材の表面にZn膜を簡単、かつ、低廉な
コストで形成できる技術を提供することである。 【構成】 亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯表面にフラック
ス層を形成する工程と、前記フラックス層を通り抜けて
亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯中にAl材を進入させ、A
l材表面に亜鉛あるいは亜鉛合金の膜を形成する工程
と、形成された亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを制御
する工程とを具備するAl材へのZn膜形成方法。
コストで形成できる技術を提供することである。 【構成】 亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯表面にフラック
ス層を形成する工程と、前記フラックス層を通り抜けて
亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯中にAl材を進入させ、A
l材表面に亜鉛あるいは亜鉛合金の膜を形成する工程
と、形成された亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを制御
する工程とを具備するAl材へのZn膜形成方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はAl材へのZn膜形成方
法並びに熱交換器の製造方法に係り、例えば自動車用ラ
ジエータやエアコンのコンデンサ、エバポレータとして
用いられる熱交換器の製造において用いられる技術に関
するものである。
法並びに熱交換器の製造方法に係り、例えば自動車用ラ
ジエータやエアコンのコンデンサ、エバポレータとして
用いられる熱交換器の製造において用いられる技術に関
するものである。
【0002】
【発明の背景】従来、アルミニウム又はアルミニウム合
金(以下、Al)製の熱交換器は、ろう材がクラッドさ
れたブレージングシートでチューブやフィンを構成し、
これらを所定の形状に組み付け、ろう付けで接合するこ
とにより製造されている。そして、熱交換器の耐蝕性向
上の為に、犠牲陽極効果をもつ亜鉛をチューブ表面に溶
射法等により設けることが行われている。
金(以下、Al)製の熱交換器は、ろう材がクラッドさ
れたブレージングシートでチューブやフィンを構成し、
これらを所定の形状に組み付け、ろう付けで接合するこ
とにより製造されている。そして、熱交換器の耐蝕性向
上の為に、犠牲陽極効果をもつ亜鉛をチューブ表面に溶
射法等により設けることが行われている。
【0003】ところで、ブレージングシートは、一般的
に製造が簡単なものではなく、歩留りが低く、かつ、リ
サイクルに不適な為、通常のAl材より高価なものにつ
いている。又、ブレージングシートでチューブを構成す
る為には、電縫等の特殊な技術が必要である。更には、
ブレージングシートでフィンを構成する場合には、加工
性が悪く、加工治具の損耗が激しい等の問題がある。
に製造が簡単なものではなく、歩留りが低く、かつ、リ
サイクルに不適な為、通常のAl材より高価なものにつ
いている。又、ブレージングシートでチューブを構成す
る為には、電縫等の特殊な技術が必要である。更には、
ブレージングシートでフィンを構成する場合には、加工
性が悪く、加工治具の損耗が激しい等の問題がある。
【0004】このような観点からブレージングシートを
用いない技術手段の開発が望まれて来た。ところで、耐
蝕性向上の為に効果的な亜鉛はアルミニウム合金より低
温で溶融し、溶融亜鉛はアルミニウム合金中に拡散して
浸透することが知られている。この亜鉛拡散層はAl−
Zn合金組成になる為に、通常のアルミニウム合金より
も融点が低くなる特徴を持つ。従って、この亜鉛拡散層
はろう材としての機能を有することになり、同時に母材
表面に犠牲陽極効果を持つ層を形成することになる為、
熱交換器のろう付けには好適であると考えられた。
用いない技術手段の開発が望まれて来た。ところで、耐
蝕性向上の為に効果的な亜鉛はアルミニウム合金より低
温で溶融し、溶融亜鉛はアルミニウム合金中に拡散して
浸透することが知られている。この亜鉛拡散層はAl−
Zn合金組成になる為に、通常のアルミニウム合金より
も融点が低くなる特徴を持つ。従って、この亜鉛拡散層
はろう材としての機能を有することになり、同時に母材
表面に犠牲陽極効果を持つ層を形成することになる為、
熱交換器のろう付けには好適であると考えられた。
【0005】このようなことから、Al材からなる押出
