JPH0753317B2 - レ−ザビ−ム併用高周波電縫溶接の入熱制御方法 - Google Patents

レ−ザビ−ム併用高周波電縫溶接の入熱制御方法

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JPH0753317B2
JPH0753317B2 JP60274576A JP27457685A JPH0753317B2 JP H0753317 B2 JPH0753317 B2 JP H0753317B2 JP 60274576 A JP60274576 A JP 60274576A JP 27457685 A JP27457685 A JP 27457685A JP H0753317 B2 JPH0753317 B2 JP H0753317B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高周波電縫溶接法と、レーザービームの投射
を併用する複合溶接法に関するものである。
〔従来の技術〕
物体を溶接することは広範囲な分野で必要とされ、各種
の方法が用いられているが、その中で電気抵抗溶接法は
最もよく使われている技術の1つである。
例えば溶接管の製造分野においては、一般に電縫管と呼
ばれる管の、溶接速度の速い、即ち生産性の高い溶接法
として用いられている。
電縫管の製造方法、例えば従来の高周波接触溶接法によ
る溶接造管工程では、まず成形ロール群によって鋼帯を
管状に成形し、それらのエッジ部をスクイズロールによ
って突合わせる。これによりエッヂ部が、衝合部を頂点
とするクサビ形状を呈する。
スクイズロールの上流に配設された接触子に、高周波電
圧を印加し、1つの接触子から他の接触子へ高周波電流
を流してクサビ形状をなすエッジ部に沿って高周波電流
を流す。この高周波電流によってエッジ部が加熱されク
サビ形状の頂点すなわち溶接点が溶接温度に達しスクイ
ズロールにより加圧溶接される。
電縫管の溶接品質には溶接電流の大小が大きく影響を及
ぼし、溶接電力が過小のときにはエッジ部は低入熱状態
となり冷接と呼ばれる溶接欠陥が発生する。溶接電力が
過大になりエッジが高入熱状態となるとペネトレータと
呼ばれる溶接欠陥が発生する場合がある。低入熱造管で
発生する冷接はエッジ部の加熱不足が原因であり、高入
熱造管で発生するペネトレータはエッジ部が溶融し溶融
金属が電磁力によって溶接面から排出されるために溶接
点が管軸方向に周期的位置変動を繰り返すことが主原因
である。
このような従来の問題点を更に詳しく説明する。一般に
電縫溶接造管に用いる高周波電力としては、10〜500KHz
の周波数帯が用いられ、高周波特有の「表皮効果」と
「近接効果」の2つの現象の相乗効果により周波数が高
くなるほど加熱効率が大きくなる。これが電縫溶接増管
に広く高周波電力が用いられる理由である。
ところで、従来電縫溶接は高周波加熱によりエッヂ端面
を溶融せしめると同時に、スクイズロールで接合部に強
いアプセット力を加えて大部分の溶融金属を加熱中に生
じた酸化物と共に溶接部外に排出するという機構で溶接
が行なわれると考えられていた。アプセットによって溶
接部は変形し、第3図に示すように、熱影響部のメタル
フロー20が立上る。
メタルフロー20が立上ると帯板に含まれる介在物も同時
に立上り、また表面に比べて機械的,化学的性質の劣る
内質部が表面に露出するという欠点が生ずる。他方、ア
プセットを加えないと溶接欠陥が多発する。メタルフロ
ー立上り角θと溶接部の靭性は第4図に示す関係とな
り、立上り角θが大きくなるほど靭性が低下する。な
お、第4図の斜線領域が靭性の範囲を示す。靭性は斜線
範囲内でばらつく。
高周波電流は、突合せ端面の表面、特にコーナ部に集中
する。このため、突合せ端面中心と比較してコーナ部の
溶融量が多くなる。そこで第5図に示すように端面に生
じた溶融金属21は、相対する突合せ面を流れる互いに逆
向きの電流によって誘起される電磁圧力22の作用で端面
から帯板外部に排出される。従って、溶接直前の端面の
突合せ形状は、第6図に示すように、中心部の膨らんだ
凸形となっている。溶接直後の端面の間の部分は溶鋼で
埋められる。このままの状態又は溶接部にほとんどアプ
