JPH075336A - 光導波路の製造方法 - Google Patents

光導波路の製造方法

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Publication number
JPH075336A
JPH075336A JP5165981A JP16598193A JPH075336A JP H075336 A JPH075336 A JP H075336A JP 5165981 A JP5165981 A JP 5165981A JP 16598193 A JP16598193 A JP 16598193A JP H075336 A JPH075336 A JP H075336A
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JP
Japan
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optical waveguide
refractive index
buffer layer
thickness
linbo
Prior art date
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Application number
JP5165981A
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English (en)
Inventor
Naoyuki Kobayashi
直之 小林
Riyuuji Saikudou
龍司 細工藤
Hitoshi Koizumi
等 小泉
Kazuya Sano
一也 佐野
Takeshi Yamaguchi
毅 山口
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Japan Steel Works Ltd
Original Assignee
Japan Steel Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 伝播損失の小さい光導波路を得る。 【構成】 光導波路材の一面に、光導波路材よりも屈
折率が低いバッファ層8を設け、このバッファ層8を介
して光導波路材を基材10に接着剤9等により固定した
後、光導波路材の厚さを減少させて、所定厚の光導波層
5aを形成する。 【効果】 不純物の混入や高温の熱処理による劣化が
なく、伝播損失の小さい良質の光導波路が得られる。ま
た、光導波路の厚さを変えて容易にモード数の変更に対
応できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、波長変換素子や光スイ
ッチング素子などの光デバイスに用いられる光導波路の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光通信などに使用される光導波路は、周
囲を低屈折率のクラッドと呼ばれる媒質で取り囲まれた
コアと呼ばれる領域の中を、光がその境界面で全反射を
繰り返しながら伝播する光伝送路である。従来、この光
導波路を製造する際には、光導波路材料に応じて種々の
製造方法が採用されている。例えば、LiNbO3光導
波路を製造する場合には、LiNbO3基板表面にチタ
ン(Ti)を蒸着した後、この基板を水蒸気を含むAr
またはO2中で1050℃に加熱して、基板表面に蒸着
しているTiを基板内部に拡散させることにより、この
拡散部分の屈折率を増加させて、光導波路を形成する方
法が一般的に採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の製造方法では、Tiを拡散する際に基板全体を高温
(1050℃)に加熱するため、Li2Oの外拡散やT
i混入による結晶の劣化が生じ、光伝播損失やDCドリ
フト等が発生する問題があった。また、光導波層を導波
する光をマルチモードで伝搬させる場合には、シングル
モードの場合と比べて光導波層を厚くする必要がある。
上述のTi拡散法で光導波路を形成する場合には、光導
波層を厚くするためにはTi拡散領域を10μmを越え
る深さにする必要があり、このためにはTiを拡散する
時間を長くするか、拡散温度を上昇させなければならな
い。しかし、これらの手段を講じると、結晶がさらに劣
化し、光導波層の特性に悪影響を及ぼすという問題があ
る。したがって、一般に用いられる光導波路の製造方法
では、マルチモードで光を伝搬させることができる、良