多穴管の表面にフラックスを塗布し、これをZn溶湯中
に浸漬し、そして引き上げることによってZn膜を形成
する技術が提案(特開昭61−246354号公報、特
開昭62−84868号公報)されている。この技術思
想は、前記ブレージングシートを用いたものに比べて好
ましいものではあった。
多穴管の表面にフラックスを塗布し、これをZn溶湯中
に浸漬し、そして引き上げることによってZn膜を形成
する技術が提案(特開昭61−246354号公報、特
開昭62−84868号公報)されている。この技術思
想は、前記ブレージングシートを用いたものに比べて好
ましいものではあった。
【0006】しかしながら、フラックスの塗布作業、Z
n溶湯中への浸漬作業といった工程を経る為、作業性は
良いものとは言えなかった。
n溶湯中への浸漬作業といった工程を経る為、作業性は
良いものとは言えなかった。
【0007】
【発明の開示】本発明の目的は、Al材の表面にZn膜
を簡単、かつ、低廉なコストで形成できる技術を提供す
ることである。この本発明の目的は、亜鉛あるいは亜鉛
合金の溶湯表面にフラックス層を形成する工程と、前記
フラックス層を通り抜けて亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯
中にAl材を進入させ、Al材表面に亜鉛あるいは亜鉛
合金の膜を形成する工程と、形成された亜鉛あるいは亜
鉛合金の膜の厚さを制御する工程とを具備することを特
徴とするAl材へのZn膜形成方法によって達成され
る。
を簡単、かつ、低廉なコストで形成できる技術を提供す
ることである。この本発明の目的は、亜鉛あるいは亜鉛
合金の溶湯表面にフラックス層を形成する工程と、前記
フラックス層を通り抜けて亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯
中にAl材を進入させ、Al材表面に亜鉛あるいは亜鉛
合金の膜を形成する工程と、形成された亜鉛あるいは亜
鉛合金の膜の厚さを制御する工程とを具備することを特
徴とするAl材へのZn膜形成方法によって達成され
る。
【0008】又、亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯の表面に
フラックス層を形成する工程と、前記フラックス層を通
り抜けて亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯中にAl材を進入
させ、その後フラックス層を通り抜けて亜鉛あるいは亜
鉛合金の溶湯中から離脱させ、Al材表面に亜鉛あるい
は亜鉛合金の膜及びフラックスを形成する工程と、形成
された亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを制御する工程
とを具備することを特徴とするAl材へのZn膜形成方
法によって達成される。
フラックス層を形成する工程と、前記フラックス層を通
り抜けて亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯中にAl材を進入
させ、その後フラックス層を通り抜けて亜鉛あるいは亜
鉛合金の溶湯中から離脱させ、Al材表面に亜鉛あるい
は亜鉛合金の膜及びフラックスを形成する工程と、形成
された亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを制御する工程
とを具備することを特徴とするAl材へのZn膜形成方
法によって達成される。
【0009】ここで、Zn膜形成に溶湯浸漬法を採用し
たのは、 例えば、押出工程と連続した工程として量産設備が
設置可能なこと 設備費およびランニングコスト等が低廉であること 接合に必要なZn膜形成に適していること による。
たのは、 例えば、押出工程と連続した工程として量産設備が
設置可能なこと 設備費およびランニングコスト等が低廉であること 接合に必要なZn膜形成に適していること による。
【0010】そして、溶湯浸漬法でフラックスを使用し
ている理由は、 フラックスによりAl材表面の酸化皮膜が除去さ
れ、これにより形成されるZn膜の膜厚が均一になるこ
と 上記作用の為にはAl材表面に活性を有するフラッ
クスが必要であるが、予めAl材表面にフラックスを塗
布しておく作業は工業的に不利であるのに対し、溶湯表
面にフラックス層を形成させることは非常に簡単であ
り、これで十分な作用が確認できたこと 溶湯表面にフラックス粉末を散布するのみで、溶湯
の温度により液状化し、溶湯表面にその温度で活性を有
するフラックス液層が簡単に形成できたこと である。
