JPH0753577A - リン酸エステル塩の精製法 - Google Patents

リン酸エステル塩の精製法

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JPH0753577A
JPH0753577A JP21901893A JP21901893A JPH0753577A JP H0753577 A JPH0753577 A JP H0753577A JP 21901893 A JP21901893 A JP 21901893A JP 21901893 A JP21901893 A JP 21901893A JP H0753577 A JPH0753577 A JP H0753577A
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伸司 露谷
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Abstract

(57)【要約】 【構成】リン酸エステル塩と低級アルコール、又は低級
アルコール及び炭化水素を含有する水溶液から、薄膜蒸
発機を用いて低級アルコール、又は低級アルコール及び
炭化水素を除去することを特徴とするリン酸エステル塩
の精製法。 【効果】従来の蒸留方法では熱履歴の影響により、臭い
成分や着色成分が増加するが、本発明の精製法では熱履
歴の影響を最小限に抑えることができるので、高品質の
リン酸エステル塩を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリン酸エステル塩の精製
法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】有機ヒ
ドロキシ化合物のリン酸エステル塩は、洗浄剤、防錆
剤、乳化剤、繊維処理剤、液状イオン交換体、医薬品等
の幅広い分野において使用されているものである。従
来、リン酸エステルの製造法としては種々の方法、例え
ば、無水リン酸及び水と有機ヒドロキシ化合物を用いる
方法(特公昭57−61358号公報)、又はオルトリ
ン酸又はポリリン酸と有機ヒドロキシ化合物を用いる方
法(特公昭58−38435号公報)等がある。
【0003】しかしながら、このようにして製造される
リン酸エステル中には、有機ヒドロキシ化合物中の不純
物や、未反応の有機ヒドロキシ化合物、着色成分、更に
反応中に生成する副生成物等の非イオン性化合物が不純
物として存在する。そこで、これらのリン酸エステル中
に含まれる有機ヒドロキシ化合物中の不純物や、未反応
の有機ヒドロキシ化合物、着色成分、更に反応中に生成
する副生成物等の非イオン性化合物を除去するため、疎
水性を有するリン酸エステルを塩基性化合物により中和
することにより、親水性のリン酸エステル塩にして、更
に炭化水素により抽出分離する方法(特開昭62−13
5481号公報)等が有用な方法として提案されてい
る。この方法において、抽出分離する際の解乳化剤とし
て、低級アルコールを添加するため、リン酸エステル塩
水溶液中には、通常、炭化水素及び低級アルコールが含
まれることになる。また、リン酸エステル塩中にリン酸
と有機ヒドロキシ化合物の反応時に用いた溶剤が含まれ
ていると、溶剤臭のために著しくリン酸エステル塩の品
質が落ち、また前記のような低級アルコールが多く含ま
れると臭いが悪化することに加え、リン酸エステル塩の
粘度低下や保存安定性の悪化など商品としての品質や性
能が悪化する。
【0004】そのため、これらの不純物を除去すること
が必要となるが、リン酸エステル塩水溶液中の炭化水素
や、低級アルコールの除去法としては、従来より、一般
的に、バッチ式蒸留が使われてきた。しかしながら、バ
ッチ式の蒸留方法では、滞留時間が長いために熱履歴の
影響が大きくなるため、リン酸エステル塩が分解され有
機ヒドロキシ化合物が生成してしまい、リン酸エステル
塩の性能に大きく影響する匂いや色相が著しく劣化する
という問題が指摘されている。とりわけ、人体に直接使
用又は接触するクリームや整髪剤等の化粧品、シャンプ
ー、洗顔剤、沐浴等の洗浄剤、歯磨き剤などの原料とし
てリン酸エステル塩を使用する場合、臭いや色相の劣化
はそれら商品の重大な欠陥となる。
【0005】本発明は、従来のこれらの問題点に着目し
てなされたものであり、リン酸エステル塩の精製におい