セットを加えない状態で溶鋼が凝固すると、第7図に示
すようにコーナ部近傍に凝固収縮孔23が発生し、この部
分が溶接欠陥になる。もし溶接部に強いアプセットが加
えられると凸面形溶接部が変形して平面形となり凝固層
は薄いフイルム状となって板厚内面には収縮孔が発生し
ない。この状態を第8図に示す。
従来の高周波電気抵抗溶接では、上述のように、板厚面
内に収縮孔を生じないようにするためにはアプセットを
強くしなければならず、アプセットを強くすると、メタ
ルフロー立上り角θが大きくなって溶接部の靭性が低下
するという相反する問題があった。
この現象は、ストレートシームの電縫管に限らずスパイ
ラル管やIビームなどの形鋼の電気抵抗溶接においても
見られる。
一方、溶接時の熱影響が少なく優れた溶接品質が得られ
る溶接法としてレーザー、電子ビームなどのエネルギー
ビームを用いる溶接法があり、特開昭56−114590号公報
において、これらのエネルギービームを、溶接されるべ
きクサビ形状の頂点すなわち溶接点に投射する溶接法が
提案され、更に特開昭59−232676号公報で改良が提案さ
れている。
たとえば特開昭59−232676号公報記載の方法の概要を第
2図を参照して説明すると、被溶接体1のエッヂ部2
(クサビ形状をなす溶接対向面)は接触子4から供給さ
れる高周波電力によって発生するジュール熱、および、
レーザー発振器6から、ビーム形状制御器7、ビームガ
イド8を通して照射されるレーザービームLBによって全
肉範囲に亘って溶接温度に均一に加熱される。レーザー
ビームLBは所定角度をなすクサビ形状の頂点、すなわち
溶接点、を中心に所定角度の範囲で、管状体1の溶接前
対向面2に向けて往復走査される。レーザービームLBは
対向面の一方に当ってそこで反射されて他方に向い他方
で反射されてまた該一方に当るという具合に反射を繰り
返して最後に溶接点に至る。すなわち、レーザービーム
LBが直接に溶接点に照射されなくても反射収束により溶
接点に自動的に収束する。
この複合溶接法の目的は突合せ面の温度の均一化であ
り、冷接欠陥発生防止には著しく効果的であったが、エ
ッヂコーナー部の溶融だれが大きく、溶接部に強いアプ
セットを加えなければならないため、メタルフロー立上
り角が大きくなり、継手性能に問題を有している。
すなわち、レーザービームを併用する高周波電縫溶接に
おいては、高周波抵抗加熱のみではコーナー部と比べて
溶融量の少ない溶接面中央部をレーザービームで加熱
し、均一溶融とそれによってはじめて可能になるアプセ
ット量の低減により、継手性能の向上が実現される。と
ころで、上述のエッヂコーナー部の溶融だれ量は高周波
溶接電力に比例する。従って、高周波電縫溶接とレーザ
ービームの併用効果を出来る限り高めるためには、高周
波抵抗溶接入熱を極力低くし、不足分をレーザーエネル
ギーで補うのが有効であると考えられる。
ところで、高周波電縫溶接においては、適正溶接状態を
実現するために、溶接諸条件、すなわち高周波溶接電力
PE、溶接速度V、板厚t、その他の溶接条件Ω、の間に Q=PE・f(V,t,Ω) …(1) 但し、Qは一定値、 を満たすことが求められる。この関係を実現・維持する
ようにPEを制御することが高周波電縫溶接の入熱制御で
ある。然るに、レーザービーム併用高周波電縫溶接にお
いては、溶接条件の構成因子にレーザービームの出力PL
が加わり、入熱制御は(1)式の代りにたとえば、 Q1=f1(PE,PL,V,t,Ω) …(2) 但しQ1は一定値、 を実現・維持することになってそれだけ複雑になる。こ
のことはすなわち、高周波抵抗溶接入熱量の低減に対
し、どれだけのレーザーエネルギーを補わなければなら
ないのか、或いは、レーザーエネルギーに対しどこまで
高周波抵抗溶接入熱を低減できるのか、という問題でも
ある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明はこの種の、高周波電気抵抗溶接とレーザービー
ムを併用する複合溶接法の改良に関し、継手性能の向
上、すなわち、溶接欠陥を発生することなくアプセット
量を低減し、継手性能を一段と向上させる方法を提供す
ることを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の要旨とするところは相向かい合う突合わせ端面