ている理由は、 フラックスによりAl材表面の酸化皮膜が除去さ
れ、これにより形成されるZn膜の膜厚が均一になるこ
と 上記作用の為にはAl材表面に活性を有するフラッ
クスが必要であるが、予めAl材表面にフラックスを塗
布しておく作業は工業的に不利であるのに対し、溶湯表
面にフラックス層を形成させることは非常に簡単であ
り、これで十分な作用が確認できたこと 溶湯表面にフラックス粉末を散布するのみで、溶湯
の温度により液状化し、溶湯表面にその温度で活性を有
するフラックス液層が簡単に形成できたこと である。
【0011】そして、フラックスは塩化物系のフラック
ス、例えばKCl,NaCl,LiCl等を主成分とす
るものを用いることが好ましい。尚、上記のZn膜形成
方法において、亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯の温度は4
50℃〜550℃であることが好ましい。すなわち、溶
湯温度が低すぎるとZn膜の均一性が確保でき難く、例
えば溶湯が部分的に弾かれてコーティングされない所が
出来たりすることがあり、逆に、溶湯温度が高すぎると
Al材の浸食(溶解)が急速に進み、例えば肉厚が薄く
なったりすることが有る。
ス、例えばKCl,NaCl,LiCl等を主成分とす
るものを用いることが好ましい。尚、上記のZn膜形成
方法において、亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯の温度は4
50℃〜550℃であることが好ましい。すなわち、溶
湯温度が低すぎるとZn膜の均一性が確保でき難く、例
えば溶湯が部分的に弾かれてコーティングされない所が
出来たりすることがあり、逆に、溶湯温度が高すぎると
Al材の浸食(溶解)が急速に進み、例えば肉厚が薄く
なったりすることが有る。
【0012】そして、亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯中に
おけるAl材の浸漬時間は15秒以下であることが好ま
しい。すなわち、低温の溶湯であってもAl材の浸食が
皆無と言う訳ではなく、従ってAl材への影響を考慮す
ると15秒以下が好ましかったのである。又、亜鉛ある
いは亜鉛合金の溶湯中からのAl材の離脱速度は0.2
m/sec以下であることが好ましい。すなわち、Al
材を溶湯中から引き上げる速度が速すぎると、Al材が
溶湯を持ち上げるような形になり、必要以上の溶湯がA
l材上に残り、溶湯の無駄が多くなる傾向が有り、か
つ、引き上げ後も付いている過剰な溶湯によりAl材の
浸食が続き、Al材の特性が損なわれる傾向が有ったか
らである。例えば、0.5m/secの速度で引き上げ
ると、60μm厚ものコーティングが起きるようにな
り、Al材の浸食が激しかった。これに対して、0.2
0m/secの速度で引き上げると、40μm厚のコー
ティングに過ぎず、又、0.05m/secの速度で引
き上げると、15μm厚のコーティングに過ぎず、この
ような場合にはAl材の浸食は少ないものであった。
おけるAl材の浸漬時間は15秒以下であることが好ま
しい。すなわち、低温の溶湯であってもAl材の浸食が
皆無と言う訳ではなく、従ってAl材への影響を考慮す
ると15秒以下が好ましかったのである。又、亜鉛ある
いは亜鉛合金の溶湯中からのAl材の離脱速度は0.2
m/sec以下であることが好ましい。すなわち、Al
材を溶湯中から引き上げる速度が速すぎると、Al材が
溶湯を持ち上げるような形になり、必要以上の溶湯がA
l材上に残り、溶湯の無駄が多くなる傾向が有り、か
つ、引き上げ後も付いている過剰な溶湯によりAl材の
浸食が続き、Al材の特性が損なわれる傾向が有ったか
らである。例えば、0.5m/secの速度で引き上げ
ると、60μm厚ものコーティングが起きるようにな
り、Al材の浸食が激しかった。これに対して、0.2
0m/secの速度で引き上げると、40μm厚のコー
ティングに過ぎず、又、0.05m/secの速度で引
き上げると、15μm厚のコーティングに過ぎず、この
ような場合にはAl材の浸食は少ないものであった。
【0013】そして、Al材表面の亜鉛あるいは亜鉛合
金の膜の厚さは2〜50μmであることが好ましい。こ
れは、Zn膜をろう材として使用する場合には、薄すぎ
ると接合率が悪くなり、逆に厚すぎる場合には、ろう付
け時に溶融亜鉛による母材の浸食が多くなり、強度低下
や貫通等の問題が起きるからである。このような所望の
厚さに制御する手段としては、例えば熱風を吹き付けて
余分な溶湯を吹き落とす工程を有し、亜鉛あるいは亜鉛
合金の膜の厚さを略均一にする手段が挙げられる。これ