て、品質の劣化等の問題点を解決しうるリン酸エステル
塩の精製法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、リン酸エ
ステル塩水溶液の蒸留において、薄膜蒸発機を用いるこ
とにより、前記の課題が解消することを見い出し、本発
明を完成した。即ち、本発明の要旨は、リン酸エステル
塩と低級アルコールを含有する水溶液、又はリン酸エス
テル塩と低級アルコール及び炭化水素を含有する水溶液
から薄膜蒸発機を用いて低級アルコール、又は低級アル
コール及び炭化水素を除去することを特徴とするリン酸
エステル塩の精製法に関する。
【0007】本発明の精製法は、薄膜蒸発機を用いて、
蒸留原料、即ちリン酸エステル塩を含有する水溶液から
不純物を留去することにより、リン酸エステル塩を精製
するものである。
【0008】本発明に使用する薄膜蒸発機としては、液
膜生成に機械力を必要としない自然液膜蒸発機、あるい
は液膜生成に機械力を必要とする強制薄膜蒸発機のどち
らでもかまわない。自然液膜蒸発機としては、特に限定
されないが、処理液が竪型のチューブあるいはプレート
状の加熱管の内壁を液膜となって流下し、そのとき、蒸
発濃縮が行われる自然流下液膜式蒸発機や、処理液を加
熱管の下部より供給し、加熱管内で沸騰し、気液混相流
となり、ついには、液膜となって上昇する上昇液膜式蒸
発機などが挙げられる。一方、強制薄膜蒸発機として
は、特に限定されないが、処理液を強制的にワイパーで
薄膜状にして蒸発濃縮するかきとり式薄膜蒸発機や、高
速で回転しているローターの遠心力で液が薄膜となる遠
心式薄膜蒸発機などが挙げられる。
【0009】本発明における薄膜蒸発機の操作条件は、
次のようになる。蒸留圧力は特に限定されないが、好ま
しくは600torr以下がよい。600torrを越
えると不純物を効率的に除去させるために温度を上げる
必要があり、品質劣化が起こり好ましくない。液膜の温
度は、通常、120℃以下であり、好ましくは40〜9
0℃が良い。液膜温度が120℃を越えると、リン酸エ
ステル塩が熱分解され好ましくない。また、液膜の厚さ
は10mm以下が好ましく、5mm以下が更に好まし
い。
【0010】このような条件で、蒸留原料であるリン酸
エステル塩と低級アルコールもしくはリン酸エステル塩
と低級アルコール及び炭化水素を含有する水溶液を、薄
膜蒸発機の内部に供給し、薄膜となし壁上を薄膜状で流
下又は上昇せしめ、蒸留を行なう。このとき、蒸発機内
部に不活性ガス、例えば窒素等を流通させても差し支え
ない。
【0011】本発明の精製法に用いられる蒸留原料とし
ては、例えば、通常のリン酸エステルの製造方法により
得られたリン酸エステルを、中和処理した後、炭化水素
で抽出処理して得られたものを用いることができる。一
般的な製造方法を述べると、例えば、以下のようして製
造される。まずリン酸と高級アルコールをエステル化反
応させ、一般式(1)及び/又は一般式(2)のような
リン酸エステルを得る。
【0012】
【化1】
【0013】(式中、Rは炭素数8〜36の直鎖又は分
岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0014】本発明の精製法は、一般式(1)で表され
るモノアルキルリン酸エステル又はモノアルケニルリン
酸エステル(以下、モノアルキルリン酸エステル等と略
す)を主成分とするリン酸エステルを中和して得られる
リン酸エステル塩を含有する水溶液に適用したとき、そ
の効果が顕著である。また、モノアルキルリン酸エステ
ル等及び一般式(2)で表されるジアルキルリン酸エス
テル又はジアルケニルリン酸エステル(以下、ジアルキ
ルリン酸エステル等と略す)の混合物を中和して得られ
るモノアルキルリン酸エステル等の塩及びジアルキルリ
ン酸エステル等の塩を含有する水溶液にも適用すること
ができる。
【0015】一般式(1)で表されるモノアルキルリン
酸エステル等としては、例えばモノオクチルリン酸、モ
ノデシルリン酸、モノドデシルリン酸、モノオクタデシ
ルリン酸、モノテトラコシルリン酸、モノオクタコシル
リン酸、モノオクテニルリン酸、モノオクタデセニルリ
ン酸、モノテトラコセニルリン酸、モノ−2−ヘキシル
デシルリン酸、モノ−2−オクチルウンデシルリン酸、
モノ−2−テトラデシルオクタデシルリン酸等が挙げら