が漸近し溶接点を頂点とするクサビ形状をなす被溶接物
へ高周波電流を供給ししかも該クサビ形状の開放側から
溶接点へレーザービームを投射して、発生するジュール
熱とレーザービームのエネルギーでクサビ形状の頂点を
溶接温度まで加熱するレーザービーム併用高周波電縫溶
接法において: 以下に記す(A)、(B)、(C)、(D)、 (A)PE+αPL (B)(PE+αPL)・V-m (C)(PE+αPL)・t-n (D)(PE+αPL)・V-m・t-n 但し、PE:高周波溶接電力、 2≦α≦15、 PL:被溶接物へ投射するレーザービームの入力、 V:溶接速度、 t:被溶接物の板厚、 0.5≦m、n≦1、 のいずれかにより入熱制御することを特徴とするレーザ
ービーム併用高周波電縫溶接の入熱制御方法にある。
〔作用〕
レーザービーム併用高周波電縫溶接においては、被溶接
物へ投射するレーザービーム入力と高周波溶接電力の溶
接に対しての効率の比をαとすると、α>1であって、
レーザームによる入熱の溶接効率が高周波電力による入
熱の溶接効率よりも高い。これは高周波電力による加熱
が接触子前後から溶接点前後の軸方向の長さと、突合せ
端面よりかなり周方向に拡がった範囲に及び最終的に溶
融に利用される熱が少ないのに対して、エネルギービー
ムは加熱範囲が限定されて溶融に効率よく作用するから
である。αは、高周波加熱による突合せ端面の温度上昇
が低い程高い値をとる。これは、レーザービームをクサ
ビ形開先からその頂点の溶接点に投射する過程におい
て、すなわち頂点の手前からビームの全体又は部分が一
方の突合せ端面に当りまたそこで反射して他方の突合せ
端面に当りまたそこで反射して最終的には頂点に至る過
程において、突合せ端面の温度が高いと酸化や溶融等に
より反射率が低下し頂点に至るビームエネルギーが低く
なり、頂点手前の端面を加熱するビームエネルギーが高
くなるからと推察される。αは最大15である。上述の現
象は、レーザービーム併用高周波電縫溶接の溶接入力は
高周波溶接電力に換算すると、PE+αPLに相当すること
を示している。従って溶接入熱を制御するためには、PE
+αPLを制御変数として用い、これを(1)式に代入し
た Q=(PE+αPL)・f(V,t,Ω) …(3) に基いて、PE及び/又はPLを制御すれば良い。ところで
電縫溶接において、溶接中に最も変動を生じる溶接条件
は、溶接速度Vと板厚tである。従って(3)式におい
V,tに関する関係式が確立すれば極めて有用である。本
発明者等は種々実験を繰り返した結果以下の関係式が成
立することを見出した。
Q=(PE+αPL)V-m・t-n・g(Ω) …(4) この(4)式から以下の事が分る。すなわち、 i 溶接速度、板厚変動がほとんどない場合: PE+αPLEを制御変数とすれすよい。
ii 溶接速度Vは変動するが板厚tはほぼ一定の場合: (PE+αPL)・V-mを制御変数とすればよい。
iii 板厚tは変動するが溶接速度Vはほぼ一定の場
合: (PE+αPL)・t-nを制御変数とすればよい。
iv 溶接速度Vと板厚tが共に変動する一般の場合: (PE+αPL)・V-mt-nを制御変数とすればよい。
以上により速度変動板厚変動を自動的に補償する入熱制
御がなされる。
本発明においてα値を2≦α≦15に限定したのは以下の
理由による。まずα≦15としたのは高周波溶接電力とレ
ーザー入力の溶接に対しての効率の比が最大15となるた
めである。α>15とすると溶接に対するレーザーエネル
ギーの寄与を過大に見積ったことになり、低入熱状態と
なって冷接欠陥の危険が生じる。またα≧2としたの
は、この範囲でレーザービーム併用効果すなわち突合せ
端面の均一な溶融を期待できるからである。
更に本発明において0.5≦m,n≦1.0としたのは、板厚t
または溶接速度Vの増加に伴い溶接入力を増加させる必
要があるからであるが、m,nがこの範囲にあれば、一旦
任意のt及び/またはVについて、前記iiの場合: (PE+αPL)・V-m、 前記iiiの場合: (PE+αPL)・t-n、 又は前記ivの場合: (PE+αPL)・V-m・t-n の最適値を設定すれば、その他の溶接条件Ωがほぼ一定