は、エアブロー方式と言うことが出来、引き上げ後のA
l材に残っている過剰な溶湯をエアーで吹き落とすもの
であり、吹きつけるエアーは溶湯が冷えて固化しないよ
うに高温である方が望ましい。又、吹付パターンはAl
材、例えばチューブ形状に対応した横長の長方形が望ま
しく、溶湯が落ちる方向に対してこれを助ける方向に吹
き付けるように設置することが好ましい。膜厚の制御は
吹付圧力、吹出口とAl材との距離、吹付角度により行
うことが出来る。
金の膜の厚さは2〜50μmであることが好ましい。こ
れは、Zn膜をろう材として使用する場合には、薄すぎ
ると接合率が悪くなり、逆に厚すぎる場合には、ろう付
け時に溶融亜鉛による母材の浸食が多くなり、強度低下
や貫通等の問題が起きるからである。このような所望の
厚さに制御する手段としては、例えば熱風を吹き付けて
余分な溶湯を吹き落とす工程を有し、亜鉛あるいは亜鉛
合金の膜の厚さを略均一にする手段が挙げられる。これ
は、エアブロー方式と言うことが出来、引き上げ後のA
l材に残っている過剰な溶湯をエアーで吹き落とすもの
であり、吹きつけるエアーは溶湯が冷えて固化しないよ
うに高温である方が望ましい。又、吹付パターンはAl
材、例えばチューブ形状に対応した横長の長方形が望ま
しく、溶湯が落ちる方向に対してこれを助ける方向に吹
き付けるように設置することが好ましい。膜厚の制御は
吹付圧力、吹出口とAl材との距離、吹付角度により行
うことが出来る。
【0014】又、スキージで余分な溶湯を掻き落とす工
程を有し、亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを略均一に
する手段が挙げられる。これは、Al材上の余分な溶湯
を固定式の金属スキージ(ブレード、ドクター、ナイフ
エッジ等)で掻き落とすものであって、スキージとAl
材との間隔(クリアランス)により膜厚を制御するもの
である。尚、フラット部については片面1枚ずつのスキ
ージで掻き落とし、湾曲部については湾曲したスキージ
を用いて掻き落とす。
程を有し、亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを略均一に
する手段が挙げられる。これは、Al材上の余分な溶湯
を固定式の金属スキージ(ブレード、ドクター、ナイフ
エッジ等)で掻き落とすものであって、スキージとAl
材との間隔(クリアランス)により膜厚を制御するもの
である。尚、フラット部については片面1枚ずつのスキ
ージで掻き落とし、湾曲部については湾曲したスキージ
を用いて掻き落とす。
【0015】又、ローラ間を通過させて余分な溶湯を除
去する工程を有し、亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを
略均一にする手段が挙げられる。これは、ある間隔(ク
リアランス)を持った2本のロールの間を通過させるこ
とで、余分な溶湯を除去する方式であり、厚さはロール
間隙(クリアランス)で調整する。このようにして、A
l材の表面にはZn膜が簡単、かつ、低廉なコストで形
成される。
去する工程を有し、亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを
略均一にする手段が挙げられる。これは、ある間隔(ク
リアランス)を持った2本のロールの間を通過させるこ
とで、余分な溶湯を除去する方式であり、厚さはロール
間隙(クリアランス)で調整する。このようにして、A
l材の表面にはZn膜が簡単、かつ、低廉なコストで形
成される。
【0016】そして、上記のような手段によってAl材
製押出多穴管の表面に亜鉛あるいは亜鉛合金の膜を形成
し、このAl材製押出多穴管にフィンを組み付け、ろう
付けする熱交換器の製造方法は、低廉なコストで高性能
な熱交換器が提供されるものとなる。尚、この熱交換器
の製造方法におけるろう付けは、Al材の酸化防止の観
点から不活性雰囲気で行われることが好ましく、又、ろ
う付け温度が低すぎると亜鉛が十分に溶融せず、接合率
が悪くなり、逆に、高すぎると亜鉛による母材の浸食が
激しくなり、母材が貫通したり、フィンが溶解したりす
ることから、ろう付け温度は450℃〜550℃である
ことが好ましい。例えば、450℃未満の低すぎる温度
では、接合率が10%以下といったように悪く、逆に、
550℃を越えての高すぎる温度では、例えばAl材製
押出多穴管の肉厚が異常に薄くなっている部分があっ
た。
製押出多穴管の表面に亜鉛あるいは亜鉛合金の膜を形成
し、このAl材製押出多穴管にフィンを組み付け、ろう
付けする熱交換器の製造方法は、低廉なコストで高性能
な熱交換器が提供されるものとなる。尚、この熱交換器