質の光導波路を製造することは困難である。本発明は上
述した従来技術の問題点を解決し、光伝播特性などに優
れ、さらにマルチモードにも容易に対応できる光導波路
を再現性よく製造できる光導波路の製造方法を提供する
ものである。
【0004】
【発明を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明の光導波路の製造方法は、光導波路材の一
面に、光導波路材よりも屈折率が低いバッファ層を設
け、このバッファ層を介して光導波路材を基材に固定し
た後、光導波路材の表面側から光導波路材の厚さを減少
させて、基材上に所定厚の光導波路を形成することを特
徴とする。第2の発明は、第1の発明において、光導波
路材上に光導波路材よりも屈折率の低い材料を付加する
ことによりバッファ層を設けたことを特徴とする。第3
の発明は、第1の発明において、光導波路材の表層部に
物理的または化学的な処理を施して、表層部の屈折率を
部分的に低下させることによりバッファ層を設けたこと
を特徴とする。
【0005】なお、本願発明に用いる光導波路材には、
結晶特性が良好なLiNbO3やZnO等を用いること
ができる。また、光導波路材を基板に固定する際には、
適当な接着剤を用いて固定することができる。接着剤と
しては、酸化物を接着できるものであればよく、エポキ
シ樹脂系接着剤などが例示される。また、基材の材質と
しては、SiO2などが例示されるが、特にこれに限定
されるものでなく、適宜選定することができる。さら
に、光導波路材の厚さの減少は、機械的方法や化学的方
法などによって行なうことができる。これら方法の中
で、化学的方法の一例を説明すると、HF:HNO3
1:2の溶液を110℃程度にボイルし、この溶液中に
LiNbO3光導波路材を入れることにより厚さを薄く
することができる。ただし、この場合に、基板は上記溶
液で溶けない材料とする必要があり、比較的溶けにくい
ものとして、Al23を挙げることができる。
【0006】
【作用】すなわち本願発明によれば、光導波路材には、
結晶特性が良好なLiNbO3やZnO等を用いること
ができ、この結晶特性を損なうことなく光導波路の一面
に屈折率が低いバッファ層を設けることができる。なお
バッファ層は、できるだけ光導波路材に近い(僅かに低
い)屈折率を有しているのが望ましい。これは、光導波
路の最大モード数が、両者の屈折率差の1/2乗と導波
路厚の積に比例しており、所望の最大モード数(シング
ルモードを含め)を得ようとする際には、両者の屈折率
差を小さくすることにより許容導波路厚が大きくなるた
め、製造工程上、光導波路材の厚さを減少させる作業が
容易になるためである。
【0007】上記バッファ層は、光導波路上にバッファ
層用材を付加することにより設けることができる。その
方法としてはバッファ層用の材料をエピタキシャル成長
させる方法を例示することができる。この場合に、バッ
ファ層用の材料には、光導波路材と同じ種類の元素で構
成された材料を使用し、成膜条件を制御することによっ
て屈折率を調整するのが望ましい。これは、光導波路材
と同種のバッファ層用材料を用いることにより、結晶性
の良好なエピタキシャル膜すなわち、バッファ層が得ら
れるからである。成膜条件の制御の1つとして、エピタ
キシャル膜の組成比を変える方法を挙げることができ
る。例えば、LiNbO3光導波路材上にスパッタリン
グなどの方法により、LiNbO3エピタキシャル膜を
バッファ層として形成する場合に、Li/Nb比を調整
する。Liが多くなると屈折率が小さくなるので、Li
/Nb比>1となるような条件で膜をエピタキシャル成
長させ、例えば、LiNbO3光導波路材の屈折率より
0.001程度小さいバッファ層を形成する。
【0008】さらにバッファ層は、光導波路材の表層部
を処理して部分的に屈折率を低下させることにより設け
るこもができる。例えばLiNbO3光導波路材上に、
電子ビーム蒸着等によりMgの膜を形成し、この光導波
路材を加熱して拡散させる。Mgは2価の金属であり、
2価の金属をLiNbO3に添加すると屈折率が低くな
る。なお、光導波路材の表層の屈折率を下げる方法とし
ては上述の2価の金属の拡散以外に、プロトン交換、イ
オン注入法などを用いることも可能である。
【0009】次に、この低屈折率化した表面に、別の基
板を接合し、接合面と反対側の光導波路表面側から、機
械的、化学的な方法などにより結晶特性を損なうことな
く、該材料の厚さを減じることができる。目的とする光
導波路の厚さは、光の波長、屈折率差、モード数などに