れる。また、一般式(2)で表されるジアルキルリン酸
エステル等としては、これらのジアルキル体、ジアルケ
ニル体が挙げられる。
【0016】このとき、反応後の反応溶液中には、有機
ヒドロキシ化合物、有機ヒドロキシ化合物中の不純物
(メチルエステル等)、リン酸エステルの分解物(炭化
水素等)、及び着色成分等の非イオン性化合物が、不要
成分として含有されている。
【0017】従って、通常、中和処理前に低級アルコー
ルを分層剤(解乳化剤)とし、水を用いて抽出処理する
ことにより、これらの一部を除去する。用いられる低級
アルコールとしては、炭素数が1〜4のアルコールで、
例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イ
ソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられ、中でも
エタノール、イソプロパノールが好ましい。
【0018】次に、リン酸エステルと塩を形成させる中
和処理を行なうが、用いる塩基性化合物としては、例え
ば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロ
パノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げ
られ、中でもトリエタノールアミン、水酸化カリウムが
好ましい。このとき、塩基性化合物の使用量は、リン酸
エステル1モルに対し0.8〜2.5モル倍で、好まし
くは1〜2モル倍である。
【0019】中和処理を行なった後、未反応の高級アル
コール、反応溶媒を除去するため炭化水素を用いて再び
抽出処理を行なう。用いられる炭化水素としては、炭素
数4〜8の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族炭化水素、又は
炭素数5〜7の飽和脂環式炭化水素であり、例えばブタ
ン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シク
ロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられ、中でもn−
ペンタン、n−ヘキサンが好ましい。
【0020】以上のようにして本発明における蒸留原料
を製造することができるが、製造された蒸留原料は、通
常、炭化水素が3〜20wt%、低級アルコールが10
〜30wt%、水分が30〜70wt%、リン酸エステ
ル塩が10〜40wt%の組成の混合物となる。本発明
の精製法においては、このリン酸エステル塩水溶液をそ
のまま蒸留原料として用いるか、もしくはこのリン酸エ
ステル塩水溶液から、低沸成分である炭化水素を予め分
離したものを蒸留原料として用いても良い。予め低沸成
分を分離する場合、熱履歴の影響を小さくするために前
述の薄膜蒸発機を用いることが好ましい。また、この場
合の操作条件は前記と同様である。
【0021】本発明の精製法は、上述の装置及び操作条
件により、このような蒸留原料から、各々リン酸エステ
ル塩に対して、炭化水素を1wt%以下、低級アルコー
ルを40wt%以下、好ましくは20wt%以下まで濃
縮蒸留を行うものである。このとき、蒸留後の組成は、
通常、炭化水素が0〜0.1wt%、低級アルコールが
2〜10wt%、水分が20〜70wt%、リン酸エス
テル塩が20〜70wt%となる。従って、精製により
得られた濃縮液は、低級アルコール及び炭化水素の含有
量を少なくすることができ、しかも本発明では、薄膜蒸
発法を用いているため処理中の滞留時間が短く、熱履歴
の影響が小さいため、リン酸エステル塩の分解等を防止
でき高品質の製品を得ることができる。また、連続的に
蒸留を行うことができるので生産効率も大幅に向上す
る。
【0022】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比
較例中の組成の%はすべてwt%である。
【0023】蒸留原料の調製例 蒸留原料の調製例を以下に示す。原料アルコールには三
菱化成(株)社製の炭素数9〜15で分岐率50%のも
のを用いた。このアルコールに対して6モル倍の106
%のポリリン酸(オルトリン酸換算)と、アルコールに
対して0.3重量倍のn−ヘキサンとを加えて反応さ
せ、リン酸エステルを得た。更に、水を加えて未反応の
ポリリン酸と副生したポリリン酸エステルとを加水分解