の製造方法におけるろう付けは、Al材の酸化防止の観
点から不活性雰囲気で行われることが好ましく、又、ろ
う付け温度が低すぎると亜鉛が十分に溶融せず、接合率
が悪くなり、逆に、高すぎると亜鉛による母材の浸食が
激しくなり、母材が貫通したり、フィンが溶解したりす
ることから、ろう付け温度は450℃〜550℃である
ことが好ましい。例えば、450℃未満の低すぎる温度
では、接合率が10%以下といったように悪く、逆に、
550℃を越えての高すぎる温度では、例えばAl材製
押出多穴管の肉厚が異常に薄くなっている部分があっ
た。
【0017】ろう付けには、特別にフラックスを供給し
ても良いが、Zn膜の形成時にフラックスが付いている
場合には、供給しなくても良い。そして、前記手段によ
り製造が容易で、安価な表面にZn膜が設けられた押出
多穴管が得られ、熱交換器の製造に際してブレージング
シートを用いずとも済み、熱交換器のコストが低廉なも
のとなり、かつ、耐蝕性の向上が図れ、そしてクラッド
フィンを必要としないことからフィンの薄肉化による重
量低減、材料コストの低減、又、治具の損耗の低減等を
も図ることが出来る。
ても良いが、Zn膜の形成時にフラックスが付いている
場合には、供給しなくても良い。そして、前記手段によ
り製造が容易で、安価な表面にZn膜が設けられた押出
多穴管が得られ、熱交換器の製造に際してブレージング
シートを用いずとも済み、熱交換器のコストが低廉なも
のとなり、かつ、耐蝕性の向上が図れ、そしてクラッド
フィンを必要としないことからフィンの薄肉化による重
量低減、材料コストの低減、又、治具の損耗の低減等を
も図ることが出来る。
【0018】以下、具体的な実施例を挙げて説明する。
【0019】
【実施例】図1は、本発明に係るAl材(Al製押出多
穴管)にZn膜を形成するのに用いられる装置の概略図
である。図1中、1は押出機(図示せず)から押し出さ
れて来たAl製押出多穴管である。
穴管)にZn膜を形成するのに用いられる装置の概略図
である。図1中、1は押出機(図示せず)から押し出さ
れて来たAl製押出多穴管である。
【0020】2は亜鉛のインゴットが500℃に加熱さ
れ、溶融状態のものとなっている溶湯であり、この溶湯
2の表面に塩化物系のフラックス粉末を散布することに
よってフラックス液層3が構成されている。尚、このフ
ラックス液層3の厚さは約1〜5mmであり、作業の進
行と伴に消費されて行くので、消費量に見合った量のフ
ラックス粉末が供給されるようになっている。
れ、溶融状態のものとなっている溶湯であり、この溶湯
2の表面に塩化物系のフラックス粉末を散布することに
よってフラックス液層3が構成されている。尚、このフ
ラックス液層3の厚さは約1〜5mmであり、作業の進
行と伴に消費されて行くので、消費量に見合った量のフ
ラックス粉末が供給されるようになっている。
【0021】4はスキージである。上記のように構成さ
せた装置を用い、先ず、塩化物系のフラックス粉末を散
布することによってフラックス液層3が構成された亜鉛
溶湯2中に、図1に示す如く、Al製押出多穴管1を進
入させる。そうすると、Al製押出多穴管1の表面が表
面層のフラックス液層3に濡れ、Al製押出多穴管1の
表面には塩化物系のフラックスが付き、Al製押出多穴
管1表面の酸化膜は容易に除去されるものとなる。
せた装置を用い、先ず、塩化物系のフラックス粉末を散
布することによってフラックス液層3が構成された亜鉛
溶湯2中に、図1に示す如く、Al製押出多穴管1を進
入させる。そうすると、Al製押出多穴管1の表面が表
面層のフラックス液層3に濡れ、Al製押出多穴管1の
表面には塩化物系のフラックスが付き、Al製押出多穴
管1表面の酸化膜は容易に除去されるものとなる。
【0022】この後、引き続いて、Al製押出多穴管1
は亜鉛溶湯2に浸かることになり、酸化膜が除去された
Al製押出多穴管1の表面には溶融亜鉛が付くことにな
る。そして、Al製押出多穴管1は、表面層のフラック
ス液層3を通り抜けて溶湯2から離脱(溶湯2中での浸
漬時間は5秒、離脱速度は0.1m/sec)し、表面
にZn及びフラックスの付いたものが得られる。この
後、スキージ4によってAl製押出多穴管1表面のZn
膜が所定のものに設定され、室温下で徐冷する。
は亜鉛溶湯2に浸かることになり、酸化膜が除去された
Al製押出多穴管1の表面には溶融亜鉛が付くことにな
る。そして、Al製押出多穴管1は、表面層のフラック
ス液層3を通り抜けて溶湯2から離脱(溶湯2中での浸
漬時間は5秒、離脱速度は0.1m/sec)し、表面
にZn及びフラックスの付いたものが得られる。この