であれば、V及び/またはt値が±50%変化しても、前
記ii,iii,ivはそれぞれの場合について入熱が適正範囲
に保たれているからである。
次に図面を参照して本発明を詳細に説明する。
第1図は本発明を具体化するための溶接装置の一態様の
構成概要を示す。被溶接物1のエッジ部2は接触子4か
ら供給される高周波電力によって発生するジュール熱お
よびレーザー発振器6からビーム形状制御器7、ビーム
ガイド8を通して照射されるレーザービームLBによって
加熱される。
第1図のレーザービーム併用高周波電縫溶接における入
熱は溶接入熱制御器14にて制御される。
まず溶接速度・板厚がほとんど変動しない場合は、第1
図の実施態様においては制御変数PE+αPLが一定値Q0
保持するように入熱制御される。Q0と係数αは溶接前に
溶接入熱制御器14にプリセットされる。溶接開始後溶接
入熱制御器14は、高周波電縫溶接機5から出力される高
周波溶接電力信号PE及びレーザー照射装置6から出力さ
れるレーザービームの出力信号PLを受け取り、Q0−αPL
=P′及び(Q0−PE)/α=PL′を計算する。溶接入
熱制御器14は計算結果P′を高周波電縫溶接出力制御
器9、又は、PL′をレーザー発振出力制御器10、のいず
れか一方に入熱制御信号として出力する。前者の場合高
周波電縫溶接出力制御器9はP′を入熱制御信号とし
て受け取り、高周波電縫溶接機5の出力がP′になる
ように制御する。かくして制御変数PE+αPLが常にQ0
保持されるように溶接入熱が制御される。溶接入熱制御
器14が入熱制御信号としてP′をレーザー発振出力制
御器10に出力する場合は、レーザー発振出力がP′
るように制御され制御変数はやはりQ0に保持される。
上記の説明では溶接入熱制御器14は高周波電縫溶接出力
制御器9又はレーザー発振器制御10のいずれか一方に入
熱制御信号を出力する場合を示したが、本発明はこれに
限定されるものではない。例えば、入熱制御信号として Q0PE/(PE+αPL)=P′E, Q0PL/(PE+αPL)=P′ をそれぞれ高周波電縫溶接出力制御器9及びレーザー発
振出力制御器10に出力することによっても、制御変数は
常に目標値Q0に保持される。また、P′E,P′がそれ
ぞれ一定値PE0,PL0(但しPE0+αPL0=Q0)となるよう
に制御することも可能である。要は常にPE+αPL=Q0
なるように入熱状態を保持すれば良いのである。
かくして高周波溶接電力との適正な出力比で出力された
レーザービームはビーム形状制御器7により溶接面の板
厚中央部を中心とする溶融不足域にビームが集光するよ
うビーム形状照射方向を制御され、ビームガイド8を通
して溶接面板厚中心部に照射されレーザーと高周波電力
の併用効果によって溶接面は全肉厚に亘って均一に溶融
される。
次に、溶融速度・板圧が共に変動する場合、第1図の実
施態様においては制御変数 (PE+αPL)・V-m・t-n が一定値Q1を保持するように入熱制御される。
第1図において溶接点より上流側に板圧計11が設置され
ており、測定された板厚データtはデータ処理器12によ
り、被溶接体が板厚測定点と溶接点間の移動に要する時
間を経過御溶接入熱制御器14に与えられる。溶接入熱制
御器14は、更に速度計13からの溶接速度データV、高周
波電縫溶接機5からの高周波電力データPE、レーザー発
振器6からのレーザー出力データPLを受け取り、あらか
じめ設定されたα,m,n値から入熱当量(PE+αPL)・V
-m・t-n=Qを演算し、計算されたQ値と、これもあら
かじめ設定されたQ0値と比較し、Q=Q0となるように高
周波電縫溶接機出力制御機9及び/又はレーザー発振出
力制御機10に制御信号を送り、常に(PE+αPL)・V-m
・t-n=Q0が保持されるように溶接入熱を制御する。
更に溶接速度および板厚のいずれか一方が変動する場合
は、第1図の速度計13又は板厚計11・データ処理器12の
いずれか一方のみあれば十分であるから装置構成が簡単
になる。この場合制御変数(PE+αPL)・V-m又は(PE
+αPL)・t-nが一定値Q2又はQ3になるように溶接入熱
が制御される。
スクイズロール3は被溶接体の強度,板厚,成品形状
(管であれば管径),目標とするアプセット量等に応じ