よって決定する。例えば、光導波路材とバッファ層の屈
折率差が0.001、導波させる光の波長が1.3μm
のとき、シングルモードとなるための光導波路の厚さは
5μm〜14μmであり、シングルモードを採用する場
合には、これを目的値として光導波路材の厚さを減少さ
せる。上記したように、本発明によれば、金属の拡散等
の手法は使わず、物理的、化学的な加工を用いて所望の
光導波路を形成することにより、従来の光導波路の製造
方法によって生じていた不純物の混入や熱処理による光
導波路材の劣化を回避して、高品質の光導波路を得るこ
とができる。
【0010】
【実施例】
(実施例1)本発明の一実施例として、LiNbO3
導波路の製造方法を添付図面を参照して説明する。チョ
クラルスキー法で作製した0.5mm厚の板形状のLi
NbO3単結晶ウエハー(Z面)の片面に、図1に示す
イオンビームスパッタリング装置を用いて、ウエハー5
よりも少しだけ屈折率の低いエピタキシャル膜(バッフ
ァ層8)を形成した。イオンスパッタリング装置は、そ
の内部に、2つのカウフマン型イオン源1,1が配置さ
れており、各イオンビーム照射方向には、それぞれLi
3NbO4ターゲット3とNb25ターゲット4が配置さ
れている。また、各ターゲットから放射されるスパッタ
粒子の放射方向には、スパッタ粒子を付着させる材料を
固定する支持台6が配置されており、この支持台6には
ヒータ7が備えられている。
【0011】以下に、上記スパッタリング装置を用いた
成膜法を述べる。光導波路材であるLiNbO3単結晶
ウエハー5を基板支持台6に備えつけるとともに、ヒー
タ7で、ウエハー5を500℃に加熱した。次に、2台
のカウフマン型イオン源1よりArイオンビーム2を発
生させ、Li3NbO4ターゲット3とNb25ターゲッ
ト4とに照射し、各ターゲットからスパッタ粒子を発生
させて、ウエハー5上に堆積、結晶化させて、Li/N
b比>1とした1μm厚のLiNbO3バッファ層8を
形成した。上記方法により作成したバッファ層8の屈折
率をアベレス法により測定したところ、ウエハーの屈折
率が2.282であるのに対して2.281であった。
【0012】次に、図2のようにウエハー5上のバッフ
ァ層と、基材であるSiO2ガラス10とを接着材9を
用いて貼り合わせた。このときの接着剤の厚さは数μm
であった。貼り合わせの後、研磨板を用いてウエハー5
の表面を10μmの厚さまで研磨して光導波層5aを形
成した。なお、ウエハー5の厚さは、屈折率が既知であ
るのでプリズムカブラー法を用いて導波モードを測定す
ることにより求めた。この光導波路とプリズム結合によ
り伝播損失を測定したところ、1dB/cm以下であ
り、優れた伝播特性を有する光導波路が得られた。ま
た、モード数が異なる光導波路を製造する場合にも、上
記研磨量を変えることにより、作業負担が増大すること
なく容易に対応することができる。
【0013】(実施例2)実施例1と同様の板形状のL
iNbO3単結晶ウエハー15を光導波路材として用意
し、図3に示す電子ビーム蒸着装置を用いて、ウエハー
15の一面にMgを蒸着した。この電子ビーム蒸着装置
は、内部に電子銃11とMg13を収容するタングステ
ン製坩堝12が配置されており、さらに蒸着対象とする
材料を支持する支持台16が配置されている。上記装置
を用いた蒸着方法を説明すると、電子統11から、数十
mA程度の電子ビームを発生させ、坩堝12内のMg1
3に照射してMgを蒸散させ、このMgを支持台16に
備えつけてあるLiNbO3ウエハー15の表面に蒸着
させる。
【0014】次に、Mgを蒸着したLiNbO3ウエハ
ー15を炉の中に入れ、1000℃で、3時間加熱して
MgをLiNbO3ウエハー15内に拡散させてバッフ
ァ層18を設けた。このLiNbO3ウエハー15の表
層部の屈折率をアベレス法で測定したところ、ウエハー
の屈折率2.282に対して2.281であった。次
に、図2のようにウエハー15のMgを拡散させたバッ
ファ層18と、SiO2基板20とを、接着材19を用
いて貼り合わせた。貼り合わせの後、研磨板を用いてウ
エハー15の表面側を10μmの厚さまで研磨して光導
波層15aを形成した。得られた光導波路の伝播損失を
測定したところ、1dB/cm以下であった。
【0015】
【発明の効果】以上の説明したように、本発明は、光導
波路材の一面に、光導波路材よりも屈折率が低いバッフ
ァ層を設け、このバッファ層を介して光導波路材を基材
に固定した後、光導波路材の表面側から光導波路材の厚
