JPH0753820B2 - 工程剥離紙用樹脂組成物 - Google Patents

工程剥離紙用樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は工程剥離紙用樹脂組成物、特には高温での剥離
性、光沢などにすぐれた工程剥離紙の製造に有用とされ
る樹脂組成物に関するものである。
(従来の技術) 従来、合成皮革などの製造はウレタン樹脂、塩化ビニル
樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ酸樹脂などのキャスティ
ング法などで製られているが、この製造にあたっては工
程紙の表面を剥離型(剥離性)とするために工程剥離紙
用組成物が使用されている。
しかして、この工程剥離用組成物としてはポリプロピレ
ン系、アミノアルキツド系、シリコーン系の樹脂組成物
が代表的なものとして知られているが、ポリプロピレン
系のものは高温での使用が難しくて剥離面が傷つき易
く、アミノアルキッド樹脂系のものは剥離がわるく、シ
リコーン系のものは光沢がわかるという不利があり、い
ずれもが一長一短の効果をもつものとされている。
そのため、この種の組成物についてはアルキッド樹脂ま
たはアクリル樹脂を式HO−R−(S)a−R−(こゝに
Rは同種または異種の2価炭化水素基、aは0または
1)で示される置換基を有するオルガノポリシロキサン
で変成したものも知られているが、これはこの置換基含
有量の変動が大きいために剥離力が大きく変動し、品質
のバラツキが大きくなるという不利があった。
(発明の構成) 本発明はこのような不利を解決した工程剥離紙用樹脂組
成物に関するもので、これは1)アルキッド樹脂または
アクリル樹脂99〜70重量部と2)1分子中におけるけい
素原子結合有機基の15〜50モル%がフェニル基であり、
残りの有機基のうち少なくとも1個が式 −CH2CH2CH2−OC2H4OnH (nは1〜3の平均値)で示されるヒドロキシ置換有機
基であるオルガノポリシロキサン1〜30重量部、3)上
記第1成分と第2成分との合成量100重量部に対して15
〜150重量部のアルカノール変性アミノ樹脂および4)
酸性触媒1〜20重量部とからなることを特徴とするもの
である。
すなわち、本発明者らは高温での剥離性、光沢などのす
ぐれた工程剥離紙を製造するための樹脂組成物を開発す
べく種々検討した結果、主剤としてのアルキッド樹脂ま
たはアクリル樹脂に1分子中にフェニル基と式−CH2CH2
CH2−OC2H4OnHで示されるヒドロキシ置換有機基を
有するオルガノポリシロキサンとアルカノール変成アミ
ノ樹脂および酸性触媒を添加した樹脂組成物を作り、こ
の物性をしらべたところ、これをコート紙に塗布したも
のは130〜200℃の加熱で硬化し、剥離性のすぐれた光沢
面を有する工程紙となることを見出すと共に、このよう
にして得られた工程紙は従来の工程紙にくらべて剥離
性、耐熱性がすぐれているし、光沢もよく、さらに合成
皮革を製造する場合に高温短時間処理が可能なので生産
面での合理化ができること、またこのものは反復剥離性
もすぐれており、エナメルタイプから艶消し剤を配合し
た艶消しタイプの全てに適用可能な剥離剤となるという
こと確認して本発明を完成させた。
以下にこれを詳述する。
本発明の組成物を構成する第1成分はアルキッド樹脂ま
たはアクリル樹脂とされるが、これらはいずれも公知の
ものでよい。しかし、このアルキッド樹脂は油長が0〜
60、好ましくは20〜40、酸価が1〜30、好ましくは5〜
25、ヒドロキシル価が50〜300、好ましくは100〜250で
あるヤシ油またはヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヒマシ
油、ヒマシ油脂肪酸を用いて製造されたものすることが
望ましく、アクリル樹脂は一般市販のものでよいが、こ
れらは後記する第2成分としてのオルガノポリシロキサ
ンとの配合比から99〜70重量部の範囲で使用すればよ
い。
つぎに本発明の組成物を構成する第2成分としてのオル
ガノポリシロキサンは1分子中におけるけい素原子結合
有機基の15〜50モル%がフェニル基で、かつ残りの有機
基のうち少なくとも1個が式 −CH2CH2CH2−OC2H4OnH ……(1) で示されるヒドロキシ基置換有機基(nは1〜3の平均
値)であり、残余の有機基がメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、オクチル基などのアルキル基または
この基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部
をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル
基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などの置
換アルキル基であるものとされる。このオルガノポリシ
ロキサンは耐熱性にすぐれており、良好な光沢性を有
し、剥離性のよい工程剥離紙を得るという本発明の目的
ないし効果が達成されるものであれば直鎖状であっても
分岐鎖状構造のいずれであってもよいが、上記した第1
成分としてのアルキッド樹脂、アクリル樹脂との相溶性
のすぐれたものとすることがよい。なお、このオルガノ
ポリシロキサンは本発明の工程剥離紙用樹脂組成物にす
ぐれた剥離性、光沢性、合成皮革用としたときに樹脂に
はじき性を与えるということから、上記したようにフェ
ニル基を10〜50モル%とし、残りの有機基のうち少なく
とも1個は上記した式(1)で示されるヒドロキシ基置
換有機基とすることが必要とされるのであるが、これに
は次式 で示され、R1はそのうちの少なくとも1個が上記した式
(1)で示されるヒドロキシ置換有機基で残余が非置換
または置換のアルキル基、xは4〜500、yは15〜850で
x+y=30〜1,000、好ましくは50〜200であり、 であるものとすることが好ましい。
この種のオルガノポリシロキサンは例えばジフェニルシ
ロキサン基を含有する環状のオルガノシロキサンと少な
くとも1個の上記した式(1)で示されるヒドロキシ置
換有機基を含有するストッパー基(R1 3SiO基)を形成す
るオルガノシランとを目的物を得るような配合で仕込
み、KOH、CsOHなどのアルカリの存在下で重合すること
によって得ることができるが、これによれば有機基の含
有量のバラツキが少なく、重合度の安定したオルガノポ
リシロキサンが得られる。なお、このオルガノポリシロ
キサンの配合量は前記した第1成分としてのアルキッド
樹脂またはアクリル樹脂との配合物が100重量部となる
ようにすればよいので、これはアルキッド樹脂またはア
クリル樹脂99〜70重量部に対して1〜30重量部の範囲と
すればよい。
また、本発明の組成物を構成する第3成分としてのアル
カノール変成アミノ樹脂は一般に市販されている公知の
ものでよく、したがってこれにはメトキシメチロールメ
ラミン樹脂、ブトキシジメチルロールメラミン樹脂、ブ
トキシメチロール尿素−メラミン共重合体、ブトキシメ
チロールベンゾグアナミン樹脂などが例示される。ま
た、このものの添加量は上記した第1成分と第2成分と
の配合物100重量部に対して15重量部より少ないと皮膜
の硬化性がわるくなり、150重量部より多くすると剥離
性がわるくなるので、15〜150重量部の範囲とする必要
があるが、この好ましい範囲は40〜100重量部とされ
る。
なお、本発明の組成物を構成する第4成分としての酸性
触媒も公知のものでよく、これは通常アルキッド樹脂や
アクリル樹脂の縮合硬化触媒に使用されるパラトルエン
スルホン酸、塩酸などとすればよく、この添加量は1〜
20重量部とすればよい。
本発明の工程剥離紙用樹脂組成物は上記した第1〜第4
成分の所定量を混合することによって得ることができる
が、これにシリコーン変成アルキッド樹脂、シリコーン
変成アクリル樹脂を配合することは任意とされる。ま
た、この樹脂組成物は使用上の利便性から通常は有機溶
剤溶液とされるが、この有機溶剤としては第1成分〜第
3成分と反応性を有しないものであればよく、したがっ
てこれはトルエン、キシレン、メタノール、エタノー
ル、イソブタノール、n−ブタノール、メチルエチルケ
トン、アセトン、テトラヒドロフランなど、またはこれ
らの2種以上の混合物とすればよく、この使用量は樹脂
固形分が10〜60%の範囲とするようにすればよい。
このようにして得られた本発明の工程剥離紙用樹脂組成
物はこれをコート紙に塗布し130〜200℃に加熱すると剥
離性、耐熱性にすぐれており、光沢を有する硬化膜を与
えるので、容易に工程紙を得ることができるし、このも
のは高温短時間処理も可能なので合成革製造用にも有用
とされ、さらには反復剥離性もすぐれているのでエナメ
ルタイプから艶消しタイプまでの全てに適用可能である
という有利性をもつものになという有用性をもつもので
ある。
つぎに本発明の組成物を構成する第2成分としてのオル
ガノポリシロキサンの合成例および実施例をあげるが、
例中の部は重量部を示したものであり、粘度は25℃での
測定値を示したものである。
合成例1 式 で示されるオルガノポリシロキサン中間生成物43gにオ
クタメチルテトラシロキサン59.7g、オクタフェニルテ
トラシロキサン139.7gを添加し、これに水酸化カリウム
0.01gを加えて150℃で8時間重合したのち、エチレンク
ロルヒドリン0.1gを加え100℃で2時間中和したとこ
ろ、粘度が10,500cpで主鎖にジメチルシロキサン単位63
モル%、ジフェニルシロキサン単位を35モル%含有し、