しオルトリン酸とリン酸エステルにし、水を抽剤として
未反応のリン酸を抽出分離した。次いで、水酸化カリウ
ムをAV値の1.4倍量加えて中和し、リン酸エステル
塩とした後、n−ヘキサンにて、臭いの原因となる有機
ヒドロキシ化合物中の不純物や、未反応の有機ヒドロキ
シ化合物、着色成分、更に反応中に生成する副生成物等
の非イオン性化合物を抽出分離し、蒸留原料となるリン
酸エステル塩の水溶液を得た。得られた蒸留原料は、モ
ノアルキルリン酸エステル塩(K)15.9%、ジアル
キルリン酸エステル塩(K)0.8%、水60.0%、
エタノール18.1%、n−ヘキサン5.2%の組成か
らなる混合物であった。
【0024】実施例1 図1に示す薄膜蒸発機(神鋼パンテック(株)製6−2
型WFE、伝熱面積0.2m2 )を用いて、以下に示す
条件にてリン酸エステル塩の連続蒸留を行った。図中の
1は原料タンク、2は原料フィードポンプ、3は攪拌モ
ーター、4は薄膜蒸発機、5は残渣タンク、6はコンデ
ンサー、7が留分タンクである。前記の蒸留原料の調製
例で得られた前記の組成の混合物を、図1に示す薄膜蒸
発機を用いて、低沸成分であるn−ヘキサンを予め蒸留
分離し、次いでエタノールと水を加えることにより、モ
ノアルキルリン酸エステル塩(K)18.0%、ジアル
キルリン酸エステル塩(K)0.9%、水62.0%、
エタノール19.1%、n−ヘキサン1%以下の組成の
混合物を得た。蒸留圧力は400torr、ジャケット
温度は87℃、液膜温度は79℃、液膜の厚さ約0.2
mm、回転数は460rpmに設定し、15kg/hr
の流量で薄膜蒸発機に供給した。
【0025】上記の条件で再度、薄膜蒸発機により蒸留
を行った結果、得られた残渣の組成はモノアルキルリン
酸エステル塩(K)25.0%、ジアルキルリン酸エス
テル塩(K)1.3%、水70.3%、エタノール3.
4%、n−ヘキサン0.0%まで濃縮することができ
た。このときの、蒸留前後での有機ヒドロキシ化合物等
の臭いの原因となる成分の量は、殆ど変化はなく、また
官能評価においても製品として良好なレベルであった。
【0026】ここで、モノアルキルリン酸エステル塩及
びジアルキルリン酸エステル塩の分析方法としては、サ
ンプルをエチルエーテルと0.1規定の塩酸水溶液とで
抽出することにより、リン酸エステルをエチルエーテル
層に抽出分離し、エチルエーテルを蒸発させた後、サン
プルを自動電位差滴定装置を用いてアルカリ、例えば水
酸化カリウムで滴定することにより、その第1等量点と
第2等量点からモノアルキルリン酸エステル塩及びジア
ルキルリン酸エステル塩の含量を測定する方法を用い
た。
【0027】また、n−ヘキサン及びエタノールの分析
は、ガスクロマトグラフィー分析により、水の分析はカ
ールフィッシャー法により行った。臭い成分である有機
ヒドロキシ化合物や非イオン性化合物等の分析について
は、サンプルを石油エーテルと水で抽出することにより
有機ヒドロキシ化合物や非イオン性化合物を石油エーテ
ル層に抽出分離し、石油エーテルを蒸発させ、その残量
から有機ヒドロキシ化合物や非イオン性化合物の含有量
を求めた。なお、以下の実施例及び比較例における分析
についても、これらの方法で行った。
【0028】比較例1 蒸留原料は実施例1と同様にしてモノアルキルリン酸エ
ステル塩(K)15.9%、ジアルキルリン酸エステル
塩(K)0.8%、水60.0%、エタノール18.1
%、n−ヘキサン5.2%の組成の混合物を、薄膜蒸発
機を用いて低沸成分であるn−ヘキサンを予め蒸留分離
し、次いでエタノールと水を加えることにより、モノア
ルキルリン酸エステル塩(K)18.0%、ジアルキル
リン酸エステル塩(K)0.9%、水62.0%、エタ
ノール19.1%、n−ヘキサン1%以下の組成の混合
物としたものである。このとき、蒸留圧力は400to
rr、ジャケット温度は87℃、液膜温度は79℃、液
膜の厚さ約0.2mm、回転数は460rpmに設定
し、15kg/hrの流量で薄膜蒸発機に供給した。次
に、ガラス製の10Lセパラブルフラスコを用いてバッ
チ式蒸留を行った。蒸留圧力は400torrで、液温
は80℃以下になるようコントロールした。蒸留には約
11時間を要し、得られた残渣の組成は以下の値になっ
た。モノアルキルリン酸エステル塩(K)23.9%、
ジアルキルリン酸エステル塩(K)1.3%、水69.