さを減少させて、基材上に所定厚の光導波路を形成する
ので、不純物の混入や高温の熱処理による光導波路材の
品質の劣化がないため、伝播損失の小さい優れた光導波
路を得ることができる。また、モード数の変更に従って
光導波路の厚さを変える場合にも容易に行なうことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に用いるスパッタリ
ング装置の概略図である。
【図2】図2は、実施例で得られた光導波路の断面図で
ある。
【図3】図3は、他の実施例に用いる真空蒸着装置の概
略図である。
【図4】図4は、同じく他の実施例で得られた光導波路
の断面図および屈折率分布を示すグラフである。
【符号の説明】
5 LiNbO3単結晶ウエハー 5a 光導波層 8 LiNbO3バッファ層 9 接着剤 10 SiO2ガラス 15 LiNbO3単結晶ウエハー 15a 光導波層 18 LiNbO3バッファ層 19 接着剤 20 SiO2ガラス
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、波長変換素子や光スイ
ッチング素子などの光デバイスに用いられる光導波路の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光通信などに使用される光導波路は、周
囲を低屈折率のクラッドと呼ばれる媒質で取り囲まれた
コアと呼ばれる領域の中を、光がその境界面で全反射を
繰り返しながら伝播する光伝送路である。従来、この光
導波路を製造する際には、光導波路材料に応じて種々の
製造方法が採用されている。例えば、LiNbO3光導
波路を製造する場合には、LiNbO3基板表面にチタ
ン(Ti)を蒸着した後、この基板を水蒸気を含むAr
またはO2中で1050℃に加熱して、基板表面に蒸着
しているTiを基板内部に拡散させることにより、この
拡散部分の屈折率を増加させて、光導波路を形成する方
法が一般的に採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の製造方法では、Tiを拡散する際に基板全体を高温
(1050℃)に加熱するため、Li2Oの外拡散やT
i混入による結晶の劣化が生じ、光伝播損失やDCドリ
フト等が発生する問題があった。また、光導波層を導波
する光をマルチモードで伝搬させる場合には、シングル
モードの場合と比べて光導波層を厚くする必要がある。
上述のTi拡散法で光導波路を形成する場合には、光導
波層を厚くするためにはTi拡散領域を10μmを越え
る深さにする必要があり、このためにはTiを拡散する
時間を長くするか、拡散温度を上昇させなければならな
い。しかし、これらの手段を講じると、結晶がさらに劣
化し、光導波層の特性に悪影響を及ぼすという問題があ
る。したがって、一般に用いられる光導波路の製造方法
では、マルチモードで光を伝搬させることができる、良
質の光導波路を製造することは困難である。本発明は上
述した従来技術の問題点を解決し、光伝播特性などに優
れ、さらにマルチモードにも容易に対応できる光導波路
を再現性よく製造できる光導波路の製造方法を提供する
ものである。
【0004】
【発明を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明の光導波路の製造方法は、光導波路材の一
面に、光導波路材よりも屈折率が低いバッファ層を設
け、このバッファ層を介して光導波路材を基材に固定し
た後、光導波路材の表面側から光導波路材の厚さを減少
させて、基材上に所定厚の光導波路を形成することを特
徴とする。第2の発明は、第1の発明において、光導波
路材上に光導波路材よりも屈折率の低い材料を付加する
ことによりバッファ層を設けたことを特徴とする。第3
の発明は、第1の発明において、光導波路材の表層部に
物理的または化学的な処理を施して、表層部の屈折率を
部分的に低下させることによりバッファ層を設けたこと
を特徴とする。
【0005】なお、本願発明に用いる光導波路材には、
結晶特性が良好なLiNbO3やZnO等を用いること
ができる。また、光導波路材を基板に固定する際には、
適当な接着剤を用いて固定することができる。接着剤と
しては、酸化物を接着できるものであればよく、エポキ
シ樹脂系接着剤などが例示される。また、基材の材質と
しては、SiO2などが例示されるが、特にこれに限定
されるものでなく、適宜選定することができる。さら
に、光導波路材の厚さの減少は、機械的方法や化学的方
法などによって行なうことができる。これら方法の中
