JPH0753421Y2 - 円筒コアレスモータの固定子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は超小型の円筒コアレスモータの固定子に関する
ものである。

従来の技術 近年、小型直流モータはセットの小型化，薄型化に伴
い、モータの細型化，薄型化，高性能化が必要となって
きた。特に超細型のものについては円筒コアレスモータ
が使用されている。しかし現在、超細型円筒コアレスモ
ータにおいては固定子の細型化に伴なう各部品精度の向
上及び磁気特性のバラツキが問題となっている。

以下に従来の円筒コアレスモータの固定子について説明
する。

第２図は従来の円筒コアレスモータの固定子の断面構造
を示すものである。第２図において、１は円筒マグネッ
トであり、鉄系ハウジング５の外周に接着剤６にてわず
かの空間を有して固定されている。また、鉄系ハウジン
グ５の内径部にはメタル４を圧入し、かつ鉄系ハウジン
グ５の外周の一端をフレーム３に圧入して固定してい
る。

考案が解決しようとする課題 しかしながら上記の従来の構造では、第４図に示すよう
に鉄系ハウジング５に円筒マグネット１を空間11を有し
て接着する為に、磁気抵抗が大きくなり主磁束12が減少
し、磁束のバラツキが大きくなるという問題を有してい
た。また、円筒マグネットの内径内に鉄系ハウジングを
配設し、そのハウジング内径にメタルを配設する為に、
構成上超細型に適していなかった。

本考案は、上記従来の問題点を解決するもので超細型で
高性能な円筒コアレスモータの固定子を提供することを
目的とする。

課題を解決するための手段 この目的を達成するために、本考案は円筒マグネット
と、回転軸を貫通する貫通穴を有し、前記円筒マグネッ
トの内径部に挿通された状態で固定される鉄系焼結メタ
ルと、前記鉄系焼結メタルの外径に固定されるフレーム
からなる円筒コアレスモータの固定子であって、前記鉄
系焼結メタルを挿通方向から加圧することによりタイコ
状に変形させ、前記円筒マグネットの内径に密着固定し
てなる円筒コアレスモータを用いた。

作用 上記構成によって円筒マグネット内径とタイコ状に変形
した鉄系焼結メタルとの間に空間（エアーギャップ）が
ないので磁路の磁気抵抗が小さく、主磁束も安定する。
また、円筒マグネット内部へ鉄系焼結メタルを配設する
だけであるから細型化が可能である。そして、上記構成
を形成する場合に円筒マグネットの内径と鉄系焼結メタ
ルの外径との寸法を精度よく加工する必要がない。

実施例 以下本考案の一実施例について、図面を参照しながら説
明する。

第１図は本考案の一実施例における円筒コアレスモータ
の固定子の断面図を示すものである。第１図において、
１は円筒マグネット、２は鉄系焼結メタルであり円筒マ
グネット１の内径部と密着するように加圧にてタイコ状
に湾曲されている。３はフレームであり鉄系焼結メタル
２の一部を圧入し固定されている。以下その組立方法に
ついて説明する。

第３図は鉄系焼結メタルを加圧にて湾曲させる治具の一
例を示した図である。２′は変形前のメタルで有り、９
のサイジングピンを基準に７の上治具、８の下治具にて
加圧すると、応力の最大となる鉄系焼結メタル中央部が
タイコ状に変形し、１の円筒マグネット内径部に密着し
強固に固定される。よって、エアーギャップがなく磁路
の磁気抵抗が小さく、主磁束も安定する。また鉄系焼結
メタルの中央部がタイコ状に変形することにより、メタ
ル内径の両端付近を除き中央部付近はさらに径大となっ
て軸ロスの安定化が図れる。

なお、１の円筒マグネットにネオジ鉄系希土類マグネッ
トを使用することで、鉄系焼結メタルをより強くマグネ
ット内面に密着させることが可能で、より優れた特性が
発揮できる。

本考案の第２の実施例について、図面を参照しながら説
明する。

第５図は、本考案の第２実施例における円筒コアレスモ
ータの固定子の断面図を示すもので、１は円筒マグネッ
ト、３はフレームで第１図の構成と同じである。第１図
の構成と異なるのは鉄系焼結メタル13の両端軸受部より
中央部に段を設けて大きな径としたことである。

上記のように構成された円筒コアレスモータの固定子に
ついて、以下その動作を説明する。

鉄系焼結メタルの中央部内径を両端軸受部より一段と大
きくすると、中央部の強度が弱くなり軸方向に加圧した
場合、容易に円筒マグネット内面に密着させることが出
来ると共に、ロータ回転軸との摺動面が安定し特性，信
頼性が安定する。それは鉄系焼結メタルのFe成分が75％
以上で、密度が5.7〜7.2g/cm³であれば十分な特性と信
頼性が発揮できる。

考案の効果 以上のように本考案は円筒マグネット内径に挿通され、
この円筒マグネットの内径部と密着するタイコ状の湾曲
部を有し、かつ中心部に貫通穴を有する鉄系焼結メタル
と、このメタルの外径に圧入にて固定するフレームとを
備えた構成により、磁束ロスを少なくして部品単品の精
度を必要とせず超細型の固定子が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例における円筒コアレスモ
ータの固定子の断面図、第２図は従来の固定子の断面
図、第３図は本考案の第１の実施例における鉄系焼結メ
タルを作成する治具の一例を示した構造図、第４図は円
筒コアレスモータの固定子磁束の流れを示した図、第５
図は第２の実施例における円筒コアレスモータの固定子
の断面図である。 １……円筒マグネット、２……鉄系焼結メタル、３……
フレーム、13……中央部が大きな鉄系焼結メタル。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒マグネットと、回転軸を貫通する貫通
   穴を有し、前記円筒マグネットの内径部に挿通された状
   態で固定される鉄系焼結メタルと、前記鉄系焼結メタル
   の外径に固定されるフレームからなる円筒コアレスモー
   タの固定子であって、前記鉄系焼結メタルを挿通方向か
   ら加圧することによりタイコ状に変形させ、前記円筒マ
   グネットの内径に密着固定してなる円筒コアレスモータ
   の固定子。
2. 【請求項２】前記円筒マグネットはネオジ鉄系希土類マ
   グネットである請求項１記載の円筒コアレスモータの固
   定子。
3. 【請求項３】前記鉄系焼結メタルは、円筒マグネットに
   挿通される中央部付近の内径が他の挿通部の内径より大
   きな径である請求項１又は２記載の円筒コアレスモータ
   の固定子。
4. 【請求項４】前記鉄系焼結メタルは、Fe成分が75％以上
   であり、密度が5.7〜7.2g/cm³である請求項１又は２又
   は３記載の円筒コアレスモータの固定子。