8%、エタノール5.0%、n−ヘキサン0.0%まで
濃縮することができた。しかしながら、バッチ式蒸留に
より有機ヒドロキシ化合物等の臭いの原因となる成分が
副生し、官能評価においても、製品として使用できない
レベルであった。
【0029】実施例2 実施例1と同じく、図1に示す薄膜蒸発機(神鋼パンテ
ック(株)製6−2型WFE、伝熱面積0.2m2 )を
用いて、以下に示す条件にてリン酸エステル塩の連続蒸
留を行った。蒸留原料としては、前記の蒸留原料の調製
例で得られたモノアルキルリン酸エステル塩(K)1
5.9%、ジアルキルリン酸エステル塩(K)0.8
%、水60.0%、エタノール18.1%、n−ヘキサ
ン5.2%の組成の混合物をそのまま用いた。蒸留圧力
は400torr、ジャケット温度は90℃、液膜温度
は82℃、液膜の厚さ約0.2mm、回転数は460r
pmに設定し、12kg/hrの流量で薄膜蒸発機に供
給した。
【0030】上記の条件で蒸留を行った結果、得られた
残渣の組成はモノアルキルリン酸エステル塩(K)2
3.8%、ジアルキルリン酸エステル塩(K)1.2
%、水71.7%、エタノール3.3%、n−ヘキサン
0.0%まで濃縮することができた。このときの、蒸留
前後での有機ヒドロキシ化合物等の臭いの原因となる成
分の量は、殆ど変化はなく、また官能評価においても製
品として良好なレベルであった。
【0031】比較例2 ガラス製の10Lセパラブルフラスコを用いて、以下の
条件でバッチ式蒸留を行った。蒸留原料は実施例2と同
じく、モノアルキルリン酸エステル塩(K)15.9
%、ジアルキルリン酸エステル塩(K)0.8%、水6
0.0%、エタノール18.1%、n−ヘキサン5.2
%の組成の混合物を用いた。蒸留圧力は400torr
で、液温は80℃以下になるようコントロールした。蒸
留には約10時間を要し、得られた残渣の組成は以下の
値になった。モノアルキルリン酸エステル塩(K)2
2.7%、ジアルキルリン酸エステル塩(K)1.2
%、水71.2%、エタノール4.9%、n−ヘキサン
0.0%まで濃縮することができた。しかしながら、蒸
留後での有機ヒドロキシ化合物等の臭いの原因となる成
分の量が増大し、官能評価においても、製品として使用
不可能なレベルであった。
【0032】実施例3 実施例1と同じく、図1に示す薄膜蒸発機(神鋼パンテ
ック(株)製6−2型WFE、伝熱面積0.2m2 )を
用いて、以下に示す条件にてリン酸エステル塩の連続蒸
留を行った。蒸留原料としては、前記の蒸留原料の調製
例において中和剤としての水酸化カリウムの代わりにト
リエタノールアミンをAV値の1.9倍量用いた以外は
同様にして得られたモノアルキルリン酸エステル塩(ト
リエタノールアミン)25.0%、ジアルキルリン酸エ
ステル塩(トリエタノールアミン)1.9%、水45.