で、化学的方法の一例を説明すると、HF:HNO3
1:2の溶液を110℃程度にボイルし、この溶液中に
LiNbO3光導波路材を入れることにより厚さを薄く
することができる。ただし、この場合に、基板は上記溶
液で溶けない材料とする必要があり、比較的溶けにくい
ものとして、Al23を挙げることができる。
【0006】
【作用】すなわち本願発明によれば、光導波路材には、
結晶特性が良好なLiNbO3やZnO等を用いること
ができ、この結晶特性を損なうことなく光導波路の一面
に屈折率が低いバッファ層を設けることができる。なお
バッファ層は、できるだけ光導波路材に近い(僅かに低
い)屈折率を有しているのが望ましい。これは、光導波
路の最大モード数が、両者の屈折率差の1/2乗と導波
路厚の積に比例しており、所望の最大モード数(シング
ルモードを含め)を得ようとする際には、両者の屈折率
差を小さくすることにより許容導波路厚が大きくなるた
め、製造工程上、光導波路材の厚さを減少させる作業が
容易になるためである。
【0007】上記バッファ層は、光導波路上にバッファ
層用材を付加することにより設けることができる。その
方法としてはバッファ層用の材料をエピタキシャル成長
させる方法を例示することができる。この場合に、バッ
ファ層用の材料には、光導波路材と同じ種類の元素で構
成された材料を使用し、成膜条件を制御することによっ
て屈折率を調整するのが望ましい。これは、光導波路材
と同種のバッファ層用材料を用いることにより、結晶性
の良好なエピタキシャル膜すなわち、バッファ層が得ら
れるからである。成膜条件の制御の1つとして、エピタ
キシャル膜の組成比を変える方法を挙げることができ
る。例えば、LiNbO3光導波路材上にスパッタリン
グなどの方法により、LiNbO3エピタキシャル膜を
バッファ層として形成する場合に、Li/Nb比を調整
する。Liが多くなると屈折率が小さくなるので、Li
/Nb比>1となるような条件で膜をエピタキシャル成
長させ、例えば、LiNbO3光導波路材の屈折率より
0.001程度小さいバッファ層を形成する。
【0008】さらにバッファ層は、光導波路材の表層部
を処理して部分的に屈折率を低下させることにより設け
るこもができる。例えばLiNbO3光導波路材上に、
電子ビーム蒸着等によりMgの膜を形成し、この光導波
路材を加熱して拡散させる。Mgは2価の金属であり、
2価の金属をLiNbO3に添加すると屈折率が低くな
る。なお、光導波路材の表層の屈折率を下げる方法とし
ては上述の2価の金属の拡散以外に、プロトン交換、イ
オン注入法などを用いることも可能である。
【0009】次に、この低屈折率化した表面に、別の基
板を接合し、接合面と反対側の光導波路表面側から、機
械的、化学的な方法などにより結晶特性を損なうことな
く、該材料の厚さを減じることができる。目的とする光
導波路の厚さは、光の波長、屈折率差、モード数などに
よって決定する。例えば、光導波路材とバッファ層の屈
折率差が0.001、導波させる光の波長が1.3μm
のとき、シングルモードとなるための光導波路の厚さは
5μm〜14μmであり、シングルモードを採用する場
合には、これを目的値として光導波路材の厚さを減少さ
せる。上記したように、本発明によれば、金属の拡散等
の手法は使わず、物理的、化学的な加工を用いて所望の
光導波路を形成することにより、従来の光導波路の製造
方法によって生じていた不純物の混入や熱処理による光
導波路材の劣化を回避して、高品質の光導波路を得るこ
とができる。
【0010】
【実施例】 (実施例1)本発明の一実施例として、LiNbO3
導波路の製造方法を添付図面を参照して説明する。チョ
クラルスキー法で作製した0.5mm厚の板形状のLi
NbO3単結晶ウエハー(Z面)の片面に、図1に示す
イオンビームスパッタリング装置を用いて、ウエハー5
よりも少しだけ屈折率の低いエピタキシャル膜(バッフ
ァ層8)を形成した。イオンスパッタリング装置は、そ
の内部に、2つのカウフマン型イオン源1,1が配置さ
れており、各イオンビーム照射方向には、それぞれLi
3NbO4ターゲット3とNb25ターゲット4が配置さ
れている。また、各ターゲットから放射されるスパッタ
粒子の放射方向には、スパッタ粒子を付着させる材料を
固定する支持台6が配置されており、この支持台6には
ヒータ7が備えられている。
【0011】以下に、上記スパッタリング装置を用いた
成膜法を述べる。光導波路材であるLiNbO3単結晶
ウエハー5を基板支持台6に備えつけるとともに、ヒー
タ7で、ウエハー5を500℃に加熱した。次に、2台