て圧下力を計算し制御するアプセット量制御器15からの
指示に基いて動作する油圧シリンダー16を介して、適正
圧下力を被溶接体1に与える。
以下溶接面の均一溶融と適正アプセット制御により、高
性能の継手が得られる。
さらに、本発明の効果を明確にするために以下に実施例
について述べる。
〔実施例〕
板厚12.7mm、板巾1282mmの鋼帯を第1図に示す複合溶接
装置を用い、造管速度30mm/minで外径約401/mmの鋼管を
製造した。使用した高周波溶接機は最大出力600KW、周
波数300KHz、レーザー発振器はCO2レーザーで最高出力8
KWである。レーザー出力を0,2,4,6,8KWと段階的に変
え、これに対してアプセット量をレーザー出力に対して
最適になるようにそれぞれ3,2.5,2,1.5,1mmに設定し
た。高周波電縫溶接単独で良好な継手を得るための高周
波電力は584KWであった。そこで制御変数、PE+αPL
一定値584となるように種々のα値を設定して入熱を制
御した。
溶接部を誘導加熱にて950℃焼準し処理後、溶接部の靭
性を調査した。調査結果を第9図に示す。第9図から明
らかなように、α<2の範囲では溶接部の靭性は高周波
電縫溶接単独の場合とあまり変わらずレーザービーム併
用効果は少い。2≦α≦15は接合面が板厚方向に均一に
溶融するため顕著な靭性向上効果が得られた。しかしα
>15になると冷接欠陥が発生した結果、靭性は却って低
下した。すなわち、レーザービーム併用高周波電縫溶接
法においてはPE+αPL(2≦α≦15)が一定となるよう
入熱制御するのが適当であることが確認された。
次に同じ鋼帯を、制御変数(PE+5PL)・V−0.6が一定
値75.9になる条件で造管した。その結果、ミルスタート
後造管速度が10m/minを越えた時点から溶接品質は全く
安定することが確かめられた。
更に、板巾1282mm,板厚6.4,9.5,12.7,16.0,19.1mmの5
種類の鋼帯を溶接速度30m/min、及び(PE+5PL)・t
−0.85が一定値67.3になる条件で造管した。その結果5
鋼帯共溶接品質に変りがないことが確認された。
更に上記5鋼帯を、制御変数(PE+5PL)・V−0.6・t
−0.85が一定値8.75になるような条件で造管した。5鋼
帯共溶接速度が10m/minを越えた時点から溶接品質が全
く安定することが確かめられた。この制御変数の適用は
造管初期における最適溶接条件の把握を著しく容易に
し、生産能率と歩留向上に寄与した。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明によれば、実施例に示されるよう
に顕著な継手性能の向上を得るための適切な入熱制御が
なされ、高周波電縫溶接に対するレーザー併用効果を最
大限に発揮せしめることが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を一態様で実施する溶接装置の構成概要
を示すブロック図である。 第2図は従来のレーザビーム併用高周波電縫溶接装置の
構成概要を示す斜視図である。 第3図は従来の高周波電縫溶接による継手の拡大断面
図、第4図は該継手の立上り角と靭性の関係を示すグラ
フである。 第5図は従来の高周波電縫溶接における溶接エッヂ部の
溶融状態と電磁力を示す断面図、第6図は従来の高周波
電縫溶接における溶接エッヂ部のアプセット開始直前の
溶融状態を示す断面図、第7図および第8図は従来の高
周波電縫溶接における溶接エッヂ部のアプセット後の冷
却状態を示しそれぞれ低アプセットの場合及び標準的な
アプセットの場合の断面図である。 第9図は本発明を適用することにより継手の靭性が向上
することを示すグラフである。 1:被溶接物、2:エッジ(溶接前対向面) 3:スクイズロール、4:接触子 5:高周波電縫溶接機、6:レーザー発振機 7:ビーム形状制御器、8:ビームガイド 9:高周波電縫溶接出力制御器 10:レーザー発振出力制御器 11:板厚計、12:データ処理器 13:速度計、14:溶接入熱制御器 15:アプセット量制御器、16:油圧シリンダー LB:レーザービーム、PE:高周波溶接電力信号 PL:レーザービームの出力信号 V:溶接速度、t:板厚 20:メタルフロー、21:溶融金属 22:電磁的圧力、23:凝固収縮孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高藤 英生 神奈川県川崎市中原区井田1618 新日本製 鐵株式曾社第1技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−100982(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相向かい合う突き合わせ端面が漸近し溶接