0%、エタノール24.1%、n−ヘキサン4.0%の
組成の混合物を用いた。蒸留圧力は400torr、ジ
ャケット温度は105℃、液膜温度は69℃、液膜の厚
さ約0.3mm、回転数は310rpmに設定し、53
kg/hrの流量で薄膜蒸発機に供給した。
【0033】上記の条件で蒸留を行った結果、得られた
残渣の組成はモノアルキルリン酸エステル塩(トリエタ
ノールアミン)38.6%、ジアルキルリン酸エステル
塩(トリエタノールアミン)2.9%、水53.3%、
エタノール5.3%、n−ヘキサン0.0%まで濃縮す
ることができた。このときの、蒸留前後での有機ヒドロ
キシ化合物等の臭いの原因になる成分の量は、殆ど変化
なく、また官能評価においても製品として良好なレベル
であった。
【0034】一方、蒸留前後の色相を測定した結果、蒸
留前後ともクレット25で、蒸留により着色することも
なく、製品として使用可能なレベルであった。ここで色
相の評価方法としてクレットナンバーを用いたが、この
測定方法としては、エタノールでリン酸エステル塩濃度
をリン酸エステルとして10wt%になる様に調整し、
分光光度計を用いて波長420nmの吸光度を測定し、
その値を1000倍することにより求めることができ
る。
【0035】比較例3 ガラス製の10Lセパラブルフラスコを用いて、以下の
条件でバッチ式蒸留を行った。蒸留原料は実施例3と同
じくモノアルキルリン酸エステル塩(トリエタノールア
ミン)25.0%、ジアルキルリン酸エステル塩(トリ
エタノールアミン)1.9%、水45.0%、エタノー
ル24.1%、n−ヘキサン4.0%の組成の混合物を
用いた。蒸留圧力は400torrで、液温は75℃以
下になるようコントロールした。蒸留には約10時間を
要し、得られた残渣の組成は以下の値になった。モノア
ルキルリン酸エステル塩(トリエタノールアミン)3
8.6%、ジアルキルリン酸エステル塩(トリエタノー
ルアミン)2.9%、水52.8%、エタノール5.7
%、n−ヘキサン0.0%まで濃縮することができた。
しかしながら、蒸留後での有機ヒドロキシ化合物等の臭
いの原因となる成分の量が増大し、官能評価において
も、製品として使用できないレベルであった。
【0036】一方、蒸留前後の色相を測定した結果、蒸
留前がクレット25であるのに対し、蒸留後ではクレッ
ト50と、蒸留操作により着色してしまい、製品として
使用不可能なレベルであった。
【0037】
【発明の効果】従来の蒸留方法では熱履歴の影響によ
り、臭い成分や着色成分が増加するが、本発明の精製法
では熱履歴の影響を最小限に抑えることができるので、
高品質のリン酸エステル塩を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる連続薄膜蒸留装置の概略構成を
示す図である。
【符号の説明】
1 原料タンク 2 原料フィードポンプ 3 攪拌モーター 4 薄膜蒸発機 5 残渣タンク 6 コンデンサー 7 留分タンク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸エステル塩と低級アルコールを含
    有する水溶液から、薄膜蒸発機を用いて低級アルコール
    を除去することを特徴とするリン酸エステル塩の精製
    法。
  2. 【請求項2】 リン酸エステル塩と低級アルコール及び
    炭化水素を含有する水溶液から、薄膜蒸発機を用いて低
    級アルコール及び炭化水素を除去することを特徴とする
    リン酸エステル塩の精製法。
JP21901893A 1993-08-10 1993-08-10 リン酸エステル塩の精製法 Expired - Lifetime JP3351583B2 (ja)

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