のカウフマン型イオン源1よりArイオンビーム2を発
生させ、Li3NbO4ターゲット3とNb25ターゲッ
ト4とに照射し、各ターゲットからスパッタ粒子を発生
させて、ウエハー5上に堆積、結晶化させて、Li/N
b比>1とした1μm厚のLiNbO3バッファ層8を
形成した。上記方法により作成したバッファ層8の屈折
率をアベレス法により測定したところ、ウエハーの屈折
率が2.282であるのに対して2.281であった。
【0012】次に、図2のようにウエハー5上のバッフ
ァ層と、基材であるSiO2ガラス10とを接着材9を
用いて貼り合わせた。このときの接着剤の厚さは数μm
であった。貼り合わせの後、研磨板を用いてウエハー5
の表面を10μmの厚さまで研磨して光導波層5aを形
成した。なお、ウエハー5の厚さは、屈折率が既知であ
るのでプリズムカブラー法を用いて導波モードを測定す
ることにより求めた。この光導波路とプリズム結合によ
り伝播損失を測定したところ、1dB/cm以下であ
り、優れた伝播特性を有する光導波路が得られた。ま
た、モード数が異なる光導波路を製造する場合にも、上
記研磨量を変えることにより、作業負担が増大すること
なく容易に対応することができる。
【0013】(実施例2)実施例1と同様の板形状のL
iNbO3単結晶ウエハー15を光導波路材として用意
し、図3に示す電子ビーム蒸着装置を用いて、ウエハー
15の一面にMgを蒸着した。この電子ビーム蒸着装置
は、内部に電子銃11とMg13を収容するタングステ
ン製坩堝12が配置されており、さらに蒸着対象とする
材料を支持する支持台16が配置されている。上記装置
を用いた蒸着方法を説明すると、電子統11から、数十
mA程度の電子ビームを発生させ、坩堝12内のMg1
3に照射してMgを蒸散させ、このMgを支持台16に
備えつけてあるLiNbO3ウエハー15の表面に蒸着
させる。
【0014】次に、Mgを蒸着したLiNbO3ウエハ
ー15を炉の中に入れ、1000℃で、3時間加熱して
MgをLiNbO3ウエハー15内に拡散させてバッフ
ァ層18を設けた。このLiNbO3ウエハー15の表
層部の屈折率をアベレス法で測定したところ、ウエハー
の屈折率2.282に対して2.281であった。次
に、図2のようにウエハー15のMgを拡散させたバッ
ファ層18と、SiO2基板20とを、接着材19を用
いて貼り合わせた。貼り合わせの後、研磨板を用いてウ
エハー15の表面側を10μmの厚さまで研磨して光導
波層15aを形成した。得られた光導波路の伝播損失を
測定したところ、1dB/cm以下であった。
【0015】
【発明の効果】以上の説明したように、本発明は、光導
波路材の一面に、光導波路材よりも屈折率が低いバッフ
ァ層を設け、このバッファ層を介して光導波路材を基材
に固定した後、光導波路材の表面側から光導波路材の厚
さを減少させて、基材上に所定厚の光導波路を形成する
ので、不純物の混入や高温の熱処理による光導波路材の
品質の劣化がないため、伝播損失の小さい優れた光導波
路を得ることができる。また、モード数の変更に従って
光導波路の厚さを変える場合にも容易に行なうことがで
きる。
フロントページの続き (72)発明者 佐野 一也 千葉県四街道市鷹の台1丁目3番 株式会 社日本製鋼所内 (72)発明者 山口 毅 千葉県四街道市鷹の台1丁目3番 株式会 社日本製鋼所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光導波路材の一面に、光導波路材よりも
    屈折率が低いバッファ層を設け、このバッファ層を介し
    て光導波路材を基材に固定した後、光導波路材の表面側
    から光導波路材の厚さを減少させて、基材上に所定厚の
    光導波層を形成することを特徴とする光導波路の製造方
  2. 【請求項2】 バッファ層は、光導波路材上に光導波路
    材よりも屈折率の低い材料を付加することにより設けら
    れたことを特徴とする請求項1記載の光導波路の製造方
  3. 【請求項3】 バッファ層は、光導波路材の表層部に物
    理的または化学的な処理を施して、表層部の屈折率を部
    分的に低下させることにより設けられたことを特徴とす
    る請求項1記載の光導波路の製造方法
JP5165981A 1993-06-14 1993-06-14 光導波路の製造方法 Pending JPH075336A (ja)

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