分子鎖末端に で示される基を有する、透明な液状物としてのオルガノ
ポリシロキサン(以下シロキサンIと略記する)200gが
得られた。
合成例2 合成例1で使用したオルガノポリシロキサン中間生成物
43gとオクタメチルテトラシロキサン67.1g、オクタフェ
ニルテトラシロキサン191.8gとからなる混合物を合成例
1と同様に処理したところ、粘度が5,100cpで主鎖がジ
メチルシロサン単位63モル%、ジフェニルシロキサン単
位30モル%とからなり、分子鎖末端に合成例1と同様の
ヒドロキシ置換有機基をもつ透明な液状のオルガノポリ
シロキサン(以下シロキサンIIと略記する)205gが得ら
れた。
合成例3 式 で示されるオルガノシロキサン中間生成物10.2gとオク
タメチルテトラシロキサン118.8g、オクタフェニルテト
ラシロキサン244.2gとの混合物に、水酸化カリウム0.02
gを加えて150℃で8時間重合したのち、エチレンクロロ
ヒドリン0.2gを加え100℃で2時間、中和したところ、
粘度が1,200cpで主鎖がジメチルシロキサン単位55モル
%、ジフェニルシロキサン単位が43%からなるものであ
り、分子鎖末端に 基を有する、透明な液状物としてのオルガノポリシロキ
サン(以下シロキサンIIIと略記する)350gが得られ
た。
実施例1 ヤシ油変成アルキッド樹脂・トクシール2420−50〔日立
化成ポリマー(株)製商品名〕54部に合成例1で得たシ
ロキサンI6部とブチル化尿素−メラミン共縮合樹脂・テ
スミン350−60〔日立化成ポリマー(株)製商品名〕40
部、および50%パラトルエンスルホン酸メタノール溶液
5部を添加し、これをトルエンで希釈して固形分が40%
となるようにした。
つぎにこの溶液をミラーコート紙〔神崎製紙(株)製コ
ート紙、米坪130g/m2〕に膜厚が10μmとなるように塗
工し、熱風乾燥器中において150℃×1分で硬化させて
工程剥離紙を作ったところ、このときの光沢は101グロ
ス(75℃)であった。
また、この剥離紙上に一液型ポリウレタン溶液・クリス
ボン5516S〔大日本インキ化学工業(株)製商品名〕を
膜厚が20μmとなるように塗工し、熱風乾燥器中におい
て130℃×2分で硬化させてこのものの剥離力を試験し
たところ、このものは12g/3cmの剥離力を示し、このも
ののくり返し使用後の3回目の剥離力は20g/3cmであっ
た。
実施例2 ヤシ油変成アルキッド樹脂・トクシール2420−50(前
出)51部に合成例2で得たシロキサンII9部とブチル化
尿素−メラミン共縮合樹脂・テスミン350−60(前出)4
0部、50%パラトルエンスルホン酸メタノール溶液5部
を添加し、トルエンで希釈して固形分が40%の樹脂溶液
を作り、このものを使用して実施例1と同様の方法で工
程剥離紙を作ったのち、この光沢、剥離力を測定したと
ころ、これは光沢100グロス、剥離力8g/3cm、くり返し
3回目の剥離力17g/3cmであった。
実施例3 アクリル樹脂・テスロイド795〔日立化成ポリマー
(株)製商品名〕55部に合成例3で得たシロキサンIII5
部、ブチル化メラミン樹脂・テスミンME50L〔日立化成
ポリマー(株)製商品名〕40部および50%パラトルエン
スルホン酸メタノール溶液6部を添加し、トルエンで稀
釈して固形分が40%の樹脂溶液を作った。
つぎにこの樹脂溶液を用いて実施例1と同じ方法で工程
剥離紙を作り、この光沢、剥離力を測定したところ、こ
れは光沢99グロス、剥離力10g/3cm、くり返し使用3回
目の剥離力18g/3cmの結果を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 83:06) (72)発明者 山崎 朋裕 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内 (56)参考文献 特開 昭60−158249(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1) アルキッド樹脂またはアクリル樹脂
    99〜70重量部 2) 1分子中におけるけい素原子結合有機基の15〜50
    モル%がフェニル基であり、残りの有機基のうち少なく
    とも1個が式 −CH2CH2CH2−OC2H4OnH (nは1〜3の平均値)で示されるヒドロキシ基置換有
    機基であるオルガノポリシロキサン 1〜30重量部、 3) 上記第1成分と第2成分との合計量100重量部に
    対して15〜150重量部のアルカノール変性アミノ樹脂、 および 4) 酸性触媒 1〜20重量部 とからなることを特徴とする工程剥離紙用樹脂組成物。
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