    点を頂点とするクサビ形状をなす被溶接物へ高周波電流
    を供給し、しかも該クサビ形状の開放側から溶接点へレ
    ーザービームを投射して、発生するジュール熱とレーザ
    ービームのエネルギーでクサビ形状の頂点を溶接温度ま
    で加熱するレーザービーム併用高周波電縫溶接法の入熱
    制御方法において: あらかじめ設定されたαから(PE+αPL)=Qを演算
    し、計算されたQ値と、これもあらかじめ設定された最
    適な入熱当量値Q0値とを比較し、Q=Q0となるように入
    熱制御することを特徴とするレーザービーム併用高周波
    電縫溶接の入熱制御方法; ただし、PE:高周波溶接電力、 2≦α≦15、 PL:被溶接物へ投射するレーザービームの入力。
  2. 【請求項2】相向かい合う突き合わせ端面が漸近し溶接
    点を頂点とするクサビ形状をなす被溶接物へ高周波電流
    を供給し、しかも該クサビ形状の開放側から溶接点へレ
    ーザービームを投射して、発生するジュール熱とレーザ
    ービームのエネルギーでクサビ形状の頂点を溶接温度ま
    で加熱するレーザービーム併用高周波電縫溶接法の入熱
    制御方法において: あらかじめ設定されたα,mから、(PE+αPL)・V-m
    Qを演算し、計算されたQ値と、これもあらかじめ設定
    された最適な入熱当量値Q0値とを比較し、Q=Q0となる
    ように入熱制御することを特徴とするレーザービーム併
    用高周波電縫溶接の入熱制御方法; ただし、PE:高周波溶接電力、 2≦α≦15、 PL:被溶接物へ投射するレーザービームの入力、 V:溶接速度、 0.5≦m≦1。
  3. 【請求項3】相向かい合う突き合わせ端面が漸近し溶接
    点を頂点とするクサビ形状をなす被溶接物へ高周波電流
    を供給し、しかも該クサビ形状の開放側から溶接点へレ
    ーザービームを投射して、発生するジュール熱とレーザ
    ービームのエネルギーでクサビ形状の頂点を溶接温度ま
    で加熱するレーザービーム併用高周波電縫溶接法の入熱
    制御方法において: あらかじめ設定されたα,nから(PE+αPL)・t-n=Q
    を演算し、計算されたQ値と、これもあらかじめ設定さ
    れた最適な入熱当量値Q0値とを比較し、Q=Q0となるよ
    うに入熱制御することを特徴とするレーザービーム併用
    高周波電縫溶接の入熱制御方法; ただし、PE:高周波溶接電力、 2≦α≦15、 PL:被溶接物へ投射するレーザービームの入力、 t:被溶接物の板厚、 0.5≦n≦1。
  4. 【請求項4】相向かい合う突き合わせ端面が漸近し溶接
    点を頂点とするクサビ形状をなす被溶接物へ高周波電流
    を供給し、しかも該クサビ形状の開放側から溶接点へレ
    ーザービームを投射して、発生するジュール熱とレーザ
    ービームのエネルギーでクサビ形状の頂点を溶接温度ま
    で加熱するレーザービーム併用高周波電縫溶接法の入熱
    制御方法において: あらかじめ設定されたα,m,nから(PE+αPL)・V-m・t
    -n=Qを演算し、計算されたQ値と、これもあらかじめ
    設定された最適な入熱当量値Q0値とを比較し、Q=Q0
    なるように入熱制御することを特徴とするレーザービー
    ム併用高周波電縫溶接の入熱制御方法; ただし、PE:高周波溶接電力、 2≦α≦15、 PL:被溶接物へ投射するレーザービームの入力、 V:溶接速度、 t:被溶接物の板厚、 0.5≦m,n≦1。
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