後、スキージ4によってAl製押出多穴管1表面のZn
膜が所定のものに設定され、室温下で徐冷する。
【0023】このようにして得られたAl製押出多穴管
1には、表面にZn膜が10〜30μm形成されたもの
であった。そして、このようにして表面に10〜30μ
m厚さのZn膜が形成されたAl製押出多穴管にAl製
のフィンを組み付け、不活性雰囲気において450℃〜
550℃の温度で5分間かけてろう付けを行い、熱交換
器を作製した。
1には、表面にZn膜が10〜30μm形成されたもの
であった。そして、このようにして表面に10〜30μ
m厚さのZn膜が形成されたAl製押出多穴管にAl製
のフィンを組み付け、不活性雰囲気において450℃〜
550℃の温度で5分間かけてろう付けを行い、熱交換
器を作製した。
【0024】尚、上記実施例では、Zn膜の厚さ制御を
スキージで行う手段の場合であったが、エアブロー方式
あるいはロール間通過方式が採用されても、同様な効果
が得られる。上記のような手法によれば、高価なクラッ
ド材を必要としないことから、コストダウンが図れ、そ
して亜鉛溶射法によってZn膜を形成した場合と同等の
耐蝕性が得られ、しかも亜鉛溶射法によるよりも低廉で
ある。
スキージで行う手段の場合であったが、エアブロー方式
あるいはロール間通過方式が採用されても、同様な効果
が得られる。上記のような手法によれば、高価なクラッ
ド材を必要としないことから、コストダウンが図れ、そ
して亜鉛溶射法によってZn膜を形成した場合と同等の
耐蝕性が得られ、しかも亜鉛溶射法によるよりも低廉で
ある。
【0025】又、Al製押出多穴管とAl製フィンとの
間のろう付け特性も優れたものであり、耐蝕性に優れ、
高性能な熱交換器が低廉なコストで得られる。
間のろう付け特性も優れたものであり、耐蝕性に優れ、
高性能な熱交換器が低廉なコストで得られる。
【0026】
【効果】Al材表面にZn膜が簡単、かつ、低廉なコス
トで形成でき、そして本発明が用いられて構成された熱
交換器は、ろう付け特性および耐蝕性に優れたものであ
り、高性能な熱交換器が低廉なコストで得られる。
トで形成でき、そして本発明が用いられて構成された熱
交換器は、ろう付け特性および耐蝕性に優れたものであ
り、高性能な熱交換器が低廉なコストで得られる。
【図1】Al製押出多穴管にZn膜を形成する装置の概
略図
略図
1 Al製押出多穴管 2 亜鉛溶湯 3 フラックス液層 4 スキージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 2/34
Claims (13)
- 【請求項1】 亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯表面にフラ
ックス層を形成する工程と、前記フラックス層を通り抜
けて亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯中にAl材を進入さ
せ、Al材表面に亜鉛あるいは亜鉛合金の膜を形成する
工程と、形成された亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを
制御する工程とを具備することを特徴とするAl材への
Zn膜形成方法。 - 【請求項2】 亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯の表面にフ
ラックス層を形成する工程と、前記フラックス層を通り
抜けて亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯中にAl材を進入さ
せ、その後フラックス層を通り抜けて亜鉛あるいは亜鉛
合金の溶湯中から離脱させ、Al材表面に亜鉛あるいは
亜鉛合金の膜及びフラックスを形成する工程と、形成さ
れた亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを制御する工程と
を具備することを特徴とするAl材へのZn膜形成方
法。 - 【請求項3】 亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯の温度が4
50℃〜550℃であることを特徴とする請求項1また
は請求項2のAl材へのZn膜形成方法。 - 【請求項4】 フラックスが塩化物系のフラックスであ
ることを特徴とする請求項1または請求項2のAl材へ
のZn膜形成方法。 - 【請求項5】 亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯中における
Al材の浸漬時間が15秒以下であることを特徴とする
請求項1または請求項2のAl材へのZn膜形成方法。 - 【請求項6】 亜鉛あるいは亜鉛合金の溶湯中からのA
l材の離脱速度が0.2m/sec以下であることを特
徴とする請求項1または請求項2のAl材へのZn膜形
成方法。 - 【請求項7】 亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを制御
する工程が、熱風を吹き付けて余分な溶湯を吹き落とす
工程を有し、亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを略均一
にするものであることを特徴とする請求項1または請求
項2のAl材へのZn膜形成方法。 - 【請求項8】 亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを制御
する工程が、スキージで余分な溶湯を掻き落とす工程を
有し、亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを略均一にする
ものであることを特徴とする請求項1または請求項2の
Al材へのZn膜形成方法。 - 【請求項9】 亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを制御
する工程が、ローラ間を通過させて余分な溶湯を除去す
る工程を有し、亜鉛あるいは亜鉛合金の膜の厚さを略均
一にするものであることを特徴とする請求項1または請
求項2のAl材へのZn膜形成方法。 - 【請求項10】 Al材表面の亜鉛あるいは亜鉛合金の
膜の厚さが2〜50μmであることを特徴とする請求項
1または請求項2のAl材へのZn膜形成方法。 - 【請求項11】 請求項1〜請求項10のAl材が押出
多穴管であり、亜鉛あるいは亜鉛合金の膜が形成された
押出多穴管にフィンを組み付け、ろう付けすることを特
徴とする熱交換器の製造方法。 - 【請求項12】 ろう付けが不活性雰囲気で行われるこ
とを特徴とする請求項11の熱交換器の製造方法。 - 【請求項13】 ろう付け温度が450℃〜550℃で
あることを特徴とする請求項11の熱交換器の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19803693A JPH0754120A (ja) | 1993-08-10 | 1993-08-10 | Al材へのZn膜形成方法並びに熱交換器の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19803693A JPH0754120A (ja) | 1993-08-10 | 1993-08-10 | Al材へのZn膜形成方法並びに熱交換器の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0754120A true JPH0754120A (ja) | 1995-02-28 |
Family
ID=16384475
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19803693A Pending JPH0754120A (ja) | 1993-08-10 | 1993-08-10 | Al材へのZn膜形成方法並びに熱交換器の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0754120A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100568333B1 (ko) * | 2001-03-21 | 2006-04-05 | 주식회사 포스코 | 용융아연 도금강판의 제조방법 |
KR100908744B1 (ko) * | 2009-04-30 | 2009-07-22 | (주)조은정밀 | 콤팩트형 골프공 자동 티업장치 |
-
1993
- 1993-08-10 JP JP19803693A patent/JPH0754120A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100568333B1 (ko) * | 2001-03-21 | 2006-04-05 | 주식회사 포스코 | 용융아연 도금강판의 제조방법 |
KR100908744B1 (ko) * | 2009-04-30 | 2009-07-22 | (주)조은정밀 | 콤팩트형 골프공 자동 티업장